特許第6393102号(P6393102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393102
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】二部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20180910BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   F16B5/02 F
   F16B5/02 V
   F16B5/07 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-148673(P2014-148673)
(22)【出願日】2014年7月22日
(65)【公開番号】特開2015-200402(P2015-200402A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2017年5月18日
(31)【優先権主張番号】特願2014-75034(P2014-75034)
(32)【優先日】2014年4月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 善日児
【審査官】 熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−045346(JP,A)
【文献】 実開平04−136303(JP,U)
【文献】 実開昭59−179723(JP,U)
【文献】 実開昭56−106214(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00− 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の第1部材(1)及び第2部材(3)をタッピングスクリュー(37)によって固定する二部材の取付構造であって、
上記第1部材(1)は、上記第2部材(3)側に向かって突設され、上記タッピングスクリュー(37)が螺合するネジ孔(19a,47c)が形成された第1取付座(8,47)を有し、
上記第2部材(3)は、上記第1部材(1)側に開放されて上記第1取付座(8,47)を収容する収容凹部(25)が形成された第2取付座(23)と、上記第1取付座(8,47)と係合する係合片(35,44)と、を有し、
上記収容凹部(25)の底壁部(31)には、上記タッピングスクリュー(37)が挿通する挿通孔(33,45)が形成されており、
上記第1部材(1)は、上記第1取付座(8,47)が上記収容凹部(25)の開口(21)から該収容凹部(25)に収容され、上記係合片(35,44)が上記第1取付座(8,47)と係合し、かつ上記タッピングスクリュー(37)が上記挿通孔(33,45)を挿通して上記ネジ孔(19a,47c)にねじ込まれた状態で、上記第2部材(3)に取り付けられ
上記第2取付座(23)は、上記収容凹部(25)の開口(21)周縁から突設されていると共に、上記係合片(35,44)に対応するように側方に開口して上記収容凹部(25)と連通する開放口(29)が形成され、
上記挿通孔(33,45)は、上記開放口(29)側に開口する切欠状に形成され、
上記係合片(35,44)は、上記収容凹部(25)の開口(21)の上記開放口(29)側の周縁における上記挿通孔(35,44)に対応する箇所から上記開放口(29)の内側に向けて延びていることを特徴とする二部材の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の二部材の取付構造において、
上記第1取付座(8)は、側方に開口する開口部(15)が形成された第1取付座基部(9)と、該第1取付座基部(9)から上記第2部材(3)側に突出すると共に、上記ネジ孔(19a)が形成されたボス(19)と、を有し、
上記第1部材(1)は、上記開口部(15)の周縁部が上記係合片(35)に係止した状態で、上記第2部材(3)に取り付けられていることを特徴とする二部材の取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載の二部材の取付構造において、
上記第1取付座(47)には、側方に突出する突起(47e)が設けられ、
上記第1部材(1)は、上記突起(47e)が上記係合片(44)に係止した状態で、上記第2部材(3)に取り付けられていることを特徴とする二部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製の第1部材及び第2部材をタッピングスクリューで固定する二部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の二部材の取付構造の一例が特許文献1に開示されている。すなわち、樹脂製の第1部材の表面には、円形のネジ締結穴が形成された円筒状のボスが形成されている。一方、樹脂製の第2部材の上記ボス対応箇所には、円筒状の筒状部が形成されており、該筒状部の中央には、第1部材のボスよりも大径の貫通孔が形成されている。この貫通孔に第1部材のボスが裏面側から挿通し、かつ貫通孔よりも大径の頭部を有する取付ネジの軸部が第2部材の表面側から挿通して第1部材のネジ締結穴に螺合した状態で、両部材が取り付けられる。しかしながら、この取付構造では、両部材を取り付ける際に、第2部材のボスを第1部材の筒状部に挿通させた状態を保ちつつ、取付ネジを螺合させなければならないため、取付作業が困難である。
【0003】
そこで、第1部材を第2部材に仮固定した状態で固定する取付構造がある。その一例が特許文献2に開示されている。この取付構造は、ドアトリム(第2部材)にアームレスト(第1部材)を取り付けるものであり、アームレストの裏面には、取付用ボスと、この取付用ボスから離間して係止用ボスが別途設けられている。係止用ボスは、筒状をなし、その先端部に係止爪が形成されている。一方、ドアトリムには、取付用ボスに対応する箇所にタッピングスクリュー挿通孔が形成されていると共に、係止用ボスに対応する箇所に係止孔が形成されている。アームレストをドアトリムに取り付ける際には、先ず、アームレストの係止用ボスをドアトリムの係止孔に係止させる。これにより、アームレストがドアトリムに仮固定される。次いで、ドアトリムの裏面側からタッピングスクリュー挿通孔にタッピングスクリューを挿通し、アームレストの取付用ボスにねじ込ませる。これにより、アームレストがドアトリムに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−2466号公報
【特許文献2】特開2000−127762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の取付構造では、アームレストに設けられた取付用ボス及び係止用ボスが互いに離間しているため、これら両ボスを設けるためのスペースが必要となる。その結果、アームレストのレイアウト自由度が制限される。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、仮固定可能な二部材の取付構造において、二部材のレイアウト自由度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、両部材に取付座を設けて一方の取付座を他方の取付座の収容凹部に収容し、この収容凹部に近接するように一方の取付座に係合する仮固定用の係合片を設けたものである。
【0008】
具体的には、本発明は、樹脂製の第1部材及び第2部材をタッピングスクリューによって固定する二部材の取付構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0009】
すなわち、第1の発明は、上記第1部材は、上記第2部材側に向かって突設され、上記タッピングスクリューが螺合するネジ孔が形成された第1取付座を有し、上記第2部材は、上記第1部材側に開放されて上記第1取付座を収容する収容凹部が形成された第2取付座と、上記第1取付座と係合する係合片と、を有し、上記収容凹部の底壁部には、上記タッピングスクリューが挿通する挿通孔が形成されており、上記第1部材は、上記第1取付座が上記収容凹部の開口から該収容凹部に収容され、上記係合片が上記第1取付座と係合し、かつ上記タッピングスクリューが上記挿通孔を挿通して上記ネジ孔にねじ込まれた状態で、上記第2部材に取り付けられ、上記第2取付座は、上記収容凹部の開口周縁から突設されていると共に、上記係合片に対応するように側方に開口して上記収容凹部と連通する開放口が形成され、上記挿通孔は、上記開放口側に開口する切欠状に形成され、上記係合片は、上記収容凹部の開口の上記開放口側の周縁における上記挿通孔に対応する箇所から上記開放口の内側に向けて延びていることを特徴とする
【0010】
2の発明は、第1の発明において、上記第1取付座は、側方に開口する開口部が形成された第1取付座基部と、該第1取付座基部から上記第2部材側に突出すると共に、上記ネジ孔が形成されたボスと、を有し、上記第1部材は、上記開口部の周縁部が上記係合片に係止した状態で、上記第2部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、上記第1取付座には、側方に突出する突起が設けられ、上記第1部材は、上記突起が上記係合片に係止した状態で、上記第2部材に取り付けられていることを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、第1部材を第2部材に取り付ける際には、先ず、第1部材の第1取付座を第2部材の収容凹部の開口から該収容凹部に収容する。この収容過程で、第2部材の係合片が第1取付座に係合する。これにより、第1部材が第2部材に仮固定される。次いで、第2取付座の挿通孔にタッピングスクリューを挿通し、第1取付座のネジ孔にねじ込む。これにより、第1部材が第2部材に固定される。このように、タッピングスクリューで固定する際に第1部材を第2部材に仮固定することができるので、取付作業が容易となる。
【0013】
また、第1の発明によれば、第1部材には、第1取付座だけが設けられているので、従来よりもレイアウト自由度が高められる。また、第2部材には、第2取付座の他に係合片が設けられているが、この係合片は、第2取付座の収容凹部に収容された第1取付座に係合するものであり、第2取付座の収容凹部に近接するように設けられている。したがって、第2取付座及び係合片が一ヶ所に集中して設けられているので、第2部材のレイアウト自由度も高めることができる。以上により、二部材のレイアウト自由度を高めることができる。
【0014】
また、第1の発明によれば、係合片が第2部材の連通孔周縁に設けられているので、この係合片が連通孔の周縁部に対してアンダーカット形状となっていない。また、第2取付座の対向面に形成された挿通孔が開放口側に開口する切欠状に形成され、かつ係合片が連通孔周縁の挿通孔対応箇所に設けられているので、係合片が第2取付座の対向面に対してもアンダーカット形状となっていない。したがって、第2部材の第2取付座周辺部は、対向面側の主型と連通孔側の主型との一対の主型で構成された成形型で成形可能であり、当該成形型はスライド型を不要とし、構造が簡素となる。よって、成形型に要するコストを低減することができる。
【0015】
第2の発明によれば、第1取付座を第2取付座の収容凹部に収容する過程で、第1取付座基部の開口部の周縁部を第2部材の係合片に係止させることにより、第1部材を第2部材に仮固定する。このように、第1取付座に開口部を形成するという比較的簡単な構成で、第1部材を第2部材に仮固定することができる。
【0016】
第3の発明によれば、第1取付座を第2取付座の収容凹部に収容する過程で、第1取付座の突起を第2部材の係合片に係止させることにより、第1部材を第2部材に仮固定する。このように、第1取付座に突起を設けるという比較的簡単な構成で、第1部材を第2部材に仮固定することができる
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る二部材の取付構造を示す斜視図である。
図2】二部材をネジ止めした状態における図1のII−II線断面相当図である。
図3】第1部材及び第2部材の分解斜視図である。
図4】第2部材成形用の成形型を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る二部材の取付構造を示す斜視図である。
図6】第1部材及び第2部材の分解斜視図である。
図7】(a)は二部材をネジ止めした状態における図5のVIIa-VIIa線断面相当図であり、(b)は(a)のVIIb-VIIb線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
《発明の第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態に係る二部材の取付構造を示し、第1部材1と第2部材3との取付構造を示す斜視図である。該第1部材1は、例えば樹脂製の加飾パネルを構成し、該第2部材3は、例えばこの加飾パネルが取り付けられる樹脂製の車両用フロントバンパーを構成している。
【0020】
図2は上記両部材1,3をネジ止めした状態における図1のII−II線断面相当図であり、図3は上記両部材1,3の分解斜視図である。
【0021】
上記第1部材1は、板状の第1部材本体5を有し、また、上記第2部材3は、該第1部材本体5と平行な板状の第2部材本体7を有している。なお、以下では、これら第1部材本体5及び第2部材本体7の対向方向を上下方向とし、上記第2部材3側を上側、上記第1部材1側を下側とする。また、図1及び図3の紙面手前側及び紙面奥側をそれぞれ前側及び後側とする。
【0022】
上記第1部材1は、例えばポリプロピレンで構成され、上記第1部材本体5の幅方向両端には、それぞれ上方に突出するリブ5a,5aが設けられている。該第1部材本体5の上面には、上方に突出する第1取付座8が形成されている。該第1取付座8は、中空部11を有する四角錐台状をなす第1取付座基部9を有し、この第1取付座基部9の側壁部13には、前方(図1及び図3における紙面手前側)に開口し、かつ上記中空部11に連通する矩形状開口部15が形成されている。上記側壁部13の上方を覆う矩形状の上壁部17の中央部には、上記第1取付座基部9の約半分ほどの高さを有する円筒状のボス19が上方に向けて突設されている。該ボス19の中央には、該ボス19及び上記上壁部17を上下方向に貫通するネジ孔19aが形成されている。
【0023】
一方、上記第2部材3は、例えばポリプロピレンで構成されている。上記第2部材本体7の上記第1部材1のリブ5a,5aに対応する箇所には、一対のリブ7a,7aが下方に突出形成されている。上記第2部材本体7の上記第1取付座8対応箇所には、前後方向に細長い矩形状の連通孔21(収容凹部の開口)が形成されており、該連通孔21の周縁部から上方に向けて第2取付座23が突設されている。該第2取付座23は、上記第1取付座8を収容する収容凹部25を有し、上記連通孔21は、該収容凹部25に連通している。該連通孔21は、上記第1取付座基部9の少なくとも上半部分が挿通可能な面積を有している。
【0024】
上記第2取付座23は、収容凹部25を有する四角錐台状をなし、上記第1取付座8よりも高さ寸法が僅かに小さい。上記第2取付座23の側壁部27には、前方に開口し、かつ上記収容凹部25に連通する矩形状の開放口29が形成されている。該開放口29は、上記側壁部27の上方を覆う矩形状の上壁部31(収容凹部の底壁部)の前端に達している。該上壁部31には、その中央部後寄りから前方に延びて上記開放口29側に開口する前後方向に細長い矩形状の切欠部33(挿通孔)が形成されている。該切欠部33の幅は、上記第1部材1のボス19の径よりも小さく設定されている。
【0025】
一方、上記開放口29は、下方に上記連通孔21の前側の周縁まで延びている。該連通孔21の前側の周縁には、矩形板状の係合片35が上記開放口29の内側に延びている。したがって、該係合片35は、前後方向に撓むことができる。上記係合片35は、上記側壁部27の開放口29側端に沿うように上側に向かって後方に傾斜するように上記第2取付座23の高さ方向中央付近まで延びていて、その先端には、後方に突出する係合爪35aが形成されている。該係合爪35aは、図2に示すように、断面略三角形状をなし、下面が後上がりに傾斜する一方、上面が戦後方向に延びている。
【0026】
図4は第2部材3成形用の成形型を示す断面図である。上記第2取付座23周辺部を成形する成形型39は、上記第2部材3の表面側を成形する成形面41aを有する第1主型41と、該第2部材3の裏面側を成形する成形面43aを有する第2主型43と、を備えている。
【0027】
ここで、図2図4に示すように、上記第2取付座23は、上記連通孔21の周縁から上方に突設されているため、該第2取付座23は、上下方向において第2部材本体7に対してアンダーカット形状となっていない。一方、上記係合片35は、上記連通孔21の周縁から上方に延びているため、上下方向において上記第2部材本体7に対してアンダーカット形状となっていない。さらに、上記係合片35の上方には、上記第2取付座23の上壁部31に形成された切欠部33が位置しており、この切欠部33が上記開放口29側、即ち当該係合片35側に開口しているので、上記係合片35は、上下方向において上記第2取付座23の上壁部31に対してもアンダーカット形状となっていない。
【0028】
したがって、上記第2部材3の上記第2取付座23周辺部を成形する際、スライド型は不要である。このように、成形型39の型構造が簡素であるため、当該成形型39に要するコストを低減することができる。
【0029】
上記構成を備える第1部材1及び第2部材3は、図1及び図2に示すように、上記第1部材1の第1取付座8が上記第2部材3の連通孔21から上記第2取付座23の収容凹部25に収容され、上記第2部材3の係合片35の係合爪35aに上記第1取付座8の開口部15の上側の周縁部が係止している。より具体的には、上記係合爪35aに上記第1取付座8の上壁部17前端が引っかかる。そして、上記第1部材1のボス19が上記第2取付座23の切欠部33に対向し、切欠部33の幅よりも大径の頭部37aを有するタッピングスクリュー37が上側から切欠部33に挿通されて上記ボス19のネジ孔19aにねじ込まれている。これにより、上記第2取付座23の上壁部31が上記タッピングスクリュー37の頭部37aと上記第1部材1のボス19によって挟持され、上記第1部材1が第2部材3に取り付けられている。
【0030】
次に、第1部材1を第2部材3に取り付ける作業について説明すると、先ず、第1部材1の第1取付座8を第2部材3の連通孔21から第2取付座23の収容凹部25に挿入する。このとき、第1取付座8の上壁部17の前端が第2部材3の係合片35に摺接しながら上方に移動し、該上壁部17の前端が係合片35の係合爪35aの下面に当接すると、該係合片35が前方に撓み、上壁部17の前端が係合爪35aを乗り越えると、係合片35が元の状態に復帰して第1取付座8の開口部15内に入り、上壁部17の前端が係合爪35aに引っかかる。これにより、第1取付座8が第2取付座23の収容凹部25に収容された状態で上壁部17が係合爪35a上に引っかかり、第1部材1が第2部材3に仮固定される。
【0031】
次いで、タッピングスクリュー37の軸部37bを第2取付座23の切欠部33に挿通させ、該軸部37bを該切欠部33の下側に位置するボス19のネジ孔19aにねじ込み、第1部材1の一対のリブ5a,5aを第2部材3の一対のリブ7a,7aに当接させる。これにより、第1部材1が第2部材3に取り付けられる。
【0032】
−発明の第1実施形態の効果−
上記実施形態によれば、第1部材1を第2部材3に取り付ける際には、先ず、第1部材1の第1取付座8を第2部材3の連通孔21から第2取付座23の収容凹部25に収容する。この収容過程で、第1取付座8の上壁部17が係合片35の係合爪35aに引っかかる。これにより、第1部材1が第2部材3に仮固定される。次いで、第2取付座23の切欠部33にタッピングスクリュー37を挿通し、第1取付座8のボス19にねじ込む。これにより、両部材1,3が固定される。このように、タッピングスクリュー37で固定する際に第1部材1が第2部材3に仮固定されるので、取付作業が容易である。
【0033】
また、上記実施形態によれば、第1部材1には、第1取付座8だけが設けられているので、従来よりもレイアウト自由度が高められる。また、第2部材3には、第2取付座23の他に係合片35が設けられているが、この係合片35は、第2取付座23の収容凹部25に収容された第1取付座8に形成された開口部15周縁部に係合するように設けられている。したがって、係合片35は第2取付座23の収容凹部25に近接している。よって、第2取付座23及び係合片35が一ヶ所に集中して設けられているので、第2部材3のレイアウト自由度も高めることができる。以上により、二部材1,3のレイアウト自由度を高めることができる。
【0034】
また、上記実施形態によれば、第1取付座8を収容凹部25に収容する過程で、第1取付座基部9の開口部15の周縁部、つまり第1取付座基部9の上壁部17を第2部材3の係合片35に係止させることにより、第1部材1を第2部材3に仮固定する。このように、第1取付座8に開口部15を形成するという比較的簡単な構成で、第1部材1を第2部材3に仮固定することができる。
【0035】
さらに、上記実施形態によれば、係合片35が第2部材3の連通孔21周縁に設けられているので、この係合片35が連通孔21の周縁部に対してアンダーカット形状となっていない。また、第2取付座23の上壁部31に形成された切欠部33が開放口29側に開口し、かつ係合片35が連通孔21周縁の切欠部33対応箇所に設けられているので、係合片35が上壁部31に対してもアンダーカット形状となっていない。したがって、第2部材3の第2取付座23周辺部は、上壁部31側の第1主型41と連通孔21側の第2主型43との一対の主型41,43で構成された成形型39で成形可能であり、当該成形型39はスライド型を不要とし、構造が簡素となる。よって、成形型39の製造コストを低減することができる。
【0036】
《発明の第2実施形態》
本発明の第2実施形態に係る二部材の取付構造を図5乃至図7に示す。図5は、本実施形態に係る二部材の取付構造を示す斜視図である。図6は、第1部材1及び第2部材3の分解斜視図である。また、図7(a)は、二部材をネジ止めした状態における図5のVIIa-VIIa線断面相当図であり、図7(b)は図7(a)のVIIb-VIIb線断面図である。
【0037】
本実施形態では、第1取付座47に設けられた突起47eが第2部材3の係合片44に係止する点で上記第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態と略同一であるため、ここでは、それらの説明を省略する。
【0038】
上記第2部材3の係合片44は、図5図6及び図7(a)に示すように、該第2部材3の連通孔21の前側周縁部中央から、上方に向かって後側に傾斜するように、上記開放口29の中央付近まで延びている。また、上記第2取付座23の上壁部31に形成された切欠部45は、略円形状をなし、その前端部が矩形状をなしている。
【0039】
一方、上記第1取付座47は、図6に示すように、上記第1部材1のリブ5a,5aから上方に延びる一対の脚部47a,47aと、該脚部47a,47aの上端から上方に延びる第1取付座本体47bと、を有している。
【0040】
上記各脚部47aは、一方の上記リブ5aの内側面から上方に他方の上記リブ5a側に向かって傾斜するように延びる前後方向に細長い矩形板状をなしている。これら脚部47a,47aの上端に連続して上記第1取付座本体47bが上方に延びている。
【0041】
該第1取付座本体47bは、上下方向に細長い直方体状をなし、円形のネジ孔47cが上下方向に貫通形成されている。該ネジ孔47cは、上記第2取付座23の切欠部45の円形部分よりも小径である。
【0042】
図7(b)に示すように、上記第1取付座本体47bの左右方向の寸法は、上記第2取付座23の上壁部31の左右幅と略同一である。一方、図7(a)に示すように、上記第1取付座本体47bの前後方向の寸法は、上記収容凹部25の前後幅よりも小さく設定されている。そして、該第1取付座本体47bの後面中央には、上下方向に細長い当接リブ47dが突設されている。該当接リブ47dの後端面は、上記収容凹部25の後側の内側面に沿うように、後下がりに傾斜し、該収容凹部25の後側の内側面に当接している。これにより、上記第1取付座本体47bが上記収容凹部25に収容された状態で、該第1取付座本体47bの前面が上記係合片44に当接すると共に、上記当接リブ47dが上記収容凹部25の後側の内側面に当接する。
【0043】
また、上記第1取付座本体47bの前面の中央上寄りには、前方に突出する突起47eが形成されている。該突起47eは、図7(a)に示すように、断面略三角形状をなし、下面が前後方向に延びる一方、上面が前下がりに傾斜している。この突起47eは、上記第1取付座本体47bが上記収容凹部25に収容された状態で、上記係合片44に係止する。具体的には、上記突起47eが上記係合片44に引っかかる。この係止状態で、上記第1取付座本体47bは、その上面が上記第2取付座23の上壁部31と対向すると共に、上記当接リブ47dが上記収容凹部25の後側の側壁部27aに当接し、さらに、その上端部が第2取付座23の左右両側壁部27b,27bに当接している。そして、上記切欠部45の幅よりも大径の頭部37aを有するタッピングスクリュー37が上側から該切欠部45に挿通されて上記第1取付座本体47bのネジ孔47cにねじ込まれている。これにより、上記第2取付座23の上壁部31が上記タッピングスクリュー37の頭部37aと上記第1取付座本体47bとによって挟持され、上記第1部材1及び第2部材3が取り付けられている。
【0044】
次に、第1部材1及び第2部材3を取り付ける作業について説明すると、先ず、第1部材1の第1取付座本体47bを第2部材3の連通孔21から第2取付座23の収容凹部25に挿入する。このとき、第1取付座本体47bの突起47eが係合片44に当接すると、該係合片44が前方に撓み、突起47eが係合片44を乗り越えると、係合片44が元の状態に復帰して突起47eの下側に入り、突起47eが係合片44に引っかかる。これにより、第1取付座本体47bが第2取付座23の収容凹部25に収容された状態で突起47eが係合片44上に引っかかり、第1部材1が第2部材3に仮固定される。
【0045】
次いで、タッピングスクリュー37の軸部37bを第2取付座23の切欠部45に挿通させ、該軸部37bを該切欠部45の下側に位置する第1取付座本体47bのネジ孔47cにねじ込む。そして、第1部材1の一対のリブ5a,5aが第2部材3の一対のリブ7a,7aに当接し、第1部材1及び第2部材3が取り付けられる。
【0046】
−発明の第2実施形態の効果−
上記実施形態によれば、第1取付座47を第2取付座23の収容凹部25に収容する過程で、第1取付座47の突起47eを第2部材3の係合片44に係止させることにより、第1部材1を第2部材3に仮固定することができる。このように、第1取付座47に突起47eを設けるという比較的簡単な構成で、第1部材1を第2部材3に仮固定することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、第1部材1及び第2部材3として加飾パネル及び車両用フロントバンパーを例示しているが、これに限定されず、その他の車両用部品であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明に係る二部材の取付構造は、仮固定可能な構造において二部材のレイアウト自由度を高める用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 第1部材
3 第2部材
8,47 第1取付座
9 第1取付座基部
15 開口部
19 ボス
19a,47c ネジ孔
21 連通孔(収容凹部の開口)
23 第2取付座
25 収容凹部
29 開放口
31 上壁部(収容凹部の底壁部)
33,45 切欠部(挿通孔)
35,44 係合片
37 タッピングスクリュー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7