【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2には、
図12の(a)に示すような、「被保持物を挟持して保持するための頭部と、パネル板の取付孔に挿入して嵌着するための胴部とからなり、当該胴部が一対の弾性脚部と中央柱部とを具備してなる保持クリップ」が提案されている。この「保持クリップ」(
図12の(a)中では符号40で示してある)は、
図12の(a)に示すように、取り付けられるべき板材50に形成した、大穴51と小穴52を連続部53で連続させたダルマ穴のうち、大穴51に頭部を挿入して、そのままの状態で当該保持クリップ40の軸を、連続部53を通して小穴52に移行させることにより、小穴52に当該保持クリップ40の頭部を嵌着するものである。
【0008】
これによって、当該保持クリップ40は、板材50を取付対象である鉄板54の挿通穴54aに対して固定できるのであるが、取り付けられた板材50に問題が発生する。つまり、この板材50の表面(
図12の(a)では、図示右側の面)がそのまま使用されるものである場合に、頭部を挿入するだけに使用された大穴51は、そのまま表面に露出してしまうことである。この保持クリップ40によって板材50を鉄板54の挿通穴54aに対して固定したときを平面的にみてみると、
図12の(b)に示すような状態になることと考えられる。
【0009】
この
図12の(b)に示すような状態では、保持クリップ40の頭部を挿入するだけに使用された大穴51が表面に露出することになり、この露出している大穴51は、板材50が表装材である場合には非常に見栄えが悪いだけでなく、当該大穴51に他の物が引っ掛かったり、ゴミが溜まったりして、製品として非常に不都合なものとなるのである。そこで、従来では、当該大穴51を隠すために、保持クリップを取付けた後、当該保持クリップの頭部側の板材に不織布や皮シート等の装飾材を貼る、という手間の掛かる作業を行って対処している。
【0010】
ところで、この種のクリップを使用して、取付対象である取付け部に取付部品を取り付けるにあたっては、この取付部品の厚さに応じて、「軸」の長さを調整したクリップが必要となる。つまり、シート状の表装材や中実の板材のように、厚さの薄いものが取付部品である場合は、「軸」が短いクリップが採用されるし、プラスチック製段ボール等(断面がハーモニカ状)の中空構造板のように、厚さの厚いものであると、「軸」が長いクリップが採用されることになって、取付部品の種類や厚さに応じたクリップを用意しなければならない。クリップの「軸」の長さが変われば、クリップ自体やその「軸」の強度試験を行う必要があり、取付部品の種類に応じたクリップを用意するためには、時間と労力が多く掛かることになる。
【0011】
一般のクリップの軸の長さは、中実の板材の肉厚に合わせてあるので、短いものである。しかし、プラスチック製段ボール等の中空構造板の肉厚は、中実の板材の肉厚よりも厚いものであり、軸の長さが短い一般のクリップを取付けるのは困難である。この軸の長さが短いクリップを取付ける為に、中空構造板を押し圧して肉厚を薄くする加工を行えば、クリップを取付けることが可能にはなるが、クリップを中空構造板に取付けても、引き抜き強度が不足して、クリップが中空構造板から外れてしまうという虞が生ずる。
【0012】
そこで、本発明者等は、保持クリップ40を使用して、板材50を取付対象である鉄板54の挿通穴54aに対して固定した際に、取り付けられた板材50に大穴51が表面に露出するという問題が発生しないようにするとともに、取付部品の種類や厚さに応じたクリップを用意する必要性をなくすためにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0013】
すなわち、本発明の目的とするところは、クリップを介して取付部品を取付け部に留めることができることは勿論、取付部品の種類や厚さに応じたクリップを用意する必要がなくて常に一般的なクリップを使用でき、取付部品にクリップ係止のための「だるま穴」を形成する必要がなく、しかも、留めが完了した際に、だるま穴を構成していた大穴のような「開口部」が取付部品の表面に残らないようにすることのできる留め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「クリップ40を介して、取付部品20を取付け部30に留めるために、クリップ40の頭部41を保持する受け部材10Aと、この受け部材10Aに取り付けられる蓋部材10Bとからなる留め具10であって、
受け部材10Aが、取付部品20の開口21内に収納される受け部11aと、この受け部11aに形成されて、頭部41を支持している軸42を案内する長孔15と、を備え、
受け部材10Aは、クリップ40の軸42を長孔15に案内した状態で、頭部41に直接当接して、頭部41を単独で保持できるように構成されており、
蓋部材10Bが、取付部品20の開口21内に収納されたときに受け部材10Aを取り付ける取付部と、取付部品20の表面に当接する蓋部11bと、を備えたことを特徴とする留め具10」
である。
【0015】
本発明に係る留め具10は、クリップ40を介して、取付部品20を取付け部30に留めるために、クリップ40の頭部41を保持する受け部材10Aと、この受け部材10Aに取り付けられる蓋部材10Bとからなるものであり、受け部材10Aはクリップ40の保持を、蓋部材10Bは受け部材10Aの取付部品20に対する保持を行うものである。そして、本発明では、一般的に提供されているクリップ40は、主として、受け部材10Aを保持しながら取付け部30に固定されることになるものである。
【0016】
また、本発明に係る留め具10を実際に使用するにあたっては、取付け部30側に留め孔31を形成することは、前述した特許文献2の場合と同様ではあるが、取付部品20側には、
図12の(a)に示したような大小二連の「だるま穴」が形成されることはなく、
図1に示すように、単なる丸孔である開口21が形成されるだけである。
【0017】
ところで、本発明に係る留め具10が対象としている取付け部30については種々なものがあり得る。一般的には、この取付け部30としては、例えば不織布や皮シートのような、薄いシート状の表装材があるが、プラスチック製段ボール(断面がハーモニカ状になっている)等の中空構造板や、中実の合成樹脂製板や鋼板のように、厚さのある板状の表装材がある。勿論、この厚さのある板状物や、種々な積層板の表面に、上記不織布や皮シート、あるいはラミネートフィルムのような薄いシート状物を貼ったり固定したりした表装材も、本発明に係る留め具10が対象としている取付け部30である。
【0018】
以下に説明する
図5及び
図6で使用している取付け部30は、プラスチック製段ボール等の中空構造板のように、厚さのある板状の表装材であるが、止め穴31の周囲で留め具10によって少し押し潰すように固定できるものである。
【0019】
クリップ40は、一般的に使用され市販もされているもので種々なタイプのものがあるが、その基本的な構成要素は、
図7〜
図9に示すように、何処か(本発明では受け部材10Aの受け部11a上)に係止される頭部41と、この頭部41と一体的な軸42と、この軸42の先に一体化されて、取付け部30の留め孔31内に係合される嵌入部43と、を備えているものである。また、この種のクリップ40は、取付け部30の表面に当接して、嵌入部43のそれ以上の嵌入を阻止するとともに、当接部44を有していることも一般的である。
【0020】
本発明において使用されるクリップ40では、次に述べていくように、その頭部41は、受け部材10A側への係止だけに使用されるものであり、軸42については、受け部材10A側への挿通だけに使用される部分であるから、その断面形状が四角であっても他の形状であってもよいが、挿入時の方向性が無くなることから、「円」にするのが好ましい。
【0021】
さて、本発明に係る留め具10を構成している受け部材10Aは、
図2に示すように、主として、取付部品20の開口21内に収納される受け部11aと、この受け部11aに形成されて、クリップ40の頭部41を支持している軸42を案内して、頭部41を受け部11a上に配置する長孔15とを備えたものである。この長孔15を受け部材10Aが有している結果、上述したクリップ40の軸42を、嵌入部43が受け部11aの外側になる状態で長孔15内に挿入すると、クリップ40の頭部41は、受け部材10Aの受け部11a上に係止されることになる。なお、この長孔15については、
図2の(c)に示すような「丸」と「四角」の組み合わせとしているが、この「丸」部分を、楕円、四角、多角形、あるいは長孔形状に形成して実施してもよい。
【0022】
つまり、この受け部材10Aには、
図5の(a)に示すように、クリップ40が組み付けられることになるのであり、このクリップ40が組み付けられた受け部材10Aを、取付部品20の開口21内に嵌め込んだ後述する蓋部材10Bに対して連結すれば、当該受け部材10Aと後述する蓋部材10Bとからなる留め具10は、クリップ40を取付部品20の開口21に取り付けることになるのである。
【0023】
一方、本発明に係る留め具10を構成している蓋部材10Bは、取付部品20の開口21内に収納されて受け部材10A上に取り付ける取付部と、この取付部に設けられてクリップ40の頭部41を覆うとともに、取付部品20の表面に当接する蓋部11bと、を備えたものである。この蓋部材10Bの蓋部11bは、
図5の(a)に示すように、取付部品20の開口21を覆うものである。
【0024】
特に、この蓋部材10Bの蓋部11bは、
図6の(b)に示すように、取付部品20に形成した開口21を隠してしまうだけでなく、当該蓋部材10Bに受け部材10Aを連結した際には、
図6の(a)に示すように、受け部材10A側の受け部11aの外縁とによって開口21にて取付部品20を挟み込むことになるものである。この蓋部11bは、当該蓋部材10Bを構成している前記取付部に設けられてクリップ40の頭部41を覆うとともに、取付部品20の表面に当接するものとしてあるからである。
【0025】
なお、留め具10の対象である取付け部30がプラスチック製段ボール等の中空構造板のような軟質若しくは潰しが効くものであれば、この蓋部材10Bの蓋部11bの裏面に取付け部30の表面に食い込むことのできる「突起」を形成しておいて、この突起が取付け部30の表面に食い込むようにしながら、蓋部11bを取付け部30の表面に当接されるとよい。
【0026】
ところで、蓋部材10B側の取付部であるが、この取付部の具体的構成は、取付部品20側に形成した開口21内に収納することができて、当該蓋部材10Bと前述した受け部材10Aとの取付けあるいは連結ができるのであれば何であってもよく、種々考えらるものである。この取付部は、例えば蓋部11bの裏面に突設した複数のピンであって、その先端を上述した受け部材10A側の受け部11aに差し込み係合できるものであってもよいものである。要するに、これらの受け部材10Aと蓋部材10Bとの取付けは、嵌合、螺合、接着、あるいはこれらの組み合わせによって行うことが可能である。
【0027】
勿論、この蓋部材10B側の取付部は、これに受け部材10Aを容易に連結できるようにしなければならないものであり、連結後にあっては、その連結状態が容易には解除されない必要がある。このような条件を加味すると、当該取付部は、一定方向に突出するピンのような「突出部分」、あるいはこれを係合することのできる「孔」であり、一方受け部材10A側にはこれらに合う「孔」あるいは「突出部分」であるとよい。
【0028】
後述する
請求項3に係る留め具10では、開口21内に収納されて受け部材10A上に取り付ける取付部としては、蓋部11bの下面に形成した第2取付壁12bと、この第2取付壁12bに形成されて、受け部材10A側の第1取付壁12aに突出形成した係合突起14aが係合される孔14bと、によって構成したものとなっているが、これに限られないことは、上述したとおりである。なお、受け部材10Aと蓋部材10Bとを連結すべく、受け部材10A側に形成した係合突起14aを蓋部材10B側に形成し、蓋部材10B側の孔14bを受け部材10A側に形成して実施してもよいことは、言うまでもない。
【0029】
受け部材10Aと蓋部材10Bとを連結する方法はどのようなものであってもよいが、例えば、受け部材10Aの第1取付け壁12aの先端部に2つの凹凸を形成し、この凹凸と噛み合うように、蓋部材10Bの第2取付け壁12bの先端部にも2つの凹凸を形成する方法がある。この受け部材と蓋部材の凹凸の凸には、凸の先端の隅部が鋭角(45度)に形成されている。受け部材10Aと蓋部材10Bを連結するためには、お互いに凹凸を噛み合せた後に、少し回転させることで、お互いの凸の先端の鋭角がZ字状に噛み合って連結することになる。
【0030】
以上のように構成した留め具10によって、例えば
図1に示すように、表装材等の取付部品20を壁や車体等の取付け部30に、クリップ40を使用して取り付ける際の一般的な方法について、
図5及び
図6を使用して説明すると次の通りである。
【0031】
図5の(a)の下側部分にて示すように、まず、クリップ40を受け部材10Aに組み付けるのであるが、それには、嵌入部43が図示下側に突出するようにしながら、クリップ40側の頭部41を長孔15内に開口から挿入(
図1中の矢印参照)すればよい。クリップ40の軸42が長孔15の奥にまで挿入されれば、クリップ40の頭部41は、受け部材10Aの受け部11a上に自動的に係止されることになり、当該クリップ40の受け部材10Aに対する係止が完了する。
【0032】
一方で、
図5の(a)の上側部分にて示すように、取付部品20に形成しておいた開口21内に、蓋部材10Bの取付部を収納して、この蓋部材10Bの蓋部11bを取付部品20の表面に当接させる。このとき、既に、取付部品20に形成した開口21は、蓋部材10B側の蓋部11bによって完全に覆われ、取付部品20の表面には何らの孔も現れない状態となる。この取付部品20に形成される開口21は、受け部材10A上に取り付ける取付部を収納するためのものであるから、一個の独立したものであればよく、
図12に示したような、大穴51と小穴53とこれらを連結する連結部52とからなる所謂「だるま穴」のような複雑なものにする必要は全くなく、本発明に係る留め具10を採用することによって、加工が非常に簡単なものとなっているだけでなく、後加工も必要がないのである。
【0033】
そこで、
図5の(a)中の実線矢印にて示すように、受け部材10A側の受け部11a上部分を、開口21内の蓋部材10Bの取付部に向けて押し込み、この取付部による受け部材10Aの組み付けを完了させる。これにより、受け部材10A及び蓋部材10Bからなる留め具10は、取付部品20の開口21に取り付けられることになる。このときには、
図5の(b)に示すように、取付部品20の開口21内に露出している端部は、受け部材10A側の受け部11aと蓋部材10B側の蓋部11bとによってしっかりと挟み込まれた状態となっており、クリップ40の嵌入部43は、当該取付部品20が取り付けられる先である取付け部30に向けて突出している。なお、このように留め具10によって取り付けられたクリップ40の嵌入部43が突出する箇所は、当該取付部品20について一個であったり、複数であったりすることは言うまでもない。
【0034】
そこで、
図5の(b)中の矢印にて示すように、取付部品20の裏面に突出している各嵌入部43を、取付け部30に形成してある留め孔31内に差し込むのである。各嵌入部43の最大直径は、留め孔31の直径より大きくしてあり、かつこの最大直径部分は例えば
図9に示すように縮小可能な形状にしてあるから、各嵌入部43は、留め孔31内に差し込まれた際に縮小するとともに、その当接部44が取付け部30上に当接したとき、全体が元の形状に復帰して留め孔31に対する係止が完了するのである。
【0035】
以上の結果、
図6の(a)に示すように、クリップ40は留め具10によって取付部品20の開口21に対してしっかりと取り付けられるのであり、留め具10を構成している受け部材10Aの受け部11aと、留め具10を構成している蓋部材10Bの蓋部11bとによって挟まれた取付部品20を取付け部30に対して固定することになるのである。なお、留め具10を構成している受け部材10Aの受け部11aについては、取付部品20を確実に受けることができるようにすることを考慮して、
図6の(c)に示すように、この受け部11aの周縁に補助受け部11a´を積極的に形成して、当該受け部11aの受け面積を増大させることができる。
【0036】
そして、この固定状態においても、
図6の(b)に示すように、取付部品20側に形成した開口21は蓋部11bによって完全に覆われた状態になり、従来例を示す
図12の(b)のような「大穴51」を露出させるようなことは全くないのである。
【0037】
なお、以上のような、表装材等の取付部品20を壁や車体等の取付け部30に、本発明に係る留め具10を使用し、かつクリップ40を介して取り付ける一般的な方法の他には、次のような方法も考えられる。例えば、受け部材10Aのみを連結したクリップ40の嵌入部43を取付け部30の留め孔31内に挿入することによって、当該クリップ40を介して留め具10の受け部材10Aを取付け部30に取り付けると、取付け部30の表面側には、各受け部材10Aの受け部11a上の、蓋部材10Bが取付らる部分が露出することになる。そこで、これらの受け部材10Aの露出部分を、取付部品20を取付け部30に近づけることによってその各開口21内に挿入して、取付け部30に対する取付部品20の位置決めを行う。最後に、取付部品20の各開口21内に臨んでいる受け部材10Aに向けて、今度は蓋部材10B側の蓋部11b裏面を押し込んで、受け部材10Aと蓋部材10Bとの係止を行うのである。そうすると、受け部材10Aの受け部11aと蓋部材10Bの蓋部11bとの間で挟持された取付部品20は、当該留め具10とクリップ40とによって、取付け部30に連結されるのである。
【0038】
従って、請求項1に係る留め具10によれば、クリップ40を介して取付部品20を取付け部30に留めることができることは勿論、取付部品の種類や厚さに応じたクリップを用意する必要がなくて常に一般的なクリップを使用でき、取付部品20にクリップ40を係止のための「だるま穴」を形成する必要がなく、しかも、留めが完了した際に、だるま穴を構成していた大穴のような「取付痕」が取付部品20の表面に残らないのである。
【0039】
上記課題を解決するために、
請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1
または2に記載の留め具10について、
「受け部材10Aの受け部11aに、クリップ40の頭部41を囲むとともに、クリップ40の軸42を挿通し得る切欠き13aを有した第1取付壁12aを形成し、蓋部材10Bの蓋部11bに、第1取付壁12aに取り付けられる第2取付壁12bを形成して、これらの第1及び第2取付壁12a・12bによって受け部材10Aと蓋部材10Bとの取り付けを行うようにしたこと」
である。
【0040】
この
請求項3に係る留め具10では、
図2に示すように、受け部材10Aの受け部11aに、クリップ40の頭部41を囲むとともに、軸42を挿通し得る切欠き13aを有した第1取付壁12aを形成し、
図3に示すように、蓋部材10Bの蓋部11bに、第1取付壁12aに外または内嵌合される第2取付壁12bを形成したものである。これらの第1及び第2取付壁12a・12bによって、
図4に示すように、受け部材10Aと蓋部材10Bとの取り付けが行えるようにしたものである。
【0041】
また、これらの第1及び第2取付壁12a・12bを使用して、受け部材10Aと蓋部材10Bとの取り付けを行うには、
図5及び
図6に示す方法を例に採って説明すると、次の通りである。蓋部材10Bにおいては、
図5の(a)に示すように、その第2取付壁12bによって取付部品20の開口21内に挿入されるのであるから、開口21に対する位置決めが確実になされているだけでなく、当該第2取付壁12bと取付部品20との間の摩擦力によって、当該蓋部材10Bが取付部品20から外れ難い状態となる。勿論、後述するように、第1取付壁12aの外面に係合突起14aを形成し、この係合突起14aが、第2取付壁12bに形成してある孔14b内に係合するようにすれば、当該受け部材10Aに対する蓋部材10Bの固定はよりしっかりと行える。
【0042】
そこで、受け部材10Aの第1取付壁12aを蓋部材10Bの第2取付壁12bに嵌合すべく、
図5の(a)中の実線矢印にて示すようにクリップ40が組みつけられた受け部材10Aを押し込めば、両第1及び第2取付壁12a・12bは、
図5の(b)に示すように、互いに嵌合し合うことになる。この場合、受け部材10A側の第1取付壁12aは、蓋部材10B側の第2取付壁12bに外または内嵌合されるものであるから、蓋部材10Bに対する受け部材10Aの位置決めは容易に行えるものとなっている。
【0043】
嵌合し合った両第1及び第2取付壁12a・12bを互いに連結するには、例えば両者をネジ嵌合し合うようにしたり、両者間を接着剤によって接着する等、種々な方法があるが、後述する実施形態では、第1取付壁12aに突出形成した係合突起14aを、第2取付壁12bに形成した孔14b内に強制的に係合させることによって行うようにしている。
【0044】
従って、この
請求項3に係る留め具10は、上記請求項1
または2のそれと同様な機能を発揮する他、両第1及び第2取付壁12a・12bの存在によって、蓋部材10Bに対する受け部材10Aの位置決めと、両者間の固定または連結とが確実に行えるものとなっている。
【0045】
そして、上記課題を解決するために、
請求項4に係る発明の採った手段は、上記請求項1
から3のいずれか一項に記載の留め具10について、 「長孔15内に、互いに対向して当該長孔15を狭くするくびれ部15aを一体的に形成する」
である。
【0046】
この
請求項4に係る留め具10については、その受け部材10Aの受け部10aに形成してある長孔15内に、互いに対向するくびれ部15aを一体的に形成したものであるが、これらのくびれ部15aは、
図2の(c)に示すように、長孔15の一部を狭くするものである。換言すれば、後述する実施形態における長孔15は、クリップ40の軸42が収納される「丸孔」と、これに連なり軸42の案内道となる「四角孔」とによって構成されるのであるが、これらのくびれ部15aは、上記「丸孔」の手前側に受け部10aから突出した状態で形成されるものであり、これによって、長孔15の丸孔に連なり軸42の案内道となる部分を狭くするのである。
【0047】
これらのくびれ部15aは、クリップ40の軸42を長孔15内に通す際の邪魔ものとなり得るが、クリップ40の軸42を長孔15内に無理嵌めしてやれば長孔15が開くことから、クリップ40の軸42を長孔15内に挿通するための大きな問題にはならない。これとは逆に、これらのくびれ部15aは、長孔15内に入れられた軸42が長孔15から出るのを阻止するストッパの役割を果たすことになる。
【0048】
従って、この
請求項4に係る留め具10は、上記請求項1
から3のいずれか一項のそれと同様な機能を発揮する他、受け部材10Aに組み付けたクリップ40の不用意な脱落を防止することができるものとなっているのである。