(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑み、端面同士が突合して接続されるウェザストリップの接続部分におけるシール性を向上できる車両のウェザストリップ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、車両の所定方向に延びる第1ウェザストリップ、及び第2ウェザストリップの端面同士を突合して構成した車両のウェザストリップ構造であって、前記端面同士を突合した状態における第1ウェザストリップ、及び第2ウェザストリップに、所定の液体を受け止めるとともに、前記所定の液体の流下を許容する排水路を備え、前記第1ウェザストリップにおける前記排水路を、第1流路とし、前記第2ウェザストリップにおける前記排水路を、第2流路として、前記第1流路に、前記第2流路と重合するように延設した第1延設部分を備え、前記第2流路に、前記第1流路と重合するように延設した第2延設部分を備え、前記第1延設部分を、前記第1ウェザストリップの端面と前記第2ウェザストリップの端面とを突合した状態において、前記第2延設部分と重合しない位置に形成したことを特徴とする。
【0012】
上記所定の液体とは、雨水、あるいは高圧の洗浄水などとすることができる。
上記第2延設部分と重合しないとは、所定方向から見て、第2延設部分に対して交差する、あるいは直交するように第1延設部分が配設された状態、第2延設部分に対して排水路の空間を挟んで対向するように第1延設部分が配設された状態、あるいはこれらの組み合わせた状態をいう。
【0013】
この発明により、端面同士が突合して接続されるウェザストリップの接続部分におけるシール性を向上することができる。
具体的には、第1延設部分と第2延設部分とが重合しないため、車両のウェザストリップ構造は、所定方向から見て排水路の周面における広範囲の部分を、第1延設部分、及び第2延設部分で覆うことができる。
【0014】
このため、例えば、組付けバラツキによって第1ウェザストリップと第2ウェザストリップとの間に隙間が生じた場合であっても、車両のウェザストリップ構造は、ウェザストリップの接続部分から所定の流体が漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0015】
例えば、車両の側面における前後方向に沿って装着される第1ウェザストリップ、及び第2ウェザストリップにおいて、第1流路における車幅方向の内側に第1延設部分を形成し、第2流路における車両上下方向の下方側に第2延設部分を形成した場合、車両のウェザストリップ構造は、車体表面から排水路に流れ込んだ雨水が排水路の接続部分に侵入しても、第2延設部分によって受け止めることができる。
【0016】
加えて、車幅方向外側から高圧の洗浄水が排水路に向けて吹き付けられた場合、車両のウェザストリップ構造は、排水路の接続部分に侵入した高圧の洗浄水を、第2延設部分と重合しない第1延設部分によって受け止めることができる。
【0017】
これにより、車両のウェザストリップ構造は、排水路の接続部分から雨水などの所定の液体が車室内に侵入することを、第1延設部分、及び第2延設部分によって防止することができる。
さらに、例えば第1流路から第2流路へ雨水などの所定の液体が排水される際、車両のウェザストリップ構造は、第1延設部分及び第2延設部分によって、第1流路から第2流路への所定の液体の受け渡しを、スムーズに行うことができる。
【0018】
そして、例えば、開閉式ルーフの折れ曲がりに対応するようにして、車両前方側のルーフサイドに装着した第1ウェザストリップと、車両後方側のルーフサイドに装着した第2ウェザストリップとが、回動するようにして突合する場合、第1ウェザストリップ、あるいは第2ウェザストリップの一方に第1延設部分、及び第2延設部分を形成すると、第1延設部分及び第2延設部分が他方のウェザストリップに干渉するおそれがある。
【0019】
これに対して、第1ウェザストリップに第1延設部分を形成し、第2ウェザストリップに第2延設部分を形成するとともに、第1延設部分と第2延設部分が重合しない構成としたことにより、車両のウェザストリップ構造は、回動するようにして端面同士が突合する場合であっても干渉を抑制することができる。
従って、車両のウェザストリップ構造は、ウェザストリップの接続部分におけるシール性を向上することができる。
【0020】
この発明の態様として、前記第1ウェザストリップと前記第2ウェザストリップとを、車両の前後方向に沿って車体の側面に装着される構成とし、前記第1延設部分を、前記排水路の接続部分における
車幅方向内側の隙間を
車幅方向外側から覆う
形状に形成し、前記第2延設部分を、前記排水路の接続部分における車両上下方向の下方側
の隙間を
下方から覆う
形状に形成することができる。
【0021】
この発明により、例えば、開閉式ルーフの折れ曲がりに対応するようにして、車両前方側のルーフサイドに第1ウェザストリップを装着し、車両後方側のルーフサイドに第2ウェザストリップを装着した場合、車両のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフから排水路に流れ込んだ雨水が、排水路の接続部分から滴下して車室内に侵入することを、第2延設部分によって防止することができる。
【0022】
さらに、車両のウェザストリップ構造は、例えば高圧の洗浄水が排水路の接続部分から車室内に侵入することを、第1延設部分によって防止することができる。
従って、車両のウェザストリップ構造は、例えば、折り畳むように開閉する開閉式ルーフに装着した場合であっても、車両の前後方向に沿った排水路の接続部分におけるシール性を向上することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記第1ウェザストリップの端面、及び前記第2ウェザストリップの端面を、前記所定方向に対して交差する方向に傾斜する形状に形成することができる。
【0024】
この発明により、車両のウェザストリップ構造は、例えば折り畳むように開閉する開閉式ルーフにおける開閉動作を阻害することなく、かつ展開した状態において第1流路と第2流路とを確実に接続することができる。
【0025】
具体的には、開閉式ルーフの場合、ルーフを開閉するリンク機構などの組付けバラツキなどによって、第1ウェザストリップの端面と第2ウェザストリップの端面とが互いに押圧するように突合することがある。
【0026】
このため、例えば、第1ウェザストリップの端面、及び第2ウェザストリップの端面が傾斜していない場合、開閉式ルーフが折り畳まれる際、あるいは展開される際に端面同士が干渉し易くなり、開閉式ルーフのスムーズな開閉を阻害するおそれがある。
【0027】
これに対して、第1ウェザストリップの端面、及び第2ウェザストリップの端面を傾斜させることで、車両のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフを開閉する際、端面同士の干渉を抑制することができる。
【0028】
これにより、開閉式ルーフに第1ウェザストリップ、及び第2ウェザストリップを装着した場合であっても、車両のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフのスムーズな開閉が阻害されることを防止できる。
【0029】
従って、車両のウェザストリップ構造は、例えば折り畳むように開閉する開閉式ルーフにおける開閉動作を阻害することなく、かつ展開した状態において第1流路と第2流路とを確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、端面同士が突合して接続されるウェザストリップの接続部分におけるシール性を向上できる車両のウェザストリップ構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態における車両1のウェザストリップ構造について、
図1から
図9を用いて詳しく説明する。
【0033】
なお、
図1は開閉式ルーフ3を展開した状態における車両1の外観斜視図を示し、
図2は開閉式ルーフ3を折り畳んだ状態における車両1の外観斜視図を示し、
図3は展開した状態における開閉式ルーフ3の左側面図を示し、
図4は後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30との接続部分における左側面図を示し、
図5は
図3中のA−A矢視断面図を示している。
【0034】
さらに、
図6は後部ウェザストリップ20における車両前方側の端部近傍の外観斜視図を示し、
図7は後部ウェザストリップ20における車両前方側の端部近傍の左側面図を示し、
図8は前部ウェザストリップ30における車両後方側の端部近傍の外観斜視図を示し、
図9は前部ウェザストリップ30における車両後方側の端部近傍の左側面図を示している。
また、
図2において図示を簡略化するために、シートの図示を省略している。
【0035】
また、図中において、矢印Fr及びRrは車両前後方向を示しており、矢印Frは車両前方を示し、矢印Rrは車両後方を示している。さらに、矢印Rh及びLhは車幅方向を示しており、矢印Rhは車両右方向を示し、矢印Lhは車両左方向を示している。加えて、矢印INは車幅方向の内側を示し、矢印OUTは車幅方向の外側を示すとともに、図中の上方を車両上方とし、図中の下方を車両下方とする。
【0036】
まず、本実施形態における車両1は、
図1及び
図2に示すように、乗員が乗り込む車室部2における車両上方を覆うルーフ部分が開閉可能に構成された、所謂オープンカーである。この車両1における開閉式ルーフ3は、幌、及びリンク機構(図示省略)などで構成されるとともに、車両後方へ折り畳むようにして車両後部4の収納部分4aに収納可能に構成されている。
【0037】
このような開閉式ルーフ3を備えた車両1において、本実施形態におけるウェザストリップ10は、開閉式ルーフ3を展開した状態において、ドア5及びドアガラス5a(
図1参照)で閉塞される車室部2の側面開口における開閉式ルーフ3と、ドアガラス5aとの間をシールしている。
【0038】
より詳しくは、ウェザストリップ10は、
図3及び
図4に示すように、ドアガラス5aにおける車両上端及び後端の縁端と当接する形状に形成するとともに、開閉式ルーフ3の幌骨(図示省略)に対して、リテーナ6やクリップ7(
図5参照)などを介して装着している。
【0039】
このウェザストリップ10は、弾性を有するゴム製のシール部材であって、ドアガラス5aの縁端と弾接して雨水や高圧の洗浄水の車室内への侵入を防止する機能と、ドアガラス5aが開いた状態において、開閉式ルーフ3の上面から落ちる雨水を受け止めて、後述する第1排水路11を介して車両下部に排水する機能とを有している。
【0040】
引き続き、ウェザストリップ10の構成について詳しく説明する。ウェザストリップ10は、
図3及び
図4に示すように、ドアガラス5aにおける車両前後方向のなかほどより後方の縁端と弾接する後部ウェザストリップ20と、ドアガラス5aにおける前方の縁端と弾接する前部ウェザストリップ30とで一体的に構成している。
【0041】
なお、ウェザストリップ10は、開閉式ルーフ3を展開した状態では、後部ウェザストリップ20における車両前方の後部突合面20a(
図6参照)と、前部ウェザストリップ30における車両後方の前部突合面30a(
図8参照)とが車両前後方向で突合するようにして一体的に接続され、開閉式ルーフ3を折り畳む際、開閉式ルーフ3の折り畳みに応じて後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが分離する構成とする。
【0042】
後部ウェザストリップ20は、ドアガラス5aによって閉塞される開閉式ルーフ3の側面の車両後方下端から車両上方に延びるとともに、車両前方へ湾曲して車両前方に延びる略L字状に形成している。
【0043】
この後部ウェザストリップ20には、
図5及び
図6に示すように、車両上方の面に配設した2つの後部遮水リップ21と、車両上下方向略中央において車幅方向外側が開口した後部第1排水路22と、後部第1排水路22の車両上方側に配設した後部第2排水路23と、後部第1排水路22の車両下方側に配設した後部第3排水路24と、後部第3排水路24より車幅方向内側に配設した後部第4排水路25とを形成している。
【0044】
後部遮水リップ21は、後部ウェザストリップ20の車両上方の面において、車幅方向外側へ向けて形成している。この後部遮水リップ21は、開閉式ルーフ3を構成する幌と弾接して、開閉式ルーフ3と後部ウェザストリップ20との間から車室内への雨水や高圧の洗浄水の侵入を阻止する機能を有している。
【0045】
後部第1排水路22は、車幅方向における断面において、車幅方向外側が開口するとともに、車幅方向内側上方に向けて凹設した後部凹溝部22aと、後部凹溝部22aの車幅方向外側下端から車幅方向外側上方へ向けて立設した後部側壁部22bとで形成している。
【0046】
後部第2排水路23、及び後部第3排水路24は、後部ウェザストリップ20の前端から後端にかけて貫通する貫通孔状に形成している。
なお、後部第2排水路23、及び後部第3排水路24は、車両前後方向における所定箇所に外部と連通する開口を有しており、万一、車室内側へ雨水などが侵入した場合、雨水などを外部に排出可能に形成している。
後部第4排水路25は、車両上方側が開口した略溝状に形成している。
【0047】
さらに、後部ウェザストリップ20は、
図7に示すように、側面視における車両前方側の端面であって、前部ウェザストリップ30と突合する後部突合面20aを、車両上端側が車両後方へ向けて傾斜するように形成している。
【0048】
この後部突合面20aには、
図6及び
図7に示すように、後部第2排水路23を車両前方へ向けて延設した後部第1延設部26と、後部第1排水路22、後部第3排水路24、及び後部第4排水路25を一体的に車両前方へ向けて延設した後部第2延設部27とを備えている。
【0049】
後部第1延設部26は、後部第2排水路23の底面を構成する部分を、車両前方へ向けて突出するようにして、後部第2排水路23と一体的に形成している。
後部第2延設部27は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後述する前部ウェザストリップ30の重合部37と重合する長さで、後部ウェザストリップ20の下部を車両前方へ向けて延設している。
【0050】
より詳しくは、後部第2延設部27は、後部第1排水路22における後部側壁部22bの下部、後部第3排水路24の底面を構成する部分、及び後部第4排水路25の底面を構成する部分を車両前方へ向けて延設するとともに、それぞれ連結して一体形成している。
【0051】
換言すると、後部第2延設部27は、後部第1排水路22、後部第3排水路24、及び後部第4排水路25における各底面を構成する部分を、車両前方へ延設したのち、一体的に連結した形状に形成している。このため、後部第2延設部27は、後部第1排水路22、後部第3排水路24、及び後部第4排水路25の前端よりも車両前方空間を、車両下方から覆うような形状に形成している。
【0052】
また、前部ウェザストリップ30は、
図3及び
図4に示すように、後部ウェザストリップ20の車両前方端から車両前方に延びる略柱状に形成している。
この前部ウェザストリップ30には、
図8に示すように、車両上方の面に配設した2つの前部遮水リップ31と、車両上下方向略中央において車幅方向外側が開口した前部第1排水路32と、前部第1排水路32の車両上方側に配設した前部第2排水路33と、前部第1排水路32の車両下方側に配設した前部第3排水路34と、前部第3排水路34より車幅方向内側に配設した前部第4排水路35とを形成している。
【0053】
前部遮水リップ31は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部ウェザストリップ20の後部遮水リップ21と車両前後方向で連続するように、車幅方向外側へ向けて形成している。
この前部遮水リップ31は、開閉式ルーフ3を構成する幌と弾接して、開閉式ルーフ3と前部ウェザストリップ30との間から車室内への雨水や高圧の洗浄水の侵入を阻止する機能を有している。なお、前部遮水リップ31は、前部突合面30aより車両後方へ向けて突出しており、後部ウェザストリップ20と突合した際、車幅方向外側から後部遮水リップ21を覆うように形成している。
【0054】
前部第1排水路32は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部第1排水路22と連通するように形成している。より詳しくは、前部第1排水路32は、車幅方向外側が開口するとともに、車幅方向内側上方に向けて凹設した前部凹溝部32aと、前部凹溝部32aの車幅方向外側下端から車幅方向外側上方へ向けて立設した前部側壁部32bとで形成している。
【0055】
前部第2排水路33は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部第2排水路23と連通するとともに、前部ウェザストリップ30の後端から前端にかけて貫通する貫通孔状に形成している。
【0056】
前部第3排水路34は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部第3排水路24と連通するとともに、前部ウェザストリップ30の後端から前端にかけて貫通する貫通孔状に形成している。
【0057】
前部第4排水路35は、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部第4排水路25と連通するとともに、前部ウェザストリップ30の後端から前端にかけて貫通する貫通孔状に形成している。
【0058】
なお、前部第2排水路33、前部第3排水路34、及び前部第4排水路35は、車両前後方向における所定箇所に外部と連通する開口を有しており、万一、車室内側へ雨水などが侵入した場合、雨水などを外部に排出可能に形成している。
【0059】
さらに、前部ウェザストリップ30は、
図9に示すように、側面視における車両後方側の端面であって、後部ウェザストリップ20の後部突合面20aと突合する前部突合面30aを、車両上端側が車両後方へ向けて傾斜した形状に形成している。
【0060】
この前部突合面30aには、
図8及び
図9に示すように、前部第1排水路32を車両後方へ向けて突出するように延設した前部延設部36を備えている。
より詳しくは、前部延設部36は、前部第1排水路32の側面を構成する部分を車両後方へ向けて延設した側面延設部分36aと、前部第1排水路32の上面を構成する部分を車両後方へ向けて延設した上面延設部分36bと、前部第1排水路32の底面を構成する部分を車両後方へ向けて延設した下面延設部分36cとで一体形成している。
【0061】
側面延設部分36aは、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態において、後部第1排水路22と重合する長さで車両後方へ向けて延設している。なお、側面延設部分36aは、後部第1排水路22における側面を構成する面に対して、車幅方向外側で重合するように形成している。
【0062】
上面延設部分36bは、後部ウェザストリップ20の後部第1延設部26に対して、車両上方側で重合するとともに、前部第1排水路32の上面における車幅方向外側から側面延設部分36aへ向けて一連に、そして縁端へ向けて立ち上がるように形成している。なお、上面延設部分36bにおける上面は、前部第2排水路33の底面を構成する部分と一体的に形成している。
【0063】
下面延設部分36cは、後部第1排水路22における車両下方の面に対して、車両上方側で重合するとともに、前部第1排水路32の底面における車幅方向外側から側面延設部分36aへ向けて一連に、そして縁端へ向けて立ち上がるように形成している。
このように前部延設部36は、側面延設部分36aにおける上端、及び下端を、上面延設部分36bと下面延設部分36cとで支持するように形成している。
【0064】
加えて、前部ウェザストリップ30の車両後方端部には、
図8及び
図9に示すように、後部ウェザストリップ20における後部第2延設部27の重合を許容する重合部37を形成している。
【0065】
より詳しくは、重合部37は、車両上下方向における前部第1排水路32より下方の範囲、並びに車幅方向における前部第3排水路34、及び前部第4排水路35の範囲を覆う形状に形成するとともに、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが突合した状態の側面視において、前部ウェザストリップ30の下端と、後部ウェザストリップ20の下端とが車両前後方向で連続する段付き形状に形成している。
【0066】
上述したような後部ウェザストリップ20、及び前部ウェザストリップ30は、
図3及び
図4に示すように、開閉式ルーフ3を展開した状態において、後部ウェザストリップ20の後部突合面20aと、前部ウェザストリップ30の前部突合面30aとが隙間なく突合した状態で接続されて、ウェザストリップ10を構成している。
【0067】
これにより、前部第1排水路32と後部第1排水路22とが連通して第1排水路11を構成する。同様に、後部第2排水路23と前部第2排水路33とが連通して第2排水路(図示省略)を構成し、後部第3排水路24と前部第3排水路34とが連通して第3排水路(図示省略)を構成するとともに、後部第4排水路25と前部第4排水路35とが連通して第4排水路(図示省略)を構成する。
【0068】
この際、後部ウェザストリップ20の後部第2延設部27は、前部ウェザストリップ30の重合部37に対して車両下方から覆い被さるようにして重合する。換言すると、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30との接続部分における車両下方側の隙間を後部第2延設部27が覆うようにして、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが接続される。すなわち、後部第2延設部27は、前部第1排水路32、前部第3排水路34、及び前部第4排水路35に対して重合している。
【0069】
一方、前部ウェザストリップ30における前部延設部36の側面延設部分36aが、後部ウェザストリップ20の後部第1排水路22に対して重合する。換言すると、後部第1排水路22と前部第1排水路32との接続部分における車幅方向内側の隙間を側面延設部分36aが覆うようにして、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とが接続される。
【0070】
以上のように後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30とを接続した車両1のウェザストリップ構造は、後部突合面20aと前部突合面30aとが突合して接続されるウェザストリップ10の接続部分におけるシール性を向上することができる。
【0071】
具体的には、前部延設部36の側面延設部分36aと後部第2延設部27とが重合しないため、車両1のウェザストリップ構造は、車両前後方向から見て第1排水路11の側面部分及び底面部分を、側面延設部分36a、及び後部第2延設部27で覆うことができる。
【0072】
このため、例えば、組付けバラツキによって前部ウェザストリップ30と後部ウェザストリップ20との間に隙間が生じた場合であっても、車両1のウェザストリップ構造は、ウェザストリップ10の接続部分から雨水や高圧の洗浄水が漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0073】
例えば、車体表面から第1排水路11に流れ込んだ雨水が第1排水路11の接続部分に侵入しても、車両1のウェザストリップ構造は、後部第2延設部27によって滴下する雨水を受け止めることができる。このため、車両1のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフ3から第1排水路11に流れ込んだ雨水が、第1排水路11の接続部分から滴下して車室内に侵入することを、後部第2延設部27によって防止することができる。
【0074】
あるいは、車幅方向外側から高圧の洗浄水が吹き付けられた場合、車両1のウェザストリップ構造は、ドアガラス5aを介して第1排水路11の接続部分に侵入した高圧の洗浄水を、後部第2延設部27と重合しない側面延設部分36aによって受け止めることができる。このため、車両1のウェザストリップ構造は、高圧の洗浄水が第1排水路11の接続部分から車室内に侵入することを、側面延設部分36aによって防止することができる。
【0075】
これにより、車両1のウェザストリップ構造は、第1排水路11の接続部分から雨水などが車室内に侵入することを、側面延設部分36a、及び後部第2延設部27によって防止することができる。
さらに、例えば前部第1排水路32から後部第1排水路22へ雨水などが排水される際、車両1のウェザストリップ構造は、前部延設部36及び後部第2延設部27によって、前部第1排水路32から後部第1排水路22への雨水などの受け渡しを、スムーズに行うことができる。
【0076】
そして、例えば、前部ウェザストリップ30、あるいは後部ウェザストリップ20の一方に側面延設部分36a、及び後部第2延設部27を形成した場合、開閉式ルーフ3の折れ曲がりに対応して、前部ウェザストリップ30と後部ウェザストリップ20とが突合する際、側面延設部分36a及び後部第2延設部27が他方のウェザストリップ10に干渉するおそれがある。
【0077】
これに対して、前部ウェザストリップ30に側面延設部分36aを形成し、後部ウェザストリップ20に後部第2延設部27を形成するとともに、側面延設部分36aと後部第2延設部27が重合しない構成としたことにより、車両1のウェザストリップ構造は、回動するようにして端面同士が突合する場合であっても干渉を抑制することができる。
従って、車両1のウェザストリップ構造は、ウェザストリップ10の接続部分におけるシール性を向上することができる。
【0078】
また、前部ウェザストリップ30の前部突合面30a、及び後部ウェザストリップ20の後部突合面20aを、車両上方側が車両後方へ傾斜した、すなわち前後方向に対して交差する方向に傾斜した形状に形成したことにより、車両1のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフ3における開閉動作を阻害することなく、かつ展開した状態において前部第1排水路32と後部第1排水路22とを確実に接続することができる。
【0079】
具体的には、開閉式ルーフ3の場合、ルーフを開閉するリンク機構などの組付けバラツキなどによって、前部ウェザストリップ30の端面と後部ウェザストリップ20の端面とが互いに押圧するように突合することがある。
【0080】
このため、例えば、前部ウェザストリップ30の前部突合面30a、及び後部ウェザストリップ20の後部突合面20aが傾斜していない場合、開閉式ルーフ3が折り畳まれる際、あるいは展開される際に端面同士が干渉し易くなり、開閉式ルーフ3のスムーズな開閉を阻害するおそれがある。
【0081】
これに対して、前部ウェザストリップ30の前部突合面30a、及び後部ウェザストリップ20の後部突合面20aを傾斜させることで、車両1のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフ3を開閉する際、端面同士の干渉を抑制することができる。
【0082】
これにより、開閉式ルーフ3に前部ウェザストリップ30、及び後部ウェザストリップ20を装着した場合であっても、車両1のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフ3のスムーズな開閉が阻害されることを防止できる。
【0083】
従って、車両1のウェザストリップ構造は、開閉式ルーフ3における開閉動作を阻害することなく、かつ展開した状態において前部第1排水路32と後部第1排水路22とを確実に接続することができる。
【0084】
なお、上述の実施形態において、開閉式ルーフ3の側面に装着されるウェザストリップ10としたが、これに限定せず、車両前後方向に延びるウェザストリップ、車幅方向に延びるウェザストリップ、あるいは車両上下方向に延びるウェザストリップであってもよい。
【0085】
例えば、ドア5によって閉塞される車室部2における側部開口の縁端に装着するウェザストリップであってもよい。あるいは、車体開口を閉塞する閉塞部材、例えば、開閉式ルーフ3を備えた車両1におけるフロントウインドウの縁端、ボンネットなどに装着するウェザストリップであってもよい。
【0086】
また、後部ウェザストリップ20の後部第1排水路22に重合する前部ウェザストリップ30の延設部分を側面延設部分36aとしたが、前述したとおり、側面延設部分36a、上面延設部分36b、及び下面延設部36cを後部第1排水路22に重合する構成としてもよい。
【0087】
また、後部ウェザストリップ20の後部第1排水路22には、後部第2排水路23の後部第1延設部26と同様に、底面を構成する部分を車両前方へ向けて延設した後部第3延設部(図示省略)を設けてもよい。これにより、上面延設部36bと同様に、下面延設部分36cをより確実に後部第1排水路22へ重合させることができる。このため、後部ウェザストリップ20と前部ウェザストリップ30との接続部分における止水性をより一層に向上することができる。
【0088】
また、後部ウェザストリップ20に後部第2延設部27を形成し、前部ウェザストリップ30に側面延設部分36aを形成したが、これに限定せず、後部第2延設部27に対応する延設部を前部ウェザストリップ30に形成し、側面延設部分36aに対応する延設部を後部ウェザストリップ20に形成してもよい。
【0089】
また、車幅方向外側が開口した第1排水路11の接続部分に対して、後部第2延設部27及び側面延設部36aを形成したが、これに限定せず、内部中空の排水路における接続部分に対して、後部第2延設部27及び側面延設部36aを形成してしてもよい。
【0090】
また、後部ウェザストリップ20の後部突合面20a、及び前部ウェザストリップ30の前部突合面30aを、それぞれ車両上端側が車両後方へ傾斜した形状に形成したが、これに限定せず、車両上端側が車両前方へ傾斜した形状の後部突合面20a、及び前部突合面30aとしてもよい。
【0091】
また、後部第1排水路22、後部第2排水路23、後部第3排水路24、及び後部第4排水路25を有する後部ウェザストリップ20、及び前部第1排水路32、前部第2排水路33、前部第3排水路34、及び前部第4排水路35を有する前部ウェザストリップ30としたが、これに限定せず、雨水などを受け止めて排水する排水路を有するウェザストリップであればよい。
【0092】
例えば、後部第1排水路22のみを有する後部ウェザストリップ20、及び前部第1排水路32のみを有する前部ウェザストリップ30であってもよい。この際、後部第2延設部27は、後部第1排水路22の底面を構成する部分を車両前方に延設した形状に形成する。
【0093】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の所定方向は、実施形態の車両前後方向に対応し、
以下同様に、
所定の液体は、雨水、及び高圧の洗浄水に対応し、
第1ウェザストリップは、前部ウェザストリップ30に対応し、
第2ウェザストリップは、後部ウェザストリップ20に対応し、
第1ウェザストリップの端面は、前部突合面30aに対応し、
第2ウェザストリップの端面は、後部突合面20aに対応し、
排水路は、第1排水路11に対応し、
第1流路は、前部第1排水路32に対応し、
第2流路は、後部第1排水路22に対応し、
第1延設部分は、側面延設部分36aに対応し、
第2延設部分は、後部第2延設部27に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。