特許第6393140号(P6393140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393140
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】横断歩道照射装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/529 20160101AFI20180910BHJP
   G08G 1/095 20060101ALI20180910BHJP
   E01F 9/547 20160101ALI20180910BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   E01F9/529
   G08G1/095 F
   E01F9/547
   F21S8/08 100
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-197800(P2014-197800)
(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公開番号】特開2016-69832(P2016-69832A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】劉 磊
(72)【発明者】
【氏名】齊木 大
(72)【発明者】
【氏名】宮内 洋宜
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−338777(JP,A)
【文献】 特開平10−046529(JP,A)
【文献】 特開2008−040685(JP,A)
【文献】 特開平10−011695(JP,A)
【文献】 特開2011−043943(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3051782(JP,U)
【文献】 米国特許第06398399(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00−11/00
G08G 1/00−9/02
F21K 9/00−9/90
F21S 2/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道の横断の可否を示す信号情報を受信する受信手段と、
横断歩道に照射光を照射する照射手段と、
前記受信手段で受信した前記信号情報に応じて照射光を前記照射手段に照射させる制御手段と、を備え
前記横断歩道において、所定間隔毎の複数の所定範囲にそれぞれ指向性を設定した複数の指向性スピーカと、
前記制御手段により制御され、前記指向性スピーカにより、所定の音声メッセージを再生する音声再生手段と、を更に備え、
前記制御手段は、前記車道の横断が可能であることを示す前記信号情報を受信してから、所定間隔毎に、前記音声再生手段により、複数の前記指向性スピーカ毎に異なる音声メッセージを再生させることを特徴とする横断歩道照射装置。
【請求項2】
前記照射手段は、前記横断歩道が延びる方向に向かって照射光を照射し、横断歩道及び横断歩道上の歩行者を照らすことを特徴とする請求項1に記載の横断歩道照射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記車道の横断が可能であることを示す前記信号情報を受信してから、所定間隔毎に、前記照射手段に照射させる照射光のパターンを変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の横断歩道照射装置。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の横断歩道照射装置と、
前記横断歩道に設置され、前記照射手段から照射された照射光を、照射された方向に反射する反射手段を、更に備えることを特徴とする横断歩道照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断歩道照射装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車道において歩行者が横断可能な場所には、歩行者の横断の可否を示す信号機と、白色塗料を道路面に塗布して形成された横断歩道と、が設置されている。しかし、夜間では、横断歩道の白線が見え難くなることがあり、歩行者が横断歩道の位置を正しく把握できず、例えば、車道に踏み込んでしまうことがある。
【0003】
そこで、特許文献1には、EL素子を有する発光パネルを路面に埋め込んで形成した白線と、発光パネルを点灯制御する制御装置と、を備える歩道システムが開示されている。この歩道システムによれば、発光パネルの点灯によって白線が明るく光るので、歩行者は、横断歩道の位置を容易に確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−12916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、信号機は、一般的に、歩行者の身長より高い位置に設けられている。よって、歩行者は、横断歩道を渡ることができるか否かを確認する場合、視線を上方に向け、信号機が示す色を確認する。しかしながら、高齢者は、腰が曲がっていることや、足下の確認のため、恒常的に視線が下方を向いている場合が多い。
【0006】
このため、高齢者は、特許文献1の歩道システムが適用され、横断歩道の位置が容易に確認できたとしても、信号機が赤色を示しており、横断歩道を渡ると危険であるにも拘わらず、横断歩道を進行してしまうおそれもある。
【0007】
したがって、本発明では、上記のような課題に鑑み、恒常的に視線が下方を向いてしまう高齢者であっても、横断歩道を安心して渡ることが可能となる横断歩道照射装置及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の横断歩道照射装置は、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
本発明の横断歩道照射装置は、車道の横断の可否を示す信号情報を受信する受信手段と、横断歩道に照射光を照射する照射手段と、前記受信手段で受信した前記信号情報に応じて照射光を前記照射手段に照射させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記の横断歩道照射装置は、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記照射手段は、前記横断歩道が延びる方向に、向かって照射光を照射し、横断歩道及び横断歩道上の歩行者を照らすことを特徴とする。
【0011】
また、上記の横断歩道照射装置は、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記制御手段は、前記車道の横断が可能であることを示す前記信号情報を受信してから、所定間隔毎に、前記照射手段に照射させる照射光のパターンを変化させることを特徴とする。
【0012】
また、上記の横断歩道照射装置は、さらに以下の特徴を備えることができる。すなわち、前記横断歩道において、所定間隔毎の複数の所定範囲にそれぞれ指向性を設定した複数の指向性スピーカと、前記制御手段により制御され、前記指向性スピーカにより、所定の音声を再生する音声再生手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記車道の横断が可能であることを示す前記信号情報を受信してから、所定間隔毎に、前記音声再生手段により、複数の前記指向性スピーカ毎に異なる音声を再生させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の横断歩道照射システムは、上記の横断歩道照射装置と、前記横断歩道に設置され、前記照射手段から照射された照射光を、照射された方向に反射する反射手段を、更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、恒常的に視線が下方を向いてしまう高齢者であっても、横断歩道を安心して渡ることが可能となる横断歩道照射装置及びシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る横断歩道照射システムの基本構成の概念を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る横断歩道照射システムの機能構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る複数の指向性スピーカの配置について説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る反射手段による再帰性反射について説明する図である。
図5】本発明の実施形態に係る横断歩道照射処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0017】
(基本概念)
図1は、本発明の実施形態に係る横断歩道照射システムの基本構成の概念を示す図である。横断歩道照射システム1は、横断歩道照射装置10と、反射手段20(図1では、横断歩道120の枠内においてドットで示している。)と、を備える。横断歩道照射装置10は、信号機100や信号機100を制御する装置(図示無し)から車道110の横断の可否を示す信号情報を受信し、受信した信号情報が車道110の横断が可能であることを示していた場合(信号機100が青色を示す場合)に、照射手段13により、横断歩道120に照射光を照射する。反射手段20は、横断歩道120に設置され、照射手段13から照射された照射光を、照射された方向に反射する。
【0018】
横断歩道照射装置10は、横断歩道120の斜め上方に照射手段13を配置し、被投影物である横断歩道120に対して、所定のパターンの照射光を照射することによって、横断歩道120の表面に模様や色等のオブジェクトをマッピングする公知のプロジェクションマッピングにより、夜間における横断歩道120を、信号機100が青色の場合に目立たせる。
【0019】
なお、本実施形態において、横断歩道照射装置10は、プロジェクションマッピングに限らず、夜間における横断歩道120を、信号機100が青色の場合に目立たせることができれば、例えば、横断歩道120を単色光で照射してもよい。また、横断歩道照射装置10は、信号機100が青色の場合に、横断歩道120を照射し、信号機100が赤色の場合には横断歩道120を照射しないことで、その差によって、信号機100が青色の場合の横断歩道120をより目立たせているが、これに限らず、信号機100が青色の場合と赤色の場合とで、違いが明確になれば、信号機100が赤色の場合にも横断歩道120を照射してもよい。
【0020】
横断歩道照射システム1及び横断歩道照射装置10によれば、例えば、腰が曲がり、信号機が設置されている上を向くのが困難な高齢者であっても、足下の横断歩道120を見れば、信号機100が青色であることが分かる。したがって、恒常的に視線が下方を向いてしまう高齢者であっても、横断歩道を安心して渡ることが可能となる。
【0021】
(機能構成)
図2は、本発明の実施形態に係る横断歩道照射システム1の機能構成を示す図である。横断歩道照射システム1は、横断歩道照射装置10と、反射手段20と、を備える。横断歩道照射装置10は、受信手段11と、制御手段12と、照射手段13と、音声再生手段14と、指向性スピーカ15と、パターン記憶手段16と、を備える。
【0022】
受信手段11は、信号機100や信号機100を制御する装置(図示無し)から車道110(図1参照)の横断の可否を示す信号情報を受信する。本実施形態において、「信号情報」は、車道110の横断が可能であることを示す情報(信号機100が青色を点灯する情報)と、車道の横断が不可であることを示す情報(信号機100が赤色を点灯する情報)と、のいずれかを含む。
【0023】
制御手段12は、受信手段11で受信した信号情報に応じて照射光を照射手段13に照射させる。また、制御手段12は、車道110(図1参照)の横断が可能であることを示す信号情報を受信してから、所定間隔毎に、照射手段13に照射させる照射光のパターンを変化させる。また、制御手段12は、車道110の横断が可能であることを示す信号情報を受信してから、所定間隔毎に、音声再生手段14により、複数の指向性スピーカ15毎に異なる音声を再生させる。詳細には、制御手段12は、判定手段121と、照射制御手段122と、音声制御手段123と、を備える。
【0024】
判定手段121は、受信手段11で受信した信号情報が、車道110の横断が可能であることを示す情報(信号機100が青色を点灯する情報)か、車道の横断が不可であることを示す情報(信号機100が赤色を点灯する情報)かのいずれであるかを判定する。
【0025】
照射制御手段122は、受信手段11が受信した信号情報が、判定手段121により、車道110の横断が可能であることを示す情報であると判定された場合に、パターン記憶手段16に記憶された照射パターンに基づき、照射手段13により、照射光を横断歩道120(図1参照)に照射させ、所定間隔毎に、照射手段13に照射させる照射光のパターンを変化させる制御を行う。
【0026】
ここで、本実施形態におけるパターン記憶手段16に記憶された「照射パターン」は、例えば、信号機100が青色になった直後は点灯し、所定時間(例えば、30秒)経過後に点滅するパターンや、信号機100が青色になった直後は青色となり、所定時間(例えば、30秒)経過後に赤色となるパターンや、矢印の形状をしたオブジェクトが、横断歩道120の進行方向に進み、所定時間(例えば、30秒)経過後に戻る方向に進むパターン等の任意のパターンとすることができる。
【0027】
音声制御手段123は、受信手段11が受信した信号情報が、判定手段121により、車道110の横断が可能であることを示す情報であると判定された場合に、パターン記憶手段16に記憶された音声パターンに基づき、音声再生手段14に、複数の指向性スピーカ15毎に異なる音声を再生させ、所定間隔毎に、複数の指向性スピーカ15に発声させる音声のパターンを変化させる制御を行う。
【0028】
ここで、本実施形態におけるパターン記憶手段16に記憶された「音声パターン」は、例えば、信号機100が青色になった直後は複数の指向性スピーカ15から「信号が青になりました」と発声させ、所定時間(例えば、30秒)経過後に、一方の指向性スピーカ15から「もうすぐ赤になるので渡らないでください」と発声させ、他方の指向性スピーカ15から「もうすぐ赤になるのでいそいで渡ってください」と発声させるパターン等の任意のパターンとすることができる。
【0029】
照射手段13は、横断歩道120に照射光を照射する。照射手段13は、横断歩道120が延びる方向に向かって照射光を照射し、横断歩道120及び横断歩道120上の歩行者を照らす。具体的には、照射手段13は、横断歩道120に向けて設置され、照射制御手段122から送信された照射パターンを、横断歩道120に投影する、例えば、プロジェクターで構成されている。なお、照射手段13は、横断歩道120及び横断歩道120上の歩行者を照らすことができれば、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明で構成してもよい。
【0030】
音声再生手段14は、制御手段12により制御され、指向性スピーカ15により、所定の音声を再生する。詳細には、音声再生手段14は、音声制御手段123から送信された音声パターンを再生し、複数の指向性スピーカ15から同一又は異なる音声を発声可能に構成されている。
【0031】
指向性スピーカ15は、横断歩道120(図1参照)において、所定間隔毎の複数の所定範囲にそれぞれ指向性が設定された第1指向性スピーカ151及び第2指向性スピーカ152を含む。指向性スピーカ15は、音響振動を平面波として出力する公知の平面波スピーカであり、例えば、フラットな振動板の背後に複数のボイスコイルを配置して音響信号により駆動することで、振動板を平行移動し、平面波振動を発生して前方へ向けて高い指向性により音を伝播する。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係る複数の指向性スピーカ15の配置について説明する図である。第1指向性スピーカ151は、横断歩道120の端部近傍に指向性が設定されている。また、第2指向性スピーカ152は、横断歩道120の中央近傍に指向性が設定されている。このような第1指向性スピーカ151及び第2指向性スピーカ152からは、例えば、信号の色が青色になってから、「信号が青になりました」と発声され、所定時間(例えば、30秒)経過後に、第1指向性スピーカ151からは「もうすぐ赤になるので渡らないでください」と発声され、第2指向性スピーカ152からは「もうすぐ赤になるのでいそいで渡ってください」と発声される。
【0033】
図2に戻って、反射手段20は、横断歩道120(図1参照)に設置され、照射手段13から照射された照射光を、照射された方向に反射する。反射手段20は、公知の再帰性反射する素材で形成され、例えば、ガラス球(例えば、ガラスビーズ)の下側略半分が横断歩道120に埋め込まれ、上側略半分が横断歩道120から突出し、埋め込まれた部分である下側略半分の外表面に反射性の高い面(例えば、アルミ蒸着面)が形成されている。また、反射手段20は、上側略半分を横断歩道120から露出させる形態に限らず、外部の衝撃による破損や汚染を防止するために、全体を透明フィルムや樹脂で覆ったり、上側略半分の上に空気層を設け、この空気層の上に透明フィルムや樹脂を配置したりしてもよい。なお、反射手段20は、ガラス球に限らず、例えば、3枚の平面形状の反射板を互いに直角に組み合わせて形成してもよい。
【0034】
図4は、本発明の実施形態に係る反射手段20による再帰性反射について説明する図である。照射手段13から照射された照射光は、反射手段20により反射され、横断歩道120を渡る歩行者(例えば、下を向きがちな高齢者)の視線上に侵入する。なお、図4は、理解を容易にするため、歩行者の視線上の照射光及び反射光のみを示しているが、反射手段20は、横断歩道120の白線に全面的に埋め込まれ、それぞれ、照射手段13から照射された照射光を、照射手段13に向かって反射する。
【0035】
上記の本装置の機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0036】
(横断歩道照射処理フロー)
次に、横断歩道照射装置10における横断歩道照射処理フローについて説明する。図5は、本発明の実施形態に係る横断歩道照射処理フローを示す図である。以降の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
【0037】
ステップS10において、受信手段11は、信号機100や信号機100を制御する装置(図示無し)から車道110(図1参照)の横断の可否を示す信号情報を受信する。
【0038】
ステップS11において、制御手段12の判定手段121は、ステップS10で受信手段11が受信した信号情報が、車道110の横断が可能であることを示す情報(信号機100が青色を点灯する情報)か否かを判定する。制御手段12は、車道110の横断が可能であることを示す情報であると判定した場合には、ステップS12に処理を移し、車道110の横断が可能であることを示す情報でないと判定した場合には、ステップS10に処理を移す。
【0039】
ステップS12において、照射制御手段122は、パターン記憶手段16に記憶された照射パターンに基づき、照射手段13により、照射光を横断歩道120(図1参照)に照射させる制御を行う。
【0040】
ステップS13において、音声制御手段123は、パターン記憶手段16に記憶された音声パターンに基づき、音声再生手段14により、複数の指向性スピーカ15毎に異なる音声を再生させる制御を行う。
【0041】
ステップS14において、制御手段12は、所定時間(例えば、30秒)経過したか否かを判定する。制御手段12は、所定時間経過したと判定した場合には、ステップS15に処理を移し、所定時間経過していないと判定した場合には、本ステップを繰り返す。
【0042】
ステップS15において、照射制御手段122は、パターン記憶手段16に記憶された照射パターンに基づき、ステップS12で、照射手段13により、横断歩道120(図1参照)に照射させている照射光のパターンを変化させる制御を行う。
【0043】
ステップS16において、音声制御手段123は、パターン記憶手段16に記憶された音声パターンに基づき、音声再生手段14により、ステップS13で、複数の指向性スピーカ15毎に再生させている音声のパターンを変化させる制御を行う。
【0044】
ステップS17において、制御手段12は、受信手段11が、車道の横断が不可であることを示す情報(信号機100が赤色を点灯する情報)を受信したか否かを判定する。制御手段12は、車道の横断が不可であることを示す情報を受信したと判定した場合には、ステップS18に処理を移し、車道の横断が不可であることを示す情報を受信していないと判定した場合には、本ステップを繰り返す。
【0045】
ステップS18において、照射制御手段122は、照射手段13による照射光の照射を終了させる制御を行う。ステップS19において、音声制御手段123は、音声再生手段14により、複数の指向性スピーカ15毎に異なる音声を再生させる制御を終了する。
【0046】
(実施形態の効果)
本実施形態の横断歩道照射装置10及びシステム1によれば、以下の作用効果を奏する。横断歩道照射装置10によれば、受信手段11で受信した信号情報に応じて、横断歩道120に向けて、照射光を照射手段13に照射させるので、例えば、夜間であっても、横断歩道120に照射されていれば、信号機100に青色が点灯していることが分かる。したがって、恒常的に視線が下方を向いてしまう高齢者であっても、横断歩道を安心して渡ることが可能となる。
【0047】
また、横断歩道照射装置10によれば、照射手段13は、横断歩道120が延びる方向に、向かって照射光を照射し、横断歩道120及び横断歩道120上の歩行者を照らすので、信号機100に青色が点灯していることが分かるとともに、横断歩道120を渡る歩行者は足下が明るく、車道110を走る車両の運転者は横断歩道120及び横断歩道120上の歩行者の視認が容易となり、横断歩道120における事故の発生を抑えることができる。
【0048】
また、横断歩道照射装置10によれば、車道110の横断が可能であることを示す信号情報を受信してから、所定間隔毎に、照射手段13に照射させる照射光のパターンを変化させるので、横断歩道120を渡る歩行者は信号が赤色に変わるタイミングを事前に把握することができ、横断歩道をより安心して渡ることが可能となる。
【0049】
また、横断歩道照射装置10によれば、車道110の横断が可能であることを示す信号情報を受信してから、所定間隔毎に、音声再生手段14により、所定間隔毎の複数の所定範囲にそれぞれ指向性を設定した複数の指向性スピーカ15毎に異なる音声を再生させる。ここで、高齢者によっては、聴力が衰えている場合もある。このような場合でも、指向性スピーカ15により、横断歩道120において歩行者がいる位置に応じた音声を、ピンポイントで発声できるので、歩行者が聞き取り易くなるとともに、信号機100が赤色に変わるタイミングに応じた内容の音声を発声することで、歩行者の安全を確保し易くなる。
【0050】
また、横断歩道照射システム1によれば、横断歩道120に配置された反射手段20が、照射手段13から照射された照射光を、照射された方向に反射するので、横断歩道120を渡る歩行者には横断歩道120が照射されていることが認識しやすくなり、一方、車道110を走る車両の運転者側には反射しないので、照射光が運転者の運転を妨げることを防止できる。
【0051】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として横断歩道照射装置及びシステムで説明したが、本発明は、方法の発明(横断歩道照射方法)又はコンピュータ・プログラムの発明(横断歩道照射プログラム)としても捉えることもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 横断歩道照射システム
10 横断歩道照射装置
11 受信手段
12 制御手段
121 判定手段
122 照射制御手段
123 音声制御手段
13 照射手段
14 音声再生手段
15 指向性スピーカ
151 第1指向性スピーカ
152 第2指向性スピーカ
16 パターン記憶手段
20 反射手段
100 信号機
110 車道
120 横断歩道
図1
図2
図3
図4
図5