(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ボイドまたは各ボイドを覆って広がり、前記中敷きの上に立つ人間の重量のもとで前記ボイドまたは各ボイドの中へと変形することができる薄くて柔軟な層をさらに備える請求項13に記載の中敷き。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
過回内(オーバープロネーション)へ対処するための種々のインソールが知られている。それらのいくつかは、アーチに接触して上方へと押し上げるために、土踏まずの直下の積み重ねまたは隆起領域を備えている。しかしながら、多くの人々は、依然として、そのようなインソールを、問題への対処において有効でないと判断している。
【0004】
アーチの領域の一部分が取り除かれているインソールも知られている。しかしながら、これは、歩行時に足の運びの各々が踵での接地にて始まる場合に、回内の阻止に有効でないことが明らかになっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、人間の足を支持するための中敷き(footbed)であって、踵の中央線に対して外側にあって中央線の内側へと広がってはいない踵の少なくとも一部分の下方の支持を取り除く1つ以上のボイド(void)が形成されるとともに、中央線に対して内側に位置する踵の部分には他のボイドが存在しないこと、踵骨隆起の内側突起の下方の支持を取り除く1つ以上のボイドが形成されること、踵の外側の部分の下方および踵骨隆起の内側突起の下方の両方の支持を取り除く1つ以上のボイドが形成されること、のいずれかにより、踵のうち、足の内側および外側の縦アーチを支持するための踵骨における迫台を機能上形成する部分を安定させる中敷きを提供する。
【0006】
一実施形態においては、中敷きに、足の中央線に対して外側であって実質的に第4趾に整列した踵骨の内側前寄りの接地の外側の下方に位置する踵の領域(本明細書においてV1と称される領域)のボイドが形成される。この主題についての多くの教科書は、踵骨の前側は接地していないとしている。しかしながら筆者は、この接地が扁平足の人々に生じ、他との関連において回内を発生させていることを発見した。体の重量が、前側のアーチ迫台が地面に接触する前にこの点に達する。この時点において、アーチは、関節の間の柔軟性によって緩く形成される。ひとたび踵骨隆起に位置する後ろ側の迫台および前側の迫台が、体の重量をアーチを通って作用させて接地すると、地面の反力がアーチを「堅く」する。
【0007】
回内においては、内側前寄りの踵骨の接地が、機能的には内側および外側の両方の長い足底のアーチに対し迫台として働く。この接触点における不安定が、前側または後ろ側のいずれかの内側の踵骨の迫台が内側へと回転できる限りにおいて、アーチの「倒れ」を許す。これを、平坦な靴において、内側前寄りの踵骨の接触を外側へと傾けて保持する踵外側のボイド、または踵骨隆起の内側突起(本明細書において、領域V3と称される)の下方のボイド、あるいはこれらの領域のボイドの組み合わせによって、防止することができる。
【0008】
内側前寄りの踵骨の接地の外側の直下のボイド(V1)は、体の重量が接地点に達するときの踵着地で生じる距踵舟(TCN)関節複合体における回内を防止するように機能する。
【0009】
別の実施形態においては、本体に、上述の領域V1に位置するのではなく、内側前寄りの踵骨の接地における内側への回転を間接的に防止する踵外側の部分のボイドを形成してもよい。例えば、本体に、踵骨隆起の外側突起の下方のボイド(V2)、およびアーチが崩れた人たちに生じる外側前寄りの踵骨の接地の下方のボイド(V4)を形成してもよい。
【0010】
以上に加え、ボイドが、中足関節(V5〜V9)のいずれか、組み合わせ、またはすべての下方に存在してもよく、さらに/あるいは第1趾の末節骨の下方の隆起の下方(V10)に存在してもよい。
【0011】
さらなる実施形態においては、中敷きが、中足部の内側アーチ領域の隆起した小山と、中足部のアーチ領域の任意の場所の少なくとも1つのボイドと、をさらに備えてもよい。あるいは、中敷きが、実質的に平坦であってよく、中足部の内側縦アーチ領域または外側縦アーチ領域(すなわち、さらに後述される領域14bおよび14c)に形成された少なくとも1つのボイドを有してもよい。
【0012】
ボイドは、好ましくは、回内への抵抗が増すがゆえに、別々であって、上述した個別の領域の各々の下方に位置すべきである。
【0013】
中敷きの上面は、平坦または踵の低い履き物用に、踵領域からつま先領域へ20度未満の角度での下り傾斜にて足を支持するよう構成されてもよい。
【0014】
別の実施形態における中敷きは、より踵の高い履き物用に、踵領域からつま先領域へ20度以上の角度での下り傾斜となるように足を支持するよう構成されてもよい。この角度においては、TCN関節複合体によって中足部を通る回内が許容されない。しかしながら、中足骨および趾節骨を内側または外側へと横切る接地および踵接地における回転の結果として足の内転および外転が生じる。これを防止するために、中敷きは、中央線の内側および外側の両方に広がる内側前寄りの接地の下方のボイドをさらに備えてもよい。
【0015】
中敷きの前記ボイドまたは各ボイドは、中敷きを貫く穴または中敷きのくぼみを備えてもよい。さらに、薄くて柔軟な層を、ボイドを覆うように前記ボイドまたは各ボイドの上方に、しかしながら足に支持をもたらすことはないように延ばしてもよい。この層は、中敷きの上に立つ人間の重量のもとで前記ボイドまたは各ボイドの中へと変形できなければならない。
【0016】
好ましくは、前記ボイドまたは各ボイドが、足の底の組織がボイドへと沈み込みことができるように、約0.6cm
2〜1cm
2の最小サイズを有する。
【0017】
中敷きは、互いに切り離し可能に接続できてもよい複数の別々の本体で構成される本体を備えてもよい。中敷きを、履き物と一体に形成してもよく、その履き物は、柔軟な靴下またはストッキングを含んでもよい。あるいは、中敷きが、足の裏へと取り外し可能に取り付けできてもよい。さらなる代案においては、中敷きが、既存の履き物へと挿入できるインソールを備えてもよい。
【0018】
中敷きは、1つ以上のボイドを生み出すために随意により取り除くことができる1つ以上の部分を備えてもよい。
【0019】
中敷きは、少なくとも足の内側および縦アーチの迫台を直接的または間接的に安定させる地点の下方に粒子材料のきわめて薄い層を備えてもよい。その層は、粒子が圧縮されて堅い表面となることがないように、充分に薄くなければならない。この方法で、それぞれの地点において機能するボイドが生み出される。
【0020】
本発明の別の態様においては、人間の足を支持するための中敷きであって、使用時に、第1および第5中足骨頭が、踵の内側前寄りの踵骨の接地に対して少なくとも0.5cmだけ持ち上げられ、つま先が、第1および第5中足骨頭と同じ高さに位置し、あるいは第1および第5中足骨頭よりも下方に位置するように、少なくとも足のうちの第1および第5中足骨頭の下方の部分を受け止める前足部領域を備える中敷きが提供される。
【0021】
中敷きは、つま先を受け止めるための前足部領域よりも末端のつま先領域をさらに備えてもよく、そのつま先領域および前足部領域は、おおむね平坦かつ互いに同じ高さである。
【0022】
あるいは、中敷きが、つま先を受け止めるための前足部領域よりも末端のつま先領域と、踵の少なくとも一部分を受け止めるための踵領域とをさらに備えることができ、そのつま先領域および踵領域は、おおむね平坦かつ互いに同じ高さであり、前足部領域が、踵領域よりも高くされる。
【0023】
さらに、中敷きは、前足部領域と踵領域との間の中足部領域を備えてもよく、中足部領域のうちの足の内側アーチの下方の部分が、隆起した小山を備えてもよい。
【0024】
次に、本発明を、添付の図面を参照して、あくまでも例として、さらに詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
人間の足は、多数の機能を有する複雑な構造体である。1つの機能は、足の上方のすべての構造物が運動時および立位において正しい位置に保たれるように、体の重量を支持することである。
【0027】
体の重量は、足の2つの縦アーチ、すなわち内側縦足弓にて支持される。これらのアーチは、骨による構造体であり、靱帯および筋肉の要素によって支えられている。これらのアーチは、アーチを支持するための迫台(abutments)を有している。
【0028】
図1aが、足の内側の概略図を示しており、一部の骨は、分かりやすくするために省略されている。足は、下方へと作用する矢印Fによって表される体の重量をアーチの迫台として機能する正しい接地点へと方向F1およびF2に伝達する図示のとおりのアーチ形を自然にとるはずである。アーチの正しい後方の迫台は、踵骨隆起の内側および外側突起である。しかしながら、足に回内の傾向がある者においては、アーチが矢印P1およびP2の方向に倒れることで、アーチが平たくなり、アーチのサイズが小さくなる傾向にある。したがって、平たい足(扁平足)においては、機能上の迫台が、内側前寄り(anterio−medial)および外側後ろ寄り(anterio−lateral)での踵骨の接地が存在する場合に生じる。これらの機能上の迫台は、内側縦足弓の短縮という影響を有する。回内を防止するために、内側前寄りでの踵骨の接地を安定させなければならず、これを直接的または間接的に行うことができる。
【0029】
このように、内側および外側縦アーチの迫台が、踵骨ならびに中足骨頭の下方に見られるが、第1および第5中足骨頭が、体の重量が中足部へと移動するまでアーチの前側を通過する重量の大部分を支える。
【0030】
機能上の迫台を形成している内側前寄りの接地の外側の下方から支持を直接的に取り除くことで、この接触における後ろ側の迫台が安定になり、足の縦アーチを堅くし、踵着地の際に正しく機能させることができる。V3に位置し、あるいは領域V1以外の踵外側に位置するボイドによる内側前寄りでの接地の間接的な安定化が、ボイドの配置場所において踵が持ち上がり始め、ボイドの「作用」が止むまで、踵を安定にする。領域V3のボイドが、中足部を安定させる一方で、領域V1以外の踵外側の領域のボイドは、中足部の1つ以上のボイドとの連動においてのみ中足部を安定させる。
【0031】
図1bが、以下で定められるとおりの種々の領域へと分割された足10の底を概略的に示している。以下の説明において、用語「前(anterior)」および「後(posterior)」は、
図1bに矢印によって示されるとおりの前後方向を指すために使用され、用語「内(medial)」および「外(lateral)」は、
図1bに矢印によって示されるとおりの足の中央線Mの各側の内側および外側方向を指すために使用される。
【0032】
本発明を説明する目的において、扁平足である者の足が、以下の大まかな各領域、すなわち踵12、アーチ14、中足関節頭16、およびつま先18を備えるものとして考察される。足のさまざまな部分を、中足関節領域16とつま先16とで構成される前足部、アーチ14で構成される中足部、および踵領域12で構成される後足部と表現することも可能である。踵は、通常は足の骨アーチの一部として機能するが、後足部の回内においては、踵骨の内側前寄りの接地によって機能上の迫台が形成され、アーチが中足部に限られる。
【0033】
アーチ14を、アーチ14の最も内側の縁に位置する内側の細長い部分14aと、内側縦アーチ領域14bと、外側縦アーチ領域14cと、最も外側の縁に位置する外側の細長い部分14dとで構成されると考えることができる。アーチ14の領域において、内側および外側縦アーチ領域の間の仮想の分割線は、足の全体としての中央線Mに厳密に従うよりもむしろ、図示のようにいくらか斜めである。
【0034】
本発明を説明する目的において、足が、足の内側および外側縦アーチを安定させる踵、中足部、および前足部の領域(V1〜V10)とともに示されている。図は概略図であり、正確な位置は個人の身体構造に依存する。
【0035】
V1は、中足部を通る踵の回内を防止する内側前寄りの踵骨の接地の部分を安定にする領域を表す。V1は、図に示されるように、第4趾に実質的に整列した足の中央線から中央線の外側の接地の部分である。領域V1は、中央線の外側に限られ、中央線を越えて足の内側へと広がってはならず、あるいはV3(後述)に位置するボイドを除いて踵の内側の釣り合いのボイドを有してはならない。
V2は、踵骨隆起の外側突起の下方である。
V3は、踵骨隆起の内側突起の下方である。
V4は、踵骨の外側前寄りの接地の下方である。
V5は、第1中足骨頭の下方の種子骨の下方である。
V6は、第5中足骨頭の下方である。
V7、V8、およびV9は、第2、第3、および第4中足骨頭の下方である。
V10は、第1趾の末節骨の下方である。
【0036】
以下では、中敷きの角度、すなわち後足部から前足部まで足が載せられる表面の角度が、足が安楽な立位にあるときに約20度未満である状況について述べる。この角度未満であれば、TCN関節複合体が、後足部および中足部を通る回内を許すことができる。当然ながら、そのような中敷きにおいても、20度よりも大きい傾きが、踵が地面から離れるときの押し出しにおいて生じる。
【0037】
本発明の発明者は、足が回内する人々において、踵骨の前部が前方に倒れ、2つの踵骨前側接地が生じることを発見した。より内側の接触は、踵の外半分へと延びている第3および第4趾に大まかに整列している。より外側の接地は、外側前寄りの踵骨隆起の下面に位置する。内側前寄りの踵骨の接地が、踵を通る回内の大きな原因であり、安定化を必要としている。
【0038】
ボイドがV3に存在し、V1には存在しない場合、V2およびV4におけるボイドが、踵外側を通る小量の回内を防止する。V1のボイドそのものは、踵着地における後足部を通る回内および中足部を通る回内を防止する。
【0039】
上述のように、安楽な立位における前部の地面における支持は、主として、第1および第5中足骨頭の下方の隆起(V5およびV6)に位置するが、他の中足骨頭は、ひとたび体の重量が中足部の前部に移動すると、より多くの重量を支える。それらが、足底の内側および外側縦アーチの前側の迫台を呈する。2つの種子骨が、第1中足骨頭の支持において重量を支える。第1および第5の地面における支持は、同時に地面に接触しなければならない。
【0040】
本発明の発明者は、これらの前側接地点の下方の中敷きを取り除くことで、前足部を通る内側への回転が防止されることを発見した。第1および第5中足骨頭の接触点V5およびV6の下方の中敷きを除去することで、前足部を通る回内が実質的に排除される。他の中足骨頭との組み合わせが、この効果を改善できる。
【0041】
回内への抵抗の程度を、足のアーチを正しく持ち上げ、第1中足骨の支持へと向かう支持のずれを伴うことなく第1および第5中足骨頭を中敷きへと正しく同時に衝突させることによって、判断することができる。踵、中足部、または前足部を通る内側への回転が存在してはならない。膝が内側に倒れてはならず、すべての関節が適度に自由であるという条件で、骨盤および肩が水平でなければならない。
【0042】
上述の迫台の接地の下方のボイドは、足の裏の組織が沈み込むことができるように充分に大きくなければならず、内側への回転に抵抗して足の運動を前方方向に向けるために、ボイドの内側の縁に沿って充分な内側接触面をもたらさなければならない。この目的のため、矩形または正方形のボイドが、内側への回転に抵抗して足の運動を前方方向に向けるように足の裏の組織に接触する大きな表面積をもたらすことがない円形のボイドよりも、はるかに良好である。円形のボイドは、ボイドの側面が鉛直であり、足の運動に抵抗する材料で製作される場合に奏功することができる。例えば足全体を横切る細長い部位の中足部の全体など、足の全領域の下方の中敷きを完全に除去することは、分かれた個別のボイドと比べて、はるかに小さい効果しか有さない。したがって、長辺を前後方向に配置した矩形のボイドが理想的である。内縁の面取りは、足が転がる表面をもたらすことになるため、推奨されない。面ファスナー材料(hook and loop material)は、表面が堅すぎ、効果を台無しにするため、推奨できない。個別の小さいボイドは、抵抗効果を増大させる。
【0043】
本発明の実施形態の以下の説明において、用語「中敷き」は、使用時に足が載せられる上面を有する材料の物体を指す。この物体が、靴または他の履き物の底を構成することができ、したがって履き物の一体の一部分として形成されてよく、あるいは既存の履き物へと挿入することができ、もしくは例えば吸着または剥離可能粘着剤によって足の裏へと直接取り付けることができる別途のインソールの形態をとってもよい。用語「インソール」は、中敷きの少なくとも一部を形成するように既存の履き物へと挿入することができる単一の品物、または中敷きの少なくとも一部を形成するように履き物へと挿入または取り付けできる複数の別々の構成要素を包含する。その別々の構成要素は、互いに切り離し可能に接続できてもよい。中敷きの種々の領域を、使用時にその上に位置する足の各部分と同じ用語および参照番号を使用して説明する。したがって、中敷きの踵領域12は、
図1に示した足の踵領域12の下方に位置することになる部分を指し、以下同様である。
【0044】
図2が、本発明の第1の実施形態による中敷き20の平面図を示している。中敷き20は、おおむね平坦であるが、領域V1にボイドを残すように一部分が取り除かれている。V1のボイドは、踵の外半分へと延びる内側前寄りの踵骨の接地の外側部分の下方の踵外側領域の範囲内にある。V1のボイドは、最小で約0.6cm
2のサイズを有さなければならないが、
図2に示されている領域V1の全体または一部であってよい。中敷きを横切る方向において、V1のボイドは、足の中央線から外側へと第4指骨の外側面に実質的に整列する地点まで広がっている。したがって、V1のボイドは、第4指骨(第4趾)に実質的に整列する。使用時に、V1のボイドが、内側前寄りの踵骨の接触の回内を可能にする部分との接触を取り除く。ボイドV1が中央線を越えて内側へと広がってはいないこと、および踵骨の内側にV1に対する釣り合いのボイドが(領域V3以外には)存在しないこと(そのようなボイドは、V1のボイドの効果を打ち消してしまうため)が、重要である。ボイドV3は、通常であれば領域V1のボイドによって達成される効果を打ち消してしまうと考えられる踵内側に配置される釣り合いボイドに抵抗する。
【0045】
回内がないと、土踏まずが適切に安定化でき、体の重量が、歩行周期の進行時に中足部へと正しく移動することができる。第1および第5中足関節頭の下方の中敷きとのおおむね等しい接触が、前方へと移る重量に等しい支持を与え、これが回内を伴わずに生じる。
【0046】
V1のボイドの存在が、重量が中足部の中央に達し、踵が持ち上がり始めるまで、回内を制御する。この時点で、重量は、内側および外側縦アーチの前側を介して伝達され、回内が、中足骨頭の下方の前側の迫台を通って生じうる。領域V5の下方、ならびに領域V6、V7、V8、V9のいずれか、または組み合わせ、あるいはすべての下方の中敷きのボイドが、これの発生を阻止する。
【0047】
これが、
図2において点線によって示されており、第1中足骨頭の下方の種子骨の下方のV5に位置する随意によるボイドと、V6(第5中足骨頭の下方の隆起の下方)、V7、V8、およびV9(第2、第3、および第4中足骨頭の下方)のいずれか、または組み合わせ、あるいはすべての下方の随意によるボイドとが示されている。
【0048】
領域V7、V8、およびV9の下方のボイドを、第2〜第5趾の下方の中敷きを下げ、あるいは取り除くように、前方へと延ばすことができる。これは、第2〜第4中足骨の下方のボイドを維持しつつ、下方槌状趾の人々のために圧力を取り除くうえで有用である。
【0049】
V1のボイド(および、上述および後述の他の任意の領域のボイド)を、中敷き20を上側から下側まで完全に貫く穴が存在するように材料を完全に除去することによって形成してもよい。あるいは、ボイドV1を、中敷き20の上面24が特定の領域において残りの領域の高さよりも下がるように、中敷き20の上面24のくぼみとして形成してもよい。足の裏の組織がボイドの底に触れることが可能でないのが好ましい。なぜならば、ボイドの底が、ボイドの側面に依存して足が回転するための表面を提供することになりかねないからである。ボイドは、足を特定の方向に傾けるとともに、足の組織がボイドの縁に接触すること、または単純に足の組織が回転できる表面を取り除くことによって、運動に抵抗する。
【0050】
別の代案においては、上面24が、ボイドを見えなくするとともに、ボイドへの汚れの蓄積を防止するために、連続的かつV1のボイド(または、任意の他のボイド)を覆って広がる薄い柔軟な層を備える。しかしながら、そのようなカバー層は、それ自身が足を支えることはなく、足の軟組織が依然としてボイドの中へと変形できるように、充分に薄くかつしなやかでなければならない。
【0051】
図3が、本発明の別の実施形態による中敷き20の平面図を示している。この例では、中敷き20がやはりおおむね平坦であり、ボイドが、踵骨隆起の内側突起の下方の領域V3に設けられている。さらに、以下の地点、すなわちV1(上述)、V2(踵骨隆起の外側突起)、V4(外側前寄りの踵骨の接触)、V5、V6、V7、V8、およびV9(すでに述べたとおり)における接地のいずれか、または組み合わせ、あるいはすべてに、ボイドが存在してもよい。これらの随意によるV1、V2、およびV4〜V9のボイドは、点線で示されている。
【0052】
随意により、ボイドを、点線で示されているように、第1趾18aの中央末端部分V10にも設けてよい。なぜならば、第1趾の末節骨は、内側縦アーチの前側の迫台の安定化を助ける近接力をもたらすからである。
【0053】
中敷き20がおおむね平坦であるさらなる実施形態において、踵外側および領域V3のいずれかまたは両方のボイドに加えて、1つ以上のさらなるボイドを、内側縦アーチの領域14bまたは外側縦アーチの領域14cに設けてもよい。中敷き20が内側アーチの領域に隆起した小山を有する場合には、1つ以上のボイドを、アーチの領域14a〜14dのどこにでも設けてよい。
【0054】
上述の種々の実施形態は、踵および前足部の領域における支持部が互いに実質的に同じ高さにあり、あるいは踵から前足部へと水平に対して約20度以下の下り傾斜が存在する中敷きに関する。したがって、これは、実質的に平坦または踵の低い履き物と同じである。そのような履き物においては、中央足根関節が自由であり、回内が、本発明の造作によって防止されない限りは、中足部を通って生じうる。
【0055】
しかしながら、中敷きが踵から前足部へと約20度よりも大きい角度で傾斜し、あるいは履き物がそのような角度で足を支持するように形作られるより踵の高い履き物においては、土踏まずが充分に堅固になり、中央足根骨が固定される。TCN関節複合体における運動が、前足部および後足部を通る回転を可能にする。そのような回転は、3つの枢支点、すなわち前足部が中敷きに触れる場所、靴の踵を介して地面に作用する中敷きとの踵の接触の場所、および上方の人間の腰を中心にして生じる。これらの3つの点を中心とする運動は、足の裏が正中面に向かって移動しようとする内転(inversion)および足の裏が正中面から遠ざかるように移動しようとする外転(eversion)につながる可能性がある。
【0056】
土踏まずが持ち上げられているため、外側縦アーチが、中足部を通る過度の内転を防止することができず、足首の「回転」がはるかに容易になる。これは、靴の踵の枢動がきわめて細い先端において生じるスティレットヒールの(stiletto heeled)履き物にとくに当てはまる。完全な内転から完全な外転まで、膝が、中敷きが実質的に平坦である場合よりもはるかに大きいほぼ180度にわたって運動する可能性がある。
【0057】
このように、高い踵においては、内側および外側アーチの前側の迫台を安定させなければならない。中敷きとの接触における足の「回転」が、靴への体重移動を引き起こす。スティレットヒールにおいては、これが、内側または外側への足首の「回転」を引き起こす靴の完全な倒れの発生の可能性を大幅に高くする。
【0058】
前側の迫台の安定化は、V5(種子骨の下方の第1中足骨頭の下方)のボイドおよびV6(第5中足骨頭の下方の隆起の下方)のボイドを必要とする。第2〜4中足骨頭の下方のボイド(V7、V8、V9)も、回転を少なくする。中足骨の下方のボイドは、好ましくは、別々のボイドでなければならず、ボイドの側面が鉛直でない限り、1つのつながったボイドであってはならない。
【0059】
内側前寄りの接地(V1ならびに踵骨内側へと交差する接地)ならびに領域V2およびV3が、実際および機能上の後ろ側の迫台であるため、踵における回転を可能にする重要な踵骨の接触点である。3つのすべての点の下方のボイドが、踵の回転に対して最大の抵抗をもたらす。内側前寄りの踵骨の接地の内側の下方のボイドが、足の内側半分に位置するため、内側への回転を防止する。同じ接触の外側の下方のボイドは、足の外側半分に位置して外側への回転を防止する。両側の下方のボイドは、両側の回転を少なくする。より大きなボイドは、或る程度の回転を許すと考えられるため、好ましくは、ボイドは、接地の面積よりもはるかに大きくてはならない。
【0060】
内側前寄りの踵骨の接地の下方のボイドが、内側および外側への回転を大幅に減らす一方で、V3にのみ位置するボイドは、内側への回転を小さくし、V2にのみ位置するボイドは、外側への回転を小さくする。
【0061】
前側および後ろ側の両方の迫台を安定化させることは、回転の軽減に最大の効果を有する。前側または後ろ側のいずれかの迫台を別々に安定化させることは、他方における回転の軽減に或る程度の効果を有する。
【0062】
上述の種々の実施形態において、中敷き20は、材料のただ1つの本体を備えることができ、あるいは材料のいくつかの別々の本体で構成されてもよい。これらの別々の本体は、互いに切り離し可能に接続できてもよい。本体は、
図5に示されるように互いに直接に接続可能であってよく、あるいは互いに離れていて、ストラップまたは支柱によって接続されてもよい。切り離し可能な接続は、面ファスナーまたは任意の他の好都合な固定手段によることができる。切り離し可能な相互接続は、さまざまな構成の中敷き部品の組み合わせおよび交換によって中敷きを個々のユーザへとあつらえることを可能にする。
【0063】
中敷き20は、既存の履き物へと挿入することができる別途のインソールの形態をとってもよい。
【0064】
あるいは、中敷きを、靴、ブーツ、またはサンダルなどの履き物に一体に形成することができる。中敷き20を、
図6に示されるように、柔軟性を有する靴下28またはストッキングと一体に形成してもよい。
【0065】
したがって、ユーザは、単純に靴下28の上に既存の履き物を着用することができる。あるいは、靴下そのものが、それ自体で履き物を構成することができる。これを、公知の「スリッパソックス」(単なる下面に滑り止めの材料を有する靴下)の要領で屋内で着用することができ、あるいは適切な耐久性のある防水の材料から作られる場合には、屋外用として着用することができる。
【0066】
図7a〜
図7cが、前足部の領域の少なくとも一部分が踵の領域の内側前寄りの踵骨の接地に対して高くされている履き物20の代案を示している(概略的であって、比例尺ではない)。とくには、使用時に少なくとも足のうちの第1および第5中足骨頭の下方の部分を受け止める前足部の領域16が、領域12の踵の内側前寄りの踵骨の接地と比べて、少なくとも0.5cm高くされている。最も単純な形態においては、中敷きを、使用時に第1および第5中足関節を受け止め、したがって足のこれらの部分を踵の内側前寄りの踵骨の接地と比べて少なくとも0.5cm高くする2つのパッドで構成してもよい。この場合には、つま先も、第1および第5中足骨よりも低くなると考えられる。
【0067】
しかしながら、中敷きを、つま先を受け止める領域を含み、さらに随意により踵を受け止める領域も含むように、中足骨の領域よりも広げてもよい。
【0068】
例えば、
図7aのように、つま先および踵の領域が、実質的に平坦かつ互いに同じ高さとされる一方で、少なくとも第1および第5中足骨の下方の中足骨の領域を高くしてもよい。
【0069】
あるいは、
図7bのように、つま先および中足骨の領域が、実質的に平坦かつ互いに同じ高さとされる一方で、踵の領域が低くされる。
【0070】
別の代案においては、踵そのものを、自由に前方かつ下方に「傾ける」ことが可能であってよい。1つの方法は、踵の下方に後方から前方へのテーパを持たせ、踵と中敷きの残りの部分との間にジョイント26を備え、
図7cに矢印によって示されるように踵部分を傾けることを可能にすることである。この方法で、体の重量が内側前方の踵骨の接地に達するときに、踵の前部が、中敷きの残りの部分よりも下方へとわずかに沈み込む。これが、V1のボイドを生じさせるとともに、踵を第1および第5中足骨頭の接地と比べて低くする。
【0071】
さらに、少なくとも中足部(存在する場合)および前足部において地面に接触する靴の外底は、好ましくは「揺り子(rocker)」の形態を存在させることなく、おおむね平坦でなければならない。そのような構成は、足首の前側に加わる圧力が増すときに第1趾の末節骨が第1および第5中足骨頭と同時に中敷きに触れるように上方へと傾斜している中敷きに対して利点を有する。これが、末節骨の下方の中敷きが平坦であり、あるいは第1および第5中足骨頭と同じ高さまたは第1および第5中足骨頭より低いことで、取り除かれる。より高い場合、上り傾斜は5度以下でなければならない。
【0072】
中足部または前足部の下方に揺り子が存在しないことは、これによって歩行時の安定性が向上すること、および前足部における揺り子作用は「つま先が離れる」際の足首および膝への圧力を大きくすることから、重要である。
【0073】
第1および第5中足骨頭の下方、または前足部の下方、あるいは前足部および中足部の下方にだけ支持を備え、踵は地面に当接するままである中敷きも、有効に機能する。あるいは、中敷きが、足全体を支持する一方で、第1および第5中足骨頭を少なくとも0.5cmだけ踵よりも持ち上げてよい。踵の下方および前足部の下方の支持を備え、中足部を備えない中敷きも、有効に機能する。これらの選択肢はいずれも、内側前寄りの接地と第1および第5中足骨頭との間の高さの相対的な差が少なくとも0.5cmであり、踵骨の接地の方が中足骨よりも低い限りにおいて、回内を防止する。この方法で、足の土踏まずを、回転が生じる前に「堅く」することができる。
【0074】
このように、本発明は、回内を食い止めるべく足へともたらされる支持を変化させる改善された中敷きを提供する。特許請求の範囲の技術的範囲から外れることなく、中敷きの厳密な構成が、多数の形態をとることができ、細部を、添付の図面に示した細部から変更できることを、理解できるであろう。さらなる随意による特徴を備えることも可能である。
【0075】
例えば、中敷き20(履き物とは別であり、あるいは履き物と一体に形成される)が、最初に連続的な上面24を備え、その一部分が上述のとおりのボイドのうちの1つ以上のボイドを形成するために随意により除去可能であってよく、これにより、可能な構成の選択肢を与えるべく、中敷き20を購入したユーザが必要に応じて一部分を除去することができる。
【0076】
また、V1〜V10という種々の領域の各々に、ただ1つのボイドが示されているが、各領域が、実際には2つ以上のボイドを備えてもよいことを、理解できるであろう。さらに、上記の実施形態は、請求される地点に回内を防止するために充分なボイドを残すように、中敷き20が上述の接地点の周囲に築き上げられる状況も含む。
【0077】
中敷きを、すでに述べたように、少なくとも踵における骨の接地の地点および中足骨の下方において、粒子材料のきわめて薄い層によって形成することができる。人間がそのような中敷きの上に立つとき、粒子が当然ながら人間の重量のもとで移動し、必要な領域にボイドを生み出す。層は、効果を奏するために、固体の堅い層へと圧縮されることがないように充分に薄くなければならない。