(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393262
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】断熱が向上した光線治療パッチ
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
A61N5/06 A
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-519437(P2015-519437)
(86)(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公表番号】特表2015-521884(P2015-521884A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】IB2013055200
(87)【国際公開番号】WO2014006537
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2016年6月21日
(31)【優先権主張番号】61/667,494
(32)【優先日】2012年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】レメンス パウル マルセル カール
(72)【発明者】
【氏名】オフェルスルイゼン ヒェリット
(72)【発明者】
【氏名】スポーレンドンク ヴォウテル ヘンドリック コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ファン オズ ヤコブス ペトルス ヨハンネス
【審査官】
松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−192315(JP,A)
【文献】
実開平07−012153(JP,U)
【文献】
実開平06−000459(JP,U)
【文献】
特表2012−532643(JP,A)
【文献】
特表2003−507144(JP,A)
【文献】
特開2012−090950(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0058907(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0187597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/06 − 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置であって、
前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を持ち、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディと、
前記可撓性のボディの前記後面を覆う断熱層と、
前記断熱層の断熱値に基づいて前記少なくとも1つの光源を制御する制御ユニットと、
を有する発光装置。
【請求項2】
前記断熱層が、少なくとも0.2TOG、又は、少なくとも0.4TOG、又は、少なくとも0.5TOGによって規定される断熱値によって特徴づけられる請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光源がLEDである請求項1乃至2のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光源が、前記照射領域を照射するための発光領域にわたって分布している複数のLEDを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記制御ユニットが、発光の所定の間隔に従って前記光源を駆動するよう構成され、前記間隔の持続期間が、前記断熱層の断熱値に基づく請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記断熱層が、繊維及び発泡体から成るグループに含まれる材料で作成される請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記断熱層が、前記発光領域の表面積の2倍より大きい表面積を持つ請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記哺乳動物が、人間である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置を製造するための部品一式であって、
前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を持ち、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディと、
前記可撓性のボディの前記後面を覆うよう適応させられる断熱カバーと、
前記断熱カバーの断熱値に基づいて前記少なくとも1つの光源を制御する制御ユニットと、
を有する部品一式。
【請求項10】
哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置を組み立てる方法であって、
前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を持ち、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディを供給するステップと、
断熱カバーで、前記可撓性のボディの前記後面を覆うステップと、
前記断熱カバーの断熱値に基づいて前記少なくとも1つの光源を制御する制御ユニットを動作可能に接続するステップと、
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物の組織の近くでの使用のための光線治療装置に関する。より詳しくは、本発明は、鎮痛パッチとしての使用のための光線治療装置、このようなパッチを製造するための部品一式、及びその組み立てのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯装置の場合は、電力消費は、鍵となる設計要因である。より詳しくは、処置のために、例えばハイパワーLEDからの高輝度光を用いる携帯装置及びウェアラブル装置の場合は、バッテリ消費がより一層重要である。なぜなら、高輝度光はかなりの電力を必要とするからである。更に、このような携帯装置は、再充電なしに、光線治療の後続のアプリケーションセッションの間のより長い期間、このような高い電力要件を満たすことができなければならない。更に、装置をウェアラブルにするため、これらの要件は、小さいフォームファクタに適合させられなければならない。
【0003】
多くの光線治療処置において、血管拡張を引き起こす身体過程をアクティブにすることは効果的である。血管拡張は、身体の温度調整システムの一部であり、創傷治癒、鎮痛及び皮膚の健康に有益であると考えられる。
【0004】
光を用いて、例えば、筋肉の痛みを治す光線治療装置の他の問題は、光源が熱を発生することである。従来技術においては、この問題は、例えばUS 6290713などで、皮膚接触面が所望の温度未満のままであるように照明器が受動的に又は能動的に冷却されるヒートシンクを用いることによって、解決されている。受動的な冷却は、LEDによって発生される熱の、患者の皮膚から遠くへの伝達の増大を供給するよう配置されるフィンとして示されている。LED光源によって発生される熱から患者を更に保護するため、US 2010/179469は、患者の皮膚に接触するよう適応される部分と、光源との間の断熱層を用いている。US 2010/179469は、更に、例えば、冷却剤の供給又はファンのスピードを増大させることにより、患者の過熱を防止するために、熱管理システムを用いる熱の調節を提案している。
【0005】
光線治療装置の電力消費は、LEDを連続駆動する代わりに、LEDをパルス化することによって、依然として血管拡張を引き起こす効果をもたらしながら、或る程度までは減らされ得る。なぜなら、血管拡張は、皮膚に位置する熱受容体を介してアクティブにされ、これは、光の相対的に短いが、強力なバーストによって引き起こされ得るからである。血管拡張がアクティブにされたら、血管拡張は、更なる熱刺激の必要なしに、数分程度の相対的に長い期間、アクティブなままであるだろう。しかしながら、別の問題が発生し得る。なぜなら、ユーザは、光パルスの間の期間、冷えたように感じるかもしれず、これは、装置の使い心地を悪くするからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上で確認した問題の少なくとも1つに対処することにより、現在の最先端のものを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様においては、哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置であって、前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を収容し、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディと、前記可撓性のボディの前記後面を覆う断熱層であって、前記可撓性のボディより大きい表面積を持つ断熱層とを有する発光装置が提供される。
【0008】
発光装置を断熱することによって、前記光源からの熱は、治療的処置において(再)利用される。熱は、多くの治療的処置において、例えば、鎮痛において有益であり、血管拡張を引き起こすためにも有益である。発光装置によって発生される熱のかなりの量が皮膚を介して放散されることが実験によって示された。実験は、前記パッチの断熱は、前記皮膚における熱負荷を劇的には増大させないことも示した。それとは反対に、断熱は、前記パッチの熱を保ち、身体的/生理学的なレベルと、心理的なレベルとの両方において有益であるより長く続く温覚を確実にする。更に、前記光源の全電力使用量が、減らされることができ、従って、前記発光装置のためのバッテリの寿命は、増大させられることができる。
【0009】
更に驚くべき効果は、断熱を向上させることにより、同じ照射で、前記皮膚の温度が、より上昇することもなく、又はより速く上昇することもないことである。それどころか、予想されるのとは反対に、前記温度の上昇率は減らされる。この驚くべき効果の理由は、前記血管拡張が増加させられ、従って、より多くの熱を前記照射領域から運び去り、従って、前記温度の上昇率を減らすというものである。これは、皮膚の安全性を危うくすることなく、即ち、皮膚の温度を安全な範囲内に保ちながら、光により引き起こされる処置のためのより高い放射照度の利用を可能にする。それ故、光線治療発光装置の断熱の向上は、より高い放射照度、血管拡張の増加、処置の持続期間の増加、電力の消費量/必要量の減少及びバッテリ寿命の延長を可能にするなどの、多くの有益な効果を持つ。
【0010】
前記断熱はまた、前記処置が、より周囲環境によって影響を及ぼされないようにする。従って、前記装置の使用の結果は、より予測可能になるだろう。なぜなら、前記結果は、例えば、周囲温度、前記ユーザによって着用され、前記装置を覆う衣服の厚さなどによって影響を及ぼされないからである。
【0011】
前記発光装置の前記断熱層は、TOG(Thermal Overall Grade)、毛布/衣類織物業界において用いられている英国規格4745によって規定される断熱値を持ち得る。一般に、2乃至3mmの厚さのフリースの毛布は、0.05m
2K/Wに相当する0.5TOGという断熱値を供給する。本発明の実施例による発光装置の場合は、上記の理由で、0.2TOG以上の、好ましくは、0.4TOG以上の、より好ましくは、0.5TOG以上の前記断熱層が、効率的であることが分かった。
【0012】
前記発光装置の前記光源は、好ましくは、LEDであるが、LED、白熱灯及びガス放電ランプから成るグループ内の光源であり得る。1つ又は複数のLEDを用いることの利点は、LEDは、エネルギ効率が良く、多くの場合、LEDの放射線スペクトルが狭いことである。LEDの放射線スペクトルが狭いことは、更に、エネルギ消費を減らすのに役立つ。なぜなら、実質的に、前記処置のための所望の波長範囲内の出力が生成されるからである。
【0013】
実施例においては、前記光源は、前記照射領域に対応する発光領域にわたって分布している多数のLEDである。それらは、例えば、前記発光領域にわたってマトリックスのように分布し得る。(組み立てられた)大面積の光源であるLEDマトリックスは、単一の光源からの放射を放射領域に広げるためのかさばる且つ/又は複雑な光学部品を用いずに、同様に大面積の哺乳動物の組織を処置することを可能にする。
【0014】
前記発光装置は、前記光源の出力を制御するための制御ユニットを更に含み得る。実施例によれば、前記制御ユニットは、「オン」間隔及び「オフ」間隔の所定のスキームに従って前記光源を駆動するよう構成される。前記断熱層が熱損失を減らすので、前記光源の「オフ」期間中の温度低下、又は前記光源の「オン」期間中の熱い場所は、著しく減らされ得る。これは、前記光源のインターバル駆動スキームのデューティサイクルを更に減らすこと、即ち、より短い「オン」期間及びより長い「オフ」期間を用いることを可能にし、これは、前記発光装置を、より一層、電力効率の良いものにし、従って、より一層、電力を節約する。本願に関しては、「オン」期間は、前記光源が、前記哺乳動物の組織において血管拡張プロセスを引き起こすのに十分な照射量で光を発するよう駆動される期間を指し、「オフ」期間は、前記光源が、前記哺乳動物の組織において血管拡張反応を引き起こすのには不十分な照射量で光を発するよう駆動される期間を指す。それ故、「オフ」期間は、必ずしも、「光がない」ことと等しくない。
【0015】
前記断熱層は、軽量、低熱容量及び高い断熱を兼ね備える材料から成るグループに含まれる材料で作成され得る。このような材料の例は、繊維及び発泡体である。
【0016】
実施例においては、前記断熱層は、前記発光領域の表面積の少なくとも150%、より好ましくは、前記発光領域の表面積の少なくとも200%である表面積を持つ。これは、上記の断熱特性及び利点が十分に達成され、前記断熱の利点が向上されることを確実にする。前記発光領域と比べてかなり大きい断熱層を設けることは、前記光源を収容する前記可撓性のボディの断熱に加えて、前記哺乳動物の組織のかなりの領域も、周囲から断熱され、従って、前記発光領域それ自体と比べてかなり大きい領域にわたっての暖め効果の維持に役立つという利点を持つ。
【0017】
前記断熱材料は、使い心地の良い、軽量な材料であり得る。
【0018】
本発明による発光装置は、人間の上で用いられてもよいが、如何なる哺乳動物の上で用いられる場合でも、同じ効果及びほとんどの利点がある。
【0019】
本発明の他の態様においては、哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置を製造するための部品一式であって、前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を収容し、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディと、前記可撓性のボディの前記後面を覆うよう適応させられる断熱カバーであって、前記可撓性のボディより大きい表面積を持つ断熱カバーとを有する部品一式が、提供される。
【0020】
前記部品一式が、上記の発光装置と同じようにして実施されることができ、同じ、対応する利点を持つことは、当業者には明らかである。
【0021】
本発明の第3の態様においては、哺乳動物の組織の近くでの使用のための発光装置を組み立てる方法であって、前記哺乳動物の組織に面する前面、及び反対側の後面を持つ可撓性のボディであって、前記可撓性のボディが、少なくとも1つの光源を収容し、前記少なくとも1つの光源が、前記哺乳動物の組織の照射領域を照射するよう構成される可撓性のボディを供給するステップと、前記可撓性のボディより大きい表面積を持つ断熱カバーで、前記可撓性のボディの前記後面を覆うステップとを有する方法が、提供される。
【0022】
本発明の方法は、本発明の発光装置に関連して上に記載した特徴のいずれも含むことができ、同じ、対応する利点を持つことに留意されたい。更に、本発明は、請求項に列挙されている特徴のあり得る組み合わせの全てに関することに留意されたい。
【0023】
本発明は、有利には、前記発光装置から前記哺乳動物の組織上に発せられる光の効果に加えて、熱が、付加的な効果を持つ、又は相乗効果さえ持つと考えられる用途において用いられる。このような用途の例は、鎮痛、創傷治癒、又は処置される前記哺乳動物の組織の暖めの効果を緩和することが利点を供給し得る用途を含む。それ故、本発明は、主な目的が、熱を発生させ、前記哺乳動物の組織に熱を加えることである用途においても、用いられ得る。この場合には、前記光源は、熱源であり、発光それ自体は、副次的なものであり、例えば、赤外線LEDが用いられ得る。
【0024】
以下の、例示的且つ非限定的な、本発明の好ましい実施例の詳細な説明を参照することで、添付の図面と共に解釈される場合、本発明の、上記の目的、並びに更なる目的、特徴及び利点が、より完全に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1:本発明による断熱発光装置の断面画像である。
【
図2a】本発明による断熱発光装置の概略的な画像である。
【
図2b】本発明による断熱発光装置の別の実施例の概略的な画像である。
【
図3】インターバル駆動光源が用いられる本発明の実施例による発光装置の、断熱を向上させる効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図に図示されているような層及び領域のサイズは、説明の目的のために誇張されており、従って、本発明の実施例の大まかな構造を説明するために示されている。同様の参照符号は、全体を通して、同様の要素を指す。
【0027】
図1は、本発明による照明装置の実施例の断面図を示している。照明装置1は、前面4及び後面5を持つ可撓性のボディ3によって構成される。哺乳動物の組織、通常、皮膚に面する前面4には、LEDマトリックスの形態の光源6が取り付けられる。他の例においては、光源は、可撓性のボディに組み込まれてもよく、若しくは埋め込まれてもよく、又は可撓性のボディの後面に取り付けられ、可撓性のボディを通して、哺乳動物の組織の方向に照射してもよい。光源6を備える可撓性のボディ3は、断熱層7によって覆われ、又は断熱層7に埋め込まれ、故に、装置、及び装置によって覆われる組織は、環境から断熱される。光源は、組織に直接触れずに組織を照射するように配置される。断熱層は、一般に、2乃至4mmの厚さのものであり、好ましくは、0.05m
2K/W以上に相当する、0.5TOG(thermal overall grade)以上の断熱を持つ。
【0028】
図2aは、光源、即ち、LEDマトリックスが配置される前面4からの発光装置1を示している。
図2aは、断熱層のサイズが照射領域のサイズと比べてかなり大きい実施例を示している。
図2bは、断熱層のサイズが照射領域のサイズと比べてわずかにしか大きくない装置の別の実施例を示している。この実施例は、小さい装置が必要とされる場合、例えば、より大きい装置は、処置されるべき組織の領域に合わない場合に、用いられ得る。
【0029】
図3は、(i)断熱発光装置、例えば、パッチの後部に断熱層を備えるパッチに組み込まれたパルス駆動光源の使用時の皮膚の温度応答(実線曲線)と、(ii)他の断熱発光装置、例えば、身体の一部に巻きつけられ、例えば、付加的な毛布によって覆われた同じパッチに組み込まれたパルス駆動光源の使用時の皮膚の温度応答(破線曲線)とを示している。皮膚の温度の増加は、光源のオン期間に対応し、皮膚の温度の減少は、光源のオフ期間に対応する。断熱の向上により、オフ期間中の温度の減少が減り、これは、より長いオフ期間を可能にする。しかしながら、これは予想してなかったが、オン期間中の温度の増加も、断熱の向上により、減った。これは、血管拡張の増加の全身性反応に起因している。血管拡張の増加は、より低い平均温度(
図3においては、断熱されたものの場合は41.5度、断熱され、包まれたものの場合は40度)ももたらす。その結果として、皮膚の火傷のリスクなしに、照射量は、更に増やされることができ、それによって、組織において光により引き起こされる効果は、更に高められることができる。
【0030】
それ故、断熱の向上は、放射照度の増加、血管拡張の増加、処置の持続期間の増加(より長いオフ期間)、電力の消費量/必要量の減少及びそれ故のバッテリ寿命の延長を可能にするなどの、多くの有益な効果を持つ。
【0031】
上記の、装置、及び付随する、前記装置を用いる方法は、携帯且つ/又はウェアラブル装置、とりわけ、光線治療の、光生物学的な、光により引き起こされる効果に続く、例えば、筋肉の痛みの治療における所望の効果の一部として、哺乳動物の組織の血管拡張プロセスをサポートする、又は引き起こす装置における電力消費を効果的に減らす。オン期間は、実は、オフ期間中に熱/光入力が中断した後も続く血管拡張及び光生物学応答をアクティブにする。これらの効果は、皮膚の健康、創傷治癒及び鎮痛に有益且つ効果的である。
【0032】
組立品の細部は、本発明にとって重要ではないことに留意されたい。本発明の他の変形例が考えられ、幾つかの例においては、本発明の幾つかの特徴が、他の特徴の対応する使用なしに用いられ得ることは、理解されたい。従って、添付の請求項が、本発明の範囲と一致するように広く解釈されることが適切である。
【0033】
更に、当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の請求項の研究から、開示されている実施例に対する変形を、理解し、達成することができる。請求項において、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数の存在を除外しない。単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。