【課題を解決するための手段】
【0018】
本出願人は、1ロットのタイヤ製造の範囲内の特定の時間において、特定の要求について適応性のある1つまたは複数の加硫装置に対して、未硬化タイヤの取り出しロジックを使用することで、特に、国際公開第2009/040594号に記載したものなどの高い技術的適応性を有する最新のプラントにおいて、上記の問題を解決できることを認識した。
【0019】
本出願人は、保管領域から未硬化タイヤを選択して取り出すために、各加硫装置を未硬化タイヤのそれぞれの取り出しロジックに対応付け、加硫装置で未硬化タイヤを加硫するという各要求時に、そのような加硫装置に現在対応している取り出しロジックを適用することにより、プラントで製造される各タイヤの適応的かつ効率的な管理が行われると分かった。取り出しロジックは、少なくとも1ロットのタイヤの製造の範囲内で、製造プラントの現在の要求に応じて変わるのが好ましい。
【0020】
したがって、本発明の第1の態様によれば、本発明は、製造プラントの複数の加硫装置の各加硫装置を、未硬化タイヤの少なくとも1つの保管領域からの未硬化タイヤのそれぞれの取り出しロジックに対応付けることを含む、車両ホイール用のタイヤを製造する方法に関する。
【0021】
前記複数の加硫装置のうちのある加硫装置で未硬化タイヤを加硫するという各要求時に、前記加硫装置に対応した取り出しロジックを適用して、前記少なくとも1つの保管領域から未硬化タイヤを選択して取り出すことが提供されるのが好ましい。
【0022】
選択して取り出した未硬化タイヤを前記加硫装置に移送することが提供されるのが好ましい。
【0023】
好ましくは、各加硫装置に対応したそれぞれの取り出しロジックは、前記少なくとも1つの保管領域からの未硬化タイヤの第1の取り出し規則を含む。
【0024】
好ましくは、前記加硫装置の少なくとも1つに対して、前記第1の取り出し規則は、前記プラントにおける少なくとも1ロットのタイヤの製造中に、少なくとも一度、少なくとも1つの第2の取り出し規則に変更される。
【0025】
本出願人は、有利には、このようにして、加硫装置が未硬化タイヤを加硫する準備を整えるたびに、サービス、製造、および/または製造工程の進展に関する現在の要求を満たす(例えば、特定の、または確定した仕様を有する、または確定した仕様および補助仕様を有する)未硬化タイヤを保管領域から自動的に選択して取り出すことが可能であると考える。このようにして、未硬化タイヤを保管領域から取り出して、加硫ラインに送るための適応的かつ効率的な管理が保証される。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、本発明は、未硬化タイヤの少なくとも1つの構築ラインを含む、車両ホイール用のタイヤの製造プラントに関する。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの保管領域は、前記少なくとも1つの構築ラインで構築された未硬化タイヤを保管するように適合される。
【0028】
複数の加硫装置があるのが好ましい。
【0029】
好ましくは、少なくとも1つの移送装置は、未硬化タイヤを前記少なくとも1つの保管領域から前記複数の加硫装置に移送するように適合される。
【0030】
好ましくは、処理ユニットは、各加硫装置を前記少なくとも1つの保管領域からの未硬化タイヤのそれぞれの取り出しロジックに対応付ける。
【0031】
好ましくは、前記処理ユニットは、前記複数の加硫装置のうちのある加硫装置で未硬化タイヤを加硫するという各要求時に、前記加硫装置に対応した取り出しロジックを適用して、前記少なくとも1つの保管領域から未硬化タイヤを選択して取り出し、その未硬化タイヤを前記加硫装置に移送するように前記少なくとも1つの移送装置を動作させる。
【0032】
好ましくは、各加硫装置に対応したそれぞれの取り出しロジックは、前記少なくとも1つの保管領域からの未硬化タイヤの第1の取り出し規則を含む。
【0033】
好ましくは、前記加硫装置の少なくとも1つに対して、前記処理ユニットは、前記プラントにおける少なくとも1ロットのタイヤの製造中に、少なくとも一度、前記第1の取り出し規則を少なくとも1つの第2の取り出し規則に変更するように適合される。
【0034】
本発明は、前述の態様の少なくとも1つにおいて、以下の好ましい特徴の少なくとも1つを有することができる。
【0035】
好ましくは、製造プラントが未硬化タイヤの単一の保管領域を含む場合、未硬化タイヤの保管領域は、前記第1の取り出し規則および前記少なくとも1つの第2の取り出し規則の適用を可能にするように構成される。
【0036】
好ましくは、製造プラントが未硬化タイヤの2つ以上の保管領域を含む場合、前記保管領域の少なくとも1つは、前記第1の取り出し規則および前記少なくとも1つの第2の取り出し規則の適用を可能にするように構成される。
【0037】
実施形態では、製造プラントが未硬化タイヤの2つ以上の保管領域を含む場合、保管領域のすべては、前記第1の取り出し規則および前記少なくとも1つの第2の取り出し規則の適用を可能にするように構成される。
【0038】
好ましくは、前記第1の取り出し規則および前記少なくとも1つの第2の取り出し規則は異なる。
【0039】
好ましくは、前記第1の取り出し規則は、前記少なくとも1ロットのタイヤの製造中に、製造プラントの要求に応じて、前記少なくとも1つの第2の取り出し規則に変更される。
【0040】
好ましくは、未硬化タイヤは、仕様Sp
jと、各仕様Sp
jの補助仕様Su
hとに対応し、1≦j≦n、1≦h≦mであり、n、mは1以上の整数である。
【0041】
好ましくは、前記複数の加硫装置の各加硫装置は、所定の仕様Sp
jに対応した未硬化タイヤを加硫するように構成される。
【0042】
好ましくは、前記第1の取り出し規則および前記少なくとも1つの第2の取り出し規則は、所定の仕様Sp
jに対応した未硬化タイヤを選択すると規定し、前記加硫装置は、所定の仕様Sp
j用に構成される。
【0043】
実施形態では、前記第1の取り出し規則は、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jに基づくFIFOと、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくFIFOと、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jに基づくLIFO(後入れ先出し)と、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくLIFOと、特定の未硬化タイヤの定時選択と、未硬化タイヤのランダム選択とを含む複数の取り出し規則から選択される。
【0044】
好ましくは、前記加硫装置の少なくとも1つに対して、前記第1の取り出し規則は、前記加硫装置が加硫するのに適合する仕様Sp
jに基づくFIFOと、前記加硫装置が加硫するのに適合する仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくFIFOと、前記加硫装置が加硫するのに適合する仕様Sp
jに基づくLIFOと、前記加硫装置が加硫するのに適合する仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくLIFOとを含む複数の取り出し規則から選択される。
【0045】
実施形態では、前記少なくとも1つの第2の取り出し規則は、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jに基づくFIFOと、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくFIFOと、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jに基づくLIFOと、加硫装置が適合して構成される仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくLIFOと、特定の未硬化タイヤの定時選択と、未硬化タイヤのランダム選択とを含む複数の取り出し規則から選択される。
【0046】
好ましくは、特定の未硬化タイヤの定時選択は、一義的な未硬化タイヤ識別要素を通じて行われる。
【0047】
好ましくは、特定の未硬化タイヤの定時選択は、一義的な未硬化タイヤ識別要素を載せた適切なラベルを使用して行われる。
【0048】
好ましくは、一義的な識別要素はバーコードである。
【0049】
好ましくは、前記複数の取り出し規則の少なくとも1つは、規則を適用する未硬化タイヤの数量の表示を含む。
【0050】
好ましくは、規則を適用する未硬化タイヤの前記数量は、規定されないか、または規定される。
【0051】
好ましくは、製造プラントが、未硬化タイヤの2つ以上の保管領域を含む場合、前記複数の取り出し規則の少なくとも1つは、取り出し規則が製造プラントの特定の保管領域か、または保管領域のすべてか、または保管領域の一部かのいずれに適用されなければならないかを示す。
【0052】
実施形態では、前記それぞれの取り出しロジックは、複数の加硫装置のうちの少なくとも2つの加硫装置に対して異なる。
【0053】
好ましくは、前記複数の加硫装置のうちの、大量生産に対する所定の仕様Sp
jに対応した未硬化タイヤを加硫するように構成された加硫装置の場合、前記第1の取り出し規則は、前記所定の仕様Sp
jに基づくFIFO取り出し規則である。
【0054】
好ましくは、前記複数の加硫装置のうちの、大量生産に対する所定の仕様Sp
jに対応した未硬化タイヤを加硫するように構成された加硫装置の場合、前記第1の取り出し規則は、前記所定の仕様Sp
jの所定の補助仕様Su
hに基づくFIFO取り出し規則である。
【0055】
好ましくは、前記第1の取り出し規則が、前記少なくとも1つの第2の取り出し規則に変更される前記加硫装置の前記少なくとも1つは、開発用生産に対する所定の仕様Sp
jに対応した未硬化タイヤを加硫するように構成される。
【0056】
好ましくは、未硬化タイヤは、少なくとも1つの移送装置によって、前記少なくとも1つの保管領域から選択されて取り出され、前記加硫装置に移送される。
【0057】
好ましくは、未硬化タイヤの構築が提供される。
【0058】
好ましくは、未硬化タイヤの構築には、カーカス構造体を構築することが含まれる。
【0059】
好ましくは、未硬化タイヤの構築には、クラウン構造体を構築することが含まれ、前記クラウン構造体は、少なくとも1つのベルト構造体を含む。
【0060】
好ましくは、未硬化タイヤの構築には、カーカス構造体を成形し、そのカーカス構造体をクラウン構造体に組み込むことによる、加工される未硬化タイヤの組立および成形が含まれる。
【0061】
好ましくは、構築された未硬化タイヤを未硬化タイヤの前記少なくとも1つの保管領域に保管することが提供される。
【0062】
好ましくは、未硬化タイヤを前記複数の加硫装置内で型成形および加硫することが提供される。
【0063】
好ましくは、処理ユニットは、前記少なくとも1つの保管領域に対して遠隔位置に配置される。
【0064】
実施形態では、未硬化タイヤのL個の構築ラインが設けられ、1<L≦Nであり、Nは2以上の整数である。
【0065】
実施形態では、未硬化タイヤのK個の保管領域が設けられ、1<K≦Pであり、Pは2以上の整数である。
【0066】
好ましくは、前記少なくとも1つの移送装置は、未硬化タイヤを前記K個の保管領域から前記複数の加硫装置に移送するように適合される。
【0067】
好ましくは、前記処理ユニットは、前記複数の加硫装置のうちの加硫装置で未硬化タイヤを加硫するという各要求時に、前記加硫装置に対応した取り出しロジックを適用して、前記K個の保管領域の中から未硬化タイヤを選択して取り出し、その未硬化タイヤを前記加硫装置に移送するように、前記少なくとも1つの移送装置を動作させるように適合される。
【0068】
好ましくは、前記少なくとも1つの移送装置は自動化アームを含む。
【0069】
好ましくは、未硬化タイヤを前記少なくとも1つの保管領域から前記加硫装置に移送するように適合された複数の移送装置が存在する。
【0070】
好ましくは、未硬化タイヤの前記少なくとも1つの構築ラインは、カーカス構造体構築ラインを含む。
【0071】
好ましくは、未硬化タイヤの前記少なくとも1つの構築ラインは、クラウン構造体構築ラインを含む。
【0072】
好ましくは、未硬化タイヤの前記少なくとも1つの構築ラインは、カーカス構造体を成形し、そのカーカス構造体をクラウン構造体に組み込むように適合された、加工される未硬化タイヤの成形および組立ステーションを含む。
【0073】
本発明のさらなる特徴および利点が、単なる非限定的な例として提示される、本発明のいくつかの例示的な実施形態についての以下の詳細な説明によって示され、前記説明は、添付図面を参照してなされる。