【文献】
ODA M,STRUCTURE-ACTIVITY RELATIONSHIPS 以下省略,JOURNAL OF PESTICIDE SCIENCE,日本,1993年 1月 1日,V18 N3,P245-251
【文献】
ODA M,QUANTITATIVE STRUCTURE-ACTIVITY RELATIONSHIPS 以下省略,JOURNAL OF PESTICIDE SCIENCE,日本,1993年 1月 1日,V18 N1,P49-57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
増量剤および/または界面活性剤に加えて、少なくとも一つの請求項1から3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を含む、植物病原性有害真菌を防除するための組成物。
殺虫剤、誘引剤、滅菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節剤、除草剤、肥料、薬害軽減剤および情報物質の群から選択される少なくとも一つの別の有効成分を含む、請求項6に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
別段の断りがない限り、本発明に従って置換される基または置換基は、ハロゲン;ニトロ、シアノ、C
1−C
16−アルキル;1から9個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するC
1−C
6−ハロアルキル;C
1−C
6−アルコキシ;1から9個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するC
1−C
6−ハロアルコキシ;C
1−C
6−アルキルスルファニル;1から9個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するC
1−C
6−ハロアルキルスルファニル;C
1−C
6−アルキルスルホニル;1から9個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するC
1−C
6−ハロアルキルスルホニル;C
2−C
12−アルケニル;C
2−C
12−アルキニル;C
3−C
7−シクロアルキル;フェニル;トリ(C
1−C
8)アルキルシリル;トリ(C
1−C
8)アルキルシリル−C
1−C
8−アルキルからなるリストで選択される1以上の基によって置換されている。
【0014】
最後に、式(I)の新規な(チオ)カルボキサミド類は、非常に良好な殺細菌特性を有し、作物保護および材料保護の両方で望ましくない微生物を防除するのに用いることができることが認められている。
【0015】
定義C
1−C
16−アルキルは、アルキル基について本明細書で定義の最大の範囲を含む。具体的には、この定義は、意味メチル、エチル、n−、イソプロピル、n−、イソ−、sec−、tert−ブチルを含み、さらには各場合で全ての異性体のペンチル、ヘキシルを含む。好ましい範囲は、C
2−C
12−アルキルであり、例えばエチルならびに直鎖もしくは分岐のプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルであり、特には直鎖もしくは分岐のC
3−C
10−アルキルであり、例えばプロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−3−メチルプロピル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−エチルペンチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、2−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、2−プロピルペンチル、ノニル、1−メチルオクチル、2−メチルオクチル、1−エチルヘプチル、2−エチルヘプチル、1−プロピルヘキシル、2−プロピルヘキシル、デシル、1−メチルノニル、2−メチルノニル、1−エチルオクチル、2−エチルオクチル、1−プロピルヘプチルおよび2−プロピルヘプチル、特にはプロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルエチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、ペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、3−メチルペンチル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−エチル−3−メチルブチル、1−メチルヘプチル、1,2−ジメチルヘキシル、1,3−ジメチルオクチル、4−メチルオクチル、1,2,2,3−テトラメチルブチル、1,3,3−トリメチルブチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,3−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルヘキシル、5−メチル−3−ヘキシル、2−メチル−4−ヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチルおよび1−メチル−2−シクロプロピルエチルである。
【0016】
ハロゲン−置換されたアルキルは、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−クロロ−2−フルオロエチル、2−クロロ−2,2−ジフルオロエチル、2,2−ジクロロ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、3−クロロ−1−メチルブチル、2−クロロ−1−メチルブチル、1−クロロブチル、3,3−ジクロロ−1−メチルブチル、3−クロロ−1−メチルブチル、1−メチル−3−トリフルオロメチルブチル、3−メチル−1−トリフルオロメチルブチルを表す。
【0017】
定義トリ(C
1−C
8)アルキルシリルは好ましくは、次の基:SiMe
3、SiMe
2Et、SiMe
2CHMe
2、SiMe
2CH
2CHMe
2、SiMe
2CH
2CMe
3、SiMe
2CMe
3、SiMe
2CH
2CH
2Meを表す。
【0018】
定義C
2−C
12−アルケニルは、アルケニル基について本明細書で定義の最大の範囲を含む。具体的には、この定義は、意味エテニル、n−、イソプロペニル、n−、イソ−、sec−、tert−ブテニルを含み、さらには各場合で全ての異性体ペンテニル類、ヘキセニル類、ヘプテニル類、オクテニル類、ノネニル類、デセニル類、ウンデセニル類、ドデセニル類、1−メチル−1−プロペニル、1−エチル−1−ブテニル、2,4−ジメチル−1−ペンテニル、2,4−ジメチル−2−ペンテニルを含む。
【0019】
定義C
2−C
12−アルキニルは、アルキニル基についての本明細書に記載の最大の範囲を含む。具体的には、この定義は、意味エチニル、n−、イソプロピニル、n−、イソ−、sec−、tert−ブチニルを含み、さらには各場合で、全ての異性体ペンチニル類、ヘキシニル類、ヘプチニル類、オクチニル類、ノニニル類、デシニル類、ウンデシニル類、ドデシニル類も含む。
【0020】
定義シクロアルキルは、3から8炭素環員を有する単環式飽和ヒドロカルビル基を含み、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0021】
定義アリールは、置換されていないまたは置換された、芳香族の単環式、二環式もしくは三環式環を含み、例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル(アントリル)、フェナントラセニル(フェナントリル)。
【0022】
定義複素環は、N、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていないか置換された不飽和複素環5から7員環を含み、例えば2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−ピロリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、1−ピラゾリル、1H−イミダゾール−2−イル、1H−イミダゾール−4−イル、1H−イミダゾール−5−イル、1H−イミダゾール−1−イル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル、1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、1H−1,2,3−トリアゾール−5−イル、2H−1,2,3−トリアゾール−2−イル、2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル、1H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、1H−1,2,4−トリアゾール−5−イル、1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル、4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル、4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル、1H−テトラゾール−1−イル、1H−テトラゾール−5−イル、2H−テトラゾール−2−イル、2H−テトラゾール−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,4−ジアジアゾール−3−イル、1,2,4−ジアジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,3,4−ジアジアゾール−2−イル、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル、1,2,3−ジアジアゾール−4−イル、1,2,3−ジアジアゾール−5−イル、1,2,5−オキサジアゾール−3−イル、1,2,5−ジアジアゾール−3−イル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、2−ピラジニル、1,3,5−トリアジン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イルである。
【0023】
置換されていても良い基はモノ置換もしくは多置換されていることができ、多置換の場合、その置換基は同一であっても異なっていても良い。従って、定義ジアルキルアミノは、アルキルによって非対称に置換されたアミノ基、例えば、メチルエチルアミノも包含する。
【0024】
例えばハロゲノアルキルなどのハロゲン置換された基は、モノハロゲン化または多ハロゲン化されている。多ハロゲン化の場合、ハロゲン原子は同一であっても異なっていても良い。ここで、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素、特にフッ素、塩素および臭素を表す。
【0025】
しかしながら、上記の一般的または好ましい基の定義もしくは説明は、所望に応じて互いに組み合わせることもでき、すなわち個々の範囲と好ましい範囲との間での組み合わせなどがある。それらは最終生成物と、それに応じて前駆体および中間体にも当てはまる。
【0026】
しかしながら、一般的用語で上記で提供された、または好ましい範囲内で言及された基の定義または説明は、所望に応じて互いに組み合わせることもでき、すなわち特定の範囲と好ましい範囲との間で組み合わせることができる。それらは最終生成物と、それに応じて前駆体および中間体の両方に当てはまる。さらに、個々の定義は適用できない。
【0027】
好ましいものは、各基が上記の好ましい定義を有する式(I)の化合物である。
【0028】
特に好ましいものは、各基が上記のより好ましい定義を有する式(I)の化合物である。
【0029】
非常に特に好ましいものは、各基が上記の最も好ましい定義を有する式(I)の化合物である。
【0030】
適切な場合、本発明による化合物は、異なる可能な異性体型、特には例えばEおよびZ、トレオおよびエリトロなどの立体異性体、さらには光学異性体、そして適切な場合は互変異体の混合物として存在することができる。特許請求されるものは、EおよびZ異性体とトレオおよびエリトロの両方、さらには光学異性体、これら異性体の混合物、そして可能な互変異型である。
【0031】
適切な場合、本発明の化合物は、化合物中に不斉中心の数に応じて、1以上の光学異性体型またはキラル異性体型で存在することができる。従って本発明は、等しく、全ての光学異性体およびそれらのラセミもしくは非ラセミ混合物(「非ラセミ」という用語は、異なる割合でのエナンチオマーの混合物を指す。)およびあらゆる割合での全ての可能な立体異性体の混合物に関するものである。ジアステレオマーおよび/または光学異性体は、自体が当業者に公知である方法に従って分離することができる。
【0032】
適切な場合、本発明の化合物は、化合物における二重結合の数に応じて、1以上の幾何異性体型で存在することもできる。従って本発明は、等しく、全ての幾何異性体およびあらゆる割合での全ての可能な混合物に関するものである。幾何異性体は、自体が当業者に公知である一般的方法に従って分離することができる。
【0033】
適切な場合、本発明の化合物は、環Bの置換基の相対的位置に応じて、1以上の幾何異性体型で存在することもできる(シン/アンチまたはシス/トランス)。従って本発明は、等しく、全てのシン/アンチ(またはシス/トランス)異性体および全ての割合での全ての可能なシン/アンチ(またはシス/トランス)混合物に関するものである。シン/アンチ(またはシス/トランス)異性体は、自体が当業者に公知である一般的方法に従って分離することができる。
【0034】
本発明は、下記式(III−a)の化合物も提供する。
【化2】
【0035】
式中、
基Q、R
a、R
1、R
2、Y、R
5、R
6は式(I)で定義の通りである。
【0036】
好ましい、特に好ましい、および非常に特に好ましい基R
a、R
1、R
2、Y、R
5、R
6は式(I)で定義の通りである。
【0037】
方法および中間体の説明
式(I−a)のカルボキサミド、すなわちTが酸素を表す式(I)のカルボキサミドは、適宜にカップリング剤の存在下、適宜に酸結合剤の存在下、および適宜に希釈剤の存在下に式(II)のカルボニルハライドまたは酸を式(III−a)のアミンと反応させると得られる[方法(a)]。
【化3】
【0038】
式(II)は、本発明による方法(a)を実施するための原料として必要なカルボニルハライドまたは酸の一般的定義を提供する。
【0039】
この式(II)において、X
1は、一般的におよび好ましくは、式(I)の化合物の説明との関連でこれらの基についてすでに言及した意味を有する。X
2は、ハロゲン、ヒドロキシルまたは活性化ヒドロキシル基を表す。X
2は好ましくは、フッ素、塩素またはヒドロキシル、特に好ましくは塩素またはヒドロキシルを表す。
【0040】
活性化ヒドロキシル基は、ヒドロキシルが、隣接するカルボニルとともに、アミノ基を自発的に反応するエステルを形成することを意味するものである。一般的な活性化エステルには、p−ニトロフェニル、ペンタフルオロフェニル、スクシニミドエステルまたは亜リン酸無水物などがある。
【0041】
式(III−a)は、本発明による方法(a)を行うための原料として必要なアミンの一般的定義を提供する。
【0042】
この式(III−a)において、Q、R
a、R
1、R
2、Y、R
5およびR
6は、一般に、好ましくは、特に好ましくは、非常に特に好ましくは、式(I)の化合物の説明との関連でこれらの基についてすでに言及した意味を有する。
【0043】
式(II)のカルボニルハライドまたは酸は、Chem. Commun., 2008, 4207−4209に記載の手順と同様の手順を用いて製造することができる。
【0044】
式(I−b)のチオカルボキサミド、すなわちTが硫黄を表す式(I)のカルボキサミドは、式(I−a)のカルボキサミドを、適宜に希釈剤の存在下および適宜に触媒量もしくは化学量論量またはそれ以上の量の塩基の存在下に、硫化剤と反応させると得られる[方法(b)]。
【化4】
【0045】
原料として使用される式(III−a)の化合物は、公知の方法によって製造され(Fragrance chemistry: the science of the sense of smell/edited by Ernst T. Theimer−Synthetic Benzenoid Musks by T. W. Wood;Chemistry−−A European Journal, 8(4), 853−858; 2002; Tetrahedron, 59(37), 7389−7395; 2003; Journal of Medicinal Chemistry, 48(1), 71−90; 2005; Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 18(6), 1830−1834; 2008; US 5,521,317、WO 2010/109301、EP315502A1)、市販されているか、触媒の存在下、適宜に酸結合剤の存在下、希釈剤の存在下に式(III−b)の臭化物を式(IV)の化合物と反応させ、次に好適な酸で処理することで製造することができる[方法(c)]。
【化5】
【0046】
式(III−b)は、本発明による方法(c)を行うための原料として必要な臭化物の一般的定義を提供する。
【0047】
この式(III−b)において、Q、R
a、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、一般に、好ましくは、特に好ましくは、非常に特に好ましくは、式(I)の化合物の説明に関連してこれらの基についてすでに言及した意味を有する。
【0048】
式(IV)において、Mは、水素、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルキルオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシを表す。
【0049】
原料として使用される式(III−b)の化合物は、公知の方法によって製造されるか(Fragrance chemistry: the science of the sense of smell/edited by Ernst T. Theimer−Synthetic Benzenoid Musks by T. W. Wood;Chemistry−−A European Journal, 8(4), 853−858; 2002; Tetrahedron, 59(37), 7389−7395; 2003; Journal of Medicinal Chemistry, 48(1), 71−90; 2005; Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 18(6), 1830−1834; 2008; US 5,521,317、WO 2010/109301)、市販されている。
【0050】
本発明による方法(a)、(b)および(c)を実施する上で好適な希釈剤は、全ての不活性有機溶媒である。これらには好ましくは、例えば石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリンなどの脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素;例えばクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;アセトン、ブタノン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのアミド類;それらの水もしくは純水との混合物などがある。
【0051】
本発明による方法(a)は適切であれば、X
3がハロゲンを表す場合、好適な酸受容体の存在下に行う。好適な酸受容体は、全ての一般的な無機または有機塩基である。それらには好ましくは、例えば水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムまたは炭酸アンモニウムなどのアルカリ土類金属もしくはアルカリ金属の水素化物、水酸化物、アミド、アルコレート、酢酸塩、炭酸塩または重炭酸塩、ならびにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミン類などがある。
【0052】
本発明による方法(a)は適切であれば、X
3がヒドロキシルを表す場合、好適なカップリング剤の存在下に行う。好適なカップリング剤は、全ての一般的なカルボニル活性化剤である。これらには好ましくは、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N′−エチル−カルボジイミド−塩酸塩、N,N′−ジ−sec−ブチルカルボジイミド、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−3−エチルカルボジイミドメチオジド、2−ブロモ−3−エチル−4−メチルチアゾリウムテトラフルオロボレート、N,N−ビス[2−オキソ−3−オキサゾリジニル]ホスホロジアミジッククロライド、クロロトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート、O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)ウロニウム・テトラフルオロボレート、N,N,N′,N′−ビス(テトラメチレン)クロロウロニウム・テトラフルオロボレート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどがある。これらの試薬は、別個に用いることができるが、組み合わせて用いることもできる。
【0053】
本発明による方法(a)を実施する際、反応温度は、比較的広い範囲内で変動し得る。概して、そのプロセスは、0℃から150℃の温度で、好ましくは20℃から110℃の温度で行う。
【0054】
式(I−a)の化合物を製造する本発明による方法(a)を実施する場合、式(II)のカルボニルハライドまたは酸1モル当たり、概して0.2から5モル、好ましくは0.5から2モルの式(III−a)のアミンを用いる。後処理は一般的な方法によって行う。
【0055】
式(I−b)の化合物を製造する本発明による方法(b)を実施する場合、原料の式(I−a)のアミド誘導体は方法(a)に従って製造することができる。
【0056】
本発明による方法(b)を実施する上で好適な硫化剤は、硫黄(S)、スルフヒドリル酸(H
2S)、硫化ナトリウム(Na
2S)、硫化水素ナトリウム(NaHS)、三硫化ホウ素(B
2S
3)、硫化ビス(ジエチルアルミニウム)((AlEt
2)
2S)、硫化アンモニウム((NH
4)
2S)、五硫化リン(P
2S
5)、ローソン試薬(2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,2,3,4−ジチアジホスフェタン2,4−ジスルフィド)またはJ. Chem. Soc., Perkin 1 2001, 358に記載のものなどのポリマー担持硫化試薬であることができる。
【0057】
方法(c)の処理を実施する上で好適な酸は、例えばHCl、H
2SO
4、H
3PO
4、KHSO
4、AcOH、TFA、PTSA、CSA、TEA・HCl、ピリジン・HClなどの通常のブレンステッド酸の中から選択することができると考えられる。
【0058】
本発明による方法(c)を実施する上で好適な触媒は、金属塩または錯体から選択することができる。そのための好適な金属誘導体は、パラジウムまたは銅に基づくものである。このための好適な金属塩または錯体は、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロライドまたは1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)クロライド、ヨウ化銅、臭化銅、チオフェンカルボン酸銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、酸化銅(I)である。
【0059】
反応液に別個に、パラジウム塩および配位子もしくは塩、例えばホスフィン、例えばトリエチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)ビフェニル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィン)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)−2′−(N,N−ジメチルアミノ)−ビフェニル、トリフェニルホスフィン、トリス−(o−トリル)ホスフィン、ナトリウム3−(ジフェニルホスフィノ)ベンゾールスルホンネート、トリス−2−(メトキシフェニル)ホスフィン、2,2′−ビス−(ジフェニルホスフィン)−1,1′−ビナフチル、1,4−ビス−(ジフェニルホスフィン)ブタン、1,2−ビス−(ジフェニルホスフィン)エタン、1,4−ビス−(ジシクロヘキシルホスフィン)ブタン、1,2−ビス−(ジシクロヘキシルホスフィン)エタン、2−(ジシクロヘキシルホスフィン)−2′−(N,N−ジメチルアミノ)−ビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリス−(2,4−tert−ブチルフェニル)−ホスファイト、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン、(S)−(+)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、(S)−(+)−1−[(R)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−t−ブチルホスフィンまたは1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロライドを加えることで、反応混合物中にパラジウム錯体を発生させることも可能である。
【0060】
反応液に別個に、銅塩および配位子もしくは塩、例えばジアミン、例えばシクロヘキシル1,2−ジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン、シクロヘキシルN,N′−ジメチルアミンを加えることで、反応混合物中に銅錯体を発生させることもできる。
【0061】
Strem Chemicalsによる「Metal Catalysts for Organic Synthesis」またはStrem Chemicalsによる「Phosphorous Ligands and Compounds」などの商業カタログから適切な触媒および/または配位子を選択することも有利である。
【0062】
本発明による方法(c)を実施する上で好適な塩基は、そのような反応に一般的な無機および有機塩基である。好ましくは、アルカリ土類金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコキシド、例えば水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシドまたは他の水酸化アンモニウム、アルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属酢酸塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、ならびに三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)または1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)を用いる。
【0063】
方法(a)、(b)および(c)は通常、大気圧下で行う。しかしながら、高圧下または減圧下(通常、0.1バールから100バール)で行うことも可能である。
【0064】
組成物/製剤
本発明はさらに、有効かつ非植物毒性量の本発明の有効成分を含む、望ましくない微生物、特には望ましくない真菌および細菌を防除するための作物保護組成物に関するものである。これらは好ましくは、農業的に好適な補助剤、溶媒、担体、界面活性剤または増量剤を含む殺菌剤組成物である。
【0065】
本発明の文脈において、「有害微生物の防除」は、殺真菌効力として測定される、未処理植物と比較した有害微生物による侵襲の低減、好ましくは未処理植物(100%)と比較して25から50%の低減、より好ましくは未処理植物(100%)と比較して40から79%の低減を意味し、さらにより好ましくは、有害微生物による侵襲が完全に抑制される(70から100%低減)。その防除は、治癒的、すなわちすでに感染した植物の治療のためのものであるか、保護的、すなわちまだ感染していない植物の保護のためのものであることができる。
【0066】
「有効であるが非植物毒性量」とは、満足な形で植物の真菌病害を防除するか、真菌病害を完全に消失させる上で十分であり、同時に植物毒性の重大な症状を生じさせない本発明の組成物の量を意味する。概して、この施用量は、比較的広い範囲内で変動し得る。それは、いくつかの要素、例えば防除される真菌、植物、気候条件および本発明の組成物の成分によって決まる。
【0067】
好適な有機溶媒には、製剤目的で通常使用される全ての極性および非極性有機溶媒が含まれる。好ましくは溶媒は、ケトン類、例えばメチル−イソブチル−ケトンおよびシクロヘキサノン、アミド類、例えばジメチルホルムアミドおよびアルカンカルボン酸アミド類、例えばN,N−ジメチルデカンアミドおよびN,N−ジメチルオクタンアミド、さらには環状溶媒、例えばN−メチル−ピロリドン、N−オクチル−ピロリドン、N−ドデシル−ピロリドン、N−オクチル−カプロラクタム、N−ドデシル−カプロラクタムおよびブチロラクトン、さらには強極性溶媒、例えばジメチルスルホキシドおよび芳香族炭化水素類、例えばキシロール、Solvesso(商標名)、鉱油、例えばホワイト・スピリット、石油、アルキルベンゼン類およびスピンドルオイル、さらにはエステル類、例えばプロピレングリコール−モノメチルエーテルアセテート、アジピン酸ジブチルエステル、酢酸ヘキシルエステル、酢酸ヘプチルエステル、クエン酸トリ−n−ブチルエステルおよびフタル酸ジ−n−ブチルエステル、さらにはアルコール類、例えばベンジルアルコールおよび1−メトキシ−2−プロパノールから選択される。
【0068】
本発明によれば、担体は、天然もしくは合成の有機もしくは無機物質であり、それと有効成分を混和もしくは組み合わせて、より良好な施用性が得られるようにし、特には植物もしくは植物部分または種子に施用できるようにする。固体または液体であることができる担体は、通常は不活性であり、農業での使用に好適なものであるべきである。
【0069】
有用な固体または液体担体には、例えば、アンモニウム塩、およびカオリン、粘土、タルク、チョーク、石英、アタパルガイト、モンモリロナイトまたは珪藻土などの天然岩石粉、および微粉砕シリカ、アルミナおよび天然もしくは合成シリケートなどの合成岩石粉、樹脂、ロウ類、固体肥料、水、アルコール類、特にはブタノール、有機溶媒、鉱油および植物油ならびにそれらの誘導体などがある。そのような担体の混合物も同様に使用可能である。
【0070】
好適な固体充填剤および担体には、無機粒子、例えば平均粒径0.005から20μm、好ましくは0.02から10μmの炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩および酸化物、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、いわゆる微粉砕シリカ、シリカゲル類、天然もしくは合成シリケートおよびアルモシリケート類ならびに穀粉、木粉/おが屑およびセルロース粉末などの植物産物などがある。
【0071】
粒剤用の有用な固体担体には、例えば方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石などの粉砕および分別天然鉱物、そして無機および有機ミールの合成顆粒、そしておが屑、ヤシ殻、トウモロコシ穂軸およびタバコ茎などの有機材料の顆粒などがある。
【0072】
有用な液化ガス増量剤もしくは担体は、標準的な温度でおよび標準的な圧力下で気体である液体であり、例えばエアロゾル噴射剤、例えばハロゲン化炭化水素、さらにはブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素がある。
【0073】
製剤において、カルボキシメチルセルロースなどの粘着剤、ならびに粉末、顆粒またはラテックスの形態での天然および合成ポリマー、例えばアラビアガム、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニル、さらにはセファリン類およびレシチン類などの天然リン脂質、ならびに合成リン脂質を用いることができる。さらなる添加剤は、鉱油および植物油であることができる。
【0074】
使用される増量剤が水である場合、補助溶媒として例えば有機溶媒を用いることも可能である。実質的に、有用な液体溶媒は、キシレン、トルエンまたはアルキルナフタレン類などの芳香族類、クロロベンゼン類、クロロエチレン類またはジクロロメタンなどの塩素化芳香族類および塩素化脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンまたはパラフィン類などの脂肪族炭化水素類、例えば鉱油留分、鉱油および植物油、ブタノールまたはグリコールなどのアルコール類およびそれらのエーテル類およびエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンまたはシクロヘキサノンなどのケトン類、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの強極性溶媒、さらには水である。
【0075】
好適な界面活性剤(補助剤、乳化剤、分散剤、保護コロイド、湿展剤および接着剤)には、全ての一般的なイオン系および非イオン系物質などがあり、例えばエトキシル化ノニルフェノール類、直鎖もしくは分岐アルコールのポリアルキレングリコールエーテル、アルキルフェノールとエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの反応生成物、脂肪酸アミンとエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの反応生成物、さらには脂肪酸エステル、スルホン酸アルキル、硫酸アルキル、エーテル硫酸アルキル、エーテルリン酸アルキル、硫酸アリール、エトキシル化アリールアルキルフェノール類、例えばトリスチリル−フェノール−エトキシレート類、さらにはエトキシル化およびプロポキシル化アリールアルキルフェノール類、例えば硫酸化またはリン酸化アリールアルキルフェノール−エトキシレート類および−エトキシ−および−プロポキシレート類である。さらなる例には、天然および合成の水溶性ポリマー、例えばリグノスルホネート類、ゼラチン、アラビアガム、リン脂質、デンプン、疎水性加工デンプンおよびセルロース誘導体、特にはセルロースエステルおよびセルロースエーテル、さらにはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸および(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの共重合体およびさらにはアルカリ金属水酸化物で中性としたメタクリル酸およびメタクリル酸エステルの共重合体、さらには置換されていても良いナフタレンスルホン酸塩とホルムアルデヒドとの縮合生成物がある。有効成分のうちの一つおよび/または不活性担体のうちの一つが水に不溶である場合、そして施用を水中で行う場合には、界面活性剤の存在が必要である。界面活性剤の割合は、本発明の組成物の5から40重量パーセントである。
【0076】
例えば酸化鉄、酸化チタンおよびプルシアンブルーなどの無機顔料、ならびにアリザリン色素、アゾ色素および金属フタロシアニン色素などの有機色素のような色素、ならびに鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩などの微量栄養素を用いることができる。
【0077】
製剤中に存在しても良い消泡剤には、例えばシリコーン乳濁液、長鎖アルコール類、脂肪酸およびそれらの塩ならびにフルオロ有機物質およびそれらの混合物などがある。
【0078】
増粘剤の例には、多糖類、例えばキサンタンガムもしくはveegum、ケイ酸塩、例えばアタパルガイト、ベントナイトならびに微粒子シリカがある。
【0079】
適切であれば、他の別の成分が存在していても良く、例えば保護コロイド、結合剤、接着剤、増粘剤、チキソトロピー物質、浸透剤、安定剤、金属イオン封鎖剤、錯体形成剤である。概して、有効成分は、製剤用に一般に使用される固体もしくは液体添加剤と組み合わせることができる。
【0080】
本発明の有効成分または組成物は、それ自体で用いることができるか、それの特定の物理および/または化学特性に応じて、それらの製剤の形態もしくはそれから製造される使用形態で、例えばエアロゾル、カプセル懸濁液、低温フォギング(cold−fogging)濃縮物、温フォギング(warm−fogging)濃縮物、カプセル化粒剤、微細粒剤、種子処理用のフロアブル製剤、即時使用液剤、粉剤、乳剤、水中油型乳濁液、油中水型乳濁液、巨大顆粒、微細顆粒、油分散性粉剤、油混和性フロアブル製剤、油混和性液体、ガス(加圧下)、ガス発生製品、発泡剤、ペースト、農薬コートした種子、懸濁濃縮液、サスポエマルジョン濃縮液、可溶性濃縮液、懸濁液、水和剤、可溶性粉末、ダスト剤および粒剤、水溶性および水分散性の粒剤もしくは錠剤、種子処理用の水溶性および水分散性粉剤、水和剤、有効成分を含浸させた天然物および合成物質、ならびに種子用のポリマー物質およびコーティング材料中のマイクロカプセル、ならびにULV低温フォギングおよび温フォギング製剤で用いることができる。
【0081】
本発明の組成物は、すでに即時使用できるようになっており、好適な装置を用いて植物もしくは種子に施用できる製剤だけでなく、使用前に水で希釈しなければならない市販の濃縮物も含むものである。一般的な施用は、例えば水による希釈とそれに続く得られた噴霧液の噴霧、オイルで希釈した後の噴霧、希釈なしの直接噴霧、種子処理または粒剤の土壌施用である。
【0082】
本発明の組成物および製剤は概して、0.05から99重量%、0.01から98重量%、好ましくは0.1から95重量%、より好ましくは0.5から90%有効成分、最も好ましくは10から70重量%を含む。特別の施用の場合、例えば木材およびそれから得られた材木製品の保護の場合、本発明の組成物および製剤は概して、0.0001から95重量%、好ましくは0.001から60重量%の有効成分を含む。
【0083】
市販の製剤から調製される施用形態中の有効成分の含有量は、広い範囲で変動し得る。施用形態での有効成分の濃度は、概して0.000001から95重量%、好ましくは0.0001から2重量%である。
【0084】
言及した製剤は、自体公知の方法で、例えば有効成分を少なくとも一つの一般的な増量剤、溶媒もしくは希釈剤、補助剤、乳化剤、分散剤および/または結合剤または固定剤、湿展剤、撥水剤、適切な場合には乾燥剤およびUV安定剤ならびに適切な場合は色素および顔料、消泡剤、保存剤、無機および有機増粘剤、接着剤、ジベレリン類、さらに別の加工補助剤、さらには水とを混合することで調製することができる。調製される製剤に応じて、さらなる加工段階、例えば湿式粉砕、乾式粉砕および造粒が必要である。
【0085】
本発明の有効成分は、それ自体で存在することができるか、それの(商業的)製剤および殺虫剤、誘引剤、滅菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節剤、除草剤、肥料、薬害軽減剤および/または情報物質などの他の(公知の)有効成分との混合物としてこれらの製剤から調製される使用形態で存在することができる。
【0086】
有効成分もしくは組成物による植物および植物部分の本発明による処理は、一般的な処理方法を用いて、例えば浸漬、噴霧、霧化、潅水、蒸発、散粉、雲霧、散布、発泡、塗布、展着、散水(灌注)、細流灌漑によって、そして繁殖物の場合、特には種子の場合はさらに、乾式種子処理、湿式種子処理、スラリー処理、蓄積、1以上の層によるコーティングなどによって、直接行うか、それの環境、生育場所または保管場所への作用によって行う。さらに、超微量法によって有効成分を施用するか、有効成分の製剤もしくは有効成分自体を土壌に注入することも可能である。
【0087】
植物/作物保護
本発明の有効成分または組成物は強力な殺細菌活性を有し、作物保護および材料保護において真菌および細菌などの望ましくない微生物を防除するのに用いることができる。
【0088】
本発明はさらに、本発明の有効成分を植物病原性真菌、植物病原性細菌および/またはそれらの生息場所に施用することを特徴とする望ましくない微生物の防除方法に関するものである。
【0089】
作物保護において、植物病原性真菌の防除のために殺菌剤を用いることができる。それらは広いスペクトラムの植物病原性真菌、例えば特にネコブカビ類、ペロノスポロマイセテス(Peronosporomycetes)類(同義語:卵菌類)、ツボカビ類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類および不完全菌類(同義語、フンギ・インペルフェクチ(Fungi imperfecti))の構成員である土壌病原体に対する顕著な効力を特徴とする。一部の殺菌剤は全身活性であり、茎葉処理剤として、種子粉衣剤として、または土壌処理殺菌剤として作物保護に使用することができる。さらに、それらは、特に木材または植物の根に侵入する真菌と戦う上で好適である。
【0090】
殺細菌剤は、作物保護でシュードモナス科(Pseudomonadaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、コリネバクテリウム科(Corynebacteriaceae)およびストレプトマイセス科(Streptomycetaceae)の防除に用いることができる。
【0091】
本発明に従って処置可能な真菌疾患の例としては、下記のものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
ウドンコ病の病原体、例えばブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)などのブルメリア(Blumeria)種;ポドスファエラ・ロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)などのポドスファエラ(Podosphaera)種;スファエロセカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)などのスファエロセカ(Sphaerotheca)種;ウンシヌラ・ネケータ(Uncinula necator)などのウンシヌラ(Uncinula)種によって引き起こされる病害;
さび病病原体、例えばギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)などのギムノスポランギウム(Gymnosporangium)種;ヘミレイア・バスタトリックス(Hemileia vastatrix)などのヘミレイア(Hemileia)種;ファコプソラ・パチライジ(Phakopsora pachyrhizi)およびファコプソラ・マイボミアエ(Phakopsora meibomiae)などのファコスプソラ(Phakopsora)種;プクシニア・レコンディテ(Puccinia recondite)、P.トリチシナ(P. triticina)、P.グラミニス(P. graminis)またはP.ストリフォルニス(P. striiformis)などのプクシニア(Puccinia)種;ウロミセス・アッペンディキュラタス(Uromyces appendiculatus)などのウロミセス(Uromyces)種によって引き起こされる病害;
卵菌類(Oomycetes)群の病原体、例えばアルブゴ・カンジダ(Algubo candida)などのアルブゴ(Albugo)種;ブレミア・ラクチュカエ(Bremia lactucae)などのブレミア(Bremia)種;ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)またはP.ブラッシカエ(P. brassicae)などのペロノスポラ(Peronospora)種;フィトフソラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)などのフィトフソラ(Phytophthora)種;プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)などのプラスモパラ(Plasmopara)種;シュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)またはシュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)などのシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)種;ピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum)などのピチウム(Pythium)種によって引き起こされる病害;
例えばアルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)などのアルテルナリア(Altemaria)種;セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)などのセルコスポラ(Cercospora)種;クラジオスポリウム・キュキュメリナム(Cladiosporium cucumerinum)などのクラジオスポリウム(Cladiosporum)種;コクリオボラス・サティブス(Cochliobolus sativus)(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))、コクリオボラス・ミヨビーナス(Cochliobolus miyobeanus)などのコクリオボラス(Cochliobolus)種;コレトトリカム・リンデムサニウム(Colletotrichum lindemuthanium)などのコレトトリカム(Colletotrichum)種;シクロコニウム・オレアギナム(Cycloconium oleaginum)などのシクロコニウム(Cycloconium)種;ディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)などのディアポルテ(Diaporthe)種;エルシノエ・フォーセッティイ(Elsinoe fawcettii)などのエルシノエ(Elsinoe)種;グレオスポリウム・ラエティカラー(Gloeosporium laeticolor)などのグレオスポリウム種(Gloeosporium);グロメレラ・シンギュラータ(Glomerella cingulata)などのグロメレラ(Glomerella)種;ギニャルディア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)などのギニャルディア(Guignardia)種;レプトスファエリア・マキュランス(Leptosphaeria maculans)、レプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)などのレプトスファエリア(Leptosphaeria)種;マグナポルテ・グリージー(Magnaporthe grisea)などのマグナポルテ(Magnaporthe)種;ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)などのミクロドキウム(Microdochium)種;マイコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、M.アラキジコラ(M. arachidicola)およびM.フィジエンシス(M. fijiensis)などのマイコスファエレラ(Mycosphaerella)種;フェオスファエリア・ノドラム(Phaeosphaeria nodorum)などのフェオスファエリア(Phaeosphaeria)種;ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)、ピレノフォラ・トリチシ・レペンチス(Pyrenophora tritici repentis)などのピレノフォラ(Pyrenophora)種;ラムラリア・コロシグニ(Ramularia collo−cygni)、ラムラリア・アレオラ(Ramularia areola)などのラムラリア(Ramularia)種;リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)などのリンコスポリウム(Rhynchosporium)種;セプトリア・アピイ(Septoria apii)、セプトリア・リコペルシイ(Septoria lycopersii)などのセプトリア(Septoria)種;チフラ・インカルナータ(Typhula incarnata)などのチフラ(Typhula)種;ベンチュリア・イナエキュアリス(Venturia inaequalis)などのベンチュリア(Venturia)種によって引き起こされる葉枯病(leaf blotch diseases)および葉萎凋病(leaf wilt diseases);
例えば、コルチシウム・グラミネアラム(Corticium graminearum)などのコルチシウム(Corticium)種;フサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)などのフサリウム(Fusarium)種;ゲウマノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)などのゲウマノミセス(Gaeumannomyces)種;リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)などのリゾクトニア(Rhizoctonia)種;サロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)などによって引き起こされるサロクラジウム(Sarocladium)病;サロクラジウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)などによって引き起こされるサロクラジウム(Sarocladium)病;タペシア・アキュフォルミス(Tapesia acuformis)などのタペシア(Tapesia)種;チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)などのチエラビオプシス(Thielaviopsis)種によって引き起こされる根および茎の病害;
例えばアルテルナリア属(Alternaria spp.)などのアルテルナリア(Alternaria)種;アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)などのアスペルギルス(Aspergillus)種;クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)などのクラドスポリウム(Cladosporium)種;クラビセプス・パープレア(Claviceps purpurea)などのクラビセプス(Claviceps)種;フサリウム・クルモラム(Fusarium culmorum)などのフサリウム(Fusarium)種;ギッベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)などのギッベレラ(Gibberella)種;モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)などのモノグラフェラ(Monographella)種;セプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)などのセプトリア(Septoria)種によって引き起こされる穂および円錐花序の病害(トウモロコシ穂軸など);
黒穂菌(smut fungi)、例えばスファセロセカ・ライリアナ(Sphacelotheca reiliana)などのスファセロセカ(Sphacelotheca)種;ティレチア・カリエス(Tilletia caries)、T.コントロベルサ(T. controversa)などのティレチア(Tilletia)種;ウロシスティス・オキュラータ(Urocystis occulta)などのウロシスティス(Urocystis)種;ウスティラゴ・ヌーダ(Ustilago nuda)、U.ヌーダ・トリチシ(U. nuda tritici)などのウスティラゴ(Ustilago)種によって引き起こされる病害;
例えばアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)などのアスペルギルス(Aspergillus)種;ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)などのボトリティス(Botrytis)種;ペニシリウム・エクスパンサム(Penicillium expansum)およびP.プルプロゲナム(P. purpurogenum)などのペニシリウム(Penicillium)種;スクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum)などのスクレロティニア(Sclerotinia)種;ベルティシリウム・アルボアトラム(Verticilium alboatrum)などのベルティシリウム(Verticilium)種によって引き起こされる果実腐敗;
例えばアルタナリア(Alternaria)種によって引き起こされる、例えばアルタナリア・ブラシシコラ(Alternaria brassicicola)によって引き起こされる;アファノミセス(Aphanomyces)種、例えばアファノミセス・ユーテイケス(Aphanomyces euteiches)によって引き起こされる;アスコチタ(Ascochyta)種、例えばアスコチタ・レンティス(Ascochyta lentis)によって引き起こされる;アスペルギルス(Aspergillus)種、例えばアスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)によって引き起こされる;クラドスポリウム(Cladosporium)種、例えばクラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)によって引き起こされる;コクリオボラス(Cochliobolus)種、例えばコクリオボラス・サティブス(Cochliobolus sativus)(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、ビポラリス(Bipolaris)同義語:ヘルミントスポリウム(Helminthosporium))によって引き起こされる;コレトトリカム(Colletotrichum)種、例えばコレトトリカム・ココデス(Colletotrichum coccodes)によって引き起こされる;フサリウム(Fusarium)種、例えばフサリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)によって引き起こされる;ギッベレラ(Gibberella)種、例えばギッベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)によって引き起こされる;マクロホミナ(Macrophomina)種、例えばマクロホミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina)によって引き起こされる;モノグラフェラ(Monographella)種、例えばモノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)によって引き起こされる;ペニシリウム(Penicillium)種、例えばペニシリウム・エキスパンスム(Penicillium expansum)によって引き起こされる;ホマ(Phoma)種、例えばホマ・リンガム(Phoma lingam)によって引き起こされる;ホモプシス(Phomopsis)種、例えばホモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae)によって引き起こされる;フィトフソラ(Phytophthora)種、例えばフィトフソラ・カクトラム(Phytophthora cactorum)によって引き起こされる;ピレノホラ(Pyrenophora)種、例えばピレノホラ・グラミネア(Pyrenophora graminea)によって引き起こされる;ピリクラリア(Pyricularia)種、例えばピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)によって引き起こされる;ピチウム(Pythium)種、例えばピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum)によって引き起こされる;リゾクトニア(Rhizoctonia)種、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)によって引き起こされる;リゾプス(Rhizopus)種、例えばリゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)によって引き起こされる;スクレロティウム(Sclerotium)種、例えばスクレロティウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)によって引き起こされる;セプトリア(Septoria)種、例えばセプトリア・ノドルム(Septoria nodorum)によって引き起こされる;チフラ(Typhula)種、例えばチフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)によって引き起こされる;ベルチシリウム(Verticillium)種、例えばベルチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae)によって引き起こされる種子および土壌伝染性の腐敗、カビ、しおれ、腐敗病および立ち枯れ病;
例えばネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)などのネクトリア(Nectria)種よって引き起こされる癌、こぶ病およびてんぐ巣病;
例えばモニリニア・ラクサ(Monilinia laxa)などのモニリニア(Monilinia)種によって引き起こされる枯れ病;
例えばエキソバシジウム・ベキサンス(Exobasidium vexans)などのエキソバシジウム(Exobasidium)種;タフリナ・デフォルマンス(Taphrina deformans)などのタフリナ(Taphrina)種によって引き起こされる葉ぶくれ病または葉巻病;
例えばファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)、ファエオアクレモニウム・アレオフィラム(Phaeoacremonium aleophilum)およびフォミチポリタ・メジテラネア(Fomitiporia mediterranea)によって引き起こされるエスカ(Esca)病;例えばユーチパ・ラタ(Eutypa lata)によって引き起こされるユーチパ(Eutypa)枝枯れ病;例えばガノデルマ・ボニネンセ(Ganoderma boninense)によって引き起こされるガノダーマ(Ganoderma)病;例えばリジドポルス・リグノスス(Rigidoporus lignosus)によって引き起こされるリジドポルス(Rigidoporus)病によって引き起こされる木材植物における衰退(decline)病;
例えばボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)などのボトリティス(Botrytis)種によって引き起こされる花および種子の病害;
リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)などのリゾクトニア(Rhizoctonia)種;ヘルミントスポリウム・ソラニ(Helminthosporium solani)などのヘルミントスポリウム(Helminthosporium)種によって引き起こされる植物塊茎の病害;
例えばプラモジオフォラ・ブラッシカエ(Plamodiophora brassicae)などのプラモジオフォラ(Plamodiophora)種によって引き起こされる根こぶ病;
細菌性病原体、例えばキサントモナス・キャンペストリスpv.オリザエ(Xanthomonas campestris pv. oryzae)などのキサントモナス(Xanthomonas)種;シュードモナス・シリンガエpv.ラクリマンス(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)などのシュードモナス(Pseudomonas)種;エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)などのエルウィニア(Erwinia)種によって引き起こされる病害。
【0093】
下記の大豆病害を好ましく防除することができる。
【0094】
例えばアルテルナリア葉斑点病(alternaria leaf spot)(アルテルナリア属種アトランス・テニュイッシマ(Alternaria spec. atrans tenuissima))、炭疽病(コレトトリカム・グロエオスポロイデス・デマティウム亜種トランケイタム(Colletotrichum gloeosporoides dematium var. truncatum))、褐斑病(brown spot)(セプトリア・グリシネス(Septoria glycines))、セルコスポラ葉斑点病(cercospora leaf spot)および焼枯れ病(blight)(セクロスポラ・キクチイ(Cercospora kikuchii))、コアネフォラ葉焼枯れ病(choanephora leaf blight)(コアネフォラ・インファンディブリフェラ・トリスポラ(Choanephora infundibulifera trispora)(同義))、ダクチュリオフォラ葉斑点病(dactuliophora leaf spot)(ダクチュリオフォラ・グリシネス(Dactuliophora glycines))、べと病(downy mildew)(ペロノスポラ・マンシュリカ(Peronospora manshurica))、ドレクスレラ焼枯れ病(drechslera blight)(ドレクスレラ・グリシニ(Drechslera glycini))、葉輪紋病(frogeye leaf spot)(セルコスポラ・ソジナ(Cercospora sojina))、レプトスファエルリナ葉斑点病(leptosphaerulina leaf spot)(レプトスファエルリナ・トリフォリイ(Leptosphaerulina trifolii))、フィロスティカ葉斑点病(phyllostica leaf spot)(フィロスティカ・ソジャエコラ(Phyllosticta sojaecola))、鞘および茎の焼枯れ病(フォモプシス・ソジャエ(Phomopsis sojae))、うどんこ病(powdery 、mildew)(ミクロスファエラ・ディフューザ(Microsphaera diffusa))、ピレノチャエタ葉斑点病(pyrenochaeta leaf spot)(ピレノチャエタ・グリシネス(Pyrenochaeta glycines))、リゾクトニア・エリアル(rhizoctonia aerial)、葉および膜の焼枯れ病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、さび病(ファコプソラ・パチライジ(Phakopsora pachyrhizi)、ファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae))、黒星病(スファセロマ・グリシネス(Sphaceloma glycines))、ステムフィリウム葉焼枯れ病(stemphylium leaf blight)(ステムフィリウム・ボトリオサム(Stemphylium botryosum))、輪紋病(コリネスポラ・カッシイコラ(Corynespora cassiicola))によって引き起こされる葉、茎、鞘および種子に対する真菌病害。
【0095】
例えば黒根腐病(black root rot)(カロネクトリア・クロタラリアエ(Calonectria crotalariae))、炭腐病(マクロフォミナ・ファセオリナ(Macrophomina phaseolina))、フザリウム焼枯病(fusarium blight)または萎凋病(wilt)、根腐れ病ならびに鞘および頸部腐れ病(rot)(フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム・オルトセラス(Fusarium orthoceras)、フザリウム・セミテクタム(Fusarium semitectum)、フザリウム・エクイセチ(Fusarium equiseti)、マイコレプトディスカス根腐れ病(mycoleptodiscus root rot)(マイコレプトディスカス・テレストリス(Mycoleptodiscus terrestris))、ネオコスモスポラ(neocosmospora)(ネオコスモスポラ・バスインフェクタ(Neocosmopspora vasinfecta))、鞘および茎の焼枯病(blight)(ディアポルセ・ファセオロラム(Diaporthe phaseolorum))、枝枯れ病(ディアポルセ・ファセオロラム亜種カウリボラ(Diaporthe phaseolorum var. caulivora))、フィトフトラ腐れ病(phytophthora rot)(フィトフトラ・メガスペルマ(Phytophthora megasperma))、褐色茎腐れ病(brown stem rot)(フィアロフォラ・グレガータ(Phialophora gregata))、ピチウム腐れ病(pythium rot)(ピチウム・アファニデルマタム(Pythium aphanidermatum)、ピチウム・イレギュラーレ(Pythium irregulaere)、ピチウム・デバリアナム(Pythium debaryanum)、ピチウム・ミリオチラム(Pythium myriotylum)、ピチウム・ウルティマム(Pythium ultimum))、リゾクトニア根腐れ病(rhizoctonia root rot)、茎腐敗および立枯病(リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani))、スクレロティニア茎腐敗病(sclerotinia stem decay)(スクレロティニア・スクレロティオラム(Sclerotinia sclerotiorum))、スクレロティニア白絹病(sclerotinia Southern blight)(スクレロティニア・ロルフシイ(Sclerotinia rolfsii))、チエラビオプシス根腐れ病(thielaviopsis root rot)(チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola))によって引き起こされる根および茎基部の真菌病。
【0096】
本発明の殺菌剤組成物は、植物病原性真菌の治療的もしくは保護/予防的防除に用いることができる。従って本発明は、種子、植物もしくは植物部分、果実または植物が成長する土壌に施用される本発明の有効成分または組成物の使用による植物病原性真菌の治療的および保護的防除方法に関するものでもある。
【0097】
植物病害を防除するのに必要な濃度で、当該有効成分が植物によって良好に耐容されることで、植物の地上部分、栄養繁殖器官および種子、ならびに土壌の処理が可能となる。
【0098】
本発明によれば、全ての植物および植物部分を処理することができる。植物とは、望ましいおよび望ましくない野生植物、作物および植物変種のような全ての植物および植物集団を意味する(植物品種および植物育種家の権利によって保護され得るか否かを問わず)。栽培品種及び植物変種は、1種類以上の生物工学的方法で(例えば、倍加半数体、原形質融合、ランダム突然変異誘発および定方向突然変異誘発、分子マーカーまたは遺伝的マーカーなどを用いることによって)補助または補足することが可能な従来の繁殖方法および育種方法によって得られる植物であることができるか、生物工学的方法と遺伝子工学的方法によって得られる植物であることができる。植物部分とは、枝条、葉、花および根などの植物の地上部および地下部の全ての部分及び器官を意味し、例えば、葉、針状葉、茎、枝、花、子実体、果実及び種子、ならびに根、球茎および根茎などが挙げられる。作物、ならびに栄養繁殖器官(vegetative propagating material)および生殖繁殖器官(generative propagating material)、例えば、挿し穂、球茎、根茎、匍匐茎および種子なども、植物部分に属する。
【0099】
本発明の有効成分は、それらが植物によって良好に耐容され、好ましい恒温動物毒性を有し、環境によって良好に耐容される場合、植物および植物器官を保護し、収穫量を高め、収穫物の品質を向上させる上で好適である。それらは好ましくは、作物保護組成物として用いることができる。それらは、通常のように感受性で抵抗性の植物種ならびに全てもしくは一部の発達段階に対して活性である。
【0100】
本発明に従って処理することができる植物には、次の主要作物植物:トウモロコシ、ダイズ、アルファルファ、ワタ、ヒマワリ、アブラナ属油料種子(Brassica oilseeds)、例えば、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(例えば、カノラ、アブラナ)、カブ(Brassica rapa)、カラシナ(B.juncea)(例えば、(菜の花)マスタード)およびアビシニアガラシ(Brassica carinata)、ヤシ(Arecaceae)属種(例えば、油やし、ココナッツ)、イネ、コムギ、テンサイ、サトウキビ、エンバク、ライムギ、オオムギ、アワおよびモロコシ、ライコムギ、アマ、ナッツ、ブドウおよびブドウの木、ならびに、種々の植物学的分類群からの各種果実および野菜、例えば、バラ属種(Rosaceae sp.)(例えば、ナシ状果、例えば、リンゴおよびナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、サクランボ、アーモンド、プラムおよびモモ、ならびに液果(berry fruits)、例えば、イチゴ、ラズベリー、アカフサスグリおよびクロフサスグリならびにグーズベリー)、リベシオイダエ属種(Ribesioidae sp.)、クルミ属種(Juglandaceae sp.)、カバノキ属種(Betulaceae sp.)、ウルシ属種(Anacardiaceae sp.)、ブナ属種(Fagaceae sp.)、クワ属種(Moraceae sp.)、モクセイ属種(Oleaceae sp.)(例えば、オリーブの木)、マタタビ属種(Actinidaceae sp.)、クスノキ属種(Lauraceae sp.)(例えば、アボカド、シナモン、樟脳)、バショウ属種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木およびバナナ園(banana trees and plantations))、アカネ属種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ属種(Theaceae sp.)(例えば、チャ)、アオギリ属種(Sterculiceae sp.)、ミカン属種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ、ミカンおよびグレープフルーツ);ナス属種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト、ジャガイモ、コショウ、トウガラシ、ナス、タバコ)、ユリ属種(Liliaceae sp.)、キク属種(Compositae sp.)(例えば、レタス、チョウセンアザミおよびチコリー(これは、ルートチコリー(root chicory)、エンダイブまたはキクニガナを包含する))、セリ属種(Umbelliferae sp.)(例えば、ニンジン、パセリ、セロリおよびセロリアック)、ウリ属種(Cucurbitaceae sp.)(例えば、キュウリ(これは、ガーキン、カボチャ、スイカ、ヒョウタンおよびメロン)、ネギ属種(Alliaceae sp.)(例えば、リーキおよびタマネギ)、アブラナ属種(Cruciferae sp.)(例えば、白キャベツ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、タイサイ、コールラビ、ラディッシュ、セイヨウワサビ、コショウソウおよびハクサイ)、マメ属種(Leguminosae sp.)(例えば、ラッカセイ、エンドウ、レンズマメおよびマメ(例えば、インゲンマメおよびソラマメ))、アカザ属種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、フダンソウ、飼料用ビート、ホウレンソウ、ビートの根(beetroots))、アマ(Linaceae)属種(例えばアサ)、タイマ(Cannabeacea)属種(例えば、大麻)、アオイ(Malvaceae)属種(例えば、オクラ、カカオ)、ケシ科(例えば、ケシ)、クサスギカズラ科(Asparagaceae)(例えば、アスパラガス);有用植物および庭の観賞植物ならびに芝生、芝地、イネ科草本およびステビア・レバウディアナ(Stevia rebaudiana);および各場合でこれらの遺伝子組み換え型などがある。
【0101】
抵抗性誘発/植物の健康および他の効果
本発明による活性化合物は、植物における強力な強化効果も示す。従って、それらは、望ましくない微生物による攻撃に対する植物の防御を動員するのに使用される。
【0102】
植物増強性(抵抗性誘発性)物質は、本願の文脈において、続いて望ましくない微生物を接種された場合に、処理される植物が、高い程度のこれらの微生物に対する抵抗性を発達させるように植物の防御システムを刺激することができる物質も意味するものと理解すべきである。
【0103】
本発明による活性化合物は、作物の収量を高める上でも好適である。さらに、それらは低い毒性を示し、植物によって良好に耐容される。
【0104】
さらに、本発明の文脈において、植物生理効果には下記のものがある。
【0105】
温度耐性、干魃耐性および干魃ストレス後回復、水使用高率(水消費低下に相関)、冠水耐性、オゾンストレスおよびUV耐性、重金属、塩、農薬(薬害軽減剤)などの化学物質に対する耐性などの非生物性ストレス耐性、
真菌抵抗性上昇ならびに線虫、ウィルスおよび細菌に対する抵抗性の上昇などの生物性ストレス耐性。本発明の文脈において、生物性ストレス耐性は好ましくは、真菌抵抗性上昇および線虫に対する抵抗性上昇を含む。
【0106】
植物の健康/植物の品質および種子活力、立ち枯れ(stand failure)低減、見た目の改善、回復増加、緑色化効果の改善および光合成効率改善を含む植物活力の向上。
【0107】
植物ホルモンおよび/または機能性酵素に対する効果。
【0108】
早期発芽、より良好な発芽、より発達した根系および/または改善された根成長、分げつ能力向上、より生産性の高い分げつ、早期開花、植物高さおよび/またはバイオマスの向上、茎の短縮、苗条生長、穀粒数/穂、穂数/m
2、走根数および/または開花数の向上、収穫指数の向上、より大きい葉、枯れた根出葉の減少、葉序の改善、早期成熟/早期の果実仕上がり、均一な成熟、登熟期間の増加、より良好な果実仕上がり、果実/野菜の大きさ向上、発芽抵抗性および倒伏低減を含む成長調節物質(促進物質)に対する効果。
【0109】
合計バイオマス/ヘクタール、収量/ヘクタール、穀粒/果実重量、種子大きさおよび/またはヘクトリットル重量ならびに生産物品質の向上を指す収量増加、それは
粒径分布に関する加工性向上(穀粒、果実など)、均質な成熟、穀粒水分、より良好な粉砕、より良好なブドウ酒醸造、より良好な醸造、果汁収量、収穫性、消化性、沈降価、倒伏数、容器安定性、貯蔵安定性の向上、繊維の長さ/強度/均一性の向上、貯蔵牧草飼育動物のミルクおよび/または肉の増量、調理およびフライへの適応を含み、
さらには果実/穀粒品質、粒度分布(穀粒、果実など)の改善、貯蔵/保存寿命、硬さ/柔らかさ、味(香り、手触りなど)、等級(大きさ、形、液果数など)、房当たりの液果/果実数、歯ごたえ、ワックスによる被覆、生理的障害の頻度、色などの向上に関係する市場性改善を含み;
さらには例えばタンパク質含有量、脂肪酸、油分含有量、油分の品質、アミノ酸組成、糖含有量、酸含有量(pH)、糖/酸比(Brix)、ポリフェノール類、デンプン含有量、栄養品質、グルテン含有量/指数、エネルギー含有量、味などの所望の成分の増加を含み;
さらには、例えばマイコトキシン低減、アフラトキシン低減、ジェオスミンレベル、フェノール性芳香、ラッカーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ類およびペルオキシダーゼ類、硝酸含有量などの望ましくない成分の減少を含む。
【0110】
養分利用効率、特には窒素(N)利用効率、リン(P)利用効率、水利用効率、蒸散改善、呼吸および/またはCO
2同化速度、より良好な根粒形成、Ca代謝改善を含む持続的農業。
【0111】
例えば、登熟期延長、収量増加、植物の緑色葉着色期間の延長で発現される植物生理の改善を含む、従って色(緑色化)、含水量、乾燥などを含む老化遅延。従って、本発明の文脈で、活性化合物組み合わせの具体的な本発明の施用によって、植物の成熟(老化)を遅延させる緑色葉領域期間を延長することが可能となることが認められた。農業者にとって主要な利点は、収量向上につながる穀粒充填期の延長である。収穫時期の柔軟性が大きくなることも農業者にとっては有利である。
【0112】
その場合、「沈降価」は、タンパク質の品質の尺度であり、ゼレニー(Zeleny)(ゼレニー値)に従って、標準的な時間間隔中の乳酸溶液に懸濁させた小麦粉の沈降度を説明するものである。これは、製パン性の尺度となる。乳酸溶液中での小麦粉のグルテン画分の膨潤が、小麦粉懸濁液の沈降速度に影響を与える。より高いグルテン含有量およびより良好なグルテン品質の両方が沈降を遅くし、ゼレニー試験値を高くする。小麦粉の沈降価は、小麦タンパク質組成によって決まり、タンパク質含有量、小麦の硬さ、ならびに皿および炉ローフの体積に最も相関している。SDS沈降体積と比較してローフ体積とゼレニー沈降体積との間の相関がより強いのは、体積とゼレニー価の両方に影響するタンパク質含有量のためであると考えられる(Czech J. Food Sci. Vol. 21, No.3:91−96, 2000)。
【0113】
さらに、本明細書で言及される「フォーリングナンバー」は、穀類、特には小麦の製パン性の尺度である。フォーリングナンバー試験は、芽の損傷が起こっている可能性を示すものである。それは、小麦穀粒のデンプン部分の物理特性に対する変化がすでに起こっていることを意味している。その場合、フォーリングナンバー装置は、落下するプランジャーに対する小麦粉および水ペーストの抵抗を測定することで粘度を分析するものである。これが起こる時間(秒単位)がフォーリングナンバーとして知られる。フォーリングナンバー結果は、小麦または小麦粉サンプルにおける酵素活性の指標として記録され、結果は秒数としての時間で表現される。高いフォーリングナンバー(例えば、300秒より大きい値)は、小さい酵素活性および妥当な品質の小麦または小麦粉を示す。低いフォーリングナンバー(例えば、250秒以下)は、かなりの酵素活性および芽が損傷した小麦または小麦粉を示す。
【0114】
「より発達した根系」/「改善された根成長」という用語は、より長い根系、より深い根成長、より迅速な根成長、より高い根の乾燥/新鮮重量、より高い根体積、より大きい根表面積、より大きい根直径、より高い根安定性、より多くの根分岐、より高い根毛数および/またはより多くの根端を指し、好適な方法および画像解析プログラム(例えば、WinRhizo)を用いた根構造の解析によって測定することができる。
【0115】
「作物水利用効率」という用語は、技術的には消費された単位水量当たりの農業生産量を指し、経済的には消費された単位水体積当たり生産された生産物の価値を指し、例えば収量/ha、植物のバイオマス、1000粒穀粒質量および穂数/m
2で測定することができる。
【0116】
「窒素利用効率」という用語は、技術的には消費された単位窒素量当たりの農業生産量を指し、経済的には消費された単位窒素体積当たり生産された生産物の価値を指し、取り込みおよび利用効率を反映するものである。
【0117】
緑色化向上/色の改善および光合成効率の向上ならびに老化遅延は、HandyPeaシステム(Hansatech)などの公知の技術によって測定することができる。Fv/Fmは、光化学系II(PSII)の最大量子効率を指すのに広く用いられるパラメータである。このパラメータは、代表的には約0.85の最大Fv/Fm値を達成する健康なサンプルを用いた植物光合成成績の選択的指標であると広く考えられている。サンプルがPSII内のエネルギーの光化学クエンチングの能力を低下させた何らかの種類の生物的または非生物的ストレス因子に曝露された場合に、これより低い値が観察される。Fv/Fmは、可変蛍光(Fv)の最大蛍光値(Fm)に対する比として表される。性能指数は、実質的にサンプルの生命力の指標である(例えば、Advanced Techniques in Soil Microbiology, 2007, 11, 319−341;Applied Soil Ecology, 2000, 15, 169−182参照)。
【0118】
緑色化向上/色の改善および光合成効率の向上ならびに老化遅延は、正味光合成速度(Pn)の測定、クロロフィル含有量の測定、例えばZieglerおよびEhleの顔料抽出法、光化学効率(Fv/Fm比)の測定、苗条成長および最終根および/または草冠バイオマスの測定、分げつ密度ならびに根死亡率の測定によって評価することもできる。
【0119】
本発明の文脈の範囲内で、好ましいものは、根成長促進/より発達した根系、緑色化向上、水利用効率(水消費低下と相関)向上、養分利用効率向上を含む、特には窒素(N)利用効率向上、老化遅延および収量増加を含む群から選択される植物生理効果の改善である。
【0120】
収量向上の範囲内で、好ましいものは、特には穀類(好ましくは小麦)の群から選択される植物での沈降価およびフォーリングナンバーにおける向上ならびにタンパク質および糖含有量向上に関するものである。
【0121】
好ましくは、本発明の殺菌剤組成物の新規な使用は、a)抵抗性管理を行うまたは行わない、病原性真菌および/または線虫との予防的および/または治癒的防除、およびb)少なくとも根成長促進、緑色化向上、水利用効率向上、老化遅延および収量向上のうちの少なくとも一つの組み合わせ使用に関するものである。群b)からの、根系、水利用効率およびN利用効率の向上が特に好ましい。
【0122】
種子処理
本発明は、さらに、種子を処理する方法も包含する。
【0123】
本発明はさらに、前の段落で説明した方法の一つによって処理された種子に関する。本発明の種子は、望ましくない微生物から種子を保護するための方法において使用される。これらの方法においては、少なくとも1種類の本発明の有効成分で処理された種子を使用する。
【0124】
本発明による有効成分または組成物は、種子の処理にも適している。有害な生物に起因する作物植物に対する被害の大部分は、貯蔵中または播種後、さらには植物の発芽中および発芽後に、種子の感染によって起こる。この時期は特に重要である。それは、生長している植物の根および苗条は特に感受性が高く、軽度の損傷であってもその植物が死に至り得るからである。従って、適切な組成物を用いることで、種子および発芽中の植物を保護することに、大きな関心が持たれている。
【0125】
植物の種子を処理することによる植物病原性真菌の防除についてはかなり以前から知られており、現在もなお改善が続いているテーマである。しかしながら、種子の処理には、常に満足な形で解決できるとは限らない一連の問題が伴う。例えば、植物の植え付け後もしくは発芽後の作物保護組成物の追加施用を行わずに済ますか、少なくとも大幅に減らす、種子および発芽植物の保護方法を開発することが望ましい。そのようにして用いる有効成分の量を至適化することで、使用される有効成分による植物自体に対する損傷を生じることなく、植物病原菌による攻撃から種子および発芽植物を可能な限り最高の保護を行うことがさらに望ましい。特に、種子の処理方法では、遺伝子組み換え植物の固有の殺菌特性も考慮して、作物保護剤の消費量を最小限としながら、種子および発芽植物の保護を最大とすることを考慮すべきである。
【0126】
従って本発明は、本発明の組成物で種子を処理することで、種子および発芽植物を植物病原性真菌による攻撃から保護する方法に関するものでもある。本発明は同様に、植物病原菌にから種子および発芽植物を保護するために種子を処理する上での本発明の組成物の使用に関するものでもある。さらに本発明は、植物病原菌に対する保護のために本発明の組成物で処理した種子に関するものでもある。
【0127】
発芽後に植物に損傷を与える植物病原性真菌の防除は、主として土壌および植物の地上部を作物保護組成物で処理することで行う。作物保護組成物が環境ならびにヒトおよび動物の健康に与える可能性がある影響に関して懸念があるために、施用される有効成分の量を減らすための努力がなされている。
【0128】
本発明の利点の一つは、本発明の有効成分および組成物の特定の全身的性質が、これら有効成分および組成物による種子の処理が、植物病原性真菌から、種子自体を保護するだけでなく、発芽後の得られた植物も保護することを意味するという点である。このようにして、播種時またはその直後の時点での作物の直接処理を行わずに済ますことができる。
【0129】
本発明の有効成分または組成物を特に、種子から成長する植物が病害生物に対して作用するタンパク質を発現する能力を有するトランスジェニック種子にも用いることが可能であることも有利であると考えられる。そのような種子を本発明の有効成分もしくは組成物で処理することで、単にタンパク質、例えば殺虫性タンパク質の発現によって、ある種の病害生物を防除することができる。驚くべきことに、この場合にはさらなる相乗効果が認められる可能性があり、その場合には病害生物による攻撃に対する保護の有効性が相加的に高くなる。
【0130】
本発明の組成物は、農業、温室、森林または造園およびブドウ栽培において使用されるあらゆる種類の植物品種の種子を保護するのに適している。特に、これは、穀類(小麦、大麦、ライ麦、ライコムギ、モロコシ/キビおよびカラス麦など)、トウモロコシ、棉、大豆、イネ、ジャガイモ、ヒマワリ、豆類、コーヒー、ビート(例えば、テンサイおよび飼料用ビート)、ピーナッツ、アブラナ、ケシ、オリーブ、ココナッツ、カカオ、サトウキビ、タバコ、野菜(例えば、トマト、キュウリ、タマネギおよびレタスなど)、芝生および観賞植物(下記も参照)の種子である。穀類(小麦、大麦、ライ麦、ライコムギ、カラス麦など)、トウモロコシおよび米の処理が特に重要である。
【0131】
下記でも述べるように、本発明の有効成分または組成物を用いて遺伝子組み換え種子を処理することは、特に重要である。これは、少なくとも一つの異種遺伝子を含む植物の種子に関するものである。好適な異種遺伝子の定義および例を、下記に提供する。
【0132】
本発明の文脈において、本発明の組成物は、単独でまたは好適な製剤で種子に施用される。好ましくは、種子は、処理中に損傷が起こらないようにする上で十分安定である状態で処理される。概して、種子の処理は、収穫と播種の間のいずれかの時点で行うことができる。植物から分離され、穂軸、殻、茎、外被、毛または果実の実を含まない種子を用いるのが一般的である。例えば収穫、浄化および乾燥させて含水率15重量%未満とした種子を用いることが可能である。あるいは、乾燥後に、例えば水で処理し、次に再乾燥した種子を用いることも可能である。
【0133】
種子を処理する場合、種子に施用される本発明の組成物の量および/または別の添加剤の量を、種子の発芽に悪影響がないか、得られる植物に損傷がないように選択するように注意を払わなければならない。これは、ある一定の施用量で植物毒性効果を有し得る有効成分の場合には特に留意すべきものである。
【0134】
本発明の組成物は直接施用することができる、すなわち他の成分を含んだり、希釈せずに施用することができる。通常、好適な製剤の形で種子に組成物を施用することが好ましい。好適な製剤および種子処理方法は当業者には公知であり、例えば下記の文書US4,272,417、US4,245,432、US4,808,430、US5,876,739、US2003/0176428A1、WO2002/080675、WO2002/028186に記載されている。
【0135】
本発明に従って使用することができる有効成分は、液剤、乳濁液、懸濁液、粉剤、泡剤、スラリーまたは種子用の他のコーティング組成物などの一般的な種子被覆製剤およびULV製剤に変換することができる。
【0136】
これらの製剤は、公知の方法で、有効成分を例えば、一般的な増量剤などの一般的な添加剤、さらには溶媒もしくは希釈剤、色素、湿展剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、保存剤、二次増粘剤、接着剤、ジベレリン類および水と混合することで製造される。
【0137】
本発明に従って用いることができる種子被覆製剤中に存在させることができる有用な色素には、そのような目的に一般的な全ての色素がある。水溶解度が非常に低い顔料または水に可溶な色素を用いることができる。例としては、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112およびC.I.ソルベントレッド1の名称で知られる色素などがある。
【0138】
本発明に従って用いることができる種子被覆製剤中に存在させることができる有用な湿展剤には、濡れを促進し、活性な農芸化学成分の製剤に従来使用される物質がある。好ましくは、ナフタレンスルホン酸ジイソプロピルもしくはジイソブチルなどのナフタレンスルホン酸アルキル類を用いる。
【0139】
本発明に従って用いることができる種子被覆製剤中に存在させることができる有用な分散剤および/または乳化剤には、活性農芸化学成分の製剤で従来使用される全てのノニオン系、アニオン系およびカチオン系の分散剤である。好ましく使用可能なものは、ノニオン系もしくはアニオン系分散剤またはノニオン系もしくはアニオン系分散剤の混合物である。好適なノニオン系分散剤には特には、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドブロックポリマー類、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類およびトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル類およびそれらのリン酸化もしくは硫酸化誘導体などがある。好適なアニオン系分散剤は特には、リグノスルホネート類、ポリアクリル酸塩およびアリールスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物である。
【0140】
本発明に従って用いることができる種子被覆製剤中に存在させることができる消泡剤には、活性農芸化学成分の製剤に従来使用される全ての発泡禁止化合物がある。好ましくはシリコーン系消泡剤およびステアリン酸マグネシウムを用いることができる。
【0141】
本発明に従って使用することができる種子被覆製剤中に存在させることができる保存剤には、農芸化学組成物中でそのような目的で使用可能な全ての物質がある。例としては、ジクロロフェンおよびベンジルアルコールヘミホルマールなどがある。
【0142】
本発明に従って使用することができる種子被覆製剤中に存在させることができる二次増粘剤には、農芸化学組成物中でそのような目的で使用可能な全ての物質がある。好ましい例には、セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、キサンタン、改質粘土および微粉砕シリカなどがある。
【0143】
本発明に従って使用することができる種子被覆製剤中に存在させることができる接着剤には、種子被覆製品で使用可能な全ての一般的な結合剤がある。好ましい例には、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールおよびチロースなどがある。
【0144】
本発明に従って使用することができる種子被覆製剤中に存在させることができるジベレリン類は、好ましくはジベレリンA1、A3(=ジベレリン酸)、A4およびA7であることができ、ジベレリン酸を使用するのが特に好ましい。ジベレリン類は公知である(R. Wegler ″Chemie der Pflanzenschutz− und Schaedlingsbekaempfungsmittel″[Chemistry of the Crop Protection Compositions and Pesticides], vol. 2, Springer Verlag、1970, pp.401−412参照)。
【0145】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤は、直接または予め水で希釈しておいた後、トランスジェニック植物の種子などの広範囲の異なる種子の処理に用いることができる。この場合、発現により形成された物質との相互作用において、さらなる相乗効果が生じることもあり得る。
【0146】
本発明に従って使用することが可能な種子粉衣製剤または水を加えることでその種子粉衣製剤から調製される調製物を用いて種子を処理するには、種子粉衣に関して一般的に使用可能な全ての混合装置が有用である。具体的には、粉衣での手順は、種子を混合機の中に入れ、特定の所望量の種子粉衣製剤を、そのままで添加するかまたは予め水で希釈した後に添加し、そして製剤が種子の表面に均一に分配されるまで混合を行うというものである。適切であれば、続いて乾燥工程を行う。
【0147】
真菌毒
さらに、本発明の処理は、収穫物およびそれから製造される食物および飼料における真菌毒含有量を減らすことができる。真菌毒には特には、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール、15−Ac−DON、3−Ac−DON、T2−およびHT2−毒素、フモニシン類、ゼアラレノン、モニリホルニン、フザリン、ジアセトキシスシルペノール(DAS)、ボーベリシン、エンニアチン、フザロプロリフェリン、フザレノール、オクラトキシン類、パツリン、麦角アルカロイド類およびアフラトキシン類などがあり(これらに限定されるものではない)、これらは、例えば以下の真菌:フザリウム(Fusarium)属種、例えばフザリウム・アクミナツム(F. acuminatum)、フザリウム・アシアチクム(F. asiaticum)、フザリウム・アベナセウム(F. avenaceum)、フザリウム・クロオクウェレンセ(F. crookwellense)、フザリウム・クルモルム(F. culmorum)、フザリウム・グラミネアルム(F. graminearum)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、フザリウム・エクイセチ(F. equiseti)、フザリウム・フジコロイ(F. fujikoroi)、フザリウム・ムサルム(F. musarum)、フザリウム・オキシスポルム(F. oxysporum)、フザリウム・プロリフェラツム(F. proliferatum)、フザリウム・ポアエ(F. poae)、フザリウム・シュードグラミネアルム(F. pseudograminearum)、フザリウム・サムブシヌム(F. sambucinum)、フザリウム・シルピ(F. scirpi)、フザリウム・セミテクツム(F. semitectum)、フザリウム・ソラニ(F. solani)、フザリウム・スポロトリコイデス(F. sporotrichoides)、フザリウム・ラングセチアエ(F. langsethiae)、フザリウム・セブグルチナンス(F. subglutinans)、フザリウム・トリシンクツム(F. tricinctum)、フザリウム・ベルチシリオイデス(F. verticillioides)などのなどによって、さらにはアスペルギルス(Aspergillus)属種、例えばアスペルギルス・フラブス(A. flavus)、アスペルギルス・パラシチクス(A. parasiticus)、アスペルギルス・ノミウス(A. nomius)、アスペルギルス・オクラセウス(A. ochraceus)、アスペルギルス・クラバツス(A. clavatus)、アスペルギルス・テレウス(A. terreus)、アスペルギルス・ベルシコロル(A. versicolor)、ペニシリウム(Penicillium)属種、例えばペニシリウム・ベルコスム(P. verrucosum)、ペニシリウム・ビリジカツム(P. viridicatum)、ペニシリウム・シトリヌム(P. citrinum)、ペニシリウム・エクスパンスム(P. expansum)、ペニシリウム・クラビホルメ(P. claviforme)、ペニシリウム・ロクエフォルチ(P. roqueforti)、クラビセプス(Claviceps)属種、例えばクラビセプス・プルプレア(C. purpurea)、クラビセプス・フシホルミス(C. fusiformis)、クラビセプス・パスパリ(C. paspali)、クラビセプス・アフリカナ(C. africana)、スタキボトリス(Stachybotrys)属種などによって生じ得るものである。
【0148】
材料保護
本発明の有効成分または組成物は、材料保護において、望ましくない微生物、例えば真菌および昆虫による攻撃および破壊に対する工業材料の保護に用いることもできる。
【0149】
さらに本発明の化合物は、単独でまたは他の有効成分と組み合わせて、防汚剤組成物として用いることができる。
【0150】
本発明の文脈での工業材料は、工業用に作られた非生物材料を意味するものと理解すべきである。例えば、本発明の有効成分によって微生物による変化または破壊から保護されるべき工業材料は、接着剤、糊、紙、壁紙およびボール紙/段ボール、テキスタイル、カーペット、皮革、木材、繊維およびティッシュ、塗料およびプラスチック品、冷却潤滑剤および微生物によって感染もしくは破壊を受け得る他の材料である。微生物の繁殖によって害を受け得る製造工場および建物の一部、例えば冷却水循環路、冷却および加熱システムおよび換気および空調ユニットも、保護されるべき材料の範囲内で言及され得るものである。本発明の範囲内の工業材料には好ましくは、接着剤、サイズ、紙および板、皮革、木材、塗料、冷却潤滑剤および熱伝達液などがあり、より好ましいものは木材である。
【0151】
本発明の有効成分または組成物は、腐敗、劣化、退色、脱色またはかび形成のような有害効果を防止することができる。
【0152】
木材処理の場合、本発明による化合物/組成物は、材木表面または材木内部で生じやすい真菌病害に対して用いることもできる。「材木」という用語は、あらゆる種類の木材種および建設のためのこの木材のあらゆる種類の工作物、例えば無垢材、圧縮材、積層材およびベニヤ板を意味する。本発明に従って材木を処理する方法は主として、1以上の本発明による化合物または本発明による組成物と接触させることにあり、それには、例えば直接施用、噴霧、浸漬、注入または他のいずれか好適な手段などがある。
【0153】
さらに、本発明の化合物は、塩水または汽水と接触するもの、特には、船体、スクリーン、網、建造物、係船設備および信号システムを付着物から保護するのに使用することができる。
【0154】
望ましくない真菌を防除するための本発明による方法は、貯蔵品保護にも用いることができる。貯蔵品とは、植物もしくは動物起源の天然物質または天然起源のそれの加工製品であって長期間の保護が望まれるものを意味するものと理解されるべきである。例えば植物もしくは植物部分などの植物由来の貯蔵品、例えば茎、葉、塊茎、種子、果実、穀粒は、収穫されたばかりで、または(前)乾燥、加湿、破砕、粉砕、加圧または焙焼による加工後に保護することができる。貯蔵品には、建築用材木、電柱および柵などの粗材木または家具などの完成製品の形態の材木との両方も含まれる。動物由来の貯蔵品は、例えば獣皮、皮革、毛皮および毛髪である。本発明の有効成分は、腐食、劣化、変色、退色またはかび形成などの有害効果を防ぐことができる。
【0155】
工業材料を劣化または変質させ得る微生物には、例えば細菌、真菌、酵母、藻類および粘菌類などがある。本発明の有効成分は好ましくは、真菌、特にカビ類、材木を変色させる菌類および材木を破壊する菌類(子嚢菌類、担子菌類、不完全菌類および接合菌類)に対して、ならびに粘菌類および藻類に対して作用する。例としては、以下の属の微生物:アルテルナリア(Alternaria)、例えば、アルテルナリア・テヌイス(Alternaria tenuis);アスペルギルス(Aspergillus)、例えば、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger);カエトミウム(Chaetomium)、例えば、カエトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum);コニオホラ(Coniophora)、例えば、コニオホラ・プエタナ(Coniophora puetana);レンチヌス(Lentinus)、例えば、レンチヌス・チグリヌス(Lentinus tigrinus);ペニシリウム(Penicillium)、例えば、ペニシリウム・グラウクム(Penicillium glaucum);ポリポルス(Polyporus)、例えば、ポリポルス・ベルシコロル(Polyporus versicolor);アウレオバシジウム(Aureobasidium)、例えば、アウレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans);スクレロホマ(Sclerophoma)、例えば、スクレロホマ・ピチオフィラ(Sclerophoma pityophila);トリコデルマ(Trichoderma)、例えば、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride);オフィオストマ属種(Ophiostoma spp.)、セラトシスティス属種(Ceratocystis spp.)、フミコラ属種(Humicola spp.)、ペトリエラ属種(Petriella spp.)、トリクルス属種(Trichurus spp.)、コリオルス属種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属種(Gloeophyllum spp.)、プレウロツス属種(Pleurotus spp.)、ポリア属種(Poria spp.)、セルプラ属種(Serpula spp.)およびチロミセス属種(Tyromyces spp.)、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)、パエシロミセス属種(Paecilomyces spp.)、ムコル属種(Mucor spp.)、エシェリキア(Escherichia)、例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli);シュードモナス(Pseudomonas)、例えば、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa);スタフィロコッカス(Staphylococcus)、例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、カンジダ属種(Candida spp.)およびサッカロミセス属種(Saccharomyces spp.)、例えばサッカロミセス・セレビサエ(Saccharomyces cerevisae)などがある。
【0156】
抗真菌活性
さらに、本発明の有効成分は、極めて優れた抗真菌活性も有する。それらは、極めて広い抗真菌活性スペクトルを有しており、特に、皮膚糸状菌ならびに酵母菌、カビおよび二相性真菌類に対して〔例えば、カンジダ(Candida)種、例えば、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)、カンジダ・グラブラタ(C. glabrata)に対して)、ならびに、エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum)、アスペルギルス(Aspergillus)種、例えばアスペルギルス・ニゲル(A. niger)およびアスペルギルス・フミガツス(A. fumigatus)、トリコフィトン(Trichophyton)種、例えばトリコフィトン・メンタグロフィテス(T. mentagrophytes)、ミクロスポロン(Microsporon)種、例えば、ミクロスポロン・カニス(M. canis)およびミクロスポロン・アウドウイニイ(M. audouinii)などに対して、極めて広い抗真菌活性スペクトルを有している。これら菌類のリストは、包含される真菌スペクトルを決して限定するものではなく、単に例示的なものである。
【0157】
従って、本発明の有効成分は、医学的利用分野および非医学的利用分野の両方で用いることができる。
【0158】
GMO
すでに上述したように、本発明に従って、全ての植物および植物部分を処理することが可能である。好ましい実施形態では、野生植物種および植物栽培品種、または異種交配もしくはプロトプラスト融合のような従来の生物育種方法によって得られたもの、ならびにこれらの部分を処理する。さらに好ましい実施形態では、遺伝子工学法、適切な場合は、従来の方法と組み合わせて得られた遺伝子導入植物および植物品種(遺伝的改変生物)、ならびにこれらの部分を処理する。「部分」、「植物の部分」または「植物部分」という用語については、すでに上記で説明している。より好ましくは、市販されているか使用されている植物品種の植物を、本発明に従って処理する。植物品種とは、従来の品種改良、突然変異誘発または組換えDNA技術によって得られた、新規な特徴(「形質」)を有する植物を意味するものと理解される。これらは、栽培品種、変種、生物型または遺伝子型であることができる。
【0159】
本発明による処理方法は、遺伝子改変した生物(GMOs)、例えば、植物または種子の処理で使用することができる。遺伝子改変した植物(またはトランスジェニック植物)は、異種遺伝子がゲノム中に安定に組み込まれている植物である。「異種遺伝子」という表現は、本質的に、植物の外側で提供または組み立てられ、かつ、細胞核ゲノム、クロロプラストゲノムまたはミトコンドリアゲノムに導入すると、形質転換された植物に、対象となるタンパク質もしくはポリペプチドを発現することで、またはその植物に存在する他の遺伝子を低下またはサイレンシングすることにより(例えば、アンチセンス技術、共抑制技術またはRNAi干渉[RNAi]を用いる)、新たなもしくは改善された農学的その他の特性を与える遺伝子を意味する。ゲノム中に存在する異種遺伝子は、同様にトランス遺伝子と呼ばれる。植物のゲノム中でのそれの特定の位置によって定義されるトランス遺伝子は、形質転換またはトランスジェニック事象と呼ばれる。
【0160】
植物種または植物品種、それらの場所および成長条件(土壌、天候、生育期間、栄養)によっては、本発明の処理は、超加算的(「相乗」)効果をもたらすこともある。従って、例えば、実際に起こると予想される効果を超える、施用量の低減および/または活性スペクトルの拡大および/または本発明に従って使用することができる活性化合物および組成物の活性の向上、植物成長の改善、高温もしくは低温に対する耐性の向上、干魃または水もしくは土壌の塩含有量に対する耐性向上、開花能の向上、収穫の簡易化、成熟の加速、収穫高の増大、より大きい果実、より高い植物、より濃い緑色の葉、より容易な開花、収穫物の品質向上および/または栄養価の上昇、収穫物の保存安定性および/または加工性の向上が可能である。
【0161】
一定の施用量では、本発明による活性化合物の組み合わせは、植物における増強効果を有する可能性もある。したがって、それらは、望ましくない微生物による攻撃に対する植物の防御システムの動員にも適している。これは、適切である場合、例えば真菌に対する本発明による組み合わせの向上した活性の理由の一つであり得る。植物増強性(抵抗性誘発性)物質は、本願の関連において、続いて望ましくない微生物を接種された場合に、処理される植物が、かなりの程度のこれら微生物に対する抵抗性を示すように植物の防御システムを刺激することができる物質または物質の組み合わせも意味するものと理解すべきである。この場合、望ましくない微生物とは、植物病原性の真菌、細菌およびウィルスを意味するものと理解すべきである。従って、本発明による物質は、処理後のある一定の時間内に、上記の病原体による攻撃に対して植物を保護するのに使用できる。保護が行われる期間は、活性化合物で植物を処理してから、一般には1から10日間、好ましくは1から7日間に及ぶ。
【0162】
好ましくは本発明に従って処理されるべき植物および植物品種には、その植物(育種および/またはバイオテクノロジー的手段によって得られたか否かとは無関係に)に特に有利で有用な形質を付与する遺伝物質を有する全ての植物が含まれる。
【0163】
やはり好ましくは本発明に従って処理されるべき植物および植物品種は、1以上の生物ストレスに対して抵抗性である。すなわち、その植物は、例えば線虫、昆虫、ダニ、植物病原菌、細菌、ウィルスおよび/またはウィロイドなどの有害動物および有害微生物に対するより良好な防御を示す。
【0164】
線虫または昆虫抵抗性植物の例が、例えば米国特許出願11/765,491、11/765,494、10/926,819、10/782,020、12/032,479、10/783,417、10/782,096、11/657,964、12/192,904、11/396,808、12/166,253、12/166,239、12/166,124、12/166,209、11/762,886、12/364,335、11/763,947、12/252,453、12/209,354、12/491,396、12/497,221、12/644,632、12/646,004、12/701,058、12/718,059、12/721,595、12/638,591に記載されている。
【0165】
やはり本発明に従って処理可能な植物および植物品種は、1以上の非生物ストレスに対して抵抗性である植物である。非生物ストレス条件には、例えば、乾燥、低温曝露、熱曝露、浸透圧ストレス、浸水、土壌塩濃度上昇、ミネラル曝露増加、オゾン曝露、高露光、窒素栄養素利用能の制限、リン栄養素利用能の制限、日陰忌避などがあり得る。
【0166】
やはり本発明に従って処理することができる植物および植物品種は、収穫特性向上を特徴とする植物である。例えば改善された植物の生理、成長および発達、例えば水利用効率、水保持効率、窒素利用の改善、炭素同化向上、光合成向上、発芽効率上昇および成熟加速の結果、その植物での収量増加につながり得る。収量はさらに、改善された植物構造(ストレス条件および非ストレス条件下)によって影響され得るものであり、それには、早期開花、ハイブリッド種子製造のための開花制御、苗の元気、植物の大きさ、節間の数および間隔、根の成長、種子の大きさ、果実の大きさ、鞘の大きさ、鞘および穂の数、鞘または穂当たりの種子数、種子の質量、種子充填度の強化、種子裂開の低減、減少した鞘裂開の低減および倒伏耐性などがあるが、これらに限定されるものではない。さらなる収量関係の形質には、種子組成、例えば炭水化物含有量、タンパク質含有量、油の含有量および組成、栄養価、非栄養化合物の減少、加工性改善および貯蔵安定性の向上などがある。
【0167】
本発明により処理され得る植物は、既にヘテロシスまたはハイブリッド活力の特徴を発現するハイブリッド植物であり、それによって、収量、活力、健康および生物ストレスおよび非生物ストレスに対する抵抗性がより高くなる。そのような植物は代表的には、同系交配雄性不稔親株(雌親)と別の同系交配雄性稔性親株(雄親)を交雑させることにより作られる。ハイブリッド種子は代表的には、雄性不稔植物から収穫され、栽培者に販売される。雄性不稔植物は、(例えばトウモロコシでは)、雄穂除去、すなわち雄性生殖器(または雄花)の物理的除去により作ることができる場合があるが、より代表的には、雄性不稔性は、植物ゲノムにおける遺伝的決定基の結果である。この場合、そして特には種子がハイブリッド植物から収穫するのが望まれる産物である場合に、ハイブリッド植物での雄性不稔性が十分に回復されるようにすることが有用であるのが普通である。これは、雄性不稔性を担う遺伝的決定基を含むハイブリッド植物で雄性稔性を回復することができる適切な稔性回復遺伝子を雄親が有するようにすることで達成される。雄性不稔性の遺伝的決定基は細胞質に局在化していることができる。細胞質雄性不稔性(CMS)の例としては、例えばアブラナ種で記載されていた(WO92/05251、WO95/09910、WO98/27806、WO05/002324、WO06/021972およびUS6,229,072)。しかしながら、雄性不稔性の遺伝的決定基は、細胞核ゲノムに局在化していることもできる。雄性不稔性植物は、遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によっても得ることができる。雄性不稔性植物を得る上で特に好ましい手段は、WO89/10396に記載されており、そこでは、例えば、バルナーゼなどのリボヌクレアーゼが、雄しべにあるタペータム細胞で選択的に発現される。次に稔性は、バルスターなどのリボヌクレアーゼ阻害剤のタペータム細胞での発現によって回復することができる(例:WO91/02069)。
【0168】
本発明に従って処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られる)は、除草剤耐性植物、すなわち、1以上の所定の除草剤に対して耐性とされた植物である。そのような植物は、形質転換により、またはそのような除草剤耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。
【0169】
除草剤抵抗性植物は、例えばグリホセート耐性植物、すなわち除草剤であるグリホセートまたはその塩に対して耐性とされた植物である。植物は、各種手段によってグリホセートに対して耐性とすることができる。例えば、グリホセート耐性植物は、酵素5−エノールピルビルシキマート−3−ホスファート合成酵素(EPSPS)をコードする遺伝子で植物を形質転換することで得ることができる。そのようなEPSPS遺伝子の例は、細菌サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)のAroA遺伝子(突然変異CT7)(Science, 1983, 221, 370−371)、細菌アグロバクテリウム属種(Agrobacterium sp)のCP4遺伝子(Curr. Topics Plant Physiol., 1992, 7, 139−145)、ペチュニアEPSPS(Science, 1986, 233, 478−481)、トマトEPSPS(J. Biol. Chem., 1988, 263, 4280−4289)、もしくはオヒシバ(eleusine)EPSPS(WO01/66704)をコードする遺伝子である。それは、例えばEP0837944、WO00/66746、WO00/66747またはWO02/26995に記載の変異EPSPSであることもできる。グリホセート耐性植物は、US5,776,760およびUS5,463,175に記載のグリホセートオキシド−レダクターゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、例えばWO02/036782、WO03/092360、WO2005/012515およびWO2007/024782に記載のグリホセートアセチルトランスフェラーゼ酵素をコードする遺伝子を発現させることによって得ることもできる。グリホセート耐性植物は、例えばWO01/024615またはWO03/013226に記載の上述の遺伝子の天然突然変異を含む植物を選択することによっても得ることができる。グリホセート耐性を与えるEPSPS遺伝子を発現する植物は、例えば米国特許出願11/517,991、10/739,610、12/139,408、12/352,532、11/312,866、11/315,678、12/421,292、11/400,598、11/651,752、11/681,285、11/605,824、12/468,205、11/760,570、11/762,526、11/769,327、11/769,255、11/943801または12/362,774に記載されている。デカルボキシラーゼ遺伝子などのグリホセート耐性を与える他の遺伝子を含む植物は、例えば米国特許出願11/588,811、11/185,342、12/364,724、11/185,560または12/423,926に記載されている。
【0170】
他の除草剤耐性植物は、例えば酵素であるグルタミン合成酵素を阻害する除草剤、例えばビアラホス、ホスフィノトリシンまたはグルホシネートに対して耐性とされた植物である。そのような植物は、例えば米国特許出願11/760,602に記載の除草剤を解毒する酵素または阻害に対して耐性である酵素グルタミン合成酵素の突然変異体を発現させることによって得ることができる。一つのそのような有効な解毒性酵素は、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(ストレプトミセス(Streptomyces)種からのbarまたはpatタンパク質など)をコードする酵素である。外来ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを発現する植物は、例えば米国特許第5,561,236号;5,648,477号;5,646,024号;5,273,894号;5,637,489号;5,276,268号;5,739,082号;5,908,810号および7,112,665号に記載されている。
【0171】
さらに別の除草剤耐性植物は、酵素ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)を阻害する除草剤に対して耐性にされている植物でもある。HPPDは、パラヒドロキシフェニルピルビン酸(HPP)がホモゲンチジン酸に転換される反応を触媒する酵素である。WO96/38567、WO99/24585、WO99/24586、WO09/144079、WO02/046387またはUS6,768,044に記載のように、天然の耐性HPPD酵素をコードする遺伝子または突然変異もしくはキメラHPPD酵素をコードする遺伝子を用いて、HPPD阻害剤に対して耐性の植物を形質転換することができる。HPPD阻害剤に対する耐性はまた、HPPD阻害剤による天然HPPD酵素の阻害にもかかわらずホモゲンチジン酸の形成を可能にする、ある種の酵素をコードする遺伝子を用いて植物を形質転換することによっても得ることができる。そのような植物および遺伝子は、WO99/34008およびWO02/36787に記載されている。WO04/024928に記載のように、HPPD耐性酵素をコードする遺伝子に加えて、プレフェン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)活性を有する酵素をコードする遺伝子を用いて植物を形質転換することによって、HPPD阻害剤に対する植物の耐性を改善させることもできる。さらに、WO2007/103567およびWO2008/150473に示されているCYP450酵素などのHPPD阻害剤を代謝もしくは分解することができる酵素をコードする遺伝子を、ゲノムに付加することで、植物のHPPD−阻害剤除草剤に対する耐性を高くすることができる。
【0172】
さらに別の除草剤抵抗性植物は、アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害剤に対して耐性とされた植物である。公知のALS阻害剤には、例えばスルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン類、プリミジニルオキシ(チオ)安息香酸化合物および/またはスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草剤などがある。例えばTranel and Wright(Weed Science 2002, 50:700−712)に、さらには米国特許第5,605,011号、5,378,824号、5,141,870号および5,013,659号に記載のように、ALS酵素(アセトヒドロキシ酸合成酵素、AHASとも称される)における各種突然変異が、各種の除草剤または除草剤群に対する耐性を付与することが知られている。スルホニル尿素耐性植物およびイミダゾリノン耐性植物の製造は、米国特許第5,605,011号;5,013,659号;5,141,870号;5,767,361号;5,731,180号;5,304,732号;4,761,373号;5,331,107号;5,928,937号;および5,378,824号、ならびにWO96/033270に記載されている。他のイミダゾリノン耐性植物も、例えばWO2004/040012、WO2004/106529、WO2005/020673、WO2005/093093、WO2006/007373、WO2006/015376、WO2006/024351およびWO2006/060634に記載されている。さらに別のスルホニル尿素耐性植物およびイミダゾリノン耐性植物が、例えばWO2007/024782および米国特許出願61/288958にも記載されている。
【0173】
イミダゾリノンおよび/またはスルホニル尿素に対して耐性である他の植物は、例えばUS5,084,082でダイズについて、WO97/41218でイネについて、US5,773,702およびWO99/057965でサトウダイコンについて、US5,198,599でレタスについて、またはWO01/065922でヒマワリについて記載のように、突然変異誘発、除草剤存在下での細胞培地での選別、または突然変異育種によって得ることができる。
【0174】
やはり本発明に従って処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得られる)は、昆虫耐性トランスジェニック植物、すなわち、ある種の標的昆虫による攻撃に対して耐性とした植物である。そのような植物は、形質転換によってまたはそのような昆虫耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。
【0175】
本明細書で使用される場合の「昆虫耐性トランスジェニック植物」には、次のものをコードするコード配列を含む少なくとも一つのトランス遺伝子を含む植物などがある。
【0176】
1)バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の殺虫性結晶タンパク質またはその殺虫性部分、例えばCrickmore et al. (1998, Microbiology and Molecular Biology Reviews, 62: 807−813)により挙げられ、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒命名法でCrickmoreら(2005)によって改訂された、オンライン:http://www.lifesci.sussex.ac.uk/Home/Neil_Crickmore/Bt/にオンラインで挙げられた殺虫性結晶タンパク質またはそれの殺虫性部分、例えばCryタンパク質分類Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1B、Cry1C、Cry1D、Cry1F、Cry2Ab、Cry3AaまたはCry3Bbのタンパク質またはそれらの殺虫性部分(例えばEP−A1999141およびWO2007/107302)または例えば米国特許出願12/249016に記載の合成遺伝子によってコードされるタンパク質;または
2)バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来の結晶タンパク質またはバチルス・チューリンゲンシス由来の第二の他の結晶タンパク質またはそれの部分の存在下で殺虫性であるそれの部分、例えばCry34およびCry35結晶タンパク質から構成される二元毒素(Nat. Biotechnol., 2001, 19: 668−72;Applied Environm. Microbiol., 2006, 71, 1765−1774)またはCry1AまたはCry1Fタンパク質およびCry2AaまたはCry2AbまたはCry2Aeタンパク質で構成される二元毒素(米国特許出願12/214,022およびEP−A2300618);または
3)バチルス・チューリンゲンシス由来の2つの各種殺虫性結晶タンパク質の部分を含むハイブリッド殺虫性タンパク質、例えば、上記1)のタンパク質のハイブリッドまたは上記2)のタンパク質のハイブリッド、例えば、コーン・イベント(corn event)MON98034により産生されるCry1A.105タンパク質(WO2007/027777);または
4)標的昆虫種に対するより高い殺虫活性を得るために、および/または、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、および/またはクローニングもしくは形質転換時にコードDNAに導入される変化のために、いくつか、特に1から10のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている上記1)から3)のいずれか一つのタンパク質、例えばコーン・イベントMON863またはMON88017におけるCry3Bb1タンパク質またはコーン・イベントMIR604におけるCry3Aタンパク質;または
5)バチルス・チューリンゲンシスまたはバチルス・セレウス(Bacillus cereus)由来の殺虫性分泌タンパク質またはそれの殺虫性部分、例えばhttp://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/vip.htmlで列挙される植物殺虫性(VIP)タンパク質、例えば、VIP3Aaタンパク質分類からのタンパク質;または
6)バチルス・チューリンゲンシスまたはB.セレウス由来の第二の分泌タンパク質存在下で殺虫性であるバチルス・チューリンゲンシスまたはバチルス・セレウス由来の分泌タンパク質、例えば、VIP1AおよびVIP2Aタンパク質から構成される二元毒素(WO94/21795);または
7)バチルス・チューリンゲンシスまたはバチルス・セレウス由来の異なる分泌タンパク質からの部分を含むハイブリッド殺虫性タンパク質、例えば上記1)におけるタンパク質のハイブリッドまたは上記2)におけるタンパク質のハイブリッド;または
8)標的昆虫種に対するより高い殺虫活性を得るために、および/または、影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するために、および/またはクローニングもしくは形質転換時にコードDNAに導入される変化のために、いくつか、特に1から10のアミノ酸が別のアミノ酸により置換されている上記5)から7)のいずれかのタンパク質(なおも殺虫性タンパク質をコードしている)、例えば、コットン・イベントCOT102におけるVIP3Aaタンパク質;または
9)VIP3およびCry1AまたはCry1Fから構成される二元毒素(米国特許出願61/126083および61/195019)、またはVIP3タンパク質およびCry2AaまたはCry2AbまたはCry2Aeタンパク質から構成される二元毒素(米国特許出願12/214,022およびEP−A2300618)などのバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)からの結晶タンパク質の存在下に殺虫性であるバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)またはセレウス菌(Bacillus cereus)からの分泌タンパク質;
10)いくつかの、特には1から10のアミノ酸が別のアミノ酸によって置き換わっていることで、標的昆虫種に対する殺虫活性がより高くなり、および/または影響される標的昆虫種の範囲が拡大し、および/またはクローニングまたは形質転換時にコードするDNAに導入される変化(殺虫性タンパク質はなおもコードしている)の故の上記の9)のタンパク質
当然のことながら、本明細書で使用される場合の昆虫耐性トランスジェニック植物には、上記の分類1から10のいずれか一つのタンパク質をコードする遺伝子の組み合わせを含む植物が含まれる。1実施態様において、昆虫耐性植物は、異なる標的昆虫種に対する異なるタンパク質を使用した場合に影響を受ける標的昆虫種の範囲を拡大するため、または同じ標的昆虫種に対して殺虫性があるが異なる作用機序(例えば、昆虫での異なる受容体結合部位に結合する等)を有する異なるタンパク質を使用することによって植物に対する昆虫の抵抗性発達を遅延させるために、上記の分類1から10のいずれか一つのタンパク質をコードする複数のトランス遺伝子を含む。
【0177】
本明細書で使用される「昆虫抵抗性トランスジェニック植物」にはさらに、例えばWO2007/080126、WO2006/129204、WO2007/074405、WO2007/080127およびWO2007/035650に記載のような植物害虫によって摂食されたら、その害虫の成長を阻害する二本鎖RNAを発現時に産生する配列を有する少なくとも一つの導入遺伝子を含む植物が含まれる。
【0178】
やはり本発明によって処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得たもの)は、非生物ストレスに対して耐性である。そのような植物は、形質転換によりまたはそのようなストレス耐性を付与する突然変異を含む植物の選択によって得ることができる。特に有用なストレス耐性植物には以下のものなどがある。
【0179】
1)WO00/04173、WO/2006/045633、EP−A1807519またはEP−A2018431に記載のような、植物細胞または植物においてポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)遺伝子の発現および/または活性を低下させることができるトランス遺伝子を含む植物、
2)例えばWO2004/090140に記載のような、植物または植物細胞のPARGコード遺伝子の発現および/または活性を低下させることができるストレス耐性促進トランス遺伝子を含む植物、
3)例えばEP−A1794306、WO2006/133827、WO2007/107326、EP−A1999263またはWO2007/107326に記載のような、ニコチンアミダーゼ、ニコチネートホスホリボシルトランスフェラーゼ、ニコチン酸モノヌクレオチドアデニルトランスフェラーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド合成酵素またはニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼなどのニコチンアミドアデニンジヌクレオチドサルベージ生合成経路の植物機能性酵素をコードするストレス耐性促進トランス遺伝子を含む植物。
【0180】
やはり本発明によって処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得たもの)は、収穫産物の量、品質および/または貯蔵安定性の変化および/または収穫産物の具体的な成分の特性変化も示し、それには下記のものなどがある。
【0181】
1)物理化学的特性、特にアミロース含有量またはアミロース/アミロペクチン比、分枝度、平均鎖長、側鎖分布、粘性挙動、ゲル化強度、デンプン粒度および/またはデンプン粒子形態が、野生型植物細胞または植物で合成されるデンプンと比較して変化していることで、特殊な用途により適したものとなる改質デンプンを合成するトランスジェニック植物(改質デンプンを合成する前記トランスジェニック植物は、例えばEP−A0571427、WO95/04826、EP−A0719338、WO96/15248、WO96/19581、WO96/27674、WO97/11188、WO97/26362、WO97/32985、WO97/42328、WO97/44472、WO97/45545、WO98/27212、WO98/40503、WO99/58688、WO99/58690、WO99/58654、WO00/08184、WO00/08185、WO00/08175、WO00/28052、WO00/77229、WO01/12782、WO01/12826、WO02/101059、WO03/071860、WO04/056999、WO05/030942、WO2005/030941、WO2005/095632、WO2005/095617、WO2005/095619、WO2005/095618、WO2005/123927、WO2006/018319、WO2006/103107、WO2006/108702、WO2007/009823、WO00/22140、WO2006/063862、WO2006/072603、WO02/034923、WO2008/017518、WO2008/080630、WO2008/080631、WO2008/090008、WO01/14569、WO02/79410、WO03/33540、WO2004/078983、WO01/19975、WO95/26407、WO96/34968、WO98/20145、WO99/12950、WO99/66050、WO99/53072、US6,734,341、WO00/11192、WO98/22604、WO98/32326、WO01/98509、WO01/98509、WO2005/002359、US5,824,790、US6,013,861、WO94/04693、WO94/09144、WO94/11520、WO95/35026、WO97/20936、WO2010/012796、WO2010/003701に開示されている。)、
2)非デンプン炭水化物ポリマーを合成する、または遺伝子組み換えなしに野生型植物と比較して特性が変わっている非デンプン炭水化物ポリマーを合成するトランスジェニック植物。例としては、EP−A0663956、WO96/01904、WO96/21023、WO98/39460およびWO99/24593に開示のような特にイヌリン型およびレバン型のポリフルクトースを産生する植物、WO95/31553、US2002031826、US6,284,479、US5,712,107、WO97/47806、WO97/47807、WO97/47808およびWO00/14249に開示のようなα−1,4−グルカン類を産生する植物、WO00/73422に開示のようなα−1,6分枝α−1,4−グルカン類を産生する植物、および例えばWO00/47727、WO00/73422、US5,908,975およびEP−A0728213に開示のようなアルテルナンを産生する植物がある。
【0182】
3)例えばWO2006/032538、WO2007/039314、WO2007/039315、WO2007/039316、JP−A2006−304779およびWO2005/012529に開示のようなヒアルロナンを産生するトランスジェニック植物、
4)米国特許出願12/020,360に記載のような「高可溶性固体含有量」、「低い辛味」(LP)および/または「長期貯蔵」(LS)などの特徴を有するタマネギなどのトランスジェニック植物または交配植物。
【0183】
5)例えばWO11/095528に開示の収穫量増加を示すトランスジェニック植物。
【0184】
やはり本発明によって処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得たもの)は、繊維特性が変化したワタ植物などの植物である。そのような植物は、形質転換によりまたはそのような繊維特性を変化させる突然変異を含む植物の選択により得ることができ、それには下記のものなどがある。
【0185】
a)WO98/00549に記載のような改変型のセルロース合成酵素遺伝子を含むワタ植物などの植物、
b)WO2004/053219に記載のような改変型のrsw2またはrsw3相同性核酸を含むワタ植物などの植物、
c)WO01/17333に記載のようなショ糖リン酸合成酵素の発現が高くなったワタ植物などの植物、
d)WO02/45485に記載のようなワタ植物などのショ糖合成酵素の発現が高くなった植物、
e)WO2005/017157に記載のような、またはWO2009/143995に記載のような繊維細胞の根底での原形質連絡制御のタイミングが、例えば繊維選択的β−1,3−グルカナーゼの低下によって変化しているワタ植物などの植物、
f)WO2006/136351に記載のような例えばnodCなどのN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ遺伝子およびキチン合成遺伝子の発現により、反応性が変わった繊維を有するワタ植物などの植物。
【0186】
やはり本発明によって処理することができる植物または植物品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得たもの)は、油分プロファイルの特徴が変わったセイヨウアブラナまたは関連するアブラナ(Brassica)植物などの植物である。そのような植物は、形質転換によりまたはそのような油分の特徴が変える突然変異を含む植物の選択によって得ることができ、それには下記のものなどがある。
【0187】
a)例えばUS5,969,169、US5,840,946またはUS6,323,392またはUS6,063,947に記載のような高いオレイン酸含有量を有する油を産生するセイヨウアブラナ植物などの植物;
b)US6,270,828、US6,169,190またはUS5,965,755に記載のような低いリノレン酸含有量を有する油を産生するセイヨウアブラナ植物などの植物;
c)例えばUS5,434,283または米国特許出願12/668303に記載のような低レベルの飽和脂肪酸を有する油を産生するセイヨウアブラナ植物などの植物。
【0188】
やはり本発明に従って処理可能である植物または植物栽培品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができる)は、種子脱粒特性が変わったアブラナまたは関連するアブラナ属植物などの植物である。そのような植物は、形質転換により、または植物選択によって得ることができ、種子脱粒特性の変化などを与える突然変異を含み、米国特許出願61/135,230、WO2009/068313およびWO2010/006732に記載のような種子脱粒が遅延または低減するアブラナ植物などの植物などがある。
【0189】
やはり本発明に従って処理可能である植物または植物栽培品種(遺伝子工学などの植物バイオテクノロジー法によって得ることができる)は、例えばWO2010/121818およびWO2010/145846に記載のような翻訳後タンパク質変性パターンが変化したタバコ植物などの植物である。
【0190】
本発明に従って処理できる特に有用なトランスジェニック植物は、米国において米国農務省(USDA)の動植物衛生検査部(APHIS)への未規制状態についての申し立ての主題である(申し立てが認可されているかなおも係属中であるかを問わず)形質転換事象または形質転換事象の組み合わせを含む植物である。この情報は常に、例えばインターネットサイト(URL http://www.aphis.usda.gov/brs/not_reg.html)でAPHIS(4700 River Road Riverdale, MD20737, USA)から容易に入手できる。本願の出願日に、APHISで係属中であるかAPHISによって認可されている未規制状態についての申し立ては、下記の情報を含むものであった。
【0191】
−申し立て:申し立ての識別番号。形質転換事象の技術的説明は、例えば本申し立て番号を参照することでAPHISウェブサイトでAPHISから得ることができる個々の申し立て文書にある。それらの記載は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0192】
−申し立ての延長:延長が申請された過去の申し立てについての言及。
【0193】
−機関:申し立てを提出する事業体名。
【0195】
−トランスジェニック表現型:形質転換事象によって植物に与えられる形質。
【0196】
−形質転換事象または系統:未規制状態が必要な事象または複数事象(場合により、系統または複数系統とも称される)の名称。
【0197】
−APHIS文書:申し立てに関連してAPHISによって刊行され、APHISで請求することができる各種文書。
【0198】
単独の形質転換事象または形質転換事象の組み合わせを含む別の特に有用な植物が、例えば様々な国または地域の規制当局からのデータベースに挙げられている(例えばhttp://gmoinfo.jrc.it/gmp_browse.aspxおよびhttp://www.agbios.com/dbase.phpを参照)。
【0199】
本発明に従って処理可能な特に有用なトランスジェニック植物は、形質転換事象または形質転換事象の組み合わせを含む植物であり、それは、例えば、各種の国家もしくは地域の規制当局向けのデータベースに挙げられており、事象1143−14A(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2006/128569に記載);事象1143−51B(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2006/128570に記載);事象1445(ワタ、除草剤耐性、未寄託、US−A2002−120964またはWO02/034946に記載);事象17053(イネ、除草剤耐性、PTA−9843として寄託、WO2010/117737に記載);事象17314(イネ、除草剤耐性、PTA−9844として寄託、WO2010/117735に記載);事象281−24−236(ワタ、昆虫防除−除草剤耐性、PTA−6233として寄託、WO2005/103266またはUS−A2005−216969に記載);事象3006−210−23(ワタ、昆虫防除−除草剤耐性、PTA−6233として寄託、US−A2007−143876またはWO2005/103266に記載);事象3272(トウモロコシ、品質形質、PTA−9972として寄託、WO2006/098952またはUS−A2006−230473に記載);事象40416(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−11508として寄託、WO2011/075593に記載);事象43A47(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−11509として寄託、WO2011/075595に記載);事象5307(トウモロコシ、昆虫防除、ATCCPTA−9561として寄託、WO2010/077816に記載);事象ASR−368(ベントグラス、除草剤耐性、ATCCPTA−4816として寄託、US−A2006−162007またはWO2004/053062に記載);事象B16(トウモロコシ、除草剤耐性、未寄託、US−A2003−126634に記載);事象BPS−CV127−9(大豆、除草剤耐性、NCIMB番号41603として寄託、WO2010/080829に記載);事象CE43−67B(ワタ、昆虫防除、DSMACC2724として寄託、US−A2009−217423またはWO2006/128573に記載);事象CE44−69D(ワタ、昆虫防除、未寄託、US−A2010−0024077に記載);事象CE44−69D(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2006/128571に記載);事象CE46−02A(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2006/128572に記載);事象COT102(ワタ、昆虫防除、未寄託、US−A2006−130175またはWO2004/039986に記載);事象COT202(ワタ、昆虫防除、未寄託、US−A2007−067868またはWO2005/054479に記載);事象COT203(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2005/054480に記載);事象DAS40278(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCCPTA−10244として寄託、WO2011/022469に記載);事象DAS−59122−7(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA11384として寄託、US−A2006−070139に記載);事象DAS−59132(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、未寄託、WO2009/100188に記載);事象DAS68416(大豆、除草剤耐性、ATCCPTA−10442として寄託、WO2011/066384またはWO2011/066360に記載);事象DP−098140−6(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCCPTA−8296として寄託、US−A2009−137395またはWO2008/112019に記載);事象DP−305423−1(大豆、品質形質、未寄託、US−A2008−312082またはWO2008/054747に記載);事象DP−32138−1(トウモロコシ、ハイブリッド形成システム、ATCCPTA−9158として寄託、US−A2009−0210970またはWO2009/103049に記載);事象DP−356043−5(大豆、除草剤耐性、ATCCPTA−8287として寄託、US−A2010−0184079またはWO2008/002872に記載);事象EE−1(茄子、昆虫防除、未寄託、WO2007/091277に記載);事象FI117(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCC209031として寄託、US−A2006−059581またはWO98/044140に記載);事象GA21(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCC209033として寄託、US−A2005−086719またはWO98/044140に記載);事象GG25(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCC209032として寄託、US−A2005−188434またはWO1998/044140に記載);事象GHB119(ワタ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−8398として寄託、WO2008/151780に記載);事象GHB614(ワタ、除草剤耐性、ATCCPTA−6878として寄託、US−A2010−050282またはWO2007/017186に記載);事象GJ11(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCC209030として寄託、US−A2005−188434またはWO98/044140)に記載;事象GMRZ13(甜菜、ウィルス抵抗性、NCIMB−41601として寄託、WO2010/076212に記載);事象H7−1(甜菜、除草剤耐性、NCIMB41158またはNCIMB41159として寄託、US−A2004−172669またはWO2004/074492に記載);事象JOPLIN1(小麦、疾患耐性、未寄託、US−A2008−064032に記載);事象LL27(大豆、除草剤耐性、NCIMB41658として寄託、WO2006/108674またはUS−A2008−320616に記載);事象LL55(大豆、除草剤耐性、NCIMB41660として寄託、WO2006/108675またはUS−A2008−196127に記載);事象LLcotton25(ワタ、除草剤耐性、ATCCPTA−3343として寄託、WO03/013224またはUS−A2003−097687に記載);事象LLRICE06(イネ、除草剤耐性、ATCC−23352として寄託、US6,468,747またはWO00/026345に記載);事象LLRICE601(イネ、除草剤耐性、ATCCPTA−2600として寄託、US−A2008−2289060またはWO00/026356に記載);事象LY038(トウモロコシ、品質形質、ATCCPTA−5623として寄託、US−A2007−028322またはWO2005/061720に記載);事象MIR162(トウモロコシ、昆虫防除、PTA−8166として寄託、US−A2009−300784またはWO2007/142840に記載);事象MIR604(トウモロコシ、昆虫防除、未寄託、US−A2008−167456またはWO2005/103301に記載);事象MON15985(ワタ、昆虫防除、ATCCPTA−2516として寄託、US−A2004−250317またはWO02/100163に記載);事象MON810(トウモロコシ、昆虫防除、未寄託、US−A2002−102582に記載);事象MON863(トウモロコシ、昆虫防除、ATCCPTA−2605として寄託、WO2004/011601またはUS−A2006−095986に記載);事象MON87427(トウモロコシ、受粉制御、ATCCPTA−7899として寄託、WO2011/062904に記載);事象MON87460(トウモロコシ、ストレス耐性、ATCCPTA−8910として寄託、WO2009/111263またはUS−A2011−0138504に記載);事象MON87701(大豆、昆虫防除、ATCCPTA−8194として寄託、US−A2009−130071またはWO2009/064652に記載);事象MON87705(大豆、品質形質−除草剤耐性、ATCCPTA−9241として寄託、US−A2010−0080887またはWO2010/037016に記載);事象MON87708(大豆、除草剤耐性、ATCCPTA9670として寄託、WO2011/034704に記載);事象MON87754(大豆、品質形質、ATCCPTA−9385として寄託、WO2010/024976に記載);事象MON87769(大豆、品質形質、ATCCPTA−8911として寄託、US−A2011−0067141またはWO2009/102873に記載);事象MON88017(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−5582として寄託、US−A2008−028482またはWO2005/059103に記載);事象MON88913(ワタ、除草剤耐性、ATCCPTA−4854として寄託、WO2004/072235またはUS−A2006−059590に記載);事象MON89034(トウモロコシ、昆虫防除、ATCCPTA−7455として寄託、WO2007/140256またはUS−A2008−260932に記載);事象MON89788(大豆、除草剤耐性、ATCCPTA−6708として寄託、US−A2006−282915またはWO2006/130436に記載);事象MS11(アブラナ、受粉制御−除草剤耐性、ATCCPTA−850またはPTA−2485として寄託、WO01/031042に記載);事象MS8(アブラナ、受粉制御−除草剤耐性、ATCCPTA−730として寄託、WO01/041558またはUS−A2003−188347に記載);事象NK603(トウモロコシ、除草剤耐性、ATCCPTA−2478として寄託、US−A2007−292854に記載);事象PE−7(イネ、昆虫防除、未寄託、WO2008/114282に記載);事象RF3(アブラナ、受粉制御−除草剤耐性、ATCCPTA−730として寄託、WO01/041558またはUS−A2003−188347に記載);事象RT73(アブラナ、除草剤耐性、未寄託、WO02/036831またはUS−A2008−070260に記載);事象T227−1(甜菜、除草剤耐性、未寄託、WO02/44407またはUS−A2009−265817に記載);事象T25(トウモロコシ、除草剤耐性、未寄託、US−A2001−029014またはWO01/051654に記載);事象T304−40(ワタ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−8171として寄託、US−A2010−077501またはWO2008/122406に記載);事象T342−142(ワタ、昆虫防除、未寄託、WO2006/128568に記載);事象TC1507(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、未寄託、US−A2005−039226またはWO2004/099447に記載);事象VIP1034(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、ATCCPTA−3925として寄託、WO03/052073に記載)、事象32316(トウモロコシ,昆虫防除−除草剤耐性、PTA−11507として寄託、WO2011/153186A1に記載)、事象4114(トウモロコシ、昆虫防除−除草剤耐性、PTA−11506として寄託、WO2011/084621に記載)などがある。
【0200】
施用量および時期
本発明の有効成分を殺菌剤として使用する場合、施用量は、施用の種類に応じて比較的広い範囲で変動し得る。本発明の有効成分の施用量は、
・植物部分、例えば葉の処理の場合、0.1から10000g/ha、好ましくは10から1000g/ha、より好ましくは10から800g/ha、さらにより好ましくは50から300g/ha(灌水または滴下による施用の場合、特にはロックウールまたはパーライトなどの不活性物質を用いる場合に、施用量を低減することも可能である。)であり;
・種子処理の場合、2から200g/100kg種子、好ましくは3から150g/100kg種子、より好ましくは2.5から25g/100kg種子、さらにより好ましくは2.5から12.5g/100kg種子であり;
・土壌処理の場合、0.1から10000g/ha、好ましくは1から5000g/haである。
【0201】
これらの施用量は、単なる例示に過ぎず、本発明に関して限定を行うものではない。
【0202】
従って本発明の有効成分または組成物は、処理後の一定期間にわたって言及した病原体による攻撃から植物を保護するのに用いることができる。保護が提供される期間は、植物の有効成分による処理から概して1から28日間、好ましくは1から14日間、より好ましくは1から10日間、最も好ましくは1から7日間にわたり、または種子処理から200日間以内にわたる。
【0203】
本発明による処理方法はまた、化合物(A)および(B)および/または(C)の同時、別個または順次での使用または施用も提供する。単一の有効成分を順次で、すなわち異なる時点で施用する場合、それらは数時間または数日などの妥当に身近い期間内に相次いで施用される。好ましくは、化合物(A)および(B)および/または(C)の施用順序は、本発明の実施においてあまり重要ではない。
【0204】
列記した植物は、本発明に従って一般式(I)の化合物および本発明の組成物によって特に有利に処理され得る。有効成分または組成物についての上記の好ましい範囲は、これら植物の処理にも当てはまる。特に強調すべきものは、本記述で具体的に言及された化合物または組成物による植物の処理である。
【0205】
下記の実施例によって、本発明を説明する。しかしながら、本発明は、その実施例に限定されるものではない。
【0206】
製造例
上記の実施例と同様に、そして本発明による化合物の製造方法の概要説明によれば、下記の表1の式(I)による化合物を得ることができる。
【化6】
【表1】
【0207】
上記の実施例と同様に、そして本発明による化合物の製造方法の概要説明によれば、下記の表2の式(III−a)による化合物を得ることができる。
【化7】
【表2】
【0208】
logP値の測定は、下記の方法を用い、逆相カラムでのHPLC(高速液体クロマトグラフィー)によって、EEC通達79/831補遺V.A8に従って行った。
【0209】
[a]LC−MS測定は、0.1%ギ酸水溶液およびアセトニトリル(0.1%ギ酸含有)を10%アセトニトリルから95%アセトニトリルの直線勾配で溶離液として用いてpH2.7で行った。
【0210】
較正は、logP値が既知である分岐していないアルカン−2−オン類(炭素原子数3から16)を用いて行った(連続するアルカノン間の直線内挿で保持時間を用いてlogP値を測定)。200nmから400nmのUVスペクトラムおよびクロマトグラフィーシグナルのピーク値を用いて、λ
max値を求めた。
【0211】
GCMS保持時間は、40℃から310℃の30℃/分勾配および1.5mL/分Heガス流を用い、DB17ms(15m×0.25μm×0.25μm)カラムで測定する。
【0212】
NMR−ピークリスト
選択された例の
1H−NMRデータは、
1H−NMRピークリストの形で書いている。各シグナルピークに対しては、ppm単位でのδ値と小括弧内のシグナル強度を列記している。δ値−シグナル強度のペア間には、区切りとしてセミコロンを入れている。
【0213】
従って、1例のピークリストは、δ
1(強度
1);δ
2(強度
2);・・・;δ
i(強度
i);・・・δ
n(強度
n)の形態を有する。
【0214】
鋭いシグナルの強度は、cm単位でのNMRスペクトラムの印刷例におけるシグナルの高さと相関しており、シグナル強度の真の関係を示すものである。広いシグナルからは、いくつかのピークもしくはそのシグナルの中央ならびにそのスペクトラム中の最も強いシグナルと比較したそれらの相対強度を示すことができる。
【0215】
1Hスペクトラムについての化学シフトの較正を行うため、本発明者らは、テトラメチルシランおよび/または特にDMSO中で測定されるスペクトラムの場合には使用される溶媒の化学シフトを用いている。従って、NMRピークリストにおいては、テトラメチルシランピークが現れている可能性があるが、必ずしもそうではない。
【0216】
1H−NMRピークリストは、旧来の
1H−NMR印刷と同様であることから、通常は、旧来のNMR解釈で列記される全てのピークを示す。
【0217】
さらに、それらは旧来の
1H−NMR印刷のように、溶媒、標的化合物の立体異性体(やはり、本発明の目的である。)および/または不純物のピークのシグナルを示すことができる。
【0218】
溶媒および/または水のδ範囲で化合物シグナルを示すために、溶媒の通常のピーク、例えばDMSO−D
6中のDMSOのピークおよび水のピークが本発明者らの
1H−NMRピークリストでは示されており、通常は、概して高強度を有する。
【0219】
標的化合物の立体異性体のピークおよび/または不純物のピークは、通常は概して、標的化合物のピークより低い強度を有する(例えば、純度>90%)。
【0220】
そのような立体異性体および/または不純物は、特定の製造方法に代表的なものであり得る。従って、それらのピークは、「副生成物フィンガープリント」を介して本発明者らの製造方法の再現性を確認する上で役立ち得る。
【0221】
公知の方法(MestreC、ACDシミュレーションで、さらに経験的に評価される期待値で)で標的化合物のピークを計算する専門家であれば、必要に応じて適宜に別の強度フィルターを用いて標的化合物のピークを分離することができる。この分離は、旧来の
1H−NMR解釈での関連するピーク選択と同様であると考えられる。
【0222】
ピークリストでのNMRデータ記載の詳細が、刊行物「Citation of NMR Peaklist Data within Patent Applications」(Research Disclosure Database Number 564025にある。
【0226】
2−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)−5−メチルニコチンアミド(実施例38)
マイクロ波密閉式管中、2−(ジフルオロメチル)−5−メチルニコチン酸(118mg、0.63mmol、1.2当量)および2−エチル−1,1−ジメチルインダン−4−アミン(100mg、0.528mmol、1当量.)のTHF(10mL)中溶液に、プロパンホスホン酸無水物(50%AcOEt中溶液、0.94mL、1.58mmol、3当量)を加える。管を密閉し、反応液を150℃で10分間マイクロ波処理する。得られた溶液を飽和K
2CO
3水溶液で反応停止し、AcOEtで抽出し、飽和NH
4Cl水溶液で洗浄し、アルミナによって濾過する。溶媒を留去して、純水な取得物を得る(80%)。
【0228】
2−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)−5−メチルピリジン−3−カルボチオアミド(実施例70)
マイクロ波密閉式管中、2−(ジフルオロメチル)−N−(2−エチル−1,1−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)−5−メチルニコチンアミド(95mg、0.264mmol、1当量)のジオキサン(2mL)中溶液にP
2S
5(29mg、0.132mmol、0.5当量)を加える。管を密閉し、反応液を130℃で20分間マイクロ波処理する。得られた溶液をアルミナで濾過し、ジオキサンで洗浄する。溶媒を留去し、残留物をシリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、純水物を得る(67%)。
【0230】
2,2,3−トリメチルインダン−4−アミン(実施例III−a−5)
密閉式リアクターにおいて、7−ブロモ−1,2,2−トリメチルインダン(1当量)を1,4−ジオキサン(原料250mgに対して15mL)に溶かし、tBu−カーバメート(1.5当量)を加え、次にXPHOS(0.1当量)および炭酸セシウム(2当量)を加える。アルゴンを溶媒に5分間吹き込み、リアクターをArでパージし、Pd(OAc)
2(0.05当量)を加え、管を密閉する。反応液を、LCMSによって原料が全く残っていないことが示されるまで100℃で加熱する。反応液をEAで希釈し、セライトで濾過する。溶媒を減圧下に除去し、残留物をDCMに溶かす。TFA(10当量)を加える。反応液を5時間還流させ、冷却し、NaHCO
3飽和溶液で反応停止し、EAで抽出する。MgSO
4で脱水し、濃縮する。残留物をシリカゲルで精製して、純水な取得物を得る。
【0231】
実施例:アルテルナリア・ブラッシカエ(Alternaria brassicae)でのイン・ビボ予防試験(ラディッシュでの斑点病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0232】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、17℃で成長させたラディッシュ植物(「Pernod Clair」品種)を、子葉期において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0233】
24時間後、アルテルナリア・ブラッシカエ(Alternaria brassicae)胞子の水系懸濁液(胞子50000個/mL)を子葉に噴霧することにより、植物を汚染する。15日齢培養物から胞子を回収する。汚染されたラディッシュ植物を、20℃および相対湿度100%でインキュベートする。
【0234】
汚染から6日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0235】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表5】
【0236】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表6】
【0237】
実施例:ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)でのイン・ビボ予防試験(灰色かび病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0238】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、24℃で成長させたガーキン植物(「Vert petit de Paris」品種)を、Z11子葉期において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0239】
24時間後、冷凍保存ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)胞子の水系懸濁液(胞子50000個/mL)を子葉に噴霧することにより、植物を汚染する。胞子を、10g/LのPDB、50g/LのD−フルクトース、2g/LのNH
4NO
3および1g/LのKH
2PO
4からなる栄養溶液に懸濁させる。汚染されたガーキン植物を、約17℃および相対湿度90%でインキュベートする。
【0240】
上記汚染から4から5日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0241】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表7】
【0242】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表8】
【0243】
同じ条件下で、実施例1の化合物により有効成分100ppmの用量で完全な保護が観察されるが、特許出願WO2010109301に開示の化合物P1および2−(ジフルオロメチル)−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ベンズアミドによっては保護は全く観察されない。
【表9】
【0244】
実施例E:ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)でのイン・ビボ予防試験(オオムギでの網斑病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0245】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、22℃で成長させたオオムギ植物(「Plaisant」品種)を、1葉期(高さ10cm)において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0246】
24時間後、ピレノフォラ・テレス(Pyrenophora teres)胞子の水系懸濁液(胞子12000個/mL)を葉に噴霧することにより、植物を汚染する。胞子を12日齢培地から回収する。汚染されたオオムギ植物を、20℃および相対湿度100%で48時間、次に20℃、相対湿度70から80%で12日間インキュベートする。
【0247】
上記汚染から14日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0248】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表10】
【0249】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表11】
【0250】
同じ条件下で、実施例1の化合物により有効成分100ppmの用量で完全な保護が観察されるが、特許出願WO2010109301に開示の化合物P1、J. Pesticide sci. 18, 1993, 245−251からの表1中の実施例3(J. Pesticide sci. 18, 1993, 49−57からの表1中の実施例17も)および2−(ジフルオロメチル)−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ベンズアミドによっては相対的に低い保護が観察される。
【表12】
【0251】
実施例:プクシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)でのイン・ビボ予防試験(コムギでの赤さび病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0252】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、22℃で成長させたコムギ植物(「Scipion」品種)を、1葉期(高さ10cm)において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0253】
24時間後、プクシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)胞子の水系懸濁液(胞子100000個/mL)を葉に噴霧することにより、植物を汚染する。胞子を感染植物から集め、2.5mL/LのTween80を含む水に10%で懸濁させる。汚染されたコムギ植物を、20℃および相対湿度100%で24時間、次に20℃および70から80%相対湿度で10日間インキュベートする。
【0254】
上記汚染から12日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0255】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表13】
【0256】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表14】
【0257】
同じ条件下で、実施例1の化合物により有効成分100ppmの用量で完全な保護が観察されるが、特許出願WO2010109301に開示の化合物P1および2−(ジフルオロメチル)−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ベンズアミドによっては低い保護が観察される。
【表15】
【0258】
実施例H:セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)でのイン・ビボ予防試験(コムギでの斑点病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0259】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、22℃で成長させたコムギ植物(「Scipion」品種)を、1葉期(高さ10cm)において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0260】
24時間後、セプトリア・トリチシ(Septoria tritici)胞子の水系懸濁液(胞子500000個/mL)を葉に噴霧することにより、植物を汚染する。汚染されたコムギ植物を、18℃および相対湿度100%で72時間、次に90%相対湿度で21日間インキュベートする。
【0261】
上記汚染から24日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0262】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表16】
【0263】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表17】
【0264】
実施例:スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)でのイン・ビボ予防試験(カボチャ類でのウドンコ病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0265】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、24℃で成長させたガーキン植物(「Vert petit de Paris」品種)を、Z11子葉期において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0266】
24時間後、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)胞子の水系懸濁液(胞子100000個/mL)を子葉に噴霧することにより、植物を汚染する。胞子を感染植物から採取する。汚染されたガーキン植物を、約20℃、相対湿度70から80%でインキュベートする。
【0267】
上記汚染から12日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0268】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表18】
【0269】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表19】
【0270】
同じ条件下で、実施例1の化合物により有効成分100ppmの用量で完全な保護が観察されるが、特許出願WO2010109301に開示の化合物P1、J. Pesticide sci. 18, 1993, 245−251からの表1中の実施例3(J. Pesticide sci. 18, 1993, 49−57からの表1中の実施例17も)および2−(ジフルオロメチル)−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ベンズアミドによっては相対的に低い保護が観察される。
【表20】
【0271】
実施例:ウロミセス・アペンディクラツス(Uromyces appendiculatus)でのイン・ビボ予防試験(インゲンマメさび病)
被験有効成分をアセトン/tween/DMSOの混合物中で均質化することで調製し、水で希釈して、所望の活性材料濃度を得る。
【0272】
スターターカップ中、50/50泥炭土−ポゾラン基質上に蒔き、24℃で成長させたマメ植物(「Saxa」品種)を、2葉期において、上記のように調製した有効成分を噴霧することで処理する。対照として使用する植物を、活性材料を含まないアセトン/tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0273】
24時間後、ウロミセス・アペンディクラツス(Uromyces appendiculatus)胞子の水系懸濁液(胞子150000個/mL)を葉に噴霧することにより、植物を汚染する。胞子を感染植物から採取し、2.5mL/LのTween80を10%で含む水に懸濁させる。汚染されたマメ植物を、約20℃および相対湿度100%で24時間、次に20℃および相対湿度70から80%で10日間インキュベートする。
【0274】
上記汚染から11日後に、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0275】
この条件下、下記の化合物により、用量500ppmで、良好(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表21】
【0276】
この条件下、下記の化合物により、用量100ppmで、優れた(少なくとも70%)または完全な保護が観察される。
【表22】
【0277】
実施例:ファコプソラ(Phakopsora)試験(ダイズ)/予防的
溶媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
好適な活性化合物製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混和し、濃厚液を水で希釈して所望の濃度とする。
【0278】
予防活性について調べるため、若い植物に活性化合物製剤を指定の施用量で噴霧する。噴霧コーティングを乾燥させた後、植物に、大豆さび病の病原菌(ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi))の水系胞子懸濁液を接種し、約24℃および相対大気湿度95%のインキュベーションキャビネット中、暗所にて24時間放置する。
【0279】
植物を、約24℃および相対大気湿度約80%で、そして12時間の昼/夜間隔で、インキュベーションキャビネット中にとどめる。
【0280】
接種から7日後に試験の評価を行う。0%は、処理されていない対称の効力に相当する効力を意味し、効力100%は病害が全く観察されないことを意味する。
【0281】
本試験において、本発明による下記の化合物が、100ppmの有効成分濃度で70%またはそれ以上の効力を示した。
【表23】
【0282】
この試験では、本発明による下記の化合物が、10ppmの有効成分濃度で70%またはそれ以上の効力を示した。
【表24】
【0283】
実施例:ベンチュリア(Venturia)試験(リンゴ)/予防的
溶媒:アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1重量部
好適な活性化合物製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混和し、濃厚液を水で希釈して所望の濃度とする。
【0284】
予防活性について調べるため、若い植物に活性化合物製剤を指定施用量で噴霧する。噴霧コーティングを乾燥させた後、植物にリンゴさび病の原因菌(ベンチュリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis))の水系分生子懸濁液を接種し、次に、約20℃および相対空気湿度100%のインキュベーションキャビネットに1日入れておく。
【0285】
次に、植物を約21℃および相対空気湿度約90%の温室に入れる。
【0286】
接種から10日後に試験を評価する。0%は未処理対照の効力に相当する効力を意味し、効力100%は病害が全く観察されないことを意味する。
【0287】
本試験において、本発明による下記の化合物が、100ppmの有効成分濃度で70%またはそれ以上の効力を示した。
【表25】