(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液晶板は、液晶ディスプレイの表面側に備えられている第1の偏光板と、液晶と、前記第1の偏光板との間に前記液晶を挟み込むように配置される第2の偏光板とからなり、
前記第2の偏光板は、当該第2の偏光板の偏光方向が前記液晶ディスプレイの前記第1の偏光板の偏光方向に対して垂直になるように、前記液晶ディスプレイに取り付けられている
請求項1に記載の送信機。
前記液晶板と前記第1および第2の板とからなる信号送信部は、互いに隣接して配列された複数の液晶ディスプレイのそれぞれの表面のうち、前記複数の液晶ディスプレイの境界に沿う部分にのみ形成されている
請求項1または2に記載の送信機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様に係る送信機は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機に送信する送信機であって、液晶板と、透光性を有する第1の板と、前記液晶板との間に前記第1の板を挟み込むように配置される第2の板と、送信対象の信号に応じた制御電圧を前記液晶板に印加することによって、前記液晶板の外光に対する透過率を第1の透過率と第2の透過率とに切り替えることにより、前記第1の板に反射されて前記液晶板を介して前記受信機側に放出される外光の光量を変化させる制御部とを備え、前記制御部は、前記液晶板の透過率を、前記第1の透過率よりも低い前記第2の透過率に切り替えたときには、前記液晶板を既に透過した外光が、前記第2の板に反射されて前記第1の板を介して前記液晶板に到達するまで、前記液晶板の透過率を前記第2の透過率に維持する。
【0012】
これにより、送信機は、第1の板に反射されて受信機側に放出される外光の光量を変化させることによって、外光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。さらに、例えば
図42〜
図43Bに示すように、液晶板の透過率が第2の透過率(低い透過率)に切り替えられたときには、液晶板を既に透過した外光が、第2の板に反射されて液晶板に到達するまで、液晶板は低い透過率に維持されている。したがって、第1の板が透光性を有することにより、外光がその第1の板を透過してしまっても、その外光が第2の板に反射されて受信機側に放出されてしまうことを抑えることができる。その結果、第2の板による外光の反射を考慮することなく、可視光信号の送信を制御することができる。つまり、可視光信号の送信の制御においても制約を受け難くすることができる。
【0013】
また、前記液晶板は、液晶ディスプレイの表面側に備えられている第1の偏光板と、液晶と、前記第1の偏光板との間に前記液晶を挟み込むように配置される第2の偏光板とからなり、前記第2の偏光板は、当該第2の偏光板の偏光方向が前記液晶ディスプレイの前記第1の偏光板の偏光方向に対して垂直になるように、前記液晶ディスプレイに取り付けられていてもよい。
【0014】
これにより、例えば
図47に示すように、可視光通信用の液晶板が液晶ディスプレイに取り付けられる際には、その液晶板の偏光板として、液晶ディスプレイに備えられている偏光板が利用されるため、専用の2枚の偏光板を有する液晶板を液晶ディスプレイに取り付ける場合よりも、偏光板の数を減らすことができる。その結果、構成を簡単にすることができるとともに、液晶板から放たれる光の光量を増すことができ、適切な可視光通信を行うことができる。
【0015】
また、前記液晶板と前記第1および第2の板とからなる信号送信部は、液晶ディスプレイの表面のうちの端にのみ形成されていてもよい。例えば、前記液晶板と前記第1および第2の板とからなる信号送信部は、液晶ディスプレイの表面のうちの周縁にのみ形成されている。
【0016】
これにより、例えば
図44および
図45に示すように、液晶ディスプレイの全面が信号送信部に覆われる場合よりも、液晶ディスプレイを見え易くすることができる。
【0017】
また、前記液晶板と前記第1および第2の板とからなる信号送信部は、互いに隣接して配列された複数の液晶ディスプレイのそれぞれの表面のうち、前記複数の液晶ディスプレイの境界に沿う部分にのみ形成されていてもよい。
【0018】
これにより、例えば
図44に示すように、各液晶ディスプレイを見え易くすることができる。
【0019】
また、前記制御部は、前記液晶板に印加される前記制御電圧を、予め定められた電圧値よりも高い範囲で変化させることにより、前記液晶板の透過率を前記第1の透過率と第2の透過率とに切り替えてもよい。例えば、前記予め定められた電圧値は0Vである。
【0020】
これにより、例えば
図51および
図52に示すように、制御電圧の立ち上がりおよび立ち下がりにそれぞれ時間を要する場合でも、それらの時間を短くすることができ、高い周波数で液晶板の透過率を切り替えることができる。その結果、可視光通信の通信速度を向上させることができる。
【0021】
また、前記制御部は、0からn(nは0以上の整数)番目の信号のそれぞれに互いに異なる周波数が割り当てられている場合に、k(kは0以上n以下の整数)番目の信号を送信する際には、当該k番目の信号に割り当てられた周波数で変化する前記制御電圧を前記液晶板に印加し、前記互いに異なる周波数の割り当てでは、i(iは0以上n以下の整数)番目の信号の値を、定数aおよびbを用いて(a+b×i)として表す場合、i番目の信号に割り当てられる周波数f(i)と、(i−1)番目の信号に割り当てられる周波数f(i−1)との差分が、iが大きいほど、大きくまたは小さくなるように、前記互いに異なる周波数が割り当てられていてもよい。
【0022】
これにより、例えば
図55の(a)に示すように、a=20であり、b=1であって、iが大きいほど、周波数f(i)と周波数f(i−1)との差分が小さくなるように、各信号に周波数が割り当てられている場合には、受信機はそれらの周波数を容易に識別することができ、各信号を適切に受信することができる。なお、例えば、
図55の(a)に示すように、各信号に波長を等差的に割り当てることによって、iが大きいほど、周波数f(i)と周波数f(i−1)との差分が小さくなるように、各信号に周波数を割り当てることができる。
【0023】
また、前記液晶板を構成する2枚の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板には、外光に対して偏光を行わない領域が、当該偏光板に対して均一に形成されていてもよい。
【0024】
これにより、液晶板からの放たれる光の光量を増すことができ、例えば第1の板に描かれている文字および図柄などを見え易くすることができる。
【0025】
本発明の一態様に係る送信機は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機に送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部と、太陽光を反射する反射体と、前記反射体によって反射された太陽光である反射光を受け、当該反射光が透過することにより前記受信機側に放出される光の光量を、前記制御電圧にしたがって変化させる液晶板と、を備える。
【0026】
これにより、送信機は、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。なお、送信機は、照明機器などの他の機器からの光をその太陽光の代わりに用いてもよい。
【0027】
また、前記反射体は、前記液晶板の前記反射光を受ける面と間を空けて対向するように配置され、前記太陽光の少なくとも一部を前記間から前記液晶板を介さずに受けて、当該一部を前記液晶板に向けて反射してもよい。
【0028】
例えば、反射体と液晶板とが接している場合には、太陽光が液晶板を透過して反射体によって反射され、その反射された太陽光が反射光として再び液晶板を透過する。したがって、太陽光が液晶板を2度透過することになるため、液晶板から受信機側に放出される光の光量は少なくなってしまう。そこで、上述のように、液晶板と間を空けて対向する反射体が、その間から液晶板を介さずに太陽光の少なくとも一部を受けて、その一部を液晶板に向けて反射すると、太陽光の少なくとも一部は液晶板を一度だけ透過して受信機側に放出される。したがって、液晶板から受信機側に放出される光の光量を多くすることができ、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機にとって受信し易い信号を送信することができる。
【0029】
また、前記送信機は、さらに、前記液晶板の前記反射光を受ける面である反射受光面を照らすための光源を備え、前記液晶板は、前記反射光を受けずに、前記光源からの光によって前記反射受光面が照らされる場合には、前記反射光の代わりに前記光源からの光が当該液晶板を透過することにより前記受信機側に放出される光の光量を、前記制御電圧にしたがって変化させてもよい。
【0030】
これにより、天気が晴れている場合には、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、夜や天気が曇っている場合には、例えばバックライトなどの光源からの光を用いた可視光通信を行うことができる。つまり、太陽光の状態によって受ける影響を抑えることができる。
【0031】
また、前記反射体は、透光性を有し、前記液晶板の前記反射受光面と対向するように配置され、前記送信機は、さらに、前記液晶板との間に前記反射体を挟み、且つ前記液晶板と略平行になるように配置される板状のライトガイドを備え、前記ライトガイドは、当該ライトガイドの端部に入射された太陽光が前記反射体を介して前記液晶板の前記反射受光面に広がって放たれるように、入射された前記太陽光の当該ライトガイド内における進路をガイドしてもよい。
【0032】
これにより、液晶板の反射受光面は、反射光だけでなく、ライトガイドから反射体を介して広く放たれる太陽光も受けることになり、液晶板から受信機側に放出される光の光量を多くすることができる。したがって、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機にとって受信し易い信号を送信することができる。
【0033】
また、前記送信機は、さらに、太陽光を前記ライトガイドの端部に集光する集光レンズを備えてもよい。
【0034】
これにより、ライトガイドに入射される太陽光の光量を多くすることができ、その結果、液晶板から受信機側に放出される光の光量をさらに多くすることができる。
【0035】
また、前記ライトガイドは、さらに、当該ライトガイドの端部に入射された前記光源からの光が前記反射体を介して前記液晶板の前記反射受光面に広がって放たれるように、前記光源からの光の当該ライトガイド内における進路をガイドしてもよい。
【0036】
これにより、バックライトなどの光源からの光がライトガイドの端部に入射されれば、その光源からの光も液晶板の反射受光面に広がって放たれるため、バックライトをライトガイドの端部に向けて配置することができる。つまり、バックライトの配置の自由度を高めることができる。
【0037】
また、前記集光レンズおよび前記光源は、前記ライトガイドを挟むように当該ライトガイドの両端のそれぞれに配置され、前記ライトガイドには、光を散乱させるための複数の反射ドットが、前記集光レンズと前記光源とを結ぶ方向に沿って形成され、前記複数の反射ドットのうちのそれぞれの反射ドットの前記方向の幅は、当該反射ドットの位置が前記両端の何れか一方に近いほど狭く、当該反射ドットの位置が前記ライトガイドの中央に近いほど広くてもよい。
【0038】
これにより、ライトガイドのそれぞれの端部から入射されてライトガイドの中央に向かってガイドされる、ライトガイド内の各位置における太陽光および光源からの光のそれぞれの光量は、ライトガイドの端に近い位置ほど多く、中央に近い位置ほど少なくなる。そこで上述のように、本発明の一態様では、反射ドットの位置がその端に近いほどその反射ドットの幅が狭く、反射ドットの位置がその中央に近いほどその反射ドットの幅が広くされている。これにより、ライトガイド内の各位置において、光がライトガイドから反射体を介して液晶板に放たれる割合を、ライトガイドの端に近い位置ほど少なく、中央に近い位置ほど多くすることができる。その結果、ライトガイド内の各位置において、光がライトガイドから反射体を介して液晶板に放たれる光量を略均一にすることができる。その結果、適切な輝度変化によって信号を送信することができる。
【0039】
また、前記反射体は、透光性を有し、前記液晶板は、さらに、前記反射体を透過した太陽光である透過光を受け、当該透過光が透過することにより前記受信機側に放出される光の光量を、前記制御電圧にしたがって変化させてもよい。
【0040】
これにより、液晶板からは反射光だけでなく透過光も受信機側に放出されるため、液晶板から受信機側に放出される光の光量を多くすることができる。したがって、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機にとって受信し易い信号を送信することができる。
【0041】
また、前記反射体の前記太陽光を反射する面は、鏡面に形成されていてもよい。
【0042】
これにより、反射光の光量を多くすること、つまり反射光を明るくすることができる。したがって、液晶板から受信機側に放出される光の光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機にとって受信し易い信号を送信することができる。
【0043】
また、本発明の一態様に係る送信機は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機に送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部と、太陽光を受け、前記太陽光が透過することにより前記受信機側に放出される光の光量を、前記制御電圧にしたがって変化させる液晶板と、を備えてもよい。
【0044】
これによっても、送信機は、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。なお、送信機は、照明機器などの他の機器からの光をその太陽光の代わりに用いてもよい。
【0045】
また、本発明の一態様に係る受信方法は、送信機からの信号を受信する受信方法であって、上述の何れかの送信機にフラッシュライトを放つ発光ステップと、前記フラッシュライトにより照らされた前記送信機を撮像することにより、当該送信機から放出される光の光量の変化によって示される信号を受信する撮像ステップとを含み、前記送信機の反射体は、前記太陽光の代わりに前記フラッシュライトを反射し、前記送信機の液晶板は、反射された前記フラッシュライトである反射光が前記液晶板を透過することにより放出される光の光量を、当該液晶板に印加される前記制御電圧にしたがって変化させる。
【0046】
これにより、太陽光がない場合や、太陽光が弱い場合には、フラッシュライトを太陽光の代わりに用いることで、その送信機からの信号を適切に受信することができる。
【0047】
また本発明の一態様に係る情報通信方法は、被写体から情報を取得する情報通信方法であって、電波によって送信される少なくとも1つの第1のデータを受信する電波受信ステップと、前記被写体を撮像することによって、前記被写体から可視光によって送信される第2のデータを受信する可視光受信ステップと、受信された前記少なくとも1つの第1のデータの中から、受信された前記第2のデータに応じた第3のデータを特定する特定ステップとを含み、前記可視光受信ステップは、イメージセンサによる前記被写体の撮像によって得られる画像に、前記イメージセンサに含まれる露光ラインに対応する輝線が前記被写体の輝度変化に応じて生じるように、前記イメージセンサの露光時間を設定する露光時間設定ステップと、前記イメージセンサが、輝度変化する前記被写体を、設定された前記露光時間で撮像することによって、前記輝線を含む画像を取得する撮像ステップと、取得された前記画像に含まれる前記輝線のパターンによって特定されるデータを復調することにより前記第2のデータを取得する取得ステップとを含む。
【0048】
これにより、後述する
図32〜
図35に示すように、電波によって送信される少なくとも1つの第1のデータの中から、可視光によって送信される第2のデータに応じた第3のデータが特定されるため、電波によって比較的広範囲に送信される大量のデータの中から、可視光通信可能な比較的狭い領域に応じた第3のデータを、第2のデータのデータ量が少なくても高速に受信することができる。言い換えれば、比較的狭い領域において必要とされる第3のデータを受信するための、可視光通信のデータ量を少なくすることができる。これにより、多様な機器で通信を可能とすることができる。
【0049】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0050】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0051】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0052】
(実施の形態1)
(液晶の透過率制御による可視光信号送信:透過型)
図1および
図2は、実施の形態1における透過型の送信機の一例を示す図である。
【0053】
本実施の形態における送信機は、液晶板を備える。この液晶板に加える電圧(制御電圧)を制御することで、光がこの液晶板を透過する割合(透過率)を制御することができる。送信機は、この液晶板の性質を利用して、透過率を制御することで、光源を備えることなく可視光信号を送信することができる。また、環境光が明るく照明光の点滅が観察しづらい場合であっても受信しやすい可視光信号を送信することができる。なお、この液晶板の透過率を制御する方式は、赤外線や紫外線等の可視光以外の電磁波を用いても同様の効果が得られる。
【0054】
例えば
図1に示すように、送信機は、ショウウィンドウのガラスとして構成される液晶板9140bと、液晶板9140bに印加される制御電圧を送信対象の信号に応じて生成する制御部9143とを備える。この送信機は、液晶板9140bにおける太陽光等の外光に対する透過率を制御することで、信号を送信する。送信機は、液晶板9140bの透過率を制御することにより、近くにある商品9140cに関する情報や、その情報にアクセスするための情報を送信する。受信機9140aの撮像部は、商品9140cへ向けられることで、その商品9140cと、その商品9140cの背景となる液晶板9140bとを同時に撮像する。その結果、受信機9140aは、商品9140cに関する情報を含む、送信機の液晶板9140bからの信号を受信することができる。なお、受信機9140aの撮像部は、複数の露光ラインを含むイメージセンサを有するカメラである。この受信機9140aは、イメージセンサによる被写体の撮影によって得られる画像に、そのイメージセンサに含まれる各露光ラインに対応する輝線がその被写体の輝度変化に応じて生じるように、イメージセンサの露光時間を設定する。そして、受信機9140aのイメージセンサは、輝度変化するその被写体を、設定された露光時間で撮像することによって、複数の輝線を含む画像である輝線画像を取得する。次に、受信機9140aは、取得された輝線画像に含まれる複数の輝線のパターンによって特定されるデータを復調することにより、上述の商品9140cに関する情報を取得する。
【0055】
また、
図2に示すように、送信機は、制御部9143によって制御電圧が液晶板9140bに印加されることにより、太陽光に対する透過率と同時に、店舗内照明機器9140dの光に対する透過率も制御することで、信号を送信する。受信機9140aが店舗の外にある場合は、受信機9140aは、ショウウィンドウ越しに商品9140cを撮像することで、その手前にある液晶板9140bも同時に撮像する。その結果、受信機9140aは、商品9140cに関する情報を含む、送信機の液晶板9140bからの信号を受信することができる。
【0056】
このような本実施の形態における送信機は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機9140aに送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部9143と、太陽光を受け、その太陽光が透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる液晶板9140bとを備える。これにより、送信機は、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。なお、送信機は、照明機器などの他の機器からの光をその太陽光の代わりに用いてもよい。
【0057】
(液晶の透過率制御による可視光信号送信:反射型)
図3は、実施の形態1における反射型の送信機の一例を示す図である。
【0058】
本実施の形態における情報通信装置である送信機は、
図3に示すように、液晶板9142と、太陽光を反射する反射板(反射体)9141cと、液晶板9142の透過率を制御する上述の制御部9143と、バックライト9141jとを備える。この送信機は、制御部9143によって液晶板9142の透過率を制御することで、反射板9141cによって反射されて液晶板9142から受信機9140a側に放出される光に、信号を重畳させることができる。
【0059】
反射板9141cは、液晶板9142の背面(反射受光面)と間を空けずに対向するように配置された透光性を有する板であって、例えば文字または図柄などが描かれた広告用の看板などである。
【0060】
バックライト9141jは、この反射板9141cの背面側に配置されて反射板9141cをその背面側から照らし出す。なお、本実施の形態では、送信機に含まれる構成要素のそれぞれにおいて、受信機9140a側(可視光信号が送信される側)の面を前面と称し、その前面と反対側の面を背面と称す。
【0061】
液晶板9142は、液晶9141bと、その液晶9141bを挟む2枚の偏光板9141fとを備える。2枚の偏光板9141fのそれぞれの偏光方向は互いに90°傾いている。制御部9143は、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成し、その制御電圧を液晶板9142の液晶9141bに印加する。これにより、液晶9141bに印加される制御電圧の電圧値が0Vの場合には、液晶9141bは、その液晶9141bを通る光の振動方向を90°だけねじる。その結果、一方の偏光板9141fを透過した光は、液晶9141bによってねじられ、他方の偏光板9141fを透過する。つまり、
図3の(a)に示すように、晴れのとき、つまり太陽が照っている場合には、太陽光は、液晶板9142をその前面側から透過して反射板9141cに反射され、再び液晶板9142を透過して放出される。したがって、このときには、反射板9141cに向けられた受信機9140aの撮像部は、明るく照らされた反射板9141cを撮影する。
【0062】
一方、液晶9141bに印加される制御電圧の電圧値が、0Vより大きいまたは小さい予め定められた値(作動電圧値)の場合には、液晶9141bは、その液晶9141bを通る光の振動方向をねじらない。その結果、一方の偏光板9141fを透過した光は、液晶9141bによってねじられないため、他方の偏光板9141fを透過することができない。つまり、液晶板9142の前面に照射される太陽光は、その液晶板9142を透過しない。したがって、このときには、反射板9141cに向けられた受信機9141aの撮像部は、暗くなった反射板9141cを撮影する。
【0063】
なお、
図3において、光の向きを示す実線および点線のうち、実線は、送信対象の信号によって変調されていない光の向きを示し、点線は、送信対象の信号によって変調されている光の向きを示す。以下の他の図においても同様である。
【0064】
このように、本実施の形態における送信機では、液晶板9142の光に対する透過率を送信対象の信号に応じて変化させることによって、太陽光などの外光を利用した輝度変化をその信号に応じて行うことができる。その結果、光源を備えることなく可視光信号を受信機9140aに送信することができる。また、環境光が明るく照明光の点滅が観察しづらい場合であっても受信しやすい可視光信号を送信することができる。なお、この方式は、赤外線や紫外線等の可視光以外の電磁波を用いても同様の効果が得られる。反射板9141cに公告等を表示し、その公告に関連した情報(関連情報)を送信することで、ユーザは受信機9140aを公告(反射板9141c)に向けることでその関連情報を取得することができる。
【0065】
つまり、本実施の形態における送信機は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機9140aに送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部9143と、太陽光を反射する反射板9141cと、その反射板9141cによって反射された太陽光である反射光を受け、その反射光が透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる液晶板9142とを備える。これにより、送信機は、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。なお、送信機は、照明機器などの他の機器からの光をその太陽光の代わりに用いてもよい。
【0066】
また、
図3の(b)に示すように、夜や曇りのとき、つまり太陽が照っていない場合には、送信機は、反射板9141cの背面にあるバックライト9141jの光を太陽光の代わりに用いることによって、信号を送信することができる。つまり、送信機は、バックライト9141jから半透明の反射板9141cを介して液晶板9142の背面に照射される光を、その液晶板9142の前面側に透過させたり、透過させないようにすることにより、その光によって表される可視光信号を受信機9140aに送信することができる。
【0067】
つまり、本実施の形態における送信機は、さらに、液晶板9142の反射光を受ける面である反射受光面(背面)を照らすためのバックライト9141jを備える。そして液晶板9142は、反射光を受けずに、バックライト9141jからの光によって反射受光面が照らされる場合には、その反射光の代わりにバックライト9141jからの光が液晶板9142を透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる。これにより、天気が晴れている場合には、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、夜や天気が曇っている場合には、バックライト9141jからの光を用いた可視光通信を行うことができる。つまり、太陽光の状態によって受ける影響を抑えることができる。
【0068】
また、太陽光などの外光が弱い場合には、外光を補助する程度にバックライト9141jを点灯させることで、信号を受信しやすくすることができる。また、バックライト9141jをフルパワーで点灯させるよりも消費電力を抑えることができる。バックライト9141jを点灯させる場合には、送信機の制御方式には、バックライト9141jは常時点灯させて液晶板9142の透過率を制御すことによって信号を表現する方式(液晶制御方式)と、液晶板9142の透過率は最大に固定してバックライト9141jの輝度を制御することによって信号を表現する方式(バックライト制御方式)と、液晶板9142の透過率とバックライト9141jの輝度とを同期して制御する方式(ハイブリッド制御方式)とがある。外光の明るさ等によってこれらの制御方式を変化させることで、受信誤り率や消費電力を低減させることができる。例えば、外光が比較的明るい場合は液晶制御方式やハイブリッド制御方式を選択したほうが受信誤りを少なくすることができる。送信機は、Bluetooth(登録商標)(Low Energy)やWi−Fi等の無線通信を利用して、どの制御方式によって信号を送信しているかを受信機9140aに伝えてもよい。この構成により、受信効率(受信速度や誤り率)が向上する。また、制御方式によって最適な変調方式を利用することができるようになり、送信効率(消費電力やチラツキ)や受信効率を高めることができる。
【0069】
液晶9141bの透過率の制御に用いられる周波数領域は数100〜1kHz程度である。この周波数領域では、パルス変調を用いるとチラツキが発生する。そこで、周波数変調や位相変調を用いて信号を表現することで、チラツキを抑えて信号を送信することができる。液晶板9142は、例えばTN(Twist Nematic)型液晶またはECB(Electrically Controlled Birefringece)型液晶である。
【0070】
図4は、本実施の形態における反射型の送信機の適用例を示す図である。
【0071】
図4の(a)および(b)に示すように、送信機は、バス停留所の標識塔9141dに液晶板9142が取り付けられることによって構成される。標識塔9141dは、
図3に示す反射板9141cおよびバックライト9141jとして、送信機の一部を構成する。この構成により、昼夜を問わず可視光信号を送受信できる。
【0072】
上述のように、液晶板9142は、2枚の偏光板9141fを備えており、光の強さは、その光が2枚の偏光板9141fを通る度に半分になる。
図3の(a)の構成では、光は2枚の偏光板9141fを2回通るため、その光の強さは四分の一になり、暗くなってしまう。そこで、2枚の偏光板9141fを通らずに反射板9141cに光が当たるように送信機を構成してもよい。
【0073】
図5は、本実施の形態における反射板9141cの配置構成を示す図である。
【0074】
反射板9141cは、液晶板9142の背面と間を空けて対向するように配置される。そして反射板9141cは、太陽光の少なくとも一部をその間から液晶板9142を介さずに受けて、その一部を液晶板9142に向けて反射する。これにより、太陽光などの外光の少なくとも一部は、液晶板9142を一度だけ透過して受信機9140a側に放出されるため、液晶板9142から受信機9140a側に放出される光の光量を多くすることができる。その結果、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機9140aにとって受信し易い信号を送信することができる。
【0075】
ここで、反射板9141cの背面に均一に光が照射されるようにライトガイドを用いてもよい。
【0076】
図6は、本実施の形態におけるライトガイドの側面図である。
【0077】
ライトガイド9141gは、透光性を有する板である。
図6に示すようにライトガイド9141gは、鉛直方向に沿うように立てられて、光は、ライトガイド9141gの上端に照射される。このとき、ライトガイド9141gの上端から内部に入る多くの光は、ライトガイド9141gの前面(
図6の左側の面)および背面(
図6の右側の面)に対する入射角が大きいため、その前面及び背面に反射されながらライトガイド9141gの下端まで案内される。
【0078】
ここで、そのライトガイド9141gの背面には複数の反射ドットが形成されている。反射ドットは、光を乱反射(散乱)させる性質を有し、水平方向(
図6の紙面垂直方向)に長い帯状に形成されている。また、複数の反射ドットはそれぞれ、ライトガイド9141gの垂直方向に沿って間隔を空けて配置されている。したがって、ライトガイド9141g内で下端側に案内される光は、反射ドットに当たると乱反射し、乱反射した光の一部は、ライトガイド9141gの前面に対して小さい入射角で入射する。その結果、その一部の光は、ライトガイド9141gの前面から放出される。その結果、光がライトガイド9141g内で上端側から下端側に案内されると、その途中で放出される光量に応じて、ライトガイド9141g内の光は徐々に弱くなる。そこで、それぞれの反射ドットは、その反射ドットの位置が低いほど幅広く形成されている。したがって、光がライトガイド9141gの上端に入射すると、ライトガイド9141gは、その前面から全体的に均一な光を放出することができる。
【0079】
図7は、本実施の形態における反射型の送信機の他の例を示す図である。
【0080】
図7の(a)に示すように、送信機は、液晶板9142、反射板9141c、バックライト9141jおよび制御部9143を備えるとともに、さらに、ライトガイド9141gおよび集光部9141hを備える。
【0081】
ライトガイド9141gは、反射板9141cとバックライト9141jとの間に配置される。集光部9141hは、レンズとして構成され、ライトガイド9141gの上端に配置される。この集光部9141hは、太陽光などの外光を集光して、その外光をライトガイド9141gの上端から内部に導く。
【0082】
これにより、液晶板9142の透過率が高く且つ外光がある場合には、半透明の反射板9141cの前面は、その液晶板9142を介して照射される外光と、集光部9141hおよびライトガイド9141gを介して照射される外光とによって、明るく照らし出される。また、外光がない場合には、半透明の反射板9141cの前面は、バックライト9141jから放たれてライトガイド9141gを介して反射板9141cの背面に照射される光によって、明るく照らし出される。
【0083】
このような送信機は、ライトガイド9141gおよび集光部9141hを備えることによって、外光が弱くても、反射板9141cの前面を安定して照らし出すことができる。その結果、外光が弱くても、送信機は、液晶板9142の透過率を制御することにより、反射板9141cの前面から液晶板9142を介して放たれる光の光量を大きく変化させることができ、信号を適切に送信することができる。なお、液晶板9142の透過率の制御(切り替え)は、数GHz以上の周波数ではなく、約500Hzの周波数で行われる。したがって、反射板9141cによって反射される外光に基づく信号と、ライトガイド9141gから反射板9141cを透過して放たれる外光に基づく信号とは、混信しない。なお、バックライト9141jは、ライトガイド9141gと反射板9141cとの間に配置されていてもよい。
【0084】
また、
図7の(b)に示すように、送信機は、集光部9141hを備えていなくてもよい。この場合、バックライト9141jは、ライトガイド9141gの上端に配置される。そして、この場合、ライトガイド9141gは、外光の代わりに、バックライト9141jからの光を受けて、その光をライトガイド9141gの前面に拡散させ、その前面から全体的に均一な光を放出する。
【0085】
このように本実施の形態では、反射板9141cは、透光性を有し、液晶板9142の反射受光面と対向するように配置される。そして、送信機は、さらに、液晶板9142との間に反射板9141cを挟み、且つ液晶板9142と略平行になるように配置される板状のライトガイド9141gを備える。このライトガイド9141gは、ライトガイド9141gの端部に入射された太陽光が反射板9141cを介して液晶板9142の反射受光面に広がって放たれるように、入射された太陽光のライトガイド9141g内における進路をガイドする。これにより、液晶板9142の反射受光面は、反射光だけでなく、ライトガイドから反射板9141cを介して広く放たれる太陽光も受けることになり、液晶板9142から受信機9140a側に放出される光の光量を多くすることができる。したがって、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機9140aにとって受信し易い信号を送信することができる。
【0086】
また、本実施の形態における送信機は、さらに、太陽光をライトガイド9141gの端部に集光する集光部9141hを備える。これにより、ライトガイド9141gに入射される太陽光の光量を多くすることができ、その結果、液晶板9142から受信機9140a側に放出される光の光量をさらに多くすることができる。
【0087】
また、本実施の形態では、反射板9141cは、透光性を有し、液晶板9142は、さらに、反射板9141cを透過した太陽光である透過光を受け、その透過光が透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる。これにより、液晶板からは反射光だけでなく透過光も受信機9140a側に放出されるため、液晶板9142から受信機9140a側に放出される光の光量を多くすることができる。したがって、光量の変化幅、つまり輝度変化の幅を大きくすることができ、受信機9140aにとって受信し易い信号を送信することができる。
【0088】
図8は、本実施の形態における反射型の送信機の他の例を示す図である。
【0089】
図8の(a)に示すように、送信機は、
図7の(a)に示す構成と同様に、ライトガイド9141g、集光部9141hおよびバックライト9141jを備える。しかし、バックライト9141jは、ライトガイド9141gの上端または背面側ではなく、ライトガイド9141gの下端に配置されている。この場合、ライトガイド9141gのそれぞれの反射ドットは、その反射ドットの垂直方向の位置が中央に近いほど幅広く形成されている。
【0090】
これにより、液晶板9142の透過率が高く且つ外光がある場合には、半透明の反射板9141cにおける上半分の前面は、その液晶板9142を介して照射される外光と、集光部9141hおよびライトガイド9141gを介して照射される外光とによって、明るく照らし出される。そして、半透明の反射板9141cにおける下半分の前面は、液晶板9142を介して照射される外光と、バックライト9141jから放たれてライトガイド9141gを介して照射される光とによって、明るく照らし出される。
【0091】
つまり、本実施の形態におけるライトガイド9141gは、さらに、ライトガイド9141gの端部に入射されたバックライト9141jからの光が反射板9141cを介して液晶板9142の反射受光面に広がって放たれるように、バックライト9141jからの光のライトガイド9141g内における進路をガイドする。これにより、バックライト9141jからの光がライトガイド9141gの端部に入射されれば、そのバックライト9141jからの光も液晶板9142の反射受光面に広がって放たれるため、バックライト9141jをライトガイド9141gの端部に向けて配置することができる。つまり、バックライト9141jの配置の自由度を高めることができる。
【0092】
さらに、本実施の形態における集光部9141hおよびバックライト9141jは、ライトガイド9141gを挟むようにライトガイド9141gの両端のそれぞれに配置されている。これにより、ライトガイド9141gのそれぞれの端部から入射されてライトガイド9141gの中央に向かってガイドされる、ライトガイド9141g内の各位置における太陽光およびバックライト9141jからの光のそれぞれの光量は、ライトガイド9141gの端に近い位置ほど多く、中央に近い位置ほど少なくなる。そこで、本実施の形態におけるライトガイド9141gには、光を散乱させるための複数の反射ドットが、集光部9141hとバックライト9141jとを結ぶ方向に沿って形成され、複数の反射ドットのうちのそれぞれの反射ドットのその方向の幅は、反射ドットの位置がその両端の何れか一方に近いほど狭く、反射ドットの位置がライトガイド9141gの中央に近いほど広い。これにより、ライトガイド9141g内の各位置において、光がライトガイド9141gから反射板9141cを介して液晶板9142に放たれる割合を、ライトガイド9141gの端に近い位置ほど少なく、中央に近い位置ほど多くすることができる。その結果、ライトガイド9141g内の各位置において、光がライトガイド9141gから反射板9141cを介して液晶板9142に放たれる光量を略均一にすることができる。その結果、適切な輝度変化によって信号を送信することができる。
【0093】
また、
図8の(b)に示すように、送信機は、さらに、ライトガイド9141kを備えてもよい。ライトガイド9141kは、ライトガイド9141gと同様に構成され、ライトガイド9141gの背面側に、そのライトガイド9141gと上下が逆になるように配置される。つまり、ライトガイド9141kのそれぞれの反射ドットは、その反射ドットの垂直方向の位置が上端に近いほど幅広く形成されている。そして、バックライト9141jは、ライトガイド9141kの下端に配置されている。
【0094】
これにより、液晶板9142の透過率が高く且つ外光がある場合には、半透明の反射板9141cの前面は、その液晶板9142を介して照射される外光と、集光部9141hおよびライトガイド9141gを介して照射される外光と、バックライト9141jから放たれてライトガイド9141kおよびライトガイド9141gを介して照射される光とによって、明るく照らし出される。また、外光がない場合には、半透明の反射板9141cの前面は、バックライト9141jから放たれてライトガイド9141kおよびライトガイド9141gを介して反射板9141cの背面に照射される光によって、明るく照らし出される。
【0095】
なお、ライトガイド9141kの前面から放たれる光は、ライトガイド9141gの背面における反射ドットがない部位に照射されると、そのライトガイド9141g内に入射する。一方、ライトガイド9141g内でその背面に向かう光は、ライトガイド9141k側に放たれることなく、その背面で反射される。
【0096】
図9は、本実施の形態における反射型の送信機の他の例を示す図である。
【0097】
図9に示すように、反射板9141cの前面(太陽光を反射する面)は鏡面に形成されていてもよい。互いに振動方向が異なる複数の光成分を含む太陽光などの外光が、高い透過率にされている液晶板9142の前面に照射されると、偏光板9141fによって、その外光のうち特定の振動方向の光成分のみがその液晶板9142をその前面側から背面側に透過する。したがって、その外光は1/2に減衰する。ここで、液晶板9142を透過した特定の振動方向の光成分が、鏡面でない反射板9141cの前面に当たると、その光成分は、再び互いに振動方向が異なる複数の光成分を含む光として反射される。そして、この反射された光が、再び液晶板9142をその背面側から前面側に透過すると、その光はさらに1/2に減衰する。したがって、反射板9141cに反射される外光は、液晶板9142を2回透過することによって、1/4に減衰する。
【0098】
しかし、反射板9141cの前面が鏡面として形成されている場合には、液晶板9142を透過した特定の振動方向の光成分は、反射板9141cの前面で反射されても、その特定の振動方向のみに振動している。したがって、反射板9141cの前面で反射された光は、液晶板9142をその背面側から前面側に殆ど減衰することなく透過する。したがって、反射板9141cによって反射される外光は、液晶板9142を2回透過しても、1/4までに減衰することなく、およそ1/2に減衰する。つまり、光の位相を揃えることによって、反射時の光の減衰を防ぐことができる。この構成により、反射光を明るく保つことができる。
【0099】
図10は、本実施の形態における反射型の送信機の他の例を示す図である。
【0100】
反射板9141cの前面が鏡面に形成されている場合、送信機の液晶板9142は、
図9に示す2枚の偏光板9141fのうち、背面側の偏光板9141fを備えることなく、前面側の偏光板9141fのみを備えていてもよい。このような送信機では、液晶9141bは、制御電圧の電圧値が0Vの場合には、その液晶9141bを通る光の振動方向を45°だけねじり、制御電圧の電圧値が作動電圧値の場合、その光の振動方向をねじらない。
【0101】
したがって、制御電圧の電圧値が0Vの場合には、偏光板9141fを透過して液晶9141bに入射する外光の振動方向は、その偏光板9141fの偏光方向と同じ方向であるが、その外光が液晶9141bを透過することによって、45°だけねじられる。そして、その外光は、反射板9141cの鏡面に形成された前面に、ねじられた状態を維持したまま反射されて、再び液晶9141bを透過する。その結果、外光の振動方向はさらに45°だけねじられる。これにより、偏光板9141fを透過して液晶9141bに入射した外光は、その振動方向が90°ねじられた状態で再び偏光板9141fに戻ってくる。しかし、振動方向が90°ねじられているため、その外光は液晶板9142の前面から放出されない。
【0102】
一方、制御電圧の電圧値が作動電圧値の場合には、偏光板9141fを透過して液晶9141bに入射する外光の振動方向は、その偏光板9141fの偏光方向と同じ方向であって、その外光が液晶9141bを透過しても、ねじられない。そして、その外光は、反射板9141cの鏡面に形成された前面に、ねじられていない状態を維持したまま反射されて、再び液晶9141bを透過する。これにより、偏光板9141fを透過して液晶9141bに入射した外光は、その振動方向がねじられることなく再び偏光板9141fに戻ってくる。したがって、その外光は液晶板9142の前面から放出される。
【0103】
このような送信機であっても、制御電圧に応じて液晶板9142の透過率を切り替えることができ、信号を適切に送信することができる。また、このような送信機では、偏光板を1枚だけ備えるため、反射光を明るく保つことができる。また、偏光板を減らすことで、コストダウンと薄型化を図ることができる。
【0104】
図11は、本実施の形態における送信機と受信機との間での通信の一例を示す図である。
【0105】
本実施の形態における送信機9144aは、上述の送信機であって、制御部9143(図示せず)、液晶板9142および反射板9141cを備える。受信機9140aは、発光部9145と、撮像部であるカメラ9146とを備える。このような受信機9140aは、送信機9144aからの信号を受信するときには、発光部9145からフラッシュライトを送信機9144に放つ。送信機9144aは、発光部9145からのフラッシュライトを外光として利用する。つまり、送信機9144aは、送信対象の信号に応じて液晶板9142の透過率を切り替えることによって、反射板9141cを明るく照らし出したり、暗くしたりする。これにより、送信機9144aは、送信対象の信号を受信機9140aのカメラ9146に送信する。
【0106】
このように、本実施の形態における受信方法は、送信機9144aからの信号を受信する受信方法であって、送信機9144aにフラッシュライトを放つ発光ステップと、フラッシュライトにより照らされた送信機9144aを撮像することにより、送信機9144aから放出される光の光量の変化によって示される信号を受信する撮像ステップとを含む。そして、送信機9144aの反射板9141cは、太陽光の代わりにフラッシュライトを反射し、送信機9144aの液晶板9142は、反射されたフラッシュライトである反射光が液晶板9142を透過することにより放出される光の光量を、液晶板9142に印加される制御電圧にしたがって変化させる。これにより、太陽光がない場合や、太陽光が弱い場合には、フラッシュライトを太陽光の代わりに用いることで、その送信機9144aからの信号を適切に受信することができる。
【0107】
図12は、本実施の形態における反射型の送信機の適用例を示す図である。
【0108】
本実施の形態における送信機9144bは、上述の送信機であって、制御部9143(図示せず)および液晶板9142を備える。このような送信機9144bは、看板9147に取り付けられて使用される。看板9147に取りけられた送信機9144bは、その液晶板9142に対向する看板9147の部位を、反射板9141cとして利用する。また、看板9147の上記部位が透光性を有し、看板9147の内部に光源が設置されている場合には、送信機9144bは、その光源をバックライト9141jとして利用する。
【0109】
図13は、本実施の形態における反射型の送信機の他の適用例を示す図である。
【0110】
本実施の形態における送信機9144bは、複数の照明機器9149によって照らされる看板9148に取り付けられてもよい。看板9148に取りけられた送信機9144bは、その液晶板9142に対向する看板9148の部位を、反射板9141cとして利用する。また、送信機9144bは、複数の照明機器9149からの光を、上述の太陽光などの外光として利用する。ここで、複数の照明機器9149が輝度変化することによって信号を送信する場合には、それらの照明機器9149の輝度変化を同期させる必要がある。しかし、本実施の形態では、送信機9144bは、液晶板9142の透過率を切り替えることによって、送信対象の信号を送信するため、照明機器9149が複数ある場合であっても、上述のような同期の必要がない。
【0111】
図14は、本実施の形態における送信機の他の例を示す図である。
【0112】
本実施の形態おける送信機9150は、上述の制御部9143(図示せず)および液晶板9142を備えるとともに、さらに、光源9155と2つの太陽電池9151とを備える。2つの太陽電池9151の一方は、例えば液晶板9142の前面側に取り付けられ、他方は背面側に取り付けられている。したがって、一方の太陽電池9151は、太陽光などの外光を受けることによって発電し、その発電によって得られた電力を制御部9143へ供給する。他方の太陽電池9151は、光源9155から放たれる光を受けることによって発電し、その発電によって得られた電力を制御部9143へ供給する。これにより、送信機9150は、外部からの電力供給を受けることなく、液晶板9142の透過率を切り替えて信号を送信することができる。
【0113】
図15は、本実施の形態における送信機9150の構成を示すブロック図である。
【0114】
送信機9150は、液晶板9142、制御部9143、ソーラー発電部9152、信号記憶部9153、照度計測部9154、および光源9155を備える。
【0115】
ソーラー発電部9152は、上述の2つの太陽電池9151からなり、外光または光源9155の光に応じて発電し、その発電によって得られた電力を制御部9143に供給する。信号記憶部9153は、例えば送信機9150を識別するための識別情報(ID)を保持している。制御部9143は、信号記憶部9153からその識別情報を送信対象の信号として読み出す。照度計測部9154は、送信機9150の周辺における外光の照度を計測し、その計測された照度を制御部9143に通知する。制御部9143は、その通知された照度が低い場合には、光源9155を点灯させる。なお、光源9155への電力は、その光源9155に取り付けられた電源から供給されてもよく、送信機9150の外部から供給されてもよい。
【0116】
このような送信機9150からの信号を受信する受信機9140aは、送信対象の信号であるIDを受信すると、そのIDに対応付けられた関連情報をサーバから取得する。例えば、送信機9150がバス停留所に設置されていれば、受信機9140aは、そのバス停留所における現在時刻に対応するバスの運行状況を示す情報を関連情報としてサーバから取得する。また、送信機9150の制御部9143は、サーバに定期的にアクセスし、アクセスを行うごとに、そのバス停留所における現在時刻に対応するバスの運行状況を示す情報(バス運行情報)を取得し、その情報をIDの代わりに信号記憶部9153に記憶させておいてもよい。この場合には、送信機9150は、IDの代わりに、最新のバス運行情報を送信する。したがって、受信機9140aは、サーバにアクセスすることなく、バス運行情報を直接取得することができる。
【0117】
図16は、本実施の形態における透過型の送信機の適用例を示す図である。
【0118】
送信機は、
図16に示すように、例えばバス停留所に設置された透光性を有する屋根として構成される液晶板9140bを備える。このような送信機は、
図16の(a)および(b)に示すように、その液晶板9140bを透過した太陽光などの外光の照度(明るさ)を計測し、その照度が一定になるように、液晶板9140bの透過率を制御する。なお、透過率の制御は、送信機に備えられた制御部9143(図示せず)によって行われる。
【0119】
なお、
図16に示す送信機は透過型であるが、反射型の送信機でも同様に、反射板によって反射されて液晶板9142を透過した太陽光などの外光の照度(明るさ)を計測し、その照度が一定になるように、液晶板9142の透過率を制御してもよい。
【0120】
図17は、本実施の形態における液晶板の制御の一例を示す図である。
【0121】
送信機は、予め定められた周波数によって示される信号を送信する場合、例えば、
図17の(a)に示すように、高い透過率(明部)の期間に対する低い透過率(暗部)の期間の比率が1になるように、液晶板9140bの透過率をその周波数で切り替える。ここで、液晶板9140bを透過した外光が暗い場合には、送信機は、
図17の(b)に示すように、明部の期間に対する暗部の期間の比が1より小さくなるように、液晶板9140bの透過率をその周波数で切り替える。これにより、送信機は、外光が暗くても、明るく大きな明暗差の輝度変化によって上述の信号を送信することができる。逆に、液晶板9140bを透過した外光が明るい場合には、送信機は、
図17の(c)に示すように、明部の期間に対する暗部の期間の比が1より大きくなるように、液晶板9140bの透過率を上述の周波数で切り替える。これにより、送信機は、外光が明るすぎても、適切に抑えられた明暗差の輝度変化によって上述の信号を送信することができる。
【0122】
これにより、外光が明るくても暗くても、同一の信号を適切に送信することができる。つまり、送信機は、
図17に示す透過率の推移をフーリエ級数展開した場合に、最も係数の大きい項が変わらないように明るさを調整する。なお、送信機は、
図17に示すような矩形波ではなく、正弦波にしたがって液晶板9140bの透過率を制御してもよい。
【0123】
図18は、本実施の形態における送信機による透過率の制御によって現われる液晶板の輝度変化のスペクトルを示す図である。
【0124】
例えば、
図18の(a)に示すように、明部の期間と暗部の期間との比が1:1となるように、矩形波にしたがって透過率の切り替えが行われる場合には、輝度変化のスペクトルには信号成分と矩形成分とが現われる。信号成分は矩形波の周波数を示す成分であり、矩形成分は、その矩形波と正弦波との差分によって現われる成分である。
【0125】
また、
図18の(b)に示すように、明部の期間と暗部の期間との比が3:1となるように、矩形波にしたがって透過率の切り替えが行われる場合には、輝度変化のスペクトルには信号成分および矩形成分の他に非対称成分が現われる。非対称成分は、矩形波が非対称であるために現われる成分である。なお、明部の期間と暗部の期間との比が1:3となる場合にも、輝度変化のスペクトルは
図18の(b)に示すスペクトルと同一になる。
【0126】
また、
図18の(c)に示すように、明部の期間と暗部の期間との比が7:1となるように、矩形波にしたがって透過率の切り替えが行われる場合にも、輝度変化のスペクトルには信号成分および矩形成分の他に非対称成分が現われる。なお、明部の期間と暗部の期間との比が1:7となる場合にも、輝度変化のスペクトルは
図18の(c)に示すスペクトルと同一になる。
【0127】
ここで、非対称成分および矩形成分の周波数は、信号成分の周波数よりも高い。したがって、受信機は、その透過率制御による輝度変化が行われる液晶板を撮像することによって、輝度変化のスペクトルに現われる各成分(ピーク)の周波数のうち、最も低い周波数のみを、送信対象の信号を示す周波数として取得する。
【0128】
以上、本発明の一態様に係る送信機および送信方法について、実施の形態1を用いて説明したが、本発明の一態様に係る送信機および送信方法は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。
【0129】
図19Aは、本発明の一態様に係る送信機の構成を示すブロック図である。
【0130】
本発明の一態様に係る送信機100は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機9140aに送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部101と、太陽光を反射する反射体102と、反射体102によって反射された太陽光である反射光を受け、その反射光が透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる液晶板103とを備える。なお、反射体102は送信機100に備えられていなくてもよい。つまり、本発明の一態様に係る送信機100は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機9140aに送信する送信機であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する制御部101と、太陽光を受け、その太陽光が透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その制御電圧にしたがって変化させる液晶板103とを備える。
【0131】
図19Bは、本発明の一態様に係る送信方法を示すフローチャートである。
【0132】
本発明の一態様に係る送信方法は、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機9140aに送信する送信方法であって、送信対象の信号に応じた制御電圧を生成する電圧生成ステップS101と、反射体によって反射された太陽光である反射光を液晶板が受け、その反射光が液晶板を透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、その液晶板に印加される制御電圧にしたがって変化させる透過率制御ステップS103とを含む。なお、透過率制御ステップS103では、上述と同様に反射板を用いずに、液晶板に直接照射される太陽光がその液晶板を透過することにより受信機9140a側に放出される光の光量を、変化させてもよい。
【0133】
このような本発明の一態様に係る送信機または送信方法では、太陽光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。
【0134】
(実施の形態2)
(ショッピングカートへの応用)
図20A〜
図22は、実施の形態2における情報通信方法(信号受信方法)の一例を示す図である。
【0135】
図20Aに示すように、本実施の形態におけるショッピングカート9100bは、据付台9100cを備える。据付台9100cは、例えばスマートフォン(多機能携帯電話)として構成される受信機9100aを上部に据付ける構造を持ち、また、下部に反射板9100dを備える。ショッピングカート9100bの進行方向に対して横から入射した光は、反射板9100dで上方向に反射光として反射される。
【0136】
受信機9100aは、撮像または受光を行う受信部9100e、9100fを備える。受信機9100aは、下面に備えられた受信部9100fにより、その反射光によって示される信号を受信する。また、受信機9100aは、上面に備えられた受信部9100eにより、例えば天井照明機器等として構成された送信機からの光によって示される信号を受信する。受信機9100aは、
図20Bに示すように、受信した信号に応じてディスプレイに情報を表示したり、音声を再生したりすることで、例えばセール情報や商品の詳細情報をユーザに通知する。
【0137】
反射板9100dは、
図21の(a)に示すように、凸形状であってもよい。これにより、反射板9100dが平面状である場合よりも、受信機9100aは、反射板9100dを介して光源からの光を広く受けることができるため、その光源が大きく映し出された画像を取得することができる。これにより、遠くの光源からの信号を受信したり、受信速度を向上したりすることができる。
【0138】
反射板9100dは、
図21の(b)に示すように、光を乱反射してもよい。これにより、反射板9100dが光を鏡面反射する場合よりも、受信機9100aは、反射板9100dを介して光源からの光を広く受けることができるため、その光源が大きく映し出された画像を取得することができる。これにより、遠くの光源からの信号を受信したり、受信速度を向上したりすることができる。
【0139】
据付台9100cは、
図21の(c)に示すように、反射板9100dの代わりに、ハーフミラー9101Ca、ハーフミラー9101Cc、反射板9101Cb、および反射板9101Cdを備えてもよい。これにより、両側から入射する光によって示される信号を受信機9100aで受信することが出来る。
【0140】
ユーザは、商品のバーコードやラベル等を受信機9100aに撮像させ、受信機9100aは撮像した商品の情報を画面に表示する。
【0141】
また、受信機9100aは、撮像した商品を購入予定商品として記憶する。受信機9100aは、可視光通信や電波通信や近接無線通信等を介してレジと通信することで、購入予定商品の情報をレジに渡す。これにより、レジでの検品作業を省き、購入処理を素早く済ませることができる。また、受信機9100aと紐付けられたクレジットカードや電子マネーを用いて商品の料金を支払う場合は、レジとの通信も不要となる。受信機9100aは、購入予定商品の重量をサーバから取得し、ショッピングカート9100bに渡す。ショッピングカート9100bは計量部を備え、計量部によって計量された重量と、購入予定商品の重量とが同じであるかどうか確認する。同じでなければ、ショッピングカート9100bは、受信機9100aにその旨を伝え、警告を発する。計量部は、ショッピングカート9100bではなくレジに備えられてもよい。この場合には、受信機9100aは、購入予定商品の重量をレジに伝える。または、受信機9100aは、購入予定商品のみをレジに伝え、レジがその重量を計算してもよい。
【0142】
図22は、受信機9100aとショッピングカート9100bの構成図である。
【0143】
ショッピングカート9100bは、ダイナモ9102、給電部9103、および受光部9104を備える。ダイナモ9102は、使用者がショッピングカート9100bを押す力を利用して発電を行う。受光部9104は、発電された電力を使用して、受信機9100aとの通信や、天井照明機器などの送信機からの光によって示される信号の受信を行う。また、給電部9103は、ダイナモ9102によって発電された電力のうちの余剰電力を受信機9100aへ送ることで、受信機9100aの充電器として動作する。
【0144】
受信機9100aは、操作部9105、表示部9106、通信部9107、受光部9108、および撮像部9109を備える。操作部9105は、受信機9100aおよびショッピングカート9100bの使用者による操作を受け付ける。表示部9106は、その操作部9105に受け付けられた操作に応じた画像を表示する。受光部9108および撮像部9109のそれぞれは、上述の受信部9100eまたは受信部9100fであって、撮像または受光を行う。通信部9107は、上述のサーバであるサーバ9100sと通信することにより、そのサーバ9100sのデータ保持部に保持されている例えば購入予定商品の重量を取得する。
【0145】
図23は、受信機9100aの動作の他の例を示すフローチャートである。
【0146】
まず、受信機9100aは、ステップ9120bで可視光通信モードに移行する。次に、受信機9100aは、ステップ9120cで、その受信機9100aに備えられた受光部の感度が自動設定によって変更されないように、その感度を現在の設定値に固定する。そして、受信機9100aは、ステップ9120dで、輝線が観察できるかどうかを判断する。観察できると判断した場合(ステップ9120dのY)、受信機は、可視光通信のための感度の設定処理を終了する。観察できないと判断した場合(ステップ9120dのN)、受信機9100aは、ステップ9120fで、輝線が観察できない原因が、大きいノイズにあるか否かを判定する。原因が大きいノイズにあると判定した場合(ステップ9120fのY)、受信機9100aは、ステップ9120gで、その受光部の感度を現在の設定値より低い値(低感度)に設定して、ステップ9120dの処理を繰り返し行う。一方、その原因が大きいノイズでないと判断した場合(ステップ9120fのN)、受信機9100aは、ステップ9120hで、その受光部の感度を現在の設定値より高い値(高感度)に設定して、ステップ9120dの処理を繰り返し行う。
【0147】
(実施の形態3)
(博物館サービス)
図24は、実施の形態3における信号送受信システムの一例を示す図である。
【0148】
この信号送受信システムは、受信機9130a、送信機9130b、IDサービスサーバ9130c、および投稿サーバ9130dを含む。送信機9130bは、展示物やその周囲を、可視光信号が含まれた光で照らす。受信機9130aは、例えばスマートフォンとして構成され、送信機9130bによって照らされた展示物を撮像することにより、つまり、送信機9130bから放たれてその展示物によって反射された光を撮像することにより、送信機9130bからの可視光信号を受信する。受信機9130aは、受信した可視光信号によって示される情報(例えばID)をIDサービスサーバ9130cに送信する。そして、受信機9130aは、その情報をキーにして、IDサービスサーバ9130cから展示物や展示施設等に関する情報(例えば展示物の写真と付加情報)を取得し、その情報を画面に表示する。受信機9130aは、画面を介したユーザからの操作に応じて、取得した展示物等の情報にユーザのコメントを加えて投稿サーバ9130dに投稿する。これにより、投稿サーバ9130dは、その情報によって示される、展示物の写真と、ユーザのコメントと、付加情報(例えば、その展示物を展示する美術館などの展示施設のウェブサイトを示すURL:Uniform Resource Locator)とを、投稿された記事として通信回線網を介して公開する。また、受信機9130aは、他のユーザが投稿したコメントを表示する。
【0149】
(指向性スピーカのコントロール)
図25は、実施の形態3における信号送受信システムの他の例を示す図である。
【0150】
この信号送受信システムは、受信機9133a、送信機9133b、制御装置9133c、および指向性スピーカ9133dを含む。送信機9133bは、周囲を照らす照明機器として構成され、輝度変化することによって信号(可視光信号)を送信する。受信機9133aは、例えばスマートフォンとして構成され、受信機9133aに備えられている受光部(撮像部)に送信機9133bを撮像させることにより、送信機9133bからの信号を受信する。そして、受信機9133aは、その信号によって示される例えば送信機9133bの位置などを用いて受信機9133aの位置を推定する処理である自己位置推定を行う。例えば、受信機9133aは、受信した信号によって示される送信機9133bの位置および大きさと、受光部による撮像によって得られる画像に映し出された送信機9133bの画像中の位置、大きさ、および向きなどとに基づいて、その自己位置推定を行う。また、受信機9133aは、ユーザの顔を撮影し、その撮影によって得られる画像に映し出されたユーザの顔の位置および向きに基づいて、受信機9133aから見たユーザの顔の位置と向きとを推定する。その結果、受信機9133aは、自己位置推定によって得られる受信機9133aの位置と、その受信機9133aから見たユーザの顔の位置および向きとに基づいて、信号送受信システムが配置された空間における(グローバル座標系における)ユーザの顔の位置および向きを特定する。受信機9133aは、制御装置9133cへ、そのユーザの顔の位置と向きと示す情報を送信する。制御装置9133cは、その情報を受信すると、グローバル座標系におけるユーザの耳の位置を特定する。そして、制御装置9133cは、指向性スピーカ9133dの音の出力方向を、特定された位置(ユーザの耳)へ向ける。これにより、指向性スピーカ9133dは、ユーザの見ている展示物や、ユーザの指定した内容に関する音声情報を、そのユーザに限定して伝えることができる。
【0151】
(無信号期間を挟んだ送信)
図26は、実施の形態3における信号フォーマットの一例を示す図である。
【0152】
図26の(a)に示すように、送信機は、特定の輝度変化の周波数で特定の情報を表す周波数―ID方式の信号を送信する。受信機は、異なるタイミングに撮像することにより、2枚の画像9180aと画像9180bとを取得する。これらの画像には、送信機の輝度変化による明暗の斑が、その送信機から送信された信号として全体的に現われているとともに、景色(展示物の像)も現われている。ここで、受信機は、撮像によって得られた2枚の画像9180aと画像9180bの差分をとることで、景色を除いた画像9180cを差分画像として得ることができる。しかし、その差分画像9180cには、画像9180aと画像9180bの撮像時の信号が重畳されてしまっている。
【0153】
そこで、
図26の(b)のように、送信機は、信号を送らない期間を設けてもよい。これにより、受信機は、信号が重畳されていない差分画像9180fを得ることができる。つまり、受信機は、送信機によって信号が送信されている期間に撮像することにより、景色とともに明暗の斑が現われている画像9180dを取得する。さらに、受信機は、送信機によって信号が送信されていない期間に撮像することにより、景色だけが現われている画像9180eを取得する。したがって、受信機は、画像9180dと画像9180eとの差分をとることで、景色が除かれ、且つ複数の信号が重畳されていない画像9180fを差分画像として得ることができる。
【0154】
信号を送信している時間(信号送信期間)T1と、信号を送信していない時間(信号非送信期間)T2とをそれぞれ、受信機が1枚の画像を撮像する時間(現在の多くのカメラは30分の1秒)より長くすることで、確実に差分画像9180fのような画像が得られる。なお、信号非送信期間では、信号を送らない代わりに、受信機に設定されている露光時間では認識できない高い周波数を用いてもよい。これにより、中間階調が表現できない送信機であっても、信号非送信期間の画像と信号送信期間の画像との平均輝度を揃えることができる。また、連続的に輝度を変化させることができるため、チラツキを低減させることができる。また、周波数を変化させていくことで信号を表現する周波数シフトキーイング(FSK)変調方式であっても、この構成により同様の効果が得られる。FSK変調方式の場合は、周波数シフトのタイミングで信号を送信しない区間を挟むことで、周波数シフトのタイミングを受信機に知らせるという効果もある。この場合、信号非送信期間T2はシフト前の信号の1周期以上の長さとすればよい。
【0155】
(位相変調)
図27は、実施の形態3における信号フォーマットの他の例を示す図である。
【0156】
送信機は、時刻によって位相を変化させることで、信号を表現する。つまり、送信機は、所定の位相で一周期分の波形にしたがった輝度変化を行うことによって、0を示す信号を送信し、その位相と180°異なる位相で一周期分の波形にしたがった輝度変化を行うことによって、1を示す信号を送信する。
【0157】
(位相変調と周波数変調の併用)
図28は、実施の形態3における信号フォーマットの他の例を示す図である。
【0158】
図28の(a)に示すように、送信機は、位相を変化させずに輝度変化を行うことによって、0を示す信号を送信する。また、
図28の(b)に示すように、送信機は、1周期ごとに位相を180度変化させて輝度変化を行うことによって、1を示す信号を送信する。このような送信機は、
図28に示す信号フォーマットと周波数変調とを併用することで、周波数変調のみを用いた場合よりも1bit多い信号を送信することができる。また、送信機は、位相の変化パターンを増やしたり、位相を変化させる周期のパターンを増やしたりすることで、より多くの情報量を送信することができる。
【0159】
(FSK変調方式で用いる周波数パターン)
図29は、実施の形態3における信号フォーマットの他の例を示す図である。
【0160】
送信機は、FSK変調方式によって信号を送信する。具体的には、送信機は、
図29に示すように、8つの周波数f1〜f8を用いた輝度変化を行うことによって、それぞれの周波数によって特定される信号を送信する。ここで、送信機は、
図29の(a)に示すように、周波数f1で輝度変化しているときに、信号「00」を送信する場合には、その輝度変化の周波数f1を周波数f2に切り替えることによって、その信号を送信する。同様に、送信機は、周波数f1で輝度変化しているときに、信号「01」を送信する場合には、その輝度変化の周波数f1を周波数f4に切り替えることによって、その信号を送信する。また、送信機は、
図29の(b)に示すように、周波数f4で輝度変化しているときに、信号「00」を送信する場合には、その輝度変化の周波数f4を周波数f1に切り替えることによって、その信号を送信する。同様に、送信機は、周波数f4で輝度変化しているときに、信号「01」を送信する場合には、その輝度変化の周波数f4を周波数f3に切り替えることによって、その信号を送信する。
【0161】
このように、次に送信される信号の候補である「00」、「01」、「10」および「10」のそれぞれには、現在の輝度変化の周波数に応じて、周波数f1〜f8の中から選択される4つの周波数のそれぞれが割り当てられる。その選択される4つの周波数には、現在の周波数は含まれておらず、8つの周波数f1〜f8のうち、その選択される4つの周波数のそれぞれに隣り合う周波数は用いられない。なお、周波数f1〜f8の何れかによる輝度変化は、単位時間であるスロットごとに行われる。
【0162】
このような送信機は、同じ周波数を連続して使用しないことで、受信機がスロットの移行(周波数シフトのタイミング)を明確に認識することができる。また、シフトの周期を厳密に定めなくてもよくなるため、安価なクロック装置を利用することができる。また、シフトの周期を不定にすることができ、シフトの周期に情報を埋め込むことができる。
【0163】
さらに、次スロットで使用される可能性がある複数の周波数が隣接しないように設定することで、受信誤りを低減することができる。
【0164】
また、FSK変調方式では、信号の開始時点を示すスタート信号が必要となる。そこで、一定時間以上輝度変化をさせない状態、または、受信機では認識できない高速の輝度変化を行っている状態をスタート信号とすることで、受信機で認識可能な周波数を有効活用でき、信号の表現範囲を広げることができる。
【0165】
(周波数シフトのクロスフェード)
図30は、実施の形態3における信号フォーマットの他の例を示す図である。
【0166】
輝度変化の周波数が急激に変化すると、人間の目で見てちらつきが感じられることがある。そこで、送信機は、
図30の(a)に示すように、輝度変化の周波数f1を周波数f2に切り替える場合には、周波数f1と周波数f2とのクロスフェードを行う。このように、シフト前後の周波数をクロスフェードさせながらシフトすることで、このちらつきを低減させることができる。また、送信機は、
図30の(b)に示すように、輝度変化の周波数f1を周波数f2に切り替える場合には、輝度変化の周波数を周波数f1から徐々に周波数f2に近づける。このように、シフト前の周波数からシフト後の周波数に漸近させることでも、このちらつきを低減させることができる。また、シフト前後の周波数の間に、受信機に設定されている露光時間では観察できない程度の高い周波数の輝度変化を行うことにより、よりちらつきを低減させることができる。
【0167】
(実施の形態4)
図31は、実施の形態4における信号送受信システムの一例を示す図である。
【0168】
信号送受信システムは、多機能携帯電話であるスマートフォン(スマホ)と、照明機器であるLED発光機と、冷蔵庫などの家電機器と、サーバとを備えている。LED発光機は、BTLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)を用いた通信を行うとともに、LED(Light Emitting Diode)を用いた可視光通信を行う。例えば、LED発光機は、BTLEによって、冷蔵庫を制御したり、エアコンと通信する。また、LED発光機は、可視光通信によって、電子レンジ、空気清浄機またはテレビ(TV)などの電源を制御する。
【0169】
テレビは、例えば太陽光発電素子を備え、この太陽光発電素子を光センサとして利用する。つまり、LED発光機が輝度変化することによって信号を送信すると、テレビは、太陽光発電素子によって発電される電力の変化によって、そのLED発光機の輝度変化を検出する。そして、テレビは、その検出された輝度変化によって示される信号を復調することによって、LED発光機から送信された信号を取得する。テレビは、その信号が電源ONを示す命令である場合には、自らの主電源をONに切り替え、その信号が電源OFFを示す命令である場合には、自らの主電源をOFFに切り替える。
【0170】
また、サーバは、ルータおよび特定小電力無線局(特小)を介してエアコンと通信することができる。さらに、エアコンはBTLEを介してLED発光機と通信することができるため、サーバはLED発光機と通信することができる。したがって、サーバは、LED発光機を介してTVの電源をONとOFFとに切り替えることができる。また、スマートフォンは、サーバと例えばWi−Fi(Wireless Fidelity)などを介して通信することによって、サーバを介してTVの電源を制御することができる。
【0171】
(マイクロセル方式)
図32および
図33は、実施の形態4における信号送受信方法の一例を説明するための図である。
【0172】
例えば照明機器として構成される送信機9110b〜9110eは、電波と可視光の両方を用いて信号(データ)を送信する。電波通信には、例えば、Wi−Fi、Bluetooth(特にBTLE)等の通信規約が用いられる。送信機9110bは、例えば自身のID「Aaa」を意味するデータを送信するとき、データを上位データ「A」と下位データ「aa」に分割し、上位データと下位データを電波で送信し、それらのうちの下位データのみを可視光で送信する。送信機9110bと同様に、送信機9110c〜9110eも、自身のIDを意味するデータを送信するとき、そのデータを上位データと下位データに分割し、上位データと下位データを電波で送信し、それらのうちの下位データのみを可視光で送信する。また、送信機9110b〜9110eは、可視光でデータを送信していることを示す信号(可視光信号存在通知)を電波で送信するとしてもよい。なお、送信機9110bは、可視光で下位データを送信する可視光送信部と、電波で上位データおよび下位データを送信する電波送信部とを一体として備えているが、
図33に示すように、電波送信部を備えなくてもよい。送信機9110bのように送信機が電波送信部を備える場合は、電波送信部を動作させるための電力を照明機器の電源から供給することで、電力を安定して供給することができる。したがって、強い電波で、高頻度にデータを送信することができ、また、電池交換を不要とすることができる。一方、送信機9111bのように送信機が電波送信部を備えない場合は、電波送信に都合の良い位置に電波送信部(
図33の基地局Aまたは基地局Bに相当するユニット)を配置することができる。したがって、可視光送信部と同一の下位データを送信する電波送信部を配置する自由度を高めることが出来る。
【0173】
例えばスマートフォンとして構成される受信機9110aは、電波と可視光のそれぞれで送信されたデータを受信する。可視光と比較して電波は指向性が弱く伝送範囲が広いため、受信機9110aは、複数の送信機9110b、9110c、9110dから電波で送信されたデータを受信する。このとき受信されるデータは、「Aaa」、「Abb」、および「Baa」である。このとき、受信機9110aは、可視光によって下位データ「bb」を受信することで、上述の3つのデータのうち、処理すべきデータの全体が「Abb」であることが判断できる。また、受信機9110aは、下位データ「bb」の一部である最初の「b」を受信した時点で、処理すべきデータの全体が「Abb」であることが判断でき、早い時点でそのデータを用いた処理を行うことが出来る。また、受信機9110aは、電波によってデータ「Aaa」、「Abb」、および「Baa」を受信した時点で、これらのデータをキーとしてサーバから情報を受け取っておくことで、処理すべきデータが確定したときに、素早く表示等の処理を行うことができる。
【0174】
この構成により、可視光で送受信されるデータ量を減らすことができる。これにより、受信機9110aは、全てのデータを可視光で受信するよりも高速にデータを受信することができる。また、可視光で送受信されるデータ量が減少することで、少ないデータ量しか送信できない変調方式や、遠くから受信できる変調方式を利用することができる。
【0175】
なお、
図33に示す構成の場合でも同様の効果が得られる。
図33に示す例では、例えば照明機器として構成される送信機9111b〜eは、電波と可視光のうち可視光のみを用いて信号(データ)を送信する。基地局Aである送信機9111gは、例えば上位データ「A」と下位データ「aa」および「bb」とを電波で送信する。基地局Bである送信機9111hは、送信機9111gと同一の構成を有し、上位データ「B」と下位データ「aa」および「bb」とを電波で送信する。また、送信機9111g,9111hは、可視光でデータが送信されていることを示す信号(可視光信号存在通知)を電波で送信してもよい。このような、
図33に示す構成の場合は、基地局Aおよび基地局Bのそれぞれによって、互いに上位データが異なる通信可能領域を設定することができる。
【0176】
図34は、受信機9110aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0177】
図34に示すように、まず、受信機9110aは、ステップ9110Bbで、それぞれ上位データと下位データを含む1つ以上の組を電波通信で受信する。ステップ9110Bcで、受信機9110aは、電波通信で受信したデータ(1つ以上の組)のそれぞれをキーとして用いることにより、サーバから別のデータを取得する。ステップ9110Bdで、受信機9110aは、ステップ9110Bbで受信されたデータの組が1組だけかどうかを確認する。ここで、1組だけの場合(ステップ9110BbのY)、受信機9110aは、ステップ9110Bgで、その1組の上位データと下位データを合わせて受信データを生成し、その受信データに依存する処理を行う。一方、1組だけでない場合(ステップ9110BdのN)、受信機9110aは、ステップ9110Beで、可視光通信で下位データの一部を受信する。次に、受信機9110aは、ステップ9110Bfで、可視光通信で受信した下位データ(の一部)が、電波通信で受信した各組の下位データの中のどれであるか特定できるかどうか確認する。ここで、特定できる場合(ステップ9110BfのY)、受信機9110aは、ステップ9110Bgで、特定された下位データと同じ組の上位データとその下位データとを合わせて受信データを生成し、その受信データに依存する処理を行う。一方、特定できない場合(ステップ9110BfのN)、受信機9110aは、ステップ9110Beからの処理を繰り返し実行する。
【0178】
図35は、受信機9110aの動作の他の例を示すフローチャートである。
【0179】
受信機9110aは、ステップ9110Bhで、Bluetooth Low Energy等の電波通信によってデータを受信する。次に、受信機9110aは、ステップ9110Biで、受信したデータをキーとして用いてサーバに問い合わせることにより、そのキーに紐付けられた情報を取得する。そして、受信機9110aは、ステップ9110Bjおよびステップ9110Bkで、この取得した情報が、受信機9110aのユーザ向けの情報(第1情報)と、受信機9110aのユーザが登録した種類の情報(第2情報)とのうちの何れか一方であるか、何れの情報でもないかを判定する。ここで、受信機9110aは、取得した情報が第1情報でも第2情報でもないと判定すると(ステップ9110BjのNおよびステップ9110BkのN)、取得した情報の表示を行うことなく処理を終了する。一方、受信機9110aは、取得した情報が第1情報または第2情報であると判定すると(ステップ9110Bjおよびステップ9110Bkの何れかでY)、ステップ9110Blで、音や光や振動等によって、情報を取得したことをユーザに通知し、可視光受信モードになる。この可視光受信モードになった受信機9110aは、ステップ9110Bmで、可視光通信によってデータを受信する。さらにこのとき、受信機9110aは、ステップ9110Bnで、サーバから取得した公告やクーポン等の情報を表示する。
【0180】
(位置認識精度による使い分け)
図36は、各通信方式の通信可能距離と自己位置推定の精度との関係を示す図である。
【0181】
各通信方式は、本実施の形態における可視光通信システム(VLC)、Bluetooth(Bluetooth Low Energy)、およびWi−Fiである。
図36によって示されるグラフの横軸は、発光部の大きさや電波強度を調整することで通信することが可能な受信機と送信機との間の距離である通信可能距離(coverage area)を示す。そして、そのグラフの縦軸は、受信機がその通信方式によって自らの位置を推定する精度である自己位置推定の精度を示す。この
図36に示すように、VLCでは、他の通信方式よりも、通信可能距離が長く、且つ、自己位置推定の精度が高い。
【0182】
図37は、三つの通信方式を用いた位置推定サービスの一例を示す図である。
【0183】
受信機は、自己位置推定の精度が粗いWi−Fi方式を用いて、建物内のどの階のどのあたりの位置に自らが居るのかを推定する。
【0184】
受信機は、自己位置推定の精度が中程度のBluetooth(Bluetooth Low Energy)を用いて、どの店舗内に自らがいるのかを推定する。このとき、Wi−Fiによる自己位置推定と併用することで、受信機は、通信可能なBluetoothの通信エリアを絞り込むことができる。つまり、Bluetoothによって送信される信号であるIDが、そのBluetoothの通信エリアを含むWi−Fiの通信エリア内でユニークであれば、そのIDに対応するBluetoothの通信エリアを特定できる。したがって、ID管理が簡便になる。また、必要なIDの桁数が少なくなり、通信に必要なコスト(時間や消費電力)が少なくなる。また、受信機は、付近に位置推定用のBluetoothの信号がないという情報を、Wi−Fiで受け取ったときには、Bluetoothの信号を検索しないことで、消費電力を削減できる。
【0185】
受信機は、自己位置推定の精度が高いVLCを用いて、どの棚の前に自らが居るかを推定する。このとき、受信機はWi−FiやBluetoothによる自己位置推定と併用することで、前記と同様の効果を得ることができる。
【0186】
なお、本実施の形態では、Wi−Fi、Bluetooth、およびVLCの3つの通信方式を用いたが、これらのうちのいずれか二つだけを用いても良い。また、Wi−FiやBluetoothに代えて、IMES(Indoor MEssaging System)や音波やZigBee等を利用した別の自己位置推定を用いても、同等の効果が得られる。
【0187】
(送信信号の書き換え)
図38は、実施の形態4における信号送受信方法の他の例を説明するための図である。
【0188】
例えばスマートフォントして構成される操作端末9114aは、Bluetooth Low Energy等の電波通信によって、可視光信号を書き換える命令を示す書き換え信号を送信機9114bに送信する。送信機9114bは、例えば
図31に示すLED発光機であって、その書き換え信号を受ける電波通信部9114dと、後述する書き換え許可スイッチ9114eと、可視光信号を記憶している送信信号記憶部9114fと、その可視光信号を可視光通信によって例えば
図31に示す電子レンジなどの機器に送信する可視光通信部9114gとを備える。書き換え許可スイッチ9114eは、送信信号記憶部9114fに記憶されている可視光信号の書き換えを許可するか否かを示す設定情報を保持している。そして、書き換え許可スイッチ9114eは、電波通信部9114dを介して書き換え信号を取得すると、自らに保持されている設定情報が許可することを示す場合には、その書き換え信号にしたがって、送信信号記憶部9114fに記憶されている可視光信号を書き換える。一方、書き換え許可スイッチ9114eは、その設定情報が許可しないことを示す場合には、その書き換え信号にしたがった可視光信号の書き換えを行わない。これにより、操作端末9114aは、送信機9114bであるLED発光機を介した電子レンジなどの機器に対する遠隔操作を、可視光信号に基づいて行うことができる。また、操作端末9114aは、可視光信号を書き換えることによって、その機器に対して複数種の操作を行うことができる。また、可視光信号は送信機9114bに記憶されており、その書き換えには送信機9114bによる許可が必要となる。したがって、操作端末9114aが不適切に機器を操作してしまうことを抑制することができる。
【0189】
また、操作端末9114aは、Bluetooth Low Energy等の電波通信によって、送信機9114cへ上述の書き換え信号とパスワードとを送信してもよい。この場合、送信機9114cは、例えば
図31に示すLED発光機であって、上述の電波通信部9114d、送信信号記憶部9114f、および可視光通信部9114gを備えるとともに、パスワード照合部9114hと、パスワード記憶部9114iと、パスワード送信部9114jとを備える。パスワード記憶部9114iは、パスワードを記憶している。パスワード照合部9114hは、電波通信部9114dを介して書き換え信号とともにパスワードを取得すると、そのパスワードと、パスワード記憶部9114iに記憶されているパスワードとが同一であるか否かを判定する。そして、同一であると判定されると、パスワード照合部9114hは、取得された書き換え信号にしたがって、送信信号記憶部9114fに記憶されている可視光信号を書き換える。一方、同一でないと判定されると、パスワード照合部9114hは、その取得された書き換え信号にしたがった可視光信号の書き換えを行わない。パスワード送信部9114jは、例えば近接無線通信等によって、パスワード記憶部9114iに記憶されているパスワードを操作端末9114aに送信する。
【0190】
このような、送信機9114cを用いた場合では、不適切な操作端末9114aによる機器の制御を抑制することができ、上述の送信機9114bを用いた場合と同様の効果を奏することができる。
【0191】
なお、送信機9114cは、操作端末9114aのIDを記憶しておき、そのIDによって識別される操作端末からの書き換え信号にのみ応じてもよい。また、サーバが上述の設定情報を記憶していてもよい。この場合、操作端末9114aは、書き換え信号をそのサーバに送信する。サーバは、その書き換え信号を受信すると、記憶している設定情報に応じて、その書き換え信号を送信機に送信するか否かを判定する。送信機は、サーバから書き換え信号を受信すると、その書き換え信号に応じた可視光信号の書き換えを実行する。
【0192】
(位置推定情報の有無による変調方式の選択)
図39は、実施の形態4における信号送受信方法の他の例を説明するための図である。
【0193】
照明機器として構成される送信機9115bは、
図32に示す送信機9110b〜9110eと同様に、上位データおよび下位データを含む位置推定情報をBTLEなどによって受信機9115aに送信し、下位データのみを含む位置推定情報を周波数変調方式の可視光通信によって受信機9115aに送信する。また、照明機器として構成される送信機9115cは、上位データおよび下位データを含む位置推定情報をパルス変調方式(例えば4PPM方式など)の可視光通信によって受信機9115aに送信する。なお、パルス変調方式の可視光通信では、周波数変調方式の可視光通信よりも単位時間内に送信可能なデータ量が多い。したがって、周波数変調方式の送信機9115bは、下位データのみを含む位置推定情報を可視光通信によって送信し、パルス変調方式の送信機9115cは、上位データおよび下位データを含む位置推定情報を可視光通信によって送信する。
【0194】
受信機9115aは、BTLEなどによって位置推定情報を受信しているか否かに応じて、可視光通信の方式を周波数変調方式かパルス変調方式に切り替える。
【0195】
図40は、受信機9115aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0196】
受信機9115aは、まず、ステップ9116aで可視光通信モードになる。次に、受信機9115aは、ステップ9116bで、Bluetooth(Low Energy)やWi−Fi、またはIMES等の通信により位置推定情報を受信しているか否かを判定する。ここで、受信機9115aは、受信していると判定すると(ステップ9116bのY)、ステップ9116cで、送信機から送信された可視光信号を周波数変調方式(周波数ID変調方式やFSK変調方式等)で受信する。そして、受信機9115aは、ステップ9116dで、その受信が成功したか否かを判定し、成功したと判定したときには(ステップ9116dのY)、受信処理を終了する。
【0197】
一方、受信機9115aは、位置推定情報を受信していないと判定したとき(ステップ9116bのN)、または、受信が成功していないと判定したとき(ステップ9116dのN)には、ステップ9116eで露光時間を設定する。つまり、受信機9115aは、自らに設定される露光時間を、自動設定によって設定された露光時間よりも短い時間に設定する。次に、受信機9115aは、ステップ9116fで、送信機から送信された可視光信号をパルス変調方式(パルス位置変調方式やパルス密度変調方式等)で受信する。そして、受信機9115aは、ステップ9116gで、その受信が成功したか否かを判定し、成功したと判定したときには(ステップ9116gのY)、受信処理を終了する。一方、受信機9115aは、その受信が成功していないと判定したときには(ステップ9116gのN)、ステップ9116cの処理を実行する。なお、上述の例では、パルス変調方式を用いる場合には、露光時間を短く設定したが、周波数変調方式を用いる場合にも同様に露光時間を短く設定してもよい。
【0198】
このような信号送受信方法では、可視光通信にBluetooth Low Energy等を併用した通信方式と、併用していない通信方式とを、自動で切り替えて通信を行うことができる。
【0199】
(実施の形態5)
図41は、実施の形態5における送信機による透過率の制御方法の一例を示す図である。なお、この
図41は、液晶板9142の透過率および光の進路のそれぞれの時間的な変化を示すものであって、
図44の横軸は時間を示す。また、
図41において、液晶板9142の黒色で示した部分は、液晶板9142が閉状態(透過率が低く、光を通さない状態)になっていることを示し、液晶板9142の白色で示した部分は、液晶板9142が開状態(透過率が高く、光を通す状態)になっていることを示す。
【0200】
つまり、本実施の形態における送信機の制御部9143は、時刻t1に液晶板9142の状態を開状態から閉状態に切り替え、その時点から時間(閉時間)Tcut経過後の時刻t2に、液晶板9142の状態を閉状態から開状態に切り替る。さらに、制御部9143は、時刻t2から時間(開時間)Ttrn経過後の時刻t3に再び、液晶板9142の状態を開状態から閉状態に切り替る。制御部9143は、このような液晶板9142の透過率の切り替えを周期的に繰り返し行う。また、例えば、時刻t5に、光が開状態の液晶板9142に入射すると、その光は、時刻t6に反射板9141cによって反射されて、時刻t7に液晶板9142から放出される。
【0201】
ここで、液晶板9142の厚みをdLCとし、屈折率をnLCとし、光速をcとしたとき、光が液晶板9142に入射してから反射板9141cに反射されて液晶板9142から出てくるまでの遅延時間trは、2 ×dLC×nLC/cとなる。閉状態が継続されている時間を閉時間Tcut、開状態が継続されている時間を開時間Ttrnとすると、液晶板9142が暗く見える時間である暗時間Tdrkは、Tcut+trとなり、液晶板9142が明るく見える時間である明時間Tbrtは、Ttrn−trとなる。Tdrk=Tbrtとすると、液晶板9142の閉状態および開状態を変化させる周波数、つまり液晶板9142の透過率を変化させる周波数fは、1/(2×Tdrk)となる。Tdrk>trであるため、f<c/(4×dLC×nLC)とすると、輝度変化をさせて信号を表現することができる。例えば、dLC=0.01(m)であれば、周波数fはおよそ10GHz以下である。
【0202】
図42は、実施の形態5における送信機による透過率の制御方法の他の例を示す図である。なお、この
図42も、
図41と同様、液晶板9142の透過率および光の進路のそれぞれの時間的な変化を示すものであって、
図42の横軸は時間を示す。
【0203】
本実施の形態における送信機は、
図42の(a)および(b)に示すように、液晶板9142と、透光性を有する半透明の反射板9141cと、反射板9141cよりも高い透光性を有する板状の透過物9157と、透光性がない板状の非透過物9158と、制御部9143(図示せず)とを備える。なお、非透過物9158は、液晶板9142との間に反射板9141cおよび透過物9157を挟み込むように配置される。つまり、液晶板9142、反射板9141c、透過物9157、非透過物9158の順に、これらの構成要素が配置されている。
【0204】
制御部9143は、送信対象の信号に応じた制御電圧を液晶板9142に印加することによって、液晶板9142の外光に対する透過率を第1の透過率と第2の透過率とに切り替えることにより、反射板9141cに反射されて液晶板9142を介して受信機側に放出される外光の光量を変化させる。液晶板9142の透過率が第1の透過率になっている状態が上述の開状態であり、液晶板9142の透過率が第2の透過率になっている状態が上述の閉状態である。
【0205】
ここで、反射板9141cが透光性を有する場合には、開状態の液晶板9142を介して反射板9141cに照射された外光は、その反射板9141cおよび透過物9157を透過して非透過物9158によって反射されることがある。その反射された外光は、反射板9141cおよび透過物9157を再び透過して液晶板9142に到達する。このとき、液晶板9142が開状態であれば、その液晶板9142に到達した外光は、液晶板9142を透過して放出される。
【0206】
例えば、
図45の(a)に示すように、時刻t10に、外光が開状態の液晶板9142に入射すると、その外光は、反射板9141cおよび透過物9157を透過して、時刻t12に非透過物9158によって反射される。そして、その反射された外光は、反射板9141cおよび透過物9157を再び透過して、時刻t13に、液晶板9142に到達する。このとき、液晶板9142の状態が開状態に既に切り替えられていれば、その外光は、液晶板9142を透過して、時刻t14にその液晶板9142から放出される。
【0207】
ここで、時刻t10の後の時刻t11に、液晶板9142の状態が開状態から閉状態に切り替えられ、その時刻t11から上述の暗時間Tdrkが経過するまで、液晶板9142からの外光の放出を停止させようとしても、閉時間Tcutが短ければ、その放出を抑えられないことがある。具体的には、非透過物9158によって反射された外光が液晶板9142に到達する時刻t13までに、時刻t11から閉時間Tcutが既に経過していれば、時刻t13では、液晶板9142は開状態である。したがって、非透過物9158によって反射された外光は、その時刻t13に液晶板9142に入射して、その液晶板9142を透過し、時刻t11から暗時間Tdrkが未だ経過していない時刻t14に、液晶板9142から放出されてしまう。
【0208】
したがって、実施の形態5における制御部9143は、
図42の(b)に示すように、閉状態が少なくとも時刻t13まで継続されるように、閉時間Tcutを設定する。
【0209】
図43Aは、実施の形態5における送信機のブロック図である。
【0210】
本実施の形態における送信機100aは、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機に送信する送信機100であって、液晶板103aと、透光性を有する第1の板102aと、液晶板103aとの間に第1の板102aを挟み込むように配置される第2の板104aと、制御部101aとを備える。なお、液晶板103a、第1の板102a、第2の板104a、および制御部101aは、それぞれ上述の液晶板9142、反射板9141c、非透過物9158、および制御部9143に相当する。
【0211】
制御部101aは、送信対象の信号に応じた制御電圧を液晶板103aに印加することによって、液晶板103aの外光に対する透過率を第1の透過率(開状態)と第2の透過率(閉状態)とに切り替えることにより、第1の板102aに反射されて液晶板103aを介して受信機側に放出される外光の光量を変化させる。さらに、制御部101aは、液晶板103aの透過率を、第1の透過率(開状態)よりも低い第2の透過率(閉状態)に切り替えたときには、液晶板103aを既に透過した外光が、第2の板104aに反射されて第1の板102aを介して液晶板103aに到達するまで、液晶板103aの透過率を第2の透過率(閉状態)に維持する。
【0212】
図43Bは、実施の形態5における送信方法を示すフローチャートである。
【0213】
本実施の形態における送信方法は、送信機100aが、放出される光の光量を変化させることによって信号を受信機に送信する送信方法である。また、送信機100aは、上述のように、液晶板103aと、透光性を有する第1の板102aと、液晶板103aとの間に第1の板102aを挟み込むように配置される第2の板104aとを備えている。
【0214】
このような送信方法では、送信対象の信号に応じた制御電圧を液晶板103aに印加することによって、液晶板103aの外光に対する透過率を第1の透過率(開状態)と第2の透過率(閉状態)とに切り替えることにより、第1の板102aに反射されて液晶板103aを介して受信機側に放出される外光の光量を変化させる(ステップS101a)。ここで、液晶板103aの透過率を、第1の透過率(開状態)よりも低い第2の透過率(閉状態)に切り替えたときには、液晶板103aを既に透過した外光が、第2の板104aに反射されて第1の板102aを介して液晶板103aに到達するまで、液晶板103aの透過率を第2の透過率(閉状態)に維持する。
【0215】
これにより、送信機100aは、第1の板102aに反射されて受信機側に放出される外光の光量を変化させることによって、外光を用いた可視光通信を行うことができ、可視光通信用の光源を持つ必要がなく、構成上の制約を受け難くすることができる。さらに、液晶板103aの透過率が第2の透過率(低い透過率)に切り替えられたときには、液晶板103aを既に透過した外光が、第2の板104aに反射されて液晶板103aに到達するまで、液晶板103aは低い透過率に維持されている。したがって、第1の板102aが透光性を有することにより、外光がその第1の板102aを透過してしまっても、その外光が第2の板104aに反射されて受信機側に放出されてしまうことを抑えることができる。その結果、第2の板104aによる外光の反射を考慮することなく、可視光信号の送信を制御することができる。つまり、可視光信号の送信の制御においても制約を受け難くすることができる。
【0216】
図44は、実施の形態5における送信機の液晶板9142の配置の一例を示す図である。
【0217】
本実施の形態における送信機の液晶板9142は、例えば
図44の(a)に示す看板9147aに取り付けられる。この場合、液晶板9142は、
図44の(b)に示すように、看板9147aの表面における下端の縁に沿うように、且つその縁に対向するように配置される。なお、
図41および
図42に示す反射板9141c、透過物9157および非透過物9158などは、看板9147aに備えられている。これにより、液晶板9142を看板9147aに取り付けるだけで、または、液晶板9142を看板9147aの前に置くだけで、その看板9147aに送信機能を付加することができる。また、液晶板9142が看板9147aの表面のうちの端にのみ取り付けられるため、看板9147aの全面が液晶板9142に覆われる場合よりも、看板9147aを見え易くすることができる。また、看板9147aのうち液晶板9142に覆われた部分は見え難くなるため、その部分に文字や模様を入れて目立たなくしてもよい。
【0218】
また、液晶板9142は、看板9147aに接触させて取り付けてもよいが、
図44の(c)に示すように、看板9147aの表面と隙間を空けて配置されていてもよい。これにより、外光が液晶板9142を介することなくその隙間に入り込むことができる。その結果、外光は看板9147aに直接反射されて液晶板9142を透過して放出されるため、液晶板9142および看板9147aを明るくすることができ、それらを見え易くすることができる。
【0219】
なお、
図41および
図42に示す反射板9141c、透過物9157および非透過物9158などは、液晶板9142とともに看板9147aに取り付けられてもよい。また、看板9147aは液晶ディスプレイであってもよい。つまり、
図43Aに示す液晶板103aと第1の板102aと第2の板104aとからなる信号送信部が、液晶ディスプレイの表面のうちの端にのみ形成される。これにより、液晶ディスプレイの全面が信号送信部に覆われる場合よりも、液晶ディスプレイを見え易くすることができる。
【0220】
図45は、実施の形態5における送信機の液晶板9142の配置の他の例を示す図である。
【0221】
本実施の形態における送信機の液晶板9142は、例えば
図45の(a)に示す看板9147aに取り付けられる。この場合、液晶板9142は、
図45の(b)に示すように、看板9147aの表面における周縁に沿うように、且つその周縁に対向するように配置されてもよい。なお、上述のように、看板9147aは液晶ディスプレイであってもよい。つまり、
図43Aに示す液晶板103aと第1の板102aと第2の板104aとからなる信号送信部が、液晶ディスプレイの表面のうちの周縁にのみ形成される。これにより、液晶ディスプレイの全面が信号送信部に覆われる場合よりも、液晶ディスプレイを見え易くすることができる。
【0222】
図46は、実施の形態5における送信機の液晶板9142の配置の他の例を示す図である。
【0223】
本実施の形態における送信機の液晶板9142は、例えば
図46の(a)に示す、互いに隣接して配列された複数の看板9147a〜看板9147dに取り付けられてもよい。この場合、液晶板9142は、
図46の(b)に示すように、互いに隣接して配列された複数の看板9147a〜看板9147dのそれぞれの表面のうち、それらの複数の看板9147a〜看板9147dの境界に沿う部分のみに、且つその部分に対向するように配置される。これにより、複数の看板9147a〜看板9147dのそれぞれを見え易くすることができる。なお、上述と同様に、複数の看板9147a〜看板9147dは液晶ディスプレイであってもよい。つまり、
図43Aに示す液晶板103aと第1の板102aと第2の板104aとからなる信号送信部が、互いに隣接して配列された複数の液晶ディスプレイのそれぞれの表面のうち、その複数の液晶ディスプレイの境界に沿う部分にのみ形成される。これにより、各液晶ディスプレイを見え易くすることができる。
【0224】
図47は、実施の形態5における送信機の液晶板9142の構成の一例を示す図である。
【0225】
本実施の形態における送信機の液晶板9142は、
図47の(b)に示す液晶ディスプレイ装置9200aに備えられている液晶ディスプレイ9200の表面に形成されてもよい。液晶ディスプレイ9200は、
図47の(a)に示すように、2つの偏光板9201,9202と、その2つの偏光板9201,9202に挟み込まれる液晶9203とを有する。
【0226】
そこで、本実施の形態における送信機の液晶板9142は、
図47の(c)に示すように、液晶ディスプレイ9200の表面側に備えられている偏光板9201と、送信用液晶9141bと、偏光板9201との間に送信用液晶9141bを挟み込むように配置される偏光板9141fとからなる。つまり、
図47の(c)および(d)に示すように、送信用液晶9141bと偏光板9141fとからなる送信用液晶パネル9142aが、液晶ディスプレイ9200の表面に取り付けられる。そして、液晶ディスプレイ9200の表面側の偏光板9201は、映像を映し出すための機能と、可視光通信用の液晶板9142の一部の機能とを兼ね備える。
【0227】
図48は、実施の形態5における送信用液晶パネル9142aの取り付け例を示す図である。
【0228】
例えば、
図48の(a)に示すように、液晶ディスプレイ装置9200aの表面側に備えられている偏光板9201の偏光方向は垂直方向である。この場合、
図48の(b)に示すように、偏光方向が水平方向の偏光板9141fを有する送信用液晶パネル9142aが、その液晶ディスプレイ装置9200aの表面に取り付けられる。
【0229】
また、
図48の(c)に示すように、液晶ディスプレイ装置9200aの表面側に備えられている偏光板9201の偏光方向は水平方向である。この場合、
図48の(d)に示すように、偏光方向が垂直方向の偏光板9141fを有する送信用液晶パネル9142aが、その液晶ディスプレイ装置9200aの表面に取り付けられる。
【0230】
また、
図48の(e)に示すように、液晶ディスプレイ装置9200aの表面側に備えられている偏光板9201の偏光方向は斜め方向(水平方向から反時計回りに45°傾いた方向)である。この場合、
図48の(f)に示すように、偏光方向が逆斜め方向(水平方向から反時計回りに135°傾いた方向)の偏光板9141fを有する送信用液晶パネル9142aが、その液晶ディスプレイ装置9200aの表面に取り付けられる。
【0231】
このように、本実施の形態では、液晶板9142は、液晶ディスプレイ9200の表面側に備えられている偏光板9201と、液晶9203と、偏光板9201との間に液晶9203を挟み込むように配置される送信用偏光板9141fとからなる。そして、送信用偏光板9141fは、その送信用偏光板9141fの偏光方向が液晶ディスプレイ9200の偏光板9201の偏光方向に対して垂直になるように、その液晶ディスプレイ9200に取り付けられる。これにより、その液晶板9142の偏光板として、液晶ディスプレイ9200に備えられている偏光板9201が利用されるため、専用の2枚の偏光板を有する液晶板を液晶ディスプレイ9200に取り付ける場合よりも、偏光板の数を減らすことができる。その結果、構成を簡単にすることができるとともに、液晶板9142から放たれる光の光量を増すことができ、適切な可視光通信を行うことができる。
【0232】
図49は、実施の形態5における液晶板9142に取り付けられる電極を示す図である。
【0233】
図49に示すように、液晶板9142には、複数対(例えば3対)の電極9142bが取り付けられている。制御部9143は、これらの複数対の電極9142bを用いて液晶板9142に制御電圧を印加することにより、その液晶板9142の透過率を変化させる。これにより、電極9142bが一対だけ液晶板9142に取り付けられている場合と比べて、信号伝達にかかる時間を短くすることができ、高い周波数で透過率を切り替えることができる。つまり、高い周波数の信号を送信することができる。
【0234】
図50Aは、実施の形態5における信号送受信システムの一例を示す図である。
【0235】
この信号送受信システムは、受信機9140aと、送信機9144bと、IDサービスサーバ9130cとを備える。なお、本実施の形態における送信機9144bは、上述の送信機であって、制御部9143(図示せず)および液晶板9142を備える。また、液晶板9142は看板9147aの表面に取り付けられている。
【0236】
このような信号送受信システムでは、受信機9140aは、液晶板9142を撮影することによって、送信機9144b(液晶板9142)から送信される信号(可視光信号)を受信する。受信機9140aは、信号を受信することによって、その信号によって示されるID(識別情報)を取得する。そして、受信機9140aは、そのIDをIDサービスサーバ9130cに送信する。IDサービスサーバ9130cは、そのIDに対応付けられた関連情報を取得して、その関連情報を受信機9140aに送信する。これにより、関連情報が看板9147aの広告内容に関する詳細な情報であれば、受信機9140aは、その広告内容に関する詳細な情報をユーザに提示することができる。
【0237】
図50Bは、実施の形態5における信号送受信システムの他の例を示す図である。
【0238】
この信号送受信システムは、受信機9140aと、送信機9144bと、サービスサーバ9130eとを備える。なお、送信機9144bは、上述のように、制御部9143(図示せず)および液晶板9142を備える。また、液晶板9142は看板9147aの表面に取り付けられている。
【0239】
このような信号送受信システムでは、サービスサーバ9130eが、看板9147aの広告内容に関する詳細な情報をデータとして送信機9144bに送信する。そして、送信機9144bは、液晶板9142の透過率を変化させることによって、そのデータを可視光によって送信する。受信機9140aは、液晶板9142を撮影することによって、送信機9144b(液晶板9142)から送信されるそのデータを受信する。これにより、受信機9140aは、その広告内容に関する詳細な情報をユーザに提示することができる。
【0240】
図51は、実施の形態5における制御電圧の波形を示す図である。
【0241】
図51に示すように、制御部9143によって液晶板9142に印加される制御電圧の立ち上がりおよび立ち下がりには時間がかかる。特に、立ち下がりには、立ち上がりよりも長い時間を要する。具体的には、立ち上がりには120μ秒かかるところ、立ち下がりには500μ秒かかる。
【0242】
図52は、実施の形態5における制御電圧の波形を示す図である。
【0243】
図51に示すように、制御電圧の立ち上がりおよび立ち下がりには時間がかかるため、
図52の(a)に示すように、制御電圧を0VとnV(n>0)とに切り替えることを繰り返す際には、その繰り返しの周波数を高くすることはできない。つまり、液晶板9142の透過率の切り替えの周波数、および、可視光信号の周波数を高くすることができない。しかし、
図52の(b)に示すように、制御電圧をmV(m>0)とpV(p>m)とに切り替えることを繰り返す際には、その繰り返しの周波数を高くすることができる。つまり、制御電圧を0Vまで下げなければ、立ち上がりおよび立ち下がりの影響を抑えることができ、液晶板9142の透過率の切り替えの周波数、および、可視光信号の周波数を高くすることができる。また、制御電圧を変動させる範囲を狭めることによっても同様の効果を得ることができる。
【0244】
つまり、本実施の形態における制御部9143は、液晶板9142に印加される制御電圧を、予め定められた電圧値よりも高い範囲で変化させることにより、液晶板9142の透過率を第1の透過率と第2の透過率とに切り替える。例えば、予め定められた電圧値は0Vである。これにより、制御電圧の立ち上がりおよび立ち下がりにそれぞれ時間を要する場合でも、それらの時間を短くすることができ、高い周波数で液晶板の透過率を切り替えることができる。その結果、可視光通信の通信速度を向上させることができる。
【0245】
図53は、実施の形態5における液晶板9142の配置の一例を示す図である。
【0246】
送信機9144bに備えられる液晶板9142は、例えば、看板9147aに対向する状態で、且つ看板9147aから離れた位置に配置される。これにより、外光は、液晶板9142を介することなく、看板9147aと液晶板9142との間に直接入り込むことができる。その結果、液晶板9142から看板9147aと反対側(
図53の左側)に放出される外光の光量を、液晶板9142が看板9147aに接触している場合よりも増すことができる。つまり、液晶板9142を明るくすることができるとともに、送信機9144bから送信される信号を適切に送信することができる。さらに、液晶板9142の看板9147aと反対側からの光が、その液晶板9142によって遮られて、看板9147aに伝わり難くすることができ、断熱効果を得ることができる。なお、看板9147aが液晶ディスプレイ9200として構成されている場合には、液晶板9142の代わりに、送信用液晶パネル9142aを配置してもよい。この場合、送信用液晶パネル9142aは、液晶ディスプレイ9200に対向する状態で、且つ液晶ディスプレイ9200から離れた位置に配置される。また、看板9147aは壁であってもよい。
【0247】
図54は、実施の形態5における露光ラインごとの露光時間を示す図である。
【0248】
本実施の形態における受信機9140aは、各露光ラインの露光を順次異なる時刻で開始するとともに、一つの露光ラインの露光を完了する前に、次の露光ラインの露光を開始し、通常撮影モードの露光時間よりも短い露光時間で撮影を行うことにより画像データを取得する。そして、受信機9140aは、その画像データに現れる、各露光ラインに対応する輝線のパターンのうち、露光ラインに対して略垂直な方向によって特定されるデータを復調することにより情報を取得する。
【0249】
つまり、受信機9140aは、
図54に示すように、イメージセンサの各露光ラインを露光させるときには、1番目の露光ラインの露光を開始させ、その露光の開始から時間Tline経過後に、2番目の露光ラインの露光を開始させる。このように、受信機9140aは、n番目の露光ラインを露光させるときには、(n−1)番目の露光ラインの露光が開始されてから時間Tline経過後に、n番目の露光ラインの露光を開始させる。なお、上述の1番目、2番目およびn番目は、例えばイメージセンサ内の各露光ラインの配列順である。
【0250】
そして、受信機9140aは、イメージセンサに含まれる最後の露光ラインの露光が終了してから時間Tblank2が経過したときに、または、最後の露光ラインの露光が開始されてから時間Tblank1が経過したときに、再び1番目の露光ラインの露光を開始させる。つまり、イメージセンサに含まれる各露光ラインの露光を再びシーケンシャルに開始させる。受信機9140aは、このようなイメージセンサに含まれる全ての露光ラインの露光を、時間Tframeを一周期として繰り返し行う。
【0251】
ここで、上述の時間Tline、時間Tblank1、時間Tblank2、および時間Tframeは、受信機ごとに異なる。そこで、本実施の形態における送信機9144aは、受信機ごとの上記各時間の少なくとも1つを予め記憶している。そして、送信機9144aは、送信先の受信機に応じた時間に基づいて周波数を決定し、その周波数にしたがって液晶板9142の透過率を切り替える。これにより、受信機のそれぞれに適した周波数の可視光信号を送信することができる。言い換えれば、受信機は、送信機9144aから送信される信号を正確に受信することができる。
【0252】
図55は、実施の形態5における信号値、波長および周波数の関係を示す図である。
【0253】
例えば、周波数変調では、信号が示す値(信号値)のそれぞれに対して互いに異なる周波数が割り当てられている。これにより、送信機は、送信対象の信号を送信する際には、その信号の信号値に割り当てられた周波数で可視光の光量を変化させる。具体的には、
図55の(b)に示すように、信号値(20、21)のそれぞれに周波数(200Hz、210Hz)が割り当てられ、信号値(100、101)のそれぞれに周波数(1000Hz、1010Hz)が割り当てられ、信号値(500、501)のそれぞれに周波数(5000Hz、5010Hz)が割り当てられている。この例では、信号値が大きくても小さくても、n番目の信号値と(n+1)番目の信号値とのそれぞれに割り当てられる周波数の差分は同じである。つまり、0番目の信号値(20)に割り当てられる周波数(200Hz)と、1番目の信号値(21)に割り当てられる周波数(210Hz)との差分は10Hzである。そして、480番目の信号値(500)に割り当てられる周波数(5000Hz)と、481番目の信号値(501)に割り当てられる周波数(5010Hz)との差分も10Hzである。
【0254】
しかし、上述のように各信号値に対して等差的に周波数が割り当てられる場合には、受信機は、その割り当てられた周波数を識別することが困難になる場合がある。その場合には、受信機は送信機から送信される信号値を取得することができない。
【0255】
そこで、本実施の形態における送信機は、
図55の(a)に示すように、各信号値に対して等差的に波長を割り当てる。つまり、信号値(20、21)のそれぞれに波長(200μ秒、210μ秒)が割り当てられ、信号値(100、101)のそれぞれに波長(1000μ秒、1010μ秒)が割り当てられ、信号値(500、501)のそれぞれに波長(5000μ秒、5010μ秒)が割り当てられる。つまり、信号値が大きくても小さくても、n番目の信号値と(n+1)番目の信号値とのそれぞれに割り当てられる波長の差分は同じである。例えば、0番目の信号値(20)に割り当てられる波長(200μ秒)と、1番目の信号値(21)に割り当てられる波長(210μ秒)との差分は10μ秒である。そして、480番目の信号値(500)に割り当てられる波長(5000μ秒)と、481番目の信号値(501)に割り当てられる波長(5010μ秒)との差分も10μ秒である。
【0256】
その結果、本実施の形態では、各信号に対しては非等差的に周波数が割り当てられる。つまり、信号値(20、21)のそれぞれに周波数(5000Hz、4671.9Hz)が割り当てられ、信号値(100、101)のそれぞれに周波数(1000Hz、990.1Hz)が割り当てられ、信号値(500、501)のそれぞれに周波数(200Hz、199.6Hz)が割り当てられる。このように、n番目の信号値と(n+1)番目の信号値とのそれぞれに割り当てられる周波数の差分は、信号値の序数が大きくなるほど、つまり信号値が大きくなるほど、小さくなる。
【0257】
つまり、本実施の形態における送信機の制御部9143は、0からn(nは0以上の整数)番目の信号のそれぞれに互いに異なる周波数が割り当てられている場合に、k(kは0以上n以下の整数)番目の信号を送信する際には、そのk番目の信号に割り当てられた周波数で変化する制御電圧を液晶板9142に印加する。そして、上述の互いに異なる周波数の割り当てでは、i(iは0以上n以下の整数)番目の信号の値を、定数aおよびbを用いて(a+b×i)として表す場合、i番目の信号に割り当てられる周波数f(i)と、(i−1)番目の信号に割り当てられる周波数f(i−1)との差分が、iが大きいほど、大きくまたは小さくなるように、上述の互いに異なる周波数が割り当てられている。なお、
図55の(a)に示す例では、a=20であり、b=1であって、iが大きいほど、周波数f(i)と周波数f(i−1)との差分が小さくなるように、各信号(信号値)に周波数が割り当てられている。
【0258】
このように、各信号値に対して等差的に波長が割り当てられ、その結果、各信号値に対して非等差的に周波数が割り当てられる場合には、受信機では、その割り当てられた周波数を識別することが容易となる。したがって、受信機は送信機から送信される信号値を適切に取得することができる。
【0259】
図56は、実施の形態5における偏光板のバリエーションを示す図である。
【0260】
液晶板9142または送信用液晶パネル9142aに備えられている偏光板は、
図56の(a)に示すように、光を偏光させる領域(偏光フィルタ)がその偏光板の全面に形成されていてもよく、
図56の(b)〜(d)に示すように、部分的に形成されていてもよい。なお、
図56において、ハッチングされている部分が上述の偏光フィルタである。つまり、偏光板には、
図56の(b)および(c)に示すように、光を偏光させない複数の帯状の領域がそれぞれ非偏光領域として等間隔に形成されていてもよい。また、偏光板には、
図56の(d)に示すように、格子状の非偏光領域が形成されていてもよい。言い換えれば、本実施の形態における、液晶板9142を構成する2枚の偏光板のうちの少なくとも一方の偏光板には、外光に対して偏光を行わない領域(非偏光領域)が、その偏光板に対して均一に形成されている。
【0261】
このような非偏光領域が偏光板に形成されているため、液晶板9142を透過する光の光量を増すことができる。その結果、液晶板9142を看板9147aに取り付けた場合にも、看板9147aの表面を見やすくすることができる。なお、非偏光領域は細かく均一に偏光板に形成されていることが望ましい。非偏光領域が細かく均一なほど、液晶板9142の透過率に斑が発生することを抑えることができ、その液晶板9142から放たれる光の光量を均一にすることができる。また、非偏光領域を目立たなくすることができる。なお、
図56の例では、非偏光領域の形状は帯状または格子状であるが、その形状はどのようなものであってもよい。また、液晶板9142を構成する2枚の偏光板のそれぞれに、同一の形状および大きさの非偏光領域が形成されていてもよく、互いに異なる形状または大きさの非偏光領域が形成されていてもよい。
【0262】
なお、本実施の形態における送信機、受信機、液晶板などの構成はいずれも、他の実施の形態のものであってもよい。
【0263】
(実施の形態6)
以下、実施の形態6の撮像方法について説明する。上記各実施の形態における受信機は、この実施の形態6における撮像方法によって送信機を撮像することにより、その送信機から送信される信号(可視光信号)を受信してもよい。この場合、受信機は、複数の露光ラインを含むイメージセンサ(撮像素子)を受光部または撮像部として備える。
【0264】
(発光部の輝度の観測)
1枚の画像を撮像するとき、全ての撮像素子を同一のタイミングで露光させるのではなく、撮像素子ごとに異なる時刻に露光を開始・終了する撮像方法を提案する。
図57は、1列に並んだ撮像素子は同時に露光させ、列が近い順に露光開始時刻をずらして撮像する場合の例である。ここでは、同時に露光する撮像素子の露光ラインと呼び、その撮像素子に対応する画像上の画素のラインを輝線と呼ぶ。
【0265】
この撮像方法を用いて、点滅している光源を撮像素子の全面に写して撮像した場合、
図58のように、撮像画像上に露光ラインに沿った輝線(画素値の明暗の線)が生じる。この輝線のパターンを認識することで、撮像フレームレートを上回る速度の光源輝度変化を推定することができる。これにより、信号を光源輝度の変化として送信することで、撮像フレームレート以上の速度での通信を行うことができる。光源が2種類の輝度値をとることで信号を表現する場合、低い方の輝度値をロー(LO)、高い方の輝度値をハイ(HI)と呼ぶ。ローは光源が光っていない状態でも良いし、ハイよりも弱く光っていても良い。
【0266】
この方法によって、撮像フレームレートを超える速度で情報の伝送を行う。
【0267】
一枚の撮像画像中に、露光時間が重ならない露光ラインが20ラインあり、撮像のフレームレートが30fpsのときは、1.67ミリ秒周期の輝度変化を認識できる。露光時間が重ならない露光ラインが1000ラインある場合は、3万分の1秒(約33マイクロ秒)周期の輝度変化を認識できる。なお、露光時間は例えば10ミリ秒よりも短く設定される。
【0268】
図58は、一つの露光ラインの露光が完了してから次の露光ラインの露光が開始される場合を示している。
【0269】
この場合、1秒あたりのフレーム数(フレームレート)がf、1画像を構成する露光ライン数がlのとき、各露光ラインが一定以上の光を受光しているかどうかで情報を伝送すると、最大でflビット毎秒の速度で情報を伝送することができる。
【0270】
なお、ラインごとではなく、画素ごとに時間差で露光を行う場合は、さらに高速で通信が可能である。
【0271】
このとき、露光ラインあたりの画素数がm画素であり、各画素が一定以上の光を受光しているかどうかで情報を伝送する場合には、伝送速度は最大でflmビット毎秒となる。
【0272】
図59のように、発光部の発光による各露光ラインの露光状態を複数のレベルで認識可能であれば、発光部の発光時間を各露光ラインの露光時間より短い単位の時間で制御することで、より多くの情報を伝送することができる。
【0273】
露光状態をElv段階で認識可能である場合には、最大でflElvビット毎秒の速度で情報を伝送することができる。
【0274】
また、各露光ラインの露光のタイミングと少しずつずらしたタイミングで発光部を発光させることで、発信の基本周期を認識することができる。
【0275】
図60Aは、一つの露光ラインの露光が完了する前に次の露光ラインの露光が開始される場合を示している。即ち、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成となっている。このような構成により、(1)一つの露光ラインの露光時間の終了を待って次の露光ラインの露光を開始する場合に比べ、所定の時間内におけるサンプル数を多くすることができる。所定時間内におけるサンプル数が多くなることにより、被写体である光送信機が発生する光信号をより適切に検出することが可能となる。即ち、光信号を検出する際のエラー率を低減することが可能となる。更に、(2)一つの露光ラインの露光時間の終了を待って次の露光ラインの露光を開始する場合に比べ、各露光ラインの露光時間を長くすることができるため、被写体が暗い場合であっても、より明るい画像を取得することが可能となる。即ち、S/N比を向上させることが可能となる。なお、全ての露光ラインにおいて、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成となる必要はなく、一部の露光ラインについて部分的に時間的な重なりを持たない構成とすることも可能である。一部の露光ラインについて部分的に時間的な重なりを持たないように構成するにより、撮像画面上における露光時間の重なりによる中間色の発生を抑制でき、より適切に輝線を検出することが可能となる。
【0276】
この場合は、各露光ラインの明るさから露光時間を算出し、発光部の発光の状態を認識する。
【0277】
なお、各露光ラインの明るさを、輝度が閾値以上であるかどうかの2値で判別する場合には、発光していない状態を認識するために、発光部は発光していない状態を各ラインの露光時間以上の時間継続しなければならない。
【0278】
図60Bは、各露光ラインの露光開始時刻が等しい場合に、露光時間の違いによる影響を示している。7500aは前の露光ラインの露光終了時刻と次の露光ラインの露光開始時刻とが等しい場合であり、7500bはそれより露光時間を長くとった場合である。7500bのように、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成とすることにより、露光時間を長くとることが可能となる。即ち、撮像素子に入射する光が増大し、明るい画像を得ることができる。また、同一の明るさの画像を撮像するための撮像感度を低く抑えられることで、ノイズの少ない画像が得られるため、通信エラーが抑制される。
【0279】
図60Cは、露光時間が等しい場合に、各露光ラインの露光開始時刻の違いによる影響を示している。7501aは前の露光ラインの露光終了時刻と次の露光ラインの露光開始時刻とが等しい場合であり、7501bは前の露光ラインの露光終了より早く次の露光ラインの露光を開始する場合である。7501bのように、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成とすることにより、時間あたりに露光できるラインを増やすことが可能となる。これにより、より解像度が高くなり、多くの情報量が得られる。サンプル間隔(=露光開始時刻の差)が密になることで、より正確に光源輝度の変化を推定することができ、エラー率が低減でき、更に、より短い時間における光源輝度の変化を認識することができる。露光時間に重なりを持たせることで、隣接する露光ラインの露光量の差を利用して、露光時間よりも短い光源の点滅を認識することができる。
【0280】
図60B、
図60Cで説明したように、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりをもつように、各露光ラインを順次露光する構成において、露光時間を通常撮影モードよりも短く設定することにより発生する輝線パターンを信号伝送に用いることにより通信速度を飛躍的に向上させることが可能になる。ここで、可視光通信時における露光時間を1/480秒以下に設定することにより適切な輝線パターンを発生させることが可能となる。ここで、露光時間は、フレーム周波数=fとすると、露光時間<1/8×fと設定する必要がある。撮影の際に発生するブランキングは、最大で1フレームの半分の大きさになる。即ち、ブランキング時間は、撮影時間の半分以下であるため、実際の撮影時間は、最も短い時間で1/2fとなる。更に、1/2fの時間内において、4値の情報を受ける必要があるため、少なくとも露光時間は、1/(2f×4)よりも短くする必要が生じる。通常フレームレートは、60フレーム/秒以下であることから、1/480秒以下の露光時間に設定することにより、適切な輝線パターンを画像データに発生させ、高速の信号伝送を行うことが可能となる。
【0281】
図60Dは、各露光ラインの露光時間が重なっていない場合、露光時間が短い場合の利点を示している。露光時間が長い場合は、光源は7502aのように2値の輝度変化をしていたとしても、撮像画像では7502eのように中間色の部分ができ、光源の輝度変化を認識することが難しくなる傾向がある。しかし、7502dのように、一つの露光ラインの露光終了後、次の露光ラインの露光開始まで所定の露光しない空き時間(所定の待ち時間)tD2を設ける構成とすることにより、光源の輝度変化を認識しやすくすることが可能となる。即ち、7502fのような、より適切な輝線パターンを検出することが可能となる。7502dのように、所定の露光しない空き時間を設ける構成は、露光時間tEを各露光ラインの露光開始時刻の時間差tDよりも小さくすることにより実現することが可能となる。通常撮影モードが、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成である場合において、露光時間を通常撮影モード時よりも、所定の露光しない空き時間が生じるまで短く設定することにより、実現することができる。また、通常撮影モードが、前の露光ラインの露光終了時刻と次の露光ラインの露光開始時刻とが等しい場合であっても、所定の露光しない時間が生じるまで露光時間を短く設定することにより、実現することができる。また、7502gのように、各露光ラインの露光開始時刻の間隔tDを大きくすることによっても、一つの露光ラインの露光終了後、次の露光ラインの露光開始まで所定の露光しない空き時間(所定の待ち時間)tD2を設ける構成をとることができる。この構成では、露光時間を長くすることができるため、明るい画像を撮像することができ、ノイズが少なくなることからエラー耐性が高い。一方で、この構成では、一定時間内に露光できる露光ラインが少なくなるため、7502hのように、サンプル数が少なくなるという欠点があるため、状況によって使い分けることが望ましい。例えば、撮像対象が明るい場合には前者の構成を用い、暗い場合には後者の構成を用いることで、光源輝度変化の推定誤差を低減することができる。
【0282】
なお、全ての露光ラインにおいて、隣接する露光ラインの露光時間が、部分的に時間的な重なりを持つ構成となる必要はなく、一部の露光ラインについて部分的に時間的な重なりを持たない構成とすることも可能である。また、全ての露光ラインにおいて、一つの露光ラインの露光終了後、次の露光ラインの露光開始まで所定の露光しない空き時間(所定の待ち時間)を設ける構成となる必要はなく、一部の露光ラインについて部分的に時間的な重なりを持つ構成とすることも可能である。このような構成とすることにより、それぞれの構成における利点を生かすことが可能となる。また、通常のフレームレート(30fps、60fps)にて撮影を行う通常撮影モードと、可視光通信を行う1/480秒以下の露光時間にて撮影を行う可視光通信モードとにおいて、同一の読み出し方法または回路にて信号の読み出しを行ってもよい。同一の読み出し方法または回路にて信号を読み出すことにより、通常撮影モードと、可視光通信モードとに対して、それぞれ別の回路を用いる必要がなくなり、回路規模を小さくすることが可能となる。
【0283】
図60Eは、光源輝度の最小変化時間tSと、露光時間tEと、各露光ラインの露光開始時刻の時間差tDと、撮像画像との関係を示している。tE+tD<tSとした場合は、必ず一つ以上の露光ラインが露光の開始から終了まで光源が変化しない状態で撮像するため、7503dのように輝度がはっきりとした画像が得られ、光源の輝度変化を認識しやすい。2tE>tSとした場合は、光源の輝度変化とは異なるパターンの輝線が得られる場合があり、撮像画像から光源の輝度変化を認識することが難しくなる。
【0284】
図60Fは、光源輝度の遷移時間tTと、各露光ラインの露光開始時刻の時間差tDとの関係を示している。tTに比べてtDが大きいほど、中間色になる露光ラインが少なくなり、光源輝度の推定が容易になる。tD>tTのとき中間色の露光ラインは連続で2ライン以下になり、望ましい。tTは、光源がLEDの場合は1マイクロ秒以下、光源が有機ELの場合は5マイクロ秒程度となるため、tDを5マイクロ秒以上とすることで、光源輝度の推定を容易にすることができる。
【0285】
図60Gは、光源輝度の高周波ノイズtHTと、露光時間tEとの関係を示している。tHTに比べてtEが大きいほど、撮像画像は高周波ノイズの影響が少なくなり、光源輝度の推定が容易になる。tEがtHTの整数倍のときは高周波ノイズの影響がなくなり、光源輝度の推定が最も容易になる。光源輝度の推定には、tE>tHTであることが望ましい。高周波ノイズの主な原因はスイッチング電源回路に由来し、多くの電灯用のスイッチング電源ではtHTは20マイクロ秒以下であるため、tEを20マイクロ秒以上とすることで、光源輝度の推定を容易に行うことができる。
【0286】
図60Hは、tHTが20マイクロ秒の場合の、露光時間tEと高周波ノイズの大きさとの関係を表すグラフである。tHTは光源によってばらつきがあることを考慮すると、グラフより、tEは、ノイズ量が極大をとるときの値と等しくなる値である、15マイクロ秒以上、または、35マイクロ秒以上、または、54マイクロ秒以上、または、74マイクロ秒以上として定めると効率が良いことが確認できる。高周波ノイズ低減の観点からはtEは大きいほうが望ましいが、前述のとおり、tEが小さいほど中間色部分が発生しづらくなるという点で光源輝度の推定が容易になるという性質もある。そのため、光源輝度の変化の周期が15〜35マイクロ秒のときはtEは15マイクロ秒以上、光源輝度の変化の周期が35〜54マイクロ秒のときはtEは35マイクロ秒以上、光源輝度の変化の周期が54〜74マイクロ秒のときはtEは54マイクロ秒以上、光源輝度の変化の周期が74マイクロ秒以上のときはtEは74マイクロ秒以上として設定すると良い。
【0287】
図60Iは、露光時間tEと認識成功率との関係を示す。露光時間tEは光源の輝度が一定である時間に対して相対的な意味を持つため、光源輝度が変化する周期tSを露光時間tEで割った値(相対露光時間)を横軸としている。グラフより、認識成功率をほぼ100%としたい場合は、相対露光時間を1.2以下にすれば良いことがわかる。例えば、送信信号を1kHzとする場合は露光時間を約0.83ミリ秒以下とすれば良い。同様に、認識成功率を95%以上としたい場合は相対露光時間を1.25以下に、認識成功率を80%以上としたい場合は相対露光時間を1.4以下にすれば良いということがわかる。また、相対露光時間が1.5付近で認識成功率が急激に下がり、1.6でほぼ0%となるため、相対露光時間が1.5を超えないように設定すべきであることがわかる。また、認識率が7507cで0になった後、7507dや、7507e、7507fで、再度上昇していることがわかる。そのため、露光時間を長くして明るい画像を撮像したい場合などは、相対露光時間が1.9から2.2、2.4から2.6、2.8から3.0となる露光時間を利用すれば良い。例えば、
図62の中間モードとして、これらの露光時間を使うと良い。
【0288】
図61のように、撮像装置によっては、露光を行わない時間(ブランキング)が存在することがある。
【0289】
ブランキングが存在する場合には、その時間の発光部の輝度は観察できない。
【0290】
発光部が同じ信号を2回以上繰り返して送信する、または、誤り訂正符号を付加することで、ブランキングによる伝送損失を防ぐことができる。
【0291】
発光部は、同じ信号が常にブランキングの間に送信されることを防ぐために、画像を撮像する周期と互いに素となる周期、または、画像を撮像する周期より短い周期で信号を送信する。
【0292】
(実施の形態7)
図63は、既に説明した実施の形態に記載の受信方法を用いたサービス提供システムを示す図である。
【0293】
まず、サーバex8002を管理する企業A ex8000に対して、他の企業Bや個人ex8001が、携帯端末への情報の配信を依頼する。例えば、サイネージと可視光通信した携帯端末に対して、詳細な広告情報や、クーポン情報、または、地図情報などの配信を依頼する。サーバを管理する企業A ex8000は、任意のID情報に対応させて携帯端末へ配信する情報を管理する。携帯端末ex8003は、可視光通信により被写体ex8004からID情報を取得し、取得したID情報をサーバex8002へ送信する。サーバex8002は、ID情報に対応する情報を携帯端末へ送信するとともに、ID情報に対応する情報を送信した回数をカウントする。サーバを管理する企業A ex8000は、カウントした回数に応じた料金を、依頼した企業Bや個人ex8001に対して課金する。例えば、カウント数が大きい程、課金する額を大きくする。
【0294】
図64は、サービス提供のフローを示すフローチャートである。
【0295】
Step ex8000において、サーバを管理する企業Aが、他企業Bより情報配信の依頼を受ける。次に、Step ex8001において、企業Aが管理するサーバにおいて、配信依頼を受けた情報を、特定のID情報と関連付ける。Step ex8002では、携帯端末が、可視光通信により、被写体から特定のID情報を受信し、企業Aが管理するサーバへ送信する。可視光通信方法の詳細については、他の実施の形態において既に説明しているため省略する。サーバは、携帯端末から送信された特定のID情報に対応する情報を携帯端末に対して送信する。Step ex8003では、サーバにおいて、情報配信した回数をカウントする。最後に、Step ex8004において、情報配信したカウント数に応じた料金を企業Bに対して課金する。このように、カウント数に応じて、課金を行うことにより、情報配信の宣伝効果に応じた適切な料金を企業Bに課金することが可能となる。
【0296】
図65は、他の例におけるサービス提供を示すフローチャートである。
図64と重複するステップについては説明を省略する。
【0297】
Step ex8008において、情報配信の開始から所定時間が経過したか否か判断する。所定時間内と判断されれば、Step ex8011において、企業Bに対しての課金は行わない。一方、所定期間が経過していると判断された場合には、Step ex8009において、情報を配信した回数をカウントする。そして、Step ex8010において、情報配信したカウントに応じた料金を企業Bに対して課金する。このように、所定期間内は無料で情報配信を行うことから、企業Bは宣伝効果などを確認した上で、課金サービスを受けることができる。
【0298】
図66は、他の例におけるサービス提供を示すフローチャートである。
図65と重複するステップについては説明を省略する。
【0299】
Step ex8014において、情報を配信した回数をカウントする。Step ex8015において、情報配信開始から所定期間が経過していないと判断された場合には、Step ex8016において課金は行わない。一方、所定期間が経過していると判断された場合には、Step ex8017において、情報を配信した回数が所定値以上か否か判断を行う。情報を配信した回数が所定値に満たない場合には、カウント数をリセットし、再度、情報を配信した回数をカウントする。この場合、情報を配信した回数が所定値未満だった、所定期間については企業Bに対して課金は行わない。Step ex8017において、カウント数が所定値以上であれば、Step ex8018においてカウント数を一度リセットし、再度カウントを再開する。Step ex8019において、カウント数に応じた料金を企業Bに対して課金する。このように、無料で配信を行った期間内におけるカウント数が少なかった場合に、再度、無料配信の期間を設けることで、企業Bは適切なタイミングで課金サービスを受けることができる。また、企業Aもカウント数が少なかった場合に、情報内容を分析し、例えば、季節と対応しない情報になっているような場合に、情報内容を変更するように企業Bに対し提案することが可能となる。なお、再度、無料の情報配信期間を設ける場合には、初回の所定の期間よりも短い期間としてもよい。初回の所定の期間よりも短くすることにより、企業Aに対する負担を小さくすることができる。また、一定期間を空けて、無料の配信期間を再度設ける構成としてもよい。例えば、季節の影響を受ける情報であれば、季節が変わるまで一定期間を空けて、再度、無料の配信期間を設けることができる。
【0300】
なお、情報の配信回数によらず、データ量に応じて、課金料金を変更するとしてもよい。一定のデータ量の配信は無料として、所定のデータ量以上は、課金する構成としてもよい。また、データ量が大きくなるにつれて、課金料金も大きくしてもよい。また、情報を特定のID情報に対応付けて管理する際に、管理料を課金してもよい。管理料として課金することにより、情報配信を依頼した時点で、料金を決定することが可能となる。
【0301】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記各実施の形態の送信機などを実現するソフトウェアは、次のようなプログラムである。すなわち、このプログラムは、コンピュータに、
図19B、
図23、
図34、
図35、
図40、
図43B、および
図64〜
図66の何れかによって示されるフローチャートの各ステップを実行させる。
【0302】
以上、一つまたは複数の態様に係る送信機などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。