特許第6393314号(P6393314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393314イッテルビウムドープ光ファイバの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393314
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】イッテルビウムドープ光ファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/018 20060101AFI20180910BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C03B37/018 B
   G02B6/02 356A
   G02B6/02 376A
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-511165(P2016-511165)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公表番号】特表2016-524579(P2016-524579A)
(43)【公表日】2016年8月18日
(86)【国際出願番号】IN2014000190
(87)【国際公開番号】WO2014178063
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2017年3月10日
(31)【優先権主張番号】1306/DEL/2013
(32)【優先日】2013年5月3日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】596020691
【氏名又は名称】カウンスィル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【氏名又は名称原語表記】COUNCIL OF SCIENTIFIC & INDUSTRIAL RESEARCH
(73)【特許権者】
【識別番号】515302875
【氏名又は名称】デパートメント オブ エレクトロニクス アンド インフォメーション テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【弁理士】
【氏名又は名称】羽切 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100132458
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 圭代
(72)【発明者】
【氏名】セン、ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】サハ、マイトレイー
【審査官】 増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−238882(JP,A)
【文献】 特開2012−162433(JP,A)
【文献】 特開2007−176791(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0137257(US,A1)
【文献】 特開昭63−260835(JP,A)
【文献】 米国特許第04826288(US,A)
【文献】 特表2010−505268(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0080823(US,A1)
【文献】 特開平09−025135(JP,A)
【文献】 米国特許第05961682(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0217569(US,A1)
【文献】 Maitreyee Saha et al.,Large Core Yb-doped Optical Fiber through Vapor Phase Doping,Proceedings of SPIE - The International Society for Optical Engineering,2013年 5月 3日,Vol. 8775
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 37/00 − 37/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相ドープ技術を使用したイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバの製造方法であって、
(i)MCVD法を用いて、温度1900から1980℃の範囲内で、シリカガラス基体管の内部に純シリカクラッド層を堆積させる工程と、
(ii)AlClおよびYb(thd)を、それぞれの昇華チャンバへ入れ、それぞれ温度100から170℃の範囲内、温度180から260℃の範囲内で昇華させ、Al前駆体とYb前駆体を得る工程と、
(iii)Al前駆体を流量10から50sccmの範囲内で、Yb前駆体を流量100から300sccmの範囲内で、工程(ii)の昇華チャンバに予熱されたヘリウムを供給する工程と、
(iv)工程(iii)で得られたヘリウムとともにAlおよびYb前駆体を、リボンバーナで温度が180−370℃の範囲内に調整された基体管に輸送する工程と、
(v)Oガスを、温度15から40℃の範囲内、流量80から150sccmの範囲内で、SiClバブラ内に通過させ、SiCl−O混合ガスを基体管へ輸送する工程と、
(vi)基体管内でSiCl、O、Al前駆体、Yb前駆体およびヘリウムを混合した後に同時に酸化させ、SiO、AlおよびYbを形成する工程と、
(vii)AlおよびYbを目標濃度に設定したSiO−Al−Ybを含む焼結コア層を堆積させ、堆積管を得る工程と、
(viii)温度1900−2300℃の範囲内で堆積管を破壊させ、加工済プリフォームを得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた加工済プリフォームから、ファイバを延伸し、イッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバを得る工程と、
を含むイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバの製造方法。
【請求項2】
工程(i)において、温度は、1910から1960℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(ii)において、AlClの昇華温度は、120から160℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(ii)において、Yb(thd)の昇華温度は、200から240℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(iv)において、リボンバーナの温度は、200から350℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(vii)において、コア層の数は、1から40の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(vii)において、焼結コア層を堆積させる温度は、1770から1920℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(vii)において、焼結コア層を堆積させる温度は、1820から1880℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(vii)において、焼結コア層は、バーナ移動速度が9から14cm/minの範囲内で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(ix)において、コアガラスのNA(開口数)は、0.06から0.32の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(ix)において、ファイバのAl含有量は、0.5から18モル%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(ix)において、ファイバのYb濃度は、0.2から2.0モル%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(ix)において、ファイバのYb濃度は、0.25から1.25モル%の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(viii)において、破壊温度は、2050−2250℃の範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
加工済プリフォームの長さは、45cmまでである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
製造されたファイバのコア径は、全径125μmのうち、10から50μmの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気相ドーピング技術によるイッテルビウムドープ光ファイバの製造方法に関する。特に、本発明は、気相ドーピング技術によるYb/Alドープ光ファイバの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類(RE)ドープ光ファイバは、光増幅器、ファイバレーザおよびセンサ分野において有望なアプリケーションとして知られている。これらのようなファイバのコアにドープされた希土類元素は、活性媒体として機能する。幅広い波長をカバーするレーザや増幅器を得るために、Er、Nd、Yb、Sm、HoおよびTmのような異なる希土類元素を、添加してもよい。希土類(RE)ドープファイバレーザは、それらが小型であること、優れたビーム品質に優れていること、そして取り扱いやすいことから、大部分のアプリケーションにおいて、ガスレーザまたは固体レーザに取って代わるようになっている。その結果、Industrial Laser Solutionsから発表された報告によると、ファイバレーザの市場成長は約16%も拡大し、2012年には総売上13億5千万ドルに到達した。ファイバレーザ装置は、材料加工(裁断、削正および彫刻)、測距、医療用かつ軍事用アプリケーションといったような様々なアプリケーションに適している。従って、多様な設計、組成および適度な希土類元素濃度を有する希土類ドープ光ファイバの製造には、多くの研究の関心が寄せられている。ファイバの性質の改善およびプロセス再現性の増加が、主な目的となっている。
【0003】
R.J.Mansfield、B.C.McCollum、R.P.Tumminelliらによる米国特許第4,826,288(1989)「Method for fabricating optical fibers having cores with high rare earth content」によると、ファイバのコアに高度希土類イオンを採用するために、気相キレート供給技術を利用したMCVD法(Modified chemical vapor deposition)が開示されている。コア層の堆積は、シリカとともに、Alや、NdまたはYbやErといった希土類酸化物のような屈折率の高いドーパントを用いて行った。AlClおよびRE(thd)は、それぞれAl、REを含有するものとして作用する。AlおよびRE化合物のキャリアガスとしてヘリウムを使用した。希土類ガスの源であるガラス柱は、固体希土類−キレートとともに、高純度SiOまたはAl顆粒のような不活性化合物で満たされている。その柱を、最大200℃の温度で加熱した。Nd(thd)の搬送路の温度は、210℃−225℃の範囲内とした。様々なガス成分が反応部へ最大約250℃で供給された。ガラスコア内における各物質の好ましい濃度としては、Alが2−20重量%、Ndが0.1−4重量%、SiOガラスが残りである。Yb3+およびEr3+イオンの組み合わせにより他のファイバも生成した。RE濃度の合計は、5重量%を超えていた。
【0004】
欠点:− コアのプリフォームにおける希土類含有量が0.1から10重量%あるいはそれ以上であるとしているが、請求項では、0.5重量%のREとしか記載されていない。プリフォームの長さ、縦方向かつ径方向でのドーパント分布については一切言及されていない。
【0005】
Yong−woo Lee、A.N.Guryanov、V.F.Khopin、D.D.Gusovskyらによる米国特許第5,961,682(1999)、“Method of fabricating optical fiber doped with rare earth element using volatile complex”によると、揮発性希土類−キレート化合物にSiClおよびOを反応させた。管の表面を加熱し、水で冷却することで、AlClまたはSiFのガスを吸収させた多孔質コア層を堆積した。Er、DyあるいはYbといった金属イオンの、トリス−シクロペンタジエニルあるいはトリス−イソプロピルシクロペンタジエニル化合物で、構成された揮発性有機金属配位子を、希土類の取り込みに用いた。AlClのバブラ温度が140−150℃の範囲内である場合、有機配位子のバブラ温度を150−300℃の範囲内で変化させた。ファイバ内のOH含有量を減らすため、フロンを使用した。クラッド層とコア層との間の屈折率差を0.025より高くすることができた。
【0006】
C.E.Crossland、Gang Qiらによる米国特許第6,474,106 B1、(2002)“Rare earth and Alumina−doped optical fiber preform process”によると、SiO−GeO−Al−Erの多孔質スートコア層を堆積するために、OVD法を採用した。そして、soot−on−soot法の通りにクラッド層をその上に形成し、マンドレルで穴、円筒状のスートブランクコアをあけるsoot−on−glass法に習って、スートの強固を行った。スートブランクコアをいくつかの工程で、さらに強固にし、焼結してロッドとしての心棒を形成した。最終プリフォーム内に様々な濃度のAlを含有させるためには、ヘリウム/アルゴンの流量を約0.5から0.7slmとし、固体AlClを含む昇華部の温度を、150℃から170℃の範囲内の温度で変化させることが好ましい。Er(FOD)あるいはEr(C303021のようなEr含有前駆体をバブラで、130℃−200℃の範囲内の温度で加熱する。高Al含有プリフォームは、介在物なしと報告された。Er濃度は、各プリフォームで約500ppmだったが、GeOおよびAl濃度は、それぞれ10から20重量%および2から10重量%の範囲内で変化した。
【0007】
春名徹也氏、石川真二氏、樽稔氏、片山哲太郎氏、平信行氏らによる米国特許第2005/0276555 A1(2005)、“ガラス体の製造方法及び光学ガラス体並びに光ファイバ”によると、有機金属化合物を加熱させてガラスパイプへ供給することにより、反応領域上流で有機成分と金属成分とに分解させた。有機部分はそこで凝縮して堆積し、金属部分は酸化してガラス層と共に堆積した。分解は、100℃−1000℃の温度の熱源や光源を用いて熱分解あるいは光分解することにより実施した。強固工程では、脱水のためにClガスを用いて、OH基含有量を減少させた。ガラス体のOH基含有量は10ppmまで減少し、最大1ppmまで減少した。
【0008】
R.P.Tumminelli、B.C.McCollum、E.Snitzerらによる、Journal of light wave Technology、Vol.8、No.11、(1990)pp.1680−1683、“Fabrication of high concentration rare earth doped optical fibers using chelates”によると、単独のAlCl供給路と3つの別々の希土類−キレート源が使用された。希土類−キレートカラムをそれぞれ150から210℃の間の温度で加熱した。キャリアガスとしてヘリウムを予熱し、希土類とAlのカラムに通過させ、加熱された供給システムにより、回転メカニカルシールへ供給した。希土類、Alおよびその他の反応物質は、加熱された供給管内での予備反応を防ぐため、別々にした。反応領域の前に、リボンバーナを全長にわたって設置した。11重量%のYbおよび0.2重量%のErを含むファイバを準備した。1.0重量%のNdを含む他のファイバは、1130nmで10dB/km未満のベース損失であった。高濃度ファイバのベース損失は、80℃、OH濃度が15から20ppmの間において、1064nmで約150dB/kmであった。
【0009】
欠点:− プリフォームの長さ、縦方向かつ径方向でのドーパント分布については一切言及されていない。高濃度ファイバのベース損失とOH濃度は、相当高い。
【0010】
S.D.Jackson、T.Ryan、S.Mossmanらによる、Optics Communications、Vol.216、(2003)pp.401−404、“High power Tm3+−doped silica fibre laser fabricated using chelate delivery deposition”によると、単独のドーパントチャンバは、200℃に加熱されたTm3+およびAl3+キレートの混合物を含んでおり、そのガスは、O、ヘリウムおよび他の前駆体材料の流れにのっている。そして、Clガスを用いて乾燥させた多孔質層を酸化および堆積させた。それから、当該層を通常の方法で焼結して破壊した。ダブルクラッドファイバは、NAが0.19の場合にコア径が〜12μmだった。Tm3+濃度は〜0.35重量%、バックグラウンド損失は1300nmで10dB/km未満だった。
【0011】
欠点:− 濃度レベルは、溶液ドーピング方法で既に達成されたものよりも大幅に低い。キレート加熱システムは最適化されておらず、わずか0.3gmの化学物質しか使用しないバッチ式の方法には限界がある。より低い背景損失が期待されていたが、値は記載されていない。
US2002/0088252によると、希土類ハロゲンを含む光ファイバプリフォームの製造装置および方法について開示されている。
欠点:− 希土類塩化物を含有させることにより、ボート温度およびの輸送ラインの各中心の温度を900℃よりも高く維持する必要がある。
【0012】
E.H.Sekiya、P.Barua、K.Saito、A.J.Ikushimaらによる、Journal of Non−Crystalline solids、Vol.354、(2008)pp.4737−4742、“Fabrication of Yb−doped silica glass through the modification of MCVD process”によると、Yb(DPM)炉の温度を200−250℃の範囲内で変化させ、AlClの温度を130℃に保つよう調整した。SiClおよび他のガス成分の供給路を含む供給路の温度は、ノズル部内の前駆体材料の縮合を防ぐため、Yb炉の温度よりも高く保持した。堆積温度、SiCl流量およびバーナ速度の堆積条件は、それぞれ1950℃、0.6g/minおよび145mm/minに調整した。Ybのみがドープされた流れにおけるYb3+濃度が0.15−1.2重量%の範囲内である一方、YbおよびAlがドープされた流れにおけるYb3+濃度が、Al3+濃度が約0.4重量%のときに、最大で0.7重量%であった。屈折率のばらつきは、縦方向±5%、径方向±10%だった。
【0013】
欠点:− スート層は、シリカ管の長さ550mmにわたって堆積した。しかし、得られたプリフォームにおいて、コア径およびドーパント分布が均一となったのは、長さ300mmのみであった。Yb3+濃度は、従来の方法と比較しても相当低かった。通常のMCVDガスキャビネットから供給されるSiClおよび他のガスは、Yb炉よりも高い温度で送る必要がある。そうしないと、ドーパントが同心状のノズル部内で凝縮してしまう。ドーパント分布のばらつきは、径方向±10%だった。
US2003/0217569によると、低損失光ファイバケーブルおよびプリフォームの製造装置ならびにその製造方法について開示されている。前記方法には、CaClを局部的にドープしたAlClおよびCVD前駆体の提供についても含まれている。
欠点:− 全く異なるガラスシステムが開示されている。焼結温度を下げるためにCaOを追加することが強調されている。さらに、希土類気相搬送プロセスは、多数の同心管を使用する。
【0014】
B.Lenardic、M.Kvederらによる、Optical society of America、OSA/OFC/NFOEC 2009、“Advanced vapor−phase doping method using chelate precursor for fabrication of rare earth−doped fibers”によると、前駆体を100℃−220℃の間の温度で蒸発、揮発させ、高温の回転シールと前駆体ガスをスライドさせる注管とで構成される、加熱された導管により反応領域へ輸送する。MCVDは、バーナの代わりに誘導炉を備えている。異なる2種類の設計の昇華部、バルク型昇華部とフラットベッド型昇華部を使用した。SiClバブラを流れるO流量を、バブラ温度が35℃、キャリッジ移動速度が100mm/minのときに、100から250sccmにセットした。誘導炉から供給される熱量の多さに比例して破壊は早く進行した。ファイバ内のYbキレートとYb最終濃度の蒸発率と、AlCl昇華部の温度とAlClとの蒸発率との関係を評価した。加工された一プリフォームは、Er3+濃度2680ppm、Al3+濃度4900ppm、他のプリフォームにおいては、Yb3+濃度31300ppm、Al3+濃度12000ppmだった。
【0015】
欠点:− スート層は、シリカ管の長さ600mmにわたって堆積した。しかし、プリフォームでの最終的な長さは、約250−350mmであった。基体管へ注管をスライドさせるには、基体管の径をより大きく(30/27または25/22)する必要があった。わずか20のコア層しか堆積することが出来なかった。プリフォームの屈折率分布から、プリフォームは、中心が大きくディップされて、径方向に添加濃度がばらついていることが明らかとなった。
【0016】
J.Sahuらによる、Optical society of America、OSA/CLEO/QELS 2010、“Rare−earth doped optical fiber fabrication using novel gas phase deposition technique”によると、キレート化合物を、蒸着領域近くの非回転管に配置されたMCVD構造により、ルツボ内で直接加熱した。ルツボを800℃まで加熱し、非回転管に不活性ガスを流し、外管の回転部分にSiClや他のドーパントが添加されている間に、発生したガスを反応領域へ輸送した。NAが0.24、ベース損失が〜3dB/kmであり、Alの取り込みが高いレベルであった。ベース損失が30−70dB/kmの範囲内となるようにルツボ温度を調整することにより、Yb3+濃度を9000−20000ppm−wtとすることができた。生成されたファイバのコア径は、20μmだった(ファイバ全径125μm)。
【0017】
欠点:− ヘリウムがルツボを通過する際に、ルツボの上表面に発生したガスも輸送してしまう。従って、希土類−キレート化合物の蒸発率は、露出面積に左右される。2またはそれ以上の希土類化合物を同時に取り込むときに問題となりうる。
【0018】
田中大一郎、和田朗、酒井哲弥、野澤哲郎および山内良三らによる、米国特許第5474588号(1995)、“Solution doping of a silica with erbium, aluminium and phosphorus to form an optical fiber”によると、エルビウムドープシリカの製造方法が示されている。VAD装置を用いてシリカガラススートを堆積させ、多孔質スートプリフォームを形成し、前記プリフォームを、エルビウム化合物とアルミニウム化合物とリン酸エステルとを含むエタノール溶液に含浸し、前記プリフォームを乾燥させ、エルビウムとアルミニウムとリン酸を含むスートプリフォームを形成する。窒素ガスまたは不活性ガス雰囲気下、温度60から70℃で24−240時間乾燥する。この乾燥させたスートプリフォームを、塩素ガスを0.25から0.35%含むヘリウムガスの雰囲気下において、温度950から1050℃で、2.5−3.5時間加熱して脱水し、さらに1400から1600℃で3−5時間加熱して透明化し、エルビウムドープガラスプリフォームを形成する。プリフォーム形成工程におけるAlClの偏析は、リンの存在により抑制され、結果として、Al3+の添加濃度を高く設定する(>3wt%)ことが出来る。径方向及び縦方向におけるエルビウムイオン、アルミニウムイオンおよびリンイオンの添加濃度及び組成比が極めて正確かつ均一であると記載されている。
【0019】
T.Bandyopadhyay、R.Sen、S.K.Bhadra、K.DasguptaおよびM.Ch.Paulらによる米国特許第6,751,990号(2004)、“Process for making rare earth doped optical fiber”によると、GeOコア層およびPコア層を含む未焼結の微粒子層を堆積させ、AlCl/Al(NOのようなドーパントを一定の割合で含む希土類塩のアルコール溶液または水溶液に多孔質スート層を含浸させることによりドーピングする。スートの気孔率、含浸時間、溶液の濃度およびドーパントの割合を調整することにより、コアにおいて所望のRE3+濃度を得て、コアクラッドの界面欠陥を最小限とすることができる。後工程では、乾燥、酸化、脱水、多孔質堆積体を含有する希土類の焼結が行われ、その後、高温度で破壊させることにより、前記プリフォームを形成する。最終的なファイバにおけるRE3+分布は、ポンプビームのガウス分布と一致しており、重なりおよび変換効率が増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述の方法に関する欠点は以下の通りである:
1.従来の方法と比較してドーパント材料の濃度が低いこと。
2.反応領域前で希土類前駆体材料が分解および凝縮すること。
3.プリフォームにおいて縦方向かつ径方向に沿ってドーパント濃度がばらつくこと。
4.有効な堆積領域での損失により、プリフォーム長さが短い。
5.プロセスパラメータが最適化されていない。
【0021】
(本発明の目的)
本発明の主な目的は、上述したような、これまでの従来技術の欠点を取り除く、気相ドープ技術を使用したYbドープ光ファイバの製造方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらに他の目的は、従来の溶液ドーピング処理を用いて、製造が困難であった、大きなコアでYbドープのプリフォーム/ファイバを製造することである。
【0023】
本発明の他の目的は、均質性に優れたコア層を形成する間に、シリカとともにYbおよびAlを同時にドープすることである。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、YbおよびAlを高濃度で含むプリフォーム/ファイバを製造することである。
【0025】
他の目的は、有効なプリフォームの長さを長くし、ファイバの長さを延伸することである。
【0026】
本発明のさらに他の目的は、プリフォーム/ファイバコアの縦方向かつ径方向に沿ったYb濃度の均一性が、これまでの周知の方法よりも優れた方法を提供することである。
【0027】
本発明のさらに他の目的は、Alを高いレベルでドーピングすることに起因するコアクラッドの境界面の問題を取り除く方法を提供することである。
【0028】
本発明のさらに他の目的は、大きなコアでYbドープのプリフォーム/ファイバコアを形成する信頼できるプロセスを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】高温ガス輸送ユニットを備えたOFC−12 MCVDシステムである。
図2】本発明によるYbドープ光ファイバの製造フローチャートである。[課題を解決するための手段]
【0030】
(発明の要約)
従って、本発明は、気相ドープ技術を使用したイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバの製造方法であって、
(i)改良化学蒸着(MCVD)法を用いて、温度1900から1980℃の範囲内で、シリカガラス基体管の内部に純シリカクラッド層を堆積させる工程と、
(ii)アルミニウム(Al)塩およびYbキレートを、それぞれの昇華チャンバへ入れ、それぞれ温度100から170℃の範囲内、温度180から260℃の範囲内で昇華させ、Al前駆体とYb前駆体を得る工程と、
(iii)Al前駆体を流量10から50sccmの範囲内で、Yb前駆体を流量100から300sccmの範囲内で、工程(ii)の昇華チャンバに予熱された不活性キャリアガスを供給する工程と、
(iv)工程(iii)で得られた不活性ガスとともにAlおよびYb前駆体を、リボンバーナで温度が180−370℃の範囲内に調整された基体管に輸送する工程と、
(v)Oガスを、温度15から40℃の範囲内、流量80から150sccmの範囲内で、SiClバブラ内に通過させ、SiCl−O混合ガスを基体管へ輸送する工程と、
(vi)基体管内でSiCl、O、Al前駆体、Yb前駆体および不活性ガスを混合した後に同時に酸化させ、SiO、AlおよびYbを形成する工程と、
(vii)AlおよびYbを目標濃度に設定したSiO−Al−Ybを含む焼結コア層を堆積させ、堆積管を得る工程と、
(viii)温度1900−2300℃の範囲内で堆積管を破壊させ、加工済プリフォームを得る工程と、
(ix)工程(viii)で得られた加工済プリフォームから、ファイバを延伸し、イッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバを得る工程と、
を含むイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバの製造方法である。
【0031】
本発明の態様によれば、4−10の純シリカクラッド層は、基体管内に堆積されている。
【0032】
本発明の他の態様によれば、前記温度は、1910から1960℃の範囲内である。
【0033】
本発明の他の態様によれば、Al塩は、AlClである。
【0034】
本発明の更に他の態様によれば、Al塩の昇華温度は、120から160℃の範囲内である。
【0035】
本発明の更に他の態様によれば、Ybキレートは、Yb(thd)である。
【0036】
本発明の更に他の態様によれば、Ybキレートの昇華温度は、200から240℃の範囲内である。
【0037】
本発明の更に他の態様によれば、不活性キャリアガスは、ヘリウムである。
【0038】
本発明の更に他の態様によれば、リボンバーナの温度は、200から350℃の範囲内である。
【0039】
本発明の更に他の態様によれば、コア層の数は、1から40の範囲内である。
【0040】
本発明の更に他の態様によれば、焼結コア層の堆積温度は、1770から1920℃の範囲内である。
【0041】
本発明の更に他の態様によれば、焼結コア層の堆積温度は、1820から1880℃の範囲内である。
【0042】
本発明の更に他の態様によれば、焼結コア層は、バーナ移動速度が9から14cm/minの範囲内で堆積される。
【0043】
本発明の更に他の態様によれば、コアガラスのNA(開口数)は、0.06から0.32の範囲内である。
【0044】
本発明の更に他の態様によれば、ファイバにおけるAl含有量は、0.5から18モル%の範囲内である。
【0045】
本発明の更に他の態様によれば、ファイバにおけるYb濃度は、0.2から2.0モル%の範囲内である。
【0046】
本発明の更に他の態様によれば、ファイバにおけるYb濃度は、0.25から1.25モル%の範囲内である。
【0047】
本発明の更に他の態様によれば、破壊温度は、2050−2250℃の範囲内である。
【0048】
本発明の更に他の態様によれば、前記加工済プリフォームの長さは、45cmまでである。
【0049】
本発明の更に他の態様によれば、製造されたファイバのコア径は、全径125μmのうち、10から50μmの範囲内である。
【0050】
本発明の更に他の態様によれば、製造されたファイバは、コア−クラッド境界面の問題を最小限に抑え、プリフォーム/ファイバの縦方向かつ径方向に沿って均一なYb分布を示す。
【0051】
本発明の更に他の態様によれば、製造されたファイバの両端のAl濃度のばらつきは、ごく少量である。
【0052】
本発明の更に他の態様によれば、製造されたファイバの両端のYb濃度のばらつきは、1%未満である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
(発明の詳細な説明)
本明細書に開示の発明は、気相ドープ技術を使用したイッテルビウム(Yb)ドープ光ファイバの製造方法を提供するものであって、
(i)シリカガラス基体管の内部に純シリカクラッド層を堆積し、マッチドクラッド型構造を得て、
(ii)無水Al塩およびYbキレートをそれぞれ昇華チャンバで加熱することにより蒸発させ、
(iii)加熱した不活性ガスを供給し、Al塩とYb化合物のガスを前記シリカ基体管内に輸送し、
(iv)OガスをSiClバブラ内に通過させ、SiCl−O混合ガスを前記基体管へ輸送し、
(v)別に輸送されたガス、すなわち、SiCl−O−AlCl−Yb−キレート、および不活性ガスを前記基体管内で混合し、
(vi)供給されたガスを同時に酸化し、対応酸化物、すなわち、SiO、Al、Ybを形成し、
(vii)AlおよびYbを目標濃度に設定したSiO−Al−Ybを含む焼結コア層を適正温度で堆積させ、
(viii)工程における前記管を破壊し、プリフォームを得て、
(ix)前記プリフォームからファイバを延伸する
ことを含む。
【0054】
本発明の新規性は、Yb3+イオンおよびAl3+イオンを縦方向かつ径方向に均一に含む、コアの大きなプリフォーム/ファイバを製造し、かつコア−クラッド境界面の問題を抑制してファイバの光学特性を改善し、レーザ性能を向上させることにある。
【0055】
気相ドーピング技術の場合において、反応領域前でのAlおよびYbキレート化合物の分解および凝縮は、結果的にプリフォームの長さに沿ってドーパント濃度をバラつかせるため、2つの重要な問題点となる。結果として、このプロセスは、未だ商業生産には至っていない。
【0056】
本発明では、前駆体材料を分解および凝縮させることなく、AlおよびYbキレート化合物を反応領域に輸送可能とするために、前記気相ドーピング技術のプロセスパラメータを最適化した。その結果、プリフォームにおいて、その長さおよび径方向に沿って、ドーパント濃度のばらつきを最小限に抑えられ、40以上のコア層を問題なく、再現性良く堆積させることができた。気相でコア層を形成する間に、シリカ存在下にてAlおよびYbを同時に堆積させることで、コア−クラッド境界面の問題を排除し、その結果、ドーパントをシリカ網内に良好に分布させる。
【0057】
本発明の進歩性は:
1.前駆体材料を分解および/または凝縮させることなく、AlおよびYbキレート化合物を、気相にて反応領域前に輸送することにある。
2.コア層の堆積時に、シリカおよび/または他の屈折率を変更するドーパントの存在下で、AlおよびYbを同時に形成および堆積することにある。
3.前駆体材料の分解をごく少量に抑えながら、堆積層を完全に焼結させて、主バーナの温度を最適化することにより、プロセスの再現性を高めることにある。
【0058】
本発明の詳細に係る描写を図1に示す。図中には、主ガスキャビネットが1つと、高温キャビネットが1つある。主ガスキャビネットは、通常のMCVDガス(SiCl、GeCl、He、O)を輸送するために使用し、高温キャビネットは、固体YbおよびAl前駆体材料を気相にて供給するために使用する。そこには3つの異なる輸送ラインがある。1つは、主ガスキャビネットから輸送された通常のMCVDガス用であり、他の2つは、高温キャビネットからAlおよびYb前駆体材料を別々に輸送するためのラインである。高温キャビネットからの輸送ラインは、回転ユニオンを通過する全てのラインと同様に、加熱され、混合ガスおよび蒸気がシリカ管へと入る。シリカ管の入力端にはリボンバーナがあり、Yb前駆体材料を凝縮させることなく流すのに十分な温度を供給するようになっている。しかし、前記温度は、それが分解してしまうほど高温ではない。
【0059】
純シリカ管(タイプ:Heraeus F−300、サイズ:24/28mmまたは17/20mm)を約1800−1900℃で火炎研磨し、前記管の内面の不具合を取り除くことから始める。それから、通常のMCVD技術を用いて、1900−1980℃の範囲内の温度で純SiO焼結層の堆積を行い、マッチドクラッド型構造を形成する。固体状態のAlおよびYbのドーパント前駆体材料を、昇華部にてそれぞれ100−170℃、180−260℃の範囲内の温度で加熱し、それぞれを昇華させ、気相へと変換した。
【0060】
例えばヘリウムなどの予熱された不活性ガスは、流量調整され、Alには10−50sccm、Ybには100−300sccmの流量で、それぞれの昇華部に添加される。AlおよびYb前駆体材料のガスは、200℃以上の高温度に加熱された輸送ライン、高温回転ユニオン(200℃を超える温度)、シリカ管の入力端に設置されたリボンバーナを備えたシステムにより、反応領域へ輸送される。リボンバーナの温度は、ドーパント前駆体材料が主バーナの上流端で分解および/または凝縮しないように調整される。
【0061】
を、80−150sccmの流量に調整し、SiClバブラ(15−40℃の範囲内の温度変化を維持)に添加して、SiCl−O混合ガスを反応領域へ供給する。気相ドープ技術を用いて、シリカの存在下でAlおよびYbを同時に堆積させる。前記主バーナの温度を調節して、反応領域前での希土類化合物の分解を最小限にしつつ、コア層を完全に焼結させる。前記焼結コア層の堆積は、1770−1920℃の範囲内の温度、キャリッジ移動速度9−14cm/minで行う。約1−40のコア層を同時に堆積させ、大きなコアプリフォームを形成する。
【0062】
堆積の完了後、1900−2300℃の間の温度で段階的に前記管を破壊し、最終プリフォームを形成する。ファイバ延伸タワーを用いて、前記プリフォームの両端から、径125±0.2μmのファイバを延伸する。前記ファイバの幾何的特性、開口数(NA)、Yb濃度を測定するとともに、プリフォームの全長におけるドーパント濃度のばらつきを見積もるために、前記ファイバの特性を明らかにする。Yb濃度は、カットバック法により測定される915nmでの吸収ピークから見積もった。ドーパント濃度は、ドーパントの均一性を検査する電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて評価した。
【0063】
本プロセスの異なる工程は以下の通りである:
(i)シリカガラス基体管の内部に純シリカクラッド層を堆積し、マッチドクラッド型構造を得て、
(ii)無水Al塩およびYbキレートをそれぞれ昇華チャンバで加熱することにより蒸発させ、
(iii)加熱した不活性ガスを供給し、Al塩とYb化合物のガスを前記シリカ基体管内に輸送し、
(iv)OガスをSiClバブラ内に通過させ、SiCl−O混合ガスを前記基体管へ輸送し、
(v)別に輸送されたガス、すなわち、SiCl−O−AlCl−Yb−キレート、および不活性ガスを前記基体管内で混合し、
(vi)供給されたガスを同時に酸化し、対応酸化物、すなわち、SiO、Al、Ybを形成し、
(vii)AlおよびYbを目標濃度に設定したSiO−Al−Ybを含む焼結コア層を適正温度で堆積させ、
(viii)工程における前記管を破壊し、プリフォームを得て、
(ix)前記プリフォームからファイバを延伸する
【0064】
本発明の進歩性は、コア層の形成時に、SiOとともに、YbおよびAlを同時に取り込むことにある。これにより、シリカ網内にドーパントを簡易に取り込むことが可能となる。本プロセスは、希土類クラスターの形成を抑え、良好な均質性を提供する。本方法は、公知技術と比較し、縦方向かつ径方向に沿った希土類の均一性がよりよく、より大きなコアプリフォームを製造することが可能であり、また、コア−クラッド境界面を星状の不具合を発生させることなく滑らかにすることが可能である。ファイバの屈折率分布において、中心はディップされていなかった。製造されたプリフォーム/ファイバは、Alを約0.5モル%から18モル%、Ybを約0.1モル%から2.0モル%含む。
【0065】
従って、本発明は、所定NAであって大きなコアのYbドーププリフォームを形成し、単一モードまたはマルチモード構造の設計を可能とする。
【実施例】
【0066】
以下に示す実施例は実例を示すものであり、従って、これらにより本発明の範囲は限定されるべきものではない。
【0067】
(実施例1)
MCVD法を用いて、高品位シリカ管の内部に焼結シリカクラッド層を1940℃で堆積させた。
【0068】
SiO−Al−Ybを含む焼結コア層の堆積(MCVD法)は、以下のパラメータを維持することにより行った:
SiClバブラ温度:25℃
SiClバブラの酸素流量:120sccm
AlCl昇華部の温度:140℃
AlCl昇華部のヘリウム流量:20sccm
Yb(thd)昇華部の温度:220℃
Yb(thd)昇華部のヘリウム流量:200sccm
堆積温度:1845℃
キャリッジトラバース速度:12.5cm/min
リボンバーナ温度:280℃
【0069】
破壊は、段階的に(4つの前破壊工程を2060、2130、2175および2210℃の温度、後破壊を2260℃)行い、最終プリフォームを得た。
【0070】
加工済プリフォーム(長さ400mm)から、以下の仕様を備えるファイバを延伸した。
コア径:全径125μmのうち、12.0μm
NA:0.12
Yb濃度:0.32モル%
Al濃度:2.6モル%
ファイバ両端のYb濃度のばらつき:0.8%
【0071】
(実施例2)
MCVD法を用いて、高品位シリカ管の内部に焼結シリカクラッド層を1930℃で堆積させた。
【0072】
SiO−Al−Ybを含む焼結コア層の堆積(MCVD法)は、以下のパラメータを維持することにより行った:
SiClバブラ温度:30℃
SiClバブラの酸素流量:90sccm
AlCl昇華部の温度:160℃
AlCl昇華部のヘリウム流量:25sccm
Yb(thd)昇華部の温度:230℃
Yb(thd)昇華部のヘリウム流量:140sccm
堆積温度:1830℃
キャリッジトラバース速度:12.0cm/min
リボンバーナ温度:295℃
【0073】
破壊は、段階的に(5つの前破壊工程を2045、2090、2125、2160および2190℃の温度、後破壊を2230℃)に行い、最終プリフォームを得た。
【0074】
加工済プリフォーム(長さ350mm)から、以下の仕様を備えるファイバを延伸した。
コア径:全径125μmのうち、20.0μm
NA:0.20
Yb濃度:0.22モル%
Al濃度:7.7モル%
【0075】
(実施例3)
MCVD法を用いて、高品位シリカ管の内部に焼結シリカクラッド層を1945℃で堆積させた。
【0076】
SiO−Al−Ybを含む焼結コア層の堆積(MCVD法)は、以下のパラメータを維持することにより行った:
SiClバブラ温度:20℃
SiClバブラの酸素流量:80sccm
AlCl昇華部の温度:130℃
AlCl昇華部のヘリウム流量:38sccm
Yb(thd)昇華部の温度:240℃
Yb(thd)昇華部のヘリウム流量:270sccm
堆積温度:1860℃
キャリッジトラバース速度:11.5cm/min
リボンバーナ温度:210℃
【0077】
破壊は、段階的に(3つの前破壊工程を2110、2170および2210℃の温度、後破壊を2255℃)に行い、最終プリフォームを得た。
【0078】
加工済プリフォーム(長さ370mm)から、以下の仕様を備えるファイバを延伸した。
コア径:全径125μmのうち、9.5μm
NA:0.14
Yb濃度:0.85モル%
Al濃度:3.8モル%
【0079】
(実施例4)
MCVD法を用いて、高品位シリカ管の内部に焼結シリカクラッド層を1950℃で堆積させた。
【0080】
SiO−Al−Ybを含む焼結コア層の堆積(MCVD法)は、以下のパラメータを維持することにより行った:
SiClバブラ温度:25℃
SiClバブラの酸素流量:130sccm
AlCl昇華部の温度:148℃
AlCl昇華部のヘリウム流量:12sccm
Yb(thd)昇華部の温度:200℃
Yb(thd)昇華部のヘリウム流量:160sccm
堆積温度:1890℃
キャリッジトラバース速度:10.5cm/min
リボンバーナ温度:330℃
【0081】
破壊は、段階的に(5つの前破壊工程を1980、2040、2090、2150および2210℃の温度、後破壊を2260℃)に行い、最終プリフォームを得た。
【0082】
加工済プリフォーム(長さ420mm)から、以下の仕様を備えるファイバを延伸した。
コア径:全径125μmのうち、40.0μm
NA:0.11
Yb濃度:0.08モル%
Al濃度:2.3モル%
ファイバ両端のYb濃度のばらつき:1.7%
【0083】
(本発明の利点)
本発明の主な利点は:
1.本来の位置で希土類を取り込ませることから、プリフォームの形成中におけるあらゆる機械的変化に係る問題がない。
2.従来技術と比較し、有効なドーパント量が多い。
3.他の従来の製造方法と比較し、希土類のクラスタリング問題が極めて少ない。
4.シリカ網内に高濃度のAlをドープする際に生じる星状の欠陥を発生させることなく、コア−クラッド境界面を滑らかにするプロセスを提供する。
5.プリフォーム段階で大きなコア径の製造を可能にした。
6.ファイバのコアにおいて縦方向かつ径方向に沿って均一なドーパント分布を可能にした。
7.従来技術と比較し、より長いプリフォームを可能にした。
8.他の従来のMCVD法と比較し、プロセス再現性が極めて高い。
図1
図2