特許第6393316号(P6393316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393316シール構造を有する電気スイッチ要素のための構成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393316
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】シール構造を有する電気スイッチ要素のための構成
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/00 20060101AFI20180910BHJP
   F16J 15/04 20060101ALI20180910BHJP
   H01H 50/30 20060101ALI20180910BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01H50/00 F
   F16J15/04 Z
   H01H50/30 B
   H01H50/54 B
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-516140(P2016-516140)
(86)(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公表番号】特表2016-520977(P2016-520977A)
(43)【公表日】2016年7月14日
(86)【国際出願番号】EP2014061011
(87)【国際公開番号】WO2014191444
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2017年2月14日
(31)【優先権主張番号】102013210194.5
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヘーネル
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ケッター
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン マランケ
(72)【発明者】
【氏名】レネ ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ティートゥス ツィーグラー
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−308152(JP,A)
【文献】 実開昭51−162978(JP,U)
【文献】 実開昭52−113053(JP,U)
【文献】 米国特許第5973581(US,A)
【文献】 特開2011−198513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/28
H01H 9/04
H01H 13/06
H01H 50/00−50/04
H01H 50/30
H01H 50/54
H01H 71/58
F16J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気スイッチ要素(1)のための構成であって、
前記電気スイッチ要素(1)は、
閉鎖および/または開放可能な複数のコンタクト(5)を受容するためのスイッチチャンバ(3)と、
前記コンタクト(5)を開放または閉鎖するために前記スイッチチャンバ(3)の開口部(11)を通って突出する少なくとも1つの可動推進要素(13)と、
前記推進要素(13)を囲み、前記スイッチチャンバ(3)で生成されるプラズマおよびプラズマの周囲の空気を前記スイッチチャンバ(3)内に封止するシール構造(15)とを備えており、
前記シール構造(15)によって少なくとも前記推進要素(13)の端部位置(E)において前記開口部(11)が封止され、
前記シール構造(15)が、前記開口部(11)を囲む環状隆起部(23)と、前記推進要素(13)上に位置し、前記推進要素(13)の前記端部位置(E)において前記環状隆起部(23)に当接する環状フランジ(25)と、を有し
前記開口部(11)の周りに延在する前記シール構造(15)の固定部分(21)が、前記スイッチチャンバ(3)の壁に設けられ、
前記環状隆起部(23)は、前記シール構造(15)の前記固定部分(21)の一部であり、前記スイッチチャンバ(3)の中に突出する、
ことを特徴とする、電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項2】
前記開口部(11)を有する壁区域(24)が、前記スイッチチャンバ(3)よりも後方に位置していることを特徴とする、請求項1に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項3】
前記環状フランジ(25)が、前記推進要素(13)と一体のものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項4】
前記環状フランジ(25)が、前記開口部(11)に面していない側で前記コンタクト(5)と機能的に結合されることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項5】
前記端部位置(E)への移行中の前記推進要素(13)の運動エネルギーを吸収するための、前記開口部(11)における前記スイッチチャンバ(3)に面していない側にある減衰構造(39)によって特徴付けられる、請求項1からのいずれか1項に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項6】
前記環状隆起部(23)が、少なくとも部分的に弾性材料で製作され、かつ、前記減衰構造(39)の一部であることを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項7】
前記減衰構造(39)が、前記スイッチチャンバ(3)から弾性的に偏向可能な壁区域(45)を有することを特徴とする、請求項またはに記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項8】
前記弾性的に撓み可能な壁区域(45)が、前記開口部(11)の周りに、前記壁の残りの部分と比較して低減された壁厚さを有する環状領域(49)を有することを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチ要素(1)のための構成。
【請求項9】
前記減衰構造(39)が、前記弾性的に撓み可能な壁区域(45)と前記スイッチチャンバ(3)に隣接する前記電気スイッチ要素(1)の要素(35)との間に、前記弾性的に撓み可能な壁区域(45)の移動のための移動空間(43)を有することを特徴とする、請求項またはに記載の電気スイッチ要素(1)。
【請求項10】
前記減衰構造(39)が、前記移動空間(43)内に前記推進要素(13)が貫通する環状の二次封止要素(51)を有することを特徴とする、請求項に記載の電気スイッチ要素(1)。
【請求項11】
前記二次封止要素(51)が、前記開口部(11)の平面(27)に対して垂直に移動可能であり、かつ、
前記二次封止要素(51)が、少なくとも前記推進要素(13)の前記端部位置(E)への移行中に前記移動空間(43)における前記スイッチチャンバ(3)に対向する内側面(60)に当接することを特徴とする、請求項10に記載の電気スイッチ要素(1)。
【請求項12】
前記二次封止要素(51)が、前記移動空間(43)内に圧入され、前記移動空間(43)内に強制的に保持される弾性的変形可能な圧入要素(61)として構成されることを特徴とする、請求項10に記載の電気スイッチ要素(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気スイッチ要素のための構成に関する。この電気スイッチ要素は、閉鎖および/または開放可能なコンタクトを受容するためのスイッチチャンバと、コンタクトを開放または閉鎖するためにスイッチチャンバの開口部を通って突出する少なくとも1つの可動推進要素(movable propulsion element)と、推進要素を囲むシール構造とを備えている。このシール構造によって少なくとも推進要素の端部位置において開口部が封止され、シール構造が、開口部を囲む環状隆起部(annular bulge)および推進要素上の環状フランジを有する。
【背景技術】
【0002】
リレーまたは接触器などの電気スイッチ要素は、電気工学において長く使用されている標準的な構成要素である。コンタクトが開放されると、特に高い電流強度においては、コンタクト間にアークが頻繁に形成される。アークの形成には問題がある。なぜなら、一方では、アークが伝送路であり、アークが存在する限りは電気回路が切断されないからであり、また他方では、アークの高温のプラズマが、スイッチチャンバの内側および外側の両方において、電気スイッチ要素の構成要素を損傷する場合があるからである。この結果、回路要素の有用寿命が低減されることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は、いかなるアークの排除も容易にし、かつ製造コストを上げることなく回路要素の有用寿命を延ばす、電気スイッチ要素のための構成を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、前述の電気スイッチ要素のための構成に関するこの目的を、推進要素がその端部位置にあるときに、環状フランジを環状隆起部に当接させることによって達成する。
【0005】
推進要素は、コンタクトの開放が完了したときに、端部位置に到達する。本発明の解決策は、コンタクトを分離した後で、シール構造がスイッチチャンバ開口部を効果的に封止するという利点を有する。このことにより、アークがスイッチチャンバ内で生成するいかなるプラズマも、スイッチチャンバ内に維持される。このことにより、スイッチチャンバの外側にある電気スイッチ要素の構成要素に対する損傷が、防止される。プラズマおよびプラズマを囲む高温の気体は、スイッチチャンバの容積に限定されるので、アークの形成の後すぐに、増大した圧力がスイッチチャンバ内で蓄積し、アークの排除を効果的に促進する。このことにより、電流の流れが切断され、スイッチチャンバの内側の構成要素に対する何らかの有害な効果が低減される。
【0006】
本発明の解決策を、各々がそれ自体有利であり、望むように互いに組み合わせることのできる、様々な実施形態によってさらに改善することができる。これらの実施形態および関連する利点について、以下で検討する。
【0007】
第1の有利な実施形態によれば、シール構造の固定部分が、開口部の周りに延在し得る。固定部分を、特に開口部を囲む壁の一部として形成することができる。固定部分は、シール構造の別の部分の対応部分として機能し得る。
【0008】
シール構造を受容するためにスイッチチャンバの全体サイズを大きくすることなく、シール構造の要素を空間に関して経済的に配置するために、開口部を有する壁区域を、スイッチチャンバよりも後方に配置することができる。
【0009】
環状隆起部は特に、シール構造の固定部分の一部とすることができる。環状隆起部がこれを囲むスイッチチャンバ壁と同じ材料で製作される場合、この環状隆起部は、開口部の周りの領域における壁を補強する役割を果たす。
【0010】
特にコンパクトなスイッチチャンバを得るために、環状隆起部は、スイッチチャンバの中に突出することができる。
【0011】
特別に効果的な封止を得るために、環状フランジは、推進要素の残りの部分に対して、開口部の平面と平行に突出することができる。
【0012】
特別にコンパクトなスイッチチャンバの構造のために、開口部を囲む壁の区域を、環状フランジの厚さに等しい距離だけ、スイッチチャンバよりも後方に位置させることができる。
【0013】
良好な封止を保証するため、環状フランジは、端部部分において開口部と完全に重なり合うことができ、こうしてこれを完全に閉じる。
【0014】
封止フランジが環状隆起部に当接する場合、互いに接触している環状フランジの表面および環状隆起部の表面は、封止表面を形成する。
【0015】
特別に安定的で同時に製造が単純な封止構成を得るために、環状フランジを、推進要素と一体のものとすることができる。
【0016】
環状フランジを開口部に面していない側でコンタクトと機能的に結合することによって、特にコンパクトで構造の単純な回路要素を得ることができる。環状フランジの開口部に面していない側は、回路要素の引張ばねのための支持表面として、特に形成することができる。引張ばねを使用して、コンタクトブリッジに付勢することができる。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、開口部のスイッチチャンバに面していない側に、推進要素の端部位置への移行中の運動エネルギーを吸収するために減衰構造を設けることができる。推進要素が高速で動作しているとき、減衰構造により、材料に対する応力の低減、およびスイッチング要素の何らかの切り替えノイズの大きさの低減の、両方が可能となる。
【0018】
環状隆起部を少なくとも部分的に弾性材料から製造し、これをシール構造の一部とすることによって、特に構造が単純でコンパクトなシール構造を得ることができる。
【0019】
環状隆起部を弾性材料から製造し、同時に安定的なスイッチチャンバを得るために、少なくとも壁を囲むスイッチチャンバの壁および環状隆起部を、多成分射出成形によって製造することができる。この場合、環状隆起部を、スイッチチャンバ壁の残りの部分よりも弾性の高い材料で製作することができる。
【0020】
スイッチチャンバ壁の少なくとも一部を弾性材料から製造することによって、特に製造が単純なスイッチチャンバを得ることができる。
【0021】
特に良好な減衰を得るために、減衰構造は、スイッチチャンバから弾性的に偏向することのできる壁区域を備えることができる。
【0022】
この弾性的に撓み可能な壁区域は、壁の残りの部分と比較して壁の強度が低減された環状領域を有し得る。このことにより、弾性的に撓み可能な壁区域の弾性を高めることができる。
【0023】
追加の有利な実施形態によれば、減衰構造は、弾性的に撓み可能な壁区域と、電気スイッチ要素のスイッチチャンバに隣接する要素との間の、弾性的に撓み可能な壁区域の移動のための空間を有し得る。開口部の平面と平行な間隙として特に構成され得るこの移動空間は、電気スイッチ要素がコンパクトである場合に電気スイッチ要素の別の要素がスイッチチャンバに接続されるように、弾性的に撓み可能な壁区域の移動を可能にする。
【0024】
封止および減衰を同時に改善するために、減衰構造は、移動空間内に、推進要素が貫通する環状の二次封止要素を有し得る。
【0025】
スイッチチャンバ開口部の素早い封止は、二次封止要素を開口部の平面と水平に移動可能とすること、およびこれを、少なくとも推進要素の端部位置への移行中、移動空間のスイッチチャンバに対向する内側面に当接させることによって得られる。二次封止要素はその場合、減衰構造の一部であり、かつ、シール構造の一部でもある。推進要素がその端部位置に到達する前に、二次封止要素を、スイッチチャンバの内側の正圧によって、移動空間のスイッチチャンバに対向する内側面上に押圧することができる。
【0026】
別の有利な実施形態によれば、二次封止要素を、移動空間内に圧力嵌めされる圧入要素として構成することができる。
【0027】
圧入要素は一方で、これが移動空間の中に押し込まれ推進要素を耐密に囲む際に、封止をもたらす役割を果たし、こうして推進要素のあらゆる位置においてスイッチチャンバ開口部を封止する。圧入要素は、弾性変形可能な材料で製作される場合、減衰をもたらす役割も果たす。これは、弾性的に撓み可能な壁区域が弾性変形可能な圧入要素に直接当接し、この弾性的に撓み可能な壁区域が移動空間の方向に偏向するときに、その移動が圧入要素によって吸収されるからである。
【0028】
圧入要素に推進要素のための案内部を形成させることによって、特に信頼性の高い電気スイッチ要素を得ることができる。
【0029】
本発明について、様々な実施形態および関連する図面を参照して、例示により以下でより詳細に説明する。実施形態において例示により示される特徴の組合せを、上記に基づいて、本発明の構造の特定の用途のために要求される特性に対応するさらなる特徴を含むように、拡張することができる。上記に基づいて、当該特徴の効果が特定の用途において重要でない場合、記載される実施形態の個々の特徴を省略することもできる。
【0030】
図面において、同じ機能および/または構造を有する要素は、常に同じ参照番号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】有利な実施形態による電気スイッチ要素の一部の概略断面図である。
図2図1に示す実施形態によるシール構造の断面図である。
図3】別の有利な実施形態によるシール構造の断面図である。
図4】別の有利な実施形態によるシール構造の断面図である。
図5】別の有利な実施形態によるシール構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明による電気スイッチ要素1の構成の実施形態の一部を、断面図で示す。電気スイッチ要素1のための構成は、スイッチチャンバ3を備える。スイッチチャンバ3は、複数のコンタクト5を含む。示されたコンタクト構成7は、2つのコンタクト5を接続するためのコンタクトブリッジの形態で構成されるが、開放および/または閉鎖可能なコンタクト5の例として意図されているにすぎない。
【0033】
開口部11は、スイッチチャンバ3の壁9にある。推進要素13は、開口部11を通ってスイッチチャンバ3の中に突出する。推進要素13は、コンタクト5と機能的に結合される。図1では、推進要素13は、その端部位置Eにある。推進要素13は、シール構造15によって囲まれる。推進要素13の端部位置Eにおいて、開口部11はシール構造15によって封止される。スイッチチャンバ3の内側17は、端部位置Eにおいてスイッチチャンバの外側の領域19から分離される。
【0034】
シール構造15は、固定部分21を有する。固定部分21は、開口部11の周りに環状に延在し、壁9の一部である。開口部11を含む壁区域24は、固定部分21も含み、スイッチチャンバ3よりも後方に配置される。固定部分21は、環状隆起部23として形成される。環体23は、この例示の実施形態では、壁9を厚くするように形成される。ただし、環体23を、壁9に当接する追加の要素によって形成することもできる。環体23は、スイッチチャンバの中に突出する。
【0035】
シール構造15は、推進要素13上に環状フランジ25を有する。このフランジ25は、推進要素13の残りの部分に対して、開口部11の平面27と平行に突出する。
【0036】
シール構造15の構造および機能について、図2にさらに記載する。
【0037】
図2は、図1に示した本発明によるシール構造15の、拡大断面図を示す。
【0038】
開口部11を有する区域24は、ほぼフランジ25の厚さ29だけ、スイッチチャンバ3よりも後方に配置される。したがって、距離31は、フランジ25の厚さ29に大まかに対応する。環状フランジ25は、端部位置Eにおいて環状隆起部23に当接し、開口部11と完全に重なり合う。このことにより、スイッチチャンバ3が完全に封止される。フランジ25における固定部分21に面する側は、封止表面33を形成し、環体23におけるフランジ25に面する側は、封止表面33’を形成する。端部位置Eにおいて、封止表面33および封止表面33’は互いに当接し、こうしてスイッチチャンバ3を封止する。
【0039】
推進要素が、コンタクト5が閉鎖されるある切り替え位置(図示せず)から、開放方向Oに沿って端部位置Eへと移動する場合、環状隆起部23は、フランジ25のための停止部としての役割を果たすことができ、こうして推進要素13の端部位置Eを規定する。フランジ25が環体23と衝突するときの壁区域24の材料に対する応力を低減するために、回路要素1におけるスイッチチャンバ3に隣接する要素35は、スイッチチャンバ3上の区域24の外側面37に当接し得る。隣接する要素35はこうして、推進要素23の運動エネルギーの一部を吸収することができる。
【0040】
回路要素1は、減衰構造39を有し得る。特に製造が単純な実施形態では、環体23は、減衰構造39の一部である。この目的のために、環体23を、柔軟な材料または弾性材料で製作してもよく、または壁区域24を、弾性材料で製作してもよい。
【0041】
変形例(図示せず)では、フランジ25は、回路要素1のばね要素41に直接当接し得る。フランジ25における壁9に面していない側を、これがばね要素41を直接支持できるように構成することができる。特に、環状フランジ25は、ばね要素41よりも大きい直径を有し得る。
【0042】
図3は、本発明による電気スイッチ要素1のシール構造の、別の実施形態を示す。
【0043】
スイッチチャンバ3に隣接する要素35は、スイッチチャンバ3よりも後方に部分的に配置され、この結果、壁区域24と隣接する要素35との間に、移動空間43が形成される。移動空間43は、推進要素13の周りに環状に延びる。壁9のスイッチチャンバ3は、弾性的に撓み可能な壁区域45を有する。壁区域45は、開口部11を有する壁区域24の一部か、またはこれと同一とすることができる。弾性的に撓み可能な壁区域45は、移動空間43の中に弾性的に偏向することができる。壁区域45はこうして、推進要素13の移動をその静止位置において吸収する役割を果たす。移動空間43および壁区域45は、シール構造39の一部である。壁区域45は、その弾性を高めるために、壁9の残りの部分よりも大きい壁厚さを有する環状領域49を有し得る。
【0044】
隣接する要素35は、スイッチチャンバ3から離れる方向において、移動空間43の境界を定める。隣接する要素35を、たとえば、推進システム(図示せず)の一部で製作することができる。隣接する要素35を、たとえば、推進要素13を囲むコイルコアの一部とすることができる。壁9は、隣接する要素35に面する側で、開口部の周りに環状に延びることのできる受容溝47を有し得る。溝47は、隣接する要素35を固定し位置合わせする役割を果たす。溝47は、壁9の残りの部分と比較して低減された壁厚さを有する、環状空間49を形成し得る。
【0045】
図4は、本発明による電気スイッチ要素1の別の実施形態の一部を示す。図4は、推進要素13がその端部位置Eの外側にある状態を示す。
【0046】
移動空間43は、環状の二次封止要素51を含む。二次封止要素51を、推進要素13が貫通している。二次封止要素51の内径53は、開口部11の内径55よりも小さい。二次封止要素51を、推進要素13を耐密に囲むように構成することができる。
【0047】
二次封止要素51は、推進要素13の開放方向Oと平行な方向における移動空間の幅59よりも小さい厚さ57を有し得る。二次封止要素51は、推進要素13と固定するように接続されず、移動空間43内で開放方向Oと平行に移動することができる。二次封止要素51は、シール構造15の一部であり、かつ、減衰構造39の一部でもある。
【0048】
二次封止要素51の機能について、以下で記載する。推進要素13が切り替え位置(図示せず)にある場合、二次封止要素51の位置は移動空間43内で規定されていない。コンタクトが開放され、スイッチチャンバ3内でアーク(図示せず)が形成される場合、スイッチチャンバ3内のアークにより加熱された気体は、開口部11を介してスイッチチャンバ3から出ようとする。開口部11を通る気体の移動により、二次封止要素51を、移動空間における開口部11に対向する内側面60上に押圧することができる。二次封止要素51は次いで、内側面60に当接する。二次封止要素51が推進要素13を囲むので、移動空間43は、またしたがってスイッチチャンバ3の内側17も、スイッチチャンバ3の外側の領域19から遮断される。
【0049】
二次封止要素51は、推進要素13がその端部位置Eに到達する前に、スイッチチャンバ3を予め封止する。推進要素13が開放方向Oに高速で移動する場合、フランジ25は固定部分21と衝突することになる。このことにより、弾性的に撓み可能な壁区域45は、移動空間43の中に移動し、二次封止要素51に当たることができる。二次封止要素51は、弾性材料で製作され、壁区域45の動きを効果的に吸収することができる。推進要素13がその端部位置E(図示せず)に到達している場合、内側面60に当接する二次封止要素51によって提供される封止に加えて、スイッチチャンバ3は、環状フランジ25が固定部分21に当接することにより、追加的に閉鎖され封止される。
【0050】
図5は、本発明による回路要素1の別の実施形態の一部を示す。二次封止要素51は、圧入要素として形成される。
【0051】
圧入要素61の厚さ63は、少なくとも移動空間43の幅59に対応する。圧入要素61の厚さ63が空間43の幅59よりも大きい場合、圧入要素61は、壁区域45によって及ぼされる圧力によって空間43の中に圧入され、壁区域24の外側面37および開口部11に対向する内側面60の両方に当接する。
【0052】
圧入要素61は推進要素13を耐密に囲むので、この圧入要素61は、スイッチチャンバ3を推進要素13のあらゆる位置においてスイッチチャンバ3の外側の領域19から封止して切り離す、永続的な封止である。圧入要素61はこの場合、シール構造15の一部である。圧入要素61自体が弾性変形可能な材料で製作される場合、この圧入要素61は、弾性的に撓み可能な壁区域45の空間43の中への移動を効果的に吸収するので、減衰構造39の一部としての役割を追加的に果たす。壁区域45は、圧入要素61に直接当接する。
【0053】
圧入要素61は、空間43内に強制的に保持されるので、推進要素13のための追加の案内部を形成することができる。このことにより、電気スイッチ要素1の信頼性を高めることができる。圧入要素61を、たとえばその寸法または材料特性により、力を大きくしたときに開放方向Oに対して垂直にのみ移動可能となるように装備することができる。特に、圧入要素61は、組み立てられた電気スイッチ要素1の最初の動作時に、製造および/または組立における不精確さが補償されるように、すなわち、推進要素13が移動するときに、圧入要素61が最初に、移動空間内で開放方向Oに対して垂直に特定の距離だけ移動してから、電気スイッチ要素の追加の要素によって指定され得る位置に推進要素13が配置されることによって、補償されるように構成することができる。
したがって、圧入要素61が開放方向Oに対して垂直に移動可動であることにより、推進要素が、電気スイッチ要素1のさらなる動作中に、開放方向Oにおよびその反対方向に、緊張なく移動できることが保証される。
【符号の説明】
【0054】
1 電気スイッチ要素
3 スイッチチャンバ
5 コンタクト
7 コンタクト構成
9 壁
11 開口部
13 推進要素
15 シール構造
17 内側
19 スイッチチャンバの外側の領域
21 固定部分
23 環状隆起部
24 壁区域
25 環状フランジ
27 開口部の平面
29 環状フランジの厚さ
31 変位
33、33’ 封止表面
35 隣接する要素
37 外側面
39 減衰構造
41 ばね要素
43 移動空間
45 撓み可能な壁区域
47 受容溝
49 環状領域
51 二次封止要素
53 封止要素の内径
55 開口部の内径
57 封止要素の厚さ
59 移動空間の幅
61 圧入要素
60 内側面
63 圧入要素の厚さ
E 端部位置
O 開放方向
図1
図2
図3
図4
図5