(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄熱材は、一般にラミネートフィルム又は樹脂製の容器に封入された状態で使用される。しかし、ラミネートフィルムは、強度が劣り、施工時の取り扱いによっては破損して、内部の蓄熱材が流出してしまい、新たなラミネートフィルム入り蓄熱材に交換する必要がある。また、樹脂性の容器の場合は、容器自体に厚みがあるため、封入できる蓄熱材の量が少なくなってしまうという問題がある。
【0006】
蓄熱材には、その蓄熱形態によって、蓄熱材の相変化を伴う潜熱蓄熱と、相変化を伴わない顕熱蓄熱とがある。潜熱蓄熱の場合は、その蓄熱量が、使用する物質の相変化温度を挟んだ温度範囲で最大となるため、潜熱蓄熱材を選択する際には、室温の利用温度範囲に相当する蓄熱材を選択する必要がある。また、潜熱蓄熱材は相対的にコストが高い。
【0007】
これに対し、顕熱蓄熱の場合は、蓄熱可能温度範囲が連続で且つ広く、どの温度範囲でも、投入エネルギー又は放熱エネルギーと顕熱蓄熱材の温度変化の幅とが比例しているため、顕熱蓄熱材を広い温度範囲で使用することができる。その上、顕熱蓄熱材は相対的に低コストである。
【0008】
しかしながら、顕熱蓄熱材で大きな熱量を蓄えるには、当該蓄熱材の容積(質量)を大きくするか、温度変動の大きい空間及び部位で使用する必要がある。
【0009】
このように、潜熱蓄熱材と顕熱蓄熱材とは、それぞれ利点と欠点とが内在している。
【0010】
本発明は、前記従来の問題を解決し、中庸のコストで且つ施工可能な容積を持つ蓄熱構造体を得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、下地材上に互いに間隔をあけて配置された複数の小根太を有する床構造、天井構造、または壁構造に施工するための蓄熱構造体であって、下地材上に配置され、
剛性を有するゴム、塩化ビニル、ポレオレフィンのいずれか1種で構成された顕熱蓄熱体からな
りかつ厚みが3mmから24mmとなる略板状の蓄熱マットと、蓄熱マットの上に保持された状態で一体に形成され、潜熱蓄熱剤を容器の封入部内に封入した蓄熱パックと、を備え
、蓄熱マットは、蓄熱パックよりも大き
い平面視で矩形状に形成されかつ該蓄熱パックの周縁部外側に該蓄熱パックが位置しない部分を含むように下地材に沿った方向に連続して延びており、蓄熱パックは、蓄熱構造体が下地材上に施工された状態で、該蓄熱パックの側面と前記小根太の側面との間に間隙が設けられるように蓄熱マットの上に保持された状態で一体に形成されている構成とする。
【0012】
これによれば、顕熱蓄熱体と潜熱蓄熱体とを一体化して、相手の欠点を互いに打ち消し合うことにより、互いの利点を活かすことができる。上述したように、例えば、潜熱蓄熱材は小容量で大きい蓄熱量を得られるという利点がある一方、高価で適用温度帯に制限があるという欠点を内在する。また、顕熱蓄熱材は、廉価であるという利点がある一方、大容積(質量)を必要とするという欠点を内在している。これらの蓄熱剤の双方の特性を活かし、中庸なコスト及び容積で、住宅及び建築物の室内の温度変化を緩和させるのに必要な蓄熱性を有する蓄熱構造体を得ることができる。
【0013】
また、顕熱蓄熱体は、ある程度の剛性を有することにより、潜熱蓄熱体と一体化された蓄熱構造体の施工が容易となり、また、床構造に用いる場合には、通常、床下地の上に設けられる小根太の機能を兼ねることもできるので、部材の点数を削減することも可能となる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、容器における封入部の少なくとも対向する2辺には、外側に延びて該容器を蓄熱マットに接合するための接着用耳部が設けられていてもよい。
【0015】
これによれば、蓄熱構造体の室内側の面(上面)に仕上げ材を施工した場合でも、該仕上げ材の留め具(ビス、釘又はステイプル等)により容器が傷ついたとしても、該容器に封入されている潜熱蓄熱体が漏出することを防止できる。
【0016】
また、潜熱蓄熱体の接着用耳部を用いて接着により顕熱蓄熱体と一体化させることにより、接着部分の厚み精度によって蓄熱構造体の厚みがばらつくことを防ぐことができる。
【0017】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、顕熱蓄熱体は、遮音性能を有する
ゴム製の複合基材からなるものであってもよい。
【0018】
これによれば、顕熱蓄熱体からなる蓄熱マットは、遮音性をも有しているため、本蓄熱構造体に遮音機能を持たせることができる。
【0019】
第4の発明は、上記第1〜第3の発明の蓄熱構造体を用いた蓄熱構造である。
【0020】
これによれば、本発明に係る蓄熱構造体を構成する顕熱蓄熱材は、ある程度の剛性を有することから、床構造のように水平面に施工する場合に限られず、壁構造のように垂直面に施工する場合にも適用が可能である。すなわち、本蓄熱構造は、蓄熱構造体として垂れ下がる等の不具合が生じないので、容易に施工することができる。
【0021】
第5の発明は、床構造の下地材となる床下地の上に所定の間隔で施工された複数の小根太と、床下地の上における小根太同士の間の領域に配置された上記第1〜第3の発明の蓄熱構造体と、蓄熱構造体の上に施工された床仕上げ材と、を備えた蓄熱構造であって、蓄熱構造体は、蓄熱パックの側面と前記小根太の側面との間に所定の間隙が設けられるように施工されている。
【0022】
これによれば、本蓄熱構造を蓄熱性床構造として確実に構成することができる。
【0023】
第6の発明は、床構造の下地材となる床下地の上に配置された第1〜第3の発明のいずれかの蓄熱構造体と、蓄熱構造体の上に施工され、各々が蓄熱パックの側方に位置するように互いに間隔をあけて配置された複数の小根太と、蓄熱構造体および複数の小根太の上に施工された床仕上げ材と、を備えた蓄熱構造であって、蓄熱構造体は、蓄熱パックの側面と小根太の側面との間に所定の間隙が設けられるように施工されており、蓄熱マットは、床下地と各小根太との間に介在するように該床下地に沿った方向に連続して延びている。
【0024】
これによれば、小根太を板状の顕熱蓄熱体の上の潜熱蓄熱体同士の間に配置するため、低コストで施工することができる。
【0025】
第7の発明は、第5または第6の発明の蓄熱構造において、当該蓄熱構造体の上には捨て貼り材が直接に施工されている。
【0026】
これによれば、床下地の上には小根太を施工しないため、低コストで施工することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、中庸のコストで且つ施工可能な容積を持つ蓄熱構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係る蓄熱構造体を示す平面図である。
【
図3】
図3は本発明の第1の実施形態の一変形例に係る蓄熱構造体を示す平面図である。
【
図5】
図5は本発明の第2の実施形態に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図6】
図6は本発明の第2の実施形態に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【
図7】
図7は本発明の第2の実施形態に係る蓄熱性床構造における床仕上げ材を固定する際の模式的な部分断面図である。
【
図8】
図8は本発明の第2の実施形態の第1変形例に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図9】
図9は本発明の第2の実施形態の第1変形例に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図11】
図11は本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【
図12】
図12は本発明の第2の実施形態の第3変形例に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図13】
図13は本発明の第2の実施形態の第3変形例に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【
図14】
図14は本発明の第2の実施形態の第4変形例に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図15】
図15は本発明の第2の実施形態の第4変形例に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【
図16】
図16は本発明の第2の実施形態の第5変形例に係る蓄熱性床構造を示す平面図である。
【
図17】
図17は本発明の第2の実施形態の第5変形例に係る蓄熱性床構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1及び
図2は第1の実施形態に係る蓄熱構造体であって、
図1は平面構成を示し、
図2は
図1のII−II線における断面構成を示している。
【0031】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る蓄熱構造体10は、例えば、平面多角形状で、ラミネートフィルムからなる袋状の容器(パック)に潜熱蓄熱剤(PCM:Phase-Change Material)が気密に封入された袋状の蓄熱パック11と、該蓄熱パック11をその上面で保持する、板状の顕熱蓄熱材、例えば板状のゴムからなる蓄熱マット12とから構成されている。ここで、ラミネートフィルムは、公知のものでよく、例えばアルミニウム箔を含むラミネートフィルムを用いることができる。また、蓄熱パック11の平面形状は、以下に説明するように、平面長方形状の蓄熱マット12の上に配列される場合には、正方形又は長方形が好ましい。
【0032】
本実施形態においては、1枚の蓄熱マット12の上面には、例えば、3つの蓄熱パック11が一体化されるように保持されている。但し、1枚の蓄熱マット12上に保持される蓄熱マット12の数は、1つでもよく4つ以上でもよい。また、蓄熱パック11は、蓄熱マット12の長手方向に1列に配置されるだけでなく、2列以上に配置されてもよい。
【0033】
図1に示すように、蓄熱パック11には、潜熱蓄熱材の封入部(以下、本体部とも呼ぶ。)における蓄熱マット12の長手方向に沿って対向する2辺に、それぞれ接着用の耳部11aが設けられている。
【0034】
各蓄熱パック11は、蓄熱マット12とは、各蓄熱パック11の耳部11aと、その両面に粘着剤が塗布された、いわゆる両面テープ13を用いて接着されている。なお、蓄熱パック11を蓄熱マット12に保持する留め具は、両面テープ13に限られず、例えば、接着剤、ステープル又はビスを用いることができる。なお、ステープル及びビスは、蓄熱マット12の構成材料が、比較的に軟質な材料である場合に有効である。また、留め具として両面テープ又は接着剤を用いる場合には、その留め具の位置は蓄熱パック11の耳部11aに限られない。すなわち、蓄熱パック11の本体部に傷を付けるおそれがない留め具を用いる場合は、蓄熱パック11の耳部11aではなく、該蓄熱パック11の本体部と蓄熱マット12とを接着してもよい。
【0035】
一方で、蓄熱パック11の耳部11aと蓄熱マット12との接着を行う場合には、一般的に耳部11aと接着層とを併せた合計厚みは、蓄熱パック11の本体部の厚みよりも薄い。このため、接着層の厚みが蓄熱構造体10の最大厚みに影響を与えることがなく、耳部11aを顕熱蓄熱体と潜熱蓄熱体との接着部とすることにより、厚み精度が安定した製品を得ることができるという長所がある。
【0036】
ここで、蓄熱パック11及び蓄熱マット12の各厚さは、特に問われないが、それぞれ3mmから24mm程度が好ましい。また、蓄熱パック11と蓄熱マット12とを併せた厚さは30mm程度以下が好ましく、さらには6mmから18mm程度が好ましい。このようにすると、本実施形態に係る蓄熱構造体10を床構造に用いる場合に、その施工性及び床下への収まりが良好となる。
【0037】
また、潜熱蓄熱剤は、公知のものでよく、パックとして封入されることから、マイクロカプセル化されていない潜熱蓄熱剤、及びゲル化された潜熱蓄熱剤等をも使用することができる。この潜熱蓄熱剤としては、例えば、n−オクタデカン、n−ヘキサデカンが主原料のノルマルパラフィンを用いることができる。このノルマルパラフィンは、融点が18℃から32℃であり、基本的に融点よりも低い温度で固体となり、融点よりも高い温度で液体となる。この潜熱蓄熱剤の融点温度は、冬季の暖房のためには、暖房設定温度に近い例えば20℃前後とするのが良い。この潜熱蓄熱剤としてのノルマルパラフィンは、ほぼそのままパックに詰められて使用され、温度変化に応じて固体又は液体に相変化する。このノルマルパラフィンの比重は約0.8である。
【0038】
ノルマルパラフィン以外の潜熱蓄熱剤には、無機水和塩(酢酸ナトリウム三水和塩、塩化カルシウム六水和塩、硫酸ナトリウム+水和塩等)、脂肪酸類(パルミチン酸、ミリスチン酸等)、芳香族炭化水素化合物(ベンゼン、p−キシレン等)、エステル化合物(パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等)、アルコール類(ステアリルアルコール等)、及びポリアルキレングリコール等を用いることができる。
【0039】
これに対し、蓄熱マット12を構成する材料には、ゴム、塩化ビニル、ポリオレフィン又は合板等を用いることができる。ゴムには、一例として、ブタジエンゴム又はスチレンブタジエンゴム等を用いることができ、その容積比熱は、約1390kJ/m
3・Kである。また、床構造に用いられる遮音性能を有するゴム製の複合基材を用いることもできる。以下の[表1]に、種々の材料、その容積比熱及び有効蓄熱厚さを挙げる。
【0041】
以上のように、本実施形態によると、小容積で蓄熱量を得られる一方、高価な潜熱蓄熱材と、廉価であるが大容積を必要とする顕熱蓄熱材との双方の特性を活かし、中庸なコスト及び容積で、住宅及び建築物の室温変動の緩和に必要な蓄熱性を有する蓄熱構造体を得ることができる。
【0042】
(第1の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0043】
図3及び
図4は第1の実施形態の一変形例に係る蓄熱構造体であって、
図3は平面構成を示し、
図4は
図3のIV−IV線における断面構成を示している。なお、第1の実施形態で示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことによりその説明を省略する。
【0044】
図3及び
図4に示すように、本変形例に係る蓄熱構造体10は、蓄熱パック11が、これを保持する蓄熱マット12に設けられた凹部12aに埋め込まれている。各蓄熱パック11は、蓄熱マット12の凹部12aの底面における長手方向の両端部に両面テープ13を用いて接着されて一体化されている。なお、蓄熱パック11の保持材は、両面テープ13に限られず、例えば接着剤を用いてもよい。
【0045】
ここで、蓄熱マット12の凹部12aに埋め込まれた各蓄熱パック11の露出面である上面と、該上面を囲む蓄熱マット12の上面とをほぼ面一となるように、又は蓄熱パック11の上面が蓄熱マット12の上面よりもやや低くなるように、凹部12aの深さを調整するのがよい。このようにすると、本変形例に係る蓄熱構造体10を、例えば蓄熱性床構造に用いる場合には、小根太を省くことができる。
【0046】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0047】
図5及び
図6は第2の実施形態であって、本発明の蓄熱構造体を用いた蓄熱構造である蓄熱性床構造を示し、
図5は平面構成であり、
図6は断面構成である。但し、
図5は床仕上げ材及びその下の捨貼合板を省略している。
【0048】
図5及び
図6に示すように、本実施形態に係る蓄熱性床構造20は、床下地である床パネル合板30の上に互いに間隔をおいて施工された複数の小根太22と、床パネル合板30の上における小根太22同士の間に施工された蓄熱構造体10と、小根太22及び蓄熱構造体10の上に施工された捨貼合板24と、該捨貼合板24の上に施工された床仕上げ材26とを有している。
【0049】
なお、床パネル合板30の上には、さらに下地材が施工されてもよい。また、小根太22及び蓄熱構造体10の上の捨貼合板24は、必ずしも施工されなくてもよい。また、床パネル合板30は、建築物が鉄筋コンクリート構造の場合は、床スラブ又は基礎スラブとなる。
【0050】
図7に床仕上げ材26及び捨貼合板24を小根太22に固定する際のステープルが小根太22からずれた場合の模式的な断面構成を拡大して示している。本実施形態においては、小根太22同士の幅方向の間隔が約260mmの場合に、蓄熱パック11の本体部の幅を約210mmとしている。すなわち、小根太22の側面と蓄熱パック11の側面との間に約25mmの余裕を持たせて施工する。これにより、蓄熱構造体10を小根太22同士の間に施工し、さらに、蓄熱構造体10を覆う小根太22の上に、捨貼合板24及び床仕上げ材26を順次施工する際に、該床仕上げ材26を固定するステープル32が小根太22からずれた場合であっても、ステープル32は蓄熱パック11の耳部11aに刺さるだけで、蓄熱パック11の本体部に直接に刺さることはない。従って、蓄熱パック11の本体部にステープルが刺さって、該蓄熱パック11が損傷するという不具合を避けることができる。
【0051】
その上、本実施形態に係る蓄熱性床構造20には、第1の実施形態に係る蓄熱構造体10を用いているため、該蓄熱構造体10の一度の施工で複数の蓄熱パック11を施工できるので、該蓄熱パック11の施工効率が向上する。
【0052】
また、蓄熱パック11を保持する蓄熱マット12が、捨貼合板24及び床仕上げ材26の施工時の衝撃を吸収するので、施工中の蓄熱パック11の破損を防止することができる。
【0053】
(第2の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第1変形例について図面を参照しながら説明する。
【0054】
図8及び
図9は第2の実施形態の第1変形例に係る蓄熱性床構造であって、
図8は平面構成であり、
図9は断面構成である。但し、
図8は床仕上げ材及びその下の捨貼合板を省略している。また、第2の実施形態で示した構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。以下の変形例でも同様である。
【0055】
図8及び
図9に示すように、第1変形例に係る蓄熱性床構造20は、蓄熱パック11の耳部11aを小さくして、該蓄熱パック11の容積を増やしている。従って、該蓄熱パック11は、その下の蓄熱マット12とは、両面テープ又は接着剤によって接着されて保持されている。但し、捨貼合板24及び床仕上げ材26を施工する際には、ステープルを小根太22から大きく外さないようにすることが必要である。
【0056】
(第2の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第2変形例について図面を参照しながら説明する。
【0057】
図10及び
図11は第2の実施形態の第2変形例に係る蓄熱性床構造であって、
図10は平面構成であり、
図11は断面構成である。
【0058】
図10及び
図11に示すように、第2変形例に係る蓄熱性床構造20は、第1変形例の蓄熱マット12よりも平面積が大きい蓄熱マット12を用いている。これにより、該蓄熱マット12が遮音性を有している場合には、遮音性能を高めることができる。
【0059】
なお、本変形例に係る小根太22の厚さは、蓄熱マット12の厚さと併せて、ほぼ蓄熱構造体10の厚さか又はそれよりもやや大きくなるように設定する必要がある。
【0060】
また、第1変形例と同様に、捨貼合板24及び床仕上げ材26を施工する際には、ステープルを小根太22から大きく外さないようにすることが必要である。
【0061】
(第2の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第3変形例について図面を参照しながら説明する。
【0062】
図12及び
図13は第2の実施形態の第3変形例に係る蓄熱性床構造であって、
図12は平面構成であり、
図13は断面構成である。
【0063】
図12及び
図13に示すように、本変形例に係る蓄熱構造体10は、第1の実施形態の一変形例に係る蓄熱構造体10を用いている。すなわち、本変形例に係る蓄熱構造体10は、
図3及び
図4に示した、蓄熱パック11が蓄熱マット12の凹部12aに収容された構成を持つ。なお、本変形例においては、蓄熱パック11の耳部は、特に設けない構成としている。但し、蓄熱パック11にラミネートフィルムを用いる場合には、耳部11aを設ける構成であっても、該耳部11aは折り畳めるため、特段の支障はない。
【0064】
また、本変形例における蓄熱構造体10を除いた構成は、小根太22を施工した第2の実施形態と同様の構成である(
図6を参照)。
【0065】
また、捨貼合板24及び床仕上げ材26を施工する際には、ステープルが小根太22から多少外れても、蓄熱パック11の小根太22側の部位には、蓄熱マット12が介在するため、蓄熱パック11がステープルによって傷つくおそれは小さい。
【0066】
(第2の実施形態の第4変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第4変形例について図面を参照しながら説明する。
【0067】
図14及び
図15は第2の実施形態の第4変形例に係る蓄熱性床構造であって、
図14は平面構成であり、
図15は断面構成である。
【0068】
図14及び
図15に示すように、第4変形例に係る蓄熱性床構造20は、第3変形例の蓄熱マット12よりも平面積が大きい蓄熱マット12を用いている。さらに、各蓄熱パック11は、蓄熱マット12に設けられた複数の凹部12aにそれぞれ埋め込まれている。
【0069】
これにより、蓄熱マット12における各蓄熱パック11からの露出面が小根太の機能を果たすため、小根太22の施工を省略することができる。その上、該蓄熱マット12が遮音性を有している場合には、遮音性能を高めることができる。
【0070】
(第2の実施形態の第5変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第5変形例について図面を参照しながら説明する。
【0071】
図16及び
図17は第2の実施形態の第5変形例に係る蓄熱性床構造であって、
図16は平面構成であり、
図17は断面構成である。
【0072】
図16及び
図17に示すように、第5変形例に係る蓄熱性床構造20は、第4変形例に係る蓄熱構造体10を上下反転して、すなわち裏返して施工されている。
【0073】
このようにしても、蓄熱マット12における凹部12aの周囲の部位が小根太の機能を果たすため、小根太22の施工を省略することができる。その上、該蓄熱マット12が遮音性を有している場合には、遮音性能を高めることができる。
【0074】
(その他の実施形態)
本発明に係る蓄熱構造体10は、床構造に限られず、比較的に軽量な材料を用いたり、厚さを低減したりすれば、天井構造にも適用可能である。
【0075】
さらに、蓄熱マット12は、ある程度の剛性を有するため、床構造及び天井構造のように水平面に施工する場合に限られず、壁構造のように垂直面に施工する場合にも適用が可能である。すなわち、本発明に係る蓄熱構造20は、蓄熱構造体として垂れ下がる等の不具合を生じることがないので、垂直面への施工が容易となる。