特許第6393388号(P6393388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393388プレートコンパクタ用散剤装置及びプレートコンパクタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6393388
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】プレートコンパクタ用散剤装置及びプレートコンパクタ
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/34 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   E01C19/34 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-202256(P2017-202256)
(22)【出願日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年3月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517366080
【氏名又は名称】株式会社M・Strada
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 邦英
(72)【発明者】
【氏名】石井 将史
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−179994(JP,A)
【文献】 実開昭54−059506(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3020692(JP,U)
【文献】 特開昭51−144003(JP,A)
【文献】 特開平10−292310(JP,A)
【文献】 実開昭52−095224(JP,U)
【文献】 特開平06−212605(JP,A)
【文献】 実開昭59−048771(JP,U)
【文献】 中国特許出願公開第102561157(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面に接触する転圧板に起振機構が取り付けられ、前記起振機構の振動により前記路面を締め固めるプレートコンパクタに用いるプレートコンパクタ用散剤装置であって、
前記路面上の合材が前記転圧板に付着することを防止する液剤を収容する液剤用タンクと、
前記液剤を前記路面に向けて噴霧する噴霧ノズルと、
前記液剤用タンクの上部に設置するポンプ部と、
前記ポンプ部の運転停止を操作する操作部と、
前記ポンプ部によって吸い上げた前記液剤を前記噴霧ノズルに導く供給管と
を有し、
前記供給管として、
前記噴霧ノズルを一端に取り付ける延出供給管と、
前記延出供給管の他端を取り付ける固定用供給管と、
前記ポンプ部と前記固定用供給管とを接続する接続用供給管と
を有し、
前記液剤を軽油又は潤滑剤とし、
前記固定用供給管を前記液剤用タンクの下部に配置し、
前記噴霧ノズルは、前記転圧板の前端より前方の前記路面に載置する鉄板プレートに向けて前記液剤を噴霧し、
前記固定用供給管を保持する取付具に対して、前記固定用供給管を回動することで、前記噴霧ノズルの噴霧角度を変更でき
ことを特徴とするプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項2】
前記液剤用タンクの前記下部に、一対の前記取付具を取り付け、
前記固定用供給管の両端を、弾性材を介して一対の前記取付具によって保持する
ことを特徴とする請求項1に記載のプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項3】
前記延出供給管を、一対の前記取付具の間の中心に一つ配置した
ことを特徴とする請求項2に記載のプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項4】
前記液剤が、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンで前記噴霧ノズルから噴霧される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項5】
前記噴霧ノズルから噴霧される前記液剤の前記広がりを、前記転圧板の幅よりも狭くした
ことを特徴とする請求項4に記載のプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項6】
前記液剤用タンクの前記上部に、前記液剤を投入する開口部を形成し、
前記開口部の外周を覆うリング状防振材を設け、
前記ポンプ部を、前記リング状防振材に取り付け、
前記ポンプ部を取り外すことで前記開口部から前記液剤を投入する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置を搭載したプレートコンパクタであって、
前記起振機構を動作させるエンジンと、
前記エンジンに用いる燃料を収容する燃料タンクと
操作ハンドルと
を有し、
前記エンジンの上部に前記燃料タンクが配置され、
前記エンジンより後方に前記操作ハンドルが設けられ、
前記エンジン及び前記燃料タンクより前方に前記液剤用タンクを搭載し、
前記噴霧ノズルを、前記転圧板の前記前端より前方に配置し、
前記操作部を前記操作ハンドルに設けた
ことを特徴とするプレートコンパクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装工事に用いられるプレートコンパクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び特許文献2では、散水装置を備えたプレートコンパクタを提案している。
特許文献1に記載の散水装置は、プレートコンパクタの転圧板の前後端部にそれぞれ設けた散水管と、本体の上部側に固定された水タンクと、この水タンクとそれぞれの散水管とを接続する送水ホースの分岐位置に設けた切換コックとを有し、プレートコンパクタの前後進の方向変換レバーに、切換コックの送水方向の切換を連動させる連動機構を設けている。
特許文献1によれば、プレートコンパクタの前後進の方向変換レバーを前傾・後傾させる毎に、開閉コックが連動して切り替わるので、操作性に優れている。
特許文献2に記載の散水装置は、ベースプレートと、ベースプレート上に配設され、底床部及び左右の側壁部を有する原動機フレームと、原動機フレームに載置された原動機と、原動機フレームの後端から延びる操作ポールと、原動機と操作ポールとの間に配設された散水タンクとを備え、散水タンクは、原動機フレームに取付けられている。
特許文献2によれば、振動機本体内に散水タンクを収めた場合でも散水タンク廻りの清掃性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実願平03−98275号(実開平05−47008号)のCD−ROM
【特許文献2】特開2013−194396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2は、いずれも水を用いるものであり、プレートコンパクタの前進と後進との方向変換の場合には、散水箇所の切替を行うが、プレートコンパクタを一方向に進行している限り散水を継続するものであり、重力を利用した自然落下によって散水を行っている。
路面上の合材が転圧板に付着することを防止する液剤として軽油を用いる場合には、合材としてのアスファルトの品質を劣化させるという問題があるが、アスファルトの転圧板への付着防止効果は極めて高い。
従って、特許文献1及び特許文献2のように自然落下による滴下ではなく、ポンプを利用した強制噴霧を行い、間欠的な噴霧によって液剤の使用量を少なくすることで、軽油をも用いることができるプレートコンパクタ用散剤装置が望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、間欠的な強制噴霧を行え、プレートコンパクタへの搭載を容易に行えるプレートコンパクタ用散剤装置、及び操作性に優れたプレートコンパクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明のプレートコンパクタ用散剤装置は、路面に接触する転圧板11に起振機構12が取り付けられ、前記起振機構12の振動により前記路面を締め固めるプレートコンパクタに用いるプレートコンパクタ用散剤装置であって、前記路面上の合材が前記転圧板11に付着することを防止する液剤を収容する液剤用タンク21と、前記液剤を前記路面に向けて噴霧する噴霧ノズル22と、前記液剤用タンク21の上部に設置するポンプ部23と、前記ポンプ部23の運転停止を操作する操作部24と、前記ポンプ部23によって吸い上げた前記液剤を前記噴霧ノズル22に導く供給管25とを有し、前記供給管25として、前記噴霧ノズル22を一端に取り付ける延出供給管25aと、前記延出供給管25aの他端を取り付ける固定用供給管25bと、前記ポンプ部23と前記固定用供給管25bとを接続する接続用供給管25cとを有し、前記液剤を軽油又は潤滑剤とし、前記固定用供給管25bを前記液剤用タンク21の下部に配置し、前記噴霧ノズル22は、前記転圧板11の前端より前方の前記路面に載置する鉄板プレートに向けて前記液剤を噴霧し、前記固定用供給管25bを保持する取付具26に対して、前記固定用供給管25bを回動することで、前記噴霧ノズル22の噴霧角度を変更できることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載のプレートコンパクタ用散剤装置において、前記液剤用タンク21の前記下部に、一対の前記取付具26を取り付け、前記固定用供給管25bの両端を、弾性材27を介して一対の前記取付具26によって保持することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載のプレートコンパクタ用散剤装置において、前記延出供給管25aを、一対の前記取付具26の間の中心に一つ配置したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置において、前記液剤が、所定の広がりW22を持ったフラットスプレーパターンAで前記噴霧ノズル22から噴霧されることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載のプレートコンパクタ用散剤装置において、前記噴霧ノズル22から噴霧される前記液剤の前記広がりW22を、前記転圧板11の幅W11よりも狭くしたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置において、前記液剤用タンク21の前記上部に、前記液剤を投入する開口部21aを形成し、前記開口部21aの外周を覆うリング状防振材21bを設け、前記ポンプ部23を、前記リング状防振材21bに取り付け、前記ポンプ部23を取り外すことで前記開口部21aから前記液剤を投入することを特徴とする。
請求項7記載の本発明のプレートコンパクタは、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプレートコンパクタ用散剤装置を搭載したプレートコンパクタであって、前記起振機構12を動作させるエンジン13と、前記エンジン13に用いる燃料を収容する燃料タンク14と操作ハンドル15とを有し、前記エンジン13の上部に前記燃料タンク14が配置され、前記エンジン13より後方に前記操作ハンドル15が設けられ、前記エンジン13及び前記燃料タンク14より前方に前記液剤用タンク21を搭載し、前記噴霧ノズル22を、前記転圧板11の前記前端より前方に配置し、前記操作部24を前記操作ハンドル15に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間欠的な強制噴霧が行え、プレートコンパクタへの搭載を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例によるプレートコンパクタの全体写真
図2】同プレートコンパクタの供給管の構成を示す写真
図3】同プレートコンパクタの液剤投入時を説明する写真
図4】同プレートコンパクタの噴霧状態を示す説明図
図5】本発明の他の実施例によるプレートコンパクタの要部を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置は、路面上の合材が転圧板に付着することを防止する液剤を収容する液剤用タンクと、液剤を路面に向けて噴霧する噴霧ノズルと、液剤用タンクの上部に設置するポンプ部と、ポンプ部の運転停止を操作する操作部と、ポンプ部によって吸い上げた液剤を噴霧ノズルに導く供給管とを有し、供給管として、噴霧ノズルを一端に取り付ける延出供給管と、延出供給管の他端を取り付ける固定用供給管と、ポンプ部と固定用供給管とを接続する接続用供給管とを有し、液剤を軽油又は潤滑剤とし、固定用供給管を液剤用タンクの下部に配置し、噴霧ノズルは、転圧板の前端より前方の路面に載置する鉄板プレートに向けて液剤を噴霧し、固定用供給管を保持する取付具に対して、固定用供給管を回動することで、噴霧ノズルの噴霧角度を変更できるものである。本実施の形態によれば、ポンプ部を備え、このポンプ部の運転停止を操作できることで、間欠的な強制噴霧が行え、更にポンプ部を液剤用タンクの上部に設置し、固定用供給管を液剤用タンクの下部に配置し、固定用供給管には延出供給管の他端を取り付け、延出供給管の一端に噴霧ノズルを取り付けるので、ポンプ部、噴霧ノズル、及び供給管を、液剤用タンクと一体的に取り扱え、プレートコンパクタへの搭載を容易に行える。また、弾性材を介して固定用供給管を一対の取付具によって保持することで、固定用供給管を取付具に対して回動でき、噴霧ノズルの噴霧角度を変更できる。また、合材としてのアスファルトの品質を劣化させる軽油の使用量を低減できるため、軽油を液剤として用いることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置において、液剤用タンクの下部に、一対の取付具を取り付け、固定用供給管の両端を、弾性材を介して一対の取付具によって保持するものである。本実施の形態によれば、液剤用タンクからの振動を弾性材によって固定用供給管に伝えにくくすることで、固定用供給管と接続用供給管との接続部に加わる負荷を低減できる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置において、延出供給管を、一対の取付具の間の中心に一つ配置したものである。本実施の形態によれば、噴霧ノズルを取り付ける延出供給管を一つとし、延出供給管を一対の取付具の間の中心に配置することで延出供給管の振動を低減でき、ポンプ停止時に噴霧ノズルから滴下する液剤を少なくできる。また、本実施の形態によれば、延出供給管を固定用供給管の端部に設けていないので、固定用供給管が傾斜しても、固定用供給管にエアーが入りにくく、ポンプの再運転時の噴霧をタイムラグ無く行える。更に、本実施の形態によれば、噴霧ノズルを転圧板の幅方向中心に配置しやすく、少ない液剤を有効に利用できる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1から第3の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置において、液剤が、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンで噴霧ノズルから噴霧されるものである。本実施の形態によれば、少ない液剤を有効に利用できる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置において、噴霧ノズルから噴霧される液剤の広がりを、転圧板の幅よりも狭くしたものである。本実施の形態によれば、少ない液剤を有効に利用できるとともに、例えば隣接する壁などの周囲構造物に液剤が飛び散り付着することを防止できる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第1から第5の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置において、液剤用タンクの上部に、液剤を投入する開口部を形成し、開口部の外周を覆うリング状防振材を設け、ポンプ部を、リング状防振材に取り付け、ポンプ部を取り外すことで開口部から液剤を投入するものである。本実施の形態によれば、ポンプ部に液剤用タンクの蓋材としての機能を持たすことができるとともに、リング状防振材によって、振動による緩みや液剤の漏れを防止できる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態によるプレートコンパクタは、第1から第6の実施の形態によるプレートコンパクタ用散剤装置を搭載したプレートコンパクタであって、起振機構を動作させるエンジンと、エンジンに用いる燃料を収容する燃料タンクと操作ハンドルとを有し、エンジンの上部に燃料タンクが配置され、エンジンより後方に操作ハンドルが設けられ、エンジン及び燃料タンクより前方に液剤用タンクを搭載し、噴霧ノズルを、転圧板の前端より前方に配置し、操作部を操作ハンドルに設けたものである。本実施の形態によれば、既存のプレートコンパクタに搭載しやすく、プレートコンパクタの操作性が高い。
【実施例】
【0016】
本発明のプレートコンパクタ用散剤装置は、プレートコンパクタに搭載されて用いられる。
図1から図4は、本発明の一実施例によるプレートコンパクタ用散剤装置を搭載したプレートコンパクタを示す写真であり、図1は同プレートコンパクタの全体写真、図2は供給管の構成を示す写真、図3は液剤投入時を説明する写真、図4は噴霧状態を示す説明図である。
図1に示すように、プレートコンパクタは、路面に接触する転圧板11と、この転圧板11に取り付けられる起振機構12と、起振機構12を動作させるエンジン13と、エンジン13に用いる燃料を収容する燃料タンク14と、操作ハンドル15とを有し、起振機構12の振動により路面を締め固める。
燃料タンク14は、エンジン13の上部に配置され、操作ハンドル15はエンジン13より後方に設けられる。
液剤用タンク21は、エンジン13及び燃料タンク14より前方に搭載する。
液剤用タンク21は、路面上の合材が転圧板11に付着することを防止する液剤を収容する。液剤としては、軽油を用いることが適しているが、軽油以外の潤滑剤や水を用いることもできる。
本実施例によれば、液剤を軽油としても、合材としてのアスファルトの品質を劣化させる軽油の使用量を低減できるため、軽油を液剤として用いることができる。
【0017】
プレートコンパクタ用散剤装置は、液剤用タンク21と、液剤を路面に向けて噴霧する噴霧ノズル22と、液剤用タンク21の上部に設置するポンプ部23と、ポンプ部23の運転停止を操作する操作部24と、ポンプ部23によって吸い上げた液剤を噴霧ノズル22に導く供給管25とを有している。噴霧ノズル22は、ノズルの軸心に対して偏向して噴霧する偏向型のノズルである。操作部24は操作ハンドル15に設けている。
本実施例によれば、ポンプ部23を備えポンプ部23の運転停止を操作できることで間欠的な強制噴霧が行える。
【0018】
図2に示すように、供給管25として、噴霧ノズル22を一端に取り付ける延出供給管25aと、延出供給管25aの他端を取り付ける固定用供給管25bと、ポンプ部23と固定用供給管25bとを接続する接続用供給管25cとを有している。
固定用供給管25aは液剤用タンク21の下部に配置する。
液剤用タンク21の下部には、一対の取付具26を取り付けている。
延出供給管25a及び固定用供給管25bには、可撓性を有しない鋼管を用い、接続用供給管25cには、可撓性を有する柔軟な塩ビ管を用いることが好ましい。延出供給管25a及び固定用供給管25bとして可撓性を有しない材料を用いることで、噴霧ノズル22からの噴霧方向や範囲が、振動によって変化することがない。
【0019】
延出供給管25aは、一対の取付具26の間の中心に一つ配置している。このように、延出供給管25aを一対の取付具26の間の中心に配置することで延出供給管25aの振動を低減でき、ポンプ部23の運転停止時に、振動によって噴霧ノズル22から滴下する液剤を少なくできる。また、噴霧ノズル22を一つとすることで、噴霧ノズル22からの振動による滴下を少なくできる。また、延出供給管25aを固定用供給管25bの端部に設けていないので、固定用供給管25bが傾斜しても、固定用供給管25bにエアーが入りにくく、ポンプ部23の再運転時の噴霧をタイムラグ無く行える。更に、噴霧ノズル22を転圧板11の幅方向中心に配置しやすく、少ない液剤を有効に利用できる。
固定用供給管25bの両端は、弾性材27を介して一対の取付具26によって保持される。このように、液剤用タンク21からの振動を弾性材27によって固定用供給管25bに伝えにくくすることで、固定用供給管25bと接続用供給管25cとの接続部25eに加わる負荷を低減でき、接続部25eの緩みや破損を防止できる。
また、固定用供給管25bを取付具26に対して回動することで、噴霧ノズル22の噴霧角度を変更できる。
このように、弾性材27を介して固定用供給管25bを一対の取付具26によって保持することで、固定用供給管25bを取付具26に対して回動でき、噴霧ノズル22の噴霧角度を変更できる。
【0020】
本実施例によれば、ポンプ部23を液剤用タンク21の上部に設置し、固定用供給管25bを液剤用タンク21の下部に配置し、固定用供給管25bには延出供給管25aの他端を取り付け、延出供給管25aの一端に噴霧ノズル22を取り付けるので、ポンプ部23、噴霧ノズル22、及び供給管25を、液剤用タンク21と一体的に取り扱えることで、既存のプレートコンパクタに搭載しやすく、プレートコンパクタの操作性が高い。
【0021】
図3に示すように、液剤用タンク21の上部には、液剤を投入する開口部21aを形成している。
開口部21aには、開口部21aの外周を覆うリング状防振材21bを設けている。ポンプ部23は、リング状防振材21bに取り付ける。
液剤用タンク21は、ポンプ部23を取り外すことで開口部21aから液剤を投入することができる。
本実施例によれば、ポンプ部23に液剤用タンク21の蓋材としての機能を持たすことができるとともに、リング状防振材21bによって、振動による緩みや液剤の漏れを防止できる。
【0022】
図4に示すように、噴霧ノズル22は、転圧板11の前端より距離Xだけ前方に配置している。
液剤は、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンAで噴霧ノズル22から噴霧される。
噴霧ノズル22から噴霧される液剤の広がりW22は、転圧板11の幅W11よりも狭くする。このように、所定の広がりW22を持ったフラットスプレーパターンAで噴霧することで、少ない液剤を有効に利用できるとともに、例えば隣接する壁などの周囲構造物に液剤が飛び散り付着することを防止できる。
なお、図示のように、プレートコンパクタの使用時には、プレートコンパクタの前方の路面に載置して、プレートコンパクタの前進によって路面と転圧板との間に挟み込む鉄板プレート30が用いられる。
噴霧ノズル22から噴霧される液剤の広がりは、転圧板11の幅よりも広く、鉄板プレート30の幅よりも狭くすることもできる。このように、転圧板11の幅よりも広く、鉄板プレート30の幅よりも狭い範囲に、フラットスプレーパターンで噴霧することで、少ない液剤を有効に利用できる。
【0023】
図5は、本発明の他の実施例によるプレートコンパクタの要部を示す写真である。上記実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略し、上記実施例と相違する構成についてのみ説明する。
本実施例では、延出供給管25aとして、90°の角度を有するエルボ管を用いている。
90°の角度を有するエルボ管を延出供給管25aとして用いることで、延出供給管25aの一端に取り付ける噴霧ノズル22は、下方の路面に向けて液剤を噴霧する。
本実施例による噴霧ノズル22は、ノズルの軸心方向に噴霧するノズルを用いている。
図5(b)に示すように、本実施例における噴霧ノズル22によっても、液剤は、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンAで噴霧ノズル22から噴霧される。
【0024】
図1から図4に示す延出供給管25a及び噴霧ノズル22、図5に示す延出供給管25a及び噴霧ノズル22は、長さや角度の異なる延出供給管25aに、又は異なるフラットスプレーパターンや方向に噴霧する噴霧ノズル22に、適宜取り替えて用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のプレートコンパクタ用散剤装置は、プレートコンパクタへの搭載が容易であり、特に液剤として軽油を用いる場合に有効である。
【符号の説明】
【0026】
11 転圧板
12 起振機構
13 エンジン
14 燃料タンク
15 操作ハンドル
21 液剤用タンク
21a 開口部
21b リング状防振材
22 噴霧ノズル
23 ポンプ部
24 操作部
25 供給管
25a 延出供給管
25b 固定用供給管
25c 接続用供給管
25e 接続部
26 取付具
27 弾性材
30 鉄板プレート
A フラットスプレーパターン
X 距離
11
22 広がり
【要約】      (修正有)
【課題】間欠的な強制噴霧を行え、プレートコンパクタへの搭載を容易に行えるプレートコンパクタ用散剤装置、及び操作性に優れたプレートコンパクタを提供する。
【解決手段】プレートコンパクタ用散剤装置は、路面上の合材が転圧板11に付着することを防止する液剤を収容する液剤用タンク21と、液剤を路面に向けて噴霧する噴霧ノズル22と、液剤用タンク21の上部に設置するポンプ部23と、ポンプ部23の運転停止を操作する操作部24と、ポンプ部23によって吸い上げた液剤を噴霧ノズル22に導く供給管25とを有し、供給管25として、噴霧ノズル22を一端に取り付ける延出供給管と、延出供給管の他端を取り付ける固定用供給管と、ポンプ部23と固定用供給管とを接続する接続用供給管とを有し、固定用供給管を液剤用タンク21の下部に配置することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5