【実施例】
【0016】
本発明のプレートコンパクタ用散剤装置は、プレートコンパクタに搭載されて用いられる。
図1から
図4は、本発明の一実施例によるプレートコンパクタ用散剤装置を搭載したプレートコンパクタを示す写真であり、
図1は同プレートコンパクタの全体写真、
図2は供給管の構成を示す写真、
図3は液剤投入時を説明する写真、
図4は噴霧状態を示す説明図である。
図1に示すように、プレートコンパクタは、路面に接触する転圧板11と、この転圧板11に取り付けられる起振機構12と、起振機構12を動作させるエンジン13と、エンジン13に用いる燃料を収容する燃料タンク14と、操作ハンドル15とを有し、起振機構12の振動により路面を締め固める。
燃料タンク14は、エンジン13の上部に配置され、操作ハンドル15はエンジン13より後方に設けられる。
液剤用タンク21は、エンジン13及び燃料タンク14より前方に搭載する。
液剤用タンク21は、路面上の合材が転圧板11に付着することを防止する液剤を収容する。液剤としては、軽油を用いることが適しているが、軽油以外の潤滑剤や水を用いることもできる。
本実施例によれば、液剤を軽油としても、合材としてのアスファルトの品質を劣化させる軽油の使用量を低減できるため、軽油を液剤として用いることができる。
【0017】
プレートコンパクタ用散剤装置は、液剤用タンク21と、液剤を路面に向けて噴霧する噴霧ノズル22と、液剤用タンク21の上部に設置するポンプ部23と、ポンプ部23の運転停止を操作する操作部24と、ポンプ部23によって吸い上げた液剤を噴霧ノズル22に導く供給管25とを有している。噴霧ノズル22は、ノズルの軸心に対して偏向して噴霧する偏向型のノズルである。操作部24は操作ハンドル15に設けている。
本実施例によれば、ポンプ部23を備えポンプ部23の運転停止を操作できることで間欠的な強制噴霧が行える。
【0018】
図2に示すように、供給管25として、噴霧ノズル22を一端に取り付ける延出供給管25aと、延出供給管25aの他端を取り付ける固定用供給管25bと、ポンプ部23と固定用供給管25bとを接続する接続用供給管25cとを有している。
固定用供給管25aは液剤用タンク21の下部に配置する。
液剤用タンク21の下部には、一対の取付具26を取り付けている。
延出供給管25a及び固定用供給管25bには、可撓性を有しない鋼管を用い、接続用供給管25cには、可撓性を有する柔軟な塩ビ管を用いることが好ましい。延出供給管25a及び固定用供給管25bとして可撓性を有しない材料を用いることで、噴霧ノズル22からの噴霧方向や範囲が、振動によって変化することがない。
【0019】
延出供給管25aは、一対の取付具26の間の中心に一つ配置している。このように、延出供給管25aを一対の取付具26の間の中心に配置することで延出供給管25aの振動を低減でき、ポンプ部23の運転停止時に、振動によって噴霧ノズル22から滴下する液剤を少なくできる。また、噴霧ノズル22を一つとすることで、噴霧ノズル22からの振動による滴下を少なくできる。また、延出供給管25aを固定用供給管25bの端部に設けていないので、固定用供給管25bが傾斜しても、固定用供給管25bにエアーが入りにくく、ポンプ部23の再運転時の噴霧をタイムラグ無く行える。更に、噴霧ノズル22を転圧板11の幅方向中心に配置しやすく、少ない液剤を有効に利用できる。
固定用供給管25bの両端は、弾性材27を介して一対の取付具26によって保持される。このように、液剤用タンク21からの振動を弾性材27によって固定用供給管25bに伝えにくくすることで、固定用供給管25bと接続用供給管25cとの接続部25eに加わる負荷を低減でき、接続部25eの緩みや破損を防止できる。
また、固定用供給管25bを取付具26に対して回動することで、噴霧ノズル22の噴霧角度を変更できる。
このように、弾性材27を介して固定用供給管25bを一対の取付具26によって保持することで、固定用供給管25bを取付具26に対して回動でき、噴霧ノズル22の噴霧角度を変更できる。
【0020】
本実施例によれば、ポンプ部23を液剤用タンク21の上部に設置し、固定用供給管25bを液剤用タンク21の下部に配置し、固定用供給管25bには延出供給管25aの他端を取り付け、延出供給管25aの一端に噴霧ノズル22を取り付けるので、ポンプ部23、噴霧ノズル22、及び供給管25を、液剤用タンク21と一体的に取り扱えることで、既存のプレートコンパクタに搭載しやすく、プレートコンパクタの操作性が高い。
【0021】
図3に示すように、液剤用タンク21の上部には、液剤を投入する開口部21aを形成している。
開口部21aには、開口部21aの外周を覆うリング状防振材21bを設けている。ポンプ部23は、リング状防振材21bに取り付ける。
液剤用タンク21は、ポンプ部23を取り外すことで開口部21aから液剤を投入することができる。
本実施例によれば、ポンプ部23に液剤用タンク21の蓋材としての機能を持たすことができるとともに、リング状防振材21bによって、振動による緩みや液剤の漏れを防止できる。
【0022】
図4に示すように、噴霧ノズル22は、転圧板11の前端より距離Xだけ前方に配置している。
液剤は、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンAで噴霧ノズル22から噴霧される。
噴霧ノズル22から噴霧される液剤の広がりW
22は、転圧板11の幅W
11よりも狭くする。このように、所定の広がりW
22を持ったフラットスプレーパターンAで噴霧することで、少ない液剤を有効に利用できるとともに、例えば隣接する壁などの周囲構造物に液剤が飛び散り付着することを防止できる。
なお、図示のように、プレートコンパクタの使用時には、プレートコンパクタの前方の路面に載置して、プレートコンパクタの前進によって路面と転圧板との間に挟み込む鉄板プレート30が用いられる。
噴霧ノズル22から噴霧される液剤の広がりは、転圧板11の幅よりも広く、鉄板プレート30の幅よりも狭くすることもできる。このように、転圧板11の幅よりも広く、鉄板プレート30の幅よりも狭い範囲に、フラットスプレーパターンで噴霧することで、少ない液剤を有効に利用できる。
【0023】
図5は、本発明の他の実施例によるプレートコンパクタの要部を示す写真である。上記実施例と同一部材には同一符号を付して説明を省略し、上記実施例と相違する構成についてのみ説明する。
本実施例では、延出供給管25aとして、90°の角度を有するエルボ管を用いている。
90°の角度を有するエルボ管を延出供給管25aとして用いることで、延出供給管25aの一端に取り付ける噴霧ノズル22は、下方の路面に向けて液剤を噴霧する。
本実施例による噴霧ノズル22は、ノズルの軸心方向に噴霧するノズルを用いている。
図5(b)に示すように、本実施例における噴霧ノズル22によっても、液剤は、所定の広がりを持ったフラットスプレーパターンAで噴霧ノズル22から噴霧される。
【0024】
図1から
図4に示す延出供給管25a及び噴霧ノズル22、
図5に示す延出供給管25a及び噴霧ノズル22は、長さや角度の異なる延出供給管25aに、又は異なるフラットスプレーパターンや方向に噴霧する噴霧ノズル22に、適宜取り替えて用いることができる。