【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0037】
実施例及び比較例のプラスチックレンズについて、屈折率、アッベ数、耐熱性、脈理、透明性、光学歪み及び引張強度を評価した。
【0038】
(屈折率及びアッベ数)
カルニュー光学工業(株)製精密屈折率計KPR−2000型を用いて20℃で、F’線(488.0nm)、C’線(643.9nm)及びe線(546.1nm)の波長の光についてプラスチックレンズの屈折率を測定した。そして、下記の式からアッベ数を算出した。
アッベ数ν
e=(n
e−1)/(n
F’−n
C’)
n
eはe線の波長の光で測定した屈折率であり、n
F’はF’線の波長の光で測定した屈折率であり、n
C’はC’線の光で測定した屈折率である。
【0039】
(耐熱性)
リガク(株)製TAS100TMAペネトレーション法(試験片厚3mm、ピン径0.5mm、加重10g、昇温速度10℃/min)にて熱変形開始温度を測定した。
【0040】
(脈理)
得られたプラスチックレンズを、シュリーレン法により目視観察し、プラスチックレンズの脈理を以下の3段階で評価した。
脈理がないもの:VG(Very Good)
わずかに脈理が観察されるもの:G(Good)
脈理が多いもの:B(Bad)
【0041】
評価結果がVG又はGであるプラスチックレンズは、脈理に関して実用的には問題ない。一方、評価結果がBであるプラスチックレンズは、実用的には不適当である。
【0042】
(透明性)
得られたプラスチックレンズを暗所にて蛍光灯下で目視観察し、プラスチックレンズの透明性を以下の3段階で評価した。
曇り及び不透明物質の析出がないもの:VG(Very Good)
わずかに曇り又は不透明物質の析出、或いはこれら双方が観察されるもの:G(Good)
曇りの程度がひどいもの又は不透明物質の析出が明らかに見られるもの:B(Bad)
【0043】
評価結果がVG又はGであるプラスチックレンズは、透明性に関して実用的には問題ない。一方、評価結果がBであるプラスチックレンズは実用的には不適当である。
【0044】
(光学歪み)
ストレインスコープを使用して、得られたプラスチックレンズを目視観察し、プラスチックレンズの光学歪みを以下の3段階で評価した。
光学歪みがないもの:VG(Very Good)
わずかに光学歪みが観察されるもの:G(Good)
光学歪みが多いもの:B(Bad)
【0045】
評価結果がVG又はGであるプラスチックレンズは、光学歪みに関して実用的には問題ない。一方、評価結果がBであるプラスチックレンズは、実用的には不適当である。
【0046】
(引張強度)
0.00D、レンズ径50mm、肉厚1.8mmに調整されたレンズにドリルを使用して二箇所に1.6mm径の穴をあけ、サンプルとする。(株)エー・アンド・デイ製、テンシロン万能材料試験機(型番RTC−1225A)に1.6mm径のピンを用いてサンプルの両端を固定し、0.05mm/minの速度で引張し、破壊する際の強度を測定した。
【0047】
以下の実施例、比較例及び参考例のプラスチックレンズを以下のようにして作製した。
【0048】
(実施例1)
イソホロンジイソシアナート(以下、「IPDI」と記す)33.6質量部、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール及び5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物(以下、「ポリチオール(B−1−1)」と記す)35.1質量部、ヘキサメチレンジイソシアナート(以下、「HDI」と記す)16.9質量部、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)(以下、「TMTG」と記す)14.4質量部、ジメチルチンジクロリド0.10質量部ならびにブトキシエチルアシッドホスフェート及びジブトキシエチルアシッドホスフェートの混合物(城北化学工業(株)製、商品名:JP−506H)0.20質量部を室温中で十分に撹拌混合して得た混合物を、5mmHgの減圧下で脱泡し、均一とした単量体混合物を調製した。この単量体混合物を一対のガラスモールドと樹脂製ガスケットとからなる成形型中に注入した。なお、上記一対のガラスモールドは上型曲率600mm、下型曲率120mmからなるものを用い、プラスチックレンズの中心肉厚が5mm、径が75mmになるように成形型を組み立てた。
【0049】
単量体混合物を成形型に注入後、20℃から120℃まで15時間かけて昇温し、120℃にて4時間、加熱重合し、冷却して成形型からプラスチックレンズを取り出して実施例1のプラスチックレンズを得た。
【0050】
(実施例2)
IPDIの配合量を43.6質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を34.2質量部に、HDIの配合量を8.2質量部に、TMTGの配合量を14.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例2のプラスチックレンズを製造した。
【0051】
(実施例3)
IPDIの配合量を34.2質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を42.4質量部に、HDIの配合量を17.3質量部に、TMTGの配合量を6.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例3のプラスチックレンズを製造した。
【0052】
(実施例4)
IPDIの配合量を42.7質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を26.4質量部に、HDIの配合量を8.1質量部に、TMTGの配合量を22.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例4のプラスチックレンズを製造した。
【0053】
(実施例5)
IPDIの配合量を35.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を36.4質量部に、HDIの配合量を14.6質量部に変更し、TMTGの代わりにトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)(以下、「TMTP」と記す)13.2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例5のプラスチックレンズを製造した。
【0054】
(実施例6)
IPDIの配合量を40.5質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を37.5質量部に、HDIの配合量を11.3質量部に変更し、TMTGの代わりに1,4−ブタンジオールビス(メルカプトアセテート)(以下、「BDTG」と記す)10.7質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例6のプラスチックレンズを製造した。
【0055】
(実施例7)
IPDIの配合量を33.3質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を36.6質量部に、HDIの配合量を16.8質量部に変更し、TMTGの代わりに1,4−ブタンジオールビス(メルカプトプロピオネート) (以下、「BDTP」と記す)13.3質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例7のプラスチックレンズを製造した。
【0056】
(実施例8)
IPDIの配合量を38.2質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を40.5質量部に、TMTGの配合量を5.8質量部に変更し、HDIの代わりにトリメチルヘキサメチレンジイソアナート(以下、「TMDI」と記す)15.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例8のプラスチックレンズを製造した。
【0057】
(実施例9)
IPDIの配合量を32.6質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を40.3質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI20.6質量部を用い、TMTGの代わりにTMTP6.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例9のプラスチックレンズを製造した。
【0058】
(実施例10)
IPDIの配合量を37.7質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を35.5質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI15.3質量部を用い、TMTGの代わりにBDTG11.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例10のプラスチックレンズを製造した。
【0059】
(実施例11)
IPDIの配合量を42.4質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を34.9質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI10.0質量部を用い、TMTGの代わりにBDTP12.7質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例11のプラスチックレンズを製造した。
【0060】
(実施例12)
IPDIの代わりにジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(以下、「HMDI」と記す)37.3質量部を用い、ポリチオール(B−1−1)の配合量を32.6質量部に、HDIの配合量を16.0質量部に、TMTGの配合量を14.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例12のプラスチックレンズを製造した。
【0061】
(実施例13)
HMDIの配合量を47.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を35.5質量部に、HDIの配合量を7.7質量部に変更し、TMTGの代わりにTMTP9.1質量部を用いた以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、実施例13のプラスチックレンズを製造した。
【0062】
(実施例14)
HMDIの配合量を37.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を39.6質量部に、HDIの配合量を16.2質量部に変更し、TMTGの代わりにBDTP6.4質量部を用いた以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、実施例14のプラスチックレンズを製造した。
【0063】
(実施例15)
HMDIの配合量を36.3質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を38.1質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI19.4質量部を用い、TMTGの代わりにTMTP6.1質量部を用いた以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、実施例15のプラスチックレンズを製造した。
【0064】
(実施例16)
HMDIの配合量を42.2質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を37.9質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI14.5質量部を用い、TMTGの代わりにBDTG5.5質量部を用いた以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、実施例16のプラスチックレンズを製造した。
【0065】
(実施例17)
IPDIの代わりにビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「HXDI」と記す)42.9質量部を用い、ポリチオール(B−1−1)の配合量を27.0質量部に、HDIの配合量を4.1質量部に変更し、さらに、TMTGの代わりにTMTP26.1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例17のプラスチックレンズを製造した。
【0066】
(実施例18)
HXDIの配合量を42.9質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を38.1質量部に、HDIの配合量を6.6質量部に変更し、TMTPの代わりにBDTG12.4質量部を用いた以外は、実施例17と同様にして重合性組成物を調製し、実施例18のプラスチックレンズを製造した。
【0067】
(実施例19)
HXDIの配合量を29.1質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を32.1質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI21.0質量部を用い、TMTPの代わりにTMTG17.8質量部を用いた以外は、実施例17と同様にして重合性組成物を調製し、実施例19のプラスチックレンズを製造した。
【0068】
(実施例20)
HXDIの配合量を34.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を39.9質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI16.1質量部を用い、TMTPの代わりにBDTG9.2質量部を用いた以外は、実施例17と同様にして重合性組成物を調製し、実施例20のプラスチックレンズを製造した。
【0069】
(実施例21)
IPDIの代わりにビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下、「NBDI」と記す)52.0質量部を用い、ポリチオール(B−1−1)の配合量を28.5質量部に、HDIの配合量を3.7質量部に、TMTGの配合量を15.8質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、実施例21のプラスチックレンズを製造した。
【0070】
(実施例22)
NBDIの配合量を52.3質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を30.7質量部に、HDIの配合量を3.8質量部に変更し、TMTGの代わりにBDTG13.3質量部を用いた以外は、実施例21と同様にして重合性組成物を調製し、実施例22のプラスチックレンズを製造した。
【0071】
(実施例23)
NBDIの配合量を34.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を28.6質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI18.8質量部を用い、TMTGの代わりにTMTP17.8質量部を用いた以外は、実施例21と同様にして重合性組成物を調製し、実施例23のプラスチックレンズを製造した。
【0072】
(実施例24)
NBDIの配合量を35.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を35.7質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI19.3質量部を用い、TMTGの代わりにBDTP9.2質量部を用いた以外は、実施例21と同様にして重合性組成物を調製し、実施例24のプラスチックレンズを製造した。
【0073】
(比較例1)
HMDIの配合量を58.9質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を41.1質量部に変更し、HDI及びTMTGを用いなかった以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、比較例1のプラスチックレンズを製造した。
【0074】
(比較例2)
HMDIの配合量を46.6質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を43.4質量部に、HDIの配合量を10.0質量部に変更し、TMTGを用いなかった以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、比較例2のプラスチックレンズを製造した。
【0075】
(比較例3)
HMDIの配合量を58.1質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を36.9質量部に変更し、TMTGの代わりにペンタエリスリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)(以下、「PTMP」と記す)4.9質量部を用い、HDIを用いなかった以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、比較例3のプラスチックレンズを製造した。
【0076】
(比較例4)
HXDIの配合量を51.4質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を48.6質量部に変更し、HDI及びTMTGを用いなかった以外は、実施例17と同様にして重合性組成物を調製し、比較例4のプラスチックレンズを製造した。
【0077】
(比較例5)
HXDIの配合量を36.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を49.6質量部に、HDIの配合量を13.6質量部に変更し、TMTPを用いなかった以外は、実施例17と同様にして重合性組成物を調製し、比較例5のプラスチックレンズを製造した。
【0078】
(比較例6)
NBDIの配合量を58.7質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を41.3質量部に変更し、HDI及びTMTGを用いなかった以外は、実施例21と同様にして重合性組成物を調製し、比較例6のプラスチックレンズを製造した。
【0079】
(比較例7)
NBDIの配合量を36.9質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を43.3質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI19.9質量部を用い、TMTGを用いなかった以外は、実施例21と同様にして重合性組成物を調製し、比較例7のプラスチックレンズを製造した。
【0080】
(比較例8)
IPDIの代わりにキシリレンジイソシアナート(以下、「XDI」と記す)50.7質量部を用い、ポリチオール(B−1−1)の配合量を49.3質量部に変更し、HDI及びTMTGを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、比較例8のプラスチックレンズを製造した。
【0081】
(比較例9)
XDIの配合量を52.7質量部に変更し、ポリチオール(B−1−1)の配合量を44.3質量部に変更し、チオグリセリン(以下、「TG」と記す)2.6質量部を用いた以外は、比較例8と同様にして重合性組成物を調製し、比較例9のプラスチックレンズを製造した。
【0082】
(比較例10)
XDIの配合量を49.9質量部に変更し、ポリチオール(B−1−1)の配合量を38.9質量部に変更し、ジメルカプトメチルジチアン(以下、「DMMD」と記す)11.3質量部を用いた以外は、比較例8と同様にして重合性組成物を調製し、比較例10のプラスチックレンズを製造した。
【0083】
(参考例1)
IPDIの配合量を54.8質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を45.2質量部に変更し、HDI及びTMTGを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例1のプラスチックレンズを製造した。
【0084】
(参考例2)
IPDIの配合量を29.4質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を48.4質量部に、HDIの配合量を22.2質量部に変更し、TMTGを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例2のプラスチックレンズを製造した。
【0085】
(参考例3)
IPDIの配合量を33.3質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を45.7質量部に変更し、HDIの代わりにTMDI21.0質量部を用い、TMTGを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例3のプラスチックレンズを製造した。
【0086】
(参考例4)
IPDIの配合量を54.1質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を40.1質量部に、TMTGの配合量を5.8質量部に変更し、HDIを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例4のプラスチックレンズを製造した。
【0087】
(参考例5)
IPDIの配合量を53.7質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を39.9質量部に変更し、TMTGの代わりにTMTP6.4質量部を用い、HDIを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例5のプラスチックレンズを製造した。
【0088】
(参考例6)
IPDIの配合量を54.1質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を40.1質量部に変更し、TMTGの代わりにBDTG5.8質量部を用い、HDIを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例6のプラスチックレンズを製造した。
【0089】
(参考例7)
IPDIの配合量を53.7質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を39.9質量部に変更し、TMTGの代わりにBDTP6.4質量部を用い、HDIを用いなかった以外は、実施例1と同様にして重合性組成物を調製し、参考例7のプラスチックレンズを製造した。
【0090】
(参考例8)
HMDIの配合量を53.1質量部に、ポリチオール(B−1−1)の配合量を41.3質量部に変更し、HDIの代わりにヘキシルイソシアナート(以下、「HI」と記す)5.6質量部を用い、TMTGを用いなかった以外は、実施例12と同様にして重合性組成物を調製し、参考例8のプラスチックレンズを製造した。
【0091】
上記実施例、比較例及び参考例のプラスチックレンズを製造するときに使用した重合性組成物中の脂環式ポリイソシアナート(A−1)、非環式脂肪族ポリイソシアナート(A−2)、脂環式ポリイソシアナート(A−1)及び非環式脂肪族ポリイソシアナート(A−2)以外のポリイソシアナート(A−3)、ポリチオール(B−1)、ポリチオール(B−2)、並びにポリチオール(B−1)及びポリチオール(B−2)以外のポリチオール(B−3)の化合物及び配合量を下記の表1及び2に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
(結果)
実施例、比較例及び参考例のプラスチックレンズの屈折率、アッベ数、耐熱性、脈理、透明性、光学歪み及び引張強度の評価結果を下記の表3及び表4に示す。
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
実施例1〜24のプラスチックレンズは脈理の評価項目において満足できるものであった。また、屈折率、アッベ数、透明性及び光学歪みの評価項目においても満足できるものであった。一方、比較例1〜10のプラスチックレンズは脈理の評価項目において満足できるものではなかった。これより、脂環式ポリイソシアナート(A−1)、及び非環式脂肪族ポリイソシアナート(A−2)を含むイソシアナート成分と、ポリチオール(B−1)、及びポリチオール(B−2)を含むポリチオール成分とを含有する重合性組成物を用いることによって、脈理の少ないプラスチックレンズを得られることがわかった。
【0098】
参考例1〜7のプラスチックレンズは脈理の評価項目において満足できるものであった。しかし、引張強度の評価項目が、実施例1〜24のプラスチックレンズに比べて非常に悪かった。これより、脂環式ポリイソシアナート(A−1)及びポリチオール(B−1)を使用し、さらに、非環式脂肪族ポリイソシアナート(A−2)及びポリチオール(B−2)のどちらか一方を使用することによって、脈理の少ないプラスチックレンズを作製できるものの、引張強度が非常に低くなることがわかった。
【0099】
参考例8のプラスチックレンズは脈理の評価項目において満足すべきものであった。しかし、引張強度の評価項目が、実施例1〜24のプラスチックレンズに比べて非常に悪かった。これにより、脂環式ポリイソシアナート(A−1)、ポリチオール(B−1)、及びヘキシルイソシアナート(HI)を含む重合性組成物を用いれば脈理の少ないプラスチックレンズを作製できるものの、引張強度が非常に低くなることがわかった。
【0100】
最後に、本発明の実施の形態を総括する。
本発明の一実施形態は、
イソシアナート基を2個以上有する脂環式ポリイソシアナート(A−1)、及びイソシアナート基を2個以上有する非環式脂肪族ポリイソシアナート(A−2)を含むイソシアナート成分と、
メルカプト基を4個以上有し、スルフィド結合を2個以上有するポリチオール(B−1)、及びメルカプト基を2又は3個有し、エステル結合を2又は3個有するポリチオール(B−2)を含むポリチオール成分とを含有する重合性組成物である。
本発明によれば、脈理の少ない光学部材を得ることができる重合性組成物、その重合性組成物より得られる光学部材、その光学部材を含むプラスチックレンズ、及びその光学部材よりなるレンズ基材を備える眼鏡レンズを提供することができる。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。