特許第6393414号(P6393414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393414
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】レーザ部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/022 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   H01S5/022
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-515232(P2017-515232)
(86)(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公表番号】特表2017-528920(P2017-528920A)
(43)【公表日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】EP2015073145
(87)【国際公開番号】WO2016055520
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年3月28日
(31)【優先権主張番号】102014114618.2
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ ドミニク
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−054527(JP,A)
【文献】 特開2006−106753(JP,A)
【文献】 特開2005−164871(JP,A)
【文献】 特開平06−350187(JP,A)
【文献】 特開2009−019982(JP,A)
【文献】 特開2000−114655(JP,A)
【文献】 特開平5−175614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面(220)と側壁(230)とを有するキャビティ(210)を有するキャリア(200)を備えるハウジング(100)を有し、
前記キャビティ(210)の幅は、前記底面(220)側から広がっており、
前記側壁(230)は、前記底面(220)に対して45°以外の角度(250)で傾斜し、
出射方向(430)が前記底面(220)に平行なレーザチップ(400)が前記キャビティ(210)内の前記底面(220)に配置されており、
反射要素(500,600,700)が、前記キャビティ(210)内に配置され、かつ、前記底面(220)と前記側面(230)との間の縁部(240)で支持されており、
前記反射要素(500,600,700)の反射面(510,610,710)と前記キャビティ(210)の前記底面(220)とが45°の角度(540,640,740)を成し、
前記出射方向(430)と前記反射要素(500,600,700)の前記反射面(510,610,710)とが45°の角度(550,650,750)を成しており、
前記反射要素(500,600,700)は、プリズムとして構成されている、
レーザ部品(10,20,30)。
【請求項2】
前記反射要素(500,700)は、前記側壁(230)で支持されている、
請求項1に記載のレーザ部品(10,30)。
【請求項3】
前記反射要素(600,700)は、前記底面(220)で支持されている、
請求項1または2に記載のレーザ部品(20,30)。
【請求項4】
前記キャビティ(210)は、カバー(300)によって閉鎖されている、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザ部品(10,20,30)。
【請求項5】
前記反射要素(500,600,700)は、ガラスを含む、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ部品(10,20,30)。
【請求項6】
前記キャリア(200)は、少なくとも部分的に結晶性の半導体材料を含む、
請求項1〜のいずれか一項に記載のレーザ部品(10,20,30)。
【請求項7】
前記キャリア(200)は、シリコンを含み、
前記底面(220)は、前記キャリア(200)の{100}面で形成されており、
前記側壁(230)は、前記キャリア(200)の{111}面で形成されている、
請求項に記載のレーザ部品(10,20,30)。
【請求項8】
− 底面(220)および側壁(230)を有するキャビティ(210)を有するキャリア(200)を設けるステップであって、前記キャビティ(210)の幅は、前記底面(220)側から広がっており、前記側壁(230)は、前記底面(220)に対して45°以外の角度(250)で傾斜している、ステップと;
− レーザチップ(400)を、前記レーザチップ(400)の出射方向(430)が前記底面(220)に平行になるように前記キャビティ(210)内の前記底面(220)に配置するステップと;
− 反射要素(500,600,700)を、前記反射要素(500,600,700)が前記底面(220)と前記側壁(230)との間の縁部(240)で支持され、前記反射要素(500,600,700)の反射面(510,610,710)と前記キャビティ(210)の前記底面(220)とが45°の角度(540,640,740)を成し、かつ、前記出射方向(430)と前記反射要素(500,600,700)の前記反射面(510,610,710)とが45°の角度(550,650,750)を成すように前記キャビティ(210)内に配置するステップと、
を含み、
前記反射要素(500,600,700)は、はんだ接続または接着剤によって前記キャビティ(210)内に固着される、
レーザ部品(10,20,30)の製造方法。
【請求項9】
前記反射要素(500,600,700)を配置するステップにおいて、前記キャリア(200)は、前記底面(220)と前記側壁(230)との間の前記縁部(240)が前記底面(220)および前記側壁(230)より下に配置されるように傾けられる、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリア(200)を設けるステップには、エッチングプロセスによって前記キャビティ(210)を形成することが含まれる、
請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
− 前記キャビティ(210)をカバー(300)によって密封するさらなるステップを含む、
請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記キャリア(200)には、それぞれが底面(220)および側壁(230)を有する複数のキャビティ(210)が設けられ、
レーザチップ(400)が、前記レーザチップ(400)の出射方向(430)が前記キャビティ(210)の前記底面(220)に平行になるように、それぞれ、各キャビティ(210)内に配置され、
反射要素(500,600,700)が前記キャビティ(210)の前記底面(220)と前記側壁(230)との間の縁部(240)で支持され、前記反射要素(500,600,700)の反射面(510,610,710)と前記キャビティ(210)の前記底面(220)とが45°の角度(540,640,740)を成し、かつ、前記出射方向(430)と前記反射要素(500,600,700)の前記反射面(510,610,710)とが45°の角度(550,650,750)を成すように前記反射要素(500,600,700)が各キャビティ(210)内に配置される、
請求項11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ部品およびレーザ部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ベースのレーザチップを有するレーザ部品が先行技術から知られている。そのようなレーザ部品では、レーザチップは、レーザチップのレーザファセットの過度な経年劣化を防ぐためにレーザチップを密封封止するために使用されるハウジング内に配置されている。かかるハウジングはさらに、レーザチップからの廃熱を放散するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
レーザ部品を提供することが本発明の目的である。この目的は、請求項1の特徴を有するレーザ部品によって達成される。レーザ部品の製造方法を特定することが本発明の他の目的である。この目的は、請求項10の特徴を含む方法によって達成される。様々な改良形態を従属請求項において特定する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
レーザ部品はハウジングを有し、ハウジングは、底面および側壁を有するキャビティを有するキャリアを備える。キャビティの幅は、底面側から広がっている。出射方向が底面に平行なレーザチップがキャビティ内の底面に配置されている。底面と側壁との間の縁部で支持される反射要素がキャビティ内に配置されている。反射要素の反射面とキャビティの底面とは、45°の角度を成している。出射方向と反射要素の反射面とは同様に、45°の角度を成している。
【0005】
この反射要素の反射面の配置によって、レーザチップによって出射されるレーザ光は、反射要素の反射面でキャビティの底面に直交する方向に反射されることができる。したがって、反射要素において反射されるレーザ光は、レーザ部品のキャリアのキャビティから出てレーザ部品によって出射されることができる。この場合、有利なことに、レーザ光のさらなるビーム偏向は必要ない。
【0006】
キャビティの底面と側壁との間の縁部で反射要素を支持することによって、レーザ部品のハウジングのキャリアのキャビティ内の反射要素の位置および方向が有利なことに、反射要素を搭載する際の追加的な調節ステップを必要とすることなく高精度で確定可能である。これにより、レーザ部品を単純かつ安価に製造することができる。
【0007】
さらに、キャビティの底面と側壁との間の縁部で反射要素を支持することによって、反射要素は有利なことに、省スペースで配置され、それにより小型の外形寸法を有するレーザ部品のハウジングを構成することができる。
【0008】
出射方向がキャビティの底面に平行なレーザチップを配置することによって有利なことに、レーザチップをキャビティの底面に大面積に亘って接触させて配置することができる。その結果、有利なことに、レーザ部品のハウジングのキャリアとレーザチップとの高い熱伝導性の接続が得られる。それにより、レーザ部品の動作中にレーザチップにおいて生じた廃熱を効率的に放散することができる。
【0009】
レーザ部品の一実施形態では、反射要素は側壁で支持されている。これにより、反射要素は有利なことに、レーザ部品のキャリアのキャビティ内に特に省スペースで配置される結果、レーザ部品のハウジングは小型の外形寸法を有することができる。
【0010】
レーザ部品の一実施形態では、反射要素は、キャビティの底面で支持されている。これにより、有利なことに、反射要素はまた、ハウジングのキャリアのキャビティ内に省スペースでかつ安定して配置される。
【0011】
レーザ部品の一実施形態では、キャビティはカバーによって閉鎖されている。レーザ部品のレーザチップによって出射されるレーザ光のビーム偏向がレーザ部品のカバーにおいて行われる必要がないため、カバーは有利なことに単純かつ安価に構成可能である。カバーがビーム偏向構造を有する必要がないため、レーザ部品を搭載する際にカバーを特別に調節することも求められない。その結果、レーザ部品の製造が単純化される。
【0012】
レーザ部品の一実施形態では、反射要素はガラスを含む。したがって、反射要素の反射面は有利なことに、特に高い反射性を有することができる。
【0013】
レーザ部品の一実施形態では、反射要素はプリズムとして構成されている。これにより、レーザ部品のハウジングのキャリアのキャビティ内に反射要素を単純かつ安価に搭載することができるだけでなく、反射要素を単純かつ安価に製造することができる。
【0014】
レーザ部品の一実施形態では、キャビティの側壁は、キャビティの底面に対して45°以外の角度で傾斜している。側壁と底面との間の45°の角度からの偏差は有利なことに、反射要素によって補償される。
【0015】
レーザ部品の一実施形態では、キャリアは、少なくとも部分的に結晶性の半導体材料を含む。これにより、有利なことに、半導体技術の諸方法を用いて単純かつ安価にキャリアを製造することができる。
【0016】
レーザ部品の一実施形態では、キャリアはシリコンを含む。この場合、底面は、キャリアの{100}面で形成されている。側壁は、キャリアの{111}面で形成されている。これにより、有利なことに、エッチング方法によってキャリアのキャビティを作ることができる。この場合、側壁と底面とは異なるエッチング速度でキャリアの異なる結晶方向に形成され、キャビティの側壁と底面との間に定義した角度が得られる。
【0017】
レーザ部品の製造方法が、底面および側壁を有するキャビティを有するキャリアを設けるステップであって、このキャビティの幅は底面側から広がっているステップと、レーザチップの出射方向が底面に平行になるようにキャビティの底面にレーザチップを配置するステップと、反射要素が底面と側壁との間の縁部で支持され、反射要素の反射面とキャビティの底面とが45°の角度を成し、かつ上記出射方向と反射要素の反射面とが同様に45°の角度を成すようにキャビティ内に反射要素を配置するステップと、を含む。
【0018】
キャビティ内の反射要素の位置および方向は有利なことに、本方法ではキャビティの底面と側壁との間の縁部で支持される反射要素の配置によって、反射要素の位置および方向を確定するための別の調節ステップを必要とせずに高精度で確定される。したがって、本方法は有利なことに、単純かつ安価に実行可能である。
【0019】
本方法の一実施形態では、反射要素を配置する際に、キャリアは、底面と側壁との間の縁部が底面より下、および側壁より下に配置されるように傾けられる。したがって、反射要素は、反射要素がキャリアのキャビティ内に配置される際に重力によって自動的に、キャビティの底面と側壁との間の縁部で支持されるように移動され、かつ/または支持されている状態が維持される。その結果、本方法は有利なことに、よりいっそう単純に実行される。
【0020】
本方法の一実施形態では、キャリアを設けるステップには、エッチングプロセスによってキャビティを形成することが含まれる。これにより、有利なことに、キャリアを設ける単純かつ安価なステップが可能になる。特に、キャリアにキャビティを形成することは、半導体技術の確立された諸方法によって行われうる。
【0021】
本方法の一実施形態では、反射要素は、はんだ接続または接着剤によってキャビティ内に固着される。これにより、有利なことに、単純、頑丈、かつ安価に反射要素をキャビティ内に固着することができる。
【0022】
本方法の一実施形態では、本方法は、カバーによってキャビティを密封するさらなるステップを含む。カバーは例えば、ウェハ接合方法によってレーザ部品のハウジング要素のキャリアに固着されうる。本方法によって得られるレーザ部品では、レーザ部品のハウジングのカバーにおいてビーム偏向が行われなくてもよいため、有利なことに、特別にカバーを調節する必要がない。したがって、本方法は、単純、迅速かつ安価に実行可能である。
【0023】
本方法の一実施形態では、キャリアには、それぞれが底面および側壁を有する複数のキャビティが設けられる。この場合、レーザチップの出射方向がキャビティの底面に平行になるようにレーザチップが、それぞれ、各キャビティ内に配置される。反射要素は、反射要素がキャビティの底面と側壁との間の縁部で支持され、反射要素の反射面とキャビティの底面とが45°の角度を成し、かつ出射方向と反射要素の反射面とが同様に45°の角度を成すように各キャビティ内に配置される。したがって、本方法では有利なことに、共通の処理ステップにおいて複数のレーザ部品を並行して製造することができる。したがって、有利なことに、個々のレーザ部品あたりの製造コストを大幅に削減することができる。したがって、さらに、レーザ部品あたりの必要な処理時間を有利なことに大幅に減らすことができる。
【0024】
本発明の上記性質、特徴、および、利点、ならびにそれらの実現方法は、それぞれが概略図を示す図面に関連して詳細に説明される例示的な実施形態の以下の記述に関連してさらに明らかとなり、またさらに容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1のレーザ部品の断面側面図である。
図2】第2のレーザ部品の断面側面図である。
図3】第3のレーザ部品の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、第1のレーザ部品10の概略的な断面側面図である。第1のレーザ部品10は、半導体ベースのレーザチップ400が配置されたハウジング100を備える。
【0027】
第1のレーザ部品10のハウジング100は、キャリア200を備える。キャリア200は、キャリア基板から、好ましくは結晶性または半結晶性の半導体基板から製造されている。例えば、キャリア200は、半導体ウェハから、例えばシリコンウェハから、特に例えば{100}シリコンウェハから製造されうる。
【0028】
キャリア200は、上面201、および上面201とは反対側に位置する下面202を有する。キャビティ210が、キャリア200の上面201に構成されている。キャビティ210は、上面201から下面202方向にキャリア200内に延在している。キャビティ210は、キャリア200の上面201および下面202に基本的に平行な底面220を有する。キャビティ210は、キャリア200の上面201において開口し、底面220の領域において閉鎖されている。
【0029】
側壁230が、キャビティ210の底面220からキャリア200の上面201まで伸長している。縁部240が、底面220と側壁230との間に構成されている。側壁230は、底面220に対して角度250分傾斜しており、角度250は、0°〜90°であり、かつ特に45°以外の値でありうる。側壁230の傾斜によって、キャビティ210の幅は、キャリア200の底面220側から上面201方向に、すなわちキャビティ210の開口方向に広がっている。
【0030】
キャビティ210は例えば、キャリア200の上面201にエッチング方法を用いて形成されていてもよい。キャリア200が結晶性または半結晶性の半導体材料を含む場合、キャビティ210の底面220、および底面220に対して角度250分傾斜した側壁230を構成するためにエッチング速度の異方性を使用してもよい。キャリア200が、上面201が{100}面によって形成されるシリコンウェハである場合、底面220も同様に{100}面によって形成され、側壁230はキャリアの{111}面によって形成される。この場合、キャビティ210の側壁230と底面220との間の角度250は例えば、54.74°である。しかしながら、キャビティ210の底面220および/または側壁230を、他の結晶面によって形成してもよい。キャリア200はまた、シリコン以外の材料からなっていてもよい。キャビティ210はまた、エッチング方法以外の方法によって構成されていてもよい。
【0031】
第1のレーザ部品10のキャリア200は、第1のスルーコンタクト260および第2のスルーコンタクト270を有する。スルーコンタクト260,270は、それぞれ、キャビティ210の底面220からキャリア200の下面202まで伸長している。第1のコンタクト要素261および第2のコンタクト要素271がキャビティ210の底面220に配置されている。第1のはんだコンタクト面262および第2のはんだコンタクト面272がキャリア200の下面202に配置されている。第1のコンタクト要素261は、第1のスルーコンタクト260によって第1のはんだコンタクト面262に電気接続されている。第2のコンタクト要素271は、第2のスルーコンタクト270によって第2のはんだコンタクト面272に電気接続されている。コンタクト要素261,271およびはんだコンタクト面262,272は例えば、平坦なメタライゼーションとして構成されていてもよい。スルーコンタクト260,270は例えば、キャリア200の、導電性材料で充填される開口部として構成されていてもよい。
【0032】
キャリア200の下面202の第1のはんだコンタクト面262および第2のはんだコンタクト面272は、第1のレーザ部品10の電気接続のために使用されうる。第1のレーザ部品10は例えば、リフローはんだ付けによる表面実装等の表面実装のためのSMT部品として提供される。
【0033】
レーザチップ400は、キャリア200のキャビティ210内でキャビティ210の底面220に配置されている。この場合、レーザチップ400の下面410は、底面220に対向している。レーザチップ400の第1のコンタクト面411および第2のコンタクト面412がキャリア200のキャビティ210の底面220の上の第1のコンタクト要素261および第2のコンタクト要素271に電気接続されている。図1に示した例では、レーザチップ400のコンタクト面411,412は、レーザチップ400の下面410に配置されており、例えばはんだ接続によってキャビティ210の底面220の上のコンタクト要素261,271に接続されている。しかしながら、コンタクト面411,412は、レーザチップ400の他の位置に配置されていてもよく、および/または他の方法、例えば接着剤接続によってキャリア200のコンタクト要素261,271に接続されていてもよい。
【0034】
第1のレーザ部品10のキャリア200は、第1のスルーコンタクト260および第2のスルーコンタクト270に加えて、さらなるスルーコンタクトであって、レーザチップ400からの廃熱を放散し、かつこの廃熱をハウジング100のキャリア200の下面202まで運ぶ目的のさらなるスルーコンタクトを有していてもよい。これらのさらなるスルーコンタクトは、キャビティ210の底面220の上のさらなるコンタクト要素に接続され、さらなるコンタクト要素は、レーザチップ400との高い熱伝導性の接続を確立するために使用される。さらなるスルーコンタクトはさらに、キャリア200の下面202のさらなるはんだコンタクト面に接続され、さらなるはんだコンタクト面は、第1のレーザ部品10の外へ廃熱を伝導するために使用される。
【0035】
レーザチップ400は、レーザチップ400の下面410に直交するレーザファセット420を有する。レーザチップ400は、レーザファセット420において、レーザファセット420に直交する出射方向430にレーザ光440を出射するように構成されている。したがって、出射方向430は、レーザチップ400の下面410に基本的に平行であり、ひいてはキャリア200のキャビティ210の底面220にも同様に基本的に平行である。レーザチップ400の出射方向430は、キャビティ210の側壁230の方向に向けられている。
【0036】
レーザチップ400によって出射されるレーザ光440は、第1のレーザ部品10によってキャリア200の上面201に直交する方向に出射されることが意図されている。この目的のために、レーザチップ400によって出射されるレーザ光440は90°偏向されなければならない。この目的のために、第1のレーザ部品10は第1の反射要素500を有する。
【0037】
第1の反射要素500は、三角形の基面を有するプリズムの幾何学的形状、好ましくは円柱の幾何学的形状を有する。したがって、第1の反射要素500は、楔の形状に構成されている。第1の反射要素500は例えば、ガラスからなっていてもよい。
【0038】
第1の反射要素500は、反射面510および支持面520を有する。反射面510と支持面520とは、角度530を成す。第1の反射要素500の反射面510と支持面520との間の角度530は、キャビティ210の側壁230のキャビティ210の底面220に対する傾斜角度である角度250と、第1の反射要素500の反射面510と支持面520との間の角度530との差が45°の値であるように設定されている。例えば、側壁230のキャビティ210の底面220に対する傾斜角度である角度250が54.74°である場合、第1の反射要素500の反射面510と支持面520との間の角度530の値は9.74°である。
【0039】
第1の反射要素500は、キャリア200のキャビティ210内に配置されている。この場合、第1の反射要素500の支持面520は、キャビティ210の側壁230で支持されている。同時に、第1の反射要素500はまた、キャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240でも支持されている。これにより確実に、第1の反射要素500のキャリア200のキャビティ210内での位置および方向が確定される。第1の反射要素500の反射面510は、キャビティ210内に配置されたレーザチップ400のレーザファセット420の方向を向いている。
【0040】
説明した第1の反射要素500の配置の結果、第1の反射要素500の反射面510は、キャビティ210の底面220に対して45°の角度540で傾斜している。さらに、レーザチップ400の出射方向430と第1の反射要素500の反射面510とは、同様に45°の角度550を成している。また、キャリア200のキャビティ210内での第1の反射要素500の方向は、キャビティ210の底面220に直交し、レーザチップ400のレーザファセット420に直交し、かつ第1の反射要素500の反射面510に直交する面が存在することによっても表現される。当然、製造の精度に応じて一定の公差および逸脱がありうる。
【0041】
第1のレーザ部品10の動作時、レーザチップ400によってレーザファセット420において出射されたレーザ光440は、第1の反射要素500の反射面510に45°の角度550で突き当たるため、出射方向430に直交する方向、すなわち、同様にキャリア200のキャビティ210の底面220に直交する方向に偏向される。このように偏向されたレーザ光440は、キャリア200の上面201においてキャリア200のキャビティ210から出てくる、したがって第1のレーザ部品10によって出射される。
【0042】
キャリア200のキャビティ210は、キャリア200の上面201においてカバー300によって閉鎖される。第1のレーザ部品10の動作時にレーザチップ400のレーザファセット420の過度な経年劣化を回避するために、キャビティ210は好ましくは、カバー300によって堅く密封されている。カバー300は、光透過性材料、例えばガラスを含む。カバー300は例えば、平行平面板として構成される。第1の反射要素500の反射面510で反射されるレーザ光440は、カバー300を通ってキャリア200のキャビティ210から、好ましくは偏向されずに、またはわずかにのみ偏向されて出てくる。
【0043】
第1のレーザ部品10を製造するために、最初にキャリア200の上面201にキャビティ210を形成する。次に、事前に作成した第1の反射要素500をキャビティ210内に配置し、第1の反射要素500がキャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240で支持されるようにキャビティ210の側壁230に固着する。第1の反射要素500の支持面520をキャビティ210の側壁230に固着することは例えば、接着接合またははんだ付けによって実行される。
【0044】
キャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240が底面220より下、および側壁230より下に配置されるようにキャリア200を傾けて第1の反射要素500をキャリア200のキャビティ210内に配置することができる。したがって、第1の反射要素500は、重力の影響を受けて自動的に側壁230と底面220との間の縁部240までキャビティ210の側壁230上を滑動する。これにより確実に、第1の反射要素500は、キャリア200のキャビティ210内の所望の位置および方向をとる。
【0045】
さらなる製造ステップでは、レーザチップ400は、キャリア200のキャビティ210の底面220に配置される。レーザチップ400のキャビティ210内への配置を、第1の反射要素500をキャリア200のキャビティ210内に配置する前に実行してもよい。レーザチップ400のキャリア200のキャビティ210内での所望の位置および方向は例えば、レーザチップ400のコンタクト面411,412とキャビティ210の底面220の上のコンタクト要素261,271とのはんだ接続を製造する際のレーザチップ400の自動位置合わせによって調節される。
【0046】
次いで、キャリア200のキャビティ210をカバー300で閉鎖してもよい。
【0047】
キャリア200の上面201に複数のキャビティ210を構成することができる。この場合、キャリア200は例えば、ウェハとして構成される。次に、レーザチップ400および第1の反射要素500が上述の方法でキャリア200の全キャビティ210内に配置される。次に、このように製造された複数の第1のレーザ部品が分離されるようにキャリア200は分割される。
【0048】
図2は、第2のレーザ部品20の概略的な断面側面図である。第2のレーザ部品20、および第2のレーザ部品20を製造するために使用される製造方法は、図1を用いて説明した第1のレーザ部品10および第1のレーザ部品10の製造方法と大きく類似する。したがって、互いに対応する構成部分は、図1および図2の表現において同じ参照符号で示されている。第2のレーザ部品20と第1のレーザ部品10との差異のみを以下に説明する。
【0049】
第2のレーザ部品20は、第1の反射要素500に代えて第2の反射要素600を有する。第2の反射要素600は、三角形の基面を有するプリズムまたは円柱の幾何学的形状を有する。第2の反射要素600も例えば、ガラスからなっていてもよい。
【0050】
第2の反射要素600は、反射面610および支持面620を有する。第2の反射要素600の支持面620は、第2のレーザ部品20のキャリア200のキャビティ210の底面220で支持されている。この場合、第2の反射要素600もまた、キャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240で支持されている結果、第2の反射要素600の位置および方向が確定されている。
【0051】
第2の反射要素600の反射面610は、第2のレーザ部品20のレーザチップ400のレーザファセット420に対向している。第2の反射要素600の反射面610とキャリア200のキャビティ210の底面220とは、45°の角度640を成す。したがって、レーザチップ400の出射方向430と第2の反射要素600の反射面610とは、同じく45°の角度650を成す。
【0052】
第2のレーザ部品20を製造する際、第2の反射要素600の支持面620は、例えば接着剤またははんだ接続によってキャリア200のキャビティ210の底面220に固着される。第2のレーザ部品20を製造する際にも同様に、キャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240が底面220より下、および側壁230より下に配置されるようにキャリア200を傾けて第2の反射要素600を位置合わせしてもよい。その結果、第2の反射要素600は重力によって底面220と側壁230との間の縁部240の方向に引き寄せられる。
【0053】
図3は、第3のレーザ部品30の概略的な断面側面図である。第3のレーザ部品30、および第3のレーザ部品30を製造するために使用される方法は、図1を用いて説明した第1のレーザ部品10および第1のレーザ部品10の製造方法と大きく類似する。したがって、図1と同じ参照符号が図3の対応する構成部分に使用されている。第3のレーザ部品30と第1のレーザ部品10との差異のみを以下に説明する。
【0054】
第3のレーザ部品30は、第1の反射要素500に代えて第3の反射要素700を有する。第3の反射要素700は、台形の断面領域を有するプリズムの幾何学的形状、好ましくは円柱の幾何学的形状を有する。第3の反射要素700も例えば、ガラスからなっていてもよい。
【0055】
第3の反射要素700は、反射面710、第1の支持面720、および第2の支持面730を有する。第3の反射要素700の第1の支持面720は、キャリア200のキャビティ210の側壁230で支持されている。第3の反射要素700の第2の支持面730は、キャリア200のキャビティ210の底面220で支持されている。第3の反射要素700もまた、キャビティ210の底面220と側壁230との間の縁部240で支持されていることにより、第3の反射要素700の方向および位置が高精度で確定される。
【0056】
第3の反射要素700の反射面710は、レーザチップ400のレーザファセット420に対向している。反射面710とキャリア200のキャビティ210の底面220とは、45°の角度740を成す。したがって、レーザチップ400の出射方向430と第3の反射要素700の反射面710とは、同じく45°の角度750を成す。
【0057】
第3のレーザ部品30のキャリア200のキャビティ210内に第3の反射要素700を搭載することも同様に、キャリア200をわずかに傾けて行われてもよく、その結果、底面220と側壁230との間の縁部240がキャビティ210の底面220より下、および側壁230より下に配置される。したがって、キャビティ210の底面220および側壁230で支持されている第3の反射要素700は、重力によって保持される。
【0058】
好ましい例示的実施形態に基づき、本発明を詳細に例示および説明してきた。しかしながら、本発明は、開示した例に限定されない。むしろ、当業者であれば、開示した例に基づき、本発明の保護範囲から逸脱することなく、他の変形形態を得ることができる。
【0059】
本特許出願は、独国特許出願第102014114618.2号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に援用される。
【符号の説明】
【0060】
10 第1のレーザ部品
20 第2のレーザ部品
30 第3のレーザ部品
100 ハウジング
200 キャリア
201 上面
202,410 下面
210 キャビティ
220 底面
230 側壁
240 縁部
250,530,540,550,640,650,740,750 角度
260 第1のスルーコンタクト
261 第1のコンタクト要素
262 第1のはんだコンタクト面
270 第2のスルーコンタクト
271 第2のコンタクト要素
272 第2のはんだコンタクト面
300 カバー
400 レーザチップ
411 第1のコンタクト面
412 第2のコンタクト面
420 レーザファセット
430 出射方向
440 レーザ光
500 第1の反射要素
510,610,710 反射面
520,620 支持面
600 第2の反射要素
700 第3の反射要素
720 第1の支持面
730 第2の支持面
図1
図2
図3