特許第6393429号(P6393429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393429
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】家具駆動装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/40 20170101AFI20180910BHJP
   A47B 88/453 20170101ALI20180910BHJP
【FI】
   A47B88/04 E
   A47B88/00 H
【請求項の数】18
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-535046(P2017-535046)
(86)(22)【出願日】2015年11月23日
(65)【公表番号】特表2018-500139(P2018-500139A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】AT2015000148
(87)【国際公開番号】WO2016106434
(87)【国際公開日】20160707
【審査請求日】2017年8月21日
(31)【優先権主張番号】A4/2015
(32)【優先日】2015年1月2日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】391013232
【氏名又は名称】ユリウス・ブルム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】JULIUS BLUM GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ゲッツ
(72)【発明者】
【氏名】エルヴィス・ムジーク
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/109579(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/094523(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/124706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能に支持された家具部品(3)を家具カーカス(2)に対して閉位置に収納する家具駆動装置(7)であって、
ハウジング(9)と、
可動家具部品(3)に取り外し可能に連結される引き込み部材(30)と、
前記引き込み部材(30)に力を加えるばね装置(29)と、
前記ハウジング(9)に配置または形成された少なくとも1つの案内路(26)と、
を備え、
前記引き込み部材(30)は前記案内路(26)に沿って移動可能に配置され、
前記案内路(26)は、前記引き込み部材(30)を解放可能に係止する第1のベンド部(27)を含み、
前記案内路(26)は、前記引き込み部材(30)を解放可能に係止するための少なくとも1つの第2のベンド部(28)を含み、
第1および第2切り替え位置を有する少なくとも1つの可動式に支持されたスイッチ部材(15)が設けられ、
前記引き込み部材(30)が前記第2のベンド部(28)内に移動できるように、前記第1切り替え位置において、前記スイッチ部材15が前記第1のベンド部(27)を塞ぎ、前記引き込み部材(30)が第1のベンド部(27)内に移動できるように、前記第2切り替え位置において、前記スイッチ部材(15)が前記第1のベンド部(27)を塞がない、
家具駆動装置。
【請求項2】
前記第1のベンド部(27)への引き込み部材(30)の入り込みを防止するために、前記スイッチ部材(15)は、前記第1切り替え位置において、閉塞によって前記第1のベンド部(27)を塞ぐ、
請求項1の家具駆動装置。
【請求項3】
前記スイッチ部材(15)は、案内路(26)に隣接して側方に配置され、引き込み部材(30)の前記第1のベンド部(27)への入り込みが防止されるように、前記第1切り替え位置において、引き込み部材(30)を偏らせる
請求項1の家具駆動装置。
【請求項4】
前記スイッチ部材(15)はハウジング(9)に移動可能に取り付けられる、
請求項1から3のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項5】
前記ばね装置(29)とは別体のばね部材(32)が設けられ、前記ばね部材によりスイッチ部材(15)を前記第1切り替え位置に押し込むことができる
請求項1から4のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項6】
前記第1のベンド部(27)と前記第2のベンド部(28)とは、前記ハウジング(9)の長手方向に互いに離れている、
請求項1から5のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項7】
前記第1のベンド部(27)および前記第2のベンド部(28)は、少なくとも所定領域にわたって互いに平行に延びている
請求項1から3のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項8】
前記引き込み部材(30)が前記第1のベンド部(27)に解放可能に係止される位置における前記ばね装置(29)は、前記引き込み部材(30)が前記第2のベンド部(28)に解放可能に係止される位置よりも、弱く引っ張られている
請求項1から7のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項9】
前記ばね装置(29)は、引き込み部材(30)とは別体のばねホルダ(33)によって引っ張られ、
引き込み部材(30)とばねホルダ(33)とを動的に連結するための連結装置(35)が設けられており、
前記連結装置(35)により、ばねホルダ(33)上のばね装置(29)の固定位置(39b)は、引き込み部材(30)が引き出されている際に、移動する引き込み部材(30)の位置に対して後退する、
請求項1から8のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項10】
前記引き込み部材(30)は、変位可能なスライダ(48)に接続されており、
前記連結装置(35)は、前記ばねホルダ(33)に連結される傾動部(36)を備え、
前記傾動部(36)は第1歯配列(42)を有し、
前記連結装置(35)は、前記スライダ(47)上に配置された第2歯配列(43)をさらに備え、
前記第1歯配列(42)と第2歯配列(43)は互いに接続されている
請求項9の家具駆動装置。
【請求項11】
前記傾動部(36)は制御曲線(41)に沿って案内される、
請求項10の家具駆動装置。
【請求項12】
前記制御曲線(41)は、制御曲線(41)の頂点(44)で互いに接続された第1区域(41a)と第2区域(41b)とを有する、
請求項11の家具駆動装置。
【請求項13】
前記第1のベンド部(27)が塞がれている、前記スイッチ部材(15)の前記第1切り替え位置において、前記傾動部(36)は、前記制御曲線(41)の前記第1区域(41a)に沿っておよび前記第2区域(41b)に沿って案内される、
請求項12の家具駆動装置。
【請求項14】
前記案内経路(26)の前記第1のベンド部(27)が塞がれていない、前記スイッチ部材(15)の前記第2切り替え位置において、前記傾動部(36)は、前記制御曲線(41)の前記第1区域(41a)に沿ってのみ案内される、
請求項12または13の家具駆動装置。
【請求項15】
前記スイッチ部材(15)は、前記第1および第2切り替え位置間を手動操作によって切り替えられる、
請求項1から14のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項16】
前記可動家具部品(3)を排出する排出装置(8)を取り付けることにより、前記スイッチ部材(15)を前記第1および第2切り替え位置間で切り替えられ、
前記排出装置(8)は、前記家具駆動装置(7)の前記ハウジング(9)に後付けされる、
請求項1から15のいずれか1つの家具駆動装置。
【請求項17】
移動可能に取り付けられた家具部品(3)を閉端位置に収納する、請求項1から16のいずれか1つの家具駆動装置(7)と、
閉位置から開位置に向けて、可動家具部品(3)を排出する排出装置(8)と、
を備える構造物。
【請求項18】
家具カーカス(2)に取り付けられたカーカスレール(5)と、前記カーカスレール(5)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも1つの延長レール(6)とを備え、
請求項1から16のいずれか1つの家具駆動装置(7)または請求項17の構造物をさらに備える
引き出しガイド(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動可能に支持された家具部品を家具のカーカスに対して閉位置に収納する家具駆動装置であって、
ハウジングと、
可動家具部品に取り外し可能に連結される引き込み部材と、
引き込み部材に力を加えるばね装置と、
ハウジングに配置または形成された少なくとも1つの案内路と、を備え、引き込み部材は案内路に沿って移動可能に配置され、案内路は、引き込み部材を解放可能に係止する第1のベンド部を含む家具駆動装置に関する。
【0002】
本発明は、後述するタイプの家具駆動装置と、可動家具部品を排出する排出装置とを備え、可動家具部品は、排出装置によって閉位置から開位置に向けて排出される、構造物に関連する。さらに、本発明は、そのような家具駆動装置を備えた、または、前述のタイプの構造物を備えた引き出しガイドに関する。
【背景技術】
【0003】
収納装置の形態の家具駆動装置(例えば、欧州特許第391221号公報に知られている)は、特に、その延長経路の広い領域にわたって自由に移動可能な引き出しまたは引き戸で採用されている。引き出しや引き戸は、収納装置の引き込み部材によって閉移動の終点で係合されており、ばねの力によって閉端位置に引っ張られている。可動家具部品が開かれると、使用者は、まず、所定の距離の後、引き込み部材が案内経路の湾曲部内に移動するまで、ばねの抵抗に抗して引っ張り力を加える必要があり、それによって、可動家具部品は引き込み部材から切り離される。湾曲部によって、引き込み部材は、停止された自動ロック式停止位置に解放可能に係止され、そこでは、ばね装置は引っ張られた状態にあり、それと共に、次の引き込み過程のための準備位置に位置される。閉端位置の終端までの可動家具部品の引き込み経路はそれによって一定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第391221号公報
【特許文献2】オーストリア特許出願公開514666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オーストリア特許出願公開514666号公報が公開された当初から、特定のタイプの家具駆動装置が知られており、これには、引き込み部材は、異なる長さを有する少なくとも2つの案内経路に沿って引き込み部材が移動するかどうかを選択する調整手段を有する。このような構成では、ばね装置の異なるプレストレス条件での引き込み部材の引き込み経路の長さの調整が可能になる。調整手段の機能において、第1または第2の案内経路に係合する引き込み部材にペグが設けられる。したがって、ペグの形態の調整手段は引き込み部材に備えられている部分であるため、引き込み部材は製造するのにやや複雑である。さらに、移動可能なペグのために、引き込み部材は、一方の側でのみ(すなわち、ハウジングの一方の側のみ)案内されるおそれがあり、引き込み部材が望ましくない態様で傾けられる危険性がある。
【0006】
本発明の目的は、導入部に記載されたタイプの家具駆動装置を提案し、それにより上記の欠点を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求の範囲の請求項1の特徴によって達成される。さらに有益な構成が、従属する下位請求項に明示される。
【0008】
したがって、本発明によれば、前記案内路は、前記引き込み部材を解放可能に係止するための少なくとも1つの第2のベンド部を含み、第1および第2切り替え位置を有する少なくとも1つの可動式に支持されたスイッチ部材が設けられ、前記引き込み部材が前記第2のベンド部内に移動できるように、前記第1切り替え位置において、前記スイッチ部材15が前記第1のベンド部を塞ぎ、前記引き込み部材が第1のベンド部内に移動できるように、前記第2切り替え位置において、前記スイッチ部材は前記第1のベンド部を塞がない。
【0009】
言い換えると、案内経路は、引き込み部材を解放可能に係止するためにハウジングの長手方向に互いに離間して配置された、少なくとも2つのベンド部を含み、可動家具部品を開ける際に、ベンド部内への引き込み部材の移動は、引き込み部材とは別体の可動式に支持されたスイッチ部材によって任意に制御される。スイッチ部材が第1の位置では、第1のベンド部が塞さがれているので、引き込み部材が第2のベンド部内に移動することができる。逆に、スイッチ部材が第2の位置では、第1のベンド部が塞がれていないので、引き込み部材が第1のベンド部内に移動する。
【0010】
少なくとも2つのベンド部により、引き込み部材は、ハウジングに対して、互いに離れた少なくとも2つの位置において任意に係止され、引き込み部材の2つの異なる係止位置により、可動家具部品を収納するために、引き込み部材の異なる長さの2つの引き込み経路および2つの異なるばね力が利用される。
【0011】
このようにして、引き込み部材の引き込み経路と、可動家具部品に作用するばね装置によってもたらされる力とを、可変的に調節することができる。小さな引き出しを有する場合、例えば、比較的短い引き込み経路で十分である。より大きくて、より重い引き出しを有する場合、引き出しは、その重量および発生する摩擦のために、閉端位置に完全に達する前に開位置にとどまることがあるかもしれない。引き込み経路の拡大(すなわち、引き込み部材の2つの端部位置間の相対距離の拡大)により、引き出しをより大きなばね力でより長い引き込み経路にわたって収納することができる。
【0012】
したがって、第1切り替え位置におけるスイッチ部材が第1のベンド部を完全に塞ぐことは必須ではない。代わりに、第1切り替え位置にあるスイッチ部材が、第1のベンド部内への引き込み部材の移動を防止するような態様で配置されていれば十分である。
【0013】
1つの実施態様によれば、前記第1のベンド部への引き込み部材の移動を防止するために、前記スイッチ部材は、前記第1切り替え位置において、閉塞によって前記第1のベンド部を塞ぐ。したがって、引き込み部材を引き抜く際に、第1のベンド部が少なくとも部分的に塞がれまたは障害物を置かれ、それとともに、引き込み部材が第1のベンド部に挿入されることを防止するように、第1切り替え位置にあるスイッチ部材が配置される。
【0014】
別の実施態様によれば、前記スイッチ部材は、案内路に隣接して側方に配置され、引き込み部材の前記第1のベンド部への移動が防止されるように、前記第1切り替え位置において、引き込み部材を偏らせる。したがって、この実施態様では、スイッチ部材は、案内経路の横側または外側に横方向に配置され、延長方向に向かって移動している引き込み部材を逸らすかまたは方向を変えることによって、第1のベンド部内に移動するのを防止する。
【0015】
本発明の範囲内では、用語「ベンド部」は、曲がり形状の湾曲部を含むと理解されるだけでなく、案内経路の斜面部も含むと理解される。
【0016】
本発明のさらなる利点は、そのような家具駆動装置が、閉位置から開位置に向けて可動家具部品を排出する追加の排出装置を備えていることにある。そのような排出装置は、しばしば、タッチラッチ機構によって解放される少なくとも1つの、好ましくは係止可能なエネルギー蓄積部材を有する。これらのタッチラッチシステムは、可動家具部品に(例えば美的な理由により)把持ハンドルがない場合に特に用いられる。これにより、閉じられた家具部品に手動で押す力または引っ張り力を加えることにより、排出装置のロックを解放することができ、移動可能に支持された家具部品は、エネルギー蓄積部材(好ましくは排出ばね)の力によって開位置に向けて排出される。その後、人は、わずかに開いた家具部品を、(把持ハンドルの配置がなくても)前面プレートの後ろを把持することによって引き出し方向にさらに移動させることができる。
【0017】
引き込み機能を備えた家具駆動装置と排出装置とが互いに連結されると、多くの場合、引き込みばねの操作力と排出ばねの操作力とが逆方向に作用して互いに干渉する問題がある。排出装置を併用する場合に、スイッチ部材の調整によって、引き込み部材の引き込み経路を短くすることが可能になり、排出装置のエネルギー蓄積部材は、引き込み部材のそれぞれのより短い引き込み経路と、第1の家具駆動装置のばね装置の減少した力を達成するだけでよい。
【0018】
しかしながら、追加の排出装置として用いる場合、可動家具部品の収納動作時に頻繁に影響されるエネルギー蓄積部材にエネルギーを蓄える必要がある。しかしながら、排出ばねに荷重される力は、可動家具部品の収納動作の力に抗して作用しており、過度に長い引き込み経路は、可動家具部品を閉位置に完全に引き込むことができない、という結果につながる可能性がある。スイッチ部材を第2切り替え位置に調整することにより、家具駆動装置の短縮された引き込み経路が与えられるので、この問題を解決することができる。短縮された引き込み経路によって、排出装置のエネルギー蓄積部材に完全にエネルギーを蓄積することができ、さらに、家具駆動装置の閉じる力によって可動家具部品を閉位置に完全に安全に引き込むことができる。
【0019】
スイッチ部材は、例えば、手動操作によって、または、第1および第2切り替え位置間の器具による作動によって切り換えることができる。1つの実施態様によれば、もう1つの方法として、可動家具部品を排出する排出装置を装着することにより、スイッチ部材を第1および第2の切り替え位置間で切り替え、排出装置は家具駆動装置のハウジングに後付け式に接続されることも可能である。あるいは、スイッチ部材は、電気機械スイッチまたは電子スイッチ(例えば、トランジスタ)を含んでもよい。
【0020】
図面の以下の説明を参照して、本発明をさらに詳細に、その利点も説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】家具カーカスおよびそれに移動可能な引き出しを有する家具製品の斜視図
図2a】引き出しガイドの斜視図
図2b図2aの拡大詳細図
図3a】可動家具部品を閉位置に収納する家具駆動装置と、その上に取り付けられる排出装置とを備えた引き出しガイドの斜視図
図3b】排出装置の取り付けの拡大詳細図
図3c】排出装置の取り付けの拡大詳細図
図4a】閉位置にある引き込み部材を備えた家具駆動装置の側面図
図4b図4aの拡大詳細図
図4c】部分的に隠れている構成部材を有する図
図5a】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、それによって案内経路の第1のベンド部を塞いでいる場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図5b】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、それによって案内経路の第1のベンド部を塞いでいる場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図5c】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、それによって案内経路の第1のベンド部を塞いでいる場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図5d】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、それによって案内経路の第1のベンド部を塞いでいる場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図6a】スイッチ部材が第2切り替え位置に位置しており、それによって引き込み部材の入り込みが可能となるように案内経路の第1のベンド部を解放している場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図6b】スイッチ部材が第2切り替え位置に位置しており、それによって引き込み部材の入り込みが可能となるように案内経路の第1のベンド部を解放している場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図6c】スイッチ部材が第2切り替え位置に位置しており、それによって引き込み部材の入り込みが可能となるように案内経路の第1のベンド部を解放している場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図6d】スイッチ部材が第2切り替え位置に位置しており、それによって引き込み部材の入り込みが可能となるように案内経路の第1のベンド部を解放している場合の、時系列的な引き込み部材の伸長過程
図7】家具駆動装置の分解図
図8】引き込み部材のための案内路と、力低減機構のロッカ部材の制御曲線との概略図
図9a】第1のベンド部への引き込み部材の入り込みが防止されるように、第1のスイッチング位置にあるスイッチ部材が引き込み部材を偏らせる、少し変形された実施形態の家具駆動装置
図9b】第1のベンド部への引き込み部材の入り込みが防止されるように、第1のスイッチング位置にあるスイッチ部材が引き込み部材を偏らせる、少し変形された実施形態の家具駆動装置
図10a】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、伸長方向における引き込み部材の異なる位置での、図9a、図9bの部分図である。
図10b】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、伸長方向における引き込み部材の異なる位置での、図9a、図9bの部分図である。
図10c】スイッチ部材が第1切り替え位置に位置しており、伸長方向における引き込み部材の異なる位置での、図9a、図9bの部分図である。
図11a】スイッチ部材が前記第2切り替え位置に位置しており、引き込み部材の2つの異なる位置での図9a、図9bの家具駆動装置の部分図
図11b】スイッチ部材が前記第2切り替え位置に位置しており、引き込み部材の2つの異なる位置での図9a、図9bの家具駆動装置の部分図
図12】スイッチ部材を第1切り替え位置から第2切り替え位置に切り換えることができる、排出装置の家具駆動装置への取り付け過程
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態)
図1は、家具カーカス2を有する家具製品1の斜視図を示す。引出し3aの形態の可動家具部品3は、引き出しガイド4により家具カーカス2に対して移動可能である。引き出しガイド4は、家具カーカス2に固定されるカーカスレール5と、カーカスレール5に対して移動可能に支持された少なくとも1つの延長レール6と、を備える。可動家具3は、家具駆動装置7により、家具カーカス2に対して閉じた位置に引き入れられる。さらに、可動家具部品3を閉じた位置から開いた位置に向けて排出することができる排出装置8が設けられている。
【0023】
図2aは、カーカスレール5と延長レール6とを備えた引き出しガイド4の斜視図を示しており、カーカスレール5と延長レール6との間に中間レール11が長くするように延長されている。図に示されるように、延長レール6が開く方向12に引っ張られるように、引き出しガイド4は閉じた位置に位置している。延長レール6は断面がU字形であり、家具駆動装置7のハウジング9は、好ましくはネジの形態の固定手段により、延長レール6の側部リム14に取り付けられている。家具駆動装置7により、延長レール6は閉動作が終了する閉端位置に引き入れられる。家具駆動装置7は、ハウジング9に対して移動可能に取り付けられたスイッチ部材15を備え、スイッチ部材15は、少なくとも2つの切り替え位置の間で、好ましくは変位または回転して切り替えることができる。スイッチ部材15を切り替えることにより、家具駆動装置7の引き込み部材30(図4a)を、異なる長さを有する少なくとも2つの距離にわたって引き込み部材30の閉端位置に引っ張ることができる。図に示されるように、スイッチ部材15は第1切り換え位置にあり、この位置では、引き込み部材30(と共に延長レール6)のための長い引き込み経路が設けられている。図2bは、図2aの丸で囲んだ部分を拡大図で示す。
【0024】
引き出し3aの後側端部を固定するために、フック16が延長レール6に設けられており、フック16は、取付け位置において、引き出しの後部壁の裏側に配置された孔の中に突出する。引出し3aの前側端部を固定するために、手動で操作される連結レバー17が、延長レール6の前側端部に設けられており、連結レバー17はラッチ端を有し、ラッチ端は、連結レバー17の弾性的な構成により、引き出し3aに取り付けられた運搬レールに解放可能に自動的に掛けられる。さらに、家具駆動装置7のハウジング9は、排出装置8の対応する凹部に係合可能な複数のフック19を有する。遊びのない配置のために、少なくとも1つの突起21が家具駆動装置7のハウジング9上に形成され、突起21は、取り付け位置において、排出装置8のハウジング22に当たる。固定されたカーカスレール5には、排出装置8に連結可能な排出留め具13が取り付けられている。
【0025】
図3aは、延長レール6に固定された家具駆動装置7を備えた引き出しガイド4を示している。排出装置8のハウジング22は、家具駆動装置7のハウジング9に解放可能に固定することができる。排出装置8は、調節ホイール24を備え、これにより、閉位置における引出し3aの位置を可変的に調整することができる。さらに、排出装置8は、排出装置8の移動が家具カーカス2の反対側に配置された第2排出装置8の移動と同期される回転部25を備える。
【0026】
図3aおよび図3bによる拡大詳細図を参照すると、排出装置8のハウジング22は、図2に示されるフック19により家具駆動装置7のハウジング9に対して予め位置決めされており、排出装置8のハウジング22は、スイッチ部材15を作動させるための停止部23を有する。図3aおよび図3bに示される前段階の位置から、図示の矢印の方向に手動で圧力を加えることにより、排出装置8のハウジング22を家具駆動装置7のハウジング9に対して変位させることができ、停止部23が、第1切り替え位置から図3cの第2切り替え位置へと右にスイッチ部材15を変位させる。図3cに示される第2切り替え位置では、家具駆動装置7の引き込み部材30(図4a)の退避経路が、第1切り替え位置と比較して、縮小されて設けられているので、排出装置8のエネルギー蓄積部材は、閉じた位置から引出し3aを排出する際、引き込み部材30の縮小された引き込み経路およびばね装置29の減少した力をそれぞれ超えるだけでよい。
【0027】
図4aは家具駆動装置7の側面図を示し、ハウジング9には、ハウジング9の長手方向に互いに離間した少なくとも2つのベンド部27、28を有する案内路26が形成または設けられている。これにより、ハウジング9上に移動可能に配置されたスイッチ部材15は、第1切り替え位置に位置され、第1のベンド部27が塞がれる。ばね装置29によって作用され、移動可能な家具部品3に解放可能に連結される引き込み部材30は、少なくとも1つの案内部材31により案内路26に沿って移動可能に案内される。ばね装置29は、好ましくは少なくとも1つの引っ張りばねを備え、第1固定位置39aにおいてハウジング9に固定され、第2固定位置39bにおいて、引き込み部材30とは分離されたばねホルダ33に固定されており、ばねホルダ33は、連結装置35(図4c)によって引き込み部材30に移動可能に連結されている。引き込み部材30は、延長レール6または可動家具部品3に固定された連結部材(好ましくは、引き込みペグ)を解放可能に連結するためのノッチ38を有する。2つのベンド部27、28により、引き込み部材30は、ハウジング9に対して2つの異なる位置に別の方法で解放可能に係止することができ、引き込み部材30が解放可能に第1のベンド部27に係止される位置におけるばね装置29は、引き込み部材30が第2のベンド部28に解放可能に係止される位置と比較して、より少ない程度に引っ張られる。第1のベンド部27および第2のベンド部28は、少なくともある領域にわたって互いに平行に延びている。スイッチ部材15は、ばね部材32によって、ベンド部29が塞がれている第1の切り替え位置に押し込まれ、ばね部材32は、ばね装置29から分離している。このようにして、引き込み部材30のためのより長い引き込み経路が提供されている。引き込み部材30のばね補助引き込み運動(および可動家具部品3のそれ)は、減衰装置37、好ましくは油圧ピストンシリンダユニットによって減衰される。
【0028】
図4bは、図4aの囲まれた領域の拡大図である。示された実施形態において、引き込み部材30は、好ましくは回転軸48を中心にして変位可能なスライダ47に接続され、連結装置35は、ボルト45を中心として回転可能に支持される傾動部36を備える。ボルト45は、ばねホルダ33に配置され、スライダ47の長孔46に沿って滑るように支持されている。傾動部36は、制御曲線41に沿って移動可能に案内される少なくとも1つの案内部40を有する。
【0029】
図4cは、図4bの詳細図を示す。ここでは、スライダ47の長孔46は示されていない。連結装置35は、回転可能に取り付けられた傾動部36を備え、傾動部36の第1歯配列42は、スライダ47の第2歯配列43と係合する。連結装置35により、ばね装置29の固定位置39bは、開口方向に向かって移動している引き込み部材30の位置に対して後退し、テンション経路の端部において、ばね装置29の固定位置39bは、引き込み部材30の移動よりも遅い。これにより、ばね装置29の負荷が軽減されるので、望ましくないバネ分離力と、それと関連する可動家具部品3の不当な加速が、可動家具部品3からの取り込み部材30の分離時に防止される。傾動部36を案内するための制御曲線41は、頂点44によって互いに接続された第1区域41aと第2区域41bとを備える。
【0030】
図5a−図5dは、時系列的な引き込み部材30の伸長過程を示す。図4a−4cの閉位置から、引っ張り力を可動家具部品3に手動で加えることによって、引込み部材30を、案内路26の直線延在部26a(図8)に沿って最初に案内することができる。引き込み部材30は、変位可能なスライダ47に回転軸48により回転可能に接続され、スライダ47の歯配列43は、傾動部36の歯配列42とかみ合う。傾動部36は、固定位置39bでばね装置29に連結されているばねホルダ33にヒンジ結合されている。傾動部36は、制御曲線41に沿って案内されるガイド部40を有する。図5a−5dにおいて、スイッチ部材15は第1切り替え位置にあり、したがって、第1のベンド部27は引き込み部材30の入り込みのために塞がれ、引き込み部材30は長い案内路26に沿って案内され、その後、第2のベンド部28に解放可能に係止することができる。
【0031】
図5bにおいて、引き込み部材30はわずかに伸長した位置に配置され、傾動部36の案内部40は制御曲線41の頂点44に位置する。ばねホルダ33上のばね装置29の固定位置36bは、最初は、伸長方向に向かって移動している引き込み部材30と同じ速度で移動する。
【0032】
図5cにおいて、引き込み部材30はさらに伸ばされて、傾動部36の案内部40は、スイッチ部材15の第1の切り替え位置において、制御曲線41の区域41aおよび41bに沿って案内される。歯配列42、43の相互係合および傾動部36の回転運動により、固定位置39bは、連続的に減速を開始し、その結果、ばね装置29は、最大ばね偏位まで引っ張られない。
【0033】
図5dにおいて、引き込み部材30は、第2のベンド部28との相互作用によって回転軸48の周りに回転され、その結果、引き込み部材30は第2のベンド部28に係止され、停止した自己係止開始位置に位置する。引き込み部材30の回転運動によって、延長レール6の連結部材(図示省略)が解放され、可動家具部品3は、非連結状態で開放位置に向かってさらに変位することができる。上述の連結部材は、可動家具部品3が閉じられているときに、引き込み部材30が、移動可能な家具部品3とともに、ばね装置29の力によって閉じた位置に引っ張られるとすぐ、図5dの位置から、再び引き込み部材30をその停止した自己係止準備位置から解放することができる。シリンダ37aとこれに変位可能なピストンロッド37bとを有する減衰装置37によって、ピストンロッド37bの自由端が変位可能なスライダ47に緩く当接すると、引き込み部材30のばね付勢された引き込み運動を減衰させることができる。
【0034】
図6aは家具駆動装置7を示しており、ハウジング9に対して移動可能に取り付けられているスイッチ部材15が、第2切り替え位置に移動されているので、第1案内路27は引き込み部材30の入り込みが解放されている。スイッチ部材15の切り替えは、機械的にのみ行うことができ、好ましくは、家具駆動装置7のハウジング9への排出装置8(図3b、3c)の後付けにより行われる。ばね部材32が圧縮された状態にあることが分かり、排出装置8が取り外されているとき、スイッチ部材15は、弛緩するばね部材32の力によって自動的に第1切り替え位置に戻される。図6aに示すように、引き込み部材30は収縮した端部位置に位置しており、ばね装置29は弛緩状態にある。
【0035】
図6bは、可動家具部品3に手で引っ張る力を加えることによって、引き込み部材30を、まず案内路26の直線状の延在部26a(図8)に沿って移動させることができることを示す。傾動部36を有する連結装置35によって、その歯配列42は、変位可能なスライダ47の歯配列43と相互作用し、力低減機構が実現され、ばねホルダ33上のばね装置29の固定位置39bは、引き込み部材30が引き抜かれると、開き方向に移動している引き込み部材30の位置に戻る。傾動部36は、制御曲線41(図6a)に沿って移動可能に案内される案内部40を有する。
【0036】
図6cは、図6bと比較して、引き込み部材30がさらに伸ばされた引っ張り位置を示す。固定位置39bでのばね装置29の非対称的連結により、引き込み部材30の案内部材40は、第1のベンド部27に向かう方向に横方向に偏る傾向があり、その結果、引き込み部材30は、第2のベンド部28に向かってさらに移動しない。第1のベンド部27および第2のベンド部28は、少なくともある領域にわたって互いに平行に延びてもよい。
【0037】
図6dにおいて、引き込み部材30は、第1のベンド部27に解放可能に係止されており、延長レール6に連結されている連結部材は、回転軸48を中心とする引き込み部材30の回転運動によって解放される。引き込み部材30が第1のベンド部27に係止されている、図示された位置において、ばね装置29は、取り込み部材30が第2のベンド部28に解放可能に係止されている位置のような延びより少なく張られている。スイッチ部材15の少なくとも2つの位置によって、異なる長さを有する少なくとも2つの引き込み経路が引き込み部材30に設けられ、ばね装置29の少なくとも2つの異なる引き込み力が利用できる。
【0038】
図7は、家具駆動装置7を分解図で示している。ハウジング9は、互いに連結される2つのハウジング部分9a、9bを備え、ハウジング部分9a、9bには、ハウジング9の長手方向に互いに離間した2つのベンド部27、28を有する引き込み部材30のための案内路26が形成されている。また、ハウジング9には傾動部36のための制御曲線41が形成されており、制御曲線41は、頂点44で互いに接続された第1区域41aと第2区域41bとを有している。減衰装置37を解放可能に固定するために、弾性ホルダ50aおよび50bがハウジング9に設けられており、シリンダ37aをホルダ50aおよび50bに留めることができる。ばね装置29は、第1固定位置39aでハウジング9に接続され、第2固定位置39bでばねホルダ33に接続され、ばねホルダ33は、スライダ47の長孔46に沿ってボルト45を介して移動可能に案内される。歯配列42を有する傾動部36がばねホルダ33に接続され、歯配列42がスライダ47の歯配列43(図示せず)と相互作用する。引き込み部材30は、回転軸48によってスライダ47にヒンジ結合されている。引き込み部材30は、案内部材31を有し、これにより、引き込み部材30をハウジング9の案内路26に沿って案内し、引き込み部材30を2つのベンド部27、28に解放可能に係止することができる。引き込み部材30は可動家具部品3を解放可能に連結するためのノッチ38を有する。切り替え位置間を移動可能なスイッチ部材15は、ベアリング部材49上に配置され、スイッチ部材15は、第1のベンド部27が塞がれているばね部材32によって、第1切り替え位置に押し込まれている。このようにして、引き込み部材30のためのより長い引き込み経路がデフォルトで(すなわち、排出装置8の取り付けなしで)設けられている。引き込み部材30とは別個のスイッチ部材15は、ツールのための受け取り手段を有してもよく、スイッチ部材15は、ツールの作動によって2つのスイッチング位置の間で切り替えられてもよい。スイッチ部材15はまた、2部分構成または多数部分構成を有してもよく、作動される第1の部分がベンド部27を閉塞する第2の部分に移動可能に結合される。
【0039】
図8は、案内路26の進行を非常に概略的に示しており、引き込み部材30の引き込み位置51から始まる案内路26は、直線移動経路26aと、引き込み部材30を解放可能に係止するために長手方向に互いに離間した少なくとも2つのベンド部27、28を備える。スイッチ部材15の第1切り替え位置では第1のベンド部27が塞がれ、ばね装置29が引っ張られているときに、引き込み部材30が第2のベンド部28に入り込む。これに対して、傾動部36を案内する制御曲線41は、頂点44で互いに接続された第1区域41aと第2区域41bとを含む。離間している2つのベンド部27、28が設けられているとき、制御曲線41は、理論的には、第2区域41aから長手方向に離れたさらなる第3区域41cを必要とする。さらに、傾動部36の第1区域41aまたは第3区域への入り込みは、追加のスイッチ部材15aによって制御される必要がある。しかしながら、第1区域41aに隣接する第2区域41bを設けることによって、第3区域41cならびに追加のスイッチ部材15aを省略することができ、ベンド部27、28の選択と制御曲線41の対応する長さとの両方に対して単一のスイッチ部材15で十分である。ベンド部27、28への引き込み部材30の両方の変位経路により、力の減少は経路に比例する。第1のベンド部27が塞がれた、スイッチ部材15の第1切り替え位置において、傾動部36は、第1区域41aおよび第2区域41bに沿って案内される。逆に、第1のベンド部27が開放された第2の切り替え位置にスイッチ部材15があるとき、傾動部36は制御曲線41の第1区域41aに沿ってのみ案内される。
【0040】
図9aは、少し変形された実施形態における家具駆動装置7を示し、スイッチ部材15は、案内路26の横方向にさらに配置され、第1切り替え位置において、引き込み部材30の第1のベンド部27への入り込みが防止されるように、引き込み部材30を偏らせる。第1のベンド部27への引き込み部材30の入り込みを防止するために、第1切り替え位置において、スイッチ部材15が第1のベンド部27を部分的にまたは完全に塞ぐ先の実施形態とは対照的に、この実施形態の可動スイッチ部材15は、案内路26の横方向または横方向外側に配置されている。スイッチ部材15は可動突起を備え、可動突起は、第1切り替え位置(図9a)において、ハウジング8のベース53から突出し、第2切り替え位置において、ハウジング9のベース53と実質的に同一平面上になり、それにより、引き込み部材30が第1のベンド部27内に移動することを可能にする。この場合においても、既に説明したように、家具駆動装置7のハウジング9に後付けされる排出装置8を着脱することにより、スイッチ部材15を第1切り替え位置と第2切り替え位置とに切り換えることができる。
【0041】
図9bは、第2切り替え位置にあるスイッチ部材15を備えた家具駆動装置7を示しており、開方向に向かう伸長動作時に、引き込み部材30が第2のベンド部27内に延びる。前述の実施形態と同様に、引き込み部材30は、開方向12に向かう伸長動作の際に、(スイッチ部材15が第2の切り替え位置にあるとき)第1のベンド部27内に入り込む。これは、引き込み部材30が、ばね装置29の力により開方向12に対して横方向の力で案内路26の側壁54に押圧されているからである。
【0042】
図10a〜図10cは、伸長方向12に沿った、引き込み部材30の異なる位置での家具駆動装置7の部分断面図を示す。図10aでは、スイッチ部材15は、ハウジング9上に移動可能に配置されており、第1のベンド部27への引き込み部材30の入り込みが防止される第1切り替え位置にある。これにより、可動スイッチ部材15は、案内経路29の横方向に配置され、伸長方向12に向かって伸長する際に、引き込み部材30の入り込みが起きないように、可動スイッチ部材15は、第1切り替え位置において、引き込み部材30を偏らせる。したがって、図10bに示すように、引き込み部材30は、第1のベンド部27を越えて迂回され、そこで、引き込み部材30の案内部材31が、第2のベンド28内に入り込み、それによって、引き込み部材30を回転軸48の周りに回転させる。引き込み部材30が回転軸48の周りで回転動作することにより、可動家具部品3は引き込み部材30から切り離され、伸長方向12に向かってさらに移動することができる。可動家具部品3が再び閉じられると、引き込み部材30は、第2のベンド部28に対して係止位置から解放され、ばね装置29の力によって可動家具部品3と共に閉位置に引っ張られる。
【0043】
図11aおよび図11bはそれぞれ家具駆動装置7の部分断面図であり、ハウジング9に移動可能に取り付けられたスイッチ部材15は、第2切り替え位置に位置している。第2切り替え位置では、スイッチ部材15が引き込み部材30の動きを妨げないように、スイッチ部材15は嵌め込まれている。引き込み部材30の2つの案内部材31がばね装置29の力によって案内路26の側壁54に押し付けられているので、引き込み部材30は、伸長方向12に向かって移動すると、第1のベンド部27に入り込む。第1のベンド部27への案内部材41の入り込みにより、引き込み部材30が回転軸48を中心として回転され、可動家具部品3が解放される。図11bは、引き込み部材30が第1のベンド部27に解放可能に係止されているのを示している。引き込み部材30から横方向に突出する2つの案内部材31により、引き込み部材30は、ハウジング9の2つのハウジング部分9a、9b(図7)の間を両側で案内され、これにより、ハウジング9の2つのハウジング部分9a、9b間での引き込み部材30の望ましくない傾きが防止される。
【0044】
図12a−12cは、家具駆動装置7への排出装置8の取り付けを示しており、この取り付けによって、スイッチ部材15は、第1切り替え位置から第2切り替え位置に切り換えられる。スイッチ部材15は、ハウジング9に移動可能に取り付けられており、図示の実施形態では、取り付け位置で垂直に延びる軸55の周りに回転可能に取り付けられたロッカ(rocker)として構成されている。スイッチ部材15は、ばね部材32の予め定められた力(例えば、板バネの形態)によって第1切り替え位置に保持されており、排出装置8が装着されていないときに、引き込み部材30は案内路26の第2のベンド部28に係止され、また、ばね装置29のより大きな収縮力を伴う、引き込み部材30のためのより長い引き込み経路が提供される。家具駆動装置7のハウジング9は、ハウジング9の長手方向に延びる少なくとも1つのガイド56を有し、その中に排出装置8のリム59を挿入することができる。したがって、排出装置8は、リム59を介してガイド56内に押し込まれ、スイッチ部材15は、垂直方向に延びる軸55を中心として回転され、それと共に、第2切り替え位置に切り換えられ、その結果、引き込み部材30が第1のベンド部27内に入り込む。このようにして、ばね装置29の引っ込み力が低減された、引き込み部材30のより短い引き込み経路が利用可能となる。リム59がガイド56に完全に押し込まれると、家具駆動装置7のハウジング9の少なくとも1つのラッチ部材57(好ましくはノブ)を、排出装置8のリム58の対応する凹部58に解放可能に留めることができる。このようにして、排出装置8は、ハウジング9の長手方向に予め定められた保持力で固定される。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図5d
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図10c
図11a
図11b
図12a
図12b
図12c