特許第6393434号(P6393434)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393434微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6393434
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   G01N27/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-23866(P2018-23866)
(22)【出願日】2018年2月14日
【審査請求日】2018年5月9日
(31)【優先権主張番号】106122883
(32)【優先日】2017年7月7日
(33)【優先権主張国】TW
(31)【優先権主張番号】106132367
(32)【優先日】2017年9月21日
(33)【優先権主張国】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514024712
【氏名又は名称】台湾ナノカーボンテクノロジー股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TAIWAN CARBON NANO TECHNOLOGY CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】特許業務法人森脇特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廖 育萱
(72)【発明者】
【氏名】蔡 芳松
(72)【発明者】
【氏名】呉 雅涵
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群賢
(72)【発明者】
【氏名】李 庭鵑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 群栄
【審査官】 吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−222712(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0167192(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0282259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部と、前記上部の周囲から延在する止め壁部と、前記上部と前記止め壁部で取り囲まれて画成した底溝とを含むユニットを複数具備し、前記ユニット同士が互いに隣接し、且つ複数の前記ユニットの複数の前記止め壁部が互いに連結する構成とする微小電気機械システムウェハーを用意する工程S1と、
前記微小電気機械システムウェハーの前記底溝から離間した側に、ガス検知材料層を形成させる工程S2と、
陽極接合技術を利用して、負圧環境下で、ガラス、ホウケイ酸ガラス又は両者の組み合わせから選ばれる材質からなる構造補強層を、複数の前記底溝を覆うように前記微小電気機械システムウェハーに接合させる工程S3と、
前記構造補強層の前記微小電気機械システムウェハーから離間した側に、接着テープを設置する工程S4と、
複数の前記ユニットの複数の前記止め壁部の連結部位に沿って切断し、前記構造補強層と前記接着テープを同時に切断して、前記底溝を含む複数のガス検知ユニットを形成させる工程S5と、
前記接着テープで、前記ガス検知ユニットを基板に粘着させることで、ガス検知器を形成させる工程S6と
を含むことを特徴とする微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法。
【請求項2】
前記構造補強層の厚さは0.2〜1mmであることを特徴とする
請求項1に記載の微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法。
【請求項3】
前記工程S6の後に、さらに、
吸引装置を用いて前記微小電気機械システムウェハーの一側から前記ガス検知ユニットを吸着した状態で、前記基板まで移動する工程S6Aと、
前記接着テープで、前記ガス検知ユニットを前記基板に粘着させることで、前記ガス検知器を形成させる工程S6Bと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法。
【請求項4】
上部と、前記上部の周囲から延在する止め壁部と、前記上部と前記止め壁部で取り囲まれて画成した底溝とを含むユニットを複数具備し、複数の前記ユニットの複数の前記止め壁部が互いに連結する検知モジュールを複数含み、前記検知モジュール同士が互いに隣接する構成とする微小電気機械システムウェハーを用意する工程P1と、
前記微小電気機械システムウェハーの前記底溝から離間した側に、異なるユニットにそれぞれ形成された複数種のガス検知材料を備えるガス検知材料層を形成させる工程P2と、
陽極接合技術を利用して、負圧環境下で、ガラス、ホウケイ酸ガラス又は両者の組み合わせから選ばれる材質からなる構造補強層を、複数の前記底溝を覆うように前記微小電気機械システムウェハーに接合させる工程P3と、
前記構造補強層の前記微小電気機械システムウェハーから離間した側に、接着テープを設置する工程P4と、
前記複数の検知モジュールの間の連結部位に沿って切断し、前記構造補強層と前記接着テープを同時に切断して、複数種ガス検知ユニットを複数形成させる工程P5と、
前記接着テープで、前記複数種ガス検知ユニットを基板に粘着させることで、複数種ガス検知器を形成させる工程P6とを含むことを特徴とする微小電気機械システム製造プロセスを用いる複数種ガス検知器の製造方法。
【請求項5】
前記構造補強層の厚さは0.2〜1mmであることを特徴とする請求項4に記載の微小電気機械システム製造プロセスを用いる複数種ガス検知器の製造方法。
【請求項6】
前記工程P6の後に、さらに、
吸引装置を用いて前記微小電気機械システムウェハーの一側から前記複数種ガス検知ユニットを吸着した状態で、前記基板まで移動する工程P6Aと、
前記接着テープで、前記複数種ガス検知ユニットを前記基板に粘着させることで、前記複数種ガス検知器を形成させる工程P6Bとを含むことを特徴とする請求項4に記載の微小電気機械システム製造プロセスを用いる複数種ガス検知器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器に関し、特に、微小電気機械システム(MEMS)製造プロセスを用いたガス検知器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システムは機械構造と電子回路を融合させた技術であり、センサーや各種機能を実行するための重要な部品として、加速度計、検出器、アクチュエータなど日常において利用されるデバイスに幅広く用いられている。近年、その微細化が進んでおり、例えば、米発明特許公報第US9249008号の「複数の電極を備える微小電気機械システムデバイス及びその製造方法」に開示された第1の電極と、第2の電極と、第3の電極とからなる特殊な構成により、差圧センサ、差動気圧計、バイパスコンデンサなどの微小電気機械システムデバイスを小型化するものが挙げられる。
【0003】
熱源を効率的に集中させるために、微小電気機械システム製造プロセスでは、一般的に、空気を収容するための凹溝が設けられるが、これに伴って部品全体の強度が低下し、後続の加工を行う際に、切断時に頻繁にエッジ部が切れてしまうため、凹溝に切り屑や洗浄液などが残留し、歩留まりが下がりコストが増えてしまうという問題点があった。
【0004】
また、複数種のガスを検知する場合、複数の微小電気機械システム検知器を取り付けるには、同一の工程を何度も繰り返さなければならないため、製造コストが増えてしまい、製造期間も長期化するという問題点もある。上記の実情に鑑みて、関連研究を行って問題点を解決する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米発明特許公報第US9249008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数種ガス検知用の微小電気機械システム(MEMS)において、機械的強度の低下を防止できるガス検知器の製造方法を提供することを目的とする。具体的には、凹溝が部品全体の機械的強度を低下させ、切断時に頻繁にエッジ部が切れてしまうために歩留まりが下がり、コスト増となるという問題点を解決することを目的とする。
【0007】
また、複数種ガス検知用の微小電気機械システム検知器を製造する際には、同一の工程を繰り返す必要があるため、製造コストが増えてしまい、製造期間も長期化するという問題点を解決することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく、本発明は、微小電気機械システム製造プロセスを用いるガス検知器の製造方法を提供する。以下の工程を含む。
【0009】
工程S1:上部と、前記上部の周囲から延在する止め壁部と、前記上部と前記止め壁部で取り囲まれて画成した底溝とを含むユニットを複数具備し、前記ユニット同士が互いに隣接し、且つ複数の前記ユニットの前記複数の止め壁部が互いに連結する構成とする微小電気機械システムウェハーを用意する。
【0010】
工程S2:前記微小電気機械システムウェハーの前記底溝から離間した側に、ガス検知材料層を形成させる。
【0011】
工程S3:陽極接合技術を利用して、構造補強層を、前記複数の底溝を覆うように前記微小電気機械システムウェハーに接合させる。
【0012】
工程S4:前記構造補強層の前記微小電気機械システムウェハーから離間した側に、接着テープを設置する。
【0013】
工程S5:前記複数のユニットの前記複数の止め壁部の連結部位に沿って切断し、前記構造補強層と前記接着テープを同時に切断して、前記底溝を含むガス検知ユニットを複数形成させる。
【0014】
工程S6:前記接着テープで、前記ガス検知ユニットを基板に粘着させることで、ガス検知器を形成させる。
【0015】
上記の目的を達成すべく、本発明は、微小電気機械システム製造プロセスを用いる複数種ガス検知器の製造方法をさらに提供する。以下の工程を含む。
【0016】
工程P1:上部と、前記上部の周囲から延在する止め壁部と、前記上部と前記止め壁部で取り囲まれて画成した底溝とを含むユニットを複数具備し、複数の前記ユニットの前記複数の止め壁部が互いに連結する検知モジュールを複数含み、前記検知モジュール同士が互いに隣接する構成とする微小電気機械システムウェハーを用意する。
【0017】
工程P2:前記微小電気機械システムウェハーの前記底溝から離間した側に、異なるユニットにそれぞれ形成された複数種のガス検知材料を備えるガス検知材料層を形成させる。
【0018】
工程P3:陽極接合技術を利用して、構造補強層を、前記複数の底溝を覆うように前記微小電気機械システムウェハーに接合させる。
【0019】
工程P4:前記構造補強層の前記微小電気機械システムウェハーから離間した側に、接着テープを設置する。
【0020】
工程P5:前記複数の検知モジュールの間の連結部位に沿って切断し、前記構造補強層と前記接着テープを同時に切断して、複数種ガス検知ユニットを複数形成させる。
【0021】
工程P6:前記接着テープで、前記複数種ガス検知ユニットを基板に粘着させることで、複数種ガス検知器を形成させる。
【発明の効果】
【0022】
上記から分かるように、本発明は以下の利点を有する。
【0023】
1.前記構造補強層を設置することで、部品全体の機械的強度を高め、前記微小電気機械システムウェハーを切断する時にエッジ部が切れる問題を回避し、歩留まりを高め、コストを削減することができる。
【0024】
2.陽極接合技術を利用することで、加熱に起因する前記微小電気機械システムウェハーの損傷を緩和することができ、前記構造補強層と前記微小電気機械システムウェハーとの接合における平坦度を高めるために接着剤を使用する必要がないため、傾斜が生じる問題が回避される。
【0025】
3.異なるユニットに複数種のガス検知材料を形成させることで、一回の切断だけで複数種のガス検知材料を備える複数種ガス検知ユニットを形成できるため、製造コストを削減し製造期間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1のフローチャートである。
図2A】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図2B】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図2C】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図2D】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図2E】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図2F】本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図である。
図3】本発明の実施例2のフローチャートである。
図4A】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4B】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4C】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4D】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4E】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4F】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
図4G】本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1のフローチャートを示し、図2A図2B図2C図2D図2E図2Fは、本発明の実施例1による製造フローの部分断面概略図に示す。これらの図より理解されるように、本発明の実施例1は、以下の工程を含む。
【0028】
工程S1:図2Aに示すように、上部111と、前記上部111の周囲から延在する止め壁部112と、前記上部111と前記止め壁部112で取り囲まれて画成した底溝113とを含むユニットを複数具備し、前記ユニット同士が互いに隣接し、且つ複数の前記ユニット11は前記複数の止め壁部112で互いに連結される構成とする微小電気機械システムウェハー10を用意する。
本実施例では、前記微小電気機械システムウェハー10はシリコンからなり、前記底溝113は、エッチング法により作製される。
【0029】
工程S2:図2Bに示すように、前記微小電気機械システムウェハーの前記底溝から離間した側に、ガス検知材料層を形成させる。
【0030】
工程S3:図2Bに示すように、陽極接合技術を利用して、構造補強層20を、前記複数の底溝113を覆うように前記微小電気機械システムウェハー10に接合させる。
本実施例では、熱の散逸を軽減するために負圧下で陽極接合を行い、これにより、前記底溝113内の空気を減らして、空気の対流による熱の伝導を効率的に回避して熱を集中させることができる。前記構造補強層20は、ガラス、ホウケイ酸ガラス又は両者の組み合わせからなり、厚さは0.2〜1mmである。陽極接合技術は、加熱に起因する前記微小電気機械システムウェハー10の損傷を緩和することができ、前記構造補強層20と前記微小電気機械システムウェハー10との接合における平坦度を高めるために接着剤を使用する必要がない。好ましくは、前記構造補強層20にBF33ガラスを適用し、前記微小電気機械システムウェハー10はシリコンからなる。
【0031】
工程S4:図2Cに示すように、前記構造補強層20の前記微小電気機械システムウェハー10から離間した側に、接着テープ30を設置する。なお、前記接着テープ30には、ダイアタッチフィルム(DAF)、又はダイシングテープ(Dicing tape)を適用することができ、また、前記接着テープ30は、前記構造補強層20に隣接する粘着層31と、前記粘着層31の黏性を保持させ、ほこりの付着を防止するために、前記構造補強層20から離間して設置された保護層32とをさらに含む。
【0032】
工程S5:図2Dに示すように、前記複数のユニット11の前記複数の止め壁部112の連結部位に沿って切断し、前記構造補強層20と前記接着テープ30を同時に切断して、前記底溝113を含むガス検知ユニット41を複数形成させる。
本実施例では、前記微小電気機械システムウェハー10の前記構造補強層20から離間した側に設置される(不図示の)レーザーを利用して、前記微小電気機械システムウェハー10、前記構造補強層20と前記接着テープ30を切断する。従来の加工方式とは異なり、レーザー加工では、静電気が生じず切削力による干渉もないため、前記微小電気機械システムウェハー10と前記構造補強層20の損傷と、残留応力の問題を回避することができる。また、レーザー加工は、瞬間に完了でき、熱からの影響を受ける領域も非常に限定的であるため、加工精度を確保することができ、冷却液を使用する必要がないため、後続の洗浄作業を減らし関連消費財が引き起こす汚染を緩和することができる。前記構造補強層20を設置することで、部品全体の機械的強度を高め、切断時にエッジ部が切れる問題を回避し、歩留まりを高めコストを削減することができる。
【0033】
また、前記接着テープ30は、前記構造補強層20を堅牢に粘着させて、切断後に散らかされる問題を回避することができ、なお、システムでは、前記レーザーが前記接着テープ30の前記保護層32を切断しないよう設定する。
【0034】
工程S6:図2E及び図2Fに示すように、前記接着テープ30で前記ガス検知ユニット41を基板50に粘着させることで、ガス検知器61を形成させる。
この工程は、以下の工程をさらに含む。
【0035】
工程S6A:吸引装置70を用いて、前記微小電気機械システムウェハー10の一側から前記ガス検知ユニット41を吸着する。なお、前記吸引装置70が前記ガス検知ユニット41を吸着した状態で前記基板50まで移動できるように、プッシュ装置80を用いて前記接着テープ30の一側から前記ガス検知ユニット41をプッシュしてもよい。
【0036】
工程S6B:前記ガス検知ユニット41を前記基板50にセットして、前記接着テープ30の前記粘着層31で前記ガス検知ユニット41を前記基板50に粘着させることで、前記ガス検知器61を形成させる。
【実施例2】
【0037】
図3は、本発明の実施例2のフローチャートを示し、図4A図4B図4C図4D図4E図4F図4Gは、本発明の実施例2による製造フローの部分断面概略図に示す。これらの図より理解されるように、本発明の実施例2、以下の工程を含む。
【0038】
工程P1:図4Aに示すように、上部111と、前記上部111の周囲から延在する止め壁部112と、前記上部111と前記止め壁部112で取り囲まれて画成した底溝113とを含むユニット11を複数具備し、複数の前記ユニット11の前記複数の止め壁部112が互いに連結する検知モジュール10aを複数含み、前記検知モジュール10a同士が互いに隣接する構成とする微小電気機械システムウェハーを用意する。
本実施例では、前記微小電気機械システムウェハー10はシリコンからなり、前記底溝113は、エッチング法により作製される。
【0039】
工程P2:図4Bに示すように、異なるユニット11にそれぞれ形成され、複数種のガスを検知できる複数種のガス検知材料91を備えるガス検知材料層90を、前記微小電気機械システムウェハー10の前記底溝113から離間した側に形成させる。
本実施例では、4種のガス検知材料91を備えるのを例に挙げる。
【0040】
工程P3:図4Cに示すように、陽極接合技術を利用して、構造補強層20を、前記複数の底溝113を覆うように前記微小電気機械システムウェハー10に接合させる。
陽極接合技術は、加熱に起因する前記微小電気機械システムウェハー10の損傷を緩和することができ、接着剤を使用する従来の方式よりも、接合における平坦度が高い。また、負圧下で陽極接合を行うことで、前記底溝113内の空気を減らして、空気の対流による熱の伝導を効率的に回避して熱を集中させることができる。前記構造補強層20は、ガラス、ホウケイ酸ガラス又は両者の組み合わせからなり、厚さは0.2〜1mmである。好ましくは、前記構造補強層20にガラス(例えば、BF33などのボロフロートガラス)を用いる。前記微小電気機械システムウェハー10はシリコンからなる。
【0041】
工程P4:図4Dに示すように、前記構造補強層20の前記微小電気機械システムウェハー10から離間した側に、接着テープ30を設置する。なお、前記接着テープ30には、ダイアタッチフィルム、又はダイシングテープを適用することができ、また、前記接着テープ30は、前記構造補強層20に隣接する粘着層31と、前記粘着層31の黏性を保持させるために、前記構造補強層20から離間して設置された保護層32とをさらに含む。
【0042】
工程P5:図4Eに示すように、前記複数の検知モジュール10a同士の間の連結部位に沿って前記構造補強層20と前記接着テープ30を同時に切断して、複数種ガス検知ユニット42を複数形成させる。前記構造補強層20を設置することで、部品全体の機械的強度を高め、切断時にエッジ部が切れる問題を防止し、歩留まりを高めコストを削減することができる。また、前記検知モジュール10aの前記複数のユニット11は、複数種の前記ガス検知材料91を備えるため、1回の切断だけで複数種のガス検知材料91を有する複数種ガス検知ユニット42を形成でき、単一の微小電気機械システムウェハー10に単一ガス検知材料91を形成させる場合、複数の微小電気機械システムウェハー10を作製して組み合わせるという従来の方式と比べて、本発明は、製造コストを削減させ、製造期間を短縮するとともに、ウェハーの在庫を減らすことができる。
【0043】
本実施例では、前記微小電気機械システムウェハー10の前記構造補強層20から離間した側に設置される(不図示の)レーザーを利用して、前記微小電気機械システムウェハー10、前記構造補強層20と前記接着テープ30を切断する。レーザーでの切断の利点は、すでに記載されているため、ここでは省略する。
【0044】
また、前記接着テープ30は、前記構造補強層20を堅牢に粘着させて、切断後に前記複数種ガス検知ユニット42が散らかされる問題を回避することができ、なお、システムでは前記レーザーが前記接着テープ30の前記保護層32を切断しないよう設定する。
【0045】
工程P6:図4F及び図4Gに示すように、最後に、前記接着テープ30で前記複数種ガス検知ユニット42を基板50に粘着させることで、複数種ガス検知器62を形成させる。前記検知モジュール10aの前記複数のユニット11が互いに連結しているため、前記複数のユニット11を個別に粘着するという従来の方式と比べて、粘着の精度を高めることができる。
この工程は、以下の工程をさらに含んでいてもよい。
【0046】
工程P6A:吸引装置70を用いて、前記微小電気機械システムウェハー10の一側から前記複数種ガス検知ユニット42を吸着する。なお、前記吸引装置70が前記ガス検知ユニット11を吸着した状態で前記基板50まで移動できるように、プッシュ(押圧)装置80を用いて前記接着テープ30の一側から前記ガス検知ユニット11をプッシュしてもよい。
【0047】
工程P6B:前記ガス検知ユニット11を前記基板50にセットして、前記接着テープ30の前記粘着層31で前記ガス検知ユニット11を前記基板50に粘着させることで、前記ガス検知器を形成させる。前記接着テープ30を用いる場合、液体接着剤による染み出し現象や前記微小電気機械システムウェハー10に傾斜が生じる問題は認められない。
【0048】
以上、本発明について詳しく説明したが、好ましい実施例を記載したに過ぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。本発明の請求範囲に基づく同等の変更と変形などは、すべて本発明の範囲内に含まれるものとする。
【要約】      (修正有)
【課題】複数種ガス検知用の微小電気機械システム(MEMS)において、機械的強度の低下を防止できるガス検知器の製造方法を提供する。
【解決手段】互いに隣接する複数のユニットを備える微小電気機械システムウェハーの用意と、微小電気機械システムウェハーにおけるガス検知材料層の形成と、微小電気機械システムウェハーへの構造補強層20の陽極接合と、接着テープの設置と切断によるガス検知ユニット11の形成と、接着テープを用いる基板へのガス検知ユニット粘着によるガス検知器形成とを含む微小電気機械システム製造プロセスを用いる。構造補強層を設置することで、部品の強度を高め、エッジ部が切れる問題を回避し、歩留まりを高めコストを削減することができる。
【選択図】図4G
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G