(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393445
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】蛍光マーカの原位置再活性化
(51)【国際特許分類】
G01N 1/28 20060101AFI20180910BHJP
G01N 1/42 20060101ALI20180910BHJP
G01N 1/44 20060101ALI20180910BHJP
H01J 37/20 20060101ALI20180910BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20180910BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
G01N1/28 L
G01N1/28 J
G01N1/28 G
G01N1/42
G01N1/44
H01J37/20 E
H01J37/20 F
H01J37/28 B
H01J37/28 Z
H01J37/317 D
【請求項の数】32
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-23470(P2014-23470)
(22)【出願日】2014年2月10日
(65)【公開番号】特開2014-160068(P2014-160068A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2017年2月8日
(31)【優先権主張番号】13/770,765
(32)【優先日】2013年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501419107
【氏名又は名称】エフ・イ−・アイ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン・フィリッペ・ジャン・マクルー・ボツマン
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン・ジェイムズ・サクリソン
【審査官】
島田 保
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−145526(JP,A)
【文献】
特開2008−046127(JP,A)
【文献】
特開2008−192617(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0185509(US,A1)
【文献】
特開2010−008406(JP,A)
【文献】
特開2007−294328(JP,A)
【文献】
特開2011−080142(JP,A)
【文献】
特開2008−292220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00−1/44
G01N 21/62−21/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を処理する方法であって、
a.前記試料を真空チャンバ内に置くステップと、
b.前記真空チャンバを排気するステップと、
c.圧力しきい値より低い圧力において蛍光を発しない蛍光マーカが存在する前記試料の新たな表面を露出させるステップと、
d.照明放射に前記蛍光マーカをさらしながら前記新たな表面に蒸気を局所的に供給することにより、前記真空チャンバの全体的なバックグラウンド真空圧力を前記局所的な蒸気の圧力より低く維持しながら前記蛍光マーカを発光させるステップと、
e.前記新たな表面の前記蛍光マーカの光学画像を取得するステップと、
f.ステップcからeを繰り返すステップと
を含む方法。
【請求項2】
露出させたそれぞれの新たな表面の電子ビーム画像を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記新たな表面に蒸気を局所的に供給することが、前記光学画像を取得している間、ナノ毛細管を前記新たな表面に接触させて前記ナノ毛細管から前記新たな表面への液体の流れを生じさせることを含み、
前記電子ビーム画像を形成するステップの前に、前記ナノ毛細管と前記新たな表面の間の接触を解くステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子ビーム画像を合成して前記試料の3次元表現を形成するステップをさらに含む、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記新たな表面に蒸気を局所的に供給することが、ナノ毛細管を使用して液体を供給することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記新たな表面に蒸気を局所的に供給することが、ガス注入システムによって蒸気を供給することを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料の新たな表面を露出させるステップが、
前記試料に向かって集束イオン・ビームを導くこと
前記試料に向かってレーザ・ビームを導くこと
ミクロトームを使用して前記試料を切削すること
のうちの少なくとも1つによって材料を除去するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
約−20°Cよりも低い温度まで前記試料を冷却するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
約60°Cよりも高い温度まで前記試料を加熱するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記新たな表面の前記局所蒸気圧が1×10-2ミリバールよりも高く、前記真空チャンバ内の前記バックグラウンド真空圧力が5×10-3ミリバールよりも低い、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
真空チャンバ内で顕微鏡法によって試料を調べる方法であって、
蛍光マーカを有する試料を前記真空チャンバ内に置くステップと、
1×10-2mbarよりも低い圧力まで前記真空チャンバを排気するステップと、
前記蛍光マーカの蛍光発光を
蒸気を前記蛍光マーカに供給することによって前記真空チャンバ内のバックグラウンド圧力よりも高い値まで前記蛍光マーカのところの蒸気圧を局所的に増大させることであって、前記蒸気圧を局所的に増大させることが排気された前記真空チャンバにおける前記蛍光マーカの活性を増大させることと、
照明放射が前記蛍光マーカを励起するよう、前記真空チャンバの前記バックグラウンド圧力より前記蒸気圧が高い値である間に前記試料を前記照明放射によって照明することと、
によって引き起こすステップと、
前記蛍光マーカから発せられた光を検出するステップと
を含む方法。
【請求項12】
蒸気を前記蛍光マーカに供給することが、ナノ毛細管から液体を分配することを含み、前記液体が蒸発して前記蒸気を供給する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ毛細管から前記液体を分配することが、直径20μm未満のナノ毛細管から液体を分配することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料の画像を走査電子顕微鏡法を使用して形成するステップをさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記試料から材料を除去することによって前記試料の新たな表面を繰り返し露出させるステップと、
次いで、
蒸気を前記新たな表面に供給することによって、前記新たな表面のところの蒸気圧を、前記真空チャンバの前記バックグラウンド圧力より高い値まで上昇させるステップ、
照明の放射が前記新たな表面の蛍光マーカを励起するよう、前記真空チャンバの前記バックグラウンド圧力より前記蒸気圧が高い値である間に前記試料を前記放射によって照明するステップ、
前記蛍光マーカから発せられ、検出された光を用いて、前記試料を画像化するステップ、および
前記試料の画像を走査電子顕微鏡法を使用して形成するステップ
を繰り返すステップと
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
露出させた新たな表面の画像を合成して前記試料の3次元表現を形成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
−20°Cよりも低い温度まで前記試料を冷却するステップをさらに含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
60°Cよりも高い温度まで前記試料を加熱するステップをさらに含む、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光マーカへの前記蒸気の供給による前記蛍光マーカのところの局所圧力が1×10-2ミリバールよりも高く、前記真空チャンバ内の前記バックグラウンド圧力が5×10-3ミリバールよりも低い、請求項11から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ナノ毛細管から液体を分配することが、前記蛍光マーカに向かって前記液体を輸送する溝の中に前記液体を供給することを含む、請求項12から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
顕微鏡法によって標本を分析するシステムであって、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内の試料の表面上に集束電子ビームを走査する電子ビーム・カラムと、
前記試料の画像を形成するために、前記集束電子ビームの衝突に反応して前記試料から放出された2次電子を検出する電子検出器と、
前記試料中の蛍光マーカの蛍光発光を引き起こす波長の光で前記真空チャンバ内の前記試料を照明し、そこから発して検出された蛍光を用いて前記試料を画像化する光学系と、
蒸気を、前記試料の前記表面に、前記蛍光マーカの活性を増大させるに十分で、前記真空チャンバ内のより低いバックグラウンド圧力を維持する圧力で、局所的に供給するための蒸気の供給源と
を備えるシステム。
【請求項22】
前記蒸気の前記供給源が、蒸発する液体を分配するナノ毛細管である、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記蒸気の前記供給源がガス注入システムである、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記試料を処理する集束イオン・ビーム・カラムをさらに備える、請求項21から23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記試料を処理するレーザをさらに備える、請求項21から24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記試料を処理するミクロトームをさらに備える、請求項21から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
60°Cよりも高い温度まで前記試料を加熱することができる加熱器をさらに備える、請求項21から26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
−20°Cよりも低い温度まで前記試料を冷却することができる冷却器をさらに備える、請求項21から27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記真空チャンバ内の運転圧力が1×10-4ミリバールよりも低い、請求項21から28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
局所的に供給された前記蒸気による局所圧力が1×10-2ミリバールよりも高く、前記真空チャンバ内の前記バックグラウンド圧力が5×10-3ミリバールよりも低い、請求項21から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記光学系は、前記蛍光マーカに蛍光を発せさせる照明放射に前記試料の面を露出させた後、前記面の光学画像を記録するように構成され、
前記電子ビームカラムは、前記光学画像が記録された後、前記面の電子ビーム画像を取得するように構成され、
前記電子ビーム画像と、前記光学画像の一部分とを同様のスケールに変換し、前記光学画像の一部分および前記電子ビーム画像の特徴部分を合成画像上で見ることができるよう、前記光学画像の一部分を前記電子ビーム画像に位置合わせを行うように構成されている、
請求項21に記載のシステム。
【請求項32】
前記蛍光マーカの非活性化を防ぎまたは前記蛍光マーカを再活性化させるのに十分に、前記蛍光マーカを含む関心領域の近くの蒸気圧を増大させ、
前記蒸気圧を増大させた後、前記光学系を用いて前記関心領域を光学画像化するように構成されている、
請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧条件下での蛍光マーカの再活性化に関する。
【背景技術】
【0002】
生体系は非常に複雑である。生体系を理解するためには、構造、機能および位置の詳細な関係をさまざまなレベルの分解能で観察することができることが必要である。光学顕微鏡法と電子顕微鏡法の両方を使用する相補的な方法は最も包括的な結果を与える。例えば、固定および/または染色後に、光学顕微鏡法情報を使用して、試料中の生物学的に重要なエリアおよびそれらのエリアの動態を識別し、次いで電子顕微鏡法を使用して、それらのエリア内の構造細部を分解することができる。
【0003】
細胞構造、分子動力学および運動性を調べる幅広く受け入れられている1つの強力な技法は、遺伝子組換え技術を使用して「関心の遺伝子(gene of interest)」(GoI)に「レポータ(reporter)」遺伝子を結合させる技法である。このようにすると、通常の転写/翻訳過程中に特定のGoIが発現するとレポータ遺伝子も発現し、小さな検出可能なタンパク質を産生する。このタンパク質は、GoIによって変換された「関心のタンパク質(protein of interest)」(PoI)に結合している。
【0004】
広く受け入れられているレポータ遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein)(GFP)を変換する遺伝子であり、このレポータ遺伝子は、野生型および遺伝子組換え型のものが使用可能であり、発現したGFPは、発光波長の青色から赤色にわたる蛍光を有する。GFPは、比較的に小さく(29.6kDa、直径3nm×長さ4nm)、その発色団は、内部で十分に保護されており、発光に補因子を必要としない。生体環境においてGFPを「発光させる」のに必要なのは、GFP励起および蛍光減衰に対して適切な波長のレーザによる照明だけである。
【0005】
細胞内におけるGFPのX−Y−Z位置を正確に(例えば10nmの正確さで)決定することができる場合には、PoIの位置も同様の正確さで分かることが明らかである。蛍光を発しているGFPは光学顕微鏡によって観察することができ、そのため、試料中の観察可能な構造体に対するPoIの位置を知ることができる。次いで、電子顕微鏡では蛍光を見ることはできないが、電子顕微鏡を使用して、光学顕微鏡で可能な拡大倍率よりもはるかに高い拡大倍率でその構造体の画像を形成することができる。GFP、染料、量子ドットなどのさまざまな蛍光マーカから非常に正確な位置情報を獲得する先行技術のいくつかの技法が提案されており、いくつかのケースでは、この情報が獲得されることが示されている。本出願の譲受人に譲渡された、参照によって本明細書に組み込まれるBuijsse他の「Method of Localizing Fluorescent Markers」という名称の米国特許第7,317,515号明細書の中で提案されている1つの技法では、荷電粒子ビームが試料の表面を走査し、この荷電粒子ビームは、蛍光マーカに当たったときにマーカを傷つけ、蛍光を消す。このとき、蛍光マーカの位置は、蛍光が消えたときの荷電粒子ビームの位置に対応するであろう。荷電粒子ビームは、マーカを照明するレーザよりもはるかに小さな点に
集束することができ、荷電粒子ビームの走査中の任意の時点における荷電粒子ビームの位置は非常に正確に決定されるため、蛍光マーカの位置、したがってPoIの位置も同様の正確さで決定されるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7,317,515号明細書
【特許文献2】米国特許第5,435,850号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、真空チャンバ内における蛍光マーカを使用した構造体の画像化を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一部の蛍光マーカは、低圧(大気圧よりも低い圧力)環境にさらされると蛍光発光を停止し、再びより高い圧力にさらされると蛍光を回復することを本出願の出願人は見出した。
【0009】
本発明の実施形態は、試料の表面に蒸気を局所的に供給して、真空チャンバ内における蛍光マーカの蛍光発光を可能にする。例えば、ナノ毛細管によって関心領域の近くに液体を分配することができ、この液体は、蒸発して、蛍光マーカの近くの蒸気圧を増大させる。この蛍光マーカのところの蒸気圧の増大は、蛍光マーカの非活性化を防ぎまたは蛍光マーカを再活性化させるのに十分に大きなものであることが好ましく、真空チャンバ内の全体的な圧力は、ポンプによる追加の排気をほとんどまたは全く必要とせずに荷電粒子ビームの操作を可能にする十分に低いものであることが好ましい。
【0010】
以上では、以下の本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり広く概説した。以下では、本発明の追加の特徴および利点を説明する。開示される着想および特定の実施形態を、本発明の同じ目的を達成するために他の構造を変更しまたは設計するベースとして容易に利用することができることを当業者は理解すべきである。さらに、このような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨および範囲を逸脱しないことを当業者は理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】蛍光強度を真空チャンバの圧力に対して示したグラフである。
【
図2】時間の経過に伴う蛍光マーカの退色を示すグラフである。
【
図3】本発明の一実施形態の諸ステップを示す流れ図である。
【
図4】ナノ毛細管によって表面に形成された液滴を概略的に示す図である。
【
図5】ナノ毛細管によって形成された液滴を示す顕微鏡写真である。
【
図6】イオン・ビーム・カラム、電子ビーム・カラムおよび光学顕微鏡を含むデュアル・ビーム・システムを概略的に示す図である。
【
図7】蛍光マーカを照明し蛍光マーカを見る光学顕微鏡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一部の蛍光マーカは、低圧(大気圧よりも低い圧力)環境にさらされると蛍光発光を停止し、再びより高い圧力にさらされると蛍光を回復することを本出願の出願人は見出した。
【0013】
本出願の出願人は、蛍光マーカの近くに蒸気を局所的に供給して、真空チャンバ内において蛍光マーカの非活性化を防ぎまたは蛍光マーカを再活性化させる。いくつかの実施形態では、荷電粒子ビーム・カラムが使用できなくなる圧力まで真空チャンバの圧力を増大させなくても蛍光マーカが再活性化する。いくつかの実施形態では、真空チャンバ内の圧力が一時的に、荷電粒子ビーム・カラムの運転圧力よりも高くなることがあるが、蒸気の量は比較的に少なく、ポンプによる排気によって室圧を速やかに運転圧力に戻すことができる。
【0014】
電子顕微鏡法および/またはイオン・ビーム処理のために試料を真空システム内に維持することができ、それでも、真空チャンバを通気して大気圧にする必要なしに、蛍光マーカを使用した光学顕微鏡法によって試料を分析することができるため、本発明は、相補顕微鏡法(correlative microscopy)を容易にする。通気することなく真空チャンバ内に加工物を維持することによって、荷電粒子ビームおよび光学顕微鏡を使用した迅速逐次処理が容易になる。例えば、イオン・ビーム・ミリングを使用して加工物の一部分を露出させ、光学顕微鏡を使用して蛍光マーカの位置を突き止め、次いで電子ビームを使用して画像化することができる。このプロセスを繰り返して複数の面を順番に露出させることができ、それらの面を合成して3次元画像を形成することができる。
【0015】
本明細書に記載された本発明の説明の全体を通じて、用語GFPは、GFP、有機染料および無機マーカ、例えば量子ドットを含む真空条件で蛍光特性を失う可能性があるより広い範囲の蛍光マーカ(これらは一般に、タンパク質、核酸などの特定の細胞内成分に選択的に結合することができるように官能基化される)を表すために使用される。
【0016】
図1は、緑色蛍光タンパク質の蛍光強度を真空チャンバの圧力に対して示したグラフである。GFPは顕微鏡スライドガラス上で乾燥し、波長385nm、公称パワー約10mWの光に当てた。
図1は、真空チャンバ内の圧力が低下するにつれて蛍光の強度も低下することを示している。真空チャンバ内の圧力が約400ミリバールよりも低くなると、蛍光は、大気圧での蛍光に比べて2桁低下する。チャンバを開放して部屋の空気(room air)を入れると再び蛍光が発せられる。
【0017】
多くの蛍光マーカが「退色する」こと、すなわち光に当てると時間の経過とともに蛍光が失われることはよく知られている。
図2は、退色によって蛍光強度が時間とともにどのように低下するのかを、
図1の実験で使用したのと同じ照明条件を使用した場合について示す。したがって、
図1は、退色によって生じた蛍光の減退と低い真空圧力によって生じた蛍光の減退の畳込み(convolution)である。真空に起因する蛍光の減退を求めるためには、
図2の曲線を使用して
図1の曲線の逆畳込み演算を行う。しかしながら、
図2から、
図1に示したデータの時間スケールの間のこれらの照明条件を使用したときの退色は、低い真空圧力によって生じた観察された蛍光の減退に比べてあまり重大ではないことが明らかである。
【0018】
本発明の譲受人に譲渡された、参照によって本明細書に組み込まれる「Microfluidics Delivery Systems」という名称の米国特許出願第13/693,938号明細書は、特に排気されたチャンバ内において、少量の流体を局所的に供給する方法および装置を記載している。真空チャンバ内において少量の液体を局所的に供給する目的には、マイクロフルイディクス送達システム(microfluidics delivery system)を使用することができる。液体が蒸発するにつれて局所的に蒸気圧が上昇する。この局所的な蒸気圧の上昇は、真空によって非活性化された蛍光マーカを再活性化させることができる。平衡状態では、ナノ毛細管から液体が絶えず流出して、液滴から液体が蒸発したときに液滴に液体を補給する。米国特許出願第13/693,938号明細書は、ナノ毛細管からの流量を制御する手段を記載している。この局所蒸気圧は蒸発速度に関係する。
【0019】
図3は、蛍光マーカを有する試料の複数の切片を見る方法を示す。ステップ302で、蛍光マーカを有する生体試料を調製または「固定」して、試料中の分子が画像化中に動かないようにする。試料は例えば化学的にまたは凍結によって固定する。ステップ304で、荷電粒子ビーム・カラムと光学顕微鏡とを含むシステムの真空チャンバに試料を装填する。このシステムは、試料の小さな層を連続的に除去して、連続する断面を露出させて画像化するように構成されている。これらの複数の断面の画像を合成して3次元表現を生成することができる。ステップ306で、露出させた表面の直下に位置する蛍光分子に損傷を与えない何らかの方法によって試料の表面を露出させる。例えば、ステップ306aでは、集束イオン・ビームを試料に向かって導いて材料を除去し、それによって表面を露出させる。あるいは、ステップ306bでは、ミクロトーム(microtome)を使用して試料から材料をスライスして除くことによって表面を露出させる。他の代替法では、ステップ306cに示されているように、レーザによって材料を除去して材料の表面を露出させる。このレーザは例えば、アブレーションによって材料を除去するフェムト秒レーザなどの超高速パルス・レーザとすることができる。ステップ308で、露出させた表面の近くの領域に液体を送達する。液体は、この露出させた表面の近くの領域から蒸発し、蒸気圧を、蛍光マーカを再活性化させるのに十分な圧力まで増大させる。例えば、ナノ毛細管によって水を分配することができる。この水は蒸発して、露出させた表面に水蒸気を供給する。ナノ毛細管の開口のサイズ、真空圧力および温度が平衡蒸発速度を決定し、この平衡蒸発速度が、露出させた表面の蒸気圧を決定する。
【0020】
図4は、液体がナノ毛細管402を出て液滴404を形成する過程を概略的に示し、液滴404から蒸発する。米国特許出願第13/693,938号明細書に記載されているように、平衡状態では、「B」によって示された蒸気が液滴を出る速度と同じ速度で「A」によって示された液体が液滴に流入し、液滴のサイズはほぼ変わらない。
図5は、ナノ毛細管502および液滴504の画像を示す。
【0021】
米国特許出願第13/693,938号明細書に記載されているように、関心領域の相対的に高い蒸気圧を維持するため、関心領域を完全にまたは部分的に取り囲む溝(channel)を形成して、ナノ毛細管からの液体を関心領域へ導くことができる。光学画像化の前に、ナノ毛細管を加工物表面に接触させて、液体の流れを開始させることができる。光学画像化の後、ナノ毛細管を表面から持ち上げて、流れを止めることができる。ナノ毛管の出口の直径は、毛管作用によって液体が流れる十分に小さいものであることが好ましい。ナノ毛細管と表面の間の接触が解けると、液体は流出を止める。次いで、表面の液滴が蒸発し、蒸気は真空チャンバ内に拡散する。これによって、関心領域の近くの蒸気圧が低下して、蛍光マーカを画像化しない荷電粒子ビーム画像化が改良される。
【0022】
好ましい一実施形態では、試料面から離れた真空チャンバ内のバックグラウンド圧力が約1×10
-3ミリバールよりも低く維持され、露出させた面の局所的な部分圧力は約1×10
-2ミリバールよりも高いことが好ましい。真空チャンバ内のバックグラウンド圧力が約1×10
-4ミリバールよりも低く維持され、露出させた面の局所的な部分圧力が約1×10
-2ミリバールよりも高いとより好ましい。試料面の蒸気圧は、蛍光マーカを再活性化させまたは蛍光マーカの活性化を維持するのに十分なものであるべきであり、必要な圧力は蛍光マーカおよび試料調製に依存する。真空チャンバ内のバックグラウンド圧力は、荷電粒子ビームの操作を可能にする十分に低いものであることが好ましく、真空チャンバ内のバックグラウンド圧力は、荷電粒子ビーム・カラムの設計および運転パラメータに依存する。
【0023】
ステップ314で、蛍光マーカを励起する照明放射(illuminating radiation)に試料をさらし、蛍光マーカを含む試料の光学画像を記録する。判断ブロック316で、この光学画像が満足のいくものであるか否かを使用者が判定する。画像が満足のいくものでない場合には、露出させた表面の蒸気圧を増大させる。例えば、より大きなナノ毛細管を使用することができ、ナノ毛細管の温度を高くすることができ、試料の温度を高くする(それによってナノ毛細管からの流出を増大させる)もしくは低くする(それによって分配された流体からの蒸発を低下させる)ことができ、表面に対するナノ毛細管の位置を変更することができ、または真空チャンバ内の圧力を増大させることができる。
【0024】
蛍光マーカを含む光学画像が満足のいくものである場合には、ステップ318で、露出させた面の電子ビーム画像を得る。この画像は一般に、露出させた面を電子ビームで走査し、2次電子を集めた走査電子顕微鏡画像である。画像上の点の輝度は検出された2次電子の数に対応する。ステップ320で、光学画像
の一部分および
電子ビーム画像を同様のスケールに変換し、互いの位置を合わせて、両方の画像の特徴部分(feature)を合成画像上で見ることができるようにする。光学画像は、GFPの位置、したがって関心の特徴部分(例えばGoI)の位置に関する情報を与え、電子ビームは、光学的方法によっては容易に得ることができない情報を含む高分解能画像を提供する。これらの2つの画像は、合成して1つの画像にすることができ、または別々に見ることができ、またはそれぞれの画像に存在する相対的なコントラストを調整することによって合成することができる。
【0025】
電子ビーム画像を得た後、この方法はステップ306に戻り、ステップ306で、以前に露出させた試料の面から材料を除去して新たな面を露出させる。所望の画像が全て集められたと判断ブロック322で判定されるまでこの方法を繰り返す。この方法はブロック324で終了となる。試料の異なる深さの画像を集めることによって、試料の3次元表現を構築することができる。
【0026】
それぞれの露出させた面では、ナノ毛細管からの液体が蒸気を局所的に送達する。この蒸気は、表面の蛍光マーカが真空にさらされ非活性化することを防ぎ、または蛍光マーカがすでに非活性化している場合には露出させた表面を再活性化させる。
【0027】
図1に示されているように、上記の実験条件で照明され、上記の実験条件によって設定された温度に維持されるこれらのGFPの特定の場合においては、蛍光マーカを再活性化させるために圧力をかなり高くする必要があり、使用する集光光学部品によって検出可能な励起を得るためには約400mbarよりも高くする必要がある。この圧力しきい値は、集光光学部品の効率、存在し蛍光を発するGFPの量、試料の温度、励起照明の強度およびその他の実験条件に依存する。これらの特定の条件とは無関係に、励起された蛍光を得るのに必要な圧力は、電子顕微鏡法のために一般的に必要な電子の長い平均自由行程と一般的に両立する圧力よりもかなり高い。蛍光マーカを使用して光学画像を得るために、それぞれの切片化(slicing)と切片化の間に真空チャンバを通気することもできるが、それぞれのスライシング間の真空チャンバの開放および再排気には非常に長い時間がかかるであろう。比較的に高い圧力の水蒸気をチャンバに入れることができ、それでも電子ビームで走査することができる環境制御型走査電子顕微鏡(Environmental Scanning Electron Microscope)(ESEM)を使用する場合でも、このような高い圧力は高分解能電子ビーム画像化と両立せず、そのため、この場合も、高真空モードとESEMモードの切換えに伴うポンプ排気時間および通気時間は容認できないほどに長くなるであろう。さらに、ポンプ排気および通気が、まだ画像化していないバルク試料中のGFPを不可逆的に変性させることもある。本発明の実施形態は、速やかに消散する局所的な高圧領域を提供することによって通気および再排気の必要性を排除して、荷電粒子ビームのスライシング操作または画像化操作を可能にし、同時に全体の分析時間を合理的な長さに維持する。
【0028】
上記の方法は、液体製品を分配するナノ毛細管を使用して蒸気を局所的に生み出すが、他の実施形態では、異なる技法を使用して試料の周囲の圧力を増大させることができる。例えば、「Environmental SEM Gas Injection System」という名称の米国特許仮出願第61/677,226号明細書または「Gas Injection System」という名称の米国特許第5,435,850号明細書に記載されているガス注入システムなどのガス注入システムを使用することができる。他の実施形態では、真空チャンバ内の圧力を増大させ、試料温度を低下させることによって、または真空チャンバ内のより高圧の環境制御セル内で操作することによって、試料の周囲の圧力を増大させることができる。しかし、このようなシステムでは、観察した後に、荷電粒子ビーム処理のための高真空モードを再開するために排気するのに、過大な時間が必要となることがある。
【0029】
既存のシステムに液体送達システムを追加するのは容易であるため、材料をミリングして新たな面を露出させる集束イオン・ビーム・カラムと、走査電子顕微鏡法用または後方散乱電子画像化用の電子ビーム・カラムとを含む既存のシステム内において、本発明の実施形態を実現することができる。
図6は、このようなシステムを概略的に示す。
【0030】
デュアル・ビーム・システム600は、垂直方向を向いた電子ビーム・カラム602、垂直から約52度傾いた集束イオン・ビーム・カラム604、および光学顕微鏡606を含む。真空チャンバ610内の試料608は試料ステージ612に載せられている。試料ステージ612は、3方向に移動しさらに回転および傾斜することができることが好ましい。2次電子検出器614が、イオン・カラム604からのイオン・ビームが試料に衝突することによって生じた2次電子または電子ビーム・カラム602からの電子が衝突することによって生じた2次電子を検出する。示された実施形態では、電子ビーム・カラム602が生み出すビームとイオン・ビーム・カラム604が生み出すビームとが一致する。すなわち、それらのビームは試料608の表面のほぼ同じスポットに衝突する。光学顕微鏡の視野はそれらのビームの衝突点から離れており、試料は、試料ステージによって、光学顕微鏡の視野と荷電粒子ビームの操作エリアの間を移動する。試料中の蛍光マーカを再活性化させるための蒸気を供給する試料表面への液体の流れを提供するため、マイクロマニピュレータ622に装着されたナノ毛細管620を光学顕微鏡のそばに配置して、試料表面にナノ毛細管を接触させることができるようにする。
【0031】
異なる実施形態ではカラムの構成が異なることがある。例えば、いくつかの実施形態では、イオン・ビーム・カラムと電子ビーム・カラムの両方を垂直から傾ける。いくつかの実施形態では、光学顕微鏡の視野が荷電粒子ビームの衝突点と重なる。すなわち2つのビームと光学顕微鏡とが一致する。例えば、電子ビーム・カラムを含む平面に対して垂直な平面にイオン・ビーム・カラムを配置し、両方のカラムを垂直から約45°の方向に向けることができる。上方から垂直に試料を照明し、上方から垂直に光を集めることができる。あるいは、一方の荷電粒子ビーム・カラムの平面と同じ平面に光学カラムを配置することもできる。
【0032】
図7は、一般的な光学顕微鏡をより詳細に示す。照明放射の源702は光ファイバ704を通して光を供給し、この光は、385nm帯域フィルタ706を通過し、ダイクロイック・ミラー708によって反射され、対物レンズ710および真空チャンバ窓712を通過して試料714に向かう。この照明によって試料中の蛍光マーカが蛍光を発する。試料からの光は、真空チャンバ窓712、対物レンズ710、ダイクロイック・ミラー708および帯域フィルタ718を通過して検出器720に達する。検出器720は、蛍光マーカからの光を使用して画像を形成する。帯域フィルタ718は、源702からの光が検出器720に達することを防ぐ。
【0033】
光学画像の拡大倍率は電子ビーム画像の拡大倍率よりも小さいことが理解される。蛍光マーカを使用して識別した構造体を電子ビーム画像内で調べることができるように、それらの画像を拡大または縮小し、それらの画像の位置を合わせる技法は、相補顕微鏡法においてよく知られている。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、試料を処理する方法は、試料を真空チャンバ内に置くステップ(a)と、真空チャンバを排気するステップ(b)と、加工物の新たな表面を露出させるステップ(c)と、新たに露出させた表面に蒸気を局所的に供給し、同時に真空チャンバ内のバックグラウンド真空圧力を維持するステップであり、バックグラウンド真空圧力が新たに露出させた表面の局所蒸気圧よりも低いステップ(d)と、新たに露出させた表面の蛍光マーカを照明するステップ(e)と、新たに露出させた表面の蛍光マーカの光学画像を取得するステップ(f)と、ステップcからfを繰り返すステップとを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、この方法が、新たに露出させたそれぞれの表面の電子ビーム画像を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、加工物の新たな表面を露出させるステップが、加工物に向かって集束イオン・ビームを導くことによって、または加工物に向かってレーザ・ビームを導くことによって、またはミクロトームを使用して試料を切削することによって材料を除去するステップを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、新たに露出させた表面に蒸気を局所的に供給するステップが、ナノ毛細管を使用して液体を供給するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法が、光学画像化ステップの前に、ナノ毛細管を試料表面に接触させて液体の流れを生じさせるステップと、電子画像を形成するステップの前に、ナノ毛細管と試料表面の間の接触を解くステップとをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、この方法が、電子画像を編集して試料の3次元表現を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、新たに露出させた表面に蒸気を局所的に供給するステップが、ガス注入システムによって蒸気を供給するステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法が、約−20°Cよりも低い温度まで試料を冷却するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法が、約60°Cよりも高い温度まで試料を加熱するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、新たに露出させた表面の局所蒸気圧が1×10
-2ミリバールよりも高く、真空チャンバ内のバックグラウンド真空圧力が5×10
-3ミリバールよりも低い。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、真空チャンバ内で試料を調べる方法は、少なくとも1種の蛍光マーカを有する加工物を真空チャンバ内に置くステップと、1×10
-2mbarよりも低い圧力まで真空チャンバを排気するステップと、排気されたチャンバ内における蛍光マーカの活性を増大させる蒸気を蛍光マーカに供給するステップであり、蛍光マーカのところの蒸気圧が真空チャンバ内のバックグラウンド蒸気圧よりも高いステップと、蛍光マーカを照明するステップと、蛍光マーカから発せられた光を検出するステップとを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、蛍光マーカの活性を増大させる蒸気を供給するステップが、ナノ毛細管から液体を分配するステップを含み、この液体が蒸発して蒸気を供給する。いくつかの実施形態では、ナノ毛細管から液体を分配するステップが、直径20μm未満のナノ毛細管から液体を分配するステップを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、この方法が、加工物の画像を走査電子顕微鏡法を使用して形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法がさらに、材料を除去することによって加工物の新たな表面を繰り返し露出させるステップと、次いで、蛍光マーカを照明する前記ステップ、蛍光マーカから発せられた光を検出する前記ステップ、および加工物の画像を走査電子顕微鏡法を使用して形成する前記ステップを繰り返すステップとをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法が、新たに露出させた表面からの画像を編集して加工物の3次元表現を形成するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法が、マイナス20°Cよりも低い温度まで試料を冷却するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法が、60°Cよりも高い温度まで試料を加熱するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、局所的に供給された蒸気による局所圧力が1×10
-2ミリバールよりも高く、バックグラウンドチャンバ圧が5×10
-3ミリバールよりも低い。いくつかの実施形態では、ナノ毛細管を使用して液体を供給するステップが、この液体を、新たに露出させた表面に向かって液体を輸送する溝の中に供給するステップを含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、標本を分析するシステムは、真空チャンバと、真空チャンバ内の試料の表面上に
集束電子ビームを走査する電子ビーム・カラムと、試料の画像を形成するために、電子ビームの衝突に反応して試料から放出された2次電子を検出する電子検出器と、試料中のマーカの蛍光発光を引き起こす波長の光で真空チャンバ内の試料を照明し、試料中の蛍光マーカからの蛍光を検出する光学系と、試料の表面に蒸気を局所的に供給するための蒸気の供給源であって、この蒸気が、真空内における蛍光マーカの活性を増大させ、同時に真空チャンバ内のより低いバックグラウンド圧力を維持する蒸気の供給源とを備える。
【0043】
いくつかの実施形態では、蒸気の供給源が、蒸発する液体を分配するナノ毛細管である。いくつかの実施形態では、蒸気の供給源がガス注入システムである。
【0044】
いくつかの実施形態では、このシステムが、試料を処理する集束イオン・ビーム・カラムをさらに備える。いくつかの実施形態では、このシステムが、試料を処理するレーザをさらに備える。いくつかの実施形態では、このシステムが、試料を処理するミクロトームをさらに備える。いくつかの実施形態では、このシステムが、60°Cよりも高い温度まで試料を加熱することができる加熱器をさらに備える。いくつかの実施形態では、このシステムが、−20°Cよりも低い温度まで試料を冷却することができる冷却器をさらに備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、チャンバ内の運転圧力が1×10
-4ミリバールよりも低い。いくつかの実施形態では、局所的に供給された蒸気による局所圧力が1×10
-2ミリバールよりも高く、バックグラウンドチャンバ圧が5×10
-3ミリバールよりも低い。
【0046】
本発明および本発明の利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に、さまざまな変更、置換および改変を加えることができることを理解すべきである。本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態だけに限定されない。当業者なら本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行し、または実質的に同じ結果を達成する既存のまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを、本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、このようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップを含むことが意図されている。
【符号の説明】
【0047】
600 デュアル・ビーム・システム
602 電子ビーム・カラム
604 集束イオン・ビーム・カラム
606 光学顕微鏡
608 試料
610 真空チャンバ
612 試料ステージ
614 2次電子検出器
620 ナノ毛細管
622 マイクロマニピュレータ