【実施例】
【0019】
(試験例1)
まず、表1に示す各原料澱粉を用いて種々の架橋澱粉を作製した。
作製方法としては、水120部に対して塩化ナトリウム10部、澱粉100部を加えたスラリーを用意し、撹拌下、3質量%水酸化ナトリウム水溶液によりpH11.5に維持しながら、原料種に由来する平均粒径の大きさを考慮してトリメタリン酸ナトリウム6部〜20部を適宜加え、45℃で7時間反応した後pHを6.5に中和し脱水、洗浄、乾燥を行い、リン酸架橋澱粉を得た。
次に、得られた各架橋澱粉の5質量%懸濁液を湯浴で90℃まで加熱して澱粉糊液を得て、その平均粒径の測定と試食評価を行った。その結果を表1にそれぞれ示す。なお、表中の記号は「白濁感」及び「なめらかさ」の各項目において、「かなりある」場合は○、「少しある」場合は△、「ない」場合は×としたときの結果である。
その結果、馬鈴薯、小麦、タピオカ、とうもろこしを原料とする架橋澱粉は白濁感が少なく、なめらかさも低くざらつきが見られた。一方、もち米、うるち米を原料とした架橋澱粉は白濁感に優れ、なめらかな食感でざらつきもほとんど感じられなかった。
以上より、食感に違和感を及ぼさずに白濁感を付与することのできる架橋澱粉の原料としてはもち米及びうるち米が適していると示唆された。
【0020】
【表1】
【0021】
(試験例2)
試験例1で作製した架橋澱粉に加え、うるち米又はもち米澱粉を原料澱粉として上述した方法に従って架橋剤の使用量を調整して架橋度の異なる架橋澱粉を作製し、得られた各架橋澱粉の25質量%における粘度変化(最高粘度)を上述した方法に従ってブラベンダーアミログラフにより測定した。その結果を表2に示す。
次に、得られた各架橋澱粉の5質量%懸濁液を湯浴で90℃まで加熱して澱粉糊液を得て、その平均粒径の測定と試食評価を行った。その結果を表2に示す。なお、表中の記号は、「白濁感」、「なめらかさ」及び「糊感のなさ」の各項目において、「かなりある」場合は○、「少しある」場合は△、「ない」場合は×としたときの結果である。
その結果、平均粒径の大きさに関わらず、最高粘度が2000BUを超えるものは糊感が出現して食感が好ましくなく、平均粒径が9μm以上のものは白濁感が劣るため好ましくなく、さらに13μm以上のものはなめらかさがなくザラつきを感じるために好ましくなかった。
以上より、なめらかで違和感のない食感を維持しつつ、白濁感を付与できる澱粉は、25質量%におけるブラベンダーアミログラムの最高粘度が2000BU以下、且つ、90℃達温後30℃まで冷却したときの平均粒径が8μm以下の澱粉であることが示唆された。
【0022】
【表2】
【0023】
(実施例1 澱粉麺)
表3の配合割合に従って澱粉麺を調製した(麺厚:#8角、切刃:3.40m/m、茹で時間:12分)。5質量%懸濁液を90℃まで達温させた後に30℃まで放冷したときの平均粒子径が8μm以下であって、ブラベンダーアミログラフ測定法による25質量%糊液の最高粘度が2000BU以下である架橋澱粉として、パインホワイトR(松谷化学工業(株)製)を用いた。
その結果、比較例1に比べて実施例1の澱粉麺のほうが見た目にも白く、食感も歯切れの良いものであった。
【0024】
【表3】
【0025】
(実施例2 グミキャンディー)
銅鍋に水あめ、グラニュー糖、架橋米澱粉を混ぜ合わせ、水を加えて水分30%程度に調整し、Brix86まで常圧で煮詰めた。水に溶解後、あらかじめ加温しておいたゼラチン、水に溶解したクエン酸を順に混合した後、75℃30分保温して脱気を行った。その後スターチモールドに充填し、乾燥させた。なお、充填時のBrixは79、乾燥後のBrixは82であった。各原料の配合量は表4に示した通りである。
その結果、比較例2に比べて実施例2は白濁感を有しており、硬くサクい食感になった。
【0026】
【表4】
【0027】
(実施例3 杏仁豆腐)
表5に示した配合を撹拌しながら加熱後、充填、冷却し杏仁豆腐を得た。得られた杏仁豆腐について評価を行った。
その結果、比較例3の見た目は半透明であったのに対し、実施例ではいずれも白濁感を有していた。そのなかでも実施例3−3では特に杏仁豆腐らしい白さが付与されており、見た目にも遜色がないものであった。また、実施例の食感はいずれもなめらかであり、違和感のないものであった。
【0028】
【表5】
【0029】
(実施例4 大福餅)
グラニュー糖、HL−PDX、トレハロースを水に混合溶解し、糖液を作製した。もち粉、加工でん粉、高架橋タピオカでん粉、架橋米でん粉を混合したものにあらかじめ作製した糖液を加えて捏ねた。このようにしてできた生地を蒸し器にて強火で40分加熱後、温めた家庭用餅つき機にて5分間搗いた。得られた餅にとり粉を打ち、人肌まで放冷し、分割、包餡して緩慢冷凍した。こうして得られた大福餅を解凍し、評価を行った。原材料の配合は表6に示した通りである。
その結果、比較例4−1は生地が透明で餡が生地から透けて見えたのに対し、比較例4−2、実施例4では透明性が改善されており、特に実施例4では従来の大福餅に近い白さを付与することができた。さらに、比較例4−2が若干粉っぽさを感じるのに対し、実施例4はなめらかな食感であり、違和感のないものであった。
【0030】
【表6】
【0031】
(実施例5 ごま豆腐)
表7に示した配合割合の4倍量の原材料を鍋に入れ、撹拌しながら加熱し、15分練り上げた後、カップに充填、冷却し、ごま豆腐を得た。得られたごま豆腐について、翌日評価を行った。その結果、実施例5−1、実施例5−2ともに比較例と比べて白さが増し、食感も濃厚でゴマ感が増していた。
【0032】
【表7】
【0033】
(実施例6 ノンオイル胡麻ドレッシング)
表8に示した配合を撹拌しながら90℃まで加熱後、冷却しノンオイル胡麻ドレッシングを得た。得られたノンオイル胡麻ドレッシングについて評価を行った。
その結果、実施例6は比較例6−1、比較例6−2に比べてより白く、食感もなめらかで違和感のないものであった。
【0034】
【表8】
【0035】
(実施例7 ホワイトソース)
表9に示した配合を撹拌しながら90℃まで加熱し、ホワイトソースを得た。得られたホワイトソースについて評価を行った。
その結果、比較例7に比べて実施例7の方がより白く、また食感もなめらかで違和感のないものであった。
【0036】
【表9】
【0037】
(実施例8 コーンスープ)
表10に示した配合を撹拌しながら90℃まで加熱し、コーンスープを得た。得られたコーンスープについて評価を行った。
その結果、比較例8に比べて実施例8の方がより白濁感があり、食感もなめらかで違和感のないものであった。
【0038】
【表10】
【0039】
(実施例9 ラーメンスープ)
表11に示す配合割合で濃縮ラーメンスープを調製した。調製した濃縮ラーメンスープについて、表9に記載の1人前当たりの量をそれぞれ350gの湯で希釈し、得られたラーメンスープについて評価を行った。
その結果、比較例9に比べて実施例9−1、9−2、9−3の方がより白濁感を有していた。実施例はいずれも食感はなめらかで違和感のないものであったが、ラーメンスープとしての白濁度合いは実施例9−1の添加量で充分であると思われた。
【0040】
【表11】
【0041】
(実施例10 コーティング用ホワイトチョコレート)
表12に示す配合割合でコーティング用ホワイトチョコレートを調製した。得られたコーティング用ホワイトチョコレートについて評価を行った。
その結果、比較例10に比べて実施例10の方がより白く、透け感が低かった。また舌触りもなめらかで違和感のないものであった。
【0042】
【表12】
【0043】
(実施例11 チョコレートフラワーペースト)
表13に示した配合を沸騰浴中で撹拌しながら10分間加熱し、チョコレートフラワーペーストを得た。得られたチョコレートフラワーペーストについて評価を行った。
その結果、比較例11に比べて実施例11−1、11−2の方がより白濁感があり色調が良好であった。また、食感もなめらかで口溶けの良いものであった。
【0044】
【表13】