(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、
前記各中継器は、
前記複数の一部又は全部の端末機器の状態監視を行う制御部と、平常時において前記制御部に電源を供給する電源と、前記制御部と前記電源との接続/非接続、前記制御部と隣接する他の中継器の電源との接続/非接続を切り替えるスイッチング手段とを備え、
平常時においては、
前記スイッチング手段は、前記制御部と前記電源を接続状態にすると共に、前記制御部と前記隣接する他の中継器の電源を非接続状態にし、
前記電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記制御部と前記電源を非接続状態にすると共に、前記制御部と前記隣接する他の中継器の電源を接続状態にすることを特徴とするトンネル防災システム。
前記防災受信盤は、前記電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記隣接する他の中継器の制御部に通知する通知手段を備え、
前記電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記電源に異常が発生した旨を前記隣接する他の中継器の制御部に通知し、
前記隣接する他の中継器の制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて、前記電源に異常が発生した前記中継器の制御部と前記隣接する他の中継器の電源とを接続状態にするように前記隣接する他の中継器のスイッチング手段を制御することを特徴とする請求項1記載のトンネル防災システム。
防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、
前記各中継器は、
前記端末機器の状態監視を行う複数の制御部と、平常時において前記複数の制御部の各制御部にそれぞれ電源を供給する複数の電源と、前記各制御部と該各制御部に電源を供給する各電源との接続/非接続、前記各制御部と隣接する他の中継器の各電源との接続/非接続を切り替えるスイッチング手段とを備え、
平常時においては、
前記スイッチング手段は、前記各制御部と前記各電源を接続状態にすると共に、前記各制御部と前記隣接する他の中継器の各電源を非接続状態にし、
前記各電源のいずれかに異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記異常が発生した前記電源と該電源から電源供給を受けていた制御部とを非接続状態にすると共に、前記異常が発生した電源から電源供給を受けていた制御部と前記隣接する他の中継器のいずれかの電源を接続状態にすることを特徴とするトンネル防災システム。
前記防災受信盤は、前記各電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記隣接する他の中継器の制御部に通知する通知手段を備え、
前記電源のいずれかに異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記電源に異常が発生した旨を前記隣接する他の中継器の制御部に通知し、
前記防災受信盤から通知を受けた前記隣接する他の中継器の制御部は、前記防災受信盤の通知に基づいて、前記異常が発生した電源から電源供給されていた制御部と前記隣接する他の中継器の電源とを接続状態にするように前記隣接する他の中継器のスイッチング手段を制御することを特徴とする請求項3記載のトンネル防災システム。
防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、
前記各中継器は、
前記複数の端末機器のうちの一部の端末機器の状態監視を行う第1制御部と、該第1制御部が状態監視を行う以外の端末機器の状態監視を行う第2制御部と、平常時において前記第1制御部に電源を供給する第1電源と、平常時において前記第2制御部に電源を供給する第2電源と、前記第1制御部と前記第1電源及び前記第2電源との接続/非接続、前記第2制御部と前記第2電源及び前記第1電源との接続/非接続を切り換えるスイッチング手段とを備え、
平常時においては、
前記スイッチング手段は、前記第1制御部と前記第1電源を接続状態にすると共に前記第1制御部と前記第2電源との接続を非接続状態にし、かつ、前記第2制御部と前記第2電源を接続状態にすると共に前記第2制御部と第1電源との接続を非接続状態にし、
前記第1電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記第1制御部と前記第1電源を非接続状態にすると共に前記第1制御部と前記第2電源を接続状態にし、
前記第2電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記第2制御部と前記第2電源を非接続状態にすると共に前記第2制御部と前記第1電源を接続状態にすることを特徴とするトンネル防災システム。
前記防災受信盤は、前記第1電源及び前記第2電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記第1制御部または前記第2制御部のうち異常が生じていない電源から電源供給を受けている制御部に通知する通知手段を備え、
前記第1電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記第1電源に異常が発生した旨を前記第2制御部に通知し、
通知を受けた前記第2制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて第1制御部と前記第2電源を接続状態にするように前記スイッチング手段を制御し、
前記第2電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記第2電源に異常が発生した旨を前記第1制御部に通知し、
前記第1制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて前記第2制御部と前記第1電源を接続状態にするように前記スイッチング手段を制御することを特徴とする請求項7記載のトンネル防災システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長いトンネルを監視するためには、多くの火災検知器が必要であり、各火災検知器が接続される中継器の数も多くなる。中継器の数が多くなれば、中継器が故障する可能性も高くなる。
中継器の故障の例として、中継器に搭載している電源の異常が挙げられる。ある中継器において電源異常が発生すると、当該中継器に接続されている火災検知器が作動しなくなり、これによって火災監視されていた区間については、火災監視できなくなるという問題がある。
この点、特許文献1には、中継器(特許文献1の「中継増幅盤」)の電源の異常発生への対応については言及がない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、中継器の電源に異常が発生しても電源バックアップを可能として火災監視できなくなる区間が生じないトンネル防災システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るトンネル防災システムは、防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、
前記各中継器は、
前記複数の一部又は全部の端末機器の状態監視を行う制御部と、
平常時において前記制御部に電源を供給する電源と、前記制御部と前記電源との接続/非接続、前記制御部と隣接する他の中継器の電源との接続/非接続を切り替えるスイッチング手段とを備え、
平常時においては、
前記スイッチング手段は、前記制御部と前記電源を接続状態にすると共に、前記制御部と前記隣接する他の中継器の電源を非接続状態にし、
前記電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記制御部と前記電源を非接続状態にすると共に、前記制御部と前記隣接する他の中継器の電源を接続状態にすることを特徴とするものである。
【0007】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記防災受信盤は、前記電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記隣接する他の中継器の制御部に通知する通知手段を備え、
前記電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記電源に異常が発生した旨を前記隣接する他の中継器の制御部に通知し、
前記隣接する他の中継器の制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて、前記電源に異常が発生した前記中継器の制御部と前記隣接する他の中継器の電源とを接続状態にするように前記隣接する他の中継器のスイッチング手段を制御することを特徴とするものである。
【0008】
(3)また、本発明に係るトンネル防災システムは、防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、前記各中継器は、前記端末機器の状態監視を行う複数の制御部と、平常時において前記複数の制御部の各制御部にそれぞれ電源を供給する複数の電源と、前記各制御部と該各制御部に電源を供給する各電源との接続/非接続、前記各制御部と隣接する他の中継器の各電源との接続/非接続を切り替えるスイッチング手段とを備え、平常時においては、前記スイッチング手段は、前記各制御部と前記各電源を接続状態にすると共に、前記各制御部と前記隣接する他の中継器の各電源を非接続状態にし、前記各電源のいずれかに異常が発生したときには、前記スイッチング手段は、前記異常が発生した前記電源と該電源から電源供給を受けていた制御部とを非接続状態にすると共に、前記異常が発生した電源から電源供給を受けていた制御部と前記隣接する他の中継器のいずれかの電源を接続状態にすることを特徴とするものである。
【0009】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記防災受信盤は、前記各電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記隣接する他の中継器の制御部に通知する通知手段を備え、
前記電源のいずれかに異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記電源に異常が発生した旨を前記隣接する他の中継器の制御部に通知し、
前記防災受信盤から通知を受けた前記隣接する他の中継器の制御部は、前記防災受信盤の通知に基づいて、前記異常が発生した電源から電源供給されていた制御部と前記隣接する他の中継器の電源とを接続状態にするように前記隣接する他の中継器のスイッチング手段を制御することを特徴とするものである。
【0010】
(5)また、上記(1)又は(4)に記載のものにおいて、前記スイッチング手段は、主リレーと副リレーとを備えており、
前記主リレーは、主コモン接点と主メイク接点と主ブレイク接点とを有し、
前記副リレーは、副コモン接点と副メイク接点と副ブレイク接点とを有し、
前記主コモン接点は前記制御部と、前記主メイク接点は前記電源と、前記主ブレイク接点は前記副ブレイク接点と接続され、
前記副コモン接点は前記隣接する他の中継器の副コモン接点と、前記副メイク接点は前記電源と接続されていることを特徴とするものである。
【0011】
(6)また、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のものにおいて、前記隣接する他の中継器がひとつ上流側に隣接する前記中継器であることを特徴とするものである。
【0012】
(7)また、上記(5
)に記載のものにおいて、最上流に設置された中継器は、前記副コモン接点が前記防災受信盤と接続されており、
前記最上流に設置された中継器の電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤が前記最上流に設置された中継器の制御部に前記副コモン接点を介して電源を供給することを特徴とするものである。
【0013】
(8)本発明に係るトンネル防災システムは、防災受信盤と、該防災受信盤と伝送線を介して接続された複数の中継器と、該各中継器に接続された複数の端末機器とを有し、前記防災受信盤が、前記各中継器を介して、前記複数の端末機器の状態監視を行うトンネル防災システムであって、
前記各中継器は、
前記複数の端末機器のうちの一部の端末機器の状態監視を行う第1制御部と、該第1制御部が状態監視を行う以外の端末機器の状態監視を行う第2制御部と、平常時において前記第1制御部に電源を供給する第1電源と、平常時において前記第2制御部に電源を供給する第2電源と、前記第1制御部と前記第1電源及び前記第2電源との接続/非接続、前記第2制御部と前記第2電源及び前記第1電源との接続/非接続を切り換えるスイッチング手段とを備え、
平常時においては、
前記スイッチング手段は、前記第1制御部と前記第1電源を接続状態にすると共に前記第1制御部と前記第2電源との接続を非接続状態にし、かつ、前記第2制御部と前記第2電源を接続状態にすると共に前記第2制御部と第1電源との接続を非接続状態にし、
前記第1電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記第1制御部と前記第1電源を非接続状態にすると共に前記第1制御部と前記第2電源を接続状態にし、
前記第2電源に異常が発生したときには、
前記スイッチング手段は、前記第2制御部と前記第2電源を非接続状態にすると共に前記第2制御部と前記第1電源を接続状態にすることを特徴とするものである。
【0014】
(9)また、上記(8)に記載のものにおいて、前記防災受信盤は、前記第1電源及び前記第2電源の異常を検知する異常検知手段と、該異常検知手段によって異常が検知されたときにこれを前記第1制御部または前記第2制御部のうち異常が生じていない電源から電源供給を受けている制御部に通知する通知手段を備え、
前記第1電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記第1電源に異常が発生した旨を前記第2制御部に通知し、
通知を受けた前記第2制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて第1制御部と前記第2電源を接続状態にするように前記スイッチング手段を制御し、
前記第2電源に異常が発生したときには、
前記防災受信盤は前記第2電源に異常が発生した旨を前記第1制御部に通知し、
前記第1制御部は前記防災受信盤の通知に基づいて前記第2制御部と前記第1電源を接続状態にするように前記スイッチング手段を制御することを特徴とするものである。
【0015】
(10)また、上記(8)又は(9)に記載のものにおいて、前記スイッチング手段は、第1主リレーと第1副リレー、第2主リレーと第2副リレーを備えており、
前記第1主リレーは、第1主コモン接点と第1主メイク接点と第1主ブレイク接点とを有し、
前記第1副リレーは、第1副コモン接点と第1副メイク接点と第1副ブレイク接点とを有し、
前記第2主リレーは、第2主コモン接点と第2主メイク接点と第2主ブレイク接点とを有し、
前記第2副リレーは、第2副コモン接点と第2副メイク接点と第2副ブレイク接点とを有し、
前記第1主コモン接点は前記第1制御部と、前記第1主メイク接点は前記第1電源と、前記第1主ブレイク接点は前記第1副ブレイク接点と接続され、
前記第1副コモン接点は前記第2副コモン接点と、前記第1副メイク接点は前記第1電源と接続され、
前記第2主コモン接点は前記第2制御部と、前記第2主メイク接点は前記第2電源と、前記第2主ブレイク接点は前記第2副ブレイク接点と接続され、
前記第2副メイク接点は前記第2電源と接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明において、各中継器は、スイッチング手段によって、平常時には、制御部と電源を接続状態にすると共に、制御部と隣接する他の中継器の電源を非接続状態にしておき、電源に異常が発生したときには、制御部と電源を非接続状態にすると共に、制御部と隣接する他の中継器の電源とを接続状態にすることにより、隣接する他の中継器の電源によって引き続き動作可能となり、火災監視できなくなる区間が生じない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係るトンネル防災システム1は、
図1に示すように、トンネル防災システム1全体を監視する防災受信盤3と、防災受信盤3と伝送線4を介してシリアルに接続された複数の中継器(最上流中継器7A、上流側中継器7B、下流側中継器7C等)と、各中継器に接続された複数の端末機器としての火災検知器9とを有しており、防災受信盤3が各中継器を介して複数の火災検知器9の状態監視を行うものである。なお、
図1においては、複数の中継器のうち防災受信盤3側を上流側として最上流から順に3台の中継器(最上流中継器7A、上流側中継器7B、下流側中継器7C)のみを図示している。
トンネル防災システム1は、各中継器を介して接続されている火災検知器9等の端末機器毎に固有のアドレスを設定し、該アドレスを用いて各種信号の送受信を行う、いわゆるR型伝送方式である。
以下、上記各構成を
図1及び
図2に基づいて詳細に説明する。なお、
図2では伝送線4を省略している。
【0019】
<防災受信盤>
防災受信盤3は、伝送線4を介して各中継器と接続されており、定期的に各中継器に対して状態収集命令を行い、各中継器は状態収集命令を受信すると、収集した状態情報を送受信部(図示なし)を介して防災受信盤に対して返信する。このとき、各中継器の電源13の異常を検知する異常検知手段3aと、異常検知手段3aによって異常が検知されると、これを異常が検知された中継器のひとつ上流の中継器の制御部に通知する通知手段3bを備えている。
例えば、下流側中継器7Cの電源13に異常が発生した場合、防災受信盤3からの状態収集命令に対し、下流側中継器7Cから返信がない場合(無応答の場合)、異常検知手段3aによって無応答であることが検知され、下流側中継器7Cの電源が異常であると判断し、その旨が通知手段3bによって下流側中継器7Cのひとつ上流の中継器である上流側中継器7Bに通知される。
【0020】
<中継器>
中継器(最上流中継器7A、上流側中継器7B、下流側中継器7C等)は、
図1に示すように、トンネル内に所定間隔(例えば100m間隔)で配置されて、火災検知器9等から発信される信号を変換して中継するものである。
ある中継器において、電源13の異常が検知された場合、異常が検知された中継器とそのひとつ上流の中継器間、つまり隣り合う(隣接する)中継器間で電源バックアップが行われるので、以下の説明では隣り合う中継器間の一例として、上流側中継器7Bと下流側中継器7Cを挙げる(
図2参照)。なお、
図2は、
図1の最上流中継器7A、上流側中継器7B、下流側中継器7Cのうち、上流側中継器7Bと下流側中継器7Cのみを抜き出して詳細に図示したものである。また、各中継器の構成は同様であるので、中継器の構成について主に下流側中継器7Cに着目して説明する。
【0021】
下流側中継器7Cは、
図2に示すように、制御盤11と、平常時において制御盤11に電源を供給する電源13と、制御盤11と電源13との接続/非接続、制御盤11と上流側中継器7Bの電源13との接続/非接続を切り替えるスイッチング手段15とを備えている。
下流側中継器7Cの各構成についてさらに詳細に説明する。
【0022】
≪制御盤≫
制御盤11は、複数の火災検知器9とスイッチング手段15が接続されており、制御部(図示なし)と送受信部(図示なし)を有している。
制御部は、送受信部を介して制御盤11に接続された火災検知器9の状態監視を行う機能とスイッチング手段15を制御する機能を備えている。スイッチング手段15の制御は、防災受信盤3からの指示等に基づいて行われる。詳細な方法については後述する。
【0023】
≪電源≫
電源13は、防災受信盤3と制御盤11の間に設けられて、防災受信盤3から電源線5およびブレーカー17を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換して制御盤11等に供給するものであり、この電源供給を受けて制御盤11(制御部)が稼働している。
【0024】
≪スイッチング手段≫
スイッチング手段15は、
図2に示す通り、主リレー19と副リレー21とを備えている。
主リレー19は、主コモン接点19aと主メイク接点19bと主ブレイク接点19cとを有しており、副リレー21は、副コモン接点21aと副メイク接点21bと副ブレイク接点21cとを有している。
主コモン接点19aは制御盤11と、主メイク接点19bは電源13と、主ブレイク接点19cは副ブレイク接点21cとそれぞれ接続されており、副コモン接点21aは上流側の中継器(下流側中継器7Cの場合、上流側中継器7B)の副コモン接点21aと、副メイク接点21bは電源13とそれぞれ接続されている。
【0025】
主リレー19及び副リレー21は、制御部によってメイク状態にすることが可能になっている。
主リレー19は、平常時においてメイク状態、すなわち主コモン接点19aと主メイク接点19bが接続された状態になっており、制御盤11は電源13に接続されている。
電源13に異常が発生して制御盤11に電源が供給されなくなると主リレー19はメイク状態を維持できなくなり、自動的にブレイク状態、すなわち主コモン接点19aと主ブレイク接点19cが接続された状態となり、制御盤11は副リレー21に接続される。
【0026】
副リレー21は、平常時においてブレイク状態、すなわち副コモン接点21aと副ブレイク接点21cが接続された状態になっており、副リレー21と主リレー19とが接続されている。
副リレー21がメイク状態、すなわち副コモン接点21aと副メイク接点21bが接続された状態となると、副リレー21と電源13とが接続される。
【0027】
下流側中継器7C(上流側中継器7B)は以上のような構成であるため、各中継器(上流側中継器7Bと下流側中継器7C)の主リレー19及び副リレー21のメイク/ブレイク状態を切り替えることによって、下流側中継器7Cにおいて、制御盤11の電源供給元を自己(下流側中継器7C)の電源13にするか、上流側中継器7Bの電源13にするかを切り替えることができる。具体的には以下の通りである。
【0028】
下流側中継器7Cにおいて、制御盤11を自己の電源13に接続させるためには、上述したとおり、主リレー19をメイク状態にする(
図2参照)。こうすることで、下流側中継器7Cの制御盤11は主リレー19を経由して電源13に接続される。
【0029】
下流側中継器7Cにおいて、制御盤11を上流側中継器7Bの電源13に接続させるためには、主リレー19をブレイク状態、副リレー21をブレイク状態にし、さらに上流側中継器7Bの副リレー21をメイク状態にする(
図3参照)。こうすることで、下流側中継器7Cの制御盤11は主リレー19、副リレー21、上流側中継器7Bの副リレー21を経由して上流側中継器7Bの電源13と接続状態となる。
この場合、上流側中継器7Bの電源13には、下流側中継器7Cの制御盤11と上流側中継器7Bの制御盤11とが接続されている。
【0030】
なお、上記の制御盤11の電源供給元の切り替えは、上流側中継器7B等、ひとつ上流側に中継器が存在する中継器において同様であるが、最上流中継器7Aにおいては上流側に中継器が存在しないため、電源13に異常が発生したときには防災受信盤3から電源の供給を受けるようになっている。具体的には、副コモン接点21aは防災受信盤3と接続されており、最上流中継器7Aの電源13に異常が発生したときには、防災受信盤3から最上流中継器7Aの制御盤11に主リレー19、副リレー21を介して電源が供給される。
【0031】
<火災検知器>
火災検知器9は、トンネル内に所定間隔(例えば25m間隔)で配置されて、所定範囲内の炎特有の波長の光を検出することで火災を検知可能になっている。
【0032】
以上のように構成された本実施の形態に係るトンネル防災システム1を用いて、下流側中継器7Cにおいて、電源13の異常発生時に制御盤11の接続先の切替えを行う場合を例に挙げて、
図1乃至
図3に基づいて以下に説明する。なお、
図3では伝送線4を省略している。
【0033】
平常時においては、上述したとおり、下流側中継器7Cにおいて制御盤11は電源13に接続されて電源が供給されている(
図2参照)。下流側中継器7Cの電源13は、防災受信盤3の異常検知手段3aによって異常の有無が監視されている。異常検知手段3aは、例えば、防災受信盤3からの状態収集命令に対し、下流側中継器7Cが無応答であることを検知して異常と判断する。
【0034】
下流側中継器7Cにおいて電源13に異常が発生すると、上述したとおり、主リレー19はメイク状態を維持できなくなり自動的にブレイク状態になる。これによって、制御盤11は、下流側中継器7Cの電源13と非接続状態になるとともに、上流側中継器7Bの副リレー21に接続される。なお、この時点において上流側中継器7Bの副リレー21はブレイク状態である。
一方、防災受信盤3は、異常検知手段3aによって下流側中継器7Cの電源13の異常を検知し、該検知した情報に基づいて、通知手段3bによって上流側中継器7Bの制御部に下流側中継器7Cの電源13に異常が発生した旨を通知する。
上流側中継器7Bの制御部は、上記通知に基づいて上流側中継器7Bの副リレー21をメイク状態にする。
こうすることで、下流側中継器7Cの制御盤11が上流側中継器7Bの電源13に接続されて電源が供給される(
図3参照)。
【0035】
以上のように本実施の形態においては、下流側中継器7Cにおいては、自己の電源13に異常が発生しても、制御盤11の電源供給元を自己の電源13から上流側中継器7Bの電源13に切り替えることにより引き続き稼働して火災監視を行うことができ、火災監視できなくなる区間が生じることがない。
なお、上記では下流側中継器7Cにおいて電源13に異常が発生した場合について説明したが、上流側中継器7Bにおいて電源13に異常が発生した場合についても同様であり、上流側中継器7Bの制御盤11は、上流側中継器7Bのひとつ上流の中継器である最上流中継器7Aの電源13に接続されることで、引き続き稼働して火災監視を行うことができる。
なお、上記では、中継器に電源異常が発生した場合には、ひとつ上流側の中継器から電源を供給する例を示したが、これに限られない。
例えば、2つの中継器をペアとし、電源異常が発生した場合には、相互に電源を供給するように構成してもよい。この場合、上記の例で上流側中継器7Bと下流側中継器7Cをペアとして、仮に上流側中継器7Bに電源異常が発生した場合には、下流側中継器7Cから電源を供給すればよい。このような構成にした場合、上流側中継器7Bの副コモン接点21aと、さらに上流側の中継器の副コモン接点21aを接続する電線および下流側中継器7Cの副コモン接点21aと、さらに下流側の中継器の副コモン接点21aを接続する電線が不要となる。
【0036】
上記では、1つの中継器に制御盤と電源を1つずつ有しているものについて説明したが、中継器の構成はこれに限られず、例えば、制御盤同士のバックアップを行うために1つの中継器に2つの制御盤を有し、該制御盤毎に電源を有するものがある。
このような中継器を用いたトンネル防災システムにおいても、上述した電源バックアップ方法は適用可能である。この点について
図4に基づいて説明する。
【0037】
図4に示すトンネル防災システム23は上述したトンネル防災システム1の変形例であり、トンネル防災システム23は、トンネル防災システム1と同様に下流側の中継器の電源に異常が発生した場合、上流側の中継器の電源でバックアップするようにしたものである。
なお、
図4においては、トンネル防災システム23の複数の中継器のうち最上流から順に3台(最上流中継器24A、上流側中継器24B、下流側中継器24C)のみを図示しており、
図1と同様のものには同一の符号を付しており、その説明を省略する。
このようなトンネル防災システム23について
図5に基づいてさらに詳細に説明する。なお、
図5では伝送線4を省略している。
【0038】
図5は、
図4のトンネル防災システム23に示す複数の中継器のうち、上流側中継器24B、下流側中継器24Cを抜き出して図示したものである。
図5において、
図1〜
図4と同様のものには同一の符号を付している。また、各中継器の構成はいずれも同様であるので、下流側中継器24Cを例に挙げて説明する。
【0039】
下流側中継器24Cは、
図5に示すように、下流側中継器24Cに接続された複数の火災検知器9のうちの一部が接続された第1制御盤25と、残りの火災検知器9が接続された第2制御盤27と、第1制御盤25に電源を供給する第1電源29と、第2制御盤27に電源を供給する第2電源31と、第1スイッチング手段33と、第2スイッチング手段39とを有している。
【0040】
第1制御盤25と第2制御盤27は上記のトンネル防災システム1の制御盤11と同様であり、第1電源29と第2電源31は電源13と同様であるので、これらの説明を省略する。
第1スイッチング手段33と第2スイッチング手段39は、スイッチング手段15と同様に主リレー及び副リレー(第1主リレー35及び第1副リレー37、第2主リレー41及び第2副リレー43)を有しており、
図5〜
図7において、各リレーの各接点でスイッチング手段15と同様ものには同様の添え字(a、b、c)を付している。なお、
図6、
図7では伝送線4を省略している。
【0041】
下流側中継器24Cにおいて、平常時は、
図5に示すように、第1制御盤25は第1電源29に接続されて電源が供給されており、第2制御盤27は第2電源31に接続されて電源が供給されている。
このように、第1制御盤25の電源系統(第1制御盤25、第1電源29、第1スイッチング手段33)と第2制御盤27の電源系統(第2制御盤27、第2電源31、第2スイッチング手段39)は別系統になっており、仮に第1電源29に異常が発生しても、第2制御盤27の稼働に影響はなく、引き続き第2制御盤27による監視を行うことができる。
【0042】
電源のバックアップについても第1制御盤25の電源系統と第2制御盤27の電源系統とで個別に行われる。
バックアップ方法は上記のトンネル防災システム1の場合と同様である。例えば、下流側中継器24Cにおいて第1電源29に異常が発生した場合、下流側中継器24Cの第1制御盤25は上流側中継器24Bの第1電源29に接続されて電源が供給される(
図6参照)。
下流側中継器24Cにおいて第2電源31に異常が発生した場合についても同様であり、下流側中継器24Cの第2制御盤27は上流側中継器24Bの第2電源31に接続されて電源が供給される。
また、仮に下流側中継器24Cの内部に雨水が侵入したり、ブレーカー17が故障したりするなどして、第1電源29と第2電源31の両方に異常が発生したとしても、
図7に示すように、下流側中継器24Cの各制御盤を上流側中継器24Bの各電源にそれぞれ接続させることで対応可能である。
【0043】
なお、上記では電源異常発生時の制御盤と電源の組み合わせとして、下流側中継器24Cの第1制御盤25と上流側中継器24Bの第1電源29、下流側中継器24Cの第2制御盤27と上流側中継器24Bの第2電源31をそれぞれ組み合わせた例を示したが、制御盤と電源の組み合わせとしてはこれに限られない。
例えば、下流側中継器24Cの第1制御盤25と上流側中継器24Bの第2電源31、下流側中継器24Cの第2制御盤27と上流側中継器24Bの第1電源29をそれぞれ組み合わせてもよい。つまり、この場合、下流側中継器24Cにおいて、第1電源29に異常が発生した場合には第1制御盤25を上流側中継器24Bの第2電源31に接続させ、第2電源31に異常が発生した場合には第2制御盤27を上流側中継器24Bの第1電源29に接続させる。
【0044】
[実施の形態2]
上記の実施の形態1では、ある中継器(下流側中継器7C、下流側中継器24C)の電源に異常が発生した場合にそのひとつ上流側の中継器(上流側中継器7B、上流側中継器24B)の電源でバックアップするようにしたものを示したが、電源のバックアップ方法はこれに限らない。
例えば、中継器の内部に2つの電源を有する点はトンネル防災システム23と変わらないが、他の中継器の電源でバックアップを行うのではなく、中継器内部の電源同士でバックアップを行うようにしてもよい。
このようなバックアップ方法を実現するための構成の一例として、トンネル防災システム23の変形例であるトンネル防災システム45を
図8に示す。
なお、
図8においては、トンネル防災システム45の複数の中継器のうち最上流から順に3台(最上流中継器46A、上流側中継器46B、下流側中継器46C)のみを図示しており、
図1及び
図4と同様のものには同一の符号を付している。また、各中継器はいずれも同様の構成であるので、以下の説明では下流側中継器46Cを例に挙げる。
【0045】
下流側中継器46Cは
図8に示すように、第1電源29と第2電源31を有しており、いずれかの電源に異常が発生した場合に他方の電源でバックアップするようにしたものである。このようなバックアップ方法を実現するために、下流側中継器46Cの各スイッチング手段(第1スイッチング手段47、第2スイッチング手段49)は、上記のトンネル防災システム23の中継器(下流側中継器24C等)の各スイッチング手段(第1スイッチング手段33、第2スイッチング手段39)と、接続先の一部が以下に記載の点において異なる。以下に、これらの相違点について
図9に基づいて説明する。なお、
図9は、
図8に示す中継器のうち下流側中継器46Cを抜き出してより詳細に図示したものであり、
図1〜
図8と同様のものには同一の符号を付しており、その説明を省略する。また、
図9では伝送線4を省略している。
【0046】
第1主リレー35の第1主ブレイク接点35cは、第1副リレー37の第1ブレイク接点37cと接続されている。
第1副リレー37の第1副コモン接点37aは、第2副リレー43の第2副コモン接点43aと接続されている。
第2主リレー41の第2主ブレイク接点41cは、第2副リレー43の第2副ブレイク接点43cと接続されている。
各リレーのその他の接点の接続先は、トンネル防災システム23の各スイッチング手段(第1スイッチング手段33、第2スイッチング手段39)と同様である。
【0047】
上記のように構成されたトンネル防災システム45において、下流側中継器46Cの第1電源29に異常が発生した場合を例に挙げて、バックアップ方法について
図9及び
図10に基づいて説明する。なお、
図10では伝送線4を省略している。
平常時は、
図9に示すように、下流側中継器46Cの第1制御盤25は第1電源29に接続され、第2制御盤27は第2電源31に接続されて、それぞれ電源が供給されている。
【0048】
この状態で下流側中継器46Cの第1電源29に異常が発生したとすると、下流側中継器46Cにおいて、第1主リレー35をメイク状態に維持できなくなり、自動的にブレイク状態となる。これによって、第1制御盤25は、第1電源29と非接続状態になるとともに、第1副リレー37を経由して第2副リレー43に接続される。なお、この時点において第2副リレー43はブレイク状態である。
【0049】
一方、防災受信盤3は、異常検知手段3aによって下流側中継器46Cの第1電源29の異常を検知し、該検知した情報に基づいて、通知手段3bによって下流側中継器46Cの第2制御盤27に、第1電源29に異常が発生した旨を通知する。
第2制御盤27は、上記通知に基づいて第2副リレー43をメイク状態にする。
このようにして、
図10に示すように、第1制御盤25は、第1主リレー35、第1副リレー37、第2副リレー43を経由して第2電源31に接続されて電源が供給される。
【0050】
以上のように本実施の形態においては、下流側中継器46Cにおいて第1電源29に異常が発生しても第1制御盤25の電源供給元を第1電源29から第2電源31に切り替えることにより、引き続き稼働して火災監視を行うことができ、火災監視できなくなる区間が生じることがない。
【0051】
なお、上記では第1電源29に異常が発生した場合について説明したが、第2電源31に異常が発生した場合についても同様であり、第2制御盤27が第1電源29に接続されることで引き続き稼働して火災監視を行うことができる。
上記ではバックアップ方法について下流側中継器46Cを例に挙げて説明したが、他の中継器(例えば最上流中継器46A、上流側中継器46B)においても同様である。
【0052】
なお、上記実施の形態1及び実施の形態2の説明では、各制御盤に接続される機器として火災検知器を例に挙げているが、各制御盤に接続される機器は火災検知器のみに限定されるものではなく、例えば信号変換器などを接続してもよい。