【文献】
Intel Corporation,Discussion on feasibility of signaling approaches for NAICS receivers,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #76 R1-140138,2014年 2月14日,セクション2、セクション4
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下では、干渉抑圧や除去等の干渉低減のための従来技術を説明し、本発明が解決しようとする課題について説明する。
【0007】
<干渉低減技術について>
干渉信号と所望信号を含む受信信号から、所望信号を分離し、取得するための技術の1つとして、干渉抑圧合成(IRC:Interference Rejection Combining)と呼ばれる技術がある。干渉抑圧合成(IRC)は、下りリンク通信に関して、接続基地局からの所望電波ビームに対する干渉基地局からの干渉電波ビームの干渉、及び接続基地局における他ユーザ向け信号による干渉を、ユーザ装置で抑圧するように、ユーザ装置において各受信アンテナで得られる信号に重み付け(受信ウェイト)を与える技術である。例えば、
図1に示した場合では、ユーザ装置10が、接続基地局1からの所望信号にビームを向け、干渉基地局2からの干渉信号にヌルを向ける指向性制御(ウェイト制御)を行うことで干渉抑圧を行う。
【0008】
図2に示すように、IRC受信技術では、干渉信号のチャネルが推定可能な場合と、干渉信号のチャネルが推定不可能な場合とで、2種類(Type 1、Type 2)の受信ウェイトの算出方法がある。なお、
図2に示す式はいずれもMMSE(最小平均二乗誤差)アルゴリズムから導き出される式である。また、これらの式で受信ウェイトを計算する技術自体は既存技術である。
【0009】
図2の中に示すように、干渉信号のチャネル推定が可能な場合のType 1の式において、下線で示した部分が干渉セルのチャネル行列で構成される共分散行列である。また、干渉信号のチャネル推定が不可能な場合のType 2の式において、下線で示した部分が接続セル(接続基地局により構成されるセル、serving cell)からの受信信号から推定される雑音干渉成分の共分散行列(統計量)である。
【0010】
IRCの他、干渉信号と所望信号を含む受信信号から、所望信号を分離するための技術として逐次干渉キャンセル(SIC: Successive Interference Cancellation)の技術がある。
【0011】
逐次干渉キャンセルは、受信信号から干渉信号の硬判定もしくは軟判定によるレプリカ信号を作成し、受信信号からレプリカ信号を逐次的に減算(除去)することにより、所望信号を抽出する技術である。SICでは、複数の干渉信号毎に、干渉信号のチャネル推定を行い、当該チャネル推定に基づき干渉信号の復調を行って、干渉信号のレプリカを作成し、逐次受信信号から減算する。
【0012】
更に、干渉低減を行う技術の他の例として、最尤(ML:Maximum Likelihood)推定技術がある。最尤推定では、ユーザ装置における最尤判定検出器(MLD:Maximum Likelihood Detector)が、所望信号と干渉信号に対してチャネル推定を行い、それらを同時に抽出(同時検出)する。同時検出を行うため、MLDは、所望信号と干渉信号の全ての信号点の組み合わせについて、その尤度を計算し、最も尤度が高い信号点の組を各基地局から送信された信号とする。最尤推定では、ある信号点の組から期待される受信信号と、実際の受信信号間のユークリッド距離を計算し、全ての信号点の組のうち、実際の受信信号から最も距離が近い(=最も尤度が高い)ものを送信信号とする。
【0013】
ユーザ装置が、IRC Type1、SIC、MLDのような干渉低減能力の高い干渉低減技術を用いて接続セルにおける所望信号に対する干渉低減処理を行うためには、干渉セルから受信する干渉信号のチャネル推定等を行う必要があり、そのために干渉セルにおける各種の制御情報を把握する必要がある。また、接続セルのユーザ装置にとって、干渉セルでPDSCH(Physical Downlink Shared Channel、UE向けのデータ信号が乗せられるチャネル)にユーザが割り当てられる場合に、そのPDSCHの信号は大きな干渉信号(干渉データ信号)となり得る。つまり、
図3に示すように、接続セルでユーザ装置にデータ受信のために割り当てられたリソースと同じリソースにおける干渉セルからのデータ信号が干渉となるので、この干渉信号を低減するために、干渉信号におけるユーザへのリソース割り当て情報も必要になる。
【0014】
さて、ユーザ装置が接続セルにおけるデータ信号(PDSCH)を良好に受信するために、当該データ信号に対して大きな干渉となり得る干渉セルのデータ信号(PDSCH)を低減することが重要である。しかし、PDSCHは、無線リソース(以下、単にリソースと呼ぶ)における全てのリソースにマッピングされるのではなく、制御チャネル以外の部分にマッピングされることから、精度良く干渉低減を行うには、ユーザ装置は、無線リソースの中で、PDSCHがマッピングされるリソース位置(時間位置)を把握することが必要である。
【0015】
図4は、LTEの下りリンクにおける制御チャネル(PCFICH、PHICH、PDCCH)とPDSCHのリソースへのマッピング例を示す図である。
図4に示すように、制御チャネルは、各サブフレームの先頭数OFDMシンボルにマッピングされる。マッピングされるOFDMシンボル数Nは1〜3であり、この値はCFI(Control Format Indicator)により2ビットの情報として示されている。接続セルにおいてCFIは基本的にPCFICHでDynamicに送信される。CFIは、PDSCHのOFDMシンボルの開始位置を示す情報となる。例えばCFIが2の場合、PDSCHはその直後の3OFDMシンボル目から開始される。以下では、CFI等のPDSCHの開始位置を示す情報を開始位置情報と呼ぶ場合がある。
【0016】
なお、CoMPをサポートするTM10(Rel.11で定義)では、PCFICHで通知されたCFIと、実際にPDSCHが開始されるOFDMシンボルとが異なる場合も存在する。いずれの場合でも、CFI等の開始位置情報は、Dynamicに変化し得る情報である。
【0017】
開始位置情報がDynamicに変化する場合に関連する例として、上述したCoMPの概要を説明する。CoMPは、下りリンク信号を複数の送信ポイント(TP: Transmission Point)から送信することで、スループットの改善等を図る技術である。
【0018】
また、CoMPに関連して、Quasi Co−locationに係る技術が提案されている。異なるAP(Antenna Port)間で所定の長期的伝搬路特性が同一である場合に、これら異なるAPはQuasi Co−locationにあるものと定義されている。これらのAPは必ずしも物理的に近接している必要性はない。
【0019】
図5に例示するように、CoMPでは、ユーザ装置(UE)における受信品質の向上のため、PDSCH(およびDM−RS)を送信するTPを瞬時に切り替えることが可能である(Dynamic switching)。この場合、
図6に示すように、ユーザ装置に到来する信号の時間及び周波数オフセットは、送信が行われたTP毎に異なることが想定される。したがって、ユーザ装置がこれらの時間及び周波数オフセットを適切に補正するための情報が、接続基地局(serving cell)より通知される。より具体的には、ユーザ装置が受信したDM−RSとQuasi Co−locationである参照信号(CRS、CSI−RS)が、どのTPから送信されているかの情報が通知される。ユーザ装置では、受信したDM−RSとQuasi Co−locationである参照信号を用いて、PDSCH(およびDM−RS)の時間及び周波数オフセットの補正を行う。
【0020】
具体的には、RRCシグナリングで最大で周辺4TP分の所定情報が接続基地局からユーザ装置に通知され、ユーザ装置は、PDCCHで通知されるDCI format 2Dの2bit(PQI)(
図7)を用いて動的に1つを選択する動作を行う。
【0021】
上記所定情報としてPDSCH starting position(PDSCHが開始するOFDMシンボルの情報)が通知される場合があり、これが通知された場合はPCFICHで送信されているCFIよりも優先される。つまり、ユーザ装置は、CFIではなく、PDSCH starting positionを参照して、PDSCHの開始位置を決定する。よってTM10ではPDSCHが開始されるOFDMシンボルがCFIで示される開始位置とは異なる可能性がある。
【0022】
上記PDSCH starting positionはRRCシグナリングで通知されるが、PQIはDynamicに変わるため、実際にPDSCHが開始されるOFDMシンボルはダイナミックに変わる可能性がある。
【0023】
上記のように、PDSCHの開始位置情報(CFI、PDSCH starting position)はダイナミックに変化し得る情報であるため、例えば、接続基地局がユーザ装置に対してRRCシグナリングで干渉セルの制御情報を送信する場合でも、ユーザ装置は干渉セルの開始位置情報を正確に把握できない場合が生じる。これにより特性劣化が生じる場合をSICを例にとって
図8を参照して説明する。
【0024】
図8の例では、ユーザ装置が接続セルのPDSCHのリソースにおいて、干渉となるPDSCH(干渉データ信号)をSICによりキャンセルする場合を想定している。また、ユーザ装置は、干渉セルの開始位置情報を把握していないが、干渉セルのPDSCHのチャネル推定のための情報、及び変調方式等の復調のための情報は把握しているものとする。
【0025】
まず、特性劣化が生じないケースを説明する。この場合、
図8(a)に示すように、接続セルの開始位置情報が2である場合において、ユーザ装置は、1サブフレーム中の3シンボル目からSICを適用する。これらの場合、接続セルのPDSCHリソースに対する干渉が全部、干渉セルのPDSCHになるため、特性劣化が生じない。
【0026】
次に、特性劣化が生じるケースを説明する。この場合、
図8(b)に示すように、例えば接続セルの開始位置情報が2であり、干渉セルの開始位置情報が3であり、ユーザ装置は、接続セルの開始位置情報に基づいて、1サブフレーム中の3シンボル目からSICを適用する。しかし、本ケースにおいて、ユーザ装置は、干渉セルの開始位置情報を把握していないため、3シンボル目以降の干渉が全てPDSCHであると誤って認識してSICを適用してしまうため特性劣化が生じる可能性がある。つまり、「干渉セルの開始位置情報>接続セルの開始位置情報」となるケースで特性劣化が発生する可能性がある。
【0027】
上記のような問題を解決するために、干渉セルの開始位置情報をダイナミックに取得、通知することが考えられるが、基地局間での開始位置情報の共有に要する遅延時間や、送信オーバヘッドの増加を考慮すると現実的でない。また、CFIもしくはPDSCH starting positionがダイナミックに変わらないようにスケジューラを制限することも考えられるが、システム性能の劣化が想定されるため、そのような制限は行わないことが望ましい。
【0028】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザ装置において干渉データ信号の開始位置情報をダイナミックに把握できない場合でも、受信信号から干渉データ信号を適切に低減して所望データ信号を取得することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の実施の形態によれば、複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部と、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部とを備え、
前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれ、
前記接続基地局から制御チャネルにより受信する所望データ信号の開始位置情報が、前記干渉データ信号の開始位置情報よりも小さい場合において、前記干渉低減部は、前記所望データ信号の開始位置から、前記干渉データ信号の開始位置情報により示される前記干渉データ信号の開始位置の前までのリソースに対して第1の干渉低減方式により干渉低減処理を行い、前記干渉データ信号の開始位置以降のリソースに対して第2の干渉低減方式により干渉低減処理を行う
ことを特徴とするユーザ装置が提供される。
【0030】
また、本発明の実施の形態によれば、複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部と、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部とを備え、
前記制御情報に、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれない場合において、前記干渉低減部は、前記接続基地局から制御チャネルにより受信する所望データ信号の開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行
い、
前記所望データ信号の開始位置情報が、当該所望データ信号において取り得る最大の開始位置を示す値未満の値である場合に、前記干渉低減部は、前記所望データ信号の開始位置から、前記所望データ信号において取り得る最大の開始位置の前までのリソースに対して第1の干渉低減方式により干渉低減処理を行い、前記所望データ信号において取り得る最大の開始位置以降のリソースに対して第2の干渉低減方式により干渉低減処理を行う
ことを特徴とするユーザ装置が提供される。
【0032】
また、本発明の実施の形態によれば、複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置が実行する干渉低減方法であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信ステップと、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減ステップとを備え、
前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれ、
前記接続基地局から制御チャネルにより受信する所望データ信号の開始位置情報が、前記干渉データ信号の開始位置情報よりも小さい場合に、前記干渉低減ステップにおいて、前記ユーザ装置は、前記所望データ信号の開始位置から、前記干渉データ信号の開始位置情報により示される前記干渉データ信号の開始位置の前までのリソースに対して第1の干渉低減方式により干渉低減処理を行い、前記干渉データ信号の開始位置以降のリソースに対して第2の干渉低減方式により干渉低減処理を行う
ことを特徴とする干渉低減方法が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明の実施の形態によれば、ユーザ装置において干渉データ信号の開始位置情報をダイナミックに把握できない場合でも、受信信号から干渉データ信号を適切に低減して所望データ信号を取得することを可能とする技術が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、以下の実施の形態では、能力の高い干渉低減技術として、SICを使用しているが、これは例にすぎず、本発明は他の干渉低減技術(例:IRC Type1、MLD、その他)にも適用可能である。
【0036】
(システム構成)
図9に本発明の実施の形態に係る無線通信システムの概要構成図を示す。本実施の形態に係る無線通信システムは、例えばLTE−Advanced方式の無線通信システムであり、基地局200(eNodeB)(接続基地局)が接続セル(Serving Cell)を形成し、セル内のユーザ装置100(UE)が接続基地局200と所望信号(Serving Signal)による通信を行う。本実施の形態の無線通信システムは、少なくともLTE−Advancedで規定されている機能を含む。ただし、本発明はLTE−Advancedの方式に限定されるわけではなく、LTE−Advancedより先の世代のLTE無線通信システムや、LTE以外の方式にも適用可能である。
【0037】
通常、無線通信システムには、多くの基地局が備えられるが、
図9には、接続基地局200と、これに隣接する基地局300が示されている。この隣接する基地局300もセルを形成し、当該基地局300を接続基地局とするユーザ装置110と信号の送受信を行う。この隣接する基地局300から当該基地局300を接続基地局とするユーザ装置110に対して送信される信号は、ユーザ装置100にとって干渉信号となる。従って、本実施の形態では、当該隣接する基地局300を干渉基地局と呼ぶ。また、干渉基地局300におけるセルを干渉セルと呼ぶ。接続基地局に対する干渉基地局は複数であるのが一般的であるが、
図9では1つのみの干渉基地局を示している。なお、本実施の形態では、干渉データ信号(PDSCH)を低減して所望データ信号(PDSCH)を取得する場合を想定していることから、主に、「干渉信号」は干渉データ信号を意味し、「所望信号」は所望データ信号を意味する。
【0038】
ユーザ装置において干渉低減能力が高いSIC等の干渉低減処理を行うためには、干渉信号に関する制御情報が必要である。そこで、本発明の実施の形態では、ユーザ装置において干渉低減処理を行うために必要となる制御情報(干渉制御情報と呼ぶ)をNW側から通知することを基本とする。干渉制御情報の通知は、RRCシグナリングによりセミスタティックに行ってもよいし、PDCCH等でダイナミックに行ってもよいが、本実施の形態ではRRCシグナリングで通知を行うこととしている。従って、ダイナミックに変化し得る干渉セルの開始位置情報をダイナミックには把握できない。
【0039】
図10を参照して、本実施の形態における無線通信システムの動作の概要を説明する。
図10に示す動作は、ユーザ装置100において干渉基地局300からの干渉信号を低減する干渉低減動作(SIC)を行うことに着目した動作である。
【0040】
図10に示すように、干渉基地局300が接続基地局200に対して干渉制御情報を送信する(ステップ101)。接続基地局200は、RRCシグナリングにて干渉制御情報をユーザ装置100に送信する(ステップ102)。ユーザ装置100は、接続基地局200から受信した干渉制御情報に基づいて干渉低減処理(本実施の形態ではSIC)を行う。
【0041】
図10に示すとおり、本実施に形態において、接続基地局200からRRCシグナリングにてユーザ装置100に通知される干渉制御情報には、干渉PDSCH(干渉データ信号)の開始位置情報が含まれる場合と含まれない場合があり、これら2つの場合でユーザ装置100は異なる動作を行う。これについての詳細は後述する。
【0042】
(干渉制御情報について)
上記のように、本実施の形態では、基地局がユーザ装置に対して、ユーザ装置が干渉低減処理を行うために必要となる干渉セルにおける制御情報を通知することが基本的な動作となることから、干渉低減処理(IRC、SIC。MLD等)を行うために必要となる干渉制御情報について説明する。以下では、干渉低減処理のために必要となる制御情報を干渉制御情報と呼ぶ。また、IRCの干渉制御情報をIRC必要情報と呼び、SICの干渉制御情報をSIC必要情報と呼ぶ。以下、例として、IRCとSICについて説明するが、MLDを行うために必要な情報はSIC必要情報と同様である。以下での「IRC」とは「IRC Type 1」である。
【0043】
本実施の形態においてユーザ装置100が実施する能力の高い干渉低減処理はSICであることを想定しているが、基本的に、SIC必要情報は、IRC必要情報に追加情報を加えたものになるので、以下では、IRC必要情報から説明する。
【0044】
<IRC必要情報>
IRC受信ウェイト生成のためには、所望信号のチャネル情報に加えて、干渉信号に対するチャネル行列が必要であり、当該チャネル行列は、干渉セルからの参照信号を用いてチャネルを推定することにより得られる。ただし、もし基地局側においてプリコーディング送信がなされている場合は、プリコーディングが適用された(プリコーディング行列が乗算された)チャネルのチャネル行列である必要がある。
【0045】
LTE−Advancedにおいて、チャネル推定に用いることのできる参照信号として、CRS(Cell−specific Reference Signal、セル固有参照信号)、CSI−RS (CSI Reference Signal、CSI参照信号)、DM−RS (DeModulation Reference Signal、復調参照信号、もしくはUE specific Reference Signal)がある。
【0046】
CRSは、どのTM(Transmission Mode)でも送信されるため、どのTMでもCRSによるチャネル推定が可能である。ただし、CRSはプリコーディング送信されないため、プリコーディング情報(PMI: Precoding Matrix Identifier)抜きのチャネルのみ推定可能である。すなわち、もし基地局側においてプリコーディング送信がなされている場合、目的とするチャネル行列を求めるには、PMIが別途必要となる。
【0047】
ここで、TM(Transmission Mode)は、LTEのマルチアンテナ伝送における伝送モードであり、TM毎に参照信号構成やプリコーディングの有無が異なる。例えば、TM3は開ループ型送信ダイバーシチ(プリコーディングなし)であり、CRSを用いてデータを復調する。TM4は閉ループ型送信ダイバーシチ(プリコーディングあり)であり、CRSを用いてデータを復調する。TM9、TM10は空間多重(プリコーディングあり)であり、DM−RSを用いてデータを復調する。
【0048】
CSI−RS(CSI Reference Signal)は、LTEのRel.10(Rel.10でTM9が追加)から導入されたチャネル品質測定用参照信号であり、アンテナ毎に多重されて送信される。基地局から送信されるCRSは最大4送信アンテナ(4レイヤ多重)までのサポートであるが、CSI−RSは最大8送信アンテナ(8レイヤ多重)をサポートしており、例えば、基地局が8アンテナ送信を行う場合、CSI−RSを使ってチャネル推定を行う。また、CRSのAntenna Virtualization(参照信号の密度を減少させるため、CRSを送信するアンテナ数を減少させる)時に、全てのアンテナでCRSによるチャネル推定が出来ない場合に、CSI−RSを使ってチャネル推定を行う。CRSの場合と同様に、CSI−RSはプリコーディング送信されないため、PMI抜きのチャネルのみ推定可能である。すなわち、もし基地局側においてプリコーディング送信がなされている場合、目的とするチャネル行列を求めるには、PMIが別途必要となる。
【0049】
DM−RSは、PDSCHの復調用参照信号であり、PDSCHの信号と同様のプリコーディングがされて送信される。従って、DM−RSを用いてチャネル推定を行うことで、プリコーディング情報(PMI)込みのチャネルを直接推定できる。
【0050】
CRSもしくはCSI−RSを用いて干渉信号に対するチャネル推定を行ってチャネル行列を求める場合、IRC受信ウェイト生成のためには、更に、当該チャネル行列に加えて、干渉信号におけるユーザ割り当て情報が必要である。DM−RSは、ユーザに割り当てられたリソースでのみ送信されることから、DM−RSを受信したリソース自体がユーザの割り当て情報となるので、ユーザ割り当て情報は別途必要ではない。
【0051】
ユーザ装置100におけるIRCウェイト算出のためのチャネル推定処理概要について
図11のフローチャートを参照して説明しながら、各参照信号を用いてチャネル推定を行うために必要な情報についてより詳しく説明する。ただし、ここでは基地局側においてプリコーディング送信がなされていると仮定した説明を行う。
【0052】
ユーザ装置100はまず、チャネル推定を行う参照信号を決定する(ステップ201)。ここではTMが必要になる。ただし、何らかの方法でTMを知ることができる、もしくは、システム全体で統一されているなどの場合はTMを取得することは必要ない。
【0053】
ステップ202では、送信された参照信号についての系列初期値の計算を行う。参照信号がCRSの場合、系列初期値の計算を行うために、PCID(Physical Cell ID)、スロット番号、N
CP、MBSFN configuration等が必要となる。ここで、N
CPは、CP(Cyclic Prefix)長がNormalかExtendedかを示す値であり、0か1である。参照信号がCSI−RSの場合、スロット番号、PCIDもしくはVCID(Virtual Cell ID)、N
CP等が必要になる。ここで、VCIDは非特許文献1に規定されている。また、参照信号がDM−RSである場合、スロット番号、PCIDもしくはVCID(Virtual Cell ID)、n
SCID、PDSCH送信帯域幅等が必要になる。ここで、n
SCIDはMU−MIMOにおけるスクランブル系列の識別番号であり、0か1の値である。
【0054】
ステップ203では、ステップ202で計算した系列初期値からスクランブリング系列の計算を行う。ステップ202,203により、送信された参照信号系列の特定がなされる。
【0055】
ステップ204では、参照信号がMappingされたリソースの特定を行う。ここでは、参照信号がCRSの場合、システム帯域幅、アンテナport数、MBSFN configuration等が必要になる。参照信号がCSI−RSの場合、システム帯域幅、アンテナport数等が必要になる。参照信号がDM−RSの場合、N
CP、及び、RB毎もしくはサブバンド毎のアンテナport数等が必要になる。
【0056】
参照信号のMappingは、システム帯域幅、アンテナport数等、上記の情報に応じて規定されているため、上記の情報が必要となる。
【0057】
ステップ205では、参照信号に対するチャネル推定を行う。ここでは、いずれの参照信号の場合も、Power boostingがされている場合にそれを補正する必要があるため、Power boosting情報が必要になる。Power boosting情報とは参照信号とデータ信号の電力比である。
【0058】
ステップ206では、ステップ205で得られた推定結果に基づいて、全リソースに対するチャネル推定を行う。ここでは、例えば、非特許文献2に記載された2次元MMSEチャネル推定フィルタを利用する。
【0059】
ステップ207において、プリコーディング行列(PMIで示される)の乗算を行う。従って、ここでは、CRS、CSI−RSの場合にPMIが必要になる。DM−RSの場合は、ステップ206までの処理で、プリコーディング情報を含むチャネル推定がなされているので、ステップ207、すなわち、PMIは不要である。
【0060】
上述したようなチャネル推定を行うために必要な情報をまとめたものを
図12〜
図14に示す。
図12が、CRSを用いてチャネル推定を行うために必要な情報を示し、
図13が、CSI−RSを用いてチャネル推定を行うために必要な情報を示し、
図14が、DM−RSを用いてチャネル推定を行うために必要な情報を示す。
【0061】
図12〜
図14に示すように、参照信号を用いてチャネル推定を行うために必要な情報のうち、PCIDとスロット番号以外は、ユーザ装置における推定が困難な情報である。なお、
図12〜
図14に示す情報は例であり、これらに含まれない情報を用いることもできるし、これらに含まれる情報を用いない場合もある。
【0062】
<SIC必要情報>
SICを行うためには、全干渉信号に対するレプリカ信号を生成することが必要であり、そのためには、まず、各干渉信号に対してのチャネル推定を行うための情報が必要である。これは、IRC必要情報と同じである。
【0063】
次に、干渉信号の復調のために、
図15に示す情報が必要である。つまり、干渉信号の復調のための情報として、RB毎もしくはサブバンド毎のPDSCH変調方式情報、CRS/CSI−RS/DM−RSそれぞれのconfiguration(コンフィグレーション情報)、MBSFN configuration、PDSCH start symbolが必要になる。また、ターボ等化の場合は、更に符号化率情報/RB or subbandも必要になる。
【0064】
上記の情報のうち、CRS/CSI−RS/DM−RSそれぞれのconfigurationとMBSFN configurationは、参照信号がマッピングされるリソースの計算のために必要な情報であり、PDSCH start symbolはPDSCHがマッピングされるリソースの計算のために必要な情報である。
【0065】
IRC必要情報とSIC必要情報(総称して干渉低減情報と呼ぶ)について、これまでに説明した全部が必須であるわけではない。例えば、一部をブラインド推定したり、一部を予め定められた値とする等の場合でも、多少特性が劣化する可能性はあるが、干渉低減を行うことが可能である。
【0066】
一例として、以下の情報を干渉制御情報として接続基地局200からユーザ装置100に通知してもよい。
【0067】
(1)Higher−layer (RRC) signalingを行うパラメータ
・Physical Cell ID
・CRSとCRSが配置されるOFDM symbolにおけるPDSCHの電力比(P
B)
・CRS port数
・MBSFN configuration
○Virtual cell IDのセット
○CRSとCRSが配置されないOFDM symbolにおけるPDSCHの電力比(P
A)のセット
○NW側でサポートしているTransmission mode(もしくは送信Scheme)のセット
その他、CoMP関連パラメータ、CSI−RS関連パラメータ、CFI or PDSCH starting position、TDD関連パラメータ等をRRCで通知してもよい。
【0068】
上記の○で示す情報は、ブラインド推定のための補助情報となる。
【0069】
(2)上記Higher−layer signalingによりImplicitに通知するパラメータ
・干渉セルのCP長、slot番号、SFN、システム帯域幅が接続セルと同じであること
・干渉セルのPDSCHリソース割り当てが少なくとも1 PRB pair単位であること
(3)ユーザ装置側では、例えば、以下のパラメータをブラインド推定してもよい。
【0070】
・CRS−based TM:Modulation order、PMI、RI、干渉PDSCHが存在しているかどうかを示す情報
・DMRS−based TM:Modulation order、RI、DMRS port数(最大2レイヤ)、n
SCID(DMRS初期系列のパラメータ)、干渉PDSCHが存在しているかどうかを示す情報。
【0071】
さて、上述した干渉低減情報におけるPDSCH start symbolは、これまでに説明したCFIや「PDSCH starring position」等の開始位置情報であり、本実施の形態では、干渉セルのPDSCH開始位置情報(単に開始位置情報と呼ぶ)がRRCシグナリングでユーザ装置100に通知される場合と通知されない場合がある。以下、それぞれについて説明する。
【0072】
(干渉セルの開始位置情報が通知される場合)
まず、接続基地局200からユーザ装置100に対して干渉セルの開始位置情報が通知される場合についての動作概要を
図16を参照して説明する。なお、接続基地局200からユーザ装置100へは開始位置情報以外の干渉制御情報も送られるが、
図16は開始位置情報に着目した図である。
【0073】
図16に示すように、接続基地局200はユーザ装置100に対して干渉セルの開始位置情報をRRCシグナリングで通知する(ステップ301)。干渉セルにおいて、実際の開始位置情報はダイナミックに変化し得るが、本実施の形態において、接続基地局200は、干渉セルの開始位置情報として取り得る最大値をユーザ装置100に通知することとしている。取り得る最大値は、接続基地局200において予め設定してもよいし、接続基地局200が干渉基地局300から受信する開始位置情報に基づいて最大値を決めてもよい。例えば、接続基地局200が干渉基地局300から干渉セルのCFIとして1〜3の値を受信する場合には、干渉セルの開始位置情報の取り得る値の最大値を3とする。ただしこの場合、干渉セルのPDSCH starting positionの取りうる値としては2〜4であるため、その最大値は4である。以下では、干渉セルの開始位置情報としてCFIが通知される場合の例について説明する。
【0074】
接続基地局200から、干渉セルの開始位置情報として取り得る最大値を受信したユーザ装置100は、干渉セルの実際の開始位置情報が、接続基地局200から受信した値以下である(当該値を超えない)と仮定してSICを適用する(ステップ302)。
【0075】
接続基地局200からユーザ装置100に対して干渉セルの開始位置情報として3を通知した場合におけるユーザ装置100の動作例を
図17を参照して説明する。
【0076】
この例では、例えば、接続基地局200が、干渉基地局300から受信するCFIが3までの値をとることを検知したため、干渉セルの開始位置情報として3を通知する。ただし、干渉セルの実施の開始位置情報はダイナミックに変化し得るものであり、その値は3に限らない。本実施の形態では、ユーザ装置100は、基本的に、干渉セルの実際の開始位置情報を把握できないが、接続セルの開始位置情報については、通常の動作として、制御チャネルによりダイナミックに把握している。
【0077】
図17(a)は、接続セルの開始位置情報が1であり、干渉セルの開始位置情報が3である場合を示している。ユーザ装置100は、干渉セルの実際の開始位置情報が、接続基地局200から受信した値を超えないと仮定している。つまり、ユーザ装置100は、干渉セルの実際の開始位置情報が、最大で接続基地局200から受信した値になり得るため、干渉セルの実際の開始位置情報が当該値であるものとしてSICを適用する。
図17(a)の場合は、干渉セルのPDSCHが4OFDMシンボル目から開始すると仮定し、4OFDMシンボル目からSICを適用する。つまり、受信信号から干渉となるPDSCHを低減し、所望のPDSCHの信号を取得する。
【0078】
図17(a)では、第2シンボル及び第3シンボルは、SICを適用しないが、例えば、干渉制御情報を必要としない干渉低減方式であるIRC Type2を適用する。
【0079】
図17(b)は、接続セルの開始位置情報が2であり、干渉セルの実際の開始位置情報が1の場合である。干渉セルの実際の開始位置情報が1でも、ユーザ装置100はこれを把握しておらず、
図17(a)の場合と同様に、干渉セルの実際の開始位置情報が3であると仮定してSICを適用する。つまり、4OFDMシンボル目からSICを適用する。第3シンボルは、SICを適用しないが、例えば、干渉制御情報を必要としない干渉低減方式であるIRC Type2を適用できる。
【0080】
図18は、開始位置情報として2を通知した場合を示す。
図18(a)、(b)に示すとおり、ユーザ装置100は、干渉セルの実際の開始位置情報が2であると仮定して、3シンボル目からSICを適用する。なお、この場合、4シンボル目からSICを適用することとしてもよい。
【0081】
本例では、干渉PDCCHをPDSCHと誤って認識することによるSICの劣化を確実に抑止することが可能となる。
【0082】
(干渉セルの開始位置情報が通知されない場合)
次に、接続基地局200からユーザ装置100に対して干渉セルの開始位置情報が通知されない場合についての動作概要を
図19を参照して説明する。
【0083】
図19に示すように、接続基地局200はユーザ装置100に対して干渉制御情報をRRCシグナリングで通知する(ステップ401)。ただし、干渉制御情報には、干渉セルの開始位置情報は含まれない。ユーザ装置100は、通常の動作として、接続セルの開始位置情報は接続基地局200から受信しており、ユーザ装置100は、当該接続セルの開始位置情報に基づいて干渉低減処理(SIC)を実施する(ステップ402)。
【0084】
図20は、干渉セルの開始位置情報の通知を行わず、接続セルの開始位置情報が3(取り得る最大値)である場合のユーザ装置100の動作例を示す。
図20(a)〜(c)に示すとおり、干渉セルの開始位置情報が1、2、3のいずれの場合も、ユーザ装置100は、接続セルの開始位置情報に従って、該当サブフレームにおいて、PDSCHが開始する4OFDMシンボル目からSICを適用する。接続セルの開始位置情報が最大の3である場合、後述するブラインド推定も行う必要がないので、ユーザ装置100の負荷軽減が可能である。
【0085】
図21は、干渉セルの開始位置情報の通知を行わず、接続セルの開始位置情報が3未満(1又は2)である場合のユーザ装置100の動作例1を示す。
【0086】
ユーザ装置100は、干渉セルの開始位置情報がどの値になるのか分からないため、最悪ケースを想定し、該当サブフレームにおいて、3OFDMシンボル目までは干渉セルのPDSCHが存在しないと仮定する。つまり、
図21(a)、
図21(b)のいずれの場合も、4OFDMシンボル目からSICを適用して、干渉セルのPDSCHの低減を図る。この場合、
図21(a)、
図21(b)に示すように、接続セルのPDSCHのうち、SICを適用しないリソースに対しては、干渉制御情報を要しないIRC Type2を適用する。
【0087】
図22は、干渉セルの開始位置情報の通知を行わず、接続セルの開始位置情報が3未満(1又は2)である場合のユーザ装置100の動作例2を示す。
【0088】
例えば、接続基地局200と干渉基地局300を含むエリアにおいて、開始位置情報(CFI等)が固定値、あるいは、基地局間で同じ値とすることが定められている場合においては、干渉セルと接続セルの開始位置情報が同じであると仮定してSICを行うことができる。
図22はそのような場合を示している。
図22(a)の場合は、接続セルの開始位置情報が1であることを把握したユーザ装置100は、干渉セルの開始位置情報も1であると見なして、2OFDMシンボル目からのリソースに対してSICを適用する。
図22(b)の場合、接続セルの開始位置情報が2であることを把握したユーザ装置100は、干渉セルの開始位置情報も2であると見なして、3OFDMシンボル目からのリソースに対してSICを適用する。
【0089】
開始位置情報の通知を行わない場合においても、上記のような手法を用いることで、干渉PDCCHをPDSCHと誤って認識することによるSICの劣化を確実に抑止可能である。
【0090】
(ブラインド推定について)
以上、干渉セルの開始位置情報をユーザ装置100に通知する場合と、通知しない場合について説明したが、いずれの場合でも、ユーザ装置100は、干渉基地局300から受信する信号に基づいて、CFI等の開始位置情報のブラインド(Blind)推定を行ってもよい。例えば、TM1〜9であれば、干渉基地局300から受信するPCFICHを復調して、CFIを読む。ただし、干渉PCFICHをブラインド復調するために必要な情報(候補情報等)は保持しているとする。
【0091】
ブラインド推定を行う場合で、干渉セルの開始位置情報がユーザ装置100に通知される場合においては、当該開始位置情報を無視して、ブラインド推定値を用いてもよい。
【0092】
ブラインド推定を行う場合で、干渉セルの開始位置情報がユーザ装置100に通知されない場合においては、例えば、接続セルの開始位置情報が最大値でない場合に、ブラインド推定値を用いることとしてよい。
【0093】
なお、開始位置情報に限らず、干渉制御情報のブラインド推定の精度を向上させるため、下記パラメータに関しては、NW側でサポートしている値の範囲を接続基地局200からユーザ装置100にRRCシグナリングすることとしてもよい。
【0094】
・Virtual cell ID。これは、全516パターンあるので、例えば、6〜12パターンに限定した値の集合(セット)をシグナリングする。
【0095】
・CRSとCRSが配置されないOFDM symbolにおけるPDSCHの電力比(P
A)。これについては、例えば、全8パターンの内、3もしくは4つの値のシグナリングを行う。
【0096】
・NW側(干渉基地局300、接続基地局200)でサポートしているTransmission mode(もしくは送信Scheme)。
【0097】
ユーザ装置100は、シグナリングされたセットの中からどの値が使われているかをブラインド推定する。ブラインド推定はML的に全パターンの中から最も確からしい値(尤度最大となる値)を推定値とするので、パターン数が減少することで推定精度向上効果やユーザ装置100の負荷軽減効果がある。
【0098】
(システム構成、処理フロー)
以下、本実施の形態に係るシステムの詳細構成、及び処理シーケンスを
図23、
図24を参照して説明する。
図23、
図24の例において、開始位置情報はCFIであるとする。
【0099】
図23に、本実施の形態における無線通信システムの機能構成を表した機能ブロック図を示す。
【0100】
図23に示す無線通信システムは、接続基地局200、干渉基地局300、ユーザ装置100を有する。
【0101】
接続基地局200は、制御情報決定部201、制御情報通知制御部(RRC)202、干渉制御情報受信部(RRC)203、送信データ蓄積部204、送信信号生成部205、有線I/F206、及び無線I/F207を有する。
【0102】
制御情報決定部201は、所望信号の送信制御情報を決定する。制御情報通知制御部(RRC)202は、SIC受信処理に必要な所望信号の送信制御情報を他基地局へ通知する(RRCシグナリング用)。干渉制御情報受信部(RRC)203は、RRCシグナリングで通知すべき干渉基地局の送信制御情報(干渉制御情報)を受信する。
【0103】
送信データ蓄積部204は、送信データを格納するメモリである。送信信号生成部205は、所望制御情報に基づき,所望及び干渉制御情報,所望送信データを含む所望送信信号を生成する。有線I/F206は、基地局間でデータを共有するためのI/Fであり、これは無線I/であってもよい。無線I/F207は、ユーザ装置100に無線信号を送信する。
【0104】
干渉基地局300は接続基地局200と同様の構成を備えるが、
図23は、干渉基地局300の構成要素のうちの制御情報通知制御部(RRC)302、干渉制御情報受信部(RRC)303、有線I/F306のみを示している。これらはそれぞれ、制御情報通知制御部(RRC)202、干渉制御情報受信部(RRC)203、有線I/F206と同様の機能を有する。
【0105】
ユーザ装置100は、無線I/F101、所望信号チャネル推定部102、制御信号復調部(DCI)103、干渉信号チャネル推定部104、干渉パラメータ推定部105、データ復調部106、RRC情報受信部107、RRC情報蓄積部108を備える。
【0106】
無線I/F101は、無線信号を受信するためのI/Fである。所望信号チャネル推定部102は、受信信号から所望信号に対するチャネルを推定する。制御信号復調部(DCI)103は、所望信号チャネル推定部102によって推定された所望信号に対するチャネル推定値に基づき、送信制御情報(DCI)を復調する。
【0107】
干渉信号チャネル推定部104は、RRCシグナリングにて通知された干渉信号の制御情報に基づき、干渉信号に対するチャネルを推定する。干渉パラメータ推定部105は、RRCシグナリングにて通知された干渉信号の送信制御情報に基づき、干渉信号の送信制御情報を推定する(例えばCFI,変調方式等)。データ復調部106は、SIC処理部106−1、IRC処理部106−2を有し、受信信号に対してSICもしくはIRC Type2処理を適用する。SICもしくはIRCのどちらを適用するかは
図17等を参照して説明したとおりである。
【0108】
RRC情報受信部107は、RRCシグナリングにて通知された干渉信号の送信制御情報を受信する。RRC情報蓄積部108は、RRCシグナリングにて通知された干渉信号の送信制御情報を蓄積する。
【0109】
次に、
図24のシーケンス図を参照して、無線通信システムの動作例を説明する。
【0110】
干渉基地局300の制御情報通知制御部(RRC)302は、干渉制御情報(RRC通知用)を接続基地局200に送信し(ステップ501)、接続基地局200は干渉制御情報をRRCシグナリングでユーザ装置100に通知する(ステップ502)。当該干渉制御情報には、干渉セルのCFI(取り得る最大値)が含まれる場合と含まれない場合がある。
【0111】
干渉基地局300においては、制御情報(接続セルから見た干渉制御情報)を決定し(ステップ503)、自セルでの無線信号通信を行うが、本実施の形態では、ダイナミックな干渉制御情報の通知を行わない。
【0112】
接続基地局200は、所望信号の制御情報を決定し(ステップ504)、送信データを決定し(ステップ505)、送信信号の生成を行う(ステップ506)。接続基地局200は、送信信号(DCI+データ信号)をユーザ装置100に送信する(ステップ507)。
【0113】
ユーザ装置100において、所望信号チャネル推定部102が、所望セルのチャネル推定を行い(ステップ508)、制御情報復調部(DCI)103が制御情報(DCI)の復調を行う(ステップ509)。また、干渉信号チャネル推定部104が干渉信号のチャネル推定を行い(ステップ510)、干渉パラメータ(干渉制御情報)推定を行う(ステップ511)。なお、この推定を行うことは必須ではなく、推定を行わない場合もある。
【0114】
データ復調部106は、干渉CFIが通知されているかどうかを判断し(ステップ512)、干渉CFIが通知されている場合(ステップ512のYes)、ステップ516に進み、データ復調部106は、
図16〜
図18等を参照して説明したように、干渉セルの実際のPDSCH開始位置情報が、通知された干渉CFIを超えないと仮定してデータ復調処理を行う。
【0115】
干渉CFIが通知されていない場合(ステップ512のNo)、ステップ513に進み、データ復調部106は、接続セルCFIが3(最大)かどうかを判断する。接続セルCFIが3である場合(ステップ513のYes)、ステップ516に進み、データ復調部106は、
図19、
図20で説明したように、4OFDMシンボル目以降についてのSIC処理を行って、データ復調を実施する。
【0116】
接続セルCFIが3でない場合(ステップ513のNo)、干渉パラメータ推定部105が干渉セルのCFIを推定する場合(ステップ514)には、当該推定値を干渉セルのCFIであると決定し(ステップ515)、データ復調処理を行う(ステップ516)。一例として、接続セルCFI=1で、干渉セルCFI=2であれば、3シンボル目からSICを適用して、データ(PDSCH)復調を行う。また、干渉パラメータ推定部105が干渉セルのCFIを推定しない場合には、例えば
図21で説明したように、干渉セルCFI=3であると想定して(ステップ515)、データ復調処理を行う(ステップ516)。また、干渉パラメータ推定部105が干渉セルのCFIを推定しない場合において、
図22で説明したように接続セルCFI=干渉セルCFIである場合には、接続セルのCFIに基づいてSICを適用し、データ復調処理を行うこととしてもよい。
【0117】
(他の装置構成例等)
これまでに説明した装置構成は一例にすぎない。例えば、ユーザ装置100を
図25に示すように構成してもよい。
図25に示すユーザ装置100は、複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部151と、前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部152とを備え、前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれ、前記干渉低減部152は、当該開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行う。この構成により、ユーザ装置において干渉データ信号の開始位置情報をダイナミックに把握できない場合でも、干渉データ信号を適切に低減して所望データ信号を取得することができる。
【0118】
前記干渉低減部152は、例えば、サブフレームにおける前記干渉データ信号の実際の開始位置が、前記開始位置情報により示される開始位置を超えないと仮定して前記干渉データ信号を低減する処理を行う。この構成により、例えば、干渉制御信号を干渉データ信号と誤って認識することによる干渉低減性能の劣化を抑止できる。
【0119】
前記干渉低減部152は、サブフレームにおける前記干渉データ信号の実際の開始位置が、前記開始位置情報により示される開始位置であると仮定して前記干渉データ信号を低減する処理を行うこととしてもよい。この構成においても、干渉制御信号を干渉データ信号と誤って認識することによる干渉低減性能の劣化を抑止できる。
【0120】
前記制御情報は、例えば、前記接続基地局から前記ユーザ装置に対してRRCシグナリングにより送信される。RRCシグナリングにより送信するので、ダイナミックに送信する場合よりも処理負荷を低くできる。
【0121】
また、
図25のユーザ装置100は、複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部151と、前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部152とを備え、前記制御情報に、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれない場合において、前記干渉低減部152は、前記接続基地局から制御チャネルにより受信する所望データ信号の開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行うように構成してもよい。この構成により、ユーザ装置において干渉データ信号の開始位置情報をダイナミックに把握できない場合でも、受信信号から干渉データ信号を適切に低減して所望データ信号を取得することが可能となる。
【0122】
前記干渉低減部152は、例えば、前記所望データ信号の開始位置情報により示される開始位置が、前記干渉データ信号の開始位置と同じであると仮定して、前記干渉データ信号を低減する処理を行う。この構成により、例えば、干渉制御信号を干渉データ信号と誤って認識することによる干渉低減性能の劣化を抑止できる。
【0123】
前記所望データ信号の開始位置情報が、当該所望データ信号において取り得る最大の開始位置を示す値未満の値である場合に、前記干渉低減部152は、前記干渉データ信号の開始位置情報を前記最大の開始位置を示す値と仮定して、前記干渉データ信号を低減する処理を行うようにしてもよい。この構成によっても、干渉制御信号を干渉データ信号と誤って認識することによる干渉低減性能の劣化を抑止できる。
【0124】
また、基地局200を
図26に示すように構成してもよい。
図26に示す基地局200は、無線通信システムにおいてユーザ装置と接続する基地局であって、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために前記ユーザ装置において利用される制御情報を、前記干渉基地局から受信する受信部251と、前記制御情報を前記ユーザ装置に送信する送信部252とを備え、前記ユーザ装置に送信される前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれる。この構成により、ユーザ装置において干渉データ信号の開始位置情報をダイナミックに把握できない場合でも、干渉データ信号を適切に低減して所望データ信号を取得することができる。
【0125】
前記開始位置情報は、例えば、サブフレームにおいて前記干渉データ信号が取り得る最大の開始位置を示す情報である。この構成による開始位置情報をユーザ装置が使用することで、例えば、干渉制御信号を干渉データ信号と誤って認識することによる干渉低減性能の劣化を抑止できる。
【0126】
(第1項)
複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部と、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部とを備え、
前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれ、前記干渉低減部は、当該開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とするユーザ装置。
(第2項)
前記干渉低減部は、サブフレームにおける前記干渉データ信号の実際の開始位置が、前記開始位置情報により示される開始位置を超えないと仮定して前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とする第1項に記載のユーザ装置。
(第3項)
前記干渉低減部は、サブフレームにおける前記干渉データ信号の実際の開始位置が、前記開始位置情報により示される開始位置であると仮定して前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とする第1項又は第2項に記載のユーザ装置。
(第4項)
前記制御情報は、前記接続基地局から前記ユーザ装置に対してRRCシグナリングにより送信される
ことを特徴とする第1項ないし第3項のうちいずれか1項に記載のユーザ装置。
(第5項)
複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信部と、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減部とを備え、
前記制御情報に、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれない場合において、前記干渉低減部は、前記接続基地局から制御チャネルにより受信する所望データ信号の開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とするユーザ装置。
(第6項)
前記干渉低減部は、前記所望データ信号の開始位置情報により示される開始位置が、前記干渉データ信号の開始位置と同じであると仮定して、前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とする第5項に記載のユーザ装置。
(第7項)
前記所望データ信号の開始位置情報が、当該所望データ信号において取り得る最大の開始位置を示す値未満の値である場合に、前記干渉低減部は、前記干渉データ信号の開始位置情報を前記最大の開始位置を示す値と仮定して、前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とする第5項又は第6項に記載のユーザ装置。
(第8項)
無線通信システムにおいてユーザ装置と接続する基地局であって、
前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために前記ユーザ装置において利用される制御情報を、前記干渉基地局から受信する受信部と、
前記制御情報を前記ユーザ装置に送信する送信部とを備え、
前記ユーザ装置に送信される前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれる
ことを特徴とする基地局。
(第9項)
前記開始位置情報は、サブフレームにおいて前記干渉データ信号が取り得る最大の開始位置を示す情報である
ことを特徴とする第8項に記載の基地局。
(第10項)
複数の基地局を含む無線通信システムにおけるユーザ装置が実行する干渉低減方法であって、
接続基地局から、前記ユーザ装置に対する干渉基地局からの干渉データ信号を低減するために利用する制御情報を受信する受信ステップと、
前記制御情報を利用して、前記干渉データ信号を低減し、前記接続基地局からの所望データ信号を取得する干渉低減ステップとを備え、
前記制御情報には、前記干渉基地局の下り無線リソースにおける前記干渉データ信号の開始位置に関する情報である開始位置情報が含まれ、前記干渉低減ステップにおいて、当該開始位置情報に基づいて、前記干渉データ信号を低減する処理を行う
ことを特徴とする干渉低減方法。
以上、本発明の各実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。説明の便宜上、ユーザ装置及び基地局は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従ってユーザ装置が有するプロセッサにより動作するソフトウェア、及び、基地局が有するプロセッサにより動作するソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。