(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有孔ポリエチレンテレフタレート層と、前記有孔ポリエチレン層と、前記強化材層と、前記微多孔性フィルム層とが、120〜140℃の温度、及び線圧200〜260N/cmで熱圧着されている、請求項1に記載の通気性包装材料。
前記網状構造体が、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンフィルムを割繊後、拡幅して得られた割繊維フィルムを、延伸方向が直交するように経緯積層してなる不織布である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通気性包装材料。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気性包装材料を少なくとも一部に用い、前記有孔ポリエチレンテレフタレート層を外側にして脱酸素剤、乾燥剤、鮮度保持剤、発熱剤、吸湿剤、脱臭剤、防虫剤、除湿剤または芳香剤を収納した包装体。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の通気性包装材料を少なくとも一部に用い、前記微多孔性フィルム層の両端が対向接触するように微多孔性フィルム層を内側にして通気性包装材料を袋状にする工程と、
前記袋状の通気性包装材料に、脱酸素剤、乾燥剤、鮮度保持剤、発熱剤、吸湿剤、脱臭剤、防虫剤、除湿剤または芳香剤を収納する工程と、
前記袋状の通気性包装材料の周縁部を熱プレス法によりヒートシールする工程と
を含む、包装体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る通気性包装材料の概念的な断面図である。
【
図2】網状構造体を構成する部材の一例である、割繊維フィルム(縦ウェブ)の部分斜視図である。
【
図3】
図2に示す割繊維フィルムの製造に用いられる原反フィルムに割繊処理を施した部分斜視図である。
【
図4】網状構造体を構成する部材の一例である、網状フィルム(横ウェブ)の部分斜視図である。
【
図5】
図4に示す網状フィルムの製造に用いられる原反フィルムにスリット処理を施した部分斜視図である。
【
図6】
図1に示す通気性包装材料を構成する強化材層の例を示す概念図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る包装体の概念的な断面図である。
【
図8】実施例1に係る通気性包装材料の断面写真である。
【
図9】比較例1に係る通気性包装材料の断面写真である。
【0017】
[第1実施形態:通気性包装材料]
本発明は、第1実施形態によれば、通気性包装材料に関する。
図1に本発明の第1実施形態に係る通気性包装材料1の概念的な断面図を示す。当該通気性包装材料は、有孔ポリエチレンテレフタレート層11と、有孔ポリエチレン層12と、網状構造の強化材層10と、微多孔性フィルム層13とが、この順に積層されてなる。以下に、通気性包装材料1を構成する各層について詳細に説明する。
【0018】
(1)有孔ポリエチレンテレフタレート層
有孔ポリエチレンテレフタレート層11は、通気性包装材料1において、一方の最表面層を構成し、通常、食品と接触する層として機能する。有孔ポリエチレンテレフタレート層11には、一般的なポリエチレンテレフタレートフィルム材が用いられる。有孔ポリエチレンテレフタレート層11の厚みは、通気性包装材料1の目的及び用途に合わせて当業者が適宜決定することができる。例えば、5〜50μm程度であり、典型的には、7〜30μmであるが、これらには限定されない。また、有孔ポリエチレンテレフタレート層11には、
図1に示すように、一定間隔で細孔50が形成されている。細孔50は、典型的には、有孔ポリエチレンテレフタレート層11及び後述する任意選択的な印刷層(図示せず)、及び有孔ポリエチレン層12の全てを貫通するように設ける。通気性を確保するためである。細孔50の大きさとしては、例えば、孔径が、0.05〜0.5mm程度であり、典型的には、0.1〜0.4mmであるが、これらには限定されない。また、細孔50の密度は、例えば、2〜10mm間隔であり、典型的には、2.5〜5mm間隔であるが、これらには限定されない。
【0019】
また、後述する印刷の有無にもよるが、有孔ポリエチレンテレフタレート層11は着色されていてもよい。有孔ポリエチレンテレフタレート層11は、市販のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることもできるが、一般的に知られている製造方法にて適宜製造することができる。さらに、必要に応じて、最表面となる面に、所望の機能を付与する表面処理を施したポリエチレンテレフタレート層を用いることもできる。
【0020】
有孔ポリエチレンテレフタレート層11は、本実施形態に係る通気性包装材料1を用いて包装体を形成する場合には、通常、内包物に接触せず、最表層を構成する。ポリエチレンテレフタレート層11は、食品包装用途で使用実績が多いため、樹脂が汎用化しており、かつ品質面での信頼性が高いといった利点がある。
【0021】
有孔ポリエチレンテレフタレート層11の裏面、すなわち有孔ポリエチレン層12と接する面には、印刷を施すことができる。有孔ポリエチレンテレフタレート層11には、鮮明な印刷が可能であり、また、表面側からでも印刷情報を鮮明に見ることができる。印刷は有孔ポリエチレンテレフタレート層11の裏面に行われるため、印刷部は包装体の表面に露出せず、包装体を食品とともに収納しても、印刷用のインキが食品と接触することはない。従って、印刷には、印刷インキ工業連合会の制定する「食品包装材料印刷インキに関する自主規制」NL規制に適合する、包装材料への印刷に一般に使用されているインキを使用することができる。
【0022】
(2)有孔ポリエチレン層
有孔ポリエチレン層12は、有孔ポリエチレンテレフタレート層11と、強化材層10との接着剤として機能し、層間の密着性を向上させる層である。有孔ポリエチレン層12としては、例えば、汎用の低密度ポリエチレンを用いることができる。有孔ポリエチレン層12の厚みは、通気性包装材料1の目的及び用途に合わせて当業者が適宜決定することができる。例えば、5〜50μm程度であり、典型的には、7〜30μmであるが、これらには限定されない。有孔ポリエチレン層12には、有孔ポリエチレンテレフタレート層11から、任意選択的に設けられる印刷層を通って貫通する細孔50が形成されている。
【0023】
(3)微多孔性フィルム層
微多孔性フィルム層13は、有孔ポリエチレンテレフタレート層11とは反対側の最表面を構成し、通気性包装材料1を包装体とする場合には、内包物と接触する面として機能する。微多孔性フィルム層13は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂からなるフィルムであって、充填剤を含有させたポリオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物を延伸することにより樹脂組成物に微多孔を形成し、通気性を付与したものである。微多孔性フィルム層13の厚みは、通気性包装材料1の目的及び用途に合わせて当業者が適宜決定することができる。例えば、5〜70μm程度であり、典型的には、10〜50μmであるが、これらには限定されない。また、特に後述する包装体として成形することを目的とする包装材料においては、微多孔性フィルム層13は、融点が120℃以下であることが好ましい。ヒートシール製袋において有利なためである。このような低融点は、後述する好ましい特定の樹脂組成により実現することができる。
【0024】
具体的には、微多孔性フィルム層13に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα−オレフィンホモポリマー、エチレンと炭素数3〜18の少なくとも一種のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンおよび/またはブテン−1との共重合体、エチレンと酢酸ビニルおよび/またはアクリル酸エステル・メタクリル酸エステル類などエチレン性不飽和結合を有する有機カルボン酸誘導体との共重合体などが挙げられる。それらの中でも特に、エチレンと炭素数3〜8の少なくとも一種のα−オレフィンとの共重合体が、充填剤配合時の強度の点から好ましく、さらに、低密度ポリエチレンとエチレンと炭素数3〜8の少なくとも一種のα−オレフィンとの共重合体のブレンド物が、押出しラミネーション性、および延伸性の点から好ましい。
【0025】
微多孔性フィルム層13に配合する充填剤の量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、30質量部以上、300質量部以下であることが好ましい。30質量部未満の場合は、延伸後に通気性を発現することが難しく、また、300質量部を超えると、延伸時に破断するおそれがある。
【0026】
充填剤は、微粉末状で熱可塑性樹脂に配合される。充填剤としては、無機充填剤および有機充填剤のいずれも用いることができる。無機充填剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどの硫酸塩、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどの酸化物、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化ナトリウムなどの塩化物、アルミニウム粉、ゼオライト、シラス、白土、珪藻土、タルク、カーボンブラック、火山灰などが挙げられる。有機充填剤の例としては、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末、ナイロン粉末、ポリカーボネート粉末、ポリプロピレン粉末、ポリ−4−メチルペンテン−1粉末などの合成樹脂系粉末、澱粉などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。上述した充填剤の中でも、本発明においては、最終的な通気性包装材料1の通気性、柔軟性、外観などの点から、炭酸カルシウムが特に好ましく用いられる。充填剤の平均粒径は、微多孔性フィルム層13の均一性の観点から、0.1〜20μmが好ましく、さらに、加工性の観点からは、0.8〜5.0μmが好ましい。
【0027】
上記充填剤を含んだ熱可塑性樹脂を微多孔性フィルム層13とするための延伸倍率は、1.02以上であることが好ましい。延伸倍率が1.02倍未満であると、微多孔が十分に形成されず、所望の通気度が得られにくくなってしまう。このような低延伸倍率で高い通気性を発現させるために、熱可塑性樹脂は、密度が0.920g/cm
3以上である樹脂を30質量%以上含むことが好ましい。
【0028】
(4)強化材層
強化材層10は、有孔ポリエチレン層12と、微多孔性フィルム層13との間に位置して、本実施形態による通気性包装材料1に機械的強度を付与するとともに、必要な通気性を確保する。強化材層10は、互いに同一の方向に配列した複数の第1の繊維からなる第1の繊維層と、前記第1の繊維とは異なる方向にかつ互いに同一の方向に配列した複数の第2の繊維からなる第2の繊維層とが、積層されもしくは織成されてなる網状構造体である。このような網状構造体としては、種々の態様が挙げられ、特に限定されるものではないが、一定の強度と、網状構造に由来する通気性とを備えるものが好ましい。
【0029】
網状構造体は、好ましくは、第2の繊維が縦方向に配列した第2の繊維層と第1の繊維が横方向に配列した第1の繊維層とを積層させてなる。第1の繊維層と第2の繊維層のいずれの繊維層が有孔ポリエチレン層12に接するかについては、特に限定されない。本明細書において、「縦方向」とは、不織布、ウェブ、積層体などを製造する際の機械方向すなわち送り方向を意味し、長さ方向とも指称する。「横方向」とは、縦方向と直角な方向、すなわち不織布、ウェブ、積層体などの幅方向を意味する。以下に、強化材層10として機能する網状構造体の具体的な構造及び製造方法を挙げて、説明する。
【0030】
[第1の網状構造体:割繊維不織布]
ある実施形態においては、網状構造体は、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンフィルムを割繊後、拡幅して得られた割繊維フィルムを、延伸方向が略直交するように経緯積層してなる割繊維不織布である。すなわち、第1実施形態において、第1の繊維層及び第2の繊維層は、両方とも割繊維フィルムであり、その繊維の配列方向が概ね直交している。
【0031】
図2は、本実施形態による第2の繊維層の一例である、繊維が縦方向に配列した割繊維フィルム(縦ウェブ)を示す。割繊維フィルム102は、その平面構造が、
図2(a)に示すように、互いに並行に延びた複数の幹繊維102cと、幹繊維102cに対して交差して延び、隣接する幹繊維102c同士を繋ぐ枝繊維102dとで構成される。枝繊維102dは幹繊維102cと比べて細く、割繊維フィルム102の機械的強度は主として幹繊維102cによって与えられる。割繊維フィルム102はその延伸方向に高い引張強度を有している。そして、
図2(b)に示すように、割繊維フィルム102は、第2の熱可塑性樹脂層102bと、第1の熱可塑性樹脂層102aと、第2の熱可塑性樹脂層102bとを順に積層した三層構造を有する。
【0032】
割繊維フィルム102において、第2の熱可塑性樹脂層102bの厚みは、第2の繊維層全体の厚みの50%以下、望ましくは40%以下である。第1の繊維層と第2の繊維層との熱溶着時の接着強度等の諸物性を満足させるためには、第2の熱可塑性樹脂層102bの厚みは5μm以上であればよいが、好ましくは10〜50μmの範囲から選択される。なお、ここでいう厚みは、延伸前の厚みである。
【0033】
第1の熱可塑性樹脂層102a及び第2の熱可塑性樹脂層102bは、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層である。熱可塑性樹脂としては、例えば、割繊性の良好な、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびこれらの共重合体が挙げられる。また、第1の熱可塑性樹脂と第2の熱可塑性樹脂との融点の差は、製造上の理由から、5℃以上であることが必要であり、好ましくは10〜50℃である。
【0034】
図示する割繊維フィルム102は、三層構造からなるが、単層もしくは二層であってもよい。あるいは、さらに多くの層を備えるものであってよく、例えば、四層、五層、あるいは六層構造であってもよい。
【0035】
割繊維フィルム102の製造方法としては、例えば、以下に示すような方法が挙げられる。まず、各層を構成する樹脂を混練し、次いで、多層インフレーション法あるいは多層Tダイ法などの押出成形により、3層構造の原反フィルムを製造する。次いで、
図3に示すように、この原反フィルム200を縦方向(図中L方向)に延伸する。延伸倍率(配向倍率)は、1.1〜15倍が好ましく、より好ましくは3〜10倍である。延伸倍率が1.1倍未満では、機械的強度が十分でなくなるおそれがある。一方、延伸倍率が15倍を超えると、通常の方法で延伸することが難しく、高価な装置を必要とするなどの問題が生じる場合がある。延伸は、多段で行うことが延伸むらを防止するために好ましい。次いで、延伸したフィルムを、スプリッターを用いて縦方向(
図3に示すL方向)に千鳥掛けに割繊(スプリット処理)して多数の平行なスリット200aを形成する。さらにこれと直交する方向に拡幅する。これにより、
図2(a)に示すような割繊維フィルム102が得られる。このようにして製造された割繊維フィルム102はその延伸方向に高い引張強度を有している。
【0036】
次に、得られた割繊維フィルム102を、幹繊維が互いに略直交するように2枚重ね合せ、これを加熱して溶着する。この際、2枚のうち第2の繊維層に該当する一方の割繊維フィルムは、連続して、インラインで、機械方向にそのまま供給することができる。第1の繊維層に該当する他方の割繊維フィルムは、前述のように製造され、巻き取られたロール状の割繊維フィルムを、インラインで供給される割繊維フィルムの幅と同じ長さに切断してタイル状として間欠的に供給して、重ね合わせる。熱溶着に際しては、重ね合わせた2枚の割繊維フィルムを、対向配置された一対の加熱シリンダ間に供給し、幅方向の収縮が生じないように固定しながら、しかも表面層の延伸効果が失われないように、内層を構成する熱可塑性樹脂の融点以下で、かつ表面層を構成する熱可塑性樹脂の融点以上の温度で熱溶着を行う。これにより、網状構造体を得ることができる。なお、網状構造体の製造方法における熱溶着に替えて、接着材等のほかの任意の接着手段を用いて一体化することもできる。
【0037】
このように構成された割繊維不織布からなる強化材層10は網目構造であり、一定の開口率を備えているため、通気性を有することになる。このような割繊維不織布の代表的な市販品の例としては、JX日鉱日石エネルギー(株)製、ワリフ(登録商標)S24L、SS28Lなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0038】
[第2の網状構造体:網状不織布]
他の実施形態においては、網状構造体は、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンフィルムを割繊後、拡幅して得られた割繊維フィルムと、多層ポリオレフィンフィルムに、幅方向にスリットを形成した後、横方向に一軸延伸して得られた網状フィルムとを、延伸方向が略直交するように積層してなる網状不織布である。すなわち、第2実施形態において、第1の繊維層は、割繊維フィルムであり、第2の繊維層は、網状フィルムである。なお、第1の繊維層、第2の繊維層は、網状構造体を構成する2つの層の区別のために用いる用語であって、他の層との積層順や相対的関係においては区別されるものではない。
【0039】
第1の繊維層を構成する割繊維フィルムの形状、構造、並びに製造方法は、前述のとおりである。
【0040】
図4は、本実施形態による第2の繊維層の一例である、繊維が横方向に配列した網状フィルム(横ウェブ)を示す。
図4(a)に示すように、網状フィルム103は、平面が、略菱形の網目状に形成されている。そして、
図4(b)に示すように、網状フィルム103は、第2の熱可塑性樹脂層103bと、第1の熱可塑性樹脂層103aと、第2の熱可塑性樹脂層103bとを順に積層した三層構造を有している。
【0041】
網状フィルム103全体の厚みと第2の熱可塑性樹脂層103bの厚みとの関係は、上述した割繊維フィルム102についての説明と同じであり、また、網状フィルム103を構成する樹脂材料についても、上述した割繊維フィルム102と実質的に同じ材料を用いることができ、その詳細な説明は省略する。
【0042】
網状フィルム103の製造方法は、まず3層構造の原反フィルムを製造し、
図5に示すように、この原反フィルム300に対して横方向(
図5に示すT方向)に千鳥掛けにスリット処理を施して多数の平行なスリット300aを形成する。その後、原反フィルム300を横方向(
図5に示すT方向)に延伸する。このように原反フィルム300に、先にスリットを形成した後に、これを横方向に延伸することにより、菱形の網目が形成された網状フィルム103が得られる。横方向のスリット300aは、円筒の外周面上に軸方向に直線状の突起が形成された回転ローラとこれに対向する外周面が平坦な回転ローラ間に、原反フィルムを通過搬送することにより形成することができる。
【0043】
最後に、割繊維フィルム102と、網状フィルム103とを延伸方向が略直交するように重ね合わせ、これを加熱溶着することにより、網状不織布からなる網状構造体が得られる。この場合、熱溶着もしくは接着の態様は、第1実施形態と同様であってよい。
【0044】
なお、網状フィルムは、図示する菱形の網目状構造を有するものには限定されない。概ね横方向に延伸されており、割繊維フィルムと機械方向に重ね合わせた際に、延伸方向が概ね直交するものであればよく、例えば、
図2に示す割繊維フィルムと同様に、互いに並行に延びた複数の幹繊維と、幹繊維に対して交差して延び、隣接する幹繊維同士を繋ぐ枝繊維とで構成され、平面視した場合に、割繊維フィルムに対し、±90°回転したパターン、あるいはこれに相似のパターンを有するものであってもよい。
【0045】
網状不織布からなる網状構造体を、強化材層10として、
図1に示す有孔ポリエチレンテレフタレート層11、有孔ポリエチレン層12、及び微多孔性フィルム層13と積層する際には、割繊維フィルム102側が有孔ポリエチレン層12に接するように積層してもよいし、網状フィルム103側が有孔ポリエチレン層12に接するように積層してもよい。
【0046】
このように構成された網状不織布からなる強化材層10自体は網目構造であり、一定の開口率を備えているため、通気性を有することになる。このような網状不織布の代表的な市販品の例としては、JX日鉱日石エネルギー(株)製、CLAF(登録商標)SS(T)EL、3S(T)、S(F)ELが挙げられるが、これらには限定されない。
【0047】
[第3の網状構造体:縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープからなる不織布・織布]
更に別の実施形態においては、網状構造体は、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープを経緯積層してなる不織布もしくは織成してなる織布である。すなわち、第1の繊維層、第2の繊維層とも、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群から構成される。そして、不織布の場合には、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が、延伸方向が概ね直交するように経緯積層され、溶着もしくは接着されている。織布の場合には、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が経糸、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が緯糸になるように(緯糸になるように配置した結果、ポリオレフィンテープの配向方向は、横方向になっている)、任意の織り方で織成され、溶着もしくは接着されている。
【0048】
縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープは、第1実施形態において説明した割繊維フィルムと同様に、多層インフレーション法あるいは多層Tダイ法などの押出成形により3層構造の原反フィルムを製造し、縦方向に、1.1〜15倍、好ましくは3〜10倍に一軸延伸した後、延伸方向に沿って、例えば、2mm〜7mmの幅で裁断することにより製造することができる。あるいは、同様に、3層構造の原反フィルムを製造し、機械方向に沿って、同様の幅で裁断した後に、縦方向に、1.1〜15倍、好ましくは3〜10倍に一軸延伸することにより製造することができる。
【0049】
不織布から構成される網状構造体の一例を
図6に示す。
図6において、網状構造体40は、経糸に該当する複数の一軸延伸多層テープを第1の繊維層402として一定の間隔をあけて平行に並べ、それに対し一軸延伸多層テープの長手方向が略直交するように、緯糸に該当する別の複数の一軸延伸多層テープを第2の繊維層403として積層したものである。そして、経糸と緯糸との接触面を加熱溶着することにより、網状構造体が得られる。この場合、熱溶着もしくは接着の態様は、前述の実施形態と同様である。織布については、複数の一軸延伸多層テープを、積層することに替えて、織成したこと以外は、同様にして製造することができる。
【0050】
このような不織布の市販品の例としては、積水フィルム(株)製のソフ(商品名)HN55、HN66が利用できる。織布の市販品の例としては、萩原工業(株)製のメルタック(商品名)なども利用できる。
【0051】
[第4の網状構造体:各種積層体]
また、強化材層10は、前述の割繊維フィルム(縦ウェブ)、または網状フィルム(横ウェブ)と、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープとを延伸方向が略直交、あるいは斜交するように積層した積層体や、熱可塑性樹脂から紡糸され延伸されたフィラメントを延伸方向が略直交するように組み合わせた織布や不織布を用いることもできる。要するに、複数の網状体層が、延伸方向が概ね直交し、あるいは斜交し、且つ通気性を有するように一体化された構成であればよい。
【0052】
[第5の網状構造体:ネット状物]
強化材層のさらにまた別の例としては、ポリエチレンあるいはポリプロピレンからなるネット状物を用いることもできる。ネット状物としては、クラボウ社製のクレネット(商品名)、コンウェッド社製のコンウェッドネット、Thermanet(商品名)などが挙げられる。
【0053】
[通気性包装材料の製造方法]
次に、本実施形態に係る通気性包装材料を、製造方法の観点から説明する。通気性包装材料の製造方法は、まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムに、必要に応じ裏面に印刷を施した後、押出しコーティング法などによりポリエチレン層をその裏面に形成する。この、裏面にポリエチレン層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムに、開孔処理を施すことにより、有孔ポリエチレンテレフタレート層11と、有孔ポリエチレン層12との積層体を得る。最後に、上記積層体と、強化材層10と、微多孔性フィルム層13とを、熱圧着法によって接合する。これらの層の接合は、それぞれの層を個別に製造した後、熱圧着法によって一気に行うことができ、かかる工程により、本発明に係る通気性包装材料1を得ることができる。この場合、熱圧着の条件は、例えば、120〜140℃、好ましくは、125〜140℃の温度条件で、例えば、線圧200〜260N/cm、好ましくは、線圧210〜260N/cmの圧力条件とすることができる。特に、線圧210〜260N/cmの高圧接着条件とすることで、耐水性、耐酸性、及び耐熱性を大幅に向上することができ、より有利である。具体的な熱圧着の方法は、スチーム加熱ロールや誘電加熱ロールにより実施することができるが、これらには限定されない。
【0054】
上記の製造方法により得られる通気性包装材料1は、強化材層10が、接触する有孔ポリエチレン層12に少なくとも部分的に埋没し、好ましくは、微多孔性フィルム層13にも部分的に埋没している。埋没していることは、後述する方法で、積層、熱圧着後の通気性包装材料1の断面を観察すると、熱圧着前の有孔ポリエチレン層12の厚みに相当する部分、及び/または微多孔性フィルム層13の厚みに相当する部分に、強化材層10が侵入していることで確認することができる。場合によっては、強化材層10が食い込むことにより、有孔ポリエチレン層12及び/または微多孔性フィルム層13が平坦性を失い、押されて盛り上がる箇所が存在することで確認することができる。
【0055】
また、網状構造体の強化材層10の開口部の少なくとも一部において、有孔ポリエチレン層12と、前記微多孔性フィルム層13とが接触し、溶着されている。このことは、同じく積層、熱圧着後の通気性包装材料1の断面を観察したときに、強化材層10の開口部、すなわち第1の繊維も第2の繊維も存在しない部分において、微多孔性フィルム層13と、前記有孔ポリエチレン層12とが、接触している箇所が認められることで確認することができる。
【0056】
これらの強化材層10と、これに接触する微多孔性フィルム層13と、有孔ポリエチレン層12との構造的特徴は、強化材層10において、好ましくは面と平行する方向への空気の連通を阻止する。
図1を参照すると、強化材層10の面と平行する方向、すなわち、細孔50の設けられる方向に垂直な方向である面に沿った方向は、紙面の左右方向に該当するが、この方向への空気の連通がない。通気性包装材料1においては、有孔ポリエチレンテレフタレート層11と有孔ポリエチレン層12とを貫通する細孔50の存在により、有孔ポリエチレンテレフタレート層11側の細孔入口から、強化材層10や、微多孔性フィルム層13へと、気体が侵入することが可能である。すなわち、気体は、通気性包装材料1の面に略垂直な方向に移動可能である。また、積層された通気性包装材料1中に水分が存在すると、水分及び空気等の気体は、凹凸を有する部材である強化材層10が構成し得る局部的に連通した空間の一部において、移動することが可能である。しかし、全体としては、有孔ポリエチレン層12、強化材層10、微多孔性フィルム層13の密着により、及び、有孔ポリエチレン層12と微多孔性フィルム層13との部分的な密着により、面と平行する方向への空気の連通が阻止されている。このため、細孔50内は空気で満たされ、この空気の存在が、有孔ポリエチレンテレフタレート層11側の細孔入口からの水分の浸入を阻止する。したがって、本発明に係る通気性包装材料1においては、水分が細孔から内部に入り込むことがない。
【0057】
そして、かかる通気性包装材料1は、通常、150〜250μm程度、好ましくは、100〜200μm程度の膜厚を有する可撓性を有するフィルムの形態である。本実施形態に係る通気性包装材料1は、上記の層構成を備えることで、食品衛生法に基づく、食品、添加物等の規格基準(S34厚生省告示第370号)における、4%酢酸溶出残渣試験に適合している。具体的には、本実施形態による通気性包装材料1は、上記規格基準が定める、蒸発残留物「30μg/ml以下」を満たしている。本実施形態による通気性包装材料1の蒸発残留物量は、より好ましくは20μg/ml以下であり、さらに好ましくは、15μg/ml以下である。この基準に適合することにより、従来技術では不可能だった、例えば、食品包装に内包される乾燥剤、鮮度保持剤、脱酸素剤等の包材に用いることができる。また、本実施形態に係る通気性包装材料は、前述のように、好ましくは、強化材層における面と平行する方向への空気の連通を阻止することで、包装材自体への水分の浸入を抑制する、すなわち耐水性を高めることにより、上記の4%酢酸溶出残渣試験に適合したものである。耐水性に劣ると、急速に包装対象となる内容物の酸化が進み、例えば、脱酸素剤としての鉄粉が長持ちしないという問題があったが、本実施形態に係る通気性包装材料によれば、この問題を克服することができる。また、例えば、内容物が鉄粉である場合に、耐水性が低いと、細孔から侵入した水が、鉄粉の黒色を目立たせ、外観が悪くなるという問題もあったが、この問題も克服することができる。さらに、本実施形態に係る通気性包装材料は、同様に油分の浸入を抑制する、すなわち従来技術と比較して耐油性も高まっており、有孔フィルムの孔に油分が浸入・閉塞し、包装材の通気性が損なわれることを防ぐことができる。なお、包装材に求められる通気度は内包物により異なり、有孔ポリエチレンテレフタレートフィルム11と、有孔ポリエチレンフィルム12の孔数、および微多孔性フィルム層13の通気度を調整することで、所望の通気度とすることが可能である
【0058】
また、上記のような強化材層10を備えることで、従来技術と同様の引張強度などの機械強度に優れた通気性包装材料1とすることができ、かつ、所望の通気度を備える。さらに、強化材層として上記実施形態にて説明した網状構造体を用いることで、縦方向と横方向での強度バランスにも優れ、しかも引張強度及び通気度をより向上させることができる。さらに、本実施形態の通気性包装材料1は、有孔ポリエチレンテレフタレート層11と有孔ポリエチレン層12との積層体と、強化材層10と、微多孔性フィルム層13とを熱圧着法によって一気に接合することで製造できるため、製造コストの面からも有利である。
【0059】
[第2実施形態:包装体]
本発明は、第2実施形態によれば、包装体であって、第1実施形態による通気性包装材料1を少なくとも一部に用い、前記有孔ポリエチレンテレフタレート層を外側にして脱酸素剤、乾燥剤、鮮度保持剤、発熱剤、吸湿剤、脱臭剤、防虫剤、除湿剤または芳香剤を収納してなる。
【0060】
図7に、本実施形態による包装体の概念的な断面図を示す。第2実施形態による包装体6は、第1実施形態による通気性包装材料1を、微多孔性フィルム層13が内側になるように袋状に成形し、内部に機能性物品5を収納してなる。なお、
図7においては、有孔ポリエチレンテレフタレート層11及び有孔ポリエチレン層12を貫通する細孔の表示を省略している。通気性包装材料1から包装体6を作る際には、微多孔性フィルム層13がヒートシール層として利用される。具体的には、微多孔性フィルム層13の両端が対向接触するように微多孔性フィルム層13を内側にして通気性包装材料1を袋状に折り曲げ、機能性物品5を包み、周縁部を熱プレス法によりヒートシールする。これにより、機能性物品5が包装体の外部に放出されることがないように密封する。具体的な機能性物品5としては、シリカ系、クレイ系または塩化カルシウム、鉄粉、酸化マグネシウム、ゼオライト、シリカ−エタノールが挙げられるがこれらには限定されない。
【0061】
本実施形態による包装体6においては、例えば、機能性物品5として脱酸素剤、鮮度保持剤を封入するために、特に好ましく用いることができる。通気性包装材料1の特性として説明した層構造の特徴、特に、強化材層10における面と平行する方向への空気の連通が阻止されているため、水分のあるところでも使用可能であり、包装体6のおもて側面である有孔ポリエチレンテレフタレート層11の細孔近くに水分が存在しても、細孔から内側への水の移動は阻止されるためである。
【0062】
通気性包装材料1の機械的強度が優れていることにより、通気性包装材料1を用いて包装体6を形成したとき、内部に収納された機能性物品5による損傷も生じにくく、脱酸素剤や乾燥剤以外に、活性炭や木炭など重量の大きな機能性物品5を収納する大型の包装材料としても有効に利用できる。また、包装体6の表層は有孔ポリエチレンテレフタレート層11となるので、紙粉は発生せず衛生的である。さらに、包装体6を形成する際のヒートシール層となる微多孔性フィルム層13は熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を用いているので、表層である有孔ポリエチレンテレフタレート層11との融点差が大きくなる。従って、ヒートシール温度を高く設定しヒートシール時間を短縮することができ、これに伴って機能性物品5の充填速度を上げることができるので、包装体6の生産性を向上させることができる。
【0063】
本発明の通気性包装材料は、脱酸素剤、乾燥剤、鮮度保持剤の包装に好適に利用できるが、保湿剤、芳香剤、吸湿剤、消臭剤、防虫剤、除湿剤などの機能性物品5の包装にも好適に利用できる。これらの機能性物品5を収納する包装体は、機能性物品5が機能すればどのような形態でもよい。包装体が袋の形態である場合には、通気性包装材料は、その袋の一部分、片面、または全体に使用される。包装体を形成するための、通気性包装材料のヒートシール方法には、加熱シールバーによる熱プレス法が一般に用いられる。従って、包装体が袋の形態である場合には、シート材から袋を形成する一般的な製袋包装機を用いることができる。また、本発明の通気性包装材料は、前述したように、引張強度に優れているので、大型の包装体やシート状の包装体としても利用することができる。
【実施例】
【0064】
以下に、本発明の代表的な実施例について比較例とともに説明する。以下の実施例は本発明を例示する目的であって、本発明を限定するものではない。
【0065】
(実施例)
本発明の第1実施形態に係る通気性包装材料を製造した。層厚が12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した後、上記印刷面側に低密度ポリエチレンを層厚が15μmとなるように押出しコーティングし、縦横の間隔3mmにて、直径が0.3mmの針を突き刺すことにより細孔を形成した。このように得られた各層を、以下、有孔PET、有孔PEとも指称する。強化材層としては、ポリエチレン製の網状不織布である「CLAF」(JX日鉱日石エネルギー(株)製、商品名、登録商標)の品番SS(T)EL(目付量20g/m
2、交点の厚み110μm、縦ウェブの厚み40μm、横ウェブの厚み70μm)を用いた。微多孔性フィルム層としては、無機フィラーを含有した延伸PE微多孔性フィルムである、「ポーラム」((株)トクヤマ製、商品名)を用い、厚みは35μmを選択した。以下、微多孔性フィルムをMPFとも指称する。
【0066】
有孔ポリエチレンテレフタレート層と有孔ポリエチレン層との積層体の有孔ポリエチレン層を内側にして、強化材層の有孔ポリエチレン層と接する面にコロナ処理を施しながら、有孔ポリエチレン層と接触するように、さらに微多孔性フィルムを同時に繰出し、3層を同時に熱ロールに通過させ、通気性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が130℃、線圧が260N/cm、送り速度が20m/min.とした。熱ロールに接触するのは、有孔ポリエチレンテレフタレート層側とした。コロナ処理は、100W/(m
2・min.)の出力にて行った。
【0067】
(比較例1)
実施例の有孔ポリエチレンテレフタレート層、有孔ポリエチレン層に替えて、厚み15μmの無延伸ナイロンフィルムを用意し、縦横の間隔3mmにて、直径が0.3mmの針を突き刺すことにより細孔を形成した(有孔ナイロン、孔数通常品)。同様に、厚み15μmの無延伸ナイロンフィルムを用意し、縦横の間隔6mmにて、直径が0.3mmの針を突き刺すことにより細孔を形成した(有孔ナイロン、孔数低減品)。また、実施例と同じ網状不織布CLAFを強化材層として用い、実施例と同様にして、比較例1の包装材料を得た。なお、比較例1の構成は、本出願人らによる特許第5070560号の実施例1の構成と同一である。
【0068】
(比較例2)
比較例1の無延伸ナイロンフィルムに替えて、厚み210μmのセロハン(フタムラ化学製PT−PL#300)を用いた以外は、比較例1と同様にして、比較例2の包装材料を得た。
【0069】
[耐水性、耐油性評価試験]
実施例、比較例1、比較例2の包装材料について、耐水性、耐油性を評価した。耐水性、耐油性については、上記包装材料が実際に使用される条件による実装試験を行い、目視により水分、油分の包装材料に対する浸入の有無を確認し、浸入が認められない場合を○とし、浸入が認められた場合を×とした。
【0070】
次いで、これらの包装材料について、耐酸性を評価した。耐酸性の評価は、食品衛生法、食品、添加物等の規格基準(S34厚生省告示第370号)に基づいた。具体的には、「油脂及び脂肪性食品並びに酒類以外の食品」に接触して使用する、ポリエチレン及びポリプロピレンを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装の試験方法である、4%酢酸を浸出用液として用いて作った試験溶液について、溶出試験(蒸発残留物の測定)を実施した。
【0071】
操作法としては、包装材料試験体の微多孔性フィルム層とは反対側を上部にして治具で固定し、4%酢酸200〜300mlを上から導入し、60℃で浸出した液を下部から回収し試験溶液とした。実施例の場合は下部への液の浸出がなかったので、60℃で30分保持後、上部に残留した液を試験溶液とした。試験溶液を、あらかじめ105℃で乾燥した重量既知の白金製、石英製又は耐熱ガラス製の蒸発皿に採り、水浴上で蒸発乾固した。次いで、105℃で2時間乾燥した後、デシケーター中で放冷した。放冷後、秤量して蒸発皿の前後の質量差a(mg)を求め、次式により蒸発残留物の量を求めた。
蒸発残留物(μg/ml)=((a−b)×1,000)/試験溶液の採取量(ml)
ただし、b:試験溶液と同量の浸出用液について得た空試験値(mg)である。
【0072】
結果を以下の表1に示す。表1より、本発明に係る通気性包装材料は、4%酢酸溶出残渣試験、耐水性試験、耐油性試験のいずれにおいても、基準に適合し、食品に接触する包装用途で使用することができることがわかった。
【表1】
【0073】
[断面観察試験]
実施例、比較例1の包装材料について、走査型電子顕微鏡を用いて断面写真を撮影して、比較、観察した。結果を
図8及び
図9に示す。
図8及び
図9は、電子顕微鏡写真に基づき、包装材料を構成するそれぞれの層の境界に、輪郭線を加筆している。
図8においては、有孔ポリエチレン層12に、強化材層10を構成する繊維層が食い込んでいるため、有孔ポリエチレン層12が強化材層10に押されて、盛り上がっている箇所があることが視認できる。一方、
図9においては、有孔ナイロン層17への強化材層10の食い込みは視認できない。これらの断面観察試験の結果に基づき、層構成の相違により、層間の密着性に差異が生じ、耐水性や耐油性の向上につながったことが合理的に推測できる。