(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393603
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】タッピング加工方法及びレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23G 3/00 20060101AFI20180910BHJP
B23P 23/04 20060101ALI20180910BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20180910BHJP
B23K 26/035 20140101ALI20180910BHJP
【FI】
B23G3/00 Z
B23P23/04
B23K26/382
B23K26/035
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-246484(P2014-246484)
(22)【出願日】2014年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-107367(P2016-107367A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏紀
(72)【発明者】
【氏名】田川 省吾
【審査官】
山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3699199(JP,B2)
【文献】
特開2008−126398(JP,A)
【文献】
特開2003−311561(JP,A)
【文献】
特開2001−219340(JP,A)
【文献】
米国特許第05980172(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 23/00−23/04,
B23G 3/00,
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工によってワークに小孔加工を行った後に、前記小孔にタッピング加工を行うタッピング加工方法であって、ワークホルダに支持されたワークに対して相対的にX軸方向へ移動自在なY軸ガイドにサーボモータの駆動によってY軸方向へ移動位置決め自在に備えられた第1のY軸スライダに、別個のサーボモータの駆動によって上下方向であるZ軸方向へ移動自在なレーザ加工ヘッドを備え、このレーザ加工ヘッドから前記ワークへレーザ光を照射して小孔の加工を行った後、前記Y軸方向へ移動自在かつY軸方向の退避位置に位置決め自在な第2のY軸スライダに上下動自在に備えられたタッピング加工ヘッドと前記レーザ加工ヘッドとを一体的に連結し、前記レーザ加工ヘッドのY軸方向及びZ軸方向への移動と一体的に前記タッピング加工ヘッドを移動して、前記タッピング加工ヘッドに備えたタップによって前記小孔にタッピング加工を行うことを特徴とするタッピング加工方法。
【請求項2】
ワークホルダに支持されたワークに対して相対的にX軸方向へ移動自在なY軸ガイドに、サーボモータの駆動によってレーザ加工ヘッドをY軸方向へ移動自在かつ別個のサーボモータの駆動によって前記レーザ加工ヘッドを上下方向であるZ軸方向へ移動自在に備え、かつ前記Y軸ガイドにタッピング加工ヘッドをY軸方向へ移動自在かつ上下動自在に備えたレーザ加工装置であって、前記タッピング加工ヘッドを、前記レーザ加工ヘッドと一体的にY軸方向及びZ軸方向に移動位置決めするために、前記レーザ加工ヘッドと前記タッピング加工ヘッドとを一体的に連結自在に備えていることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを連結遮断手段によって一体的に連結自在かつ連結を解除自在に設け、レーザ加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向へ移動位置決めする構成は、レーザ加工ヘッドとタッピングヘッドとを連結した状態において前記タッピング加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向へ移動位置決めする構成を兼用した構成であることを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工によってワークに小孔加工を行った後に、上記小孔にタッピング加工を行うタッピング加工方法及び上記タッピング加工方法を行うためのレーザ加工装置に係り、さらに詳細には、レーザ加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向に移動位置決めする構成を、タッピング加工ヘッドをY軸方向、Z軸方向に移動位置決めする構成に兼用したタッピング加工方法及びレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置には、ワークのレーザ加工を行うためのレーザ加工ヘッドと、上記レーザ加工ヘッドによってワークに小孔の加工を行った後に、上記小孔にタッピング加工を行うタッピング加工ヘッドとを備えた構成のレーザ加工装置がある。この種の構成においては、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを一体的に備えた構成が一般的である。したがって、ワークのレーザ加工を行う場合、不用なタッピング加工ヘッドをもレーザ加工ヘッドと一体的に移動する無駄があった。
【0003】
そこで、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを分離自在に備え、ワークのレーザ加工を行う際には、ワークに対してレーザ加工ヘッドのみを移動制御し、ワークにタッピング加工を行う際には、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを一体化して、レーザ加工ヘッドの移動制御を行うことが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3699199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成は、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッド(特許文献1においてはW軸ユニット21が相当する)は、タッピング加工ヘッドをY軸方向に移動位置決めする場合にのみ一体化されるものである。したがって、ワークのレーザ加工を行うときには、レーザ加工ヘッドのみを移動位置決めすればよく、レーザ加工ヘッドの移動位置決めを軽快に行い得ることになる。
【0006】
しかし、ワークにタッピング加工を行うときには、レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを一体的に連結して、Y軸方向に移動位置決めするにすぎないものである。すなわち、タッピング加工ヘッドを上下動するための駆動源は、レーザ加工ヘッドを上下動する駆動源とは別個に備えた構成である。したがって、レーザ加工ヘッドを上下動するための構成によってタッピング加工ヘッドを上下動する構成として、構成の簡素化を図ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、レーザ加工によってワークに小孔加工を行った後に、前記小孔にタッピング加工を行うタッピング加工方法であって、ワークホルダに支持されたワークに対して相対的にX軸方向へ移動自在なY軸ガイドに
サーボモータの駆動によってY軸方向へ移動位置決め自在に備えられた第1のY軸スライダに、
別個のサーボモータの駆動によって上下方向であるZ軸方向へ移動自在なレーザ加工ヘッドを備え、このレーザ加工ヘッドから前記ワークへレーザ光を照射して小孔の加工を行った後、前記Y軸方向へ移動自在かつY軸方向の退避位置に位置決め自在な第2のY軸スライダに上下動自在に備えられたタッピング加工ヘッドと前記レーザ加工ヘッドとを一体的に連結し、前記レーザ加工ヘッドのY軸方向及びZ軸方向への移動と一体的に前記タッピング加工ヘッドを移動して、前記タッピング加工ヘッドに備えたタップによって前記小孔にタッピング加工を行うことを特徴とするものである。
【0008】
また、ワークホルダに支持されたワークに対して相対的にX軸方向へ移動自在なY軸ガイドに、
サーボモータの駆動によってレーザ加工ヘッドをY軸方向へ移動自在かつ
別個のサーボモータの駆動によって前記レーザ加工ヘッドを上下方向であるZ軸方向へ移動自在に備え、かつ前記Y軸ガイドにタッピング加工ヘッドをY軸方向へ移動自在かつ上下動自在に備えたレーザ加工装置であって、前記タッピング加工ヘッドを、前記レーザ加工ヘッドと一体的にY軸方向及びZ軸方向に移動位置決めするために、前記レーザ加工ヘッドと前記タッピング加工ヘッドとを一体的に連結自在に備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、前記レーザ加工装置において、
レーザ加工ヘッドとタッピング加工ヘッドとを連結遮断手段によって一体的に連結自在かつ連結を解除自在に設け、レーザ加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向へ移動位置決めする構成は、
レーザ加工ヘッドとタッピングヘッドとを連結した状態において前記タッピング加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向へ移動位置決めする構成を兼用した構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レーザ加工ヘッドをY軸方向、Z軸方向に移動位置決めする構成を利用して、タッピング加工ヘッドをY軸方向、Z軸方向に移動位置決めすることができるものであり、構成の簡素化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係るレーザ加工装置の全体的構成を概念的、概略的に示した斜視説明図である。
【
図5】タッピング加工ヘッドをフレームに固定する固定手段の構成を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るレーザ加工装置1は、概念的、概略的に示すように、ベースフレーム3を備えており、このベースフレーム3における左右方向(Y軸方向)の両側には左右のコラム5L,5Rが立設してある。すなわち前記レーザ加工装置1のフレーム7はほぼU字形状に構成してある。そして、前記左右のコラム5L,5Rの上部には、左右方向に長い上部フレーム9の左右両端側が一体的に支持されている。
【0013】
前記ベースフレーム3には、前後方向(X軸方向)のガイドレール11に沿って例えばパイプ材や形鋼などの長尺のワークWの端部を挟持してX軸方向に移動位置決め自在かつサーボモータなどの回転用アクチュエータで回転割出し自在のメインチャック装置(図示省略)を備える。
【0014】
また、前記ベースフレーム3には、前記メインチャック装置とX軸方向に離反してローラチャック(図示省略)が備えられている。すなわち、前記ガイドレール11には、ベース部材13が、前記上部フレーム9に対して移動不可的に支持されている。
【0015】
そして、前記ベース部材13には、例えばパイプ材や形鋼などの長尺のワークWを摺動自在に把持する前記ローラチャックを備えたリング状の回転体15を回転自在に支持したワークホルダの1例としての回転体ホルダ16が一体的に備えられている。前記回転体15は、例えばサーボモータなどの回転用アクチュエータ(図示省略)によって、前記メインチャック装置と同期してX軸方向の軸心回りに回転されるもので、前記サーボモータの回転を制御することにより、正回転方向(時計回り方向)及び反時計回り方向に回転割出し自在なものである。
【0016】
またワークWを挟持したメインチャック装置をガイドレール11に沿ってX軸方向に移動することにより、前記回転体ホルダ16および前記ワークWのレーザ加工を行うレーザ加工ヘッド17に対して相対的にワークをX軸方向に移動することができる。
【0017】
前記上部フレーム9には、前記ワークWのレーザ加工を行う前記レーザ加工ヘッド17が左右方向及び上下方向(Z軸方向)に移動自在に備えられている。すなわち、前記上部フレーム9にはY軸ガイドとしての左右方向のガイドレール19が備えられており、このガイドレール19には第1スライダとしての左右スライダ21が左右方向へ移動自在に支承されている。そして、この左右スライダ21には、上下方向のガイド部材(図示省略)が備えられており、このガイド部材に、前記レーザ加工ヘッド17が上下動自在に案内支持されているものである。
【0018】
なお、前記左右スライダ21は、前記上部フレーム9に装着したサーボモータ23によって回転される左右方向のボールねじ(図示省略)を備えたボールねじ機構によって左右方向に移動位置決めされるものである。そして、前記レーザ加工ヘッド17は、前記左右スライダ21に備えたサーボモータ25によって回転される上下方向のボールねじを備えたボールねじ機構によって上下方向に移動位置決めされるものである。
【0019】
ところで、例えば板状のワークやパイプ材などの長尺材のワークに対してレーザ加工を行うレーザ加工機においては、ワークに対してレーザ加工ヘッドを相対的に左右方向、上下方向に移動位置決めする構成は、既によく知られた構成であるから、前記レーザ加工ヘッド17を、ワークWに対して相対的に左右方向、上下方向に移動位置決めするための構成についての詳細な説明は省略する。
【0020】
前記上部フレーム9には、前記レーザ加工ヘッド17によってワークWにピアス加工による小孔の加工を行った後に、上記小孔にタッピング加工を行うためのタッピング加工ヘッド27が左右方向へ移動位置決め自在に備えられている。すなわち、
図2に示すように、前記ガイドレール19には、タッピング加工ヘッド27における第2スライダとしての左右スライダ29が左右方向に移動自在に備えられており、この左右スライダ29には、複数のタップ31を備えたタップホルダユニット33が上下動自在に備えられている。
【0021】
なお、前記タップホルダユニット33は、前記左右スライダ29の一部に装着したバランスシリンダ35に支持されている。したがって、前記タップホルダユニット33は、軽快に上下動することができるものである。
【0022】
前記タップホルダユニット33を左右方向及び上下方向に移動位置決めするために、前記レーザ加工ヘッド17とタップホルダユニット33は一体的に連結自在かつ連結を解除自在に設けられている。すなわち、前記レーザ加工ヘッド17と前記タップホルダユニット33には連結遮断手段37が備えられている。上記連結遮断手段37はショットピン39(
図4参照)と、当該ショットピン39と係合自在なテーパ孔41を備えたショットピン受け43とを備えている。
【0023】
より詳細には、前記タップホルダユニット33には、ショットピンシリンダ45(
図1,2参照)を備えた支持ブラケット47が備えられている。そして、前記ショットピン受け43は、前記レーザ加工ヘッド17におけるタッピング加工ヘッド27側に備えられている。すなわち、ショットピン受け43は、所定位置に固定してあるタッピング加工ヘッド27に対して前記レーザ加工ヘッド17を移動近接したときに、前記ショットピンシリンダ45に対向した位置に位置するように、前記レーザ加工ヘッド17に備えられているものである。
【0024】
上記構成から理解されるように、タップホルダユニット33に備えたショットピンシリンダ45にショットピン受け43が対向するように、レーザ加工ヘッド17を位置決めする(
図4参照)。そして、ショットピンシリンダ45を作動して、ショットピン39をショットピン受け43のテーパ孔41に係合すると、レーザ加工ヘッド17とタッピングホルダユニット33は一体的に連結される。
【0025】
したがって、制御装置(図示省略)の制御の下にレーザ加工ヘッド17を左右方向及び上下方向に移動位置決めすると、タッピング加工ヘッド37におけるタップホルダユニット33は、前記レーザ加工ヘッド17と一体的に左右方向及び上下方向に移動位置決めされることになる。すなわち、レーザ加工ヘッド17を左右方向、上下方向に移動位置決めするための位置決め手段は、前記タップホルダユニット33を左右方向、上下方向に移動位置決めするための位置決め手段を兼ねることになる。よって、タップホルダユニット33の位置決め機構の構成の簡素化を図ることができるものである。
【0026】
なお、前記ショットピン39とショットピン受け43との係合を解除することにより、レーザ加工ヘッド17のみを左右方向、上下方向に移動位置決めできることになる。したがって、レーザ加工ヘッド17のみを移動位置決めする際には、タップホルダユニット33を一体的に移動位置決めする場合に比較して前記位置決め手段の負荷を小さくすることができる。よって、ワークのレーザ加工の高速化、精度向上を図ることができるものである。
【0027】
上述のように、レーザ加工ヘッド17のみを左右方向、上下方向へ移動してワークのレーザ加工を行うとき、前記タッピング加工ヘッド27を前記フレーム7に不動状態に固定するための固定手段49(
図3参照)が備えられている。より詳細には、
図5に示すように、フレーム7(
図5においては図示省略)には支持ブラケット51が備えられており、この支持ブラケット51には、ショットピン(図示省略)を前側へ突出自在に備えたショットピンシリンダ53が装着してある。そして、前記タップホルダユニット33の背面には、前記ショットピンシリンダ53に備えたショットピンと係合自在なテーパ孔(図示省略)を備えたショットピン受け55が一体的に備えられている。
【0028】
したがって、前記ショットピンシリンダ53のショットピンを、タップホルダユニット33に備えたショットピン受け55のテーパ孔に係合することにより、タップホルダユニット33を所定位置に固定することができるものである。よって、前述したように、レーザ加工ヘッド17を移動してワークWのレーザ加工を行うとき、タップホルダユニット33は、レーザ加工ヘッド17がレーザ加工のために移動している移動領域に移動するようなことはないものである。すなわち、レーザ加工時のレーザ加工ヘッド17とタップホルダユニット33が干渉するようなことがなく、レーザ加工ヘッド17によるレーザ加工時に、タップホルダユニット33が障害になるようなことはないものである。
【0029】
前記レーザ加工ヘッド17により、ワークWに小孔のレーザ加工を行った後に、前記タップホルダユニット33に備えたタップ31によって前記小孔にタッピング加工を行う場合には、次のように行うものである。すなわち、レーザ加工ヘッド17に備えたショットピン受け43を、所定位置に固定した状態にあるタップホルダユニット33に備えたショットピンシリンダ45に対応した位置に位置決めする。その後、前記ショットピンシリンダ45を作動して、当該ショットピンシリンダ45に備えたショットピン39を前記ショットピン受け43のテーパ孔41に係合する。
【0030】
上述のように、ショットピン39をショットピン受け43のテーパ孔41に係合して、レーザ加工ヘッド17とタップホルダユニット33とを一体的に連結する。その後に、フレーム7側に備えた前記ショットピンシリンダ53を作動して、フレーム7に対するタップホルダユニット33の固定状態を解除する。そして、タップホルダユニット33を移動自在な状態にする。
【0031】
その後、制御装置の制御の下に、メインチャック装置を前後動してワークWの前後方向の位置決めを行う。そして、レーザ加工ヘッド17を介してタップホルダユニット33を、ワークWに対して左右方向へ移動すると共に、ワークWに加工した小孔の位置の上方位置にタップ31を位置決めする。その後、前記レーザ加工ヘッド17を介してタップホルダユニット33を下降しつつ、タッピング加工ヘッド27に備えたモータ(図示省略)によってタップ31を正回転し、タップ31を前記小孔に係合することにより、小孔にタッピング加工が行われる。その後、タップ31を逆回転し上昇することにより、前記小孔に対するタッピング加工が終了することになる。
【0032】
以上のごとき説明より理解されるように、タッピング加工ヘッド27におけるタップホルダユニット33の左右方向、上下方向への移動は、レーザ加工ヘッド17を左右方向、上下方向へ移動する移動位置決め手段によって行われ得るものである。したがって、タップホルダユニット33の移動位置決め手段を省略することができ、構成の簡素化を図ることができるものである。
【0033】
そして、レーザ加工ヘッド17によるレーザ加工時には、前記タッピング加工ヘッド27は、Y軸方向の退避位置に位置決め固定しておくことができるので、レーザ加工ヘッド17のみを移動してレーザ加工を行うことができる。したがって、レーザ加工時における負荷は小さく、レーザ加工を高速で高精度に行うことができるものである。
【0034】
なお、本発明は、前述したごとき実施形態のみに限ることなく、適宜の変更を行うことにより、その他の形態でもって実施可能なものである。すなわち、前記レーザ加工ヘッド17とタップホルダユニット33との連結、遮断は、ショットピン39とショットピン受け43とを係合、離脱することによって行っている。しかし、レーザ加工ヘッド17又はタップホルダユニット33の一方にクランプ手段を備え、他方に、上記クランプ手段によってクランプされる非クランプ部材を備えて、クランプ手段によって非クランプ部材をクランプして一体的に連結する構成とすることも可能である。すなわち、レーザ加工ヘッド17とタップホルダユニット33とを一体的に連結する構成は種々の構成を採用することができるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 レーザ加工装置
7 フレーム
13 ベース部材
15 回転体
17 レーザ加工ヘッド
27 タッピング加工ヘッド
31 タップ
33 タップホルダユニット
37 連結遮断手段
39 ショットピン
41 テーパ孔
43 ショットピン受け
45 ショットピンシリンダ
49 固定手段
53 ショットピンシリンダ
55 ショットピン受け