(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内容物が収容されるとともに前記内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器と、前記内容器が内装され弾性変形可能な外容器と、を有する容器本体の口部に装着される注出キャップであって、
前記容器本体の口部の開口を覆う天壁部を有し、この天壁部に前記内容物を注出する注出孔が形成されたキャップ本体と、
前記注出孔を開閉する蓋体と、を備え、
前記天壁部には、前記注出孔と前記容器本体内とを連通する連通筒が下方に向けて延設され、
前記連通筒内には、
上下動自在に配設された弁体と、
前記弁体が上方に向けて離反自在に着座し、前記連通筒内と前記容器本体内との連通を遮断する弁座部と、
前記連通筒内と前記注出孔とを連通させた状態で、前記弁体の上昇移動を規制する規制部と、が配設され、
前記蓋体には、下方に向けて延在して前記連通筒内に差し込まれ、前記弁体の一部を前記弁座部から離間させた状態で前記弁体に当接する係合突起が形成され、
前記係合突起は、前記蓋体の閉動作に伴って前記弁体を前記弁座部上で摺動させることで、前記弁体の一部を前記弁座部から離間させることを特徴とする注出キャップ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る注出キャップの第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の注出キャップ1は、内容物(例えば液体)が収容される容器本体100の口部101に装着され、内容物の注出孔4が形成された有頂筒状のキャップ本体2と、キャップ本体2の天壁部11を開閉する有頂筒状の蓋体3と、を備えている。
【0016】
キャップ本体2及び蓋体3は、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態で配置されている。本実施形態ではこの共通軸をキャップ軸O1といい、キャップ軸O1に沿う方向を上下方向という。そして、上下方向に沿ってキャップ本体2側を上側、その反対側である容器本体100側を下側という。
【0017】
容器本体100は、内容物が収容されるとともに内容物の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器100aと、内容器100aが内装され弾性変形可能な外容器100bと、を備えている。
【0018】
容器本体100は、例えばブロー成形により形成され、外容器100bの内面に内容器100aが剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
ブロー成形としては、例えば押出成形等によって二重(内外)に組み合わされた積層パリソンを形成し、この積層パリソンをダイレクトブロー成形することで容器本体100を形成しても良い。また、射出成形等によって外容器100b用のプリフォーム、および内容器100a用のプリフォームを形成し、これらを二重(内外)に組み合わせた後、二軸延伸ブロー成形することで容器本体100を形成しても構わない。
さらに、外容器100b用のプリフォームを先に二軸延伸ブロー成形して外容器100bを形成した後、内容器100a用のプリフォームを内部に配置し、その後、内容器100a用のプリフォームを二軸延伸ブロー成形することで容器本体100を形成しても構わない。
【0019】
なお、内容器100aおよび外容器100bの材質は樹脂材料とされ、剥離可能な組み合わせであれば互いに同材質でも構わないし異材質でも構わない。例えば内容器100aおよび外容器100bは、ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、又は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、エチレンビニルアルコール共重合成樹脂等を用い、外容器100bと内容器100aとが剥離可能(相溶性がない)となる組み合わせで形成される。
【0020】
容器本体100は、口部101に、図示しない肩部、胴部および底部が上側から順に連設された有底筒状に形成されている。外容器100bのうち少なくとも胴部に位置する部分は、容器内側に向けて弾性変形可能(スクイズ変形可能)とされている。内容器100aは、外容器100bのスクイズ変形に伴って減容変形する。
外容器100bの底部には、内容器100aとの間に外気を吸入する図示しない吸気スリット部が形成されている。この吸気スリット部は、例えば金型のピンチオフ部により形成されている。
【0021】
口部101は、内容器100aの口部101aと外容器100bの口部102aとが積層された構成とされている。
内容器100aの口部101aの上端部には、径方向の外側に突出する環状の折り返し部が形成され、この折り返し部を利用して外容器100bの口部102aの開口端を上方から塞いでいる。そのため、外容器100bの口部102aは、内容器100aによって閉塞されている。
【0022】
蓋体3は、ヒンジ部5を介してキャップ本体2に連結されており、キャップ本体2に対してヒンジ部5回りに上下に回動することにより注出孔4を開閉する。
本実施形態では、注出キャップ1を上下方向から見た平面視において、キャップ軸O1及びヒンジ部5を通過する仮想線に沿う方向を前後方向L1といい、前後方向L1に沿ってヒンジ部5側を後側、その反対側を前側という。さらに、注出キャップ1を上下方向から見た平面視において、前後方向L1に直交する方向を左右方向L2という。
【0023】
キャップ本体2は、周壁部10及び天壁部11を備えた有頂筒状に形成され、容器本体100の口部101に例えば打栓により外側から嵌合されている。
なお、図示しない回り止め機構により、容器本体100の口部101に対してキャップ本体2を回転不能に装着しても良い。但し、打栓に限定されるものではなく、螺着によってキャップ本体2を容器本体100の口部101に装着しても構わない。
【0024】
キャップ本体2の天壁部11は、容器本体100の口部101の上端開口縁上に配置され、容器本体100の口部101の開口を覆っている。
この天壁部11には、下方に向けて突出し、容器本体100の口部101の内側に嵌合するシール筒12が形成されていると共に、上方に向けて突出する注出筒13が形成されている。
【0025】
注出筒13は、後述する連通筒20内を通じて容器本体100内に連通している。よって、注出筒13の内側が注出孔4として機能する。なお、注出筒13は、キャップ軸O1に対して前側にずれた位置に配置されていると共に、内径が上方に向かうにしたがって漸次拡径するように形成されている。そのため、注出筒13から内容物を注出し易い構成とされている。
なお、本実施形態では、注出キャップ1を上下方向から見た平面視において、注出筒13の軸線O2に直交する方向を径方向といい、注出筒13の軸線O2回りに周回する方向を周方向という。
【0026】
天壁部11には、
図1〜
図3に示すように、下方に向けて突出し、注出孔4と容器本体100内とを連通する連通筒20が形成されている。図示の例では、連通筒20は、上端部が注出筒13に一体に接続されていると共に、その注出筒13との接続部分から下方に向けて延びるように形成されている。これにより連通筒20は、注出筒13を介して天壁部11に一体に形成されている。また、連通筒20は、注出筒13の軸線O2と同軸に配置されている。
【0027】
さらに、連通筒20は、下方に向かうに従って緩やかに縮径した第1テーパ部21と、第1テーパ部21の下端部から下方に向かうに従って急激に縮径した第2テーパ部22と、第2テーパ部22の下端部から下方に向けて突出したストレート部23と、で二段筒状に形成されている。
【0028】
連通筒20内には、上下動自在に配設された弁体24が収容されている。図示の例では、弁体24として球状のボール弁を例に挙げている。
第1テーパ部21の内径は、弁体24の直径よりも拡径しており、ストレート部23の内径は弁体24の直径よりも縮径している。よって、弁体24は第2テーパ部22の内周面の全周に亘って着座している。この弁体24の着座によって、連通筒20内と容器本体100内との連通が遮断されている。
【0029】
なお、第2テーパ部22の内周面は、弁体24が上方に向けて離反自在に着座する弁座部22aとして機能する。また、ストレート部23の内側は注入孔25として機能する。上記弁座部22aは、弁体24が着座したときに、連通筒20内と容器本体100内との連通を遮断する。
【0030】
連通筒20における第1テーパ部21の内周面には、
図1に示すように、弁体24を上下動自在に案内する複数の案内リブ(縦リブ)26が設けられている。これら案内リブ26は、周方向に間隔をあけて配置されており、第1テーパ部21の内周面から径方向内側に向かって突設されると共に上下方向に沿って縦長に形成されている。
図示の例では、案内リブ26は、周方向に間隔をあけて3つ形成されていると共に、第2テーパ部22の内周面における上側部分に達するように下方に向けて延びている。このように、案内リブ26の形成範囲としては、弁体24の着座領域が適切に確保できれば、第2テーパ部22の上方部分を含んでいても構わない。
【0031】
案内リブ26の上端部には、径方向内側に向かって突出し、案内リブ26に対して弁体24が上方に離脱することを規制する規制突起(規制部)26aが形成されている。
複数の案内リブ26が連通筒20内に形成されていることで、弁体24は案内リブ26の内側で安定に支持されながらスムーズに上下動するように案内されると共に、規制突起26aによって上方への抜けが規制されている。規制突起26aは、連通筒20内と注出孔4とを連通させた状態で、弁体24の上昇移動を規制する(
図4参照)。
【0032】
また、周方向に隣り合う案内リブ26間の隙間は、容器本体100内から注入孔25を通じて連通筒20内に流入した内容物が流通する流通路27として機能する。これにより、内容物は、弁体24によって流れが阻害されることなく、注出孔4に達する。
【0033】
さらに、連通筒20における第1テーパ部21の内周面には、該第1テーパ部21の内周面の全周に亘って延びた整流リング(環状部材)28が一体的に形成されている。この整流リング28は、案内リブ26と注出孔4との間に配置されている。
図示の例では、整流リング28は、第1テーパ部21の内周面のうち案内リブ26の上方に位置する部分から径方向内側に向かうに従って上方に延びるように形成されている。
これにより、整流リング28は、流通路27を上方から覆うように該流通路27の上方に位置している。そのため、流通路27内を流通した内容物は、流通路27を抜けた後に整流リング28にあたるように構成されている。
【0034】
なお、図示の例では、整流リング28の径方向内端部が、案内リブ26の規制突起26aよりも径方向外側に位置しているが、径方向内端部が案内リブ26の規制突起26aと同じ又は規制突起26aよりも径方向内側に位置するように整流リング28の突出量を調整しても構わない。
【0035】
図1及び
図3に示すように、蓋体3は周壁部30及び頂壁部31を備えた有頂筒状に形成され、キャップ本体2の天壁部11の全体を上側から覆っていて注出孔4を開閉する。
周壁部30の下端部は、キャップ本体2の周壁部10の上端部に形成された段差部10aを利用して、キャップ本体2の天壁部11に外側から着脱可能に嵌合されている。蓋体3における周壁部30の下端部とキャップ本体2における周壁部10の上端部とが、ヒンジ部5を介して一体に連結されている。
【0036】
蓋体3の周壁部30のうち、キャップ軸O1を挟んでヒンジ部5とは反対側に位置する部分には、径方向外側に向けて突出した操作片32が形成されている。この操作片32を利用することで、ヒンジ部5回りに蓋体3を容易に回動させ易くなる。
【0037】
蓋体3における頂壁部31には、下方に向けて突出し、注出筒13の内側又は連通筒20の内側に着脱自在に嵌合する閉塞筒33が連通筒20の軸線O2と同軸に形成されている。図示の例では、閉塞筒33は、注出筒13と連通筒20との接続部分(連通筒20の上端部)から連通筒20の内側に入り込むように、連通筒20の内側に嵌合している。このように、閉塞筒33が連通筒20の内側に嵌合することで、注出孔4は開閉可能にシールされる。なお、閉塞筒33が連通筒20の内側に嵌合した際、閉塞筒33の下端部は整流リング28の上方に位置し、整流リング28に干渉することがない。
【0038】
さらに、閉塞筒33の内側には、
図1〜
図3に示すように、蓋体3の頂壁部31から下方に向けて突出し、連通筒20内に差し込まれて弁体24に当接する板状の突起片(係合突起)40が形成されている。
突起片40は、閉塞筒33の内側に収まる基端片41と、閉塞筒33よりも下方に突出する突出片42と、を備えている。
【0039】
基端片41は、上端部が頂壁部31に一体に接続されると共に、前後方向L1の両端部が閉塞筒33の内周面に、該閉塞筒33の上下方向の全長に亘って一体に接続され、閉塞筒33の内部を左右方向L2に区画するように(仕切るように)形成されている。
突出片42は、左右方向L2から見た側面視で直角三角形状に形成されている。具体的には、突出片42は、基端片41の下端部のうち前側(操作片32側)に位置する部分から軸線O2に沿って下方に真っ直ぐ延びた第1辺部42aと、基端片41の下端部のうち後側(ヒンジ部5側)から、前側に向けて斜め下方に延びた第2辺部42bと、を有する直角三角形状に形成されている。第1辺部42aと第2辺部42bとが交差する部分が先鋭化した先端部42cとされている。
【0040】
そして、突起片40のうち主に先端部42cが弁体24に当接しており、弁体24の一部(下側で且つ前側に位置する部分)を弁座部22aから離間させた状態に維持している。
具体的には、突起片40は、
図4に示すように蓋体3の閉動作に伴って連通筒20内に差し込まれ、弁体24に対して上方から摺接し、さらなる蓋体3の閉動作に伴って下方に差し込まれることで、
図2に示すように、弁体24の前方側を僅かに持ち上げて弁体24を弁座部22a上で摺動(片側、すなわち後方側へ移動)させる。これにより、弁体24は上述のように、その一部が弁座部22aから離間した状態となり、突起片40によってその状態が維持されるように押さえ付けられる。
【0041】
なお、突起片40は、蓋体3の閉動作によって連通筒20内に差し込まれる際、周方向に隣り合う案内リブ26間の隙間である流通路27を利用して差し込まれる。これにより、突起片40は、案内リブ26に影響されることなく弁体24に対して当接する。
【0042】
(注出キャップの作用)
次に、上記のように構成された注出キャップ1を利用して、内容物を注出する場合の作用について説明する。
内容物を注出する際、例えば
図5に示すように、容器本体100の口部101が下向きとなるように、容器本体100を傾けるとともに容器本体100をスクイズ変形する等して、弁体24を、その自重や容器本体100内(内容器100a内)の圧力を利用して弁座部22aから離間させる。
【0043】
これにより、容器本体100内が連通筒20内を通じて注出孔4内に連通するので、容器本体100内に収容されている内容物を、注入孔25及び連通筒20内を通じて注出孔4から注出することができる。このとき内容物は、周方向に隣り合う案内リブ26間の隙間である流通路27を通じて注出孔4に達するので、弁体24によって流れが阻害されることなく内容物を注出孔4から確実に注出することができる。
【0044】
しかも本実施形態では、内容物は容器本体100内から周方向に隣り合う案内リブ26間の流通路27を通過した後、
図5に示す矢印のように、整流リング28を乗り越えながら注出孔4に達するので、内容物は整流リング28によって流れの向きが変化しながら、注出孔4に達する。従って、内容物は、周方向に隣り合う案内リブ26間の流通路27を通過した後、整流リング28にあたることで流れの向きが例えば整流リング28に沿う周方向に変わって互いに合流し合い、その後にまとまった状態(整流状態)となりながら整流リング28を乗り越えて注出孔4から注出される。
【0045】
そのため、例えば内容物を勢いよく注出した場合や、粘度の低い内容物を注出した場合であっても、内容物をまとまりなく分散した状態で注出するのではなく、まとまった線状に注出することができるので、内容物を周囲に飛散させずに注出することができる。
なお、弁座部22aから離間した弁体24は、案内リブ26の規制突起26aに接するので、これ以上の移動が規制され、連通筒20内から抜け落ちることがない。
【0046】
その後、例えば口部101が上方を向くように容器本体100を正立姿勢に戻すとともにスクイズ変形を解除し、弁体24を自重や、容器本体100の復元変形に伴う容器本体100内の減圧等を利用して、弁座部22a上に再び着座させる。
これにより、
図4に示すように、容器本体100内と連通筒20内との連通を遮断できるので、内容物の注出を停止することができる。また、弁体24が弁座部22a上に着座することで、注出直後における容器本体100内への連通筒20を通じた空気侵入を防止することができる。
【0047】
なお、弁体24が弁座部22a上に着座する際、弁体24の移動に伴うサックバック効果により、注出孔4付近の内容物を引き込むことが可能となり、注出孔4からの液だれを効果的に抑えることができる。
このように、弁体24による連通、遮断の切り換えを適切に行いながら、内容物を確実に注出することができる。
【0048】
なお、上述したようにスクイズ変形を解除すると、外容器100bは復元変形しようとする。このとき、弁体24が弁座部22aに着座して内容器100aが密封されていると、外容器100bと内容器100aとの間に負圧が発生する。このとき、外容器100bの底部に形成された吸気スリット部を通して外気が外容器100bと内容器100aとの間に吸入される。このように、外容器100bと内容器100aとの間に外気が吸入されることにより、内容器100aの減容形状が保持される。
【0049】
そして、内容物の注出後、蓋体3を閉めると、
図4に示すように、それに伴って突起片40が流通路27を利用して連通筒20内に差し込まれ、突起片40の先端部42cが弁座部22a上に着座している弁体24に上方から摺接しはじめる。この状態から、さらなる蓋体3の閉動作に伴って突起片40が下方に移動することで、
図2に示すように、先端部42cが弁体24の前方側に僅かに持ち上げるように弁体24を弁座部22a上で摺動(片側、すなわち後方側へ移動)させる。これにより、弁体24は一部が弁座部22aから離間した状態となると共に、突起片40によって押さえつけられてその状態が維持される。
【0050】
従って、蓋体3が閉まった際、弁体24と弁座部22aとが連通筒20の周方向の全周にわたって接触することを防止することができる。そのため、仮に、弁体24と弁座部22aとの接触部分で内容物が固化したとしても、固化した内容物に起因する弁体24と弁座部22aとの間の固着範囲を小さくすることができ、弁体24と弁座部22aとが互いに密着することを抑えることができる。従って、次回注出時に、弁体24を弁座部22aから離反させ易くすることができる。
【0051】
よって、本発明に係る注出キャップ1によれば、内容物の種類に関係なく、常に安定した内容物の注出を行うことができ、注出性能が安定した信頼性の高いキャップとすることができる。
また、蓋体3を閉めた際、弁体24の一部が弁座部22aから離間することで隙間S(
図2参照)が形成されるので、例えば蓋体3の内側の圧力を、その隙間Sを通じて容器本体100内側に逃がし易い。そのため、蓋体3の内側に圧力が高まることで、蓋体3が閉まり切らないといった装着不足(嵌合不足)を回避し易い。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る注出キャップの第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
【0053】
図6及び
図7に示すように、本実施形態の注出キャップ50は、弁体51が円柱状に形成された弁本体部52と、弁本体部52から上方に向けて延びる上突起部(突起部)53と、弁本体部52から下方に向けて延びる下突起部54と、を備えている。なお、弁体51は軸線O2と同軸上に配置されている。
【0054】
弁本体部52は、ストレート部23の内径よりも拡径し、且つ第1テーパ部21よりも縮径するように形成されている。なお弁本体部52の外周面と案内リブ26との間には、若干の隙間があいており(
図7参照)、軸線O2に対して弁本体部52が僅かに傾斜することが可能とされている(
図6参照)。
【0055】
なお、弁本体部52と上突起部53とを接続する部分は、上方に向かうにしたがって漸次縮径する上肩部55とされている。また、弁本体部52と下突起部54とを接続する部分は、下方に向かうにしたがって漸次縮径する下肩部56とされている。そして、この下肩部56の外周面が弁座部22aに着座する着座面56aとされている。
【0056】
上突起部53は、弁本体部52よりも縮径しており、案内リブ26の規制突起26aよりも上方に突出するように形成されている。そして、規制突起26aよりも上方に突出した上突起部53の上端部は、丸みを帯びた半球状に形成されている。
【0057】
下突起部54は、弁本体部52よりも縮径しており、ストレート部23よりも下方に突出するように形成されている。なお、下突起部54の外径は、ストレート部23の内径よりも縮径している。また、下突起部54の長さは、上突起部53の長さと同等とされている。従って、弁体51の全体の重心は、ほぼ弁本体部52の重心に位置している。また、ストレート部23よりも下方に突出した下突起部54の下端部は、丸みを帯びた半球状に形成されている。
【0058】
さらに、本実施形態の突起部(係合突起)60は、閉塞筒33の内側において、頂壁部31から下方に向けて突出するように形成されている。この際、突起部60は、軸線O2と同軸に形成されている。
突起部60は、閉塞筒33よりも下方に突出しており、その下端部には後方側に面を向けた傾斜面61が形成されている。そして、この傾斜面61が弁体51における上突起部53の上端部に当接することで、弁体51の全体を後方側に傾斜させて、着座面56aのうち前側に位置する一部分を弁座部22aから離間させている。
【0059】
このように構成された注出キャップ50の場合には、内容物の注出時に第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
なお、内容物の注出時、弁本体部52は上肩部55が規制突起26aにあたることで連通筒20からの抜けが規制される。このとき、下突起部54はストレート部23から上方に抜けることがない。従って、内容物の注出後、引っ掛かりなく弁体51を連通筒20内で下降させることができ、下肩部56の着座面56aを弁座部22aに速やかに着座させて、連通筒20内と容器本体100内との連通を遮断することができる。
【0060】
そして、内容物の注出後に蓋体3を閉めることで、突起部60を連通筒20内に差し込んで、突起部60の傾斜面61を利用して上突起部53を後方側に移動させることができる。これにより、弁体51の全体を後方側に傾斜させることができ、着座面56aのうち前側に位置する一部分を弁座部22aから離間させて、隙間Sを形成することができる。
【0061】
以上のことにより、本実施形態の場合であっても、蓋体3が閉まった際、弁体51と弁座部22aとが連通筒20の周方向の全周にわたって接触することを防止することができ、内容物が固化したとしても、弁体51と弁座部22aとが互いに密着することを抑えることができる。その結果、次回注出時に、弁体51を弁座部22aから離反させ易くすることができる。
特に、弁体51が上突起部53を有しているので、突起部60を連通筒20内に深く差し込む必要がない。従って、例えば突起部60の引っ掛かり等を抑制することができ、蓋体3を閉め易くなる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0063】
例えば、第1実施形態では、弁体として球状のボール弁を採用し、係合突起として軸線O2に対して傾斜した第2辺部42bを有する側面視三角形状の突出片42を備えた突起片40を採用した例を説明した。さらに、第2実施形態では、弁体として弁本体部52から上下に向けて上突起部53及び下突起部54がそれぞれ突設された弁体51を採用し、係合突起として軸線O2に対して傾斜した傾斜面61を有する突起部60を採用した例を説明した。
但し、弁体及び係合突起の形状は、これらの場合に限定されるものではなく、自由に設定して構わない。具体的には、蓋体3が開いたときに、弁座部22aの全周に亘って着座して、連通筒20内と容器本体100内との連通を遮断できれば、弁体をどのような形状にしても良い。また、蓋体3の閉操作に伴って弁体を弁座部22a上で摺動させ、蓋体3を閉めたときに、弁体の一部を弁座部22aから離間させた状態で弁体に当接して、弁体を押さえ付けることができれば、係合突起をどのような形状にしても良い。
【0064】
なお、好ましくは、係合突起のうち弁体に当接する部分(先端)に傾斜部を設け、この傾斜部を利用して弁体を径方向の一方向にスムーズに移動させて、弁体の一部を弁座部22aから離間させ易くすることが良い。
この際、傾斜部としては、平板状の斜面や、弁体の外周面に沿った形状(例えば、弁体がボール弁の場合には湾曲面)等にすることが可能である。
【0065】
また、整流リング28のサイズや形状は上記実施形態に限定されるものではなく、連通筒20の内径や、案内リブ26及び流通路27の数や、内容物の種類等に応じて適宜設計変更して構わない。いずれにしても、整流リング28は、環状に形成されて各流通路27の上方に位置し、各流通路27を流通してきた内容物の流れの向きを変えることでまとまった1つの流れにすることができれば良い。
よって、整流リング28の位置は、連通筒20における第1テーパ部21の内周面に限定されるものではなく、例えば注出筒13の内周面に形成されていても構わない。
【0066】
また、整流リング28と連通筒20とを一体に形成した場合を例に挙げて説明したが、整流リング28を連通筒20とは別体に形成し、連通筒20の内周面に整流リング28を後から嵌合させて、組み合わせても構わない。
この場合には、整流リング28を気にすることなくキャップ本体2を形成できるので、連通筒20の内径等を自由に設計し易く、設計の自由度を向上することができる。また、連通筒20内に弁体24、51を収容した後に、整流リング28を連通筒20内に組み込むことができるので、組み立て易く製造効率を向上させ易い。
さらに整流リング28がなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、連通筒20がキャップ本体2と一体に形成されているが、連通筒20をキャップ本体2と別体に形成することも可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、外容器100bの底部に吸気スリット部を形成したが、内容器100aと外容器100bとの間に外気を吸入する構造として、他の構造を採用することが可能である。例えば、外容器100bの口部101bに、内容器100aとの間に外気を吸入する吸気孔を設け、注出キャップ1、50に、吸気孔に連通可能な外気導入孔、および外気導入孔を開閉自在に閉塞する外気導入弁を設けることも可能である。さらに例えば、外容器100bの胴部に、内容器100aとの間に外気を吸入する外気導入孔、および外気導入孔を開閉自在に閉塞する外気導入弁を設けることも可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、キャップ本体2の天壁部11に注出筒13を形成したが、注出筒13を形成せずに、注出孔4だけを形成しても構わない。
【0070】
さらに、上記実施形態では、ヒンジ部5を介して蓋体3をキャップ本体2に連結する構成としてが、ヒンジ部5は必須な構成ではない。但し、キャップ本体2にヒンジ部5を介して蓋体3を連結した場合には、蓋体3を例えばワンタッチで開閉できるので使い易いうえ、蓋体3の紛失を防止することができるので好ましい。
【0071】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。