(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するためではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。本発明を説明するにあたり、関連の公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明にしうると判断した場合には、その詳細な説明を省略する。
【0018】
本出願で使用している用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定するためのものではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なっていない限り、複数の表現を含む。
【0019】
図1は本発明に係るセンサ装置の構成図である。
【0020】
本発明に係るセンサ装置は、測定電圧発生部10と、S/H部20と、パルス発生部30と、分周部40と、カウンター部50と、を含む。
【0021】
測定電圧発生部10は、外部環境に応じて異なる電圧値を出力する。
【0022】
S/H部20は、測定電圧発生部の出力電圧値をサンプリングし、保持する役割をする。
【0023】
パルス発生部30は、S/H部20の出力電圧値に比例する周期のパルスを発生させる。
【0024】
分周部40は、パルス発生部30の出力を分周する役割をする。
【0025】
カウンター部50は、分周部40の出力パルスの長さをクロック単位で測定する。
【0026】
この際、分周部40の分周比を増加させるほど分解能が向上する。
【0027】
測定電圧発生部10は、様々な形態に具現されることができる。従来のセンサにおいて多く用いられる方式は、外部環境(温度、湿度など)に応じて抵抗が変化する素子やキャパシタンスが変化する素子を利用するものである。抵抗が変化する素子に所定の電流を流すと、外部環境に応じて電圧が変化する。外部環境に応じてキャパシタンスが変化する素子に所定の電流を流すと、外部環境に応じて電圧の増加速度が変化する。外部環境に応じてキャパシタンスが変化する素子に所定の電圧を加えると、外部環境に応じて電流の量が変化し、抵抗を介してこの電流を流すと、抵抗にかかる電圧の大きさが変化する。
【0028】
外部環境に応じて出力電圧が変化するようにする技術は、従来、公知となっており、詳細な説明は省略する。
【0029】
外部環境に応じて出力電圧を変化するように、素子の出力は非常に弱いことが一般的であるため、増幅器を使用してもよい。増幅器は、設計上の必要に応じて様々な種類の増幅器(例えば、電圧‐電圧増幅器、電流‐電圧増幅器、電圧‐電流増幅器など)から選択して使用することができる。当該増幅器は、外部環境による信号が小さいために使用するものであって、増幅器を使用しなくても相当大きい値を有する場合には増幅器を必要としない。
【0030】
また、測定電圧発生部10は、フィルター回路をさらに含んでもよく、外部環境による信号にノイズがない場合にはフィルター回路を必要としない。
【0031】
従来のセンサにおいて測定電圧発生部10は、外部環境(温度、湿度など)に応じて抵抗が変化する素子やキャパシタンスが変化する素子を利用することが一般的であるが、そのような素子を利用することなく、外部環境の測定電圧値を発生させることもできる。例えば、心電図を測定する場合、心電図電圧が得られる点に電極さえ連結すれば測定電圧発生部10として動作することができる。このような場合、その信号が非常に小さいことがあるため、増幅器を含むことが好ましい。
【0033】
S/H部20は、入力電圧をサンプリングし、保持するサンプルアンドホールド(Sample & Hold)回路である。
【0034】
S/H部20のスイッチSW
SHが閉じたときにはキャパシタンスC
SHの電圧が入力電圧Vinと一致するが、S/H部20のスイッチSW
SHが開くと、キャパシタンスC
SHの電圧は、スイッチSW
SHが開く瞬間の値に保持される。
【0035】
このときの出力電圧は、周辺環境を測定した電圧値であるため、測定電圧(sensing voltage)という意味でその名称をVsenとすることができる。
【0036】
測定電圧発生部10の出力にはノイズがある可能性があるため、フィルター回路を設けることが好ましい。
【0037】
測定電圧発生部10とS/H部20との間にノイズを除去するフィルター回路を設けてもよく、S/H部20とパルス発生部30との間にノイズを除去するフィルター回路を設けてもよい。
【0038】
本発明のセンサ装置において、S/H部20の入力電圧が所定時間以上変化しない場合、S/H部20を除去してもよい。
【0039】
図3はパルス発生部の実施例の構成図である。
【0040】
図3のパルス発生部は、キャパシタC
S1と、電流源I
S1と、スイッチSW
1と、比較器comp1と、NANDゲート(NAND gate)と、を含む。
【0041】
比較器(comparator)comp1は、OPアンプに具現することができる。
【0042】
キャパシタC
S1の一端は接地されており、他端は電流源I
S1に連結されている。スイッチSW
1は、キャパシタC
S1に並列に連結されている。比較器comp1の+入力はVsen(S/H部の出力電圧)に連結され、比較器comp1の−入力はキャパシタC
S1と電流源I
S1の連結点に連結される。
【0043】
比較器comp1の出力とStart信号がNANDゲート(NAND gate)の入力となり、NANDゲートの出力がhigh状態になるときにスイッチSW
1が閉じる。
【0044】
Start値がlow状態のときにはNANDゲートの出力値がhigh状態となりスイッチSW
1が閉じるため、
図3のパルス発生部は作動しない。
【0045】
Start値がhigh状態に変化すると、NANDゲートの出力値がlow状態となりスイッチSW
1が開く。
【0046】
スイッチSW
1が開いている状態では、電流源I
S1によりキャパシタC
S1に蓄電される電荷量が増加し、キャパシタC
S1に蓄電される電荷量が増加するにつれてキャパシタC
S1の電圧V
C1が増加する。
【0047】
V
C1が増加してVsenより大きくなると、比較器comp1の出力電圧V
P1はhigh状態からlow状態に反転する。
【0048】
V
P1はhigh状態がlow状態になると、NANDゲート(NAND gate)の出力値がhigh状態となりスイッチSW
1が閉じる。スイッチSW
1が閉じると、キャパシタC
S1の電圧V
C1はまた0となり、V
P1はlow状態からhigh状態に反転する。
【0049】
V
P1はhigh状態になると、NANDゲート(NAND gate)の出力値がlow状態となりスイッチSW
1が開く。
【0050】
すなわち、V
P1はlow状態とhigh状態を繰り返すことになるが、パルスの幅と周期はVsenの大きさに比例する。
【0051】
図3におけるNANDゲートをANDゲート(AND gate)に変更し、ANDゲート出力値がhigh状態のときにスイッチSW
1が開くように構成しても同様に動作する。
【0052】
NANDゲートの出力にはバッファーをさらに設けて、所定以上の遅延時間を有するようにすることが好ましい。
【0053】
図3では、比較器の+入力にVsen値が入力されるが、比較器の−入力にVsen値が入力されるように回路を変形してもよい。
【0054】
この際、V
C1の値はランプ(ramp)状に増加するため、
図3の回路(比較器を含む回路)は、電流モードランプ積分器(Current mode ramp integrator)と言える。
【0055】
V
P1のパルス幅がVsenの大きさに比例するため、パルスの幅を測定すると、Vsenの大きさを知ることができる。
【0056】
万が一、パルスの幅がいくつのクロック周期と一致するかを判断する方法によりVsenの大きさを判断するとしたときに、Vsenの分解能を高めるためには、クロック周期に比べてパルスの幅が非常に大きいことが好ましい。
【0057】
しかし、クロック周期を減少させること、すなわちクロック周波数を増加させることには限界がある。クロック周波数を過剰に高めると、電力消費が増加し、誤動作の恐れが増加する問題点があるためである。
【0058】
また、V
P1のパルス幅を増加させるためには、キャパシタC
S1のキャパシタンスを増加させるか、電流源I
S1の電流値を減少させなければならないが、キャパシタンスを増加させるためにはキャパシタC
S1の大きさが増加して装置の小型化を図ることができず、電流源I
S1の電流値を減少させるとノイズに弱くなる問題がある。
【0059】
このような問題を解決するために、本発明では、パルス発生部30の出力を分周部40に通過させてパルスの幅を増加させる。
【0060】
図4は分周部の実施例の構成図である。
【0061】
分周部40(divider)は、様々な方式で具現されることができ、
図4の分周部では、多数個のDフリップフロップが直列に連結されており、それぞれのDフリップフロップは、出力Qbが入力Dに連結されており、入力CKの状態が2回変化する間に出力Qの状態が1回変化する。
【0062】
図4のDフリップフロップが直列にn個が連結されていると、入力の状態変化回数を2
n倍だけ小さくなるように変更することから、2
n分周部(divider)と称することができる。
【0063】
本発明の分周部40(divider)は、入力の状態変化回数を所定の割合で減少させる回路であり、
図4の形態以外にも設計上の必要に応じて様々な形態に変更されることができる。
【0064】
図4の分周部40は、2倍ずつ分周する回路を複数個直列に連結しているが、2倍ではなく整数倍(例えば、3倍や10倍など)に分周することも理論上可能である。しかし、2倍ずつ分周する場合、回路が単純で最も効率的であるため、
図4のように2倍ずつ分周する回路を複数個直列に連結することが好ましい。
【0065】
図5は
図3と
図4の回路における電圧グラフである。
【0066】
すなわち、
図3の回路と
図4の回路を連結したときに回路の様々な点の電圧値を比較したグラフである。
【0067】
T
P1は、V
P1がhigh状態である間の時間であり、T
SWは、V
P1がlow状態である間の時間である。
【0068】
Start値がhigh状態に変化すると、V
P1はT
P1のパルス幅とT
P1+T
SWの周期をもって規則的に変化する。
【0069】
V
P1はV
ref値になるまで増加するが、
図3においてV
ref値はVsen値と一致する。
【0070】
一般的に
図4のDフリップフロップを通過する度にパルス幅と周期が2倍ずつ増加するため、V
P1がDフリップフロップを1個通過した後の値は、それぞれ、V
P2、V
P4、…、V
P1024のように称することができる。
【0071】
V
P1024のパルス幅512(T
P1+T
SW)は、パルス幅が広くて分解能が高く、Vsen値に比例して増加する値であるため、V
P1024のパルス幅がいくつのクロックに該当するかを判断すると、Vsen値が高い分解能に測定されることができる。
【0072】
カウンター部50は、分周部40の出力パルスの幅がいくつのクロックに該当するかを判断する回路であり、様々な方法で具現されることができる。
【0073】
最も簡単な具現方法は、カウンティング回路(クロック入力が入力される度にNビットの出力値が1ずつ増加する回路)で分周部40の出力値をカウンティング回路のイネーブル入力として受け入れる方法である。このように回路を具現すると、分周部40の出力値がhigh状態のときにのみカウンティング回路が動作することから、分周部40の出力値のパルス幅がいくつのクロックに該当するかを測定することができる。このような方法を適用すると、測定しようとするパルスがhigh状態に変化するときにカウンティング回路の値を0に初期化する過程が必要である。
【0074】
カウンター部50の具体的な回路は、設計上の必要に応じて多様に変更されることができる。
【0075】
また、
図3と
図4に図示された実施例は、不要な時間要素(スイッチング時間、クロック遅延時間)を計算し、分周部のパルス幅からその不要な時間要素を除去する形態に変更されて実施されることができる。
【0076】
図6は
図3と
図4の変形実施例である。すなわち、
図3の回路、
図4の回路、カウンター部50が連結された回路を変形した例である。
【0077】
図7は
図6の回路における電圧グラフである。
【0078】
図6の回路の利点は、出力電圧V
P#OUTからT
SWが除去された512T
P1のパルス幅を有することである。すなわち、最終パルス幅に含まれた不要な時間要素(スイッチング時間、クロック遅延時間)を除去する回路を挿入して、パルス発生部30で発生したパルスの幅を整数倍だけ正確に増幅して正確度を向上させることができる。
【0079】
したがって、
図6の回路は、分周部40の出力パルスから「パルス発生部30の出力のパルス幅以外の成分」を除去する回路をさらに含むものと言える。この際、
図6の回路のパルス発生部30は、S/H部20の出力電圧値に比例するパルス幅を有するパルスを周期的に発生させなければならない。
【0080】
カウンター部50でクロック単位で測定されたデジタル値は、メモリ素子(例えば、レジスター)に格納される。
【0081】
本発明のセンサ装置は、分解能を高める利点があるが、測定時間が増加する欠点がある。結果、時間の変化に伴う電圧の変化を正確に表現することができない欠点がある。
【0082】
図8は測定電圧発生部の出力電圧の例である。
【0083】
測定電圧発生部10の出力電圧Vinは時間の変化に伴い変化する。時間の変化に伴う電圧の変化を正確に測定するためには、短い時間の間隔で電圧を測定することが好ましいが、一つの時刻(例えば、t=t1)での電圧の測定が完了する前には、他の時刻(t=t2)での電圧の測定を開始できないという問題点がある。
【0084】
万が一、サンプリングした電圧値を並列に処理すると、このような問題点を解決することができる。
【0086】
図9の回路では、S/H部20、パルス発生部30、分周部40、カウンター部50がn個ずつ設けられていることから、1個ずつある場合よりn倍緻密な時間の間隔で電圧を測定することができる。したがって、時間の変化に伴う電圧の変化を正確に表現することができる。
【0087】
換言すれば、本発明のセンサ装置では、2個以上のS/H部20と、パルス発生部30と、分周部40と、カウンター部50と、を含み、測定電圧発生部10は、2個以上のS/H部20に連結され、それぞれのS/H部20の出力電圧は、互いに異なるパルス発生部30、分周部40、カウンター部50に連結され、電圧測定の並列処理を可能にすることができる。
【0088】
本発明に係るセンシング方法は、測定電圧発生部10、S/H部20と、パルス発生部30と、分周部40と、カウンター部50と、を含むセンサ装置を利用するセンシング方法であって、以下の段階を含む。
【0089】
第1段階:外部環境に応じて測定電圧発生部10が異なる電圧値を出力する段階
【0090】
第2段階:S/H部20が、測定電圧発生部10の出力電圧の特定の瞬間の電圧値を格納した後、出力する段階
【0091】
第3段階:パルス発生部30が、入力された電圧値に比例する周期のパルスを発生させる段階
【0092】
第4段階:分周部40が、パルス発生部30の出力を分周する段階
【0093】
第5段階:カウンター部50が、分周部40の出力パルスの長さをクロック単位で測定する段階
【0094】
本発明のセンシング方法において、S/H部20の入力電圧が所定の時間以上の間に変化しない場合、第2段階を除去してもよい。
【0095】
前記第5段階においてクロック単位で測定された値はデジタル値であって、メモリ素子(例えば、レジスター)に格納されなければならないことから、本発明に係るセンシング方法は、以下の第6段階をさらに含んでもよい。
【0096】
第6段階:レジスターがクロック単位で測定された値を格納する段階