特許第6393676号(P6393676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393676
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】無線通信装置および信号測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20180910BHJP
   G01R 29/08 20060101ALI20180910BHJP
   H04B 17/30 20150101ALN20180910BHJP
【FI】
   H04B7/0413
   G01R29/08 B
   !H04B17/30
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-246648(P2015-246648)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-112542(P2017-112542A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2017年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】森 浩樹
【審査官】 太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−053616(JP,A)
【文献】 特開2002−353878(JP,A)
【文献】 特開2010−010880(JP,A)
【文献】 特開2014−003723(JP,A)
【文献】 特開2001−333003(JP,A)
【文献】 特開2000−209145(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0160949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02−7/12
H04J 99/00
G01R 29/08
H04B 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナで受信された信号のそれぞれを時間幅と帯域幅とによって規定される複数のエレメントに分け、前記エレメントごと、または複数の前記エレメントをグループ化したグループごとに、信号強度を測定する測定部と、
前記信号強度を前記複数のアンテナ間で比較することにより、前記エレメントまたは前記グループごとに、前記複数のアンテナのうちの1つを選択するアンテナ選択部と、
前記エレメントまたは前記グループの前記選択したアンテナの分布を解析することにより、前記信号の信号源の同一性を判断する解析処理部と
を備えた無線通信装置。
【請求項2】
前記解析処理部は、前記エレメントまたは前記グループの前記信号強度の分布をさらに解析することにより、前記信号の信号源の同一性を判断する
請求項1に無線通信装置。
【請求項3】
前記解析処理部は、前記時間幅をもつ第1の時間における前記エレメントまたは前記グループの前記選択されたアンテナの分布と、前記時間幅をもつ第2の時間帯における前記エレメントまたは前記グループごとの前記選択されたアンテナの分布とを比較することにより、前記第1の時間帯と前記第2の時間帯との間で前記信号の信号源の同一性を判断する
請求項1または2に無線通信装置。
【請求項4】
前記解析処理部は、前記第1の時間帯と前記第2の時間帯とで、互いに対応する前記エレメントまたは前記グループの前記選択されたアンテナを比較し、前記選択されたアンテナが一致しないエレメント数またはグループ数に応じて、前記信号の信号源の同一性を判断する
請求項3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記解析処理部は、前記一致しない前記エレメント数または前記グループ数が閾値以上の場合に、前記信号源の同一性がないと判断する
請求項4に記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の時間帯および前記第2の時間帯における前記信号の帯域幅、中心周波数および受信電力の少なくとも1つを検出して、互いに比較することにより、前記信号の信号源の同一性を判断する
請求項3ないし5のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記解析処理部は、前記信号源が同一性の判断として、前記信号源の個数が増えたか、前記信号源の個数が減少したか、前記信号源が別の信号源に変化したか、前記信号源が同一であるかを検出する
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記解析処理部は、前記信号の信号源は同一であるが、前記信号の伝搬環境が変化したかを検出する
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記測定部は、前記信号を周波数領域に変換した周波数領域信号に基づき前記信号強度を測定する
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の無線通信装置。
【請求項10】
前記周波数領域信号は複数の周波数成分を含み、
前記複数のエレメントはそれぞれ、前記複数の周波数成分のうちの異なる1つに対応し、
前記測定部は、前記エレメントの信号強度として、前記周波数成分の信号強度を測定する
請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記測定部は、前記グループの信号強度として、前記グループに含まれるエレメントの信号強度の合計値、平均値、中央値、または最大値を測定する
請求項9に記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記複数のアンテナをさらに備える、
請求項1〜11記載の無線通信装置。
【請求項13】
複数のアンテナで受信された信号のそれぞれを時間幅と帯域幅とによって規定される複数のエレメントに分け、前記エレメントごと、または複数の前記エレメントをグループ化したグループごとに、信号強度を測定し、
前記信号強度を前記複数のアンテナ間で比較することにより、前記エレメントまたは前記グループごとに、前記複数のアンテナのうちの1つを選択し、
前記エレメントまたは前記グループの前記選択したアンテナの分布を解析することにより、前記信号の信号源の同一性を判断する
信号検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線通信装置および信号測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
広帯域のセンシングを行う場合、センシング可能な帯域幅は、ADCの帯域幅やアナログあるいはディジタルフィルタの帯域幅に制限されるため、時分割でスキャンする必要がある。この場合、時間に応じて周波数の電力値を表したマップ(スペクトログラム)から信号の分布の全体把握は困難であった。例えば、ある帯域幅である信号の受信中に干渉信号が受信(別の信号源からの信号が追加的に受信)され、受信中に干渉信号がなくなった場合を考える。このとき、受信信号の途中で干渉信号が受信されたことを把握するとともに、受信信号のどこで干渉信号が受信され、どこで干渉信号がなくなったかを把握したいことがある。しかしながら、上記のように広帯域のセンシングを時分割に行って、全体の信号分布を高精度に把握することは、困難であり、また処理負荷が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6850735号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、受信信号の信号源の同一性を簡単に判断可能な無線通信装置および信号測定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に係る無線通信装置は、複数のアンテナで受信された信号のそれぞれを時間幅と帯域幅とによって規定される複数のエレメントに分け、前記エレメントごと、または複数の前記エレメントをグループ化したグループごとに、信号強度を測定する測定部と、前記信号強度を前記複数のアンテナ間で比較することにより、前記エレメントまたは前記グループごとに、前記複数のアンテナのうちの1つを選択するアンテナ選択部と、前記エレメントまたは前記グループの前記選択したアンテナの分布を解析することにより、前記信号の信号源の同一性を判断する解析処理部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係る無線通信装置を示すブロック図。
図2】フーリエ変換の説明図。
図3】横軸に時間インデクス、縦軸に周波数インデクスをとったマトリクスを示す図。
図4】アンテナごとに、各エレメントの信号強度を表したマップを示す図。
図5】各エレメントに対して選択されたアンテナの識別子と、信号強度とをプロットした選択アンテナマップおよび信号強度マップを示す図。
図6】選択アンテナマップおよび信号強度マップの他の例を示す図。
図7】信号の受信状態の遷移を示す図。
図8】選択アンテナマップおよび信号強度マップのさらに他の例を示す図。
図9】選択アンテナマップおよび信号強度マップのさらに他の例を示す図。
図10】複数のエレメントをグループ化したグループごとに信号強度を測定する例を示す図。
図11】本発明の実施形態に係る信号計測方法のフローチャートを示す図。
図12】本発明の実施形態に係る無線端末の斜視図。
図13】本発明の実施形態に係る無線通信装置を搭載したメモリーカードを示す図。
図14】本発明の実施形態に係る無線通信装置を含む無線受信装置の他の例を示すブロック図。
図15】本発明の実施形態の効果を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信装置を示すブロック図である。図1の無線通信装置(または無線受信装置)は、複数のアンテナ1と、無線通信装置101と、無線通信回路201とを備えている。無線通信装置101は、複数のアナログ処理部2と、複数のAD変換器3と、複数の周波数領域信号生成部4と、複数の測定部5と、アンテナ選択部6と、解析処理部8とを備える。本無線通信装置およびその通信相手となる別の無線通信装置は、一例として屋内等の静的な環境で用いられる場合を想定するが、そのような環境に必ずしも限定されるものではない。
【0009】
アナログ処理部2、AD変換器3、周波数領域信号生成部4、測定部5、アンテナ選択部6、解析処理部8の機能は、一例として、1つの集積回路、または複数の集積回路で実現される。複数の集積回路で実現される場合、アナログ処理部2の集積回路と、残りの構成要素4〜8の集積回路とで実現してもよいし、これ以外の形態で実現してもよい。またこれらの要素2〜8と、後述する無線通信回路201とが同一の集積回路または同一のチップで実現されてもよい。
【0010】
周波数領域信号生成部4、測定部5、アンテナ選択部6、解析処理部8のデジタル領域の処理の全部または一部は、CPU等のプロセッサで動作するソフトウェア(プログラム)によって行われてもよいし、ハードウェアによって行われてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの両方によって行われてもよい。周波数領域信号生成部4、測定部5、アンテナ選択部6、解析処理部8の処理で得られるデータを一時的に記憶するメモリを、無線通信装置101内または無線通信装置101からアクセス可能なその他の箇所に設けて、これらの要素間でデータの受け渡しを行ってもよい。
【0011】
複数のアンテナ1は、それぞれ無線信号を受信する。アンテナ1で受信された無線信号(受信信号)は、無線通信装置101と無線通信回路201に入力される。より詳細に、無線通信装置101では、アンテナ1に対応するアナログ処理部2に無線信号が入力される。無線通信回路201は、アンテナ1を介して、所定の通信方式で他の無線通信装置と無線通信を行う。通信方式は何でもかまわず、一例として、IEEE802.11規格などの無線LAN(Local Area Network)規格、ブルートゥース(登録商標)、WiMAX、WiMAX2などに準拠した通信方式がある。無線通信回路201は、送信の場合は、アンテナ1を介して、通信方式に応じた無線周波数の信号を送信する。無線LANの場合、本無線通信装置または他の無線通信装置の一方が端末、他方がアクセスポイントでもよい。無線通信回路201は、アンテナ1を介して受信した無線信号の電力増幅や周波数変換(無線周波数とベースバンド周波数間の変換)等のアナログ処理を行うアナログ処理回路、AD変換器、DA変換器、通信プロトコル処理を行う回路、通信品質または通信状態等を管理する回路等を含んでいる。
【0012】
図1の構成では、アンテナ1で受信された信号が、無線通信装置101と無線通信回路201との両方に入力されているが、無線通信装置101と、無線通信回路201とで異なるアンテナを使用してもよい。この場合の構成例を図14に示す。無線通信回路201には、1つまたは複数のアンテナ17から無線信号が入力される。無線通信装置101にはアンテナ1から無線信号が入力される。
【0013】
複数のアナログ処理部2は、対応するアンテナ1から入力された受信信号に対して、電力増幅および周波数変換(ダウンコンバート)などの処理を行って、ベースバンド周波数のアナログ信号を生成する。
【0014】
複数のAD変換器3は、対応するアナログ処理部2により生成されたアナログ信号をAD変換することにより、デジタル信号を生成する。
【0015】
複数の周波数領域信号生成部4は、対応するAD変換器3により生成されたデジタル信号に対して、フーリエ変換などの周波数領域への変換処理を施す。これにより、AD変換後の時間領域信号を、周波数領域に変換した周波数領域信号(周波数スペクトル)を生成する。各周波数領域信号生成部4により生成された周波数領域信号は、それぞれ対応する測定部5に入力される。
【0016】
ここで、フーリエ変換としては、離散フーリエ変換、高速フーリエ変換、および短時間フーリエ変換などを用いることができる。また、フーリエ変換のかわりに、連続ウェーブレット変換、離散ウェーブレット変換、離散コサイン変換などを使用してもよい。
【0017】
図2(A)および図2(B)はフーリエ変換の説明図である。図2(A)に示すように、受信信号に対し一定時間幅の時間フレームを時間方向に当該時間フレーム幅ずつ段階的にシフトさせて、周波数領域への変換を各時間フレーム位置で行ってもよい。または、図2(B)に示すように、当該時間フレーム幅より短いΔTの時間ずつ当該時間フレームを時間方向にシフトしながら各時間フレーム位置で周波数領域への変換を行っても良いし、その他の方法を用いても良い。つまり、受信信号の異なる部分に対して順次、周波数領域変換を行ってそれぞれ周波数領域信号を生成すればよい。
【0018】
複数の測定部5は、対応する周波数領域信号生成部4から入力された周波数領域信号の信号強度を測定する。例えば、周波数領域信号に含まれる複数の周波数成分のそれぞれの信号強度を測定する。以下では周波数成分ごとに信号強度を測定する場合を想定するが、複数の周波数成分をまとめた測定を行うなど、他の測定方法も可能である。信号強度は、一例として、振幅レベルまたは電力レベルで表すことができる。測定部5は、周波数領域信号生成部4から周波数領域信号が入力されるごとに、信号強度の測定を行う。
【0019】
なお、測定部5および後段のアンテナ選択部6では、周波数領域信号に含まれる全周波数成分を対象に処理を行ってもよし、一部の範囲の周波数成分のみを対象に処理を行っても良い。たとえば無線通信回路201で使用しない周波数成分があらかじめ決まっている場合などは、当該周波数成分は処理の対象から除外してもよい。また、受信信号の全時間幅を対象に処理を行ってもよいし、全時間幅のうちの一部の時間幅の信号のみを対象に処理を行ってもよい。
【0020】
ここで、周波数領域信号の周波数帯域幅を周波数方向に複数に分割した各帯域に周波数インデクスb(=1,・・・,B)を割り当てる。周波数インデクスが割り当てられた各帯域には周波数成分が1つまたは複数含まれる。周波数成分が含まれない帯域が存在することを許容してもよい。また、分割により得られた各帯域幅のサイズは同じでもよいし、上記の周波数帯域幅を異なるサイズの帯域幅に分割してもよい。本実施形態では、周波数帯域幅を同じサイズの各帯域幅に分割するとする。
【0021】
また、各周波数領域信号にそれぞれの時間帯に応じた時間インデクスs(=1,・・・,S)を割り当てる。時間インデクスsの周波数領域信号における周波数インデクスbが示す信号をy(b,s)と表現する。
【0022】
さらに、複数のアンテナ1のうちn(=1,・・・,N)番目のアンテナで受信された時間インデクスsの周波数領域信号における周波数インデクスbが示す信号を、yn(b,s)と表現する。
【0023】
ここで周波数インデクスbと時間インデクスsとの組をエレメントと呼ぶ(これをE(s、b)と記述する)。測定部5は、エレメントごとまたは複数のエレメントをグループ化したグループごとに信号強度を測定する。横成分を時間インデクス、縦成分を周波数インデクスとしたマトリクスを用いると、1つの周波数領域信号は、1つの時間インデクスと、複数の周波数インデクスとに対応する。マトリクスの各セルがそれぞれエレメントに対応する
【0024】
図3に、横軸に時間インデクス、縦軸に周波数インデクスをとったマトリクスを模式的に表現した例を示す。横軸に時間インデクス1,2,・・・を取り、縦軸に周波数インデクス1,2,・・・、を取っている。矩形のセルによって各エレメントが模式的に表現されている。なお、複数の時間インデクス分の周波数領域信号を総称して、時間周波数信号と呼ぶこともある。また、縦軸を周波数インデクス、横軸を時間インデクスとする座標系を、時間周波数領域と呼ぶこともある。
【0025】
ここでエレメントE(s,b)の信号強度をP(s,b)と表す。信号強度P(s,b)として、振幅レベルまたは電力レベル等を用いることが可能であり、各エレメントにおける信号y(s,b)の信号強度P(s,b)は、例えば以下の式(1)または(2)で表すことができる。
【数1】
【0026】
また、エレメントに複数の周波数成分が含まれる場合には、上記の式で算出される各周波数成分の信号強度を合計、平均、最大値、または中央値などをエレメントの信号強度として算出することができる。なお、これらの式(1)および式(2)は例示であり、信号強度を算出する方法は、これらの式に限定されるものではない。
【0027】
測定部5により測定された周波数領域信号のエレメントごとの信号強度は、アンテナ選択部6に入力される。測定部5は、1つの周波数領域信号を測定するごとに測定結果(信号強度)をアンテナ選択部6へ出力してもよいし、一定数の時間インデクス分の周波数領域信号の測定が完了するごとに、一括して測定結果をアンテナ選択部6に出力してもよい。
【0028】
アンテナ選択部6は、各測定部5から取得した一定数の時間インデクス分の測定結果を用いて、アンテナ間で、同じ位置のエレメントの信号強度を比較する。同じ位置のエレメントとは、同じ時間インデクスかつ同じ周波数インデクスを有するエレメントのことである。アンテナ選択部6は、比較結果に基づいて、同じ位置のエレメントごとに、所定の規範により、1つのアンテナを選択する。例えば信号強度が最も大きいアンテナを選択する。他の例として、信号強度が所定値以上のアンテナを選択してもよい。この場合、複数のアンテナが選択されてもよい。また、信号強度が2番目または3番目に高いアンテナ1を選択してもよい。また、信号強度が最も小さいアンテナを選択することも有効である。本実施形態では、信号強度が最も高いアンテナを選択する場合を想定する。
【0029】
図4および図5を用いて、アンテナ選択部6の動作例を説明する。
【0030】
図4は、3つのアンテナ1のそれぞれについて、各エレメントの信号強度を時間周波数領域上で表したマップを示す。3つのアンテナ1をそれぞれ、アンテナ1a,1b,1cと記述する。時間インデクスが1〜4,周波数インデクスが1〜4の範囲で、E(1,1)からE(4,4)までの16個のエレメントがアンテナ毎に示されている。各エレメントを表すセルには、そのエレメントの信号強度がプロットされている。この例では、複数の時間インデクス分の周波数領域信号を用いて処理を行うが、1つの時間インデクス分の周波数領域信号を用いて処理を行うことも可能である。
【0031】
アンテナ選択部6は、E(1,1)からE(4,4)までの各エレメントに対して、信号強度が全アンテナ1の中で最大のアンテナを選択する。E(4、4)に対してアンテナを選択する例を示す。アンテナ1aのエレメントE(4、4)の信号強度は、図示の通り−60dBである。同様に、アンテナ1bおよびアンテナ1cのエレメントE(4、4)の信号強度は、それぞれ−80dB、−50dBである。よって、信号強度が最大となるアンテナは、信号強度が−50dBであるアンテナ1cである。したがって、アンテナ選択部6は、エレメントE(4、4)に対して、アンテナ1cを選択する。アンテナ選択部6は、このような処理を、エレメントE(1,1)からエレメントE(4,4)までの全てのエレメントに対して行い、それぞれのエレメントEに対して、アンテナ1a〜1cから1つのアンテナを選択する。
【0032】
図5(A)は、各エレメントに対して選択されたアンテナの識別子を時間周波数領域上にプロットした選択アンテナマップを示す。アンテナ1aの識別子は“a”、アンテナ1bの識別子は“b”、アンテナ1cの識別子は“c”で表している。時間インデクス1、2では、全てのエレメントでアンテナ1aが選択されている。時間インデクス3、4では、全てのエレメントでアンテナ1bが選択されている。各エレメントに対して選択されたアンテナの信号強度(すなわち各エレメントの最大信号強度)を時間周波数領域上にプロットしたマップ(信号強度マップ)を図5(B)に示す。
【0033】
図6は、図4および図5とは別の例に係る選択アンテナマップおよび信号強度マップを示す。図4および図5の例では、時間インデクス数が4、周波数インデクス数が4であったが、図6の例では、時間インデクス数が15、周波数インデクス数が8である。また、複数のアンテナとして、4つのアンテナ1a、1b、1c、1dを用いている。それぞれのアンテナの識別子を“a”、“b”、“c”、“d”としている。
【0034】
解析処理部8は、選択アンテナマップ(エレメント毎のアンテナ選択結果)と、信号強度マップ(エレメント毎の最大信号強度)のうち少なくとも選択アンテナマップを用いて、受信信号の信号源の同一性を判断する解析処理を行う。信号源の同一性がない例として、信号源の個数が増えたこと、信号源の個数が減少したこと、信号源が別の信号源に変わったことがある。解析処理では、受信信号の帯域幅、中心周波数および受信電力(ここではエレメント毎でなく帯域全体の受信電力)の少なくとも1つをさらに検出して、利用してもよい(詳細は後述する)。
【0035】
以下、解析処理部8の動作例を説明する。
【0036】
(第1の例)選択アンテナマップを用いて、ある時間インデクスXと次の時間インデクスX+1との対応するエレメント間でアンテナ識別子を比較し、アンテナ識別子が一致するか(すなわち選択されたアンテナが一致するか)を検査し、アンテナ識別子が一致しないエレメント数をカウントする。不一致のエレメント数が閾値以上のときは、時間インデクスXの受信信号の信号源と、時間インデクスX+1の受信信号の信号源間に同一性がないと判断する。不一致のエレメント数が閾値未満のときは、時間インデクスXの受信信号の信号源と、時間インデクスX+1の受信信号の信号源間に同一性がある(同じ信号源である)と判断する。
【0037】
信号源間に同一性がないとは、受信信号の信号源が増加(例えば第1信号源に加えて、第2信号源からの信号も受信する場合)、受信信号の信号源の個数が減少(例えば第1および第2信号源から信号が受信されている場合に、第2信号源からの送信が終了し、第1信号源のみになる場合)、受信信号の信号源が別の信号源に変化(例えば信号の送信元が、第1信号源から第2信号源に変化する場合)のいずれかのことである。
【0038】
図6(A)の例では、時間インデクス4〜6では、すべてのエレメントのアンテナ識別子が同じであるため、時間インデクス4〜6の受信信号は同一信号源であると判断する。時間インデクス6、7間では、アンテナ識別子が不一致のエレメント数は8であり、閾値を仮に7とすると、エレメント数8は閾値以上となる。よって、時間インデクス6、7間で信号源に同一性がないと判断する。時間インデクス7〜11では、すべてのエレメントのアンテナ識別子が同じであるため、時間インデクス7〜11の受信信号は同一信号源であると判断する。時間インデクス11、12間では、アンテナ識別子が不一致のエレメント数は8であり、閾値(ここでは7)以上のため、時間インデクス11、12間で信号源に同一性がないと判断する。なお、時間インデクス1、2間、および時間インデクス2、3間では、不一致のエレメント数がいずれも8である(閾値より大きい)。また時間インデクス1〜3のそれぞれでは、アンテナ識別子が特定のアンテナ識別子に大きく偏ることなくまだらに配置されている。このため、時間インデクス1〜3の受信信号はノイズ信号であると判断できる。時間インデクス14、15の受信信号についても同様にノイズ信号であると判断できる。なお、まだらに配置されているかの判断には、例えば同じアンテナ識別子が周波数方向(紙面に沿って縦方向)に一定エレメント数以上連続して配置されていない場合は、まだらに配置されていると判断してもよい。または、空間周波数(例えばすべて同じ識別子の場合は空間周波数が最も低い(ゼロなど))をもとに判断してもよい。
【0039】
なお、アンテナ識別子が不一致のエレメント数が閾値以上かを判断する代わりに、アンテナ識別子が一致するエレメント数が閾値以下かを判断してもよい。
【0040】
(第2の例)第1の例では選択アンテナマップのみに基づき判断したが、信号強度マップをさらに利用して、より詳細なまたは高精度な判断をしてもよい。第1の例では時間インデクス同士で、アンテナ識別子の不一致のエレメント数が閾値以上の場合に信号源に同一性がないとしたが、これに加えて、帯域幅または受信電力または中心周波数またはこれらのうちの複数が同じまたは近似することを、信号源に同一性がないことの条件として追加してもよい。
【0041】
帯域幅が同じまたは近似するかは、例えば一定値(例えば−80dB)以上の電力強度を有するエレメントの範囲の大きさが同じまたは近似するかで判断すればよい。図6(B)の例では、時間インデクス4〜13のいずれも、エレメントの信号強度が一定値以上のエレメント範囲はエレメント1〜8であり、範囲の大きさはエレメント数で8である。したがって時間インデクス4〜13のいずれも、帯域幅が同じであると判断できる。エレメントの範囲の大きさの差が一定値以内の時間インデクス同士では、帯域幅が近似すると判断してもよい。
【0042】
中心周波数は、上記帯域幅の中心の周波数に対応する。中心周波数の差が一定値以内の時間インデクス同士では、中心周波数が近似すると判断してもよい。
【0043】
受信電力は、上記帯域幅に対応するエレメント範囲に属するエレメントの信号強度の合計値、平均値、中央値、最大値、エレメント内の中心周波数の電力値などを用いることができる。時間インデクス4〜6、12、13では信号強度がいずれのエレメントも−50dBであり、時間インデクス4〜6、12、13での受信電力は同じであると判断できる。時間インデクス7〜11では−40dBであり、時間インデクス7〜11での受信電力は同じであると判断できる。信号強度の合計の差または平均の差が一定値以内の時間インデクス同士は、受信電力が近似していると判断してもよい。
【0044】
上述のようにして信号源の同一性がないことを検出したら、信号源が増加したのか、減少したのか、別の信号源に変わったのかを具体的に特定してもよい。図6(B)において、時間インデクス4〜6と時間インデクス12、13の受信電力(平均が−50dB)は同じであり、この受信電力は、時間インデクス7〜11の受信電力(平均が−40dB)よりも大きい。このことと、上記の選択アンテナマップとから、時間インデクス7〜11では、信号源1からの信号に加えて、別の信号源からの信号(干渉信号)が受信され、さらに時間インデクス12以降では、この干渉信号が無くなったと判断することができる。この状態の遷移の様子を模式的に図7(A)に示す。通信先である信号源(信号源1とする)から信号を受信し、途中で別の信号源(信号源2とする)からの干渉信号が加算され、その後、信号源2からの干渉信号がなくなった様子を示している。図7(B)には、受信信号の信号源の増減の様子を示す。屋内のような静的な環境では、本実施形態に係る無線通信装置を搭載した端末の移動や、周囲の環境に大きな変化がなければ、基本的に選択されるアンテナは同一であるとみなせる。したがって、異なる時間でそれぞれ同じアンテナが選択され、その間の時間で別のアンテナが選択されかつ受信電力がその両側の時間よりも増大したときは、その時間で新たな干渉源(信号源)が発生したと考えることができる。
【0045】
端末が配置される環境または使用する通信方式に応じて、別の判断方法として、時間インデクス7〜11では、信号源が信号源1から信号源2に代わり(時間インデクス7〜11では信号源1からの信号は受信しない)、時間インデクス12から信号源1に戻った(あるいはさらに別の信号源に代わった)と判断することも可能である。この際、時間インデクス7〜11の受信電力が、時間インデクス4〜6、12、13より大きく、その差が閾値以上のときは、別の信号源(信号源2)からの干渉信号が加算され、閾値未満のときは、信号源1が別の信号源(信号源2)に置換されたと判断することも可能である。
【0046】
信号強度マップの信号強度は、四捨五入など、丸め計算を行ったものを用いてもよい。
【0047】
図8(A)および図8(B)は、選択アンテナマップおよび信号強度マップのさらに他の例を示す。図8(A)に示すように、時間インデクス7〜11では、すべてのエレメントで、時間インデクス4〜6、12、13と同じアンテナ1aが選択されている。また、図8(B)に示すように、信号強度は、これらのすべてのエレメントで−60dBとなっており、この値は、時間インデクス4〜6、12、13の−50dBより小さい。その他は、図6(A)および図6(B)と同じである。したがって、時間インデクス7〜11では、インデクス4〜6、12、13に対して信号源の同一性は維持されるものの、フェージングにより受信電力が低下したと判断できる。フェージングの原因として、例えば端末の近くを人間等の誘電体が通過し、それにより電波が減衰したこと等が考えられる。
【0048】
図9(A)および図9(B)は、選択アンテナマップおよび信号強度マップのさらに別の例を示す。時間インデクス4〜6は、図6(A)と同様に時間インデクス同士でアンテナ識別子が不一致のエレメント数はゼロである(一致数が8である)ため、同一信号源であると判断できる。ただし、周波数インデクス1〜8において、周波数インデクス1〜4と周波数インデクス7〜8との間の周波数インデクス5〜6では、ノイズレベルの信号強度(−90dB)が存在する。このため、周波数インデクス1〜4と、周波数インデクス7〜8は、それぞれ使用する周波数帯が異なる別の信号源からの信号に対応すると判断できる。その他については図6(A)および図6(B)の説明で記載したのと同様にして判断できる。図8図9の例では、最大の信号強度を利用したが、最小の信号強度を利用した場合も同様にして判断できる。この場合、アンテナ選択情報をフェージングのノッチ情報として利用できる。
【0049】
解析処理部8は、解析処理の結果を無線通信回路201に出力してもよい。またメモリ等の記憶装置に解析処理の結果を格納してもよい。無線通信回路201は、解析処理の結果を利用して、通信を制御してもよい。例えばフレームの復調に失敗し、かつ解析処理部8から干渉信号の解析結果が入力された場合は、今回の復調の失敗は一時的な要因によるものと扱って、自装置側および相手装置側の少なくとも一方の変調方式を、現在の変調方式を維持してもよい。またフェージングの解析結果が入力された場合は、自装置側および相手装置側の少なくとも一方の変調方式を、より強い(伝送レートが低い)変調方式に変更してもよい。無線通信回路201および無線通信装置101間の時刻またはタイミングの同期は任意の手法で行えばよい。例えば無線通信装置101での測定処理に要する時間を事前に取得し、それを利用してもよいし、無線通信回路201および無線通信装置101でタイムスタンプを付加してもよい。
【0050】
これまで説明した実施形態では、エレメントごとに信号強度を測定したが、複数のエレメントをグループ化して、グループごとに信号強度を測定することもできる。グループ化の例を図10に3つ示す。図10(A)に示すように、周波数方向に隣接する複数のエレメントを結合してもよいし、図10(B)に示すように、時間方向に隣接する複数のエレメントを結合してもよい。あるいは、図10(C)に示すように、周波数方向および時間方向の両方のそれぞれに隣接する複数のエレメントを結合してグループ化してもよい。この場合、各方向でエレメントの結合数は同じでも異なってもよい。グループ化した場合の信号強度は、グループに属するエレメントの信号強度Pは合計値、平均値、ピーク値(最大値)、または中央値であってもよい。複数のエレメントをまとめたグループごとに信号強度を測定した場合には、アンテナ選択部6は、グループごと毎にアンテナを選択すればよい。解析処理部8は、エレメントごとではなく、グループごとの処理を行えばよい。
【0051】
図11は、本実施形態に係る信号計測方法のフローチャートを示す。複数の測定部5は、複数のアンテナで受信された受信信号のそれぞれを時間幅と帯域幅とによって規定される複数のエレメントに分け、エレメントごと(または複数のエレメントをグループ化したグループごと)に、信号強度を測定する(ステップH101)。
【0052】
アンテナ選択部6は、各エレメントの信号強度を複数のアンテナ間で比較することにより、エレメント(またはグループ)ごとに、複数のアンテナのうちの1つを選択する。一例として、最も信号強度が高いエレメントのアンテナを選択する(ステップH102)。
【0053】
解析処理部7は、エレメント(またはグループ)の選択したアンテナの分布を解析することにより、受信信号の信号源の同一性を判断する(H103)。
【0054】
上述した実施形態では、アナログ処理部およびAD変換器等で受信信号の全帯域をカバーすることを前提としたが、センシングすべき帯域が広帯域の場合は、アナログ処理部およびAD変換器等の帯域幅の制約からすべての帯域をカバーできない。この場合、時分割で広帯域の信号をスキャンしてもよい(必要に応じてスキャン毎にアナログフィルタまたはデジタルフィルタ等の設定を変更する)。
【0055】
また、上述した実施形態では、受信信号を周波数領域に変換した周波数領域信号を用いて信号強度を測定したが、周波数領域に変換することなく、時間領域信号のまま、帯域あるいは周波数成分ごとの信号強度を測定してもよい。例えば、帯域あるいは周波数成分の信号を抽出するフィルタを複数設け、各フィルタを通過した信号の信号強度を測定してもよい。
【0056】
図1に示した複数のアンテナ1は、それぞれ同じ性質のアンテナでもよいし、異なる性質のアンテナでもよい。異なる性質のアンテナとして、それぞれ指向性が異なるアンテナでもよいし、偏波が異なるアンテナでもよい。また、同じ性質のアンテナとして、同じ構造の無指向性アンテナでもよく、同じ性質のアンテナが異なる位置に配置されてもよい。ここで述べた以外のアンテナのバリエーションも可能である。図14に示したアンテナ17も同様である。また、アンテナ1とアンテナ17間についても同様のバリエーションが可能である。
【0057】
以上、本実施形態によれば、複数のアンテナで受信された信号のそれぞれを複数のエレメントに分け、エレメントごとに測定した信号強度を複数のアンテナ間で比較して、エレメントごとに複数のアンテナのうちの1つを選択し、選択したアンテナの分布を解析することにより、受信信号の信号源の同一性を簡単に判断することができる。例えば、図15に示すように、無線LANの場合において、ある20MHz幅の帯域で通信している場合に、仮に160MHz帯域をセンシングして、信号解析すれば、信号干渉を検出することはできるが、これは時分割のセンシングを必要とし、正確なスペクトログラムの取得が困難であるとともに、処理も複雑になる。これに対して、本実施形態では、上述した手法により、この20MHz帯域の信号のみを解析することで、干渉衝突を簡単に検出可能である。
【0058】
(第2の実施形態)
図12(A)および図12(B)は、それぞれ第2の実施形態に係る無線端末の斜視図である。図12(A)の無線端末はノートPC301であり、図12(B)の無線端末は移動体端末321である。ノートPC301および移動体端末321は、それぞれ無線通信装置305、315を搭載している。無線通信装置305、315として、これまで説明してきた図1の無線通信装置を用いることができる。無線通信装置を搭載する無線端末は、ノートPCや移動体端末に限定されない。例えば、TV、デジタルカメラ、ウェアラブルデバイス、タブレット、スマートフォン、ゲーム装置、ネットワークストレージ装置、モニタ、デジタルオーディオプレーヤ、Webカメラ、ビデオカメラ、プロジェクト、ナビゲーションシステム、外部アダプタ、内部アダプタ、セットトップボックス、ゲートウェイ、プリンタサーバ、モバイルアクセスポイント、ルータ、エンタープライズ/サービスプロバイダアクセスポイント、ポータブル装置、ハンドヘルド装置等にも搭載可能である。無線LANの場合、無線端末はステーションのみならず、アクセスポイントでもよい。
【0059】
また、無線端末は、メモリーカードにも搭載可能である。当該無線通信装置をメモリーカードに搭載した例を図13に示す。メモリーカード331は、無線通信装置355と、メモリーカード本体332とを含む。メモリーカード331は、外部の装置との無線通信のために無線通信装置335を利用する。なお、図13では、メモリーカード331内の他の要素(例えばメモリ等)の記載は省略している。
【0060】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バス、プロセッサ部、及び外部インターフェース部を備える。プロセッサ部及び外部インターフェース部は、バスを介して外部メモリ(バッファ)と接続される。プロセッサ部ではファームウエアが動作する。このように、ファームウエアを無線通信装置に含める構成とすることにより、ファームウエアの書き換えによって無線通信装置の機能の変更を容易に行うことが可能となる。ファームウエアが動作するプロセッサ部は、本実施形態に係る制御部または制御部の処理を行うプロセッサであってもよいし、当該処理の機能拡張または変更に係る処理を行う別のプロセッサであってもよい。ファームウエアが動作するプロセッサ部を、本実施形態に係る無線端末あるいはこれらの両方が備えてもよい。または当該プロセッサ部を、無線端末に搭載される無線通信装置内の集積回路が備えてもよい。
【0061】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、クロック生成部を備える。クロック生成部は、クロックを生成して出力端子より無線通信装置の外部にクロックを出力する。このように、無線通信装置内部で生成されたクロックを外部に出力し、外部に出力されたクロックによってホスト側を動作させることにより、ホスト側と無線通信装置側とを同期させて動作させることが可能となる。
【0062】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、電源部、電源制御部、及び無線電力給電部を含む。電源制御部は、電源部と無線電力給電部とに接続され、無線通信装置に供給する電源を選択する制御を行う。このように、電源を無線通信装置に備える構成とすることにより、電源を制御した低消費電力化動作が可能となる。
【0063】
(第6の実施形態)
第6の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、SIMカードを含む。SIMカードは、無線通信装置における無線通信回路201または無線通信装置101、またはこれらのうちの複数と接続される。このように、SIMカードを無線通信装置に備える構成とすることにより、容易に認証処理を行うことが可能となる。
【0064】
(第7の実施形態)
第7の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、動画像圧縮/伸長部を含む。動画像圧縮/伸長部は、バスと接続される。このように、動画像圧縮/伸長部を無線通信装置に備える構成とすることにより、圧縮した動画像の伝送と受信した圧縮動画像の伸長とを容易に行うことが可能となる。
【0065】
(第8の実施形態)
第8の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、LED部を含む。LED部は、無線通信装置における無線通信回路201または無線通信装置101、またはこれらのうちの複数と接続される。このように、LED部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
【0066】
(第9の実施形態)
第9の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、バイブレータ部を含む。バイブレータ部は、無線通信装置における無線通信回路201または無線通信装置101、またはこれらのうちの複数と接続される。このように、バイブレータ部を無線通信装置に備える構成とすることにより、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
【0067】
(第10の実施形態)
第10の実施形態では、上述した実施形態に係る無線通信装置の構成に加えて、ディスプレイを含む。ディスプレイは、図示しないバスを介して無線通信装置における無線通信回路201または無線通信装置101、またはこれらのうちの複数に接続されてもよい。このようにディスプレイを備える構成とし、無線通信装置の動作状態をディスプレイに表示することで、無線通信装置の動作状態をユーザに容易に通知することが可能となる。
【0068】
本実施形態で用いられる用語は、広く解釈されるべきである。例えば用語“プロセッサ”は、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、コントローラ、マイクロコントローラ、状態マシンなどを包含してもよい。状況によって、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム可能論理回路(PLD)などを指してもよい。“プロセッサ”は、複数のマイクロプロセッサのような処理装置の組み合わせ、DSPおよびマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアと協働する1つ以上のマイクロプロセッサを指してもよい。
【0069】
別の例として、用語“メモリ”は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を包含してもよい。“メモリ”は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラム可能読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラム可能読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリ、磁気または光学データストレージを指してもよく、これらはプロセッサによって読み出し可能である。プロセッサがメモリに対して情報を読み出しまたは書き込みまたはこれらの両方を行うならば、メモリはプロセッサと電気的に通信すると言うことができる。メモリは、プロセッサに統合されてもよく、この場合も、メモリは、プロセッサと電気的に通信していると言うことができる。
【0070】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1:アンテナ
101:無線通信装置
201:無線通信回路
2:アナログ処理部
3:AD変換器
4:周波数領域信号生成部
5:測定部
6:アンテナ選択部
8:解析処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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