特許第6393702号(P6393702)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393702
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20180910BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20180910BHJP
   G06F 15/78 20060101ALI20180910BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   G06F1/26 F
   B60R16/02 660M
   G06F15/78 517
   G06F15/78 516
   G05F1/56 320C
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-28779(P2016-28779)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-146822(P2017-146822A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 義孝
(72)【発明者】
【氏名】徳永 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】米岡 信一郎
【審査官】 白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−017948(JP,A)
【文献】 特開2005−135026(JP,A)
【文献】 特開2004−153931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
G06F 1/24
B60R 16/02
G05F 1/56
G06F 15/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電圧を供給する第一の電源回路と、
第二の電圧を供給する第二の電源回路と、
前記第一の電源回路から供給される前記第一の電圧を用いて、第三の電圧を生成するコア電圧生成回路と、
前記第一の電源回路が供給する前記第一の電圧によって動作する第一の回路、および前記コア電圧生成回路が生成する前記第三の電圧によって動作するCPUコアを有し、車両の電子制御を行うマイコンと、
前記第二の電源回路が供給する前記第二の電圧によって動作し、前記コア電圧生成回路が生成した前記第三の電圧の電圧値を監視する電圧監視回路と、
を備える、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記マイコンは、前記第二の電源回路が供給する前記第二の電圧によって動作する第二の回路をさらに備える、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記電圧監視回路は、前記第二の電圧の電圧値が適正範囲内にない場合には、前記マイコンをリセットする、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記マイコンは、前記コア電圧生成回路が生成する前記第三の電圧の電圧値を制御する電圧制御回路をさらに有し、
前記コア電圧生成回路は、前記電圧制御回路からの制御によって、前記第三の電圧の電圧値を変更可能である、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子制御装置において、
前記電圧監視回路は、前記第三の電圧の電圧値の監視結果を前記電圧制御回路に通知し、
前記電圧制御回路は、前記電圧監視回路からの前記監視結果に基づいて、前記コア電圧生成回路を制御する、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の電子制御装置において、
一つの電源ICが、前記第一の電源回路、および前記第二の電源回路を備える、
ことを特徴とする電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電子制御を行う電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車両では、エンジンコントロールユニットや自動変速機用コントロールユニットなどの電子制御装置が搭載され、この電子制御装置が有するマイコンによって車両の電子制御を行っている。
【0003】
この電子制御装置のマイコンは、演算部であるCPUコア(以下、単に「コア」ともいう。)や、メモリや、外部との入出力を行う回路などの周辺回路といった複数種類の回路から成り、この複数種類の回路のそれぞれは、外部からマイコンに対して供給された電源電圧によって動作する。
【0004】
特開2005−208939号公報では、マイコンに供給される電源電圧が適正電源電圧範囲であるか否かを監視する電源監視手段を備え、電源電圧が適正電源電圧範囲でないときに、電源監視手段がマイコンによる外部負荷の制御を停止させるマイコン電源電圧監視システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−208939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで最近では、車両の電子制御の複雑化に伴い、電子制御装置に用いられるマイコンにも高機能化の要求が高まってきた。しかしながら、マイコンの高機能化は消費電力や発熱の増加を伴うため、これらを抑制する構成が望まれる。例えば、従来マイコンのコアに供給する電源電圧は、外部から供給された電源電圧を基にマイコン内部で生成する構成であったが、このマイコンのコアに供給する電源電圧をマイコンの外部で生成することによって、マイコン自体の消費電力や発熱の増加を抑制する構成が考えられる。
【0007】
一方、マイコンの外部から供給される電源電圧については、上述の特開2005−208939号公報に開示されたマイコン電源電圧監視システムのように、適正範囲であるかを監視するのが望ましい。しかしながら、このマイコン電源電圧監視システムは、マイコン自体に供給される電源電圧を監視するものであり、コアに供給される電源電圧については何ら開示されておらず、また、このマイコン電源電圧監視システムの電源監視手段は、自身の監視対象である電源電圧で動作するものであり、動作の信頼性を欠く虞があるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、CPUコアに供給する電源電圧をマイコンの外部で生成する構成において、CPUコアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成するために、電子制御装置において、第一の電圧を供給する第一の電源回路と、第二の電圧を供給する第二の電源回路と、前記第一の電源回路から供給される前記第一の電圧を用いて、第三の電圧を生成するコア電圧生成回路と、前記第一の電源回路が供給する前記第一の電圧によって動作する第一の回路、および前記コア電圧生成回路が生成する前記第三の電圧によって動作するCPUコアを有し、車両の電子制御を行うマイコンと、前記第二の電源回路が供給する前記第二の電圧によって動作し、前記コア電圧生成回路が生成した前記第三の電圧の電圧値を監視する電圧監視回路と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、CPUコアに供給する電源電圧をマイコンの外部で生成する構成において、CPUコアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる電子制御装置を提供することができる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図。
図2】本発明の実施例1に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図。
図3】本発明の実施例1に係る電子制御装置の処理を示すフローチャート。
図4】本発明の実施例2に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図。
図5】本発明の実施例3に係る電子制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に係る電子制御装置について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態の電子制御装置1は、例えば、自動車に搭載されてエンジンやトランスミッションあるいはブレーキ等の電子制御に用いられる装置であって、この電子制御を行うマイコン2を有する。マイコン2は、マイコン2の演算部として動作するCPUコアであるコア10のほか、RAMやROMといったメモリや、外部との入出力を行う回路などの周辺回路を有して構成される。また、電子制御装置1は、詳しくは後述する、第一の電源回路4、第二の電源回路3、コア電圧生成回路5および電圧監視回路6を有する。
【0016】
マイコン2に含まれる各回路は、例えばレギュレータである第一の電源回路4から供給される第一の電圧v1(例えば、3V)を電源として動作する第一の回路8と、例えばレギュレータである第二の電源回路3から供給される第二の電圧v2(例えば、5V)を電源として動作する第二の回路7と、に分類される。マイコン2のコア10は、マイコン2の外部に設けたコア電圧生成回路5によって生成された第三の電圧v3(例えば、1.25V)を電源として動作する。
【0017】
コア電圧生成回路5は、第一の電源回路4から供給される第一の電圧v1を用いて第三の電圧v3を生成する。このコア電圧生成回路5によって生成される第三の電圧v3の電圧値は、マイコン2の電圧制御回路9によって制御され、調節される。本実施形態では、電圧制御回路9は、第一の電源回路4から供給される第一の電圧v1を電源として動作するものであるが、電圧制御回路9は、第二の電源回路3から供給される第二の電圧v2を電源として動作するものであってもよい。
【0018】
電圧監視回路6は、マイコン2の外部に設けられ、例えば、不図示のCPUコアなどの演算部を有するICで構成される。電圧監視回路6は、コア電圧生成回路5における第三の電圧v3の生成元である第一の電圧v1の供給元の第一の電源回路4とは異なる、第二の電源回路3から供給される第二の電圧v2を電源として動作する回路である。
【0019】
電圧監視回路6は、マイコン2のコア10との間で双方向通信を行うものであり、例えば、一方から他方へ計算問題を送信し、他方から一方へその計算問題の解答を送信し、その解答の正誤により、互いが正しく動作していることを確認しあうことができる。
【0020】
電圧監視回路6は、コア電圧生成回路5によって生成された第三の電圧v3の電圧値を監視する。電圧監視回路6は、例えば、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内である場合には出力信号s1を出力しないが、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内ではない場合には出力信号s1を出力する。なお、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲の下限(例えば、1.15V)よりも低い場合には、コア10が動作できない状態であったり、コア10による演算結果が正しくなかったりすることが考えられる。また、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲の上限(例えば、1.35V)よりも高い場合には、コア10による演算結果が正しくなかったり、コア10による発熱が多く、回路の破壊の虞があったりすることが考えられる。
【0021】
本実施形態では、電圧監視回路6から出力される出力信号s1はマイコン2のリセット端子に入力され、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内ではない場合にはマイコン2がリセットされる。また、電圧監視回路6から出力される出力信号s1は、電子制御装置1の外部にも出力される。この電子制御装置1から出力された出力信号s1が、電子制御装置1の外部に設けた別の制御装置(不図示)に入力されることで、その別の制御装置において電子制御装置1の異常を検出することもできる。
【0022】
本実施形態によれば、上述のように構成することで、コア10に供給する電源電圧(第三の電圧v3)をマイコン2の外部で生成する(第一の電源回路4から供給される第一の電圧v1を元にコア電圧生成回路5で生成する)構成において、コア10に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を電圧監視回路6で行うものであって、電圧監視回路6は、第一の電源回路4とは別の第二の電源回路3から供給される第二の電圧v2を電源として動作する回路であるので、第一の電源回路4やコア電圧生成回路5の異常に影響されずに動作の信頼性を確保しながら、コア10に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を行うことができる。
【0023】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図2は、本発明の実施例1に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本実施例は、マイコン120が、2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)である場合の例を示す。
【0026】
本実施例の電子制御装置110は、例えば、自動車に搭載されてエンジンやトランスミッションあるいはブレーキ等の電子制御に用いられる装置であって、この電子制御を行うマイコン120を有する。マイコン120は、マイコン120の演算部として動作するCPUコアであるコア124のほか、RAMやROMといったメモリや、外部との入出力を行う回路などの周辺回路を有して構成される。また、電子制御装置110は、詳しくは後述する、第一の電源回路としてのレギュレータ133および第二の電源回路としてのレギュレータ132を有する電源IC131、コア電圧生成回路としてのスイッチング回路150および、電圧監視回路としての監視部161を有する監視IC160を備える。電源IC131は、外部のバッテリ130から電源電圧の供給を受け、レギュレータ132およびレギュレータ133のそれぞれで、マイコン120に供給する電源電圧(第二の電圧v2および第一の電圧v1)を生成して出力する。
【0027】
マイコン120に含まれる各回路は、レギュレータ133から供給される第一の電圧v1(例えば、3V)を電源として動作する第一の回路としての回路122と、レギュレータ132から供給される第二の電圧v2(例えば、5V)を電源として動作する第二の回路としての回路121と、に分類される。マイコン120のコア124は、マイコン120の外部に設けたスイッチング回路150によって生成された第三の電圧v3(例えば、1.25V)を電源として動作する。
【0028】
スイッチング回路150は、電圧制御部123からの信号でオンオフすることによってPWM制御され、レギュレータ133から供給される第一の電圧v1を降圧して第三の電圧v3を生成する。本実施例では、電圧制御部123は、回路122に含まれ、レギュレータ133から供給される第一の電圧v1を電源として動作するものであるが、電圧制御部123は、レギュレータ132から供給される第二の電圧v2を電源として動作するものであってもよい。
【0029】
監視IC160は、マイコン120の外部に設けられ、監視部161を有する。監視部161は、例えば、監視IC160内のCPUコアなどの演算部(不図示)によって構成される。監視部161は、スイッチング回路150における第三の電圧v3の生成元である第一の電圧v1の供給元のレギュレータ133とは異なる、レギュレータ132から供給される第二の電圧v2を電源として動作する。
【0030】
監視部161を含む監視IC160の演算部(不図示)は、マイコン120のコア124との間で双方向通信を行うものであり、例えば、一方から他方へ計算問題を送信し、他方から一方へその計算問題の解答を送信し、その解答の正誤により、互いが正しく動作していることを確認しあうことができる。
【0031】
監視部161は、スイッチング回路150によって生成された第三の電圧v3の電圧値を監視する。監視部161は、例えば、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内である場合には出力信号s1を出力しないが、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内ではない場合には出力信号s1を出力する。
【0032】
本実施例では、監視部161から出力される出力信号s1はマイコン120のリセット端子に入力され、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内ではない場合には出力信号s1によってマイコン120がリセットされる。また、監視部161から出力される出力信号s1は、電子制御装置110の外部にも出力される。この電子制御装置110から出力された出力信号s1が、電子制御装置110の外部に設けた別の制御装置(不図示)に入力されることで、その別の制御装置において電子制御装置110の異常を検出することもできる。
【0033】
図3は、本発明の実施例1に係る電子制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0034】
マイコン120では、電圧制御部123によってスイッチング回路150のPWM制御(コア電圧値の指示)を行い(ステップ1101)、スイッチング回路150はコア124に供給する第三の電圧v3を生成する。
【0035】
監視IC160の監視部161では、スイッチング回路150が生成した第三の電圧v3の電圧値(コア124に供給される電圧値)を測定し(ステップ1102)、この第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内であるか否かを判定する(ステップ1103)。
【0036】
ステップ1103において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内である場合には(ステップ1103:Yes)、そのまま処理を終了する。
【0037】
ステップ1103において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内でない場合には(ステップ1103:No)、ステップ1104を実行した後に処理を終了する。ステップ1104では、監視部161は出力信号s1を出力し、マイコン120は、この出力信号s1をリセット端子に入力され、リセットされる。
【0038】
本実施例によれば、上述のように構成することで、コア124に供給する電源電圧(第三の電圧v3)をマイコン120の外部で生成する(レギュレータ133から供給される第一の電圧v1を元にスイッチング回路150で生成する)構成において、コア124に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を監視部161で行うものであって、監視部161は、レギュレータ133とは別のレギュレータ132から供給される第二の電圧v2を電源として動作する回路であるので、レギュレータ133やスイッチング回路150の異常に影響されずに動作の信頼性を確保しながら、コア124に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を行うことができる。
【実施例2】
【0039】
図4は、本発明の実施例2に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【0040】
本実施例は、マイコン220が、1電源マイコン(1種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)である場合の例を示す。
【0041】
本実施例の電子制御装置210は、例えば、自動車に搭載されてエンジンやトランスミッションあるいはブレーキ等の電子制御に用いられる装置であって、この電子制御を行うマイコン220を有する。マイコン220は、マイコン220の演算部として動作するCPUコアであるコア224のほか、RAMやROMといったメモリや、外部との入出力を行う回路などの周辺回路を有して構成される。また、電子制御装置210は、詳しくは後述する、第一の電源回路としてのレギュレータ233を有する電源IC231、第二の電源回路としてのレギュレータ232、コア電圧生成回路としてのスイッチング回路250および、電圧監視回路としての監視部261を有する監視IC260を備える。電源IC231は、外部のバッテリ230から電源電圧の供給を受け、レギュレータ233で、マイコン220に供給する電源電圧(第一の電圧v1)を生成して出力する。レギュレータ232は監視IC260に供給する電源電圧(第二の電圧v2)を生成して出力する。レギュレータ232に対する電源電圧の供給は、レギュレータ233と同様に外部のバッテリ230から受けてもよく、他の構成であってもよい。
【0042】
マイコン220に含まれる各回路は、第一の回路であって、レギュレータ233から供給される第一の電圧v1(例えば、3V)を電源として動作する。マイコン220のコア224は、マイコン220の外部に設けたスイッチング回路250によって生成された第三の電圧v3(例えば、1.25V)を電源として動作する。
【0043】
スイッチング回路250は、電圧制御部223からの信号でオンオフすることによってPWM制御され、レギュレータ233から供給される第一の電圧v1を降圧して第三の電圧v3を生成する。本実施例では、電圧制御部223は、レギュレータ233から供給される第一の電圧v1を電源として動作するものであるが、電圧制御部223は、不図示の他の電圧を電源として動作するものであってもよい。
【0044】
監視IC260は、マイコン220の外部に設けられ、監視部261を有する。監視部261は、例えば、監視IC260内のCPUコアなどの演算部(不図示)によって構成される。監視部261は、スイッチング回路250における第三の電圧v3の生成元である第一の電圧v1の供給元のレギュレータ233とは異なる、レギュレータ232から供給される第二の電圧v2を電源として動作する。
【0045】
監視部261を含む監視IC260の演算部(不図示)は、マイコン220のコア224との間で双方向通信を行うものであり、例えば、一方から他方へ計算問題を送信し、他方から一方へその計算問題の解答を送信し、その解答の正誤により、互いが正しく動作していることを確認しあうことができる。
【0046】
監視部261は、スイッチング回路250によって生成された第三の電圧v3の電圧値を監視する。監視部261は、例えば、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内である場合には出力信号s1を出力しないが、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内ではない場合には出力信号s1を出力する。
【0047】
本実施例では、監視部261から出力される出力信号s1はマイコン220のリセット端子に入力され、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内ではない場合には出力信号s1によってマイコン220がリセットされる。また、監視部261から出力される出力信号s1は、電子制御装置210の外部にも出力される。この電子制御装置210から出力された出力信号s1が、電子制御装置210の外部に設けた別の制御装置(不図示)に入力されることで、その別の制御装置において電子制御装置210の異常を検出することもできる。
【0048】
本実施例によれば、上述のように構成することで、コア224に供給する電源電圧(第三の電圧v3)をマイコン220の外部で生成する(レギュレータ233から供給される第一の電圧v1を元にスイッチング回路250で生成する)構成において、コア224に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を監視部261で行うものであって、監視部261は、レギュレータ233とは別のレギュレータ232から供給される第二の電圧v2を電源として動作する回路であるので、レギュレータ233やスイッチング回路250の異常に影響されずに動作の信頼性を確保しながら、コア224に供給される電源電圧(第三の電圧v3)の監視を行うことができる。
【実施例3】
【0049】
図5は、本発明の実施例3に係る電子制御装置の処理を示すフローチャートである。
【0050】
本実施例のブロック図は、図2に示した実施例1のブロック図と同様であるので、図2および図5を参照して本実施例の処理を説明する。
【0051】
本実施例のマイコン120では、電圧制御部123によってスイッチング回路150のPWM制御(コア電圧値の指示)を行い(ステップ1201)、スイッチング回路150はコア124に供給する第三の電圧v3を生成する。
【0052】
監視IC160の監視部161では、スイッチング回路150が生成した第三の電圧v3の電圧値(コア124に供給される電圧値)を測定し(ステップ1202)、この第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内であるか否かを判定する(ステップ1203)。
【0053】
ステップ1203において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内である場合には(ステップ1203:Yes)、そのまま処理を終了する。
【0054】
ステップ1203において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内でない場合には(ステップ1103:No)、再度、電圧制御部123によってスイッチング回路150のPWM制御(ステップ1202で測定した電圧値が適正範囲よりも低ければ電圧値を上げるように制御し、ステップ1202で測定した電圧値が適正範囲よりも高ければ電圧値を下げるように制御する)を行い(ステップ1204)、スイッチング回路150はコア124に供給する第三の電圧v3を生成する。
【0055】
監視IC160の監視部161では、スイッチング回路150が生成した第三の電圧v3の電圧値(コア124に供給される電圧値)を測定し(ステップ1205)、この第三の電圧v3の電圧値が適正範囲(例えば、1.15V〜1.35Vの範囲)内であるか否かを判定する(ステップ1206)。
【0056】
ステップ1206において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内である場合には(ステップ1206:Yes)、そのまま処理を終了する。
【0057】
ステップ1206において、第三の電圧v3の電圧値が適正範囲内でない場合には(ステップ1206:No)、ステップ1207を実行した後に処理を終了する。ステップ1207では、監視部161は出力信号s1を出力し、マイコン120は、この出力信号s1をリセット端子に入力され、リセットされる。
【0058】
上述のように本実施例では、ステップ1204において、ステップ1202で測定したコア電圧値に基づいて電圧制御部123によるスイッチング回路150のPWM制御の際にフィードバック制御を行う。監視IC160とマイコン120とは、上述のように双方向通信を行うため、ステップ1202における監視部161によるコア電圧値の測定結果はマイコン120に送信され、これを受信したマイコン120では、ステップ1204において、コア電圧値の測定結果に基づいたフィードバック制御で電圧制御部123を動作させることができる。なお、ステップ1204におけるフィードバック制御は一回だけ行ってコア電圧値が適正範囲内にならない場合には出力信号s1を出力してマイコン120をリセットするようにしてもよいし、複数回のフィードバック制御を行ってもよい。また、ステップ1204におけるフィードバック制御は予め定めた一定の時間内で複数回行い、その一定の時間を経過してもコア電圧値が適正範囲内にならない場合には出力信号s1を出力してマイコン120をリセットするようにしてもよい。
【0059】
なお、上述の各実施例では、マイコンが一つのコアを有する構成に本発明を適用した例を説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、複数のコアを有するマイコンに対しても適用可能なものであり、複数のコアの全てに対して電源電圧の監視を行うものであってもよいし、複数のコアのいずれかに対して電源電圧の監視を行うものであってもよい。また、複数のコアのそれぞれは、同一の電源電圧で動作するものであってもよいし、異なる電源電圧で動作するものであってもよい。
【0060】
<付記1>
なお、以上説明した実施形態は、
1.
第一の電圧を供給する第一の電源回路と、
第二の電圧を供給する第二の電源回路と、
前記第一の電源回路から供給される前記第一の電圧を用いて、第三の電圧を生成するコア電圧生成回路と、
前記第一の電源回路が供給する前記第一の電圧によって動作する第一の回路、および前記コア電圧生成回路が生成する前記第三の電圧によって動作するCPUコアを有し、車両の電子制御を行うマイコンと、
前記第二の電源回路が供給する前記第二の電圧によって動作し、前記コア電圧生成回路が生成した前記第三の電圧の電圧値を監視する電圧監視回路と、
を備える、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・CPUコアに供給する電源電圧をマイコンの外部で生成する構成において、CPUコアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる電子制御装置を提供することができる。
・マイコンが1電源マイコン(1種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)の場合であっても、マイコンが2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)の場合であっても、CPUコアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる電子制御装置を提供することができる。
【0061】
また本実施形態は、
2.
1.に記載の電子制御装置において、
前記マイコンは、前記第二の電源回路が供給する前記第二の電圧によって動作する第二の回路をさらに備える、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・マイコンが2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)の場合であっても、コアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる電子制御装置を提供することができる。
・また、2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)に供給する2種類の電源電圧のうち、コア電圧生成部に供給する電源電圧(例えば、レギュレータ133による電圧)とは別の電源電圧(例えば、レギュレータ132による電圧)によって電圧監視部を駆動するようにしたので、マイコンを動作させるために備えていた電源のほかに新たな電源を設ける必要がなく、コストの増大を抑えることができる場合がある。
【0062】
また本実施形態は、
3.
1.に記載の電子制御装置において、
前記電圧監視回路は、前記第二の電圧の電圧値が適正範囲内にない場合には、前記マイコンをリセットする、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・コア電圧値が適正範囲内にない場合に、コアの誤動作を防ぐことができる場合がある。
【0063】
また本実施形態は、
4.
1.に記載の電子制御装置において、
前記マイコンは、前記コア電圧生成回路が生成する前記第三の電圧の電圧値を制御する電圧制御回路をさらに有し、
前記コア電圧生成回路は、前記電圧制御回路からの制御によって、前記第三の電圧の電圧値を変更可能である、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・例えばコアの仕様に合わせ、電圧制御回路によってコア電圧値を任意に変更可能な場合がある。
【0064】
また本実施形態は、
5.
4.に記載の電子制御装置において、
前記電圧監視回路は、前記第三の電圧の電圧値の監視結果を前記電圧制御回路に通知し、
前記電圧制御回路は、前記電圧監視回路からの前記監視結果に基づいて、前記コア電圧生成回路を制御する、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・コア電圧値が適正範囲内にない場合に、フィードバック制御を行い、コア電圧値を適正範囲内に調整可能な場合がある。
【0065】
また本実施形態は、
6.
1.に記載の電子制御装置において、
一つの電源ICが、前記第一の電源回路、および前記第二の電源回路を備える、
ことを特徴とする電子制御装置、としたので、
・電源ICの増加を防ぎながら、CPUコアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる場合がある。
【0066】
<付記2>
なお、以上説明した実施形態は、
1.
第一の電圧(例えば、レギュレータ133による電圧)及び第二の電圧(例えば、レギュレータ132による電圧)を供給する電源(例えば、電源IC131)と、
演算処理を行うコア(例えば、コア124)と、
前記電源から供給される前記第二の電圧によって動作する周辺処理部(例えば、回路121)と
前記電源から供給される前記第一の電圧を用いて前記コアに対して供給される電圧を生成するコア電圧生成部(例えば、スイッチング回路150)と、
前記コア電圧生成部で生成する電圧を制御する電圧制御部(例えば、電圧制御部123)と、
前記コア電圧生成部が生成した電圧を監視する電圧監視部(例えば、監視部161)と、を備え、
前記電圧監視部は、前記第二の電圧によって駆動される、
ことを特徴とする車載処理装置(例えば、電子制御装置110)、としたので、
・マイコンが2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)の場合であっても、コアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる車載処理装置(例えば、電子制御装置)を提供することができる。
・また、2電源マイコン(2種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)に供給する2種類の電源電圧のうち、コア電圧生成部に供給する電源電圧(例えば、レギュレータ133による電圧)とは別の電源電圧(例えば、レギュレータ132による電圧)によって電圧監視部を駆動するようにしたので、マイコンを動作させるために備えていた電源のほかに新たな電源を設ける必要がなく、コストの増大を抑えることができる場合がある。
【0067】
また、以上説明した実施形態は、
2.
電源(例えば、電源IC231)と、
演算処理を行うコア(例えば、コア224)と、
前記電源から供給される電圧を用いて前記コアに対して供給される電圧を生成するコア電圧生成部(例えば、スイッチング回路250)と、
前記コア電圧生成部で生成する電圧を制御する電圧制御部(例えば、電圧制御部223)と、
前記コア電圧生成部が生成した電圧を監視する電圧監視部(例えば、監視部261)と、を備え
前記コアと、前記電圧制御部とは、演算装置(例えば、マイコン220)に備えられ、
前記電源電圧生成部は、前記演算装置の外部に設けられ、
前記コア電圧監視部は、前記演算装置の外部に設けられ、前記電源とは別に設けられた電源(例えば、レギュレータ232の電源)を用いる、
ことを特徴とする車載処理装置、としたので、
・マイコンが1電源マイコン(1種類の電源電圧の供給を受けて動作するマイコン)の場合であっても、コアに供給される電源電圧の監視を、動作の信頼性を確保しながら行うことができる車載処理装置(例えば、電子制御装置)を提供することができる。
・また、マイコンを動作させる電源電圧(電源IC231のギュレータ233による電圧)とは別の電源電圧(例えば、レギュレータ232による電圧)によって電圧監視部を駆動するようにしたので、電圧監視部の動作とマイコンの動作とが独立し、コアに供給される電源電圧の監視を、より信頼性高く実施することができる場合がある。
【0068】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…電子制御装置、2…マイコン、3…第二の電源回路、4…第一の電源回路、5…コア電圧生成回路、6…電圧監視回路、7…第二の回路、8…第一の回路、9…電圧制御回路、10…コア。
図1
図2
図3
図4
図5