(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定磁性体、自由磁性体、及び前記固定磁性体と前記自由磁性体との間に介在された絶縁体を備える磁気トンネル接合及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線を含む磁気トンネル接合素子において、
前記固定磁性体は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜であり、
前記自由磁性体は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造であり、
Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造であることを示し、
前記自由磁性体内で隣り合う2つの磁性層は、前記自由非磁性層を通じたRKKY(Ruderman−Kittel−Kasuya−Yosida)交換相互作用によって、互いに反対方向の磁化を有し、
前記メイン自由磁性層及び前記補助自由磁性層は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜であり、
前記メイン自由磁性層は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線と隣接して配置され、
前記絶縁体に隣接した前記補助自由磁性層以外の前記自由磁性体内の他の磁性層の厚さは、バルクトルク(bulk−torque)の特性を発現するために、強磁性コヒーレンス長より小さいことを特徴とする磁気トンネル接合素子。
前記自由磁性体に含まれた磁性層のうち、前記絶縁体に隣接した前記補助自由磁性層を除いた全ての磁性層のそれぞれの厚さが1nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
前記補助自由磁性層及び前記メイン自由磁性層それぞれは、互いに異なる物質からなるか、又は互いに異なる厚さからなることを特徴とする請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
前記固定磁性体は、順に積層された第1固定磁性層、固定非磁性層、及び第2固定磁性層からなる反磁性体(Synthetic Antiferromagnet)構造として、
前記第1固定磁性層及び第2固定磁性層は、それぞれ独立的にFe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含み、
前記固定非磁性層は、Ru、Ta、Cu、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
前記絶縁体は、AlOx、MgO、TaOx、ZrOx、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
前記面内電流を印加する導線は、Cu、Ta、Pt、W、Bi,Ir、Mn,Ti、Cr、O、及びこれらの混合物のうち、選択される物質からなることを特徴とする請求項1に記載の磁気トンネル接合素子。
前記自由磁性体に含まれた磁性層のうち、前記絶縁体に隣接した前記補助自由磁性層を除いた全ての磁性層のそれぞれの厚さが1nm以下であることを特徴とする請求項20に記載の磁気メモリ素子。
前記補助自由磁性層及び前記メイン自由磁性層それぞれは、互いに異なる物質からなるか、又は互いに異なる厚さからなることを特徴とする請求項20に記載の磁気メモリ素子。
前記第1導電パターンは、Cu、Ta、Pt、W、Bi、Ir、Mn、Ti、Cr、O、及びこれらの混合物の中から選択される物質からなることを特徴とする請求項20に記載の磁気メモリ素子。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施例によると、導線に面内電流を印加してスピンホール又はラシュバ効果による膜面に垂直方向に磁化された自由磁性体に隣接した導線に面内電流を印加してスピンホール又はラシュバ効果によるスピン軌道スピントルクを発生させる。このスピン軌道スピントルクが磁気トンネル接合で自由磁性体の磁化を反転させるか、又は磁区壁(magnetic domain wall)などの磁区を移動させる。自由磁性体が[磁性層/非磁性層]N/磁性層構造である。この時、Nは、[磁性層/非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造であることを示し、全体の自由磁性体構造内で互いに最近接する 任意の2つの磁性層は、Ruderman−Kittel−Kasuya−Yosida(RKKY)交換相互作用によって、互いに反対方向の磁化を有する。[磁性層/非磁性層]N/磁性層構造の一端に位置した磁性層は、スピン流を発生させる導線と隣接して配置され、他端に位置した磁性層は、絶縁体と隣接して配置される。
【0014】
本発明による磁気トンネル接合は、自由磁性体に隣接した導線内に流れる電流によって発生したスピン軌道スピントルクを用いて、自由磁性体の磁化反転又は磁区構造の移動を誘導する。導線に面内方向に流れる電荷電流は、導線のスピン軌道結合によってスピン流に転換される。このスピン流が導線に隣接した自由磁性体にスピン軌道スピントルクを印加する。その結果、スピン軌道スピントルクは、自由磁性体の磁化を反転させるか、又は持続的に回転させる素子、あるいは自由磁性体の磁区構造を移動させる素子を提供する。
【0015】
垂直磁気異方性を有する自由磁性体に対して、導線に流れる面内電流によって発生するスピン軌道スピントルクによる自由磁性体の磁化反転のために必要な臨界電流Icは、次の[数学式1]のように示す[K.−S.Lee、S.−W.Lee、B.−C.Min、K.−J.Lee、Applied Physics Letters 102、112410(2013)]。
【数1】
【0016】
前記[数学式1]において、
【数2】
は、Planck定数を2Πに割った値であり、е(=1.6×10-19 C)は、電子の電荷量、ΘSHは、導線物質及び自由磁性体によって決定される有効スピンホール角度であり、MSは、磁性体の飽和磁化量、dは、自由磁性体の厚さ、Aは面内電流が流れる面積、HK,effは、自由磁性体の垂直方向磁気異方性磁界、Hxは、自由磁性体に印加された面内方向(電流の流れと同一)の磁場である。
【0017】
一方、高集積素子のためにメモリ単位セルのサイズを小さくすると、常温での熱エネルギによって記録された磁化方向が任意的に変わる超常磁性限界(superparamagnetic limit)が発生する。超常磁性限界は、記録された磁気情報が意に反して削除される問題を引き起こす。熱エネルギに抵抗して平均的に磁化方向が維持される時間(Τ)は、次の[数学式2]に示す。
【数3】
【0018】
前記[数学式2]において、Τ0は試図周波数の逆数で1ns程度であり、Keffは有効垂直磁気異方性エネルギ密度(Keff=HK,effMS/2)、Vは自由磁性体の体積、AFは自由磁性体の断面積、kBはボルツマン定数(=1.381×10−16 erg/K)、Tはケルビン温度である。ここで、 KeffV/kBTは磁気メモリ素子の熱的安定性係数(Δ)に定義される。不揮発性メモリとしての商用化のためには、一般的に常温で熱的安定性係数Δ>50の条件が満足されなければならない。
【0019】
前記の[数学式1]と[数学式2]からスピン軌道スピントルクを用いる磁気トンネル接合の臨界電流Icと熱的安定性係数Δが、いずれも自由磁性体の厚さdが大きくなるにつれて増加することが分かる。つまり、高い熱的安定性を確保するために自由磁性体を厚くする場合、磁化反転に要る電流がさらに必要とする。その結果、素子駆動のための電力消耗が大きくなるという問題点がある。このように従来の磁気トンネル接合及び磁気メモリ素子は、臨界電流Icと熱的安定性係数Δが、いずれも自由磁性体の厚さdに比例するという問題点を有する。したがって、臨界電流Icを減少させた低電力駆動と自由磁性体の厚さdを増加させて、熱的安定性の向上を同時に満たす素子の具現が難しくなる。
【0020】
本発明の目的は、従来スピン軌道スピントルクを用いて磁化方向を反転又は操作する磁気トンネル接合構造で、臨界電流Icと熱的安定性係数Δがいずれも自由磁性体の厚さdに比例する問題によって、低い臨界電流と高い熱的安定性を同時に得ることができないという問題点を解決するための新しい構造の自由磁性体を含む磁気トンネル接合を提供することにある。
【0021】
従来の磁気トンネル接合構造で、臨界電流Icが自由磁性体の厚さdに比例する理由は、スピン軌道スピントルクを発生させるスピン流が全て自由磁性体の表面で吸収されるためである。このようなスピントルクの特性を“surface−torque特性”と言う。表面トルク(Surface−torque)の特性は、自由磁性体内で量子力学的なスピンの空間的歳差運動によって説明される[M.D.Stiles and A.Zangwill、Physical Review B 66、014407(2002)]。自由磁性体に隣接した導線に流れる面内電流は、スピンホール又はラシュバ効果によって垂直方向に流れるスピン流を作る。このスピン流は、自由磁性体に入射する。磁性体は、アップスピンとダウンスピンのフェルミ波ベクトル(Fermi wave vector)が異なるため、自由磁性体の磁気モーメント方向と異なる方向を有するスピンが自由磁性体に入射すると、このスピンは、磁気モーメントの周りを速く歳差運動し、空間的に進行する。この時スピン歳差運動の空間的波長(spatial wavelength)は、入射する電子の方向によって異なる。
【0022】
固体内で特定の方向に電流が流れる場合にも、電流を構成している各電子の方向は、電子バンドのフェルミ表面上、全ての方向を有する。他の方向に移動するスピンは、それぞれ互いに異なる波長を有して歳差運動をするため、空間的にとても速いスピン位相差(dephasing)が発生する。これを全て考慮すると、磁気モーメントと異なる方向を有するスピン成分は、自由磁性体の表面から一定の距離内でのみ存在する。この距離以上では、磁気モーメント方向と同一になる。この距離を強磁性コヒーレンス長(ferromagnetic coherence length)Λcと言い、次のように与えられる[A.A.Kovalev、G.E.W.Bauer、A.Brataas、Physical Review B 73、054407(2006)]。
【数4】
【表1】
【0023】
このように臨界電流Icが自由磁性体の厚さdに比例する問題点を解決するために、自由磁性体が複数の磁性層で構成されていて、各磁性層の磁気モーメントが電流の流れる方向に沿って反復的に反転する構造を提案する。より詳しくには、提案する自由磁性体は、[磁性層/非磁性層]が繰り返された構造を含み、非磁性層を通じたRKKY交換相互作用によって、最近接する2つの磁性層の磁化方向が互いに反対方向を有する。このように互いに反対方向の磁化が反復的に配列された構造によって、自由磁性体内でアップスピンとダウンスピンの効果的(effective)エネルギ差が縮小する。効果的エネルギ差の減少は、自由磁性体全体の効果的
【数5】
が減少するという結果を作る。強磁性コヒーレンス長Λcが
【数6】
に比例するので、このように互いに反対方向の磁化が反復的に配列された構造での強磁性コヒーレンス長Λcは、全て一方向の磁化を有する既存の自由磁性体の強磁性コヒーレンス長Λcに比べて、はるかに長くなる。その結果、表面トルクの特性が消え、バルクトルク(bulk−torque)の特性が発現される。このようなバルク(bulk−torque)特性によって自由磁性体の厚さdを増やせば、スピン軌道スピントルクの大きさが同じような比率で増加する。したがって、臨界電流Icが自由磁性体の厚さdが増加しても、その増加幅が大きくないか、又は理想的な場合には臨界電流Icがdと無関係になる。
【0024】
提案した新しい自由磁性体構造でバルクトルク(bulk−torque)の特性が実際に発現することをシミュレーションを通じて確認した。
【0025】
本発明による磁気トンネル接合は、電流が自由磁性体に隣接した道線に沿って面内方向に流れる時、スピンホール又はラシュバ効果によって発生したスピン流が自由磁性体の表面で全て吸収されることでなく、自由磁性体の厚さ全体で相対的に均一に吸収される特性を用いる。これによって、スピン軌道スピントルクの効率は、自由磁性体の厚さに反比例せず相対的に厚さに無関係な特性を有する。このために、自由磁性体は、[磁性層/非磁性層]N/磁性層構造で構成される。[磁性層/非磁性層]単位構造の繰り返し回数を示すNを増加させて、自由磁性体の全体の厚さを増加させると、全体の磁気体積が増加して、熱的安定性が増加する。したがって、高い熱的安定性と低い臨界電流を同時に確保することができる。その結果、非常に小さな大きさの断面積を有する磁気トンネル接合を用いても、自由磁性体全体の厚さを増加させて、不揮発性の確保(例えば、熱的安定性係数Δ>50)が可能であり、同時に厚さ全体に対して均一にスピントルクが吸収される特性を用いて、低い臨界電流を確保する。したがって、低電力駆動と高い熱的安定性を備えた超高集積不揮発性素子が可能である。
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。以下、好ましい実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。しかし、この実施例は、本発明をより具体的に説明するためなもので、実験条件、物質種類などによって本発明が制限、又は限定されないことは、当業者の通常の知識を有した者にとって自明である。本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形で具体化される。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底し、完全になるように、そして、当業者に本発明の思想が十分に伝えられるように提供される。図面において、構成要素は、明確性を期するため誇張される。明細書全体に渡って、同一の参照番号で表示された部分は、同一の構成要素を示す。
【0027】
図2A及び
図2Bは、本発明の一実施例による磁気トンネル接合及び自由磁性層の磁化方向を説明する概念図である。
【0028】
図2A及び
図2Bに示すように、磁気トンネル接合素子100は、固定磁性体140、自由磁性体120、及び前記固定磁性体140と前記自由磁性体120との間に介在された絶縁体130を備える磁気トンネル接合101及び前記磁気トンネル接合101の前記自由磁性体120に隣接して、前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線110を含む。
【0029】
前記自由磁性体120の外部から発生する磁場が自由磁性体に印加されるか、又は前記外部磁場を代替できるように、磁気トンネル接合素子の構造が変更される。
【0030】
前記固定磁性体140は、固定された磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層120a〜120n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層126構造である。Nは、2以上の自然数で、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、面内電流によって、スピン流を発生させる導線110と隣接して配置される。
【0031】
前記導線110は、面内方向に流れた面内電流によってスピンホール(spin Hall)又はラシュバ(Rashiba)の効果によってスピン軌道スピントルク(spin orbitspin torque)を発現する。スピン軌道スピントルクは、自由磁性層120の磁化を反転させるか、又は磁区構造を移動させる。前記導線110は、断層構造又は他の物質で形成された複層構造である。前記導線110は、スピンホール効果又はラシュバ効果を発生させる重金属物質である。前記導線110は、Cu、Ta、Pt、W、Bi、Ir、Mn、Ti、Cr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つの物質を含む。前記導線110は、β−Ta、Pt、β−W、Pd、又はCrのような重金属である。前記導線110は、酸素のような不純物でドーピングされる。
【0032】
磁気トンネル接合101は、順に積層された固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を含む。前記磁気トンネル接合101は、自由磁性体を含む限り多様に変形される。前記磁気トンネル接合素子100は、全体的に覆る。
【0033】
前記絶縁体110は、トンネル絶縁層を含む。前記絶縁体110は、AlOx、MgO、TaOx、ZrOx、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる薄膜である。
【0034】
前記固定磁性体140は、強磁性物質を含み、前記固定磁性体140は、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。具体的に、前記固定磁性体140は、Co、CoFe、CoFeB、CoNi、又はNiFeである。
【0035】
前記固定磁性体140は、順に積層された第1固定磁性層、固定非磁性層、及び第2固定磁性層からなる反磁性体(Synthetic Antiferromagnet)構造である。前記第1固定磁性層及び第2固定磁性層は、それぞれ独立的にFe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含み、前記固定非磁性層は、Ru、Ta、Cu及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。
【0036】
前記固定磁性体140は、順に積層された反強磁性層、第1固定磁性層、固定非磁性層、及び第2固定磁性層からなる交換バイアスされた反磁性体構造である。前記反強磁性層は、Ir、Pt、Mn、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。前記第1固定磁性層及び第2固定磁性層それぞれは、強磁性体物質を含み、それぞれ独立的にFe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。前記固定非磁性層は、Ru、Ta、Cu、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。
【0037】
前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a/自由非磁性層124a]で構成された単位構造120aがN回繰り返された構造を含み、最近接する2つの補助自由磁性層(例えば、122a、122b)は、自由非磁性層124aを通じたRKKY(Ruderman−Kittel−Kasuya−Yosida)交換相互作用によって、互いに反対方向の磁気モーメント(又は、磁化)を有する。同一の理由によって、前記メイン自由磁性層126の磁化方向は、最も隣接した補助自由磁性層122nの磁化方向と反対方向を有する。
【0038】
前記補助自由磁性層122a〜122nは、全て垂直磁気異方性を有し、面に垂直な磁化方向を有し、隣り合った補助磁性層は、互いに反対方向の磁化方向性を有する。また、前記メイン自由磁性層126と前記メイン自由磁性層に最も隣接した補助自由磁性層122nは、互いに異なる磁化方向性を有する。前記補助自由磁性層122a〜122n及び前記メイン自由磁性層126は、前記スピン流によって同時に磁化反転される。
【0039】
前記自由磁性体120が2回以上繰り返して積層される[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜122n]を有する。
【0040】
前記補助自由磁性層122a〜122n及び前記メイン自由磁性層126それぞれは、互いに異なる物質からなるか、又は互いに異なる厚さからなる。例えば、前記トンネル絶縁層130に隣接した前記補助自由磁性層122aは、前記磁気トンネル接合101のトンネル磁気抵抗を決定する。トンネル磁気抵抗は、前記磁気トンネル接合101を含む磁気素子の再生信号の大きさを決定するので、大きいほど素子駆動に有利である。したがって、高いトンネル磁気抵抗を有するために、前記補助自由磁性層122aの物質及び厚さは、他の補助自由磁性層122b〜122n、126と異なる。また、前記導線110に隣接した前記メイン自由磁性層126は、界面効果によって前記自由磁性体120に入射するスピン流の大きさに影響を与える。したがって、大きなスピントルクを確保するために、前記メイン自由磁性層126の物質及び厚さは、他の補助自由磁性層122a〜122nと異なる。また、互いに最近接する2つの磁性層(例えば、122aと122b、又は122cと122d、又は122nと126)の物質又は厚さを異なるようにして、磁化反転又は磁区駆動効率を増加させる。
【0041】
具体的に、前記トンネル絶縁層130に隣接した前記補助自由磁性層122aは、CoFeBを含み、以外の自由磁性体120内の他の磁性層は、CoFe、Coなどで構成される。又は、前記トンネル絶縁層130に隣接した前記補助自由磁性層122aの厚さは、高いトンネル磁気抵抗の確保のために1nmより大きい。又は、前記補助自由磁性層122a以外の自由磁性体120内の他の磁性層は、バルクトルク(bulk−torque)の特性を発現するために、強磁性コヒーレンス長Λcより小さい1nm以下である。
【0042】
前記導線110内にx軸方向に流れる面内電荷電流を構成するアップスピンとダウンスピンの電子は、スピン軌道相互作用によって互いに異なる方向に偏向される(例えば、y軸方向)。前記面内電荷電流方向に垂直な全ての方向にスピン流が発生する。この時、各方向に発生したスピン流は、その方向に垂直偏向したスピン成分を有する。
【0043】
前記導線110内の面内電流がx方向に流れる場合、発生したスピン流のうち−z方向成分(自由磁性体に入射するスピン流)は、前記導線110及びこれに隣接したメイン自由磁性層126の物質の種類によってy方向又は−y方向のスピン成分
【数7】
を有し、前記自由磁性体120に流れ込む。このように流れ込んだスピン流によって、自由磁性体はスピン軌道スピントルクを受ける。
【表2】
【0044】
図3は、従来の磁気トンネル接合と本発明の一実施例による磁気トンネル接合のスピン流のx方向成分(sx)を示す図面である。
【0045】
図2A及び
図2Bに示すように、本発明の一実施例による磁気トンネル接合101は、自由磁性体120は[補助自由磁性層122a/自由非磁性層124a]で構成された単位構造120aがN回繰り返された構造を含む。
【0046】
図3は、本発明の磁気トンネル接合に対して非平衡グリーン関数法(NEGF:Non−Equilibrium Green Function technique)に基づいて量子力学的に計算されたスピン流のx方向成分(sx)を自由磁性体の厚さ方向軸(z)について図示している。この時、sxは、特定zで計算された局部的な値であり、自由磁性体120と導線110の界面は、z=0に位置する。
【0047】
図1に示すように、従来の磁気トンネル接合10の場合、強磁性コヒーレンス長Λcが大変短いため、スピン成分(sx)が自由磁性体の表面(z=0)から1nmより短い区間内で、ほぼ0になる。これは、既存の磁気トンネル接合100でスピン軌道スピントルクが表面トルクであることを示す。
【0048】
図2に示すように、本発明による磁気トンネル接合100の場合、スピン軌道スピントルクを決定するスピン成分(sx)が自由磁性体の表面(z=0)ではるかに遠い距離まで0でない状態を維持することが分かる。これは、本発明による磁気トンネル接合100でスピン軌道スピントルクがバルクトルクであることを示す。
【0049】
図4は、
図3のスピン成分の自由磁性体の厚さの平均値を各厚さに応じて示すグラフである。
【0050】
図4に示すように、
図3に示した局部的スピン成分sxをそれぞれ異なる厚さを有する自由磁性体の全体の厚さに対して平均を出した値(=<sx>)を示している。この時<sx>は、次のように定義される。
【数8】
【0051】
ここで<sx>は、dの厚さを有する自由磁性体が実際に感じる全体スピン軌道スピントルクと比例する。
【0052】
図1に示すように、従来の磁気トンネル接合10の場合、強磁性コヒーレンス長Λcが大変短いため、<sx>が1/dの依存性を有する。つまり、自由磁性体の厚さdが増加すると、スピントルク効率が1/dに減る。
【0053】
図2Aと2Bに示すように、本発明による磁気トンネル接合100の場合、<sx>のdに対する依存性がほとんどなく、これは自由磁性体の厚さdが増加してもスピントルク効率が維持されることを示す。
【0054】
以下、非平衡グリーン関数法に基づいて、量子力学的なモデリングが説明される。
【0055】
本発明による磁気トンネル接合でのスピン軌道スピントルクの特性を非平衡グリーン関数法(NEGF:Non−Equilibrium Green Function technique)[S.Datta、Superlattice and Microstructures 28、4(2000);S.Datta、Quantumtransport:atom to transistor.Cambridge University Press(2005)に基づいて量子力学的なモデリングを通じて確認した。既存の磁気トンネル接合構造[スピン分極層(SP)/非磁性体(NM)/自由磁性体(磁性層(FM))]と本発明による磁気トンネル接合構造[スピン分極層(SP)/非磁性体(NM)/自由磁性体([磁性層(FM)/非磁性層(NM)]の繰り返し構造)に対して使用されたTight−BindingハミルトニアンHは、[数学式5ないし7]のようである。
【数9】
【表3】
【0056】
モデリングでは、表面グリーン関数(surface Green function)[T.Ozaki、K.Nishio、H.Kino、Physical Review B 81、035116(2010)]を自体エネルギの行列
【数10】
に適用して、それぞれ一方に無限のスピン分極層と自由磁性体を考慮した。前述したハミルトニアンと磁気エネルギ行列からスピン密度は、[数学式8ないし10]によって与えられる。
【数11】
【0057】
ここで、Gはグリーン関数であり、Eはエネルギであり、Iは単位行列であり、Gnはcorrelation関数であり、
【数12】
は電子密度であり、
【数13】
は電圧印加に従う非平衡電子密度である。
【0058】
導線のスピンホール又はラシュバ効果によるスピン流がy方向のスピンを有することを模写するために、スピン分極層の磁化をy方向に設定した。既存の磁気トンネル接合10の場合、自由磁性体の全てのサイト(site)での磁化方向を+z方向に設定した。本発明の一実施例による磁気トンネル接合100の場合、自由磁性体を構成する磁性層のうち、奇数番目の磁性層の磁化は、+z方向に設定し、偶数番目の磁性層の磁化は、−z方向に設定した。
【0059】
実験例1.本発明による磁気トンネル接合の自由磁性体でx成分非平衡スピン密度の空間的変化
【0060】
(1)
図3は、既存の磁気トンネル接合10と、本発明による磁気トンネル接合100に対して非平衡グリーン関数法に基づいて量子力学的に計算されたスピン流のx方向成分(sx)を自由磁性体の厚さ方向軸(z軸)に対して図示している。この時、スピン成分sxは、特定zで計算された局部的な値であり、自由磁性体の表面は、z=0に位置する。
【0061】
(2)使用された物性値は、以下の通りである。
格子間隔=0.25nm、自由磁性体を構成する磁性層の厚さ=0.25nm、自由磁性体を構成する非磁性層の厚さ=0.25nm、自由磁性体の外に存在する非磁性層の厚さ=2.5nm、Hopping constant t=1.0 eV、電子質量=9.1×10-31kg、スピン分極層の交換エネルギ=0.8 eV、自由磁性体を構成する磁性層の交換エネルギ=0.8 eV、フェルミエネルギ=4.1 eV
【0062】
(3)
図3に示すように、既存の磁気トンネル接合100の場合、強磁性コヒーレンス長Λcが大変短いため、スピン成分が自由磁性体の表面(z=0)から1nmより短い区間内でほぼ0になる。これは、既存の磁気トンネル接合100でスピン軌道スピントルクが表面トルクであることを示す。
【0063】
これに反して、本発明による磁気トンネル接合100の場合、スピン軌道スピントルクを決定するsxが自由磁性体の表面(z=0)ではるかに遠い距離まで0でない状態を維持することが分かる。これは、本発明による磁気トンネル接合200でスピン軌道スピントルクがバルクトルクであることを示す。
【0064】
実験例2.本発明による磁気トンネル接合の自由磁性体に印加される全体スピン軌道スピントルクと自由磁性体の厚さの関係
【0065】
(1)
図4は、
図3に示した局部的sxを互いに異なる厚さを有する自磁性体の全体の厚さに対して平均を出した値(=<sx>)を示している。この時<sx>は、前記[数学式4と定義され、<sx>は、dの厚さを有する自由磁性体が実際に感じる全体スピン軌道スピントルクと比例する。
【0066】
(2) 使用された物性値は、実験例1と同一である。
【0067】
(3)
図4に示すように、従来の磁気トンネル接合10の場合、<sx>が1/dの依存性を有する。つまり、自由磁性体の厚さdが増加すると、スピントルク効率が約1/dに減る。
【0068】
これに反して、本発明による磁気トンネル接合100の場合、<sx>のdに対する依存性がほとんどなく、これは自由磁性体の厚さdが増加してもスピントルク効率が維持されることを示す。
【0069】
本発明による磁気トンネル接合での臨界電流Icの自由磁性体の厚さによる依存性を微小磁気学を通じて確認した。磁化の運動方程式は[数学式11]のようである。
【数14】
【0070】
[数学式11]で、γは磁気回転定数、Heffは自由磁性体120の全ての有効磁場ベクトル、αはGilbert減衰定数であり、NSOTはスピン軌道スピントルクである。
【0071】
実験例3.本発明による磁気トンネル接合に対して、自由磁性体の厚さdによる臨界電流Icの変化
【0072】
図5は、既存の磁気トンネル接合と本発明による磁気トンネル接合で自由磁性体の厚さdによる磁化反転のための臨界電流Icの変化を示す。
【0073】
図5に示すように、既存の磁気トンネル接合10の場合、臨界電流Icがdに比例する結果が得られ、これはスピントルク効率が1/dの依存性を有するためである。これは[数学式1]によって予測される結果と同じである。
【0074】
これに反して、本発明による磁気トンネル接合100の場合、臨界電流Icがdとほぼ関係なく一定の結果が得られ、これは自由磁性体の厚さを増やしても磁化反転又は磁区構造移動に必要な電流の大きさがほとんど変わらないことを示す。
【0075】
(1)
図5は、従来の磁気トンネル接合10と本発明による磁気トンネル接合100で自由磁性体の厚さdによる磁化反転のための臨界電流Icの変化を示す。この時、臨界電流Icをd=0.6nmでの臨界電流によって正常化して図示した。従来の磁気トンネル接合の場合、表面トルクの特性(非平衡スピン密度が自由磁性体の表面でのみ0でなく、他の所では0である)を仮定した。本発明による磁気トンネル接合の場合、バルクトルクの特性(非平衡スピン密度が空間的に均一である)を仮定した。
【0076】
(2)素子の構造と物性値は、以下の通りである。
自由磁性体の断面積=30×30 nm2、
既存の磁気トンネル接合と本発明による磁気トンネル接合の自由磁性体を構成する磁性層の共通物性:“飽和磁化値(MS)=1000 emu/cm3、Gilbert減衰定数(α)=0.02、垂直磁気異方性エネルギ(K)=7.2×106 erg/cm3、有効スピンホール角度絶対値(|ΘSH|)=0.1”
本発明による磁気トンネル接合の自由磁性体を構成する磁性層にのみ適用された物性:“各磁性層の厚さ=0.3nm、互いに最近接する磁性層の間のRKKY交換エネルギ=2.5×10−7erg/cm”
【0077】
(3)
図5に示すように、既存の磁気トンネル接合10の場合、臨界電流Icがdに比例する結果が得られ、これは、スピントルク効率が1/dの依存性を有するためで、これは[数学式1]によって予測される結果と同じである。
【0078】
これに反して、本発明による磁気トンネル接合100の場合、臨界電流Icがdとほぼ関係なく一定の結果が得られ、これは自由磁性体の厚さを増やしても磁化反転又は磁区構造移動に必要な電流の大きさがほとんど変わらないことを示す。
【0079】
図6は、本発明による磁気トンネル接合で自由磁性体の厚さdによる熱的安定性係数Δの変化を示す。
【0080】
図6に示すように、自由磁性体120の厚さが増加すれば、全体的な磁気体積(magnetic volume)Vが大きくなるので、熱的安定性係数Δがこれに比例して大きくなる。
【0081】
図5と
図6に示すように、本発明の一実施例による磁気トンネル接合の場合、自由磁性体の厚さdを増加させることによって、熱的安定性係数Δは、これに比例して増加するが、臨界電流Icがdとほぼ関係なく一定することを示す。したがって、本発明の一実施例による磁気トンネル接合は、より小さい大きさのメモリ又は論理素子セルとして活用された時、不揮発性を維持すると同時に、低い電流で駆動される特性を有するようになって、低電力超高密度不揮発性素子が可能になる。
【0082】
本発明による磁気トンネル接合での熱的安定性係数Δの自由磁性体全体の厚さによる依存性をストリング技法[E.Weinan、W.Ren、E.VandenEijnden、Journal of Chemical Physics 126、164103(2007)]を通じて確認した。熱的安定性係数Δを決定するエネルギ障壁EBを得るために、まず、2つのエネルギ最小状態(全ての磁化が+z方向である場合と、全ての磁化が−zである場合)の間の転移経路を設定した。全体の転移経路を100個のイメージに区分した。この初期転移経路は、最小エネルギ経路ではないので、下記[数学式12]を通じて各i番目のイメージに対するδt時間以降の最小エネルギ経路を求めた。
【数15】
【0083】
前記の[数学式12]で、γは磁気回転定数、Heffは自由磁性体120の全ての有効磁場ベクトルである。時間に対して収斂した各イメージを通じてEBを決定し、熱的安定性係数Δは常温(T=300 K)でEB/ kBTに決定した。
【0084】
実験例4.本発明による磁気トンネル接合に対して、自由磁性体の厚さdによる熱的安定性係数Δの変化
【0085】
(1)
図6は、本発明による磁気トンネル接合100で自由磁性体の厚さdによる熱的安定性係数Δの変化を示す。この時、熱的安定性係数Δをd=1.0nmでのΔで正常化して図示した。
【0086】
(2) 素子の構造と物性値は、実験例3のようである。
【0087】
(3)
図6に示すように、本発明による磁気トンネル接合200の場合、熱的安定性係数Δがdと線形的に比例する結果が得られ、これは、自由磁性体の厚さが増加すれば、全体的な磁気体積(magnetic volume)Vが大きくなるので、熱的安定性係数Δがこれに比例して大きくなるためである。
【0088】
図2ないし6で説明した部分と重複される説明は省略する。
【0089】
図7は、本発明の一実施例による磁気トンネル接合素子を説明する図面である。
【0090】
図7に示すように、磁気トンネル接合素子200は、順に積層した固定磁性体240、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合201及び前記磁気トンネル接合201の前記自由磁性体120に隣接して、前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線110を含む。前記固定磁性体240は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層126構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層120は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換の相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0091】
前記固定磁性体240は、順に積層された第1固定磁性層244、固定非磁性層246、及び第2固定磁性層248からなった人工反磁性体(Synthetic Antiferromagnet)構造である。前記第1固定磁性層244及び第2固定磁性層248は、それぞれ独立的にFe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。前記固定非磁性層246は、Ru、Ta、Cu及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。
【0092】
本発明の変形した実施例によると、前記固定磁性体240は、順に積層された反強磁性層242、第1固定磁性層244、固定非磁性層246、及び第2固定磁性層248からなった交換バイアスされた反磁性体構造である。前記 反強磁性層242は、Ir、Pt、Mn、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。前記第1固定磁性層244及び第2固定磁性層248は、それぞれ独立的にFe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。前記固定非磁性層246は、Ru、Ta、Cu、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む物質からなる。
【0093】
図8は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を説明する図面である。
【0094】
図8に示すように、磁気トンネル接合素子300は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体320を備える磁気トンネル接合301及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体326に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体320は、[補助自由磁性層322a〜322n/自由非磁性層324a〜324n]N/メイン自由磁性層326構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造320a〜320nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層326及び前記補助自由磁性層322a〜322nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層326は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線と隣接して配置される。前記自由磁性体320を構成する磁性層322a〜322n、326のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層324a〜324nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0095】
前記固定磁性体140は、前記自由磁性体320と互いに整列されない。具体的に、前記自由磁性体320は、前記導線110の延長方向に互いに並んで延長する。前記自由磁性体320は、少なくとも一つの磁区構造321を含む。具体的に、前記メイン自由磁性層326と前記補助自由磁性層322a〜322nそれぞれは、少なくとも一つの磁区構造321を含む。前記磁区構造321は、前記導線110に流れる面内電流によってx軸方向に移動する。前記磁区構造321は、磁壁又はスキルミオンであり、互いに反対方向に磁化された磁区を分割する。
【0096】
図9は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を説明する図面である。
【0097】
図9に示すように、磁気トンネル接合素子400は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合101及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体120に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線410を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記のメイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線410と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0098】
前記導線410は、導電性反強磁性体を含む。具体的に、前記導線410は、前記面内電流を印加して反強磁性層を含む。前記導線410は、前記メイン自由磁性層126に面内交換バイアス磁場を提供する。具体的に、前記導線410は、FeMn、PtMn、又はIrMnである。前記反強磁性層は、前記自由磁性体120に交換バイアス磁場を提供する。これによって、前記磁気トンネル接合素子は、外部磁場を使用せずに垂直磁気異方性を有した自由磁性体の磁化方向をスイッチングする。
【0099】
図10は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を説明する図面である。
【0100】
図10に示すように、磁気トンネル接合素子500は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体120に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線510を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜122n]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線410と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
前記面内電流を印加する導線510は、順に積層された反強磁性層510a及び強磁性層510bを含む。前記反強磁性層510aは、前記メイン自由層126に隣接して配置される。前記強磁性層510bは、面内磁化方向又は前記強磁性層が延長される方向の磁化方向を有する。前記導線510は、前記メイン自由磁性層126に面内交換バイアス磁場を提供する。前記自由磁性体120は、外部磁場を使用せずにスイッチングされる。
【0101】
前記強磁性層510bは、面内磁気異方性を有し、前記反強磁性層510aを面内方向に反強磁性整列させる機能を提供する。垂直磁気異方性を有する自由磁性層120に隣接した反強磁性層510aが垂直磁気異方性を有する自由磁性層120に水平方向の交換バイアス磁場を発生させる。具体的に、水平磁場下に熱的アニールする時、面内磁気異方性を有する強磁性層510bと反強磁性層510aとの間の交換相互作用によって反強磁性層510aに面内方向の反強磁性に整列される。これで、反強磁性規則によって、他の方に隣接した垂直磁気異方性を有する自由磁性層120に水平方向の交換バイアス磁場が誘導される。前記反強磁性層510aを有する導線510に流れる電流は、異常ホール効果(anomalous Hall effect)又はスピンホール効果を通じてスピン軌道スピントルクを発生させる。
【0102】
図11は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を示す図面である。
【0103】
図11に示すように、磁気トンネル接合素子600は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合601及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜14n]N/メイン自由磁性層126構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層120a〜120nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0104】
前記固定磁性体140に隣接して、順に積層された双極子フィールド非磁性層652及び面内磁化方向性を有した双極子フィールド強磁性層654が配置される。前記双極子フィールド非磁性層652は、前記固定磁性体140に隣接して配置される。
【0105】
前記双極子フィールド非磁性層652は、導電性金属で、Ru、Ta、Cu、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。
【0106】
前記双極子フィールド強磁性層654は、面内磁化方向(例えば、−x軸方向)を有して双極子磁場を生成し、前記自由磁性層120に面内方向(+x軸方向)に磁場を生成する。これによって、前記磁気トンネル接合素子の自由磁性体は、外部磁場を使用せずに磁化反転を行う。
【0107】
図12は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を示す図面である。
【0108】
図12に示すように、磁気トンネル接合素子700は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合701及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体120に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
補助絶縁層727が前記導線110と前記自由磁性体120との間に配置される。前記補助絶縁層727は、AlOx、MgO、TaOx、ZrOx、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。前記補助絶縁層727は、前記導線に沿って流れる面内電荷電流が前記磁気トンネル接合を直接通じて流れないように抑制し、純粋スピン流だけが流れる。
【0109】
図13は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を示す図面である。
【0110】
図13に示すように、磁気トンネル接合素子800は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合101及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体120に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線810を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線810と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0111】
前記導線810は、順に積層された導線非磁性層810a及び導線の強磁性層810bを含む。前記導線強磁性層810bは、面内磁化方向成分を含む。前記導線非磁性層810aは、前記自由磁性体120と隣接するように配置される。前記導線非磁性層810aは、Cu、Ta、Pt、W、Bi、Ir、Mn、Ti、Cr、及びこれらの混合物の中から選択される物質である。前記導線強磁性層810bは、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。前記導線強磁性層810bを通じて流れる面内電荷電流によって、前記導線強磁性層810bの自体的な異常ホール効果又は異方性磁気抵抗(anisotropic magnetoresistance)効果を通じてスピン流を発生させる[T. Taniguchi、J.Grollier、M.D.Stiles、Physical Review Applied 3、044001(2015)]。また、前記導線強磁性層810bと前記導線非磁性層810aの界面スピン軌道結合効果によってスピン流を発生させる[V. P.Amin、M.D.Stiles、Physical Review B94、104419(2016)]。
【0112】
図14は、本発明の他の実施例による磁気トンネル接合素子を示す図面である。
【0113】
図14に示すように、磁気トンネル接合素子900は、順に積層した固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を備える磁気トンネル接合901及び前記磁気トンネル接合の前記自由磁性体に隣接して前記磁気トンネル接合に面内電流を印加する導線910を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層122a〜122n/自由非磁性層124a〜124n]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造120a〜120nがN回繰り返し積層された構造であることを示す。前記メイン自由磁性層126及び前記補助自由磁性層122a〜122nは、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質を含む薄膜である。前記メイン自由磁性層126は、前記面内電流によってスピン流を発生させる導線910と隣接して配置される。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。
【0114】
前記導線910は、順に積層された導線強磁性層910a及び導線非磁性層910bを含む。前記導線強磁性層910aと前記自由磁性体120との間に配置された非磁性層927を含む。前記導線強磁性層910aは、前記自由磁性体120に隣接して配置される。前記非磁性層927は、前記自由磁性体層の側面と整列される。
【0115】
前記導線非磁性層910b及び前記非磁性層927は、Cu、Ta、Pt、W、Bi、Ir、Mn、Ti、Cr、及びこれらの混合物の中から選択される物質である。前記導線強磁性層910aは、Fe、Co、Ni、B、Si、Zr、及びこれらの混合物のうち、少なくとも一つを含む。
【0116】
図15は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0117】
図15に示すように、磁気メモリ素子91は、複数の磁気トンネル接合101を備える。前記磁気トンネル接合101又は磁気トンネル接合素子100は、
図2ないし
図14で説明したように様々に変形される。
【0118】
前記磁気メモリ素子91は、基板配置平面でマトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合101の自由磁性体120に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合は、順に積層された固定磁性体、絶縁体、及び自由磁性体を含む。
【0119】
前記メイン自由磁性層126は、前記導電パターンと隣接して配置され、前記第1導電パターン110は、面内電流から前記第1導電パターンの配置平面に垂直なスピン流を発生させて、前記自由磁性体の磁化方向をスイッチングする。
【0120】
前記自由磁性体120の全体の厚さは、高い熱安定性を確保するために2nm以上である。
【0121】
Nは、2以上の自然数であり、前記自由磁性体120内で隣り合う前記補助自由磁性層は、RKKY(Ruderman−Kittel−Kasuya−Yosida)交換相互作用によって、互いに反対方向の磁化を有する。前記自由磁性体120の全体の厚さは2nm以上である。前記補助自由磁性層120及び前記メイン自由磁性層120それぞれは、互いに異なる物質からなるか、又は互いに異なる厚さからなる。前記補助自由磁性層120及び前記メイン自由磁性層120それぞれは、0.3nm水準である。
【0122】
前記第1導電パターン110は、Cu、Ta、Pt、W、Bi、Ir、Mn、Ti、Cr、及びこれらの混合物の中から選択される物質からなる。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記スピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0123】
前記第1導電パターン110又はBLは、基板平面で第1方向に並んで進行する。第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体120は、前記第1導電パターンに隣接して、周期的に配置される。第2導電パターン182又はWLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの固定磁性体140に電気的に連結され、前記基板平面で前記第2方向に延長する。
【0124】
前記磁気メモリ素子91は、クロスポイントメモリによって動作する。前記磁気メモリ素子91は、前記第1導電パターン110に流れる電流によるスピンホール効果、前記第2導電パターン182に印加される電圧による臨界電流減少効果によって動作する。又は、前記磁気メモリ素子91は、第1導電パターンに流れる電流によるスピンホール効果及び選択された磁気トンネル接合を通じて流れるスピン伝達トルク効果によって動作する。
【0125】
図16は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0126】
図16に示すように、磁気メモリ素子92は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子92は、基板配置平面でマトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合は、順に積層された固定磁性体、絶縁体、及び自由磁性体を含む。
【0127】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に周期的にの離隔して配置される。前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体120は、前記第1導電パターン110に隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記スピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0128】
第2導電パターン282又はWLは、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの固定磁性体140に電気的に連結され、前記基板平面で前記1方向に延長される。
【0129】
第3導電パターン283又はSLは、前記第1方向に配列された前記第1導電パターン110のそれぞれの一端に連結され、前記第1方向に延長される。
【0130】
第4導電パターン284又はBLは、前記第2方向に配列された第1導電パターン110のそれぞれの他端に連結され、前記第2方向に延長される。
【0131】
前記磁気メモリ素子92は、変形されたクロスポイントメモリによって動作する。前記第1導電パターンは、互いに分離して前記自由磁性体にスピン流を注入する。前記第3導電パターン、前記第1導電パターン、及び第4導電パターンを通じて電流が流れる場合、前記第1導電パターンに流れる面内電流は、前記自由磁性体にスピン流を注入して前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0132】
図17は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0133】
図17に示すように、磁気メモリ素子93は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子93は、マトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合は、順に積層された固定磁性体、絶縁体、及び自由磁性体を含む。
【0134】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に延長され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体120は、前記第1導電パターン110又はBLに隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記スピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0135】
選択トランジスタTRは、前記磁気トンネル接合101の固定磁性体140それぞれに電気的に連結される。
【0136】
第2導電パターン382又はSLは、前記第1方向に配列された選択トランジスタTRそれぞれのソース/ドレインに電気的に連結され、前記基板平面で前記1方向に延長される。
【0137】
第3導電パターン383又はWLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された前記選択トランジスタTRそれぞれのゲートに連結される。
【0138】
特定の第1導電パターン110、BL0に電流が流れる場合、前記第1導電パターンに連結された全ての磁気トンネル接合の自由層は、スピン流の供給を受ける。一方、特定のメモリセルを選択するために、選択トランジスタTRのゲートに連結された特定第3導電パターンに電圧を印加する。これによって、特定のメモリセルは、前記第1導電パターンによるスピン流及び選択された選択トランジスタによって固定磁性層に電圧又はスピン伝達電流の供給を受ける。これによって、特定のメモリセルは、記録動作を行う。
【0139】
図18は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0140】
図18に示すように、磁気メモリ素子94は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子94は、基板配置平面でマトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合は、順に積層された固定磁性体、絶縁体、及び自由磁性体を含む。
【0141】
前記第1導電パターン110又はWBLは、基板平面で第1方向に延長され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体120は、前記第1導電パターン110に隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記スピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0142】
選択トランジスタTRは、前記磁気トンネル接合の固定磁性体140それぞれに電気的に連結される。
【0143】
第2導電パターン482又はRBLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された選択トランジスタTRそれぞれのソース/ドレインに電気的に連結され、前記基板平面上で前記2方向に延長される。
【0144】
第3導電パターン483又はWLは、前記第1方向に配列された前記選択トランジスタのそれぞれのゲートに連結される。
【0145】
特定のメモリセルに書き込み動作を行うために、特定の第1導電パターンが選択され、選択された第1導電パターンに電流が流れる。また、選択されたメモリセルに連結された選択トランジスタのゲートに連結された第3導電パターンが選択され、前記選択トランジスタのソース/ドレインを前記固定磁性層に電圧が印加されるか、又はスピン伝達電流が流れる。これによって、特定のメモリセルは、書き込み動作を行う。
【0146】
図19は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0147】
図19に示すように、磁気メモリ素子95は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子95は、基板配置平面でマトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体120に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性体層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対の方向に磁化される。前記磁気トンネル接合101は、順に積層された固定磁性体140、寺延滞130、及び自由磁性体120を含む。
【0148】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に周期的に配置され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体は、前記第1導電パターンそれぞれに隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記のスピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0149】
第2導電パターン582又はRBLは、前記第1方向に配列された磁気トンネルを接合の固定磁性体140それぞれに電気的に連結され、第1方向に延長される。
【0150】
第3導電パターン583又はWBLは、前記第1方向に配列された第1導電パターン110のそれぞれの一端に連結され、第1方向に延長される。
【0151】
選択トランジスタTRは、前記第1導電パターン110それぞれの他端に連結される。
【0152】
第4導電パターン584又はSLは、前記第1方向に配列された選択トランジスタTRのソース/ドレインに連結され、前記第1方向に延長される。
【0153】
第5導電パターン585又はWLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された選択トランジスタTRのゲートに連結され、前記第2方向に延長される。
【0154】
図20は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0155】
図20に示すように、磁気メモリ素子96は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子96は、基板配置平面でマトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体120に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合101は、順に積層された固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を含む。
【0156】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に周期的に配置され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体は、前記第1導電パターンそれぞれに隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記のスピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0157】
選択トランジスタTRは、前記磁気トンネル接合の固定磁性体140にそれぞれ連結される。
【0158】
第2導電パターン682又はRBLは、前記第1方向に配列された選択トランジスタのソース/ドレインにそれぞれ連結され、前記第1方向に延長される。
【0159】
第3導電パターン683又はWLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された選択トランジスタTRのゲートに接続され、前記第2方向に延長される。
【0160】
第4導電パターン684又はWBLは、前記第1方向に配列された第1導電パターン110のそれぞれの一端に連結され、第1方向に延長される。
【0161】
第5導電パターン685又はSLは、前記第1方向に配列された第1導電パターン110の他端に連結され、前記第1方向に延長される。
【0162】
図21は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0163】
図21に示すように、磁気メモリ素子97は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子97は、マトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体120は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合101は、順に積層された固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を含む。
【0164】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に周期的に配置され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体120は、前記第1導電パターンのそれぞれに隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記のスピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0165】
第2導電パターン782は、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合の固定磁性体140それぞれに電気的に連結され、前記第1方向に垂直な第2方向に延長される。
【0166】
第1選択トランジスタTR1は、前記第1導電パターン110の一端にそれぞれ連結される。
【0167】
第2選択トランジスタTR2は、前記第1導電パターン110の他端にそれぞれ連結される。
【0168】
第3導電パターン783又はWBLは、前記第1方向に配列された前記第1選択トランジスタTR1のソース/ドレインに連結され、前記第1方向に延長される。
【0169】
第4導電パターン784又はSLは、前記第1方向に配列された前記第2選択トランジスタTR2のソース/ドレインに連結され、前記第1方向に延長される。
【0170】
第5導電パターン785は、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された第1選択トランジスタTR1のゲートと第2選択トランジスタTR2のゲートを互いに連結して、前記第2方向に延長される。
【0171】
図22は、本発明の他の実施例による磁気メモリ素子を説明する図面である。
【0172】
図22に示すように、磁気メモリ素子98は、複数の磁気トンネル接合を備える。前記磁気メモリ素子98は、マトリックスの形で配列された複数の磁気トンネル接合101;及び、前記磁気トンネル接合の自由磁性体に隣接して配置された第1導電パターン110を含む。前記固定磁性体140は、固定磁化方向を有し、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、磁化方向が変わり、膜面に対して垂直方向に磁化される物質からなった薄膜である。前記自由磁性体は、[補助自由磁性層/自由非磁性層]N/メイン自由磁性層構造である。Nは、2以上の自然数であり、[補助自由磁性層/自由非磁性層]構造がN回繰り返し積層された構造である。前記自由磁性体120を構成する磁性層122a〜122n、126のうち、互いに最近接する2つの磁性層は、前記自由非磁性層124a〜124nを通じたRKKY交換相互作用によって、互いに反対方向に磁化される。前記磁気トンネル接合101は、順に積層された固定磁性体140、絶縁体130、及び自由磁性体120を含む。
【0173】
前記第1導電パターン110は、基板平面で第1方向に周期的に配置され、前記第1方向に配列された磁気トンネル接合のそれぞれの自由磁性体は、前記第1導電パターンそれぞれに隣接して、周期的に配置される。前記第1導電パターン110は、前記自由磁性層にスピン流を提供し、前記自由磁性体120にスピン軌道スピントルクを印加する。前記のスピン軌道スピントルクは、前記自由磁性体の磁化反転に寄与する。
【0174】
第1選択トランジスタTR1は、前記磁気トンネル接合の固定磁性体140にそれぞれ連結される。
【0175】
第2選択トランジスタTR2は、前記第1導電パターン110の一端にそれぞれ連結される。
【0176】
第2導電パターン882又はRBLは、前記第1方向に配列された第1選択トランジスタTR1のソース/ドレインに連結され、前記第1方向に延長される。
【0177】
第3導電パターン883又はWBLは、前記第1方向に配列された第1導電パターン110の他端をそれぞれ連結し、前記第1方向に延長される。
【0178】
第4導電パターン884又はSLは、前記第1方向に配列された第2選択トランジスタTR2のソース/ドレインをそれぞれ連結し、前記第1方向に延長される。
【0179】
第5導電パターン885又はWLは、前記第1方向に垂直な第2方向に配列された第1選択トランジスタTR1のゲートをそれぞれ連結し、前記第2方向に延長される。
【0180】
第6導電パターン886又はWLは、前記第2方向に配列された第2選択トランジスタTR2のゲートをそれぞれ連結し、前記第2方向に延長される。
【0181】
図15ないし
図22及び
図8に示すように、前記自由磁性体120は、少なくとも一つの磁区構造を含む。前記磁区構造は、磁壁又はスキルミオンである。
【0182】
図15ないし
図22及び
図9に示すように、前記第1導電パターン110は、面内電流を印加し、反強磁性層を含む。前記第1導電パターン110は、前記メイン自由磁性層に面内交換バイアス磁場を提供する。
【0183】
図15ないし
図22及び
図10に示すように、前記第1導電パターン110は、面内電流を印加し、順に積層された反強磁性層及び強磁性層を含み、前記反強磁性層は、前記メイン自由層に隣接して配置され、前記強磁性層は、面内磁化方向性を有し、前記第1導電パターンは、前記メイン自由磁性層に面内交換バイアス磁場を提供し、前記自由磁性体は、外部磁場がなくてもスイッチングされる。
【0184】
図15ないし
図21及び
図11に示すように、前記固定磁性体に隣接して順に積層された双極子フィールド非磁性層及び面内磁化方向性を有した双極子フィールド強磁性層をさらに含み、前記非磁性層は、前記固定磁性体に隣接して配置される。前記自由磁性体は、前記双極子フィールド強磁性層から提供される面内磁場によって、外部磁場がなくてもスイッチングされる。
【0185】
図15ないし
図22及び
図12に示すように、前記第1導電パターン110と前記自由磁性体120との間に配置された補助絶縁層をさらに含む。
【0186】
図15ないし
図22及び
図13に示すように、前記第1導電パターン110は、順に積層された第1導電パターン非磁性層及び第1導電パターン磁性層を含み、前記第1導電パターン磁性層は、面内磁化方向成分を含む。
【0187】
図15ないし
図22及び
図14に示すように、前記第1導電パターン110は、順に積層された第1導電パターン磁性層及び第1導電パターン非磁性層を含み、前記第1導電パターン磁性層と前記自由磁性体との間に配置された非磁性層を含む。
【0188】
上記のように、本発明を特定の好ましい実施例に対して図示して説明したが、本発明はこのような実施例に限られず、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が特許請求の範囲で請求する本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で行うことができる多様な形態の実施例を全て含む。