特許第6393759号(P6393759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6393759センサアセンブリを備えた荷電粒子リソグラフィシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393759
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】センサアセンブリを備えた荷電粒子リソグラフィシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20180910BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20180910BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20180910BHJP
   H01J 37/04 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   H01L21/30 541N
   G03F7/20 504
   H01L21/30 541W
   H01J37/305 B
   H01J37/04 B
【請求項の数】25
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-533724(P2016-533724)
(86)(22)【出願日】2014年12月22日
(65)【公表番号】特表2017-504187(P2017-504187A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】NL2014050897
(87)【国際公開番号】WO2015099527
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年11月24日
(31)【優先権主張番号】2012029
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】61/921,002
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505152479
【氏名又は名称】マッパー・リソグラフィー・アイピー・ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】シェッファース ポール イジマート
【審査官】 植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−347054(JP,A)
【文献】 特開2000−208079(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/171177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/027
G03F 7/20
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲット上にパターンを転写するための荷電粒子リソグラフィシステムであって、
前記ターゲットを保持するための第1の側面を有するターゲットホルダを含むターゲット位置決め装置と、
荷電粒子ビームを生成し、当該荷電粒子ビームを変調し、更に当該荷電粒子ビームを前記ターゲットホルダの前記第1の側面に向かって方向づけるための荷電粒子光学部と、
変換素子の上に衝突する各荷電粒子を光に変換するための前記変換素子を含むセンサアセンブリとを備え、前記変換素子は前記ターゲット位置決め装置の上に配置され、前記センサアセンブリは前記光を検出するための光センサを更に備え、当該光センサは前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置され、前記センサアセンブリは、前記変換素子から前記センサへ生ずる光を方向づけるために前記変換素子と前記光センサとの間に配置される光の光学レンズを更に含む
荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項2】
前記レンズは、前記荷電粒子光学部に面する前記変換素子の実質的な側面の画像を前記光センサ上に投影するように配置される
請求項1に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項3】
前記光センサは、ピクセル化センサを含む
請求項1または2に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項4】
前記荷電粒子光学部は、前記ターゲットホルダの第1の側面に配置され、前記光の光学レンズと前記光センサが当該ターゲットホルダの第2の側面に配置され、当該第2の側面は前記第1の側面に実質的に対向している
請求項1、2または3に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項5】
前記荷電粒子光学部は光軸を定義し、前記光の光学レンズと前記光センサは前記光軸の上に配置されている
請求項1乃至4の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項6】
前記ターゲットホルダおよび前記荷電粒子光学部は、前記真空チャンバの内部に少なくとも部分的に配置されており、前記真空チャンバは当該真空チャンバの内部に延在しているコンパートメントを備え、当該コンパートメントの内部は前記真空チャンバの内部から離隔されており、前記コンパートメントは前記ターゲットホルダに面した側面において窓を備え、更に少なくとも前記光の光学レンズは、前記コンパートメントの内部に配置される
請求項1乃至5の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項7】
前記センサは前記コンパートメントの内部にも配置されている
請求項6に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項8】
前記コンパートメントの内部は、前記真空チャンバの外部に実質的に開放されている
請求項6もしくは7に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項9】
前記コンパートメントは前記真空チャンバの壁の開口部内に配置されている
請求項6、7もしくは8に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項10】
前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む筒部を更に備え、当該筒部は前記コンパートメントに沿って、前記真空チャンバに対し外部方向に延在し、前記筒部は少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む
請求項9に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項11】
前記筒部は、前記真空チャンバの内部に前記コンパートメントに沿って延在し、当該筒部は前記真空チャンバの内部に配置され且つ前記真空壁内の前記開口部の周囲に前記真空壁とほぼ平行に延在し、放射状に延びるリップを含む
請求項10に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項12】
前記真空壁は、前記真空チャンバの内部に面するシールドを具備しており、放射状に延びるリップは前記真空壁内の開口部の周囲で前記シールドを少なくとも部分的に被覆し、当該シールドは前記放射状に延びるリップと前記真空壁との間に配置される
請求項11に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項13】
前記コンパートメントは、真空シールを提供するために前記真空壁に接続して配置されるフランジ部を含む
請求項9乃至12の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項14】
フランジリングは、前記真空チャンバの壁と前記フランジ部との間に配置され、当該フランジリングはμ−メタルもしくはパーマロイの層を少なくとも含む
請求項13に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項15】
前記フランジリングは、前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む筒部を備え、前記筒部は前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバに対して外部方向に延在し、前記筒部は、μ−メタルまたはパーマロイの層を少なくとも含む
請求項14に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項16】
前記筒部は第1の筒部であり、前記フランジリングは、前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む第2の筒部を更に備え、当該第2の筒部は前記コンパートメントに沿って前記真空室に対して内部方向に延在し、当該第2の筒部は前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバに対して内部方向に延在し、前記第2の筒部はμ―メタルまたはパーマロイの層を少なくとも含む
請求項15に荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項17】
前記第2の筒部は、前記真空壁内の前記開口部の周囲に前記真空壁に対してほぼ平行に延在し、放射状に延びるリップを備え、当該真空壁は前記真空チャンバの内部に面するシールドを具備しており、放射状に延びるリップは前記真空壁内の前記開口部の周囲で前記シールドを少なくとも部分的に被覆し、前記シールドは前記放射状に延びるリップと前記真空壁との間に配置される
請求項16に荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項18】
前記コンパートメントの前記フランジ部は、前記真空チャンバの内部に面する前記真空壁の側面に配置されている
請求14乃至17の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項19】
前記ターゲットホルダは、前記ターゲットを保持するための第1の側面を備え、前記真空チャンバの内部に延在する前記コンパートメントは、前記ターゲットを保持するための前記第1の側面から反対側の前記ターゲットホルダの一側に配置される
請求項6乃至18の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項20】
前記荷電粒子光学部が、前記ターゲットホルダの上方に配置され、前記コンパートメントが前記ターゲットホルダの下方に配置されている
請求項19に記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項21】
前記真空チャンバの内部に配置された前記コンパートメントの一部の直径が、前記真空チャンバの前記壁に隣接する前記コンパートメントの一部の直径よりも大きい
請求項6乃至20の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項22】
前記コンパートメントは、前記真空チャンバの外部にも延在する
請求項6乃至21の何れか一つに記載の荷電粒子リソグラフィシステム。
【請求項23】
荷電粒子リソグラフィシステムにおけるターゲットのレベルで1個もしくはそれ以上の荷電粒子ビームの各特性を決定するための方法であって、前記システムは、
前記ターゲットを保持するための前記第1の側面を有するターゲットホルダを含むターゲット位置決め装置と、
前記荷電粒子ビームを生成し、当該荷電粒子ビームを変調し、更に前記荷電粒子ビームを前記ターゲットホルダの前記第1の側面に向かって方向づけるための荷電粒子光学部と、
変換素子の上に衝突する各荷電粒子を光に変換するための前記変換素子を含むセンサアセンブリとを備え、当該変換素子は前記ターゲット位置決め装置の上に配置され、前記センサアセンブリは前記光を検出する光センサを更に備え、当該光センサは前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置され、前記センサアセンブリは変換素子から前記センサへ生ずる光を方向づけるために前記変換素子と前記光センサとの間に配置されている光の光学レンズを更に備えており、
前記ターゲット位置決め装置を前記各荷電粒子ビームが前記変換素子に衝突する位置に移動させる工程を含む
方法。
【請求項24】
前記変換素子は、前記光センサから独立して移動されることを特徴とする
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光センサと前記光の光学レンズは、前記荷電粒子光学部に対して実質的に固定された位置に配置され、そして前記荷電粒子光学部に実質的に固定されて整列され、前記センサアセンブリに関しては、前記変換器だけが、前記荷電粒子光学部の前記光軸に上またはその近傍の前記各荷電粒子ビーム(複数可)の前記ビーム経路内へ前記ターゲット位置決め装置により移動される
請求項23もしくは24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、センサアセンブリを備えた荷電粒子リソグラフィシステムに関する。
【0002】
このようなリソグラフィシステムは、例えば、国際特許出願W02007/032670号に開示されている。この国際特許出願に開示された前記リソグラフィシステムは、複数の荷電粒子を生成し、当該各荷電粒子ビームを変調し、更に当該各荷電粒子ビームをターゲットの表面に向かって方向づけるための荷電粒子光学部を使用して、前記ターゲットの表面にパターンを転写するために配置されている。当該各荷電粒子ビームは、前記ターゲットの前記表面に亘って1つもしくはそれ以上の方向に走査され、そしてこの走査期間中各荷電粒子ビームは前記ターゲットの前記表面の上に前記パターンの一部を書き込む。
【0003】
例えば、ウエハまたはマスク等のターゲット上に高解像度のパターンを書き込むためには、露光されるべき表面またはその近傍における各ビームの位置が2もしくは3ナノメートルの距離内であることが好ましいということは既知である。ある荷電粒子ビーム、特に複数の荷電粒子ビームの各特性を決定するために、荷電粒子ビームを各光ビームに変換するための変換素子と組み合わされたセンサが使用される。当該センサは前記各光ビームを検出するための前記変換素子に一列に配置された各感光検出器のアレイを含む。前記変換素子は、各鋭いエッジを含むブロッキング素子を備えていることが好ましい。前記変換素子、特にその中でもブロッキング素子は、前記ターゲットの前記表面とほぼ同じレベルに配置されている。荷電粒子ビームを前記の鋭いエッジに対して、ほぼ垂直方向に変換素子に亘って走査すると共に、当該荷電粒子ビームに相当する光ビームの光強度の変化を監視することによって、当該荷電粒子ビームの位置および直径を確立することができる。
【0004】
WO2007/032670号に開示されているように、前記変換素子は、非常にコンパクトなアセンブリを提供する各感光検出器のアレイの直上に配置されている。この各感光検出器のアレイは、荷電粒子ビームの前記各特性を決定すべく測定されたデータを処理するためのプロセッサを備えた制御装置と測定データを通信するためのケーブルを備えている。
【0005】
前記ターゲットの表面とほぼ同じレベルに前記ブロッキング素子を位置決めするために、センサおよび変換素子のアセンブリが前記ターゲットホルダの中に、もしくはそれに隣接して配置されている。ここにおいて、前記アセンブリが前記ターゲットホルダ内で一体化されていることが好ましい。
【0006】
当該ターゲットホルダは、前記荷電粒子光学部に対して前記ターゲットを正確に移動させるための各ステージのアセンブリの頂部に配置され、更に真空チャンバの内部に配置されている。当該真空チャンバ内の前記ターゲットホルダ内のアセンブリの一体化の欠点は、各ステージの前記アセンブリの頂部に配置されたアセンブリがターゲットの正確な動きを妨げることなく、真空チャンバの外部で制御装置に接続されなければならないという点である。
【0007】
前記センサのより便利な位置決めを提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様によれば、本発明は、ターゲット上にパターンを転写するための荷電粒子リソグラフィシステムを提供するものであって、当該システムは:
前記ターゲットを保持するための第1の側面を有するターゲットホルダを含むターゲット位置決め装置と;
荷電粒子ビームを生成し、当該荷電粒子ビームを変調し、更に前記ターゲットホルダの前記第1の側面に向かって当該荷電粒子ビームを方向づけるための荷電粒子光学部と;
前記変換素子に衝突する各荷電粒子を光に変換するための変換素子を含むセンサアセンブリとを備え、前記変換素子は前記ターゲット位置決め装置の上に配置され、前記センサアセンブリは前記光を検出するための光センサを更に備え、当該光センサは前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置され、前記センサアセンブリは前記変換素子から前記センサへ生ずる光を方向づけるために当該変換素子と前記光センサとの間に配置された光の光学レンズを更に備えている。
【0009】
従って、本発明は、従来技術から知られているような、例えばブロッキング素子を含む前記変換素子から離隔して前記センサを配置し、更に光の光学レンズを使用して前記変換素子から生ずる光を前記センサへ方向づけることによって、上に明記された問題に対する解決策を提供する。前記ターゲットのレベルで前記荷電粒子ビーム(複数可)の各特性を決定するために、前記変換素子は前記ターゲット位置決め装置の上に配置されている。特に、前記荷電粒子ビーム(複数可)の各特性が決定される際、前記荷電粒子光学部に面する前記変換素子の一側は、好ましくは、パターンがその上に転写される前記ターゲットの露光面とほぼ同じレベルで配置される。本発明の前記センサアセンブリによって、当該センサは前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置することができる。従来技術で知られている構成とは反対に、少なくとも本発明に係る前記アセンブリの前記センサは、ターゲット位置決め装置の一定距離に、特に前記位置決め装置の各ステージのアセンブリの一定距離に配置される。かくして、前記センサは、前記ターゲット位置決め装置から離隔して配置することができ、そして前記ターゲット位置決め装置の正確な動きを妨げることなく、前記真空チャンバの外部の制御装置に適切に接続することができる。
【0010】
なお、実施の形態では、前記光の光学レンズはまさに変換素子として、前記ターゲット位置決め装置上に配置されてもよいことに注目されたい。しかしながら、前記光の光学レンズもまさに光センサのように前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置されることが好ましい。
【0011】
実施の形態では、前記変換素子から前記真空チャンバの外部へ光を透過させるため、真空チャンバ―の壁内に真空気密窓を設置した場合、前記真空チャンバの外部に少なくとも前記センサを配置することができる。本実施の形態では、前記センサと前記制御装置は、前記真空チャンバの外部で完全に接続することができる。
【0012】
実施の形態では、前記レンズは、前記光センサ上に前記荷電粒子光学部に面する前記変換素子の実質的に側面の画像を投影するように配置されている。これは、ほぼ同時に前記様々な位置において放射される光を観察するために、ピクセル化センサ、特に、CMOSアレイ、CCDアレイまたはダイオードアレイを用いて、前記変換素子上の様々な位置において衝突する多数の荷電粒子ビームを特徴付けるために特に有益である。前記変換素子の上の様々な位置に対して放射された光は、前記ピクセル化センサの表面上で様々な位置に、好ましくは種々のピクセル上で結像される。
【0013】
実施の形態では、荷電粒子光学部は前記ターゲットホルダの第1の側面に配置され、そして前記光の光学レンズ及び前記光センサは前記ターゲットホルダの第2の側面に配置され、第2の側面は第1の側面にほぼ対向している。例えば、前記荷電粒子光学部は、前記ターゲットホルダの上方に配置され、そして前記光の光学レンズ及び前記光センサは前記ターゲットホルダの下方に配置され、また、それぞれ逆の位置に設置することもまた可能である。この実施形態では、前記光の光学レンズと前記光センサの配置は、前記荷電粒子光学部の位置決めを妨げない。
【0014】
実施形態では、前記荷電粒子光学部は、光軸を定義し、ここで前記光の光学レンズと前記光センサは、当該光軸上に配置される。本実施の形態によれば、前記光の光学レンズと前記光センサは、少なくとも前記荷電粒子光学部に対して一定の位置に配置され、そして前記荷電粒子光学部の前記光軸に対ししっかりと固定して整列される。前記各荷電粒子ビーム(複数可)の各特性を確立するために、前記ターゲット位置決め装置上に配置される前記変換素子のみが、前記ターゲット位置決め装置によって、前記荷電粒子光学部の前記光軸上、もしくはその近傍の前記各荷電粒子ビーム(複数可)のビーム経路内に移動される必要がある。
【0015】
実施の形態では、前記ターゲットホルダと前記荷電粒子光学部は、少なくともその一部分は真空チャンバの内部に配置されており、ここで前記真空チャンバは、当該真空チャンバの内部に延びるコンパートメントを備え、当該コンパートメントの内部は前記真空チャンバの内部から離隔されており、当該コンパートメンは前記ターゲットホルダに面する側面に窓を備え、更に、少なくとも前記光の光学レンズは前記コンパートメントの内部に配置されている。前記コンパートメントの内部は、前記真空チャンバの内部から離隔され、かくしてその気圧は常圧であることが可能である。前記変換素子から当該コンパートメントの内部へ、かくして前記真空チャンバの外部へ光を透過するため、当該コンパートメントは前記ターゲットホルダに面する側面に窓を備えている。この光の光学レンズは前記コンパートメントの内部、好ましくは前記窓に近接して配置されている。前記コンパートメントは前記真空チャンバの内部に延びているため、当該光の光学レンズは前記真空チャンバの外部、且つ前記ターゲットホルダに極めて近接して配置することができる。
【0016】
前記真空チャンバの外部に前記光の光学レンズを配置することにより、当該光の光学レンズは、真空対応レンズである必要はなくなる。本発明に従うと、標準的なレンズをこの装置に適用することが可能である。
【0017】
前記ターゲットホルダにより近い前記コンパートメントの内部に前記光の光学レンズを配置することにより、前記レンズを備える前記光の光学系の開口数(NA)を大きくすることができ、従って、その集光能力および分解能は、有益な程度に高くなる。
【0018】
実施の形態では、前記センサが前記コンパートメントの内部に配置されている。実施の形態では、前記光センサ及び前記光の光学レンズが1つのユニットとして前記コンパートメント内に配置されている。実施の形態では、前記コンパートメントは、また前記真空チャンバの外部に延在している。この場合、前記コンパートメントの各寸法は、光の光学レンズと光センサの前記アセンブリを適当に格納できるよう設定できる。
【0019】
実施の形態では、前記コンパートメントの内部は、前記真空チャンバの外部に対して実質的に開放されている。かくして、前記コンパートメントの内部は、前記真空チャンバの周囲に流体接続されており、前記真空チャンバはほぼ常圧、あるいはそれよりわずかに高い気圧であるクリーンルームの内部に通常配置されている
【0020】
前記コンパートメントは、前記真空チャンバの壁の一部として形成されてもよいが、実施の形態では、前記コンパートメントは、前記真空チャンバの前記壁内の開口部に配置されている。本実施の形態において、前記コンパートメントは、一つのユニットとして、前記真空チャンバの中に設置することができ、且つ当該真空チャンバから取り外しすることができる。
【0021】
各荷電粒子ビームの性質のために、それらの軌道は、磁界および/または電界によって変化させることができる。前記荷電粒子光学部ではとりわけ、これらは前記各荷電粒子ビームを変調するために、且つ前記ターゲットに向かって前記各荷電粒子ビームを方向づけるために使用される。前記各荷電粒子ビームの前記各軌道を妨害する可能性があり、よって前記ターゲット上の前記各荷電粒子ビームの所望の位置からのずれを誘発する周囲の磁場及び/又は電場から前記荷電粒子光学部を守るために、前記真空壁は好ましくは、前記真空チャンバの内部に面するシールドを具備している。このシールドはμ−金属の1つまたは複数の層を含む。このようなシールドはかなりの拡大に伴って、地球磁場を減衰させるように配置され、例えば、約1000のファクターの減衰が可能である。
【0022】
前記真空チャンバ―の壁の開口部内に前記コンパートメントを配置する際、前記シールドは開口部において途切れる。前記シールド内の前記開口部を少なくとも部分的に補うために、実施の形態では、前記荷電粒子リソグラフィシステムは、前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む筒部を更に備え、当該筒部は前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバに対して外部方向に延在する。実施の形態では、前記筒部は、少なくともμ−金属もしくはパーマロイの層を含む。
【0023】
好ましくは、前記筒部は、前記真空チャンバの内部に配置された壁の前記シールドに接続されている。前記筒部と当該真空チャンバ内の前記シールドとの間の適切な接続を提供するために、実施の形態では、前記筒部は、内部前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバの内部に対して延在し、そして当該筒部は前記真空チャンバの内部に配置され且つ前記真空壁の開口部の周囲に前記真空壁にほぼ平行に延在し、放射状に延びるリップを含んでいる。実施の形態では、前記真空壁は、前記真空チャンバの内部に面するシールドを具備しており、そして当該放射状に延びるリップは、前記真空壁内の前記開口部の周囲の前記シールドを少なくとも部分的に覆っており、その際当該シールドは前記放射状に延びるリップと前記真空壁との間に配置されている。
【0024】
実施の形態では、前記コンパートメントは前記真空壁に接続し真空シールを提供するために配置されるフランジ部を含む。実施の形態では、フランジリングは前記真空チャンバの壁と前記フランジ部との間に配置される。実施の形態では、前記フランジリングは、少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む。前記コンパートメントの前記フランジ部と前記真空チャンバの前記壁との間にこのようなフランジリングを使用すると、真空障壁を通過する前記シールドのための便利な通り道が提供される。
【0025】
実施の形態では、前記フランジリングは前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む筒部を備え、当該筒部は前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバに対して外部方向に延在する。実施の形態では、前記筒部は、少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む。この実施形態の前記筒部と前記フランジリングは、一つのユニットとして形成される。
【0026】
前記筒部は、前記真空チャンバの内部に配置された壁の前記シールドに接続されていることが好ましい。前記筒部と前記真空チャンバの内部の前記シールドとの間の適切な接続を行うために、実施の形態では、前記筒部は第1の筒部であり、ここで前記フランジリングは、前記真空壁に隣接する前記コンパートメントの一部を実質的に取り囲む第2の筒部を備え、前記第2の筒部は内部前記コンパートメントに沿って前記真空チャンバに対して内部方向に延在している。実施の形態では、前記第2の筒部は、少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む。実施の形態では、前記第2の筒部は、前記真空壁内の開口部の周囲に当該真空壁にほぼ平行に延在し、放射状に延びるリップを含む。実施の形態では、前記真空壁は前記真空チャンバの内部に面するシールドを具備し、放射状に延びるリップは、前記真空壁内の前記開口部の周りで前記シールドを少なくとも部分的に覆っており、当該シールドは前記放射状に延びるリップと前記真空壁との間に配置されている。実施の形態では、前記コンパートメントの前記フランジ部は、前記真空チャンバの内部に面する前記真空壁の側面に配置されている。
【0027】
実施の形態では、前記真空チャンバの内部に延びる前記コンパートメントは、前記ターゲットを保持するための前記第1の側面から離隔されている前記ターゲットホルダの側面に配置されている。したがって、前記センサは、前記変換素子の側部としてその上に配置されており、この前記変化変換素子は好ましくは前記荷電粒子光学部から離隔され前記ターゲットホルダに配置される。好都合な実施の形態では、前記荷電粒子光学部は、前記ターゲットホルダ上方に配置され、そして前記コンパートメントは前記ターゲットホルダの下方に配置されている。
【0028】
実施の形態では、前記荷電粒子光学部は光軸を定義し、ここで前記光の光学レンズと前記センサは当該光軸上に配置されている。かくして、当該センサ配列は前記荷電粒子光学部に対し常に整列している。前記各荷電粒子ビームの各特性を決定するか、もしくは前記リソグラフィシステムを較正あるいは再較正するために、各ステージの前記アセンブリは、前記各荷電粒子ビームが変換素子に衝突する位置に前記ターゲットホルダを移動させる。各ステージの前記アセンブリのその特定の位置において、前記変換素子に衝突する前記各荷電粒子ビームから生ずる光を実質的に妨害することなく前記の窓を通して前記コンパートメントを、そして前記センサアセンブリを通過させるために、前記変換素子から前記コンパートメントの前記の窓まで開口部が設けられている。
【0029】
実施の形態では、前記真空チャンバの内部に配置された前記コンパートメントの一部の直径は、前記真空チャンバ―の壁に隣接する前記コンパートメントの一部の直径よりも大きい。このことは、直径の大きい光の光学レンズと併用して前記真空チャンバの前記壁内の比較的小さな開口部を使用することを可能にする。一方で、前記壁内の前記小さな開口部に起因して、前記シールド内の前記開口部も小型であり、前記シールドにおける開口部が大きい時と比較して周囲の磁界および/もしくは電界の影響を低減させる。他方、より大きな直径を有する光の光学レンズを使用することは、光の光学系の開口数(NA)を増大させ、したがってその集光能力および分解能はより直径が小さいレンズと比較して、有益に大きい。
【0030】
第2の態様によれば、本発明は、荷電粒子リソグラフィシステムにおけるターゲットのレベルで一個もしくは以上の荷電粒子ビームの各特性を決定するための方法に関するものであり、前記システムは:
前記ターゲットを保持するための第1の側面を有するターゲットホルダを含むターゲット位置決め装置と;
荷電粒子ビームを生成し、当該荷電粒子ビームを変調し、更に当該荷電粒子ビームを前記ターゲットホルダの前記第1の側面に方向づけるための荷電粒子光学部と;
変換素子に衝突する各荷電粒子を光に変換するための当該変換素子を含むセンサアセンブリとを備え、ここで当該変換素子は、前記ターゲット位置決め装置の上に配置され、前記センサアセンブリは前記光を検出するための光センサを更に備え、ここで当該光センサは前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置され、前記センサアセンブリは前記変換素子から前記センサへ発生する光を方向づけるために、前記変換素子と前記光センサとの間に配置されている光の光学レンズをまた更に備え、
前記方法は、前記各荷電粒子ビームが前記変換素子に衝突する位置に前記ターゲット位置決め装置を移動させる工程を含む。
【0031】
特に、前記光センサは、前記ターゲット位置決め装置から一定の距離に配置され、従って当該ターゲット位置決め装置の上に配置されていないので、前記変換素子は前記光センサから独立して移動される。
【0032】
実施の形態では、少なくとも前記光センサは、前記荷電粒子光学部に対して確実に固定された位置に配置され、そして前記荷電粒子光学部に確実に固定して整列される。実施の形態では、前記光の光学レンズも、前記荷電粒子光学部に対して確実に固定された位置に配置され、そして前記荷電粒子光学部と確実に固定して整列される。この実施の形態では、前記センサアセンブリに関して、変換器だけが、前記ターゲット位置決め装置によって、前記荷電粒子光学部の前記光軸上、またはその近傍の前記荷電粒子ビーム(複数可)のビーム経路内に移動される。前記センサアセンブリの他の各部分、特に前記光の光学レンズと前記光センサは前記荷電粒子光学部に対して十分に固定された位置に配置されている。
【0033】
明細書において記載され且つ図示される様々な態様および特徴を、個々に、可能な限り、適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に記載の各態様および各特徴を、各分割特許出願の主題とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は添付図面に示めされる例示的な実施の形態に基づいて明らかにされることになる。
図1図1は、モジュール型のリソグラフィシステムの主要構成要素を例示する簡略ブロック図を示し、
図2図2は、本発明の第1の実施の形態に係るリソグラフィシステムの一部の概略図を示し、
図3図3は、本発明の第2の実施の形態に係るリソグラフィシステムの一部の概略図を示し、
図4図4は、本発明の第3の実施の形態によるリソグラフィシステムの一部の概略図を示し、
図5図5は、本発明の第4の実施の形態に係るリソグラフィシステムの一部の概略図を示し、
図6図6は、本発明の第5の実施の形態に係るリソグラフィシステムの一部の概略図を示す。
【発明の詳細な説明】
【0035】
図1は、モジュール型のリソグラフィシステム200の主要構成要素を例示する簡略ブロック図を示す。保守の容易さを可能にするために、このリソグラフィシステムはモジュール方式で設計されることが好ましい。主たる各サブシステムは、他の各サブシステムへの外乱を最小限に抑え、また、それらのサブシステムがリソグラフィ装置から取り外し可能となるよう、自己完結型で且つ各取り外し可能なモジュールによって構成されることが好ましい。これは、前記装置へのアクセスが制限されている真空チャンバ内に格納された当該リソグラフィ装置にとって、特に有益である。かくして、他の各システムを不必要に切断または妨害することなく、障害のあるサブシステムを迅速に取り外して交換することができる。図1に示す実施の形態において、これらのモジュール型のサブシステムは:
荷電粒子ビーム源101とビームコリメーティングシステム102を含む照明光学モジュール201と:
アパチャアレイ103とコンデンサレンズアレイ104を含むアパチャアレイ及びコンデンサレンズモジュール202と;
ビームブランカアレイ105を含むビームスイッチングモジュール203と;
ビーム停止アレイ108、ビーム偏向器アレイ109、および各投影レンズ・アレイ110を含む投影光学モジュール204とを含んでいる。
【0036】
図1に示す実施例では、アラインメントフレームは、アラインメント内方サブフレーム205とアラインメント外方サブフレーム206を含んでいる。フレーム208は制振マウント207を介して前記各アライメントサブフレーム205及び206を支持している。
【0037】
前記各モジュール201、202、203、204は荷電粒子ビームを生成し、当該荷電粒子ビームを変調し、更に当該荷電粒子ビームをターゲットホルダの前記第一の側面に向かって方向づけるための荷電粒子光学部を一緒に形成する。
【0038】
ウェハテーブル209としても言及される前記ターゲット位置決め装置は、前記荷電粒子光学部に面する第1の側面209’を備え、、ターゲットホルダー209を含む。前記第1の側面209’の上に、ターゲット、例えば、ウエハ130は、配置することができる。当該ウエハテーブル209は、順繰りにチャック210上に載置される。
【0039】
前記ウエハテーブル209及びチャック210は、短い距離にわたって、6自由度で前記チャック210を駆動するために配置されているショートストロークステージ211の上に配置されている。当該ショートストロークステージ211は、少なくとも実質的に水平面内の2つの直交方向(XとY)に沿って前記ショートストロークステージ211、及び前記チャック210を駆動するために配置されているロングストロークステージ212の頂部に実装されている。
【0040】
前記リソグラフィ装置200は、ミューメタル(μ−金属)シ−ルド層または層215を含む真空チャンバ400内に格納されている。前記シールド215は、真空チャンバ400のライニングとして都合が良いやり方で配置されている。当該装置は、各フレーム部材221によって支持されたベースプレート220の上に載置されている。
【0041】
実施の形態では、前記フレーム208と前記真空チャンバ400の前記底壁401は、一つのユニットとして形成されている。例えば、前記フレーム208と前記底壁401は、同じ材料の単一のブロックから機械加工される。前記ウエハテーブル209、前記チャック201、前記ショートストロークステージ211および前記ロングストロークステージ212は、前記フレーム(または底壁)208の上もしくはその内部に取り付けられている。
【0042】
前記荷電粒子光学部201、202、203、204に対する前記ウエハ130と前記ウエハテーブル209の位置は、測定装置250に対する前記チャック210の位置を監視する前記アラインメント位置合わせサブフレーム205に取り付けられている前記測定装置250で測定される。当該測定装置250は、例えば、干渉計システムを備え、次いで前記チャック210は、前記干渉計システムからの前記各光ビーム252を反射するミラー251を備えている。
【0043】
この実施例では、前記システム200は:
前記ターゲット位置決め装置の上、特に前記チャック210の上に配置されている、図2に更に詳しく示されている各変換素子140、150と;
前記ターゲット位置決め装置212、211、210、209から離隔して配置された光の光学レンズ302および光センサ303とを含むセンサアセンブリを備えている。
【0044】
図1および図2に示す実施の形態では、前記光の光学レンズ302と前記光センサ303は、前記真空チャンバ400の内部に配置され、そして制御部(図示せず)に前記センサ303を接続するためのケーブル304は、前記真空チャンバ400の壁401を貫通。使用に際しては、前記光の光学レンズ302と前記光センサ303が配置され、真空条件下で動作する必要がある。
【0045】
代替的に、前記真空チャンバ400は、コンパートメント300を備えていてもよい。当該コンパートメント300は、前記ウエハ130を保持するための前記第1の側面209’の反対側の前記ウエハテーブル209の側面に配置されている。特に、前記荷電粒子光学部201、202、203、204は前記ウエハテーブル209の上方に配置され、そして前記コンパートメント300は前記ウエハテーブル209の下方に配置されている。前記荷電粒子光学部201、202、203、204は前記光軸100を定義し、ここで前記光の光学レンズ302及び前記センサ303は前記光軸100の上に配置されている。
【0046】
前記コンパートメント300の内部は、前記真空チャンバ400の内部から離隔されている。当該コンパートメント300は、前記ターゲットホルダ、特にチャック210に面した側面に窓301を備える。この実施例では、前記光の光学レンズ302及び前記センサ303を備える前記コンパートメント300は、真空チャンバ400の内部に配置されている。
【0047】
概略的に図1に示すように、前記ターゲットホルダに面する前記コンパートメント300の一部、特に、前記窓301と前記光の光学レンズ302を含む前記コンパートメント300の一部の直径は、前記真空チャンバ400の壁401に隣接する前記コンパートメント300の一部の直径よりも大きい。
【0048】
概略的に図1に示すように、前記コンパートメント300は、真空チャンバ400内に延びていてもよく、また部分的であればロングストロークステージ212の空間内まで延びていてもよい。次いでロングストロークステージ212は、ステージの移動を妨げることなくコンパーメント300のために空間を提供するのに必要な開口部を備える。
【0049】
実際に、本発明の構成は、前記センサ303による、前記変換素子140、150によって生成される光の非接触測定を備える。これは、本発明の構成のさらなるの利点を提供する、すなわちいくつかの変換素子140、150によって生成された光を検出するために同じセンサ303を使用できる。
【0050】
図2に詳しく示されるように、ウエハ130を備えた前記ウエハテーブル209が載置される前記チャック210は、少なくとも2つの変換素子140、150を具備している。これらの変換素子140、150は、例えば、それ自体公知であるキネマティックマウントによって前記ウエハテーブル209のための実装位置に隣接する位置に配置されている。前記荷電粒子リソグラフィシステムのターゲットのレベルにおける一つもしくはそれ以上の荷電粒子ビーム106の前記各特性を決定する必要がある場合、前記ターゲット位置決め装置、特に、変換素子140、150を具備している前記チャック210は、前記各荷電粒子ビーム106が前記変換素子140に衝突する位置に移動する。ここで、前記変換素子140は、前記光センサ303から独立して移動されることに注目されたい。また、前記光センサ303及び前記光の光学レンズ302は、前記光荷電粒子部201、202、203、204に対して確実に固定された位置に配置され、そして前記荷電粒子光学部、特に前記光軸100に確実に固定して整列さる、この際、前記センサアセンブリ140、302、303に関して、前記変換器140だけが前記ターゲット位置決め装置によって、前記荷電粒子光学部の前記光軸100上、もしくはその近傍の荷電粒子ビーム(複数可)106の前記ビーム経路内へ移動される。前記光軸100における前記各変換素子140、150のいずれかひとつを位置決めするにあたり、前記光軸100に対してほぼ垂直な方向に当該チャック210を移動させるために、前記チャック210は、前記ショートストロークステージ211および/または前記ロングストロークステージ212を作動させることによって位置決めできる。
【0051】
図2に示すように、第1の変換素子140は、前記光軸100に配置されている。この第1の変換素子140が一つまたはそれ以上の荷電粒子のビーム106によって照射される場合、前記変換素子140に衝突する前記各荷電粒子ビームは、前記光の光学レンズ302によって前記センサ303上に結像される光160を生成する。当該第1の変換素子140は、例えば、頂部にブロッキング層を備えたYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)素材のシンチレータを含んでいる。当該ブロッキング層は、重い素材から成り、タングステンのような素材であることが好ましい、そして一つまたはそれ以上の荷電粒子ビーム106の位置を決定するために、例えば、WO2007/32670号に開示されているようなパターンに成形される。前記第1の変換素子140の位置の下で、前記チャック210は、前記各荷電粒子ビーム(複数可)106によって生成される前記光160を前記変換素子140から前記光の光学レンズ302を経由して前記センサ303へ通過させるための第1の開口部210’を具備している。
【0052】
前記第2の変換素子150は、例えば、WO2013/112041号に開示されているように頂部に開口部があるミスカットSiウエハを備えたYAG素材のシンチレータを含んでいる。前記ミスカットに起因して、前記開口部の前記各エッジの少なくとも1個は、1個もしくはそれ以上の荷電粒子ビーム106のスポットサイズを精確に決定するためのナイフエッジとして使用される、アンダーカット角度における側壁を備えている。少なくとも前記第2の変換素子150が前記荷電粒子ビーム(複数可)106内に移動した時、前記荷電粒子ビーム(複数可)106によって生成された光を前記変換素子150から前記光の光学レンズ302を経由して前記センサ303へ通過させるため、前記チャック201は前記第2の変換素子150の位置の下方に第2の開口部210’を具備している。
【0053】
したがって、ビーム位置を決定するため、前記第1の変換素子140はWO2007/32670号に開示されているようなプレートアセンブリを備えていてもよく、そして前記第2の変換素子150は、ビームスポットサイズを決定するためにWO2013/112041号に開示されているようにプレートアセンブリを備えていてもよい。前記荷電粒子光学部に対して適切な位置に前記チャック210を移動させることにより、荷電粒子ビーム(複数可)の位置およびスポット径を確立する測定を実行するための、所望の変換素子140、150を前記光軸100に配置することができる。
【0054】
第2の例示的な実施の形態は、図3に示されている。本実施例では、前記光の光学レンズ312は前記真空チャンバ400の内部に配置されており、これに対し前記光センサ313は前記真空チャンバ400の外部に配置されている。前記光の光学レンズ312と前記光センサ313との間において、前記真空チャンバ400の前記壁401は、前記各荷電粒子ビーム(複数可)106によって生成される前記光160を前記変換素子140から当該真空チャンバ400の内部の前記光の光学レンズ312を経由して、前記真空チャンバ400の外部の前記光センサ313へ通過させるための窓311を具備している。前記光160を前記真空チャンバ400の外部へと通過させるために、前記シールド層215は、少なくとも前記窓311の位置に開口部を具備していることに注目されたい。
【0055】
第3の例示的な実施の形態は図4に示されている。本実施例では、前記光の光学レンズ322および前記光センサ323はコンパートメント320の内部に配置されている。当該コンパートメント320は、シールド層215を備えている前記真空チャンバ400の底部壁401の開口部内に配置されている。図4に概略的に示されるように、前記コンパートメント320は、前記真空チャンバ400の前記底部壁401の一部であり、そして前記ターゲット位置決め装置、特にその前記チャック210に面する側面に窓321を具備している。前記コンパートメント320の内部は、前記真空チャンバ―の内部から離隔されている。従って、前記コンパートメント320の内部は、周囲圧力であることができ、そして前記光の光学レンズ322および/もしくは前記光センサ323は真空対応である必要はない。更に、前記センサ323と制御装置(図示せず)との間を通信するための前記ケーブル324は、前記真空チャンバの前記壁を通過して供給される必要はない。
【0056】
第4の例示的な実施の形態は図5に示されている。この実施例では、前記コンパートメント330は、シールド層215を備えている前記真空チャンバ400の前記底部壁401の開口部内に配置されている。また、この実施の形態は前記真空壁に隣接した前記コンパートメント330の一部を実質的に取り囲む筒部334を含んでおり、当該筒部334は、前記真空チャンバ400に対して外部方向、に本実施例では特、下方向に前記コンパートメント330に沿って延在する。当該筒部334は、まさに前記シールド215と同じように、少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む。
【0057】
図5に概略的に示されるように、前記筒部334は、前記コンパートメント330に沿って前記真空チャンバ400の内部に延在する。当該筒部334は、前記真空チャンバ400の内部に配置され、そして前記真空チャンバ400の前記壁にほぼ平行して前記壁内の開口部の周りに延在する、放射状に延びるリップ335を含んでいる。当該放射状に延びるリップ335は、前記真空チャンバ400の前記壁内の開口部の周りで、当該真空チャンバ400内の前記シールド215を少なくとも部分的に被覆し、ここで前記シールド215は前記放射状に延びるリップ335と前記壁401との間に配置されている。当該放射状に延びるリップ335は前記シールド215に接触している。
【0058】
なお概略図において、前記真空チャンバ400の壁401と、前記筒部334と、前記コンパートメント330との間には幾らかの空間が残されていることに注目すべきである。これは明確さのために行われたものである。実際には、前記筒部334は、前記真空チャンバ400の密閉性を保つために、当該真空チャンバ400の前記壁と前記コンパートメント330の周壁との間に緊密に配置されている。
【0059】
前記光の光学レンズ332と前記センサ333は双方共に前記コンパートメント330の内部に配置されており、そして当該コンパートメント330は前記チャック210に向いている上方の側面に窓331を具備していることに更に注目すべきである。
【0060】
第5の例示的な実施の形態は図6に示される。この実施例では、前記コンパートメント340は、シールド層215を備えている前記真空チャンバ400の前記底部壁401の開口部内に配置されている。図6に概略的に示すように、前記コンパートメント340は、真空シールを提供する目的で前記真空チャンバ400の壁に接続するように配置されているフランジ部345を含備えている。フランジリング222は前記真空チャンバ400の前記壁と前記フランジ部345の間に配置されている。当該フランジリング222は、まさに前記真空チャンバ400の前記シールド215のように、μ−メタルまたはパーマロイの層を少なくとも含む。
【0061】
図6に示すように、前記フランジリング222は、前記真空チャンバ400の前記壁に隣接した前記コンパートメント340の一部を略ほぼ取り囲む第1の筒部223を備えている。当該第1の筒部223は、前記コンパートメント340に沿って、前記真空チャンバ400に対して外部方向に、特に下方向に延在する。当該第1の筒部は、少なくともμ−メタルもしくはパーマロイの層を含む。
【0062】
また、前記フランジリング222は、前記真空チャンバ400の壁に隣接する前記コンパートメント340の一部をおおよそ取り囲む、第2の筒部224を更に備える。当該第2の部分224は、前記コンパートメント320に沿って、また、前記真空チャンバ400に対して内部方向に延在する。当該第2の筒部224は、前記真空チャンバ400内の開口部の周りの前記壁に対してほぼ平行に延在し、放射状に延びるリップ225を含んでいる。図6に示すように、前記真空チャンバ400の壁は、前記真空チャンバ400の内部に面するシールド215を具備している。前記放射状に延びるリップ225は、前記壁内の開口部の周りの前記シールド215を少なくとも部分的に被覆すると共にそれに接触しており、ここで前記シールド215は、前記放射状に延びるリップ225と前記真空チャンバ400の壁との間に配置されている。
【0063】
前記第2の筒部224と前記放射状に延びるリップ225は、少なくともμ−メタルまたはパーマロイの層を含む。当該前記放射状に放射状に延びるリップ225は前記シールド215に接触している。
【0064】
なお、本実施の形態では、前記コンパートメント340の前記フランジ部345は、前記真空チャンバ400の内部に面する前記真空チャンバ400の前記壁の一側に配置されることに注目されたい。
【0065】
さらに、少なくとも前記光の光学レンズ342は、前記底面側346において実質的に開放されている前記コンパートメント340内の前記窓341の近傍に配置されており、さらに前記センサアセンブリの前記センサ343は、前記コンパートメント340の外部および前記真空チャンバ400の外部に配置されていることに更に注目されたい。
【0066】
なお、上記の説明は、好ましい実施の形態の動作を説明するために含まれており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。上記の議論から、本発明の精神および範囲によって更に包含されるであろう、多くの変形例が当業者には明白であるだろう。
【0067】
例えば、前記フランジ部345を有する前記第5実施例の前記コンパートメント340は、例えば、図4および図5の実施の形態に示されるように、当該コンパートメント340の内部に前記センサ343を配置することができるよう、改変することができる。代替的に、前記第3及び第4の実施の形態のコンパートメント320、330は、例えば図6の実施の形態に示したように前記コンパートメント320、330の外部に前記センサ323、333を配置するように改変することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6