【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的の少なくとも1つは、ヒト又は動物の身体の中空器官、好ましくは胃腸管、特に腸の中に導入するための吸引ステントであって、
− 長手方向に開放しており、生体適合材料で作製されており、少なくともその中央部分で一定の直径を有する管状中空体と、
− 生体適合性且つ径方向に成形可能な、好ましくはスポンジ材料である多孔性成形可能材料であって、管状中空体の少なくとも一部で管状中空体を径方向に覆う多孔性成形可能材料と
を備えた吸引ステントによって達成される。
【0007】
そのようなステントによって、圧力比を逆にすることができる。ステント自体によって径方向力を及ぼすことに代えて、本発明は、患者の器官の壁、例えば腸壁が、創口閉鎖を確実にすることを可能にする。必要であれば、そのようなステントは、体内に数日保持することができる。詳細には、ステントは、10日間まで体内で実施されたままにすることができる。ステントと器官の間の圧力は、径方向力を外側に及ぼす管状中空体によって与えるのではなく、中空器官自体の壁によって与えられる。それによって、多孔性成形可能材料自体は、特にその直径を中空器官の幾何学的形状に適合させることによって中空器官の内壁がその外面へ寄り添うことを確実にするために、十分に高い径方向力を中空器官に及ぼすように配置される。
【0008】
上記ステントは、(例えば、柔軟で不安定な縫い目に関する文脈で)予防用の予防ステントとして、又は特に手術後に、すなわち手術後の文脈で(体内に永久に残る)永久ステントとして実施することができる。
【0009】
本発明に係る吸引ステントの場合、例えば、任意の拡張可能な管状中空体によって与えられる(更なる)径方向力成分が必要ではない。多孔性成形可能材料の径方向反力は、例えば吻合の封止を確実にするために十分であることが見いだされた。多孔性成形可能材料の径方向力は、内側に向けられ、器官の、例えば腸の壁によって及ぼされる径方向力によるものである反力に対応する。前記多孔性成形可能材料自体が封止を確実にすることができるので、第2のステップでは、器官と管状中空体の間に正常以下(subnormal)の圧力をもたらすために、真空ドレナージが多孔性成形可能材料に容易に適用できる。多孔性成形可能材料の物質に応じて、器官の壁の封止を確実にするために、正常以下の圧力による吸引によって、前記内部器官の壁、典型的には内壁を形成するその上皮が、多孔性成形可能材料に対して吸引されることを確実にすることができる。それによって、内壁は、気密及び水密に封止することができる。吸引により正常以下の圧力をかけることによって、感染性分泌物は、真空ドレナージを介して更にポンプで汲み出すことができる。
【0010】
言い換えると、本発明の概念は、外側に径方向力を及ぼす管状中空体を必要としないという驚くべき発見又は認識に基づいている。そうではなく、前記多孔性成形可能材料によって単独で引き起こされる径方向力、又は径方向対圧の一種、又は径方向抵抗が、封止を確実にするのに十分なものになる。必要であれば、この効果は、ドレナージ手段によって及ぼされる正常以下の圧力をかけることと組み合わされてもよい。
【0011】
多孔性成形可能材料は、スポンジ又は発泡体の形態で与えることができる。一代替例によれば、多孔性成形可能材料は、プラスチック材料の発泡体、特にポリウレタン又はポリビニルアルコールである。好ましい一実施形態では、多孔性成形可能材料は、シリコーンのスポンジである。
【0012】
多孔性成形可能材料は、開放孔又は閉鎖孔を備えることができる。好ましくは、使用される開放孔構造は、1インチあたり20個から40個の孔、特に少なくとも約30個の孔を有する。ひずみ硬さは、好ましくは2から10kPaの範囲内で、特に約5kPa、特に約40%の圧縮である。好ましくは、多孔性成形可能材料は、ポリウレタン材料、又はポリエステル材料、或いはそれらのコポリマーに基づく又はそれからなるスポンジである。一代替例によれば、多孔性成形可能材料は、それ自体がポリエステルに基づいているポリウレタンに基づくことができる。別の実施形態によれば、多孔性成形可能材料は、開放孔シリコーンスポンジであり得る。シリコーン材料は、非常に不活性であり、抵抗力がある。代替として、多孔性成形可能材料は、ガーゼの形態で提供されてもよい。
【0013】
好ましくは、多孔性成形可能材料は、管状中空体の外面に直接固定される。固定は、例えば付着によって又は単に材料の自己収縮特性によって実現することができる。例えば、孔性成形可能材料は、外面に取り付けることができ、又は管状中空体の外面にかぶせることができる。
【0014】
好ましくは、管状中空体は、その全長にわたって又は少なくとも一部内で(ヒト又は動物の身体内の圧力状態に関して)径方向に圧縮できない。典型的には、非拡張性及び/又は非圧縮性は、その中央部分に実現される。ステントの管状中空体は、圧縮可能及び/又は径方向に拡張可能である必要はないので、硬質材料又は径方向に変形可能でない材料からなる単純なチューブ又はパイプ、例えば、シリコーンチューブが使用され得る。管状中空体は、一貫した(自己完結型の)周辺内壁を備え、すなわち(必要であれば、ドレナージ手段のためのすべての通路箇所から離れて)任意の穴又は穿孔又は開口のないことが更に好ましい。
【0015】
また、一貫した(自己完結型の)管状中空体により、真空を適用するために、多孔性成形可能材料と任意の格子構造の管状中空体との間の気密箔は、本発明に係る管状中空体が気密のホース又はチューブ又はパイプとしてそれ自体もたらされ得るので、それ以上必要とされない。それにより、本発明に係るステントのための製造コスト、特に径方向に拡張可能な格子構造の形態で提供される、比較される従来技術のステントのコストを、かなり削減することができる。また、ステントを器官内、特に腸内に配置するためのカテーテルは、その配置の前により小さい直径で径方向に拡張可能な格子構造を保持/固定する必要なく設計することができる。ステントの寸法は、カテーテル、又は内視鏡のサイズに実質的に適合することができる。詳細には、ステントの内径は、本発明のステントは(例えば1から5mmの多孔性成形可能材料の層とは異なり)径方向に十分な厚みの層によって囲まれないので、比較的大きいものとなるように選ぶことができる。言い換えると、ステントの壁厚みが減少される。前述したように、中空体が例えば、気密及び水密ホース、チューブ、又はパイプ製である場合、管状中空体と多孔性成形可能材料の間の気密フィルム及び/又は水密フィルムは、それ以上提供される必要はない。しかしながら、それは、本発明のステントのある部分で、例えば、必要であれば、末端部分及び/又は中央部分で与えられ得る。
【0016】
更に、本発明に係るステントは、高い径方向圧力を器官に及ぼす拡張可能な管状中空体が存在しないので、生理学的利点を与える。したがって、器官に及ぼされる径方向圧力は、真空自体によってより柔軟に調整することができる。器官の内壁と多孔性成形可能材料との間の接触力は、実施部位での患者の圧力状態と適用される正常以下の圧力との間の圧力差の結果である。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、実質的に円筒形状の管状中空体は、その内腔を通じての体液の通過を可能にする内径を有するパイプ又はチューブである。それは、その長手方向軸に対して可撓性であり、特に弾性的に曲げられる。言い換えると、管状中空体は、埋め込みのときに、詳細には圧力が加えられるときに、その機能を実行するために、必ずしも完全に硬質であるようにする必要はない。むしろ、管状中空体が、器官内、特に、施の部位で曲がった幾何学的形状を有し得る腸内へのその埋め込みを助けるために可撓性である場合、好ましいものであり得る。
【0018】
好ましくは、管状中空体は、少なくとも管状中空体の中央部分において円筒形の幾何学的形状を有する円筒の形態で提供され、管状中空体の一方又は両方の端部部分(又は正面若しくは正面側)は、円筒形の形態から逸脱することができる。好ましくは、管状中空体は、開口又は穴を有しない連続した(内及び/又は外の)面、特に円周方向の密着する(一貫した)内面を備える。一実施形態によれば、多孔性成形可能材料は、少なくとも断面の点で中央部分においてのみ管状中空体のまわりに円筒状に与えられる。それによって、その端部部分又は正面又は正面側で、多孔性成形可能材料は、傾斜させられた又は斜めにされた幾何学的形状を備えることができる。更に、多孔性成形可能材料は、やはり中央部分に関して、厳密な円筒形形状からわずかに逸脱し得る。例えば、多孔性成形可能材料は、わずかに楕円形状で与えられてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、多孔性成形可能材料は、管状中空体がその長手方向に延在している範囲(長さ)の少なくとも50%にわたって与えられる。好ましくは、管状中空体は、その延在している範囲(長さ)の少なくとも75%にわたって多孔性成形可能材料によって覆われる。これによって、管状中空体は、容易に扱うことができ、管状中空体の主部分は、多孔性成形可能材料によって覆われる。管状中空体の少なくともの大部分を覆うことは、器官がステントの任意の硬質部分と接触していないという利点をもたらす。管状中空体の完全な拡張にわたって与えられない多孔性成形可能材料は、管状中空体が、管状中空体の内腔によって任意の腸の分泌物を導くことができるという利点をもたらす。言い換えると、多孔性成形可能材料は、任意の腸の分泌物によって又は流体若しくは粒子によって塞がれることが防がれる。好ましくは、多孔性成形可能材料は、管状中空体の長手方向寸法の90%を最大で超えて設けられており、詳細には、筒状中継チューブの端部部分は、多孔性成形可能材料によって覆われていなくてもよい。多孔性成形可能材料から突出する管状中空体は、多孔性成形可能材料の径方向可撓性を確実にすることはできる。別の実施形態により、多孔性成形可能材料は、管状中空体の全長にわたって延びる。本実施形態では、多孔性成形可能材料の厚みは、管状中空体の端部部分の近くで減少することが好ましい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、管状中空体は、水に対して、又は水及び気体若しくは空気に対して不透過性である。これによって、何らかの水密箔及び/又は気密箔を必要とせずに、正常以下の圧力を多孔性成形可能材料及び中空器官の内壁にかけることができる。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記管状中空体は、それが管状中空体の一方又は両方の周辺(末端)断面において、特に管状中空体の一方又は両方の端部部分で、径方向に拡張可能であり、(例えば、長手方向寸法全体の70%まで)中央部分は拡張不能であるように与えられる。周辺部分だけが拡張可能である管状中空体については、漏斗状幾何学的形状が実現できる。周辺部分が例えば吻合の箇所で、埋め込み箇所の近位又は遠位の組織に接触しているようにステントが埋め込まれるとき、中空体の周辺部分の拡張は、吻合時の圧力状態に影響を与えない。漏斗状幾何学的形状は、埋め込み時のステントの固定、及び体液の流れを助ける拡大した管腔径という利点をもたらす。また、多孔性成形可能材料は、(何らかの更なる固定をせずに)管状中空体の外面にかぶされてもよい。最終的に、漏斗状幾何学的形状は、多孔性成形可能材料が管状中空体から滑り落ちないことを確実にする。管状中空体を囲む多孔性成形可能材料を有するステントは、好ましくは生体適合接着剤が必要とされないので、コスト効率よく提供することができる。
【0022】
管状中空体の周辺末端部分における径方向に拡張する能力(各末端部分は典型的には管状中空体の長手方向寸法全体の10%から30%を占める)は、少なくとも2つの異なる材料で構成される管状中空体によって与えることができ、少なくとも1つの周辺部分は、中央部分の材料とは異なる材料で設けられる。代替として、管状中空体は、その全体の長さにわたって1つの単一の材料(例えば、シリコーン)だけで構成されてもよいが、異なる壁厚を有してもよく、少なくとも1つの周辺部分が、中央部分よりも薄い膜厚を備える。
【0023】
別の実施形態により、管状中空体は、径方向拡張を可能にすることなく、一端部部分(特に遠位端部分)で硬質の漏斗状幾何学的形状で前もって形成される。本発明の一実施形態によれば、管状中空体は、全体が拡張不能材料で作製されており、管状中空体の一方又は両方の周辺部分で漏斗状幾何学的形状を備える。
【0024】
管状中空体の一方又は両方の端部部分における漏斗状幾何学的形状は、径方向の拡張によって又はその予め形成された幾何学的形状によりそれであり、多孔性成形可能材料の正面側は、例えば、気密性及び/又は水密性のために封止される又は体液又は粒子による成形可能材料の孔の閉塞を避ける必要がないことを確実にすることができる。言い換えれば、管状中空体自体は、長手方向に関しても気密性及び/又は水密性を確実にすることができる。漏斗状幾何学的形状は、内視鏡が容易に管状中空体を通じてチャンネルで運ばれ得る又は前記管状中空体を通過させられ得るという利点をもたらす。
【0025】
好ましくは、正常以下の圧力を及ぼすために設けられたドレナージ手段は、通路箇所において漏斗状端部部分に管状中空体を通過させる。一実施形態によれば、ドレナージ手段は、(特に可撓性の)チューブの形態で設けられ、ここで通路箇所は丸い又は楕円の開口又は穴である。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、排出状態又は緩和状態における多孔性成形可能材料の厚みは、4mmと12mmの間、好ましくは5mmと10mmの間、特に約7.5mmである。それによって、この厚みは、少なくとも断面の点で中空体を円筒状に囲む多孔性成形可能材料の壁厚を指す。圧縮状態では、多孔性成形可能材料の厚みは、2mmと4mmの間、好ましくは3mmであり得る。詳細には、例えば、ポリウレタン材料からなるスポンジは、(径方向寸法の圧縮を指す)80%までだけ圧縮することができる。好ましくは、スポンジは、30%から80%だけ、更に好ましくは少なくとも50%から60%だけ圧縮可能である。多孔性成形可能材料の径方向寸法の高い圧縮性は、容易に身体の管腔器官に導入できるステントを与える。前記ステントは可能な最大の内側管腔径を有し、一方、それは中空器官の特定の形状に更に適合することができるということが好ましい。
【0027】
管状中空体の長さは、中空器官のタイプ、医療的必要性、及び更なる患者特有のパラメータ、例えば、吻合のサイズに応じて選ぶことができる。管状中空体の長さは、好ましくは40mmと140mmの間、更に好ましくは60mmと80mmの間、特に少なくともおおよそ約70mmである。詳細には、約70mmの長さは、手術、例えば、消化管手術における特定の問題を引き起こすことなくステントを器官に導入することができるという利点をもたらす。
【0028】
一実施形態によれば、前記多孔性成形可能材料は、箔又はフィルムによって覆われ、この箔又はフィルムは、患者による埋め込みの抵抗力を改善することができる。箔は、例えば、粘膜により悪影響を及ぼすのを防ぐために、そのように覆うことが必要とされる場合、例えば、多孔性成形可能材料と器官の内壁(例えば、腸の粘膜)との間の直接接触を防ぐことができる。一方、前記腸の粘膜は、例えばポリウレタン製の一般に使用されている材料のスポンジ材料に対して通常抵抗性があることが分かっている。箔又はフィルムの材料は、好ましくはポリウレタン、ラテックス、又はシリコーンである。箔は、穴あけされてもよい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、管状中空体の管腔内径は、5mmと15mmの間、好ましくは6mmと12mmの間である。(比較的大きい)そのような内径は、ステントが埋め込まれるとき腸の封鎖を防ぎ、閉塞の危険性を低減する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、排出状態又は緩和状態における多孔性成形可能材料の外径は、15mmと35mmの間、好ましくは20mmと30mmの間、特に少なくともおおよそ約25mmである。これによって、圧縮状態で、非常に小さい径方向の延在範囲を有するステントを提供することができる。約25mmの直径は、封止を確実にするのに十分大きいことが分かっている。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、排出状態又は緩和状態における多孔性成形可能材料の外径と管状中空体の管腔内径との比は、3と7の間、好ましくは4と6の間、特に5である。そのような比は、管状中空体の比較的大きい内側内腔とともに、多孔性成形可能材料が中空器官の内壁の形状に適合する能力を確実にすることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、管状中空体の壁の厚みは、0.5mmと5mmの間、好ましくは0.5mmと2.5mmの間、特に1mmと2mmの間である。そのような(全く小さい)厚みは、管状中空体の比較的大きい内側内腔を確実にすることができる。また、管状中空体は可撓性のままである。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、吸引ステントは、多孔性成形可能材料で又はそこに固定されるドレナージ手段、特に吸引ホース、好ましくは真空チューブを更に備える。多孔性成形可能材料に直接結合されたドレナージ手段によって、正常以下の圧力は、器官の内壁、特に吻合の近くで実現することができる。固定は、接着、裁縫、若しくは縫い合わせ、溶接若しくはヒュージング、又は更なるタイプのジョイントによって行うことができる。ドレナージ手段は、圧力に対して強い。それらは、患者の身体に挿入することができ、又は患者の顔の開口、例えば、口腔、鼻を介して患者の身体から導き出すことができる。)真空は、連続的に又は不連続的にドレナージ手段にかけられてもよく、この真空は、例えば負圧を有するポンプ又は圧力シリンダによって生成される。
【0034】
別の実施形態によれば、管状中空体の一方又は両方の端部部分は、膨張可能であるバルーン型構成要素を備えることができ、好ましくはそれで囲まれる。バルーン型構成要素は、例えば、漏斗状幾何学的形状に加えて設けられてもよい。バルーン型構造は、一方又は両方の端部部分を包含する膨張可能なリングとして与えることができる。バルーン型構成要素を膨張させることによって、多孔性成形可能材料は、任意の腸の流体又は粒子から閉じ込めることができる。
【0035】
前記吸引ステントは、膨張可能である少なくとも1つのバルーン型構成要素を備えることができ、前記バルーン型構成要素は、特に吸引ステントの外側面に設けられる。好ましくは、吸引ステントは2つのバルーンを備え、それぞれは多孔性成形可能材料に隣接して吸引ステントの端部部分の1つに設けられる。
【0036】
本発明の更なる実施形態によれば、吸引ステントは、生体適合メッシュ又は組織を更に備え、前記生体適合メッシュ又は組織は、特に吸引ステントの遠位端部分に設けられる。メッシュ又は組織は、端部部分におけるステントの2つの開口にまたがる又は張り過ぎる。メッシュは、管状中空体に、特に管状中空体の側面に、特に接着剤によって固定することができる。組織が与えられた場合、メッシュ又は組織を通じて内視鏡によって画像の取得を可能にするために、組織は、透明であるべきであり、又はその中に穴を備えるべきである。
【0037】
本発明のステントは、アダプタを更に備えるシステムの一部であり得、前記ステントはドレナージ手段を備え、前記アダプタは、ドレナージ手段を真空ポンプ及び/又はルドンボトルに結合するために配置されている。前記アダプタは、2つの端部を有する管状構成要素の形態で設けることができ、この管状構成要素は、一端でドレナージ手段と結合され、他端で真空ポンプ及び/又はルドンボトルに結合されるように配置されている。好ましくは、アダプタは、2つ又は3つのカップリング、すなわち、二方弁又は三方弁を有するいわゆる「ルアーロック」である。ルドンボトルは、膿漿用の槽の形態で設けることができる。
【0038】
好ましい実施形態では、このシステムは、ルドンボトルを介してドレナージ手段へ真空を送るように配置されている。詳細には、ドレナージ手段は、特に「ルアーロック」を介してルドンボトルに結合される。ルドンボトルには、特にゴム栓によって閉鎖できる開口が設けられている。開口では、ルドンボトルは、真空ポンプと結合することができる。例えば、真空ポンプの対応するアダプタは、開口に貼り付ける又は接着することができる。それによって、ルドンボトル内で引き起こされる正常以下の圧力は、ドレナージ手段にやはり及ぼされ得る。代替例によれば、ルドンボトル自体は、正常以下の圧力を及ぼすために使用することができ、開口はゴム栓によって閉じられる。言い換えると、吸引ステントは、アダプタと開口を有するルドンボトルとを備えた真空システムの一部であり得るものであり、このアダプタは、開口に貼り付けられ(特に接着され)ており、アダプタは、真空創傷システムの接着コネクタの形態で提供することができる。アダプタは、創傷システムの箔の穴あき部分に結合できる接着コネクタの形態で与えることができる。
【0039】
一態様によれば、吸引ステントが交換されなければならない場合、ドレナージ手段は、特に以下に説明されるように簡単で信頼できるやり方で配置することができる。詳細には、以下の特徴は、上側胃腸管内に配置される吸引ステントに関しての文脈で適用可能である。そのような応用例では、最初は、吸引チューブは、食道内に配置することができ、身体の外から口腔を介して通される。そのような適用例では、吸引チューブは、特に口腔を介して通すことは長い間患者によって耐えることができないので、身体の外から鼻を介して通さねばならない。
【0040】
したがって、患者の食道内に配置される吸引チューブの導入及び再配置を可能にするシステムであって、吸引チューブと、サプリメンタルチューブと、ガイドワイヤとを備えるシステムが提供される。ドレナージ手段は、特定の直径を有する吸引チューブを備えることができる。約25cmから35cm、特に30cmの長さを有するとともに、吸引チューブの直径に対応する直径を有する比較的短いサプリメンタルチューブが提供され得る。サプリメンタルチューブは、ガイドワイヤ、特に約35cmから45cm、好ましくは40cmの長さを有するガイドワイヤを介して吸引チューブに接続することができる。
【0041】
第1のステップでは、ステントは、腔内の位置に配置される。続いて、吸引チューブは、口腔を介して通される。続いて、サプリメンタルチューブは、鼻を介して導入されているとともに、口腔を介して通されている。この動作は、全く簡単に実現することができる。続いて、両チューブは、ガイドワイヤを介して接続され、それらが互いに接触するまでともに押される。それによって、ガイドワイヤは、口腔から突出するそれぞれのチューブの端部で両チューブに導入することができる。更なるステップでは、吸引チューブは、特に圧力の力又はサプリメンタルチューブへの突き刺しを及ぼすことによって、ガイドワイヤに沿って、鼻を介して身体から外へ通すことができる。それによって、サプリメンタルチューブは、吸引チューブと接触している。
【0042】
上記の方法は、吸引ステントの交換中に実行することもできる。それによって、(鼻を介して導入/挿入される)サプリメンタルチューブは、吸引チューブの端部によって置き換えることができ、この吸引チューブの端部は切断されている。吸引チューブの端部は、鼻内に留まるとともに、ドレナージ手段の取り除き中に切断することができる。
【0043】
本発明の更なる態様によれば、前述の目的のうちの少なくとも1つは、ヒト又は動物の身体の中空器官の漏洩部、特に吻合を封止する方法であって、
(a)本発明に係る吸引ステントを、その長手方向側部が前記漏洩部にある状態で、特に長手方向側部の中間の領域にある状態で設けられているように、中空器官、好ましくは胃腸管、特に腸の中に導入するステップと、
(b)吸引ステントの管状中空体を径方向に覆う多孔性成形可能材料の直径を調整することによって中空器官と吸引ステントの間で接触を行い、管状中空体を少なくともその中央部分で一定の直径で保持するステップと、
(c)中空器官が多孔性成形可能材料に対して吸引される又は押し付けられるように、ドレナージ手段によって多孔性成形可能材料に対して正常以下の圧力を与えるステップと
を含む方法によって達成される。
【0044】
好ましい実施形態によれば、内視鏡又はカテーテルは中空器官の中に導入され、カテーテルはチューブ内に配置されている。言い換えると、チューブは、中空器官の中に導入され、このチューブはカテーテルを含む。第2のステップでは、カテーテルは取り除かれ、ステントは圧縮され、チューブの中に導入され、特にプッシャによってチューブに沿って押される。プッシャに関しては、ステントの所望の位置を示すマークが存在し得、このマークは、テントがチューブ内に配置されなければならない距離又は深さを示すことができる。詳細には、マークは、チューブの遠位端を示す。第3のステップでは、チューブは取り除かれ、プッシャは器官内のその位置のままである。このステップでは、ステップはステップ(b)を含み、このステントは、器官内で解放される。代替として、ステントは、ステントの管状中空体のまわりで包まれる細糸又はフィラメントによって圧縮されている多孔性成形可能材料を備えることができる。そのような圧縮状態では、ステントは、内視鏡又はカテーテルを介して器官の中に導入することができる。続くステップでは、細糸はそれを後ろに引っ張ることによって取り除くことができ、多孔性成形可能材料は、解放させることができ、径方向に拡張することができる。
【0045】
以下の図において、本発明を例によって説明する。