(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393775
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】プロセスガスケットにより導入されるプロセス変数センサを備えたプロセス変数トランスミッタ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/00 20060101AFI20180910BHJP
G01L 13/00 20060101ALI20180910BHJP
G01K 13/02 20060101ALI20180910BHJP
G01F 1/42 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
G01L19/00 Z
G01L13/00 Z
G01K13/02
G01F1/42 A
【請求項の数】26
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-558664(P2016-558664)
(86)(22)【出願日】2015年1月13日
(65)【公表番号】特表2017-508977(P2017-508977A)
(43)【公表日】2017年3月30日
(86)【国際出願番号】US2015011129
(87)【国際公開番号】WO2015147969
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年10月28日
(31)【優先権主張番号】14/223,228
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ヘドケ,ロバート,シー.
【審査官】
細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−526097(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/023597(WO,A1)
【文献】
特開2006−337234(JP,A)
【文献】
実開昭53−006278(JP,U)
【文献】
特開平02−045713(JP,A)
【文献】
特表2003−509684(JP,A)
【文献】
特開平04−001526(JP,A)
【文献】
特表2011−517742(JP,A)
【文献】
特表2003−519377(JP,A)
【文献】
特開2002−054972(JP,A)
【文献】
特開昭63−261131(JP,A)
【文献】
特開平05−187896(JP,A)
【文献】
特表2007−531868(JP,A)
【文献】
特開2000−137528(JP,A)
【文献】
実開昭60−129621(JP,U)
【文献】
特開2003−020973(JP,A)
【文献】
米国特許第5659132(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 19/00
G01K 13/02
G01L 13/00
G01F 1/42
G01F 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プロセス内でプロセス流体のプロセス変数を検知するプロセス変数トランスミッタにおいて、
プロセス容器面との間にシールを確立するように構成された表面を有し、プロセス容器面の開口を通るプロセス流体に晒されるプロセスガスケットであって、その外側面からプロセスガスケット内部へ延設されたキャビティを具備し、
プロセス流体のプロセス変数を検知するように前記プロセスガスケットの前記キャビティ内に実装され、センサ出力を提供するプロセス変数センサと、
前記センサ出力と電気的に接続され、前記プロセスガスケットの側面から外側の位置に延びる電気的接続部と、
前記電気的接続部に接続され、検知されたプロセス変数出力に関連するプロセス変数出力を提供するように構成された測定回路とを含むプロセス変数トランスミッタ。
【請求項2】
前記プロセス変数センサが圧力センサを含む請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項3】
前記プロセス変数センサが温度を検知するように構成された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項4】
温度を検知するように構成された第2のプロセス変数センサを含む請求項2のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項5】
前記プロセス変数センサがプロセス流体と直接接触する請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項6】
前記プロセス変数センサがプロセス流体から隔離された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項7】
前記プロセス変数センサが脆性材料で製造された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項8】
前記プロセス変数センサがプロセスガスケットに埋め込まれた請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項9】
第2のプロセス変数センサを有する第2のプロセスガスケットを含み、前記測定回路が、プロセス変数センサと第2のプロセス変数センサとの圧力差を測定するように構成された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項10】
プロセス流体の流れに圧力差を生じさせるように構成されたオリフィス板を含み、前記プロセス変数センサおよび第2のプロセス変数センサが前記オリフィス板の対応位置に配置された請求項9のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項11】
前記プロセス容器面がプロセス配管のフランジを含む請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項12】
前記プロセス容器面がタンクのフランジを含む請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項13】
前記プロセスガスケットが、前記プロセス変数センサから離間された第2のプロセス変数センサを含む請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項14】
前記プロセス変数センサおよび第2のプロセス変数センサが圧力差を測定するように構成された請求項12のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項15】
前記圧力差が、タンク内でのプロセス流体のレベルに関連する請求項14のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項16】
前記プロセスガスケットが環状である請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項17】
前記プロセス変数センサが、プロセスガスケットに放射状に配置された請求項16のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項18】
前記測定回路がプロセス容器面に搭載された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項19】
前記測定回路がプロセスガスケットと一体に実装された請求項1のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項20】
前記プロセスガスケットが、前記測定回路を実装するパドル状の拡張部を含む請求項19のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項21】
プロセス容器面に対してシールを確立するプロセスガスケットにおいて、
それぞれの第1および第2のプロセス容器面に対してシールするように構成された第1および第2の対向表面を有し、ガスケット材料で形成された環状リングと、
前記環状リングの中央部において、プロセス流体を受け容れるように構成された開口部と、
前記環状リングに形成され、その外側面から環状リング内に延設されたキャビティと、
プロセス流体のプロセス変数を検知するように構成され、前記環状リングのキャビティに実装され、前記環状リング内に配置されたプロセス変数センサと、
前記プロセス変数センサに結合し、前記キャビティから前記環状リングを介して当該環状リングの側面から外側の位置へ延びる電気接続部とを含むプロセスガスケット。
【請求項22】
前記プロセス変数センサが圧力センサを含む請求項21のプロセスガスケット。
【請求項23】
前記プロセス変数センサがプロセス流体に直接晒される請求項21のプロセスガスケット。
【請求項24】
前記プロセス変数センサが細長い脆性材料で製造された請求項21のプロセスガスケット。
【請求項25】
前記環状リング内に形成された第2のキャビティ、および当該第2のキャビティ内に実装されて第2のプロセス変数を検知するように構成された第2のプロセス変数センサを含む請求項21のプロセスガスケット。
【請求項26】
前記プロセス変数センサが、圧力センサ、および温度センサを含む第2のプロセス変数センサを含む請求項25のプロセスガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用のプロセス制御及び監視システムにおけるプロセス変数の測定に関する。より具体的には、本発明は、プロセスガスケットにより導入されるプロセス変数センサを用いたプロセス変数の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス変数センサは、プロセス流体のプロセス変数を検知するために、産業用のプロセス制御及び監視システムにおけるプロセス変数トランスミッタにより使用される。例示的なプロセス変数としては、圧力、流量、レベル、温度、pHおよび濁度が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7559244号明細書
【特許文献2】米国特許第5659132号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロセス変数を測定するために、プロセス変数センサは、典型的にはプロセス流体と結合される。これは配管、フランジ、マニホールドまたは他の接続若しくは結合を介して行うことができる。これらの接続はいずれもれ、プロセス流体の漏れを防ぐためにシールされなければならない。
【0005】
また、接続により産業プロセスにおけるプロセス変数トランスミッタの設置が複雑化する。これらの結合には、産業プロセスへの「貫通」が必要となり、これは、設置コストおよび複雑さを増大させ、信頼性を低下させ、更にはプロセス変数トランスミッタの設置領域および重量を増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
産業プロセスのプロセス流体のプロセス変数を検知するプロセス変数トランスミッタは、プロセス容器面に対してシールを確立するように構成された表面を有するプロセスガスケットを含む。プロセスガスケットは、プロセス容器面の開口部を介してプロセス流体に晒される。プロセス変数センサはプロセスガスケットにより導入され、プロセス流体のプロセス変数を検知するセンサ出力を提供するように構成されている。プロセス変数センサに接続された測定回路は、プロセス変数の出力に関連するプロセス変数トランスミッタ出力を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】プロセス変数トランスミッタを用いて圧力差を測定する従来技術の改良された構造を示した図である。
【
図2】プロセス配管の2つのフランジ間に配置されるプロセスガスケットの構成の一例を示した分解斜視図である。
【
図3】
図2に示したフランジ及びプロセスガスケット並びにプロセスガスケットにより導入されるプロセス変数センサの断面図である。
【
図4】2つのプロセスガスケットおよびプロセス流体のフローレートを測定するために用いるオレフィス板の使用を示した分解斜視図である。
【
図5】
図4に示した構成の垂直断面図であり、2つのプロセスガスケットに挟まれたオリフィス板を示している。
【
図6A】
図2に示したプロセスガスケットの斜視図である。
【
図6B】
図2に示したプロセスガスケットの上面図である。
【
図6C】
図2に示したプロセスガスケットの垂直断面図である。
【
図6D】プロセスガスケットに関して他の構成のプロセス変数センサを示した垂直断面図である。
【
図6E】ポケット領域を備えたプロセスガスケットの他の実施形態の垂直断面図である。
【
図7】プロセス配管に結合される2つの対向するフランジ間でシールされるプロセスガスケットに結合するプロセス変数トランスミッタを示した側面図である。
【
図8】
図7に示したプロセス変数トランスミッタの概略ブロック図である。
【
図9A】タンク内のプロセス流体のレベルを測定するために使用するプロセスガスケットに結合されるプロセス変数トランスミッタを示した垂直断面図である。
【
図9B】
図9Aに示したプロセスガスケット内での2つのプロセス変数センサの位置を示した垂直断面図である。
【
図10】必須のプロセス変数トランスミッタ回路を含むプロセスガスケットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
背景技術の欄で述べたように、プロセス変数の測定においては、プロセス流体にアクセスするために、典型的にはタンクや配管等のプロセス容器を貫通する開口等が必要である。例えば、
図1はプロセス変数トランスミッタ100が圧力差を測定するために用いられる従来技術の改良した構造を示している。トランスミッタ100はインパルスライン104,106を介してプロセス配管102に接続されている。インパルスライン104,106は、配管102内に導かれるプロセス流体へのアクセスを提供する配管フランジ108、110にそれぞれ接続されている。インパルスライン104,106は、追加のバルブ120及びマニホールド122を介して、プロセス変数トランスミッタ100に接続されている。
図1に示したように、プロセス流体へのプロセス変数トランスミッタ100の結合は複雑であり、複数の接続を必要とする。各接続部は、漏れを防ぐためにシールされるインターフェイスを必要とする。
【0009】
一実施形態では、
図1に示した構成と比較して、プロセス変数センサをプロセス流体に結合するために必要な接続数を削減するプロセスガスケットが提供される。一の構成例では、プロセス変数トランスミッタは、プロセス流体容器の表面との間にシールを形成するように構成された少なくとも一つの表面を有するプロセスガスケットを用いてプロセス流体に接続される。これにより、プロセスガスケットは、プロセス容器の表面に設けられた開口を介してプロセス流体に晒されることが可能になる。プロセスガスケットは、プロセス流体のプロセス変数を検知するように構成されたプロセス変数センサを導入する。検知されたプロセス変数は、検知されたプロセス変数に関連する出力を提供するために使用される測定回路に供給される。測定回路は、ガスケットと一体に形成されてもよいし、例えばプロセス変数トランスミッタ内といったように、ガスケットから離間された別の構成であっても良い。さらなる態様および構成が後に詳述される。一実施態様では、本明細書に記載の実施形態は、プロセス流体にアクセスするために予め産業プロセスシステムを通過するように設けられたプロセス貫通孔を用いることが有利である。
【0010】
図2は、プロセス配管202のフランジ204、206に対してシールされるように配置されたプロセスガスケット200の分解斜視図であり、
図3は、2つのフランジ204、206間に組み込まれたプロセスガスケット200の部分横断面図である。後に詳細するように、ガスケット200は、産業プロセスのプロセス変数を検知するプロセス変数センサ220(
図3)を含む。フランジ204は、プロセスガスケット200との間にシールを形成するために当該ガスケット200の面に当接し、開口部209(
図3)を有するプロセス容器面208(
図3)を含む。同様に、フランジ206は、シールを形成するガスケット200の対向側の面に当接し、開口212を有するプロセス容器面210を含む。これらは、プロセス流体にアクセスできるようにするための開口を有するプロセス容器面の例である。
【0011】
プロセスガスケット200は部分的に、開口部209,212内に存在するプロセス流体に接触すれるように、当該開口部209,212間のスペース内へ延びている。プロセスガスケット200内に実装されたプロセス変数センサ220は、プロセスガスケット200の外表面まで延びた電気接続部222に接続される。
図3に示すように、ガスケット200の材料は、あらゆるプロセス流体からプロセス変数センサ220を包囲し、隔離する。例えば、プロセス変数センサ220が圧力センサであれば、プロセス流体の圧力はガスケット材料のたわみまたは変形としてセンサ220へ伝達できる。他の分離技術として、例えば隔離ダイアフラムを使用しても良い。しかしながら、他の構成例では、プロセス変数センサ220が開口209,212内のプロセス流体に直接晒される。他の実施形態では、プロセス変数センサ220は、例えば温度のような他のプロセス変数、および/または圧力と温度といったような複数のプロセス変数を測定する。
【0012】
図4は、それぞれプロセスガスケット200A,200B内に実装されたプロセス変数センサ220A,220B(
図5を参照)を用いて圧力差を測定する構成を示した分解斜視図である。
図4に示すように、オリフィス板230には、自身を貫通する制限用開口部232が形成され、プロセスガスケット200A,200B間に配置されている。
プロセス流体の流れ234は、制限用開口部232を通って流れるので、圧力差はプロセス流体の流量に比例して生成される。
図5は、プロセスガスケット200A,200B間に挟まれたオリフィス板230の部分側面断面図である。プロセス変数センサ220A,220Bは、制限用開口部232の両側の圧力を検知するために使用され、流量を決定するために使用できる。オリフィス板230の対向する各面は、プロセス容器面の他の例を示している。
【0013】
図6A,6B及び6Cは、それぞれプロセスガスケット200の斜視図、平面図及び側面断面図である。
図6A−6Cに示したように、プロセスガスケット200は、開口部244を有する対向表面240,242を含む。表面240,242は、それぞれオプションの環状隆起部246、248と共に図示されている。隆起部246、248は、例えば、フランジ204、206の窪みまたは他の特徴に対してシールを確保するために使用できる。
図6Cに示したように、本実施例の構成では、2つのプロセス変数センサ220A,220Bが単一のプロセスガスケット200に実装される。
図6Cに示した構成例では、プロセス変数センサ220Bがガスケット材料によってプロセス流体から隔離されるのに対して、プロセス変数センサ220Aはプロセス流体に対して直接晒される。プロセス変数センサ220A,220Bは、ガスケット200に放射状に形成された各キャビティ250A,250B内に実装される。この実施形態では、1つのセンサが温度を測定している間に他のセンサが圧力を測定することができる。キャビティ250A,250Bは、例えば電気的接続222A,222Bを実装する細長い管252A,252Bのようなオプションの被覆を、それぞれ含んでいても良い。
【0014】
図6Dは、プロセスガスケット200の他の実施形態の正面断面図である。
図6Dでは、プロセス変数センサ220はプロセスガスケット200の半径方向に対してほぼ垂直に配置されている。プロセス変数センサ220には任意の配向及び構成を採用することができ、本発明は本明細書に記載の細長い構成に限定されるものではない。
【0015】
図6Eは、プロセスガスケット200の他の実施形態の側面図であり、開口部244内に延びるポケット領域251を含んでいる。このような構成は、ガスケット200の内周面の他の部分が実質的にプロセス配管202の内側半径と整合しながら、プロセス流体の流れの中にプロセス変数センサ220を正確に位置決めするために利用される。ポケット領域251は、プロセスガスケット200の他の部分と同じ材料または異なる材料、あるいは複合材料で形成できる。
【0016】
図7は、ボルト258を用いてプロセス配管202のフランジ204,206間にシールされるプロセスガスケット200の側面平面図である。本実施形態では、プロセス変数トランスミッタ260がプロセス変数センサ220A,220Bに、それぞれ細長い管252A,252B内に実装された電線を介して接続されている。プロセス変数トランスミッタ260は、ボルト258によって固定されたブラケット262を使用してプロセス配管202に直接固定される。
【0017】
図8は、測定回路282に結合されたマイクロプロセッサ280を含むプロセス変数トランスミッタ260の概略ブロック図である。測定回路は、
図6Cに示したプロセス変数センサ220A,220Bに電気接続部222A,222Bを介して接続されている。マイクロプロセッサ280は、メモリ284に格納された命令に従って、クロック286により決定されるクロックレートで動作する。通信回路288は、マイクロプロセッサ280に通信機能を提供し、アンテナ290に接続されている。図示されているオプションの内部電源292はプロセス変数トランスミッタ260の電源回路に使用される。
【0018】
動作中、測定回路282は、プロセス変数センサ220A、220Bによって検知されたプロセス変数を測定するために使用される。たとえば、検知されたプロセス変数に関連するアナログ値をデジタル値に変換し、これをマイクロプロセッサ280へ供給するAD変換回路が用いられる。通信回路288は、検知されたプロセス変数に関連する情報について、集中型のプロセス制御室のような別の場所(図示せず)と通信するために使用される。この通信はアンテナ290を用いた無線通信である。無線通信技術の例としては、IEC 62591規格に準拠したワイヤレスHART(登録商標)通信プロトコルがある。しかしながら、通信回路288は有線接続を介して通信することができる。一例として、有線接続はプロセス変数トランスミッタ260の回路に電力を供給するためにも使用できる2線式プロセス制御ループがある。プロセス変数は、ループに運ばれる電流のレベルを、例えば4mA〜20 mAの間に制御することにより通信できる。プロセス制御ループの他の実施形態として、HART(登録商標)通信プロトコルに従ってデジタル情報を伝送するものが挙げられる。通信プロトコルの他の実施形態にはファンデーションフィールドバスやPROFIBUSが含まれる。
【0019】
プロセス変数センサ220A,220Bは、所望のプロセス変数を測定するための任意の適切な技術に基づいていても良い。例えば、プロセス変数は圧力、流量、温度、レベル、pHおよび濁度などを含む。ある特定の例示的な実施形態では、プロセス変数センサ220A,220Bは、プロセス流体の圧力を検知するように構成されている。一つの特定の圧力検知技術は、実質的に脆い材料で作られた細長いセンサを使用する。圧力センサのこのタイプの例は、米国特許第5637802号明細書(issued June 10, 1997, entitled CAPACITIVE PRESSURE SENSOR FOR A PRESSURE TRANSMITTER WHERE ELECTRIC FIELD EMANATES SUBSTANTIALLY FROM BACK SIDES OF PLATES),米国特許第6,079,276号明細書(issued June 27, 2000, entitled SINTERED PRESSURE SENSOR FOR A PRESSURE TRANSMITTER),米国特許第6,082,199号明細書(issued July 4, 2000, entitled PRESSURE SENSOR CAVITY ETCHED WITH HOT POCL3 GAS),米国特許第6,089,097号明細書(issued July 18, 2000, entitled ELONGATED PRESSURE SENSOR FOR A PRESSURE TRANSMITER),米国特許第6,505,516号明細書(issued January 14, 2003, entitled CAPCITIVE PRESSURE SENSING WITH MOVING DIELECTRIC),米国特許第6,520,020号明細書(issued February 18, 2003, entitled METHOD AND APPARATUS FOR A DIRECT BONDED ISLATED PRESSURE SENSOR),米国特許第6,508,129号明細書(issued January 21, 2003, entitled PRESSURE SENSOR CAPSULE WITH IMPROVED ISOLATION),米国特許第6,484,585号明細書(issued November 26, 2002, entitled PRESSURE SENSOR FOR A PRESSURE TRANSMITTTER),米国特許第6,516,671号明細書(issued February 11, 2003, entitled GRAIN GROWTH OF ELECTRICAL INTERCONNECTION FOR MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS (MEMS)),米国特許第6,561,038号明細書(issued May 13, 2003, entitled SENSOR WITH FLUID ISOLATION BARRIER)および米国特許第6,848,316号明細書(issued February 1, 2005, entitled PRESSURE SENSOR ASSEMBLY)に記載されている。
【0020】
プロセスのガスケット200は、産業用プロセス制御および監視システムに有用な、あらゆるガスケット構造あるいは技術タイプに準じても良い。プロセスガスケット200は、典型的には、篏合する2つの表面間に流れ込んであらゆる凹凸を満たし、当該2つの面をシールするように構成される。また、材料は、2つの表面間に発生する加重およびプロセス動作による圧力による押し出しに耐えることができなければならない。ガスケット材の例としては、エラストマー材料、繊維材料、フレキシブルグラファイト、雲母、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)および金属材料等が挙げられる。さらに、一つのガスケットに複数の材料を使用することができる。プロセスガスケットは、単一のシート材料から形成されても良いし、異なる材料および構成の複合材であっても良い。ガスケット構造の例としては、カンプロファイル、金属アイレット、金属ジャケット、金属で強化された柔らかいガスケット、コルゲート金属および渦巻きガスケットを含む。プロセス変数センサ220は、製造過程においてプロセスガスケット内に埋め込むことができる。別の例では、プロセス変数センサは、製造工程において種々のガスケットの層間に配置することができる。さらに別の例では、プロセスガスケットは、プロセス変数センサを収容する空洞を提供するために機械加工される。空洞は、プロセス変数センサ220および関連する電気的接続を保持するために、例えばガスケットの半径方向に穿孔されても良い。
【0021】
図9Aは、本明細書に記載のプロセスガスケット200を使用したタンク302内に収容されたプロセス流体の液面を計測するシステムの概略図である。
図9Aにおいて、拡張部304はタンク302の側面に貫通部を提供し、そこにはフランジ306が実装される。プロセスガスケット200はフランジ306に対して位置決めされ、図示のように、プロセス変数トランスミッタ260はブラケット310上のフランジに装着される。
図9Bに示したように、
図9Aのプロセスガスケット200は、その下部及び上部にそれぞれ配置されるプロセス変数センサ220B、220Aを含む。これらは細長い管252A,252B内に実装された電気接続222を介してプロセス変数トランスミッタ260へそれぞれ接続される。
図9A,9Bに示した構成では、プロセス流体300のレベルは、プロセス変数センサ220A,220Bにより測定される圧力差に基づいて決定しても良い。これは、プロセス制御室などの別の場所に伝達される。
図9Aに示したように、この例示的なプロセス変数トランスミッタ260は、通信および電力供給のために2線式プロセス制御ループ310を使用する。
図9Aの構成では、一つのプロセスガスケットに2つのプロセス変数センサ220A,220Bが180°離れた配置で実装される。他の構成例では、2つのプロセスガスケット200を使用することができ、圧力差を測定するために、それぞれに実装されたプロセス変数センサ220が180°離れて配置されるようにされる。
【0022】
図10は、プロセスガスケット200の他の実施形態を示している。
図10に示した例では、
図7に示した構成とは対照的に、トランスミッタ電子機器(
図8参照)はプロセスガスケット200と一体部品として形成されているパドル状の拡張部320に実装される。
図8に示すように、各電子機器はプロセス変数の測定および通信を含む同じ機能を提供することができる。内部回路への接続に使用するために、オプションの電気コネクタ322,324をパドル拡張部320に設けることができる。例えば、これらは2線式プロセス制御ループ、または例えばI2Cバスを含む他の通信リンクに接続するために用いられる。更なる例として、コネクタ322、324は内部回路に電力を供給するために使用することができる。別の例では、パドル拡張部320内の回路は無線通信を行う。オプションの内蔵バッテリは回路に給電するために使用することができる。
【0023】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細について変更され得ることを認識するであろう。本明細書では、用語「ガスケット」は2つの表面間に機械的なシールを提供するために使用される任意の要素を意味する。一つの構成では、ガスケットは平面状に延びている。しかしながら、ガスケットは平面状ではない構造に形成しても良い。一つの構成では、ガスケットは貫通した開口を有し、特定の構成では開口部が円形である。しかしながら、ガスケットは円形状または貫通する開口を含む構造に限定されるものではない。ガスケットは、特定の用途のために任意の適切な材料から製造されても良い。本明細書に記載のプロセスガスケットは、プロセス流体を収容またはプロセス流体に結合するプロセス容器の表面に対してシールするように構成される。本明細書で使用する用語「面」は、平らな面に限定されない。さらに、用語「容器」は、プロセス流体を収容またはプロセス流体に結合される産業プロセス内のあらゆるコンポーネントを含む。本明細書に記載されたプロセスガスケットは環状の形状を有するように示されているが、本発明はこのような設計に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0024】
100,260…プロセス変数トランスミッタ,102…配管,108、110…配管フランジ,122…マニホールド,200,200A,200…プロセスガスケット,202…プロセス配管,204、206…フランジ,209,212…開口,220,220A,220B…プロセス変数センサ,230…オリフィス板,250A,250B…キャビティ,280…マイクロプロセッサ