(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フェース面部は、前記ヘッド本体に対して、前記張出部の頂部を起点にソール側がスライド可能に設けられており、前記フェース面部のスライド量を変えることにより、前記ロフト角度を調整する請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
前記ヘッド本体の前記フェース面の反対側のバックフェースに、ソールの一部を構成する板状部が設けられ、前記板状部は、前記張出部に対応する領域と前記平坦部に対応する領域では、前記張出部に対応する領域の板厚が薄い請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブを詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態のゴルフクラブを示す模式図であり、
図2は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第1の例を示す斜視図であり、
図3は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第1の例を示す側面図である。なお、
図2において、調整用錘24(
図1、
図3参照)の図示は省略している。
【0014】
図1に示すように、ゴルフクラブ10は、ゴルフクラブヘッド12とゴルフクラブシャフト14を有する。ゴルフクラブシャフト14にはグリップ15が取り付けられている。ゴルフクラブ10は一般的にパターと呼ばれるものであり、マレットタイプである。
図1に示すゴルフクラブ10は、ライ角γが設定された角度となるように水平面B上にソール37を接してゴルフクラブヘッド12が配置されている。
なお、ライ角γとは、ゴルフクラブシャフト14のシャフト軸Sと水平面Bとで作られるヒール側の角度のことをいう。
【0015】
ゴルフクラブヘッド12は、フェース面31を構成するフェース面部30を備えるヘッド本体20と、ヘッド本体20に設けられ、ゴルフクラブシャフト14が装着されるホーゼル部22とを有する。
ゴルフクラブヘッド12は、さらにヘッド本体20に設けられる調整用錘24を有する。また、ゴルフクラブヘッド12は、フェース面31のロフト角度θを変える角度調整部と、ライ角γを変えるライ角調整部と、フェース面31とホーゼル部22との距離を変えるオフセット調整部とを有する。
【0016】
図2に示すように、ヘッド本体20は、上面に半円筒状に張り出した張出部32と、張出部32の両側のそれぞれに設けられた平坦部34を備えている。張出部32にホーゼル部22が設けられる。ヘッド本体20の一方の平坦部34でトウが構成され、他方の平坦部34でヒールが構成される。
ヘッド本体20およびフェース面部30は、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金ならびにこれらを組み合わせたもの等で構成される。
【0017】
張出部32を設けることにより、フェース面31の面積を大きくすることができる。これにより、スイートスポットを広くすることができ、かつスイートスポットの中心位置を水平面Bから高くすることができる。このため、ゴルフボールを打撃する際に、ソール37の位置を気にすることなく、ゴルフボールの中心とスイートスポットの中心位置とを近づけることができる。これにより、打撃されたゴルフボールが跳ねることが抑制され、ゴルフボールが順回転で回転し、打撃した際のゴルフボールの直進性が向上し、打球の方向性が良好になり、打球方向を合わせやすい。さらには、良い打感を得ることができる。
【0018】
平坦部34に、それぞれに調整用錘24(
図1、
図3参照)が設けられる。すなわち、ヘッド本体20の両側に調整用錘24が設けられる。
具体的には、平坦部34の上面である平坦面34cに、調整用錘24を設置する凹部35が形成されている。凹部35に調整用錘24を設置し、例えば、ねじを用いて調整用錘24を固定する。なお、調整用錘24の固定方法は、特に限定されるものではなく、調整用錘24が磁性体であれば、磁石を用いる等、磁力を用いて凹部35に固定してもよい。
【0019】
調整用錘24は、例えば、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、およびタングステン等で構成される。調整用錘24の質量に応じて、上述の材質が適宜利用される。また、調整用錘24の数は、ゴルフクラブヘッド12の慣性モーメントの大きさに応じて適宜決定されるものである。調整用錘24は、例えば、総質量で60gである。この場合、片側の平坦部34に30gずつ配置される。
また、凹部35の形状および調整用錘24の形状は、特に限定されるものではなく、平坦部34の平坦面34cの形状等により適宜決定されるものである。また、調整用錘24の形状は凹部35の形状および調整用錘24の質量等に応じて適宜決定されるものである。
【0020】
図3に示すように、ヘッド本体20は、ヘッド本体20のフェース面31の反対側のバックフェース31bに、ソール37の一部を構成する板状部38が設けられている。ヘッド本体20と板状部38は一体である。
図4に示すように板状部38は、張出部32に対応する領域38aと平坦部34に対応する領域38bでは、張出部32に対応する領域38aの板厚が薄い。すなわち、平坦部34に対応する領域38bの板厚が相対的に厚い。このように、平坦部34に対応する領域38bを相対的に厚くして、相対的に重くすることにより、ゴルフクラブヘッド12の慣性モーメントを大きくすることができ、打撃した際のゴルフボールの直進性を高めることができる。また、フェース面31の中心を外して、ゴルフボールを打撃しても高い直進性が得られ、ゴルフボールの打球の方向性が優れる。
慣性モーメントとは、ゴルフクラブヘッド12の重心(図示せず)を通り水平面Bに直交する直線(図示せず)を回転軸とする回転軸回りの慣性モーメントのことである。
【0021】
図4に示すように、張出部32の裏面32bに、張出部32の周囲に沿って壁部32aが設けられている。壁部32aは、張出部32の頂部を含め、一部に設けられていない。張出部32の裏面32bに垂直な軸33が設けられている。壁部32aで囲まれた領域32cにホーゼル部22が設けられる。なお、
図4において、調整用錘24(
図1、
図3参照)の図示は省略している。
【0022】
ホーゼル部22は、回転子40と、回転子40に設けられたホーゼル41を有する。ホーゼル41はゴルフクラブシャフト14を固定するものであり、例えば、直線状の円筒部材で構成されている。
回転子40は、外形が壁部32aで囲まれた領域32cと相似であり、外形が半円筒状である。回転子40には、軸33が挿通される穴40a(
図5参照)が設けられている。
回転子40の穴40aに軸33が挿通された状態で、回転子40は軸33を中心に回転することができる。回転子40の回転は、ホーゼル41が壁部32aの縁32dに当ることにより規制される。なお、回転子40は取り外しができ、交換できる。直線状の円筒部材で構成されたホーゼル41の軸線(図示せず)が、例えば、穴40aをフェース面31側から見た場合の穴40aの中心を通る位置に、ホーゼル41が設けられている。
【0023】
回転子40が回転することにより、ライ角γが変わる。回転子40を所定の角度回転させた状態で固定することにより、特定のライ角γとすることができる。例えば、回転子40が16°回転できるように壁部32aが設けられている。この場合、ライ角γは、例えば、72°に対して8°の範囲、すなわち、ライ角γを64°〜80°とすることができる。回転子40が回転する回転量は、張出部32の大きさにより、ある程度の範囲が決まる。しかしながら、回転子40が回転する回転量は、上述の16°に限定されるものではなく、ライ角γを設定する範囲、および張出部32の大きさ等に応じて適宜決定されるものである。ライ角γはルール上80°が上限であるため、調整範囲は80°超えないことが好ましい。
【0024】
回転子40の固定方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ソール37から領域32cに貫通するねじ穴39を設け、このねじ穴39に固定ねじ(図示せず)を螺合して、固定ねじで回転子40を下から押して固定する。
壁部32aとともに領域32cを囲む蓋25(
図3参照)が設けられる。蓋25により、回転子40が領域32c内に、後述する複数のスペーサ42とともに収納される。蓋25は、例えば、ねじで壁部32aに固定される。
ホーゼル部22、壁部32a、軸33、および固定ねじ(図示せず)等により、ライ角調整部が構成される。
【0025】
回転子40に対するホーゼル41を取り付ける位置を変えることにより、右打ち用または左打ち用とすることができる。回転子40は、上述のように取り外しできるものであり、回転子40を交換することにより、1つのゴルフクラブにおいて右打ち用または左打ち用に、容易に変更することができる。
【0026】
回転子40と張出部32の裏面32bとの間には、スペーサ42が配置可能であり、スペーサ42の厚みにより、オフセットが調整される。スペーサ42がオフセット調整部を構成する。
オフセットとは、
図3に示すように、フェース面31の下端31cからシャフト軸S迄の、水平面Bに平行な方向における距離Fのことである。オフセットが大きいと、ゴルフクラブシャフト14がフェース面31から離れることになる。
スペーサ42は外形が、回転子40の外形と略同じであり、例えば、半円状である。スペーサ42には軸33が挿通される穴43が設けられている。複数のスペーサ42が穴43に軸33が挿通されて回転子40とともに領域32c内に収納される。複数のスペーサ42の配置を変えることによりオフセットを変えることができる。スペーサ42の数は、例えば、3つであり、3つのスペーサ42の合計の厚みは7mmである。
【0027】
スペーサ42は、張出部32に設けられるため、質量が大きいとフェース面31付近の質量が大きくなり、慣性モーメントが小さくなる。このため、スペーサ42は質量が小さいことが好ましい。スペーサ42は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金等で形成される。
図5に示すように、回転子40に対して張出部32側に、3つ、全てのスペーサ42を配置すると、オフセットが最大になる。
図6(a)に示すように、回転子40に対して張出部32側に、2つのスペーサ42を配置し、回転子40の蓋25側に1つのスペーサ42を配置する形態でもよい。
図6(b)に示すように、回転子40に対して張出部32側に、1つのスペーサ42を配置し、回転子40の蓋25側に2つのスペーサ42を配置する形態でもよい。
図6(c)に示すように、回転子40の蓋25側に3つのスペーサ42を配置する形態でもよい。
図6(a)、
図6(b)および
図6(c)の順でオフセットが小さくなる。このようにして、3つのスペーサ42と回転子40の配置を変えることにより、オフセットを調整することができる。しかも、
図5、
図6(a)、
図6(b)および
図6(c)に示すいれずれの配置でも、3つのスペーサ42と回転子40があるので総厚みは同じである。このようにして、オフセットを調整することができる。
【0028】
なお、スペーサ42の厚みは、特に限定されるものではないが、それぞれ異なる厚みでもよく、全てのスペーサ42で同じ厚みでもよく、3つのうち、2つのスペーサ42の厚みが同じでもよい。また、スペーサ42の数も、3つに限定されるものではなく、1つでも、2つでも、4つ以上でもよい。領域32cと、回転子40の厚みで決まる隙間の大きさに応じて適宜決定することができる。スペーサ42を3つ用いる構成の場合、3つのスペーサ42の総厚が同じになる組合せの厚みを有する3つのスペーサ42を用意しておき、オフセットに応じて、スペーサ42の組合せを変えるようにしてもよい。これにより、オフセットを、より細かく変えることができる。
【0029】
図3に示すフェース面部30は、ヘッド本体20に対して取り外し可能に設けられており、フェース面部30は交換可能である。ロフト角度θ毎に、複数のフェース面部30が用意されており、ロフト角度θに応じたフェース面部30が設けられている。
フェース面部30は、
図4に示すように、ヘッド本体20の張出部32および平坦部34と同じ形状のフェース部30aと、フェース部30aの各端に設けられた折曲部30bとを有する。折曲部30bには、平坦部34の側面34aに形成されたねじ穴34bと整合する位置に穴30cが設けられている。フェース部30aは、ロフト角度θに応じた角度に形成されている。フェース面31の下端31cから頂部31dに向かうにつれて薄くなっている。
【0030】
フェース面部30は、
図3に示すように、折曲部30bが平坦部34の側面34a上に重ねられて、穴30cとねじ穴34bが位置合せされてねじ45により、フェース面部30はヘッド本体20の端面20aに接した状態でヘッド本体20に固定される。この場合、フェース面部30のフェース面31のロフト角度θは、所定の角度となる。上述のように、予め定められたロフト角度θを有するフェース面部30をヘッド本体20に取り付けることにより、ロフト角度θを変えることができる。
上述の取り外し可能で、かつロフト角度θ毎に用意されたフェース面部30で、フェース面31のロフト角度θを変える角度調整部が構成される。フェース面部30としては、例えば、0°〜7°の範囲で、1°刻みに用意する。
なお、ロフト角度θが0°の場合、ヘッド本体20の端面20aをフェース面31としてもよい。
【0031】
ゴルフクラブヘッド12のロフト角度θについては、例えば、昇峰企業社製の高爾夫球頭測度台、ゴルフギャレーヂ社製のゴルフクラブアングル測定器、ゴルフスミス社製のゴルフクラブゲージ等、公知の測定器により測定される。なお、ロフト角度θの測定器は、公知のものであれば良く、本発明において、特に限定されるものではない。
以上のように、ゴルフクラブ10およびゴルフクラブヘッド12は、ライ角γ、ロフト角度θ、フェース面31(打撃面)のオフセットおよび慣性モーメントを、それぞれ独立して個別に調整することができる。
【0032】
ゴルフクラブヘッド12は、上述のものに限定されるものではない。次に、ゴルフクラブヘッドの第2の例について説明する。
図7は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第2の例を示す斜視図であり、
図8は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第2の例を示す側面図であり、
図9は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第2の例を示す分解斜視図であり、
図10は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第3の例を示す側面図である。
なお、
図7〜
図10において、
図1〜
図6に示すゴルフクラブ10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図7および
図9において、調整用錘24の図示は省略している。
【0033】
図7〜
図9に示すゴルフクラブヘッド50は、
図1〜
図3に示すゴルフクラブヘッド12に比して、角度調整部が異なり、それ以外の構成は同じである。
ゴルフクラブヘッド50は、フェース面部60が交換可能ではなく、フェース面31の頂部31dを起点として、フェース面部60のソール37側がヘッド本体20の逆方向に移動可能である点が異なる。
【0034】
フェース面部60は、
図8および
図9に示すように、ヘッド本体20の張出部32および平坦部34と同じ形状のフェース部60aと、フェース部60aの各端に設けられた折曲部60bと、フェース部60aの底面に設けられた折曲部60cとを有する。折曲部60bには、平坦部34の側面34aに形成されたねじ穴34bに螺合される固定ねじ62(
図8参照)が挿通される穴60dが設けられている。ソール37に形成されたねじ穴(図示せず)に螺合される固定ねじ(図示せず)が挿通される穴60dが、折曲部60cに設けられている。穴60dは、長穴であり、フェース面部60の移動を許容する。フェース面部60のスライド量に応じた長さを有する。
【0035】
フェース面部60は、
図8に示すように、折曲部60bが平坦部34の側面34a上に重ねられて、穴60dとねじ穴34bが位置合せされ、ねじ穴34bに固定ねじ62が設けられる。折曲部60cも、穴60dとソール37に形成されたねじ穴(図示せず)が位置合せされ、ねじ穴に固定ねじ(図示せず)が螺合される。
これにより、フェース面部60はヘッド本体20に対して固定ねじ62で固定される。この場合、フェース面部60のフェース面31のロフト角度θは、所定の角度となる。固定ねじ62による固定を解除し、フェース面部60を、頂部31dを起点として回転させて、固定ねじ62で再度固定することにより、ロフト角度θを変えることができる。フェース面部60のフェース面31のロフト角度θは、例えば、0°〜7°の範囲で変えることができる。この場合、フェース面部60のスライド量は、ロフト角度θの0°〜7°の範囲に応じて決定される。穴60dの長さがロフト角度θの0°〜7°の範囲に応じて決定される。
ゴルフクラブヘッド50においても、上述のゴルフクラブ10およびゴルフクラブヘッド12と同じく、ライ角γ、ロフト角度θ、フェース面31(打撃面)のオフセットおよび慣性モーメントを、それぞれ独立して個別に調整することができる。
【0036】
図8に示すゴルフクラブヘッド50では、ロフト角度θが大きくなると、フェース面部60とヘッド本体20の端面20aとの間に隙間61が生じる。このため、フェース面部60を、より強固に固定するために、
図10に示すゴルフクラブヘッド51のように、フェース部60aとヘッド本体20の端面20aとの隙間61にシム64を設けてもよい。なお、
図10に示すゴルフクラブヘッド51は、
図8に示すゴルフクラブヘッド50とシム64を設ける点以外は、同じ構成である。
シム64は、例えば、POM(ポリアセタール)等のエンジニアリングプラスチック、ウレタン、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鋼、ステンレス鋼等で構成される。
【0037】
上述のゴルフクラブヘッド12、ゴルフクラブヘッド50およびゴルフクラブヘッド51は、いずれもマレットタイプであったが、これに限定されるものではなく、
図11に示すゴルフクラブヘッド70のように、ヘッド本体72に板状部38が設けられていないピンタイプの構成でもよい。
図11に示すゴルフクラブヘッド70においても、調整用錘24を用いた慣性モーメントの調整、ライ角γの調整、ロフト角度θの調整およびオフセットの調整を、それぞれ独立して個別にすることができる。
図11に示すゴルフクラブヘッド70においても上述のゴルフクラブヘッド12およびゴルフクラブヘッド50と同様の効果を得ることができる。
【0038】
上述のゴルフクラブヘッド12、ゴルフクラブヘッド50、ゴルフクラブヘッド51およびゴルフクラブヘッド70において、
図12に示す蓋25のように、特定のライ角γ(
図1参照)を示す線25a、25b、25cを設けた構成でもよい。この場合、ホーゼル部22は、
図13に示すようにホーゼル41に、上述の特定のライ角γを示す線25a、25b、25cと位置を合わせるための線46が設けられている。これにより、上述のホーゼル41に設けられた線46と、上述の特定のライ角γを示す線25a、25b、25cとを合わせることで、簡単にライ角γを特定の角度にすることができる。例えば、線25aはライ角γが65°を示す線であり、線25bはライ角γが72°を示す線であり、線25cはライ角γが77°を示す線である。また、例えば、線25a、25b、25cについて、予め色を決めておくことにより、ライ角γの調整がより容易に行うことができる。
なお、
図12は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの蓋を示す模式的平面図であり、
図13は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドのホーゼル部を示す模式的平面図である。
【0039】
また、ホーゼル部22は、ホーゼル41は直線状の部材で構成されることに限定されるものではなく
図14に示す構成でもよい。ここで、
図14は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドのホーゼル部の他の例を示す斜視図である。
図14に示すホーゼル部22は、ホーゼル47が直線状ではなく屈曲し、かつゴルフクラブシャフト14を取り付ける取付部48dを有する。ホーゼル47は、第1部材48aと、第2部材48bと、第3部材48cと、取付部48dとを有する。例えば、第1部材48aは、円筒状の部材で構成されており、回転子40に接続されている。第2部材48bは円筒状の部材で構成されている。第2部材48bの軸線(図示せず)と第1部材48aの軸線(図示せず)とは直交してて接続されており、第2部材48bはフェース面31(
図2参照)側に突出している。第3部材48cは、円筒状の部材で構成されており、第3部材48cの軸線(図示せず)と第2部材48bの軸線(図示せず)とは直交して接続され、かつ第3部材48cの軸線(図示せず)は第1部材48aの軸線(図示せず)と平行である。第3部材48cには、第2部材48bと接続されていない側の端に取付部48dが設けられている。第1部材48aと第2部材48bと第3部材48cとは、1つの円筒部材を折り曲げて一体的に形成されたものでもよい。なお、ホーゼル47を用いた場合、上述のホーゼル41に比してゴルフクラブシャフト14(
図1参照)の取付け位置がフェース面31から突出した位置になる。この場合、オフセットとは、後述の
図16に示すゴルフクラブヘッド80のように、フェース面31の下端31cからシャフト軸S迄の、水平面Bに平行な方向における距離Fのことである。ホーゼル47の第2部材48bの長さを変えることにより、オフセットを変えることができる。
【0040】
図14に示すホーゼル47の構成とすることにより、ゴルフボールの打撃時に、フェース面31(
図1参照)のセンターを外しても、ゴルフクラブシャフト14(
図1参照)の回転軸(シャフト軸S(
図1参照))上に、フェース面31がないため、フェース面31の傾きのズレが生じにくい。このため、ゴルフボールを安定して打つことができる。
ホーゼル部22でも、ホーゼル47の回転子40に対する取り付け位置を変えたものを用意することにより、1つのゴルフクラブにおいて右打ち用または左打ち用に、容易に変更することができる。1つのゴルフクラブにおいて右打ち用または左打ち用とするとき、蓋25に特定のライ角γ(
図1参照)を示す線25a、25b、25cがある構成の場合、右打ち用または左打ち用として、ホーゼル47の位置に合わせて、線25a、25b、25cを設ける位置を変更したものを用意する。
【0041】
上述のゴルフクラブヘッド12、ゴルフクラブヘッド50、ゴルフクラブヘッド51およびゴルフクラブヘッド70は、ロフト角度を調整することができるものであるが、これに限定されるものではない。
ここで、
図15は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第5の例を示す斜視図であり、
図16は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第5の例を示す側面図であり、
図17は本発明の実施形態のゴルフクラブのゴルフクラブヘッドの第5の例をソール側から見た斜視図である。なお、
図15〜
図17において、
図1〜
図6に示すゴルフクラブ10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図17はゴルフクラブヘッド80のヘッド本体を示すものであり、
図17では、調整用錘24(
図15、
図16参照)およびホーゼル47(
図15、
図16参照)の図示は省略している。
【0042】
図15〜
図17に示すゴルフクラブヘッド80は、
図1〜
図3に示すゴルフクラブヘッド12に比して、ロフト角度θを調整することができない点、およびホーゼル47の形状が異なる点以外は、
図1〜
図3に示すゴルフクラブヘッド12と同じ構成である。
図15〜
図17に示すゴルフクラブヘッド80は、例えば、片側に3つの調整用錘24が設けられている。3つの調整用錘24は、固定ねじ82を用いて固定されている。なお、上述のように調整用錘24の固定方法は特に限定されるものではない。また、調整用錘24の数についても、ゴルフクラブヘッド80の慣性モーメントの大きさに応じて適宜決定されるものである。また、蓋25がねじ84を用いて固定されている。
ゴルフクラブヘッド80は、上述のようにロフト角度θを調整することができないものであり、ヘッド本体20の端面20aがフェース面31になっている。ゴルフクラブヘッド80では、ロフト角度θは固定された角度であり、例えば、2°である。なお、ロフト角度θは、例えば、0°〜7°であり、2°〜3°が好ましい。ゴルフクラブヘッド80はロフト角度θを調整することができないため、ロフト角度θ毎にゴルフクラブヘッド80を用意する必要がある。
ゴルフクラブヘッド80では、ソール37にねじ穴39が設けられており、このねじ穴39に固定ねじ86を螺合して、固定ねじ86で回転子40(
図15、
図16参照)を下から押して固定する。
ゴルフクラブヘッド80では、ホーゼル47を用いる構成であるが、これに限定されるものではなく、上述のホーゼル41を用いることもできる。
【0043】
ゴルフクラブヘッド80も、ゴルフボールの中心とスイートスポットの中心位置とを近づけることができ、良い打感を得ることができる。さらには、打撃されたゴルフボールが跳ねることが抑制されるため、ゴルフボールが順回転で回転し、打撃した際のゴルフボールの直進性が向上し、打球の方向性が良好になり、打球方向を合わせやすい。
また、ゴルフクラブヘッド80は、慣性モーメントを大きくすることができ、打撃した際のゴルフボールの直進性を高めることができ、かつフェース面31の中心を外しても高い直進性を得ることができる。
【0044】
上述のゴルフクラブヘッド12、ゴルフクラブヘッド50、ゴルフクラブヘッド51、ゴルフクラブヘッド70およびゴルフクラブヘッド80において、フェース面31は、例えば、金属光沢を有する平滑な平面であるが、これに限定されるものではない。フェース面31は、例えば、エンドミル等を用いたミーリング加工が施されたものでもよい。ミーリング加工が施されたフェース面31には無数の突起が形成される。ミーリング加工が施されたフェース面31は、無数の突起により打感が増し、かつ無数の突起によりフェース面31とゴルフボールとの摩擦が増し、打球の方向安定性が増す。
【0045】
上述のゴルフクラブヘッド12、ゴルフクラブヘッド50、ゴルフクラブヘッド51、ゴルフクラブヘッド70およびゴルフクラブヘッド80において、太いグリップ15と組み合せることにより、ヘッドの質量が重くてもゴルフボールを打撃する際のストロークを安定させることができる。なお、ゴルフクラブシャフト14の長さは、特に限定されるものではなく、32インチ〜35インチ程度である。
【0046】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。