(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
(遊技機10)
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の方を向いて位置している遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向も、遊技者から見た場合の左方向や、右方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した状態における遊技者から見た方向を意味する。
【0017】
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、
図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前方向に向かって開口する正面開口を有する四角箱状の筐体12と、この筐体12の正面開口を開閉自在に覆う前扉14とを備えている。
【0018】
(回転リール62)
前扉14の上部には、薄板樹脂からなる上パネル20を備えている。この上パネル20の略中央には、3個の回転リール62(正面から向かって左側の左回転リール64、中央の中回転リール66、右側の右回転リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成されている。この図柄表示窓部16は、3個すべての回転リール62の回転が停止した際には、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄61を遊技者に見せるように形成されている。この図柄表示窓部16は、回転リール62の正面側に設けられて、回転リール62の回転が停止した際、後述する有効ライン86上に停止している複数の図柄61を視認するためのものである。回転リール62は、複数の図柄61を、図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものである。
【0019】
(リールユニット60)
前記図柄表示窓部16の後方向(奥方向)には、3個の駆動モータ(図示せず)と、この各駆動モータによってそれぞれ回転させられる合計3個の前記回転リール62と、前記駆動モータ及び前記回転リール62を保持するユニットホルダ(図示せず)とを有するリールユニット60が配置されている。
【0020】
(区間報知ランプ90)
前記図柄表示窓部16の下方には、現在の演出状態が後述する「特別区間」(
図13参照)であることを報知する区間報知ランプ90が設けられている。
この区間報知ランプ90は、演出状態が後述する「一般区間」(
図13参照)から「特別区間」に移行したことを契機にメイン制御手段200により点灯され、演出状態が「特別区間」である間は常時点灯されている。
そして、区間報知ランプ90は、演出状態が「特別区間」から「一般区間」に移行したことを契機にメイン制御手段200(
図11参照)により消灯される。
【0021】
(演出装置70)
前記前扉14には、遊技者に役抽選の当選等の種々の情報を音や光や映像等で報知させる演出装置70が形成されている。この演出装置70は、前扉14に配置されているものであって、スピーカー72と、画像表示手段84と、演出用ランプ78とを備えている。なお、回転リール62は、通常、遊技進行のために用いられるが、遊技の進行を停止している状態において、通常の回転動作とは異なる挙動による演出(いわゆるリール演出)を示すことにより演出装置70の一種としても使用される。
【0022】
(スピーカー72)
前記スピーカー72は、前扉14の上部左右に配置された上部スピーカー74と、前扉14の下部左右に配置された下部スピーカー76とを備えている。
【0023】
(画像表示手段84)
前記画像表示手段84は、その画面に種々の映像を表示するための表示デバイスであり、動画を含んだ映像の表示を行うための液晶画像表示手段を有する演出ユニットを構成するものである。
【0024】
(演出用ランプ78)
前記演出用ランプ78は、前扉14の上部に配置された上部ランプ80と、前扉14の下部の左右に配置された下部ランプ82とを備えている。
【0025】
(操作部30)
前記前扉14の下部には下パネル22が設けられている。そして、前扉14には下パネル22の上に位置して前扉14の前方向へ向けて突出する操作部30を備えている。この操作部30は、メダル投入口38と、精算スイッチ36と、ストップスイッチ50と、スタートスイッチ40と、マックスベットスイッチ34とを備えている。
本実施の形態に係る遊技機10には、遊技開始の条件として後述するメダル投入口38からあらかじめメダルを投入して、最大50枚までクレジットメダルとして内部に貯留可能なクレジット機能(投入枚数を電子データとして電子的に記憶し管理する機能)を有している。なお、このクレジットメダルとして貯留可能な最大枚数である50枚を最大クレジットメダル数とする。
【0026】
(ストップスイッチ50)
前記メダル投入口38の下には、クレジット機能によりクレジットしたメダルのすべてを払い出すための精算スイッチ36が設けられている。この精算スイッチ36の左側には、操作により対応する回転リール62の回転を停止させるため、3個の回転リール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられている。このストップスイッチ50は、左回転リール64を停止させるための左ストップスイッチLと、中回転リール66を停止させるための中ストップスイッチCと、右回転リール68を停止させるための右ストップスイッチRとを有している。すなわち、これらのストップスイッチ50は、複数の回転リール62それぞれに対応して設けられ、複数の回転リール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものである。
【0027】
(スタートスイッチ40)
このストップスイッチ50の左側には、メダルの投入又は後述するマックスベットスイッチ34の操作を条件に回転リール62の回転を開始させるためのスタートスイッチ40が設けられている。すなわち、このスタートスイッチ40は、遊技者の操作により回転リール62の図柄61の変動表示を開始させるためのものである。
【0028】
(マックスベットスイッチ34)
このスタートスイッチ40の上には、クレジットしたメダル数から最大投入枚数(具体的には3枚)に達するまで投入可能なメダル数を減じて3枚のメダル投入に代えるマックスベットスイッチ34が設けられている。
なお、マックスベットスイッチ34に加えて、又はマックスベットスイッチ34に代えて、クレジットしたメダル数を1枚減じて1枚のメダル投入に代えるシングルベットスイッチを設けても良い。
【0029】
(貯留払出手段24等)
筐体12内部の下部には、いわゆるホッパーユニットであって、メダルを貯留することができるとともに、メダルを払い出すことができる貯留払出手段24(
図11参照)と、電源投入又は電源遮断のための操作が可能な電源スイッチを有すると共に各部品に電力を供給するための電源装置(図示せず)とが配置されている。
【0030】
(メダル払出口28等)
前記前扉14の下部には、所定の場合に貯留払出手段24からメダルが払い出されるメダル払出口28が形成されている。このメダル払出口28の下方には、メダル払出口28から払い出されたメダルを貯留するため、上方に向かって開口する皿状のメダル受け皿26が形成されている。なお、クレジットされているメダル数が最大クレジットメダル数である50枚未満の場合は、50枚に到達するまで、獲得したメダルはメダル払出口28から払い出されずにクレジットメダルの枚数に加算される。
【0031】
つぎに、
図1〜
図9を用いて、役物装置500について説明する。
(役物装置500)
前記画像表示手段84の前面側には、
図1に示すように、役物装置500が設けられる。
役物装置500には、主として、画像表示手段84を上下左右から囲むように構成された略四角枠状の枠状部510と、可動役物520と、可動役物520を左右方向に移動させる左右移動装置540とを備える。
【0032】
(枠状部510)
枠状部510は、特に
図1、
図4に示すように、画像表示手段84の前面側に設けられ、当該画像表示手段84の視認を妨げないように、略四角枠状に形成されたものであり、枠状部510に、左右移動装置540が固定される。
【0033】
(可動役物520)
可動役物520は、遊技機10の前面側において、左右方向にスライド移動可能なものである。
【0034】
また、可動役物520には、特に
図2、
図5、
図7に示すように、画像を表示可能な画像表示装置521と、第1の回路基板522とを備える。
そして、画像表示装置521と第1の回路基板522とをワイヤーハーネス(図示せず)を介して接続すると共に、第1の回路基板522に接続されるフラットケーブル545により第2の回路基板550に接続され、第2の回路基板550に接続されるサブ制御手段300及び電源装置(図示せず)から画像表示装置521に信号や電力が送信されるようにしている。
【0035】
なお、画像表示装置521は、上下移動用のモータを備えることで、上下方向に移動可能に構成しても良い。
この場合には、フラットケーブル545により第2の回路基板550から可動役物520の第1の回路基板522に、上下移動用のモータ用の電力や、上下移動用のモータを駆動させるための信号なども送信されることとなる。
【0036】
(左右移動装置540)
左右移動装置540は、駆動手段の一例であり、主として、ガイドレール541,542、ベルト543、左右用モータ544、フラットケーブル545、案内部546、から構成される。
ガイドレール541,542は、特に
図4、
図5に示すように、役物装置500の上下にそれぞれ設けられ、可動役物520の左右方向への移動のレールとなるものである。
【0037】
ベルト543は、特に
図5に示すように、左右用モータ544の駆動に伴って回転し、当該回転により可動役物520を左右方向に移動させるものである。
なお、左右移動装置540は、上述した構成を有するものに限定されず、可動役物520を左右方向に移動可能なものであれば良い。
【0038】
また、左右移動装置540には、第2の回路基板550が固定される。
第2の回路基板550は、
図6、
図7に示すように、可動役物520の周囲として左右移動装置540に固定され、一端側はフラットケーブル545を介して第1の回路基板522と接続されると共に、他端側はワイヤーハーネス(図示せず)を介して、サブ制御手段300及び電源装置(図示せず)に接続される。
そして、サブ制御手段300から送信される信号及び電源装置から供給される電力を可動役物520の画像表示装置521に中継するようにしており、かかる信号に基づいて画像表示装置521に画像が表示される。
【0039】
(フラットケーブル545)
フラットケーブル545は、
図7、
図8に示すように、第1の回路基板522と第2の回路基板550とを接続させる帯状のものであり、本発明の実施の形態では、複数本の平角導体を平行に並べ、その並列面の両側を絶縁フィルムで挟んで、絶縁被覆したフレキシブルフラットケーブル(FFC)であり、可撓性を有している。
フラットケーブル545は、第1の回路基板522側に固定された第1の固定部545aと、第2の回路基板550側に固定された第2の固定部545bと、第1の固定部545aから第2の固定部545bとの間で円弧状に折り返して形成される円弧状折返部545cとを形成する。
【0040】
(案内部546)
案内部546は、可動役物520のスライド移動に伴うフラットケーブル545の移動を案内するものである。
案内部546は、
図7、
図8に示すように、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでのフラットケーブル545の外面が接する一面546aと、一面546aと対向する向きに設けられ、円弧状折返部545cから第2の固定部545bまでのフラットケーブル545の外面が接する他面546bと、を備える。
【0041】
(突起部材547)
一面546aと他面546bとの少なくとも一方の面、本実施の形態では、一面546aには、
図7、
図8に示すように、他方の面側に伸び、フラットケーブル545の移動時に当該フラットケーブル545の外面の少なくとも一部が当該一面546aと接する部分を少なくする突起部材547を備える。
突起部材547は、
図7〜
図9に示すように、矢印(
図8、
図9参照)で示す可動役物520のスライド移動方向に沿って複数個設けられる。
【0042】
そして、突起部材547は、可動役物520を円弧状折返部545c方向へのスライド移動を開始させ、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでの距離の方が、第2の固定部545bから円弧状折返部545cまでの距離に比べ長い区間に設けられることが望ましい。
すなわち、突起部材547の少なくとも1個は、
図8(A)に示すように、可動役物520のスライド移動する前の停止した状態において、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでの距離Wの方が、第2の固定部545bから円弧状折返部545cまでの距離wに比べ長い場合に、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでのフラットケーブル545の外面には接触せず、円弧状折返部545cには接触しうる位置に設けられることが望ましい。
【0043】
また、突起部材547は、
図7、
図9に示すように、可動役物520のスライド移動方向に直交する向きのフラットケーブル545の幅方向にわたって設けられている。
【0044】
また、突起部材547は、
図8に示すように、フラットケーブル545の外面と接する頭頂部547aが当該フラットケーブル545を傷つけない曲面で形成する。
すなわち、突起部材547は、可動役物520のスライド移動に伴いフラットケーブル545が当該突起部材547を乗り越える前に当該フラットケーブル545の外面と接する部分と、当該突起部材547を乗り越えている際に当該フラットケーブル545の外面が接する部分と、当該突起部材547を乗り越えた後に当該フラットケーブル545の外面が接する部分とを、当該フラットケーブル545を傷つけない曲面で形成する。
【0045】
また、
図8(B)に示すように、一面546a又は他面546bから、他方の面側に伸びる突起部材547の高さhは、フラットケーブル545が突起部材547を乗り越える際に、円弧状折返部545cの半径rが所定の長さ未満とならない高さに形成されている。
かかる構成は、フラットケーブル545が円弧状折返部545cで鋭角に折り返されることで破損することを防止するためのものであり、ここで、所定の長さは、フラットケーブル545の剛性により異なるものである。
【0046】
(スリット部548)
また、案内部546の下側には、
図7に示すように、スリット部548が設けられ、可動役物520のスライド移動に伴い、第1の固定部545aから第1の回路基板522へ接続されるワイヤーハーネス(図示せず)が移動可能にされている。
【0047】
また、左右移動装置540には、センサ565を設け、可動役物520のスライド移動方向を開始させる際の位置に可動役物520が存在するか否か、左右用モータ544を駆動することにより所定の位置までスライド移動したか否か、などを検出している。
【0048】
(移動状態)
つぎに、
図7、
図8を用いて可動役物520のスライド移動に伴うフラットケーブル545の移動状態について説明する。
ここで、まず、
図17を用いて、突起部材547を設けない場合に起こりうる従来技術の問題点について説明する。
図17に示すように、突起部材547を設けない場合は、可動役物520のスライド移動に伴うフラットケーブル545の移動時に第1の固定部545aが矢印で示す可動役物520のスライド移動方向に移動すると、円弧状折返部545cで折り返されることによるフラットケーブル545の復元力と可動役物520が第1の固定部545aを押す力とによりフラットケーブル545が案内部546の一面546aと他面546bとの間で広がろうとする。そのため、フラットケーブル545の外面と案内部546の一面546aと他面546bとの間で摩擦力が発生する。そして、かかる摩擦力によりフラットケーブル545が円弧状折返部545c以外の想定していない場所で折り曲げられることとなる。
【0049】
つぎに、
図8(A)に、可動役物520のスライド移動方向を開始させる際の位置の一例として、可動役物520が遊技機の左側位置である、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでの距離Wの方が、第2の固定部545bから円弧状折返部545cまでの距離wに比べ長い区間から、可動役物520のスライド移動方向を開始させる場合を示している。
【0050】
そして、突起部材547の少なくとも1個、本実施の形態では、
図8に示す最も左側にある突起部材547は、
図8(A)に示す可動役物520がスライド移動する前の停止した状態では、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでのフラットケーブル545の外面には接触せず、円弧状折返部545cには接触しうる位置に設けられている。
かかる位置に突起部材547を設けることにより、最もフラットケーブル545に力がかかるタイミングである、可動役物520がスライド移動を開始した直後に、フラットケーブル545の外面を突起部材547に乗り上げさせることができ、摩擦力を軽減することができる。
【0051】
なお、可動役物520のスライド移動を開始させる場所が複数ある場合、つまり、演出上の停止位置が複数ある場合は、各場所に、可動役物520がスライド移動する前の停止した状態では、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでのフラットケーブル545の外面には接触せず、円弧状折返部545cには接触しうる位置に突起部材547を設けることが望ましい。
また、可動役物520がスライド移動する前の停止した状態であっても、第1の固定部545aから円弧状折返部545cまでのフラットケーブル545の外面に接触する位置に突起部材547を設けるようにしても良い。
【0052】
つぎに、
図8(B)に、(A)に示した状態から、可動役物520が左側から右側にスライド移動することに伴って、第1の固定部545aが移動される状態を示している。
この際、フラットケーブル545では、円弧状折返部545cで順次折り返され、フラットケーブル545の復元力と可動役物520が第1の固定部545aを押す力とによりフラットケーブル545が円弧状折返部545cで広がろうとすることで、当該フラットケーブル545が案内部546の一面546aと他面546bとの間に発生する摩擦力が強くなることとなる。
そして、突起部材547が、フラットケーブル545が案内部546の一面546aと接触する部分を少なくすることで、フラットケーブル545と案内部546との間で生じる摩擦力を軽減している。そのため、フラットケーブル545が円弧状折返部545c以外の想定していない場所で折り曲げられることを防止している。
【0053】
図8(C)に、(B)に示した状態から、可動役物520のスライド移動が継続され、可動役物520が遊技機10の左側から右側に移動し、略中央に位置している状態を示している。
そして、
図8(B)と同様に、突起部材547が、フラットケーブル545が案内部546の一面546aと接触する部分や面積を少なくすることで、フラットケーブル545と案内部546との間で生じる摩擦力を軽減している。
このまま可動役物520のスライド移動を継続すると、可動役物520が遊技機10の右側まで移動可能である。
【0054】
(遊技の流れの説明)
本実施の形態に係る遊技機10は、マックスベットスイッチ34の操作又はメダル投入により所定枚数のメダルを投入することにより遊技の開始を可能とするものである。そして、スタートスイッチ40の押下操作により、回転リール62の回転を開始させて遊技が開始されるとともに、後述するメイン制御手段200の各遊技状態に対応した抽選テーブルを用いて役抽選が行われる。そして、当該遊技機10は、各回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、回転リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させる。当該遊技機10は、停止時の図柄61の組合せによって、当選した役を構成する図柄61の組合せが所定の有効なライン(所定の役の図柄61の組合せが当該ライン上に揃ったときに所定の利益が付与されるラインのことであり、以下、有効ライン86とする。)上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与する。これにより、1回の遊技(1ゲーム)が終了するものである。
【0055】
なお「有効ライン86」は後述の停止図柄判定手段230の判定対象となるラインを意味し、後述する小役の「入賞」等は有効ライン86上に役に対応した図柄61の組合せが揃うことを意味する。本実施の形態の有効ライン86は、左回転リール64の中段と中回転リール66の上段と右回転リール68の中段とを結んだラインの1本からなるものである。
【0056】
(図柄61)
図10に示すように、左回転リール64、中回転リール66及び右回転リール68の表面には、「赤7」、「青7」、「白7」、「BR(バー)」「CH(チェリー)」、「W1(スイカ1)」、「W2(スイカ2)」「RP(リプレイ)」、「BE(ベル)」、「BL(ブランク)」の複数の種々の図柄61が形成されている。
これらの図柄61は、それぞれの絵柄がプリントされたテープを回転リール62の外周表面に貼付することで形成されている。なお、
図10の図柄61の番号(コマ番号)は、回転リール62の外周表面に物理的に付されているものではなく、仮想的な番号であって、各図柄61の停止を制御するためのプログラムで特定の図柄61を指定するためのものである。
【0057】
(制御装置100)
図11に示すように、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御装置100が形成されている。この制御装置100は、遊技を進行させて遊技状態を制御するメイン制御手段200と、このメイン制御手段200からの情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うために演出状態を制御するサブ制御手段300とを備えている。
【0058】
なお、メイン制御手段200とサブ制御手段300との間は、メイン制御手段200への不正操作を防止するために、メイン制御手段200からサブ制御手段300への一方向の通信により行われ、サブ制御手段300からメイン制御手段200への逆方向の通信は行われていない(すなわち双方向の通信ではない)。メイン制御手段200は、マックスベットスイッチ34、精算スイッチ36、スタートスイッチ40、ストップスイッチ50の入力を受け付け、役抽選を行い、リールユニット60、貯留払出手段24及び区間報知ランプ90の作動を制御する。サブ制御手段300は、メイン制御手段200と役物装置500のセンサ565から信号を入力し、演出装置70としてのスピーカー72、画像表示手段84、演出用ランプ78の作動、役物装置500の左右用モータ544、画像表示装置521の作動を制御する。
【0059】
なお、特に図示していないが、メイン制御手段200を有するメイン基板と、サブ制御手段300を有するサブ基板とは、それぞれ専用の基板ケースの内部に収納されている。具体的には、メイン制御手段200は、メイン基板ケースの内部に収納され、サブ制御手段300は、サブ基板ケースの内部に収納されている。そして、メイン基板ケースは、筐体12内部の奥側の上部に固定され、サブ基板ケースは、筐体12内部の正面から向かって左側に固定されている。
【0060】
メイン制御手段200及びサブ制御手段300は、CPU、ROM、RAM、I/Oポート(図示せず)を備えたマイクロコンピュータにより構成される。CPUは、タイマ割込などの割込機能を持ち、ROMに記憶されたプログラムを実行して、種々の処理を行う。ROMは、CPUが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶し、RAMは、CPUがプログラムを実行する際の一時的な記憶領域、例えば遊技機10の状態を記憶するための記憶領域や、役抽選の抽選結果を記憶するための記憶領域として使用される。
【0061】
本実施の形態に係る遊技機10では、
図12に示すように、通常に行われるノーマル遊技(RT0、RT1)が設けられている。このノーマル遊技(RT0、RT1)よりも再遊技役(リプレイ役)の当選確率が高く(或いは低く)設定されているRT遊技(リプレイタイム)が設けられている。これらの遊技は、メイン制御手段200により制御される。
【0062】
また、演出状態としてストップスイッチ50の押し順や当選図柄61等を報知することによって役に係る図柄61の組合せを有効ライン86上に揃って停止させるためのアシストをするアシストタイム(AT)状態が設けられている。
アシストタイム(AT)状態は、
図13に示すように、通常演出状態(非アシストタイム(AT)状態)よりも遊技者に有利な遊技となるように形成されている。
【0063】
ここで、RT状態で行われている遊技をリプレイタイム遊技(RT遊技)、AT状態で行われている遊技をアシストタイム遊技(AT遊技)としている。
AT遊技は、所定の開始条件を達成したときに開始可能であり、所定の終了条件を達成したときに終了可能に形成されている。具体的には、AT遊技は、AT移行抽選に当選した場合や、チャンスゾーン(CZ)中に所定の条件を満たした場合に開始可能であり、所定の条件を満たすことにより終了可能なものである。なお、これらの開始条件や終了条件に限定されるものではなく、他の内容の条件に設定しても良いものである。
【0064】
(メイン制御手段200)
メイン制御手段200は、役抽選手段210、リール制御手段220、停止図柄判定手段230、払出制御手段240、遊技制御手段250、チャンスゾーン制御手段260、AT制御手段270、送信手段280の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。なお、チャンスゾーン制御手段260、AT制御手段270は、メイン制御手段200とサブ制御手段300との両方に分けて有するようにしても良い。
【0065】
以上の構成をもって、メイン制御手段200は、役の抽選を行い、回転リール62の回転及び停止を制御し、回転リール62がすべて停止したときに停止図柄61の判定を行い、遊技の進行を行う手段として機能することとなる。
メイン制御手段200は、遊技を制御するためのものであって、遊技を進行させるためのものである。以下、本実施の形態における遊技について説明する。
規定の賭け数(3枚)が設定されると、1本の有効ライン86(
図1参照)が設定される。なお、本実施の形態に係る遊技機10は、規定の賭け数として3が設定されている。賭け数を設定する方法には、メダル投入口38からメダルを投入する方法と、マックスベットスイッチ34を操作することによってクレジットメダルを賭け数として設定する方法とがある。そして、規定の賭け数(3枚)が設定されていることを条件に、スタートスイッチ40を操作すると、賭け数が確定し、役抽選手段210により、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレかの抽選(役抽選)が行われる。また、役抽選とほぼ同時に、前回の遊技での回転リール62の回転開始時から所定の時間(本実施の形態では、4.1秒)が経過しているか否かが判定され、所定の時間が経過すると、3個すべての回転リール62の回転が開始する。
【0066】
本実施の形態では、役として、大別すると、BE役(ベル役)、WM役(スイカ役)、CH役(チェリー役)などの小役(メダルの払い出しを伴う役や、演出状態の移行の契機となる役)、再遊技役(遊技者所有のメダルを使用することなく次回の遊技を開始可能とする役、いわゆるリプレイ役)、移行役(遊技状態の移行を伴う役)が設けられている。
回転リール62の回転開始後、所定の条件、本実施の形態では、回転リール62を加速する処理を実行した後予め定められた速度に達すると、ストップスイッチ50の操作が可能な状態(停止操作可能状態)となる。
【0067】
その後に、3個のストップスイッチ50のうち1個を操作すると、当該ストップスイッチ50に対応した回転リール62の回転が停止する。そして、3個すべてのストップスイッチ50の操作を終えると、3個すべての回転リール62の回転が停止する。
このとき、有効ライン86上に所定の図柄61の組合せが揃うと、当該図柄61の組合せに対応した処理が行われる。本実施の形態に係る遊技機10は、有効ライン86上に予め定められた図柄61の組合せが揃うと遊技者に利益が付与されるように形成されている。例えば小役に対応した図柄61の組合せが有効ライン86上に揃うと、小役に対応した枚数のメダルが遊技者に対して付与される。
【0068】
また、有効ライン86上に再遊技役(リプレイ役)に対応する図柄61の組合せが揃うと、メダルの払い出しはないものの、次回の遊技において遊技者所有のメダルを使用することなく賭け数が自動的に設定され遊技を行うことができる。
【0069】
(役抽選手段210)
役抽選手段210は、当選役を決定する役抽選を実行するものである。すなわち、役抽選手段210は、メイン制御手段200が備える手段であり、スタートスイッチ40の操作を契機に、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの抽選(役の当否抽選)を行うためのものである。
役抽選手段210は、役に当選したか否かを決定するための抽選テーブルを、主な分類として遊技状態毎に、RT0用、RT1用、RT2用、ボーナス遊技用のそれぞれに対応して複数備えており、メイン制御手段200のROM上に記憶されている。
【0070】
役抽選手段210は、予め定めた抽選データと、所定範囲の整数値を繰り返してカウントするループカウンタを有する所定の乱数発生手段(乱数発生回路)が発生した乱数のうちから抽出した乱数とを比較して、当選か否かを判定する。なお、役抽選手段210による処理は、後述するステップS11(
図14参照)において行われる。
【0071】
役抽選の当選確率は、複数段階、本実施の形態では、6段階(SET1〜SET6)設定されており、役抽選手段210は、設定値毎に予め定められた抽選確率で役の当否を抽選する。
そして、設定値毎の抽選確率は、役により、設定値によって抽選確率が変動するものと、変動しないものとが設けられている。
【0072】
(リール制御手段220)
リール制御手段220は、各回転リール62の回転を停止させるためのものである。リール制御手段220は、役抽選手段210の抽選結果と、各ストップスイッチ50が操作されたときの対応する回転リール62の回転位置とに基づいて、各回転リール62の回転を停止させる。なお、リール制御手段220は、必要に応じて各ストップスイッチ50が停止操作されるときの順番(押し順)が所定の条件に適合しているか否かも停止させる条件にする場合がある。リール制御手段220による処理は、後述するステップS12(
図14参照)において行われる。
【0073】
(停止図柄判定手段230)
停止図柄判定手段230は、すべての回転リール62が停止した際における有効ライン86上の図柄61の組合せを記憶するとともに入賞等の判定をするためのものである。なお、停止図柄判定手段230による処理は、後述するステップS13(
図14参照)において行われる。
【0074】
(払出制御手段240)
払出制御手段240は、停止図柄判定手段230の判定結果に基づいて、メダル払い出し等の所定の処理を行うためのものである。払出制御手段240は、停止図柄判定手段230の判定の結果、小役が入賞していると判定されるとメダルの払い出しを行う。なお、払出制御手段240による処理は、後述するステップS14(
図14参照)において行われる。
【0075】
(遊技制御手段250)
遊技制御手段250は、遊技状態を制御するものである。
具体的には、遊技制御手段250は、
図11に示すように、大別すると、ノーマル遊技制御手段251、RT制御手段252、ボーナス遊技制御手段253の各手段を有する。
【0076】
(ノーマル遊技制御手段251)
ノーマル遊技制御手段251は、「ノーマル遊技」の進行を制御するものである。ここで、「ノーマル遊技」は、後述するRT制御手段252による「RT遊技」(リプレイタイム遊技)以外の遊技状態をいい、
図12を用いて後述する「RT0」、「RT1」を含む。
【0077】
(RT制御手段252)
RT制御手段252は、「RT遊技」の進行を制御するものである。ここで、「RT遊技」は、
図12を用いて後述する「RT2」を含む。
【0078】
(ボーナス遊技制御手段253)
ボーナス遊技制御手段253は、
図12を用いて後述する「ボーナス遊技」を制御するものである。
【0079】
(チャンスゾーン制御手段260)
チャンスゾーン制御手段260は、
図13を用いて後述する「チャンスゾーン(CZ)」を制御するものである。
ここで、「チャンスゾーン(CZ)」は、本実施の形態では、AT状態に移行する可能性が通常演出状態よりも高い状態であり、32ゲームで構成され、当該32ゲーム以内にAT移行抽選に当選した場合に、AT状態への移行が決定する状態である。
「チャンスゾーン(CZ)」は、通常演出状態(RT0)中に所定の移行契機、本実施の形態では、CZへの移行抽選(CZ移行抽選)に当選した場合に移行し、チャンスゾーン(CZ)中に、AT移行抽選により「AT状態」への移行が決定した場合は「AT状態」へ移行し、決定しなかった場合は、「通常演出状態」に戻る。
【0080】
(AT制御手段270)
AT制御手段270は、「AT状態」及び「ART状態」中の「AT」を制御するためのものである。そして、後述する演出制御手段320を用いてストップスイッチ50の押し順を報知させる演出等を実行させる。
「AT状態」は、いわゆる「アシストタイム」ともよばれ、当該「AT状態」に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技(AT)が開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役の図柄の組合せを停止表示させることができる。このため、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。また、「AT状態」は、本実施の形態では、メイン制御手段200側で制御され、このとき、メイン制御手段200側のRT制御手段252で制御される「RT遊技」に移行すると、「ART」状態となる。「ART」状態は、「RT遊技」で、且つ「AT状態」の遊技状態をいう。
【0081】
また、AT制御手段270は、CZ中に、予め定められた役に当選した場合に「AT状態」へ移行するか否かの抽選(AT移行抽選)を行い、当該AT移行抽選に当選した場合に、「AT状態」に移行する。
なお、「CZ」終了後、「AT状態」に移行することを報知する前兆状態を経てから「AT状態」へ移行するようにしても良い。
【0082】
(送信手段280)
送信手段280は、サブ制御手段300へ信号を送信するためのものである。
【0083】
(サブ制御手段300)
サブ制御手段300は、
図11に示すように、受信手段310及び演出制御手段320の各手段を有する。各手段の詳細については後述する。なお、図示しないが、演出制御手段320が行うAT状態におけるストップスイッチ50の押し順の報知は、メイン制御手段200に別の手段を設け、メイン制御手段200が行うようにしても良い。
【0084】
以上の構成をもって、サブ制御手段300は、メイン制御手段200からの信号を受けて、遊技の進行に伴う演出を行うものである。
具体的には、サブ制御手段300は、演出用ランプ78を駆動するためのLED駆動回路(図示せず)に対してLEDの点灯や消灯を規定するデータを出力したり、スピーカー72から音を出力するための音声出力回路(図示せず)に対して出力する音声を規定するデータを出力したり、画像表示手段84を駆動するための液晶制御基板(図示せず)に対して出力する映像データを規定するデータを出力したりする。
【0085】
(受信手段310)
受信手段310は、送信手段280からの信号を受信するものである。
【0086】
(演出制御手段320)
演出制御手段320は、遊技制御手段250及びAT制御手段270の状態により、
図13に示す各演出の状態の演出を制御するものである。
また、メイン制御手段200のAT制御手段270からストップスイッチ50の押し順を報知させるコマンドを受信した場合に当該ストップスイッチ50の押し順を報知させる演出等、を実行する。
【0087】
また、演出制御手段320は、役物装置500の左右用モータ544を用いて可動役物520のスライド移動をしたり、役物装置500の画像表示装置521に画像を表示したりする演出を実行している。
例えば、後述するCZ終了時に、AT移行抽選に当選しているか当選していないかの報知演出を実行する。
また、CZ終了時のAT移行抽選の当選を報知する演出以外の様々な演出に用いても良い。
【0088】
(役の図柄組合せについて)
つぎに、図示しないが、役抽選手段210により抽選される役について説明する。
具体的には、ボーナス移行役として、左回転リール64、中回転リール66、右回転リール68の順(以下同様)に、「BE、BE、W1」などの図柄の組合せの役、再遊技役として、「RP、BE、RP」などの図柄の組合せの役、CH役(チェリー役)として、「CH、any、any」などの図柄の組合せの役、WM役(スイカ役)として、「W1、W1、W1」などの図柄の組合せのWM役、BE役(ベル役)として、「RP、BE、W1」などの図柄の組合せの役が設けられている。
ここで、CH役(チェリー役)、WM役(スイカ役)は、当選確率の低いいわゆるレア役に設定されている。
なお、「any」とは、図柄の種類を問わないという意味である。
【0089】
また、役抽選の結果として、複数の役が同時に当選(重複して当選)するように設定されており、ストップスイッチ50の押し順によって、同時に当選した役のうち停止される役が決定されるように設定されている。
【0090】
(
図12を用いた遊技状態の説明)
つぎに、
図12を用いて「遊技状態」について説明する。
「遊技状態」は、メイン制御手段200により管理され、
図12に示すように、大別すると、「ノーマル遊技」、「RT遊技」、「ボーナス遊技」がある。「RT」は、いわゆる「リプレイタイム」の略語であり、「RT遊技」に移行すると、再遊技役に当選する抽選確率、すなわち再遊技確率が高くなる。
【0091】
「ノーマル遊技」は、ノーマル遊技制御手段251により制御され、「RT0」と、「RT1」とがある。
「RT0」は、工場出荷時、設定変更後に滞在する遊技状態である。
「RT0」から「RT1」には、RT1移行図柄であるAT役こぼし図柄、いわゆるベルこぼし図柄を停止表示させた時に移行する。ここで「AT役こぼし図柄」とは、図示しないが、例えば、中第一停止が正解の役に当選し、押し順不正解(ストップスイッチ50を左第一操作または右第一操作)した際に停止表示される図柄である。「RT0」では押し順が報知されず、遊技者は基本的にはストップスイッチ50を左第一停止で操作することが多い。この場合、例えば中第一停止が正解の役当選時にはAT役こぼし図柄が停止表示され、「RT1」に移行することとなる。
【0092】
「RT遊技」は、RT制御手段252により制御され、「ノーマル遊技」より再遊技役への当選確率の高い「RT2」がある。
ここで、「ノーマル遊技」から「RT遊技」、具体的には、「RT1」から「RT2」には、RT2移行図柄、いわゆる昇格リプレイ図柄を停止表示させた時に移行する。例えば、図示しないが押し順リプレイ役の押し順「正解」時に、RT2移行図柄を停止表示させた時に移行する。
【0093】
また、「RT2」においてAT役こぼし図柄や転落リプレイ図柄などのRT1図柄を停止表示させると「RT1」に移行する。ここで「AT役こぼし図柄」とは、上述したとおり、例えば、中第一停止が正解の役に当選し、押し順不正解(ストップスイッチ50を左第一操作または右第一操作)した際に停止表示される図柄である。例えば、「RT2」において遊技状態が
図13のART遊技では押し順が報知されるが、AT遊技が終了すると、押し順が報知されず、遊技者は基本的にはストップスイッチ50を左第一停止で操作することが多い。この場合、例えば中第一停止が正解の役当選時にはAT役こぼし図柄が停止表示され、「RT1」に移行することとなる。
【0094】
「ボーナス遊技」は、ボーナス遊技制御手段253により制御され、「ボーナス図柄」(ボーナス移行役に対応した図柄61の組合せ)を揃えることで移行する。
「ボーナス遊技」は、本実施の形態では、チャレンジボーナス(CB)であり、1回の遊技で「ボーナス遊技」が終了し、その後、「RT0」に移行する。
なお、「ボーナス遊技」は、チャレンジボーナス(CB)に限定されず、いわゆる「BB」が連続作動し、所定の枚数、例えば280枚を超えるメダルの払い出しで終了するようなものであっても良い。
【0095】
(
図13を用いた演出状態の説明)
図13に示すように、演出状態は、「一般区間」と「特別区間」とがある。
ここで、「通常演出状態」は
図12の「RT0」、「RT1」(主として「RT1」)の遊技状態の演出状態であり、「AT状態」は
図12の「RT1」、「RT2」(主として「RT2」)の遊技状態の演出状態である。
また、「AT状態」のうち後述する「ART準備状態」は、主として「RT1」の遊技状態の演出状態であり、「ART状態」は、主として「RT2」の遊技状態の演出状態である。
【0096】
(一般区間)
「一般区間」は、後述する「特別区間」を除いた区間であって、メダルの払い出しを伴う小役の押し順の報知が許容されない区間である。
「一般区間」としては、「通常演出状態」がある。
なお、「一般区間」の種類や数は、上述したものに限られない。
また、各演出状態の移行条件は後述するものに限定されない。
【0097】
(通常演出状態)
「通常演出状態」は、通常遊技の一例であり、後述する「特別区間」における「CZ(チャンスゾーン)」、「AT状態」等の特殊な状態を除いた状態である。
通常演出状態中に、所定の移行契機を満たした場合、本実施の形態では、役抽選手段210が行う役抽選の当選役に基づきCZ移行抽選に当選した場合に、「特別区間」の「CZ状態」へ移行する。
【0098】
なお、「一般区間」から「特別区間」へ移行する際は、まず、「特別区間」の「CZ状態」へ移行するようにしているが、これに限定されず、「CZ状態」を経ずに「AT状態」へ移行するようにしても良い。
【0099】
また、CZ移行抽選の契機となる役抽選の当選役の抽選確率は、設定値による差がないようにされている。
すなわち、設定値1の場合であっても、設定値6であっても同じ抽選確率で抽選されるようにされている。
また、「CZ状態」を経ずに「AT状態」へ移行する場合の契機となる役抽選の当選役の抽選確率についても、設定値による差がないようにされている。
【0100】
(特別区間)
「特別区間」は、「一般区間」よりも遊技者に有利な区間であって、メダルの払い出しを伴う小役の押し順の報知が許容されている区間である。
【0101】
また、「特別区間」は、上述したように「一般区間」において所定の移行契機を満たすことにより「特別区間」への移行が決定された場合、本実施の形態では、役抽選手段210が行う役抽選の当選役に基づきCZ移行抽選に当選した場合の次の遊技から開始される。
【0102】
この「特別区間」においては、1回以上、最大払出枚数が得られることとなる入賞に係る図柄の組合せに係る指示がされることとなっている。
例えば、複数の小役のうち、最大払出枚数に係る小役が「BE役」である場合には、特別区間中において、少なくとも1回「BE役」の押し順が報知されることとなる。
【0103】
(CZ(チャンスゾーン))
CZ(チャンスゾーン)は、通常演出状態よりAT状態に移行する可能性の高い状態である。
ここで、「移行する可能性の高い」は、AT移行抽選の抽選確率が高い場合の他、AT移行抽選の契機となる役の抽選確率が高い場合なども含む。
【0104】
本実施の形態では、CZは、32ゲームで構成され、当該32ゲーム以内に、役抽選手段210が行う役抽選の当選役に基づきAT状態への移行抽選(AT移行抽選)が行われる。
そして、当該AT移行抽選に当選した場合は、CZの32ゲーム消化後AT状態へ移行し、当選しなかった場合はCZの32ゲーム消化後通常演出状態に移行する。
【0105】
本実施の形態では、CZ終了時に、AT移行抽選に当選している場合と当選していない場合とに応じた役物装置500を用いた演出が実行される。
【0106】
なお、AT移行抽選に当選した場合は、CZの32ゲーム消化後にAT状態へ移行する場合に限定されず、当該AT移行抽選に当選した次のゲームからAT状態へ移行するようにしても良い。
また、CZは、32ゲームで構成される場合に限定されず、例えば、上述した最大払出枚数に係る小役が入賞するまで継続したり、所定の転落図柄が入賞するまで継続したりするようにしても良い。なお、この場合には、32ゲーム消化時点で通常演出状態の演出を開始することで、遊技者には通常演出状態に移行しているかのように認識させるようにしても良い。
【0107】
(AT状態)
「AT状態」は、「通常演出状態」より遊技者に有利な有利遊技の一例であり、「AT状態」に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技(AT)が開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役や再遊技役の図柄の組合せを停止表示させることができる。このため、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。
そして、「AT状態」と、
図12の遊技状態の「RT」とを合わせて、ART状態となる。
【0108】
「AT状態」は、本実施の形態では、1セット当たり50ゲームを消化することを終了条件とする遊技である。そして、50ゲーム消化持に、AT制御手段270によりAT継続抽選が行われ、当該AT継続抽選に当選した場合は、再度1セット当たり50ゲームのAT状態が継続され、AT継続抽選に当選しなかった場合は、「AT状態」を終了させ、「通常演出状態」へ戻る。「AT状態」が終了すると、ストップスイッチ50の押し順の報知が終了され、これに伴い、RT0図柄を表示した場合に、遊技状態が「RT0」に移行し、「RT」が終了する。すなわち、RT0図柄は、左第一停止、中第一停止が不正解の役に当選し、押し順「不正解」(ストップスイッチ50を左第一停止、中第一停止で操作)した際に停止表示される図柄61である。ATが終了しているため押し順の報知が行われず、遊技者はストップスイッチ50を左第一停止で操作するため、ベル役に当選してもRT0図柄が停止表示され、「RT0」に移行する。
なお、「AT状態」のゲーム数を消化する前に、「特別区間」の開始から1500ゲーム消化していた場合は、「AT状態」のゲーム数の消化を待たずに「AT状態」を終了し、「通常演出状態」へ移行する。
【0109】
(
図14を用いた遊技の基本的な流れの説明)
図14に示すフローチャートに基づいて、メイン制御手段200が1回の遊技毎に実行する一般的な遊技制御処理について説明する。
【0110】
ステップS10において、メイン制御手段200により、スタートスイッチ40の操作があったか否かの判定が行われる。ここで、スタートスイッチ40の操作があったと判定されると、メイン制御手段200により、賭け数の設定が不可能な状態とされる。その後、次のステップS11に進む。一方、スタートスイッチ40の操作がないと判定されると、再度ステップS10となる。
【0111】
なお、このステップS10の前提として、賭け数設定処理が行われている。この賭け数設定処理では、賭け数として規定の賭け数が設定されたか否かが判定されるものである。具体的には、メイン制御手段200により、当該遊技の賭け数として設定されているメダルの枚数が規定の賭け数(3枚)に達しているか否かの判定が行われる。
【0112】
ステップS11において、役抽選手段210により、役抽選処理が行われる。また、このとき、役抽選の結果がメイン制御手段200からサブ制御手段300へ送信される。役抽選処理が終了すると、次のステップS12に進む。
【0113】
ステップS12において、リールユニット60における回転リール62の回転変動処理が行われる。回転リール62が所定の回転速度に達した後、メイン制御手段200により、回転中の回転リール62に対応するストップスイッチ50の操作があった場合に、リール制御手段220により、各回転リール62の回転が停止させられる。このときのストップスイッチ50(左ストップスイッチL、中ストップスイッチC、右ストップスイッチR)の当選役に対応する押し順は、メイン制御手段200に形成された所定の記憶領域に記憶されると共に、その後の処理にて読み出される。
【0114】
また、すべての停止操作終了後、メイン制御手段200の送信手段280からサブ制御手段300の受信手段310へ全回転リール62の回転停止情報が送信される。そして、すべての回転リール62の回転変動処理が終了すると、次のステップS13に進む。
ステップS13において、停止図柄判定手段230により、有効ライン86上の図柄61の組合せに対して所定の役の図柄61の組合せが揃っているか否かの入賞等の判定処理が行われる。ここで、入賞等の判定処理の判定結果のデータは、メイン制御手段200からサブ制御手段300へ送信される。そして、判定処理が終わると、次のステップS14に進む。
【0115】
ステップS14において、払出制御手段240により、停止図柄判定手段230の判定結果に対応した払出処理等が行われる。なお、判定結果、払出が不要な場合には、払出処理は行われない。そして、当該処理が終了する。
【0116】
(第2の実施の形態)
つぎに、
図15を用いて、第2の実施の形態について説明する。
以下、第1の実施の形態とは異なる点を中心に、第2の実施の形態に係る遊技機について説明する。
上述した第1の実施の形態では、
図7、
図9に示すように、突起部材547を可動役物520のスライド移動方向い直交する向きのフラットケーブル545の幅方向にわたって設けているが、本実施の形態では、
図15に示すように、可動役物520のスライド移動方向に対し斜めになるように設けているものである。
【0117】
すなわち、本実施の形態の突起部材547は、矢印で示す可動役物520のスライド移動方向に対し、フラットケーブル545の幅方向の一端から他端にかけて斜めになるように、当該スライド移動方向に対し右上がりと左下がりとが交互に連続するジグザグ状に構成される。
このように構成することで、フラットケーブル545全体で突起部材547と接触することになり、フラットケーブル545の一部のみが接触することによる部分的な摩耗を防ぐことができる。
【0118】
なお、本実施の形態では、可動役物520のスライド移動方向に対し右上がりと左上がりとが交互に連続するジグザグ状に構成されるが、これに限定されず、斜め線は一方向、例えば、移動方向に対し右上がりのみであっても良いし、又、左上がりのみであっても良いし、交互に連続せず混在しても良い。
【0119】
(第3の実施の形態)
つぎに、
図16を用いて、第3の実施の形態について説明する。
以下、第1の実施の形態とは異なる点を中心に、第3の実施の形態に係る遊技機について説明する。
上述した第1の実施の形態では、
図7、
図9に示すように、突起部材547を可動役物520のスライド移動方向に直交する向きのフラットケーブル545の幅方向にわたって設けているが、本実施の形態では、
図16に示すように、フラットケーブル545の幅方向にわたって設けられるものではなく、フラットケーブル545の幅方向の一定の範囲にわたって設けるようにしている。
【0120】
すなわち、本実施の形態の突起部材547は、矢印で示す可動役物520のスライド移動方向に対し、フラットケーブル545の幅方向の略中央に所定の間隔で設けている。
なお、フラットケーブル545の幅方向の略中央に設けたが、これに限定されず、幅方向の上側や下側に、又は、上側、中央、下側に順番に配置するようにしても良い。また、突起部材547を幅方向に1個設けたが、これに限定されず、複数個設けても良い。
このように構成することで、フラットケーブル545の幅方向にわたって設ける場合よりも、突起部材547の成形を容易にすることができる。
【0121】
以上のように、本実施の形態では、以下の効果を奏する。
すなわち、本実施の形態では、本発明は、突起部材を備えることで、フラットケーブルの外面と案内部との間で生じる摩擦力を軽減することができ、可動役物のスライド移動に伴うフラットケーブルの移動時に、当該フラットケーブルが想定外の部分で折り曲げられることのないようにすることが可能な遊技機を提供することができる。
すなわち、可動役物のスライド移動を開始させる際に、第1の固定部から円弧状折返部までの距離の方が、第2の固定部から円弧状折返部までの距離に比べ長い区間では、可動役物のスライド移動開始時に第1の固定部からフラットケーブルにかかる力により、フラットケーブルがたわみやすく、より効果的である。
【0122】
また、本実施の形態では、効果的に摩擦力を軽減することが可能な遊技機を提供することできる。
【0123】
また、本実施の形態では、最もフラットケーブルに力がかかる際の、可動役物がスライド移動を開始した直後に、フラットケーブルの外面を突起部材に乗り上げさせることができ、摩擦力を軽減することが可能な遊技機を提供することができる。
【0124】
また、本実施の形態では、可動役物のスライド移動時に、フラットケーブル全体で突起部材と接触することになり、フラットケーブルの一部のみが接触することによる部分的な摩耗を防ぎ、フラットケーブルを長持ちさせることが可能な遊技機を提供することができる。
このため、フラットケーブルの断線などに伴う遊技機のメンテナンスなどの手間やコストを軽減することが可能となる。
【0125】
また、本実施の形態では、フラットケーブルの断線などに伴う遊技機のメンテナンスなどの手間やコストを軽減することが可能となる。
【0126】
また、本実施の形態では、フラットケーブルが円弧状折返部で鋭角に折り返されることで破損することを防止し、フラットケーブルを長持ちさせることが可能な遊技機を提供することができる。
【課題】可動役物のスライド移動に伴うフラットケーブルの移動時に、当該フラットケーブルが想定外の部分で折り曲げられることのないようにすることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【解決手段】可動役物のスライド移動に伴うフラットケーブルの移動を案内する案内部を備え、フラットケーブルは、第1の固定部と第2の固定部と第1の固定部から第2の固定部との間で円弧状に折り返して形成される円弧状折返部とを形成し、案内部は、第1の固定部から円弧状折返部までのフラットケーブルの外面が接する一面と、円弧状折返部から第2の固定部までの外面が接する他面とを備え、一面と他面との少なくとも一方の面には、他方の面側に伸び、フラットケーブルの移動時にフラットケーブルの外面の少なくとも一部が当該一面又は当該他面と接する部分を少なくする突起部材を備えることを特徴とする。