特許第6393815号(P6393815)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393815
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 123/12 20060101AFI20180910BHJP
   C09D 123/16 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 153/00 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 123/26 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 177/00 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 161/06 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20180910BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20180910BHJP
【FI】
   C09D123/12
   C09D123/16
   C09D153/00
   C09D123/26
   C09D177/00
   C09D161/06
   C09D133/02
   C09D5/02
【請求項の数】9
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-197994(P2017-197994)
(22)【出願日】2017年10月11日
(62)【分割の表示】特願2015-550448(P2015-550448)の分割
【原出願日】2013年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-48335(P2018-48335A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】13/729,084
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エイ・ランドガード
(72)【発明者】
【氏名】ホウシャン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ウィルバー
(72)【発明者】
【氏名】ジンハン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】デヴィット・エル・マロトキー
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/077843(WO,A1)
【文献】 特開平07−118602(JP,A)
【文献】 特表2007−525323(JP,A)
【文献】 特表2007−504301(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0137501(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0048784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の総重量に基づいて、20〜85パーセントの水性分散液であって、前記水性分散液が、(a)ASTM D−1238によって測定されたときに少なくとも30の溶融指数値を有するポリプロピレンのポリマーと、(b)ASTM D−1238によって測定されたときに30未満の溶融指数値を有するプロピレン−エチレンコポリマーと、(c)ポリマー安定剤と、(d)相溶化剤との溶融ブレンド生成物を含み、前記水性分散液が、前記水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント〜70重量パーセントの固形分を有し、前記固形分が、前記固形分の総重量に基づいて、40〜80重量パーセントの前記ポリプロピレンのポリマーと、前記固形分の前記総重量に基づいて、3〜35重量パーセントの前記プロピレン−エチレンコポリマーと、前記固形分の前記総重量に基づいて、2〜35重量パーセントの前記ポリマー安定剤と、前記固形分の前記総重量に基づいて、5〜15重量パーセントの前記相溶化剤と、を含む、水性分散液と、 塩基性水組成物であって、前記塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99重量パーセントの水と、前記塩基性水組成物の前記総重量に基づいて、0.01重量パーセント〜10重量パーセントの中和剤と、を含み、前記塩基性水組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて、前記コーティング組成物の0重量パーセント〜80重量パーセントである、塩基性水組成物と、
架橋剤であって、前記架橋剤が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて、前記コーティング組成物の0重量パーセント〜40重量パーセントである、架橋剤と、を含む、コーティング組成物。
【請求項2】
前記プロピレン−エチレンコポリマーが、プロピレン−エチレン交互コポリマーまたはプロピレン−エチレンジブロックコポリマーから選択される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記相溶化剤が、無水マレイン酸修飾ポリプロピレンワックスを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記架橋剤が、ヒドロキシルアルキルアミドを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が、レゾール−ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記ポリマー安定剤が、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−メタクリル酸コポリマー、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
基材および前記基材上のコーティングを含むコーティングされた物品であって、前記コーティングが、コーティング組成物であって、
前記コーティング組成物の総重量に基づいて、20〜85パーセントの水性分散液であって、前記水性分散液が、(a)ASTM D−1238によって測定されたときに少なくとも30の溶融指数値を有するポリプロピレンのポリマーと、(b)ASTM D−1238によって測定されたときに30未満の溶融指数値を有するプロピレン−エチレンコポリマーと、(c)ポリマー安定剤と、(d)相溶化剤との溶融ブレンド生成物を含み、前記水性分散液が、前記水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント〜70重量パーセントの固形分を有し、前記固形分が、前記固形分の総重量に基づいて、40〜80重量パーセントの前記ポリプロピレンのポリマーと、前記固形分の前記総重量に基づいて、3〜35重量パーセントの前記プロピレン−エチレンコポリマーと、前記固形分の前記総重量に基づいて、2〜35重量パーセントの前記ポリマー安定剤と、前記固形分の前記総重量に基づいて、5〜15重量パーセントの前記相溶化剤と、を含む、水性分散液と、 塩基性水組成物であって、前記塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99重量パーセントの水と、前記塩基性水組成物の前記総重量に基づいて、0.01重量パーセント〜10重量パーセントの中和剤と、を含み、前記塩基性水組成物が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて、前記コーティング組成物の0重量パーセント〜80重量パーセントである、塩基性水組成物と、
架橋剤であって、前記架橋剤が、前記コーティング組成物の前記総重量に基づいて、前記コーティング組成物の0重量パーセント〜40重量パーセントである、架橋剤と、を含む、コーティング組成物を含む、コーティングされた物品。
【請求項8】
前記基材上の前記コーティングが、硬化されて硬化コーティングを形成する、請求項7に記載のコーティングされた物品。
【請求項9】
前記硬化コーティングが0.01マイクロメートル〜2ミリメートルの範囲内の厚さを有し、前記基材が金属基材である、請求項8に記載のコーティングされた物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、コーティング組成物を対象とし、より具体的には、実施形態は、ポリオレフィンおよびポリマー性能改善剤を含む基剤ポリマーを含む、コーティング組成物である。
【背景技術】
【0002】
コーティング組成物は、基材に適用され、基材上のコーティングを提供するために、硬化、例えば、架橋され得る。異なるコーティングを提供するために利用される種々のコーティング組成物がある。コーティングは、とりわけ、基材の保護を提供するため、装飾用コーティングなどの後続の用途のための基剤を提供するため、改善した処理の提供を助けるために摩擦を低減するため、および、コーティングされた基材から形成された容器内に格納された内容物の保護を提供するために利用され得る。
【0003】
いくつかの基材、例えば、金属基材は、食品および/または飲料容器などの容器へと形成され得る。コーティング組成物は、基材、ならびに/またはこれらの容器の内側および/もしくは外側に適用され得る。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、コーティング組成物であって、該コーティング組成物の総重量に基づいて、20〜85パーセントの水性分散液であって、該水性分散液が、(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーと、(b)ポリマー性能改善剤と、(c)ポリマー安定剤と、(d)ポリマーカップリング剤との溶融ブレンド生成物を含み、該水性分散液が、該水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント〜70重量パーセントの固形分を有し、該固形分が、該固形分の総重量に基づいて、40〜80重量パーセントの該基剤ポリマーと、該固形分の該総重量に基づいて、3〜35重量パーセントの該ポリマー性能改善剤と、該固形分の該総重量に基づいて、2〜35重量パーセントの該ポリマー安定剤と、該固形分の該総重量に基づいて、5〜15重量パーセントの該ポリマーカップリング剤と、を含む、水性分散液と、塩基性水組成物であって、該塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99重量パーセントの水と、該塩基性水組成物の該総重量に基づいて、0.01重量パーセント〜10重量パーセントの中和剤と、を含み、該塩基性水組成物が、該コーティング組成物の該総重量に基づいて、該コーティング組成物の0重量パーセント〜80重量パーセントである、塩基性水組成物と、架橋剤であって、該架橋剤が、該コーティング組成物の該総重量に基づいて、該コーティング組成物の0重量パーセント〜40重量パーセントである、架橋剤と、を含む、コーティング組成物を提供する。
【0005】
本開示は、基材および該基材上のコーティングを含むコーティングされた物品であって、該コーティングが、該コーティング組成物を含む、コーティングされた物品を提供する。
【0006】
本開示は、基材および該基材上の硬化コーティングを含むコーティングされた物品であって、該硬化コーティングが、該コーティング組成物を硬化することによって形成される、コーティングされた物品を提供する。
【0007】
上記の本開示の概要は、開示された各実施形態、または本開示のすべての実行例を説明することを意図するものではない。以下の説明は、例示的な実施形態を、より具体的に例証する。本出願の全体にわたるいくつかの箇所で、種々の組み合わせにおいて使用され得る例の一覧を介して、助言が提供される。それぞれの場合において、記載された一覧は、代表的な群としての機能のみを果たし、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例23の硬化コーティングを有するコーティングされた物品の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図2】実施例25の硬化コーティングを有するコーティングされた物品の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3】実施例27の硬化コーティングを有するコーティングされた物品の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図4】実施例28の硬化コーティングを有するコーティングされた物品の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図5】実施例30の硬化コーティングを有するコーティングされた物品の走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6】比較例Iの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
コーティング組成物が本明細書において説明される。これらのコーティング組成物は、(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーと、(b)ポリマー性能改善剤と、(c)ポリマー安定剤と、(d)ポリマーカップリング剤とを含む、水性分散液を含み得る。
【0010】
いくつかのコーティング用途について、コーティングされた物品が、特定の機械的および化学的耐性特性ならびに特定の性能特性などの、特定の性能特質を同時に提供することが望ましい。驚くべきことに、(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーと、(b)ポリマー性能改善剤と、(c)ポリマー安定剤と、(d)ポリマーカップリング剤とを含む水性分散液、および架橋剤を含む、本明細書において開示されるコーティング組成物は、いくつかのコーティング用途にとって望ましい、特定の機械的および化学的耐性特性ならびに特定の外観特性を含む、これらの性能特性を提供し得ることが分かった。
【0011】
本開示の実施形態は、(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーと、(b)ポリマー性能改善剤と、(c)ポリマー安定剤と、(d)ポリマーカップリング剤との溶融ブレンド生成物を含む、水性分散液を含む、コーティング組成物を提供する。
【0012】
記述した通り、本開示の実施形態は、水性分散液が(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーを含み得ることを規定する。例えば、基剤ポリマーは、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンを含み得る。
【0013】
ポリオレフィンを含む基剤ポリマーは、0.88グラム/立方センチメートル(g/cm)を超える密度を有し得る。例えば、ポリオレフィンを含む基剤ポリマーは、0.88〜1.1g/cm、0.89〜1.0g/cm、0.90〜0.98g/cm、または0.91〜0.97g/cm3の範囲内の密度を有し得る。
【0014】
本開示の実施形態は、基剤ポリマーが、ポリプロピレン、および/または、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、もしくはこれらの組み合わせなどのポリエチレンを含み得ることを規定する。本明細書において使用される場合、高密度ポリエチレンは、0.93〜0.97グラム/立方センチメートル(g/cm)の範囲内の密度を有するポリエチレンを指す。0.93〜0.97g/cmのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、高密度ポリエチレンは、0.93、0.931、または0.935g/cmの下限から、0.97、0.969、または0.965g/cmの上限までの密度を有し得る。例えば、高密度ポリエチレンは、0.93〜0.97g/cm、0.931〜0.969g/cm、または0.965〜0.97g/cmの密度を有し得る。本明細書において使用される場合、中密度ポリエチレンは、高密度ポリエチレンよりも低い密度を有するポリエチレンを指す。本明細書において使用される場合、低密度ポリエチレンは、中密度ポリエチレンよりも低い密度を有するポリエチレンを指す。
【0015】
本開示の実施形態は、(a)ポリオレフィンを含む基剤ポリマーが、ポリオレフィンの、エラストマーを含む、ホモポリマーおよび/またはコポリマー、例えば、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンのポリマーを含むことを規定する。ポリオレフィンの例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、およびプロピレン−1−ブテンコポリマーによって典型的に代表される、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、および1−ドデセンなどの、1つ以上のα−オレフィンの、エラストマーを含むホモポリマーおよびコポリマー、エチレン−ブタジエンコポリマーおよびエチレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表され得る、共役もしくは非共役ジエンを有するα−オレフィンの、エラストマーを含むコポリマー、ならびに、エチレン−プロピレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエンコポリマー、エチレン−プロピレン−1,5−ヘキサジエンコポリマー、およびエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネンコポリマーによって代表され得る、共役もしくは非共役ジエンを有する2つ以上のα−オレフィンのコポリマーなどの、エラストマーを含むポリオレフィン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルクロライドコポリマー、エチレンアクリル酸、またはエチレン−(メタ)アクリル酸コポリマー、およびエチレン−(メタ)アクリレートコポリマーなどの、エチレン−ビニル化合物コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態に従って、ポリオレフィンは、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマーに基づく官能化ポリオレフィンを含み得、このポリマーは、ヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステル、無水物基、またはこれらの組み合わせで修飾されている。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマーに基づくこれらの官能化ポリオレフィンのうちのいくつかは、例えば、Baker Hughes,Incの子会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態に従って、ポリオレフィンは、DMDA−8007 NT 7(溶融指数8.3、密度0.965)、DMDC−8910 NT 7(溶融指数10、密度0.943)、DMDA−1210 NT 7(溶融指数10、密度0.952)、HDPE 17450N(溶融指数17、密度0.950)、DMDA−8920 NT 7(溶融指数20、密度0.954)、DMDA 8940 NT 7(溶融指数44、密度0.951)、DMDA−8950 NT 7(溶融指数50、密度0.942)、DMDA−8965−NT 7(溶融指数66、密度0.952)(すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能)をとりわけ含むがこれらに限定されない、市販の高密度ポリエチレンなどの、非官能化ポリオレフィンを含み得る。基剤ポリマーの他の例は、プロピレン−エチレン交互コポリマー、およびプロピレン−エチレンジブロックコポリマー、およびプロピレン−エチレン交互コポリマー、例えば、VERSIFY(商標)4200、VERSIFY(商標)4000、VERSIFY(商標)3200、VERSIFY(商標)3000、およびVERSIFY(商標)3300など(すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能)の、VERSIFY(商標)の商品名で入手可能であるものである。ポリプロピレン基剤ポリマーの例は、Braskem AmericaによるPP 6D43、およびPropilco S.AによるPP 35R80である。
【0018】
ポリオレフィンは、種々の用途に対して異なる分子量を有し得る。例えば、ポリオレフィンは、800グラム/モル超、例えば、5000グラム/モル超、または代替例では50000グラム/モル超の分子量を有し得る。ポリオレフィンは、種々の用途に対して異なる融点を有し得る。例えば、ポリオレフィンは、100℃超、101℃超、102℃超、103℃超、または105℃超の結晶融点を有し得る。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態に従って、ポリオレフィンは、プロピレン−αオレフィンコポリマー、例えば、プロピレン−エチレンまたはプロピレン−エチレン−ブテンコポリマーもしくはインターポリマーであり得る。ポリオレフィンは、実質的にアイソタクティックなプロピレン配列を有するものとして特徴付けられる、プロピレン/α−オレフィンコポリマーであり得る。「実質的にアイソタクティックなプロピレン配列」は、13C NMRによって測定された、約0.85超、代替例では約0.90超、別の代替例では約0.92超、別の代替例では約0.93超のアイソタクティックな三連構造(mm)を、その配列が有することを意味する。アイソタクティックな三連構造は当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,504,172号および国際公開第00/01745号に開示されており、これらは、13C NMRスペクトルによって決定されるコポリマー分子鎖内の三連構造単位の観点から、アイソタクティックな配列に言及している。
【0020】
ポリオレフィン、例えば、プロピレン/α−オレフィンコポリマーは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有し得る。1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)のすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、結晶化度は、1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)、2.5パーセント(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)、または3パーセント(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱)の下限から、30重量パーセント(50ジュール/グラム未満の融解熱)、24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)、15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、または7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の上限までであり得る。例えば、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜24重量パーセント(40ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有し得、または代替例では、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜15重量パーセント(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有し得、または代替例では、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜7重量パーセント(11ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有し得、または代替例では、ポリオレフィンは、少なくとも1重量パーセント(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)〜5重量パーセント(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の範囲内の結晶化度を有し得る。結晶化度は、示差走査熱量測定(DSC)法により測定することができる。実施形態は、基剤ポリマーが、プロピレンに由来する単位、および1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来するポリマー単位を含み得ることを規定する。基剤ポリマーを製造するために利用され得るコモノマーの例は、C、およびC〜C10α−オレフィン、例えば、C、C、C、およびCα−オレフィンである。基剤ポリマーは、1〜40重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得る。1〜40重量パーセントのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位の重量パーセントは、1、3、4、5、7、または9重量パーセントの下限から、40、35、30、27、20、15、12、または9重量パーセントの上限までであり得る。例えば、基剤ポリマーは、1〜35重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得、または代替例では、基剤ポリマーは、1〜30重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得、または代替例では、基剤ポリマーは、3〜27重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得、または代替例では、基剤ポリマーは、3〜20重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得、または代替例では、基剤ポリマーは、3〜15重量パーセントの、1つ以上のα−オレフィンコモノマーに由来する単位を含み得る。
【0021】
基剤ポリマーは、数平均分子量で除した重量平均分子量(Mw/Mn)によって定義されるときに3.5以下、代替例では3.0以下、または別の代替例では1.8〜3.0の、分子量分布(MWD)を有し得る。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、基剤ポリマーは、60〜100、好ましくは80〜99、より好ましくは85〜99重量パーセントの、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンに由来する単位、および、ゼロ超〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは4〜16、さらにより好ましくは4〜15重量パーセントの、少なくとももう1つのポリオレフィンに由来する単位を含むものとして特徴付けられ得る。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、基剤ポリマーは、60〜100、好ましくは80〜99、より好ましくは85〜99重量パーセントの、ポリプロピレンに由来する単位、および、ゼロ超〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは4〜16、さらにより好ましくは4〜15重量パーセントの、少なくとももう1つのポリオレフィンに由来する単位を含むものとして特徴付けられ得る。
【0024】
本開示の実施形態は、水性分散液が(b)ポリマー性能改善剤を含み得ることを規定する。ポリマー性能改善剤は、いくつかのコーティング用途にとって望ましい、コーティングされた物品の特定の外観特性ならびに特定の機械的および化学的耐性特性などの、特定の性能特質を同時に提供することを助けることができる。
【0025】
ポリマー性能改善剤は、60未満、50未満、またはいくつかの実施形態については、42未満の酸価を有し得る。酸価は、例えばASTM D−1386によって決定することができる。酸価は、滴定によって測定されたときに酸官能基を中和するために必要なmgKOH/gポリマー内のKOHの量を指す場合がある。
【0026】
ポリマー性能改善剤は、100未満、70未満、またはいくつかの実施形態については、30未満の溶融指数値を有し得る。溶融指数値は、例えば、ASTM D−1238によって決定することができる。溶融指数値は、例えば、ポリエチレン系ポリマーについては190℃および2.16kgの荷重、ならびにポリプロピレン系ポリマーについては230℃および2.16kgのプランジャー荷重を有する、加熱されたシリンジを通過する、dg/分(またはg/10分)におけるポリマー溶融物の量として定義することができる。
【0027】
本開示の実施形態は、ポリマー性能改善剤が、高密度ポリエチレンなどの無水マレイン酸官能化ポリエチレンであり得ることを規定する。無水マレイン酸官能化ポリエチレンコポリマー、ターポリマー、およびブレンド物を使用してもよい。グラフト化または他の反応法によって、無水マレイン酸官能基をポリマー内に組み込むことができる。グラフト化の際、無水マレイン酸組み込みのレベルは、典型的に、ポリマーの重量に基づいて、3重量パーセントを下回る。市販の無水マレイン酸官能化ポリエチレンの例としては、とりわけ、AMPLIFY(商標)GR−204などの、The Dow Chemical Companyから入手可能な、AMPLIFY(商標)の商品名で入手可能であるものが挙げられる。Amplify GR−204は、2,5−フランジオン修飾エチレン/ヘキセン−1ポリマーである。無水マレイン酸官能化ポリエチレンの他の例は、とりわけFUSABOND(商標)E−100、FUSABOND(商標)E−158、FUSABOND(商標)E265、FUSABOND(商標)E528、FUSABOND(商標)E−589、FUSABOND(商標)M−603などの、E.I.du Pont de Nemours and Companyから入手可能なFUSABOND(商標)の商品名で入手可能であり、他の無水マレイン酸グラフト化ポリエチレンポリマー、コポリマー、およびターポリマーとしては、とりわけPOLYBOND(商標)3009およびPOLYBOND(商標)3029などの、Chemturaから入手可能なPOLYBOND(商標)、とりわけOREVAC(商標)18510Pなどの、ARKEMAから入手可能なOREVAC(商標)、PLEXAR(商標)PX−2049などのLyondell Chemical CompanyによるPLEXAR(商標)、同様に、YPAREX 8305などの、YPAREXの商品名でB.V.DSM Engineering Plasticsから入手可能な等級、ならびに、Exxelor(商標)PE 1040などのEXXELOR(商標)の商品名で入手可能なポリマーを挙げることができる。他の例としては、LOTADER 4210(エチレン、アクリル酸エステル、および無水マレイン酸のランダムターポリマー)などの、ARKEMAから入手可能なLOTADERが挙げられる。グリシジルメタクリレートで官能化した追加のポリエチレンを使用してよい。ポリマー性能改善剤の他の例としては、プロピレン−エチレン交互コポリマーおよびプロピレン−エチレンジブロックコポリマーなどのポリマー、例えば、VERSIFY(商標)4200、VERSIFY(商標)4000、VERSIFY(商標)3200、VERSIFY(商標)3000、およびVERSIFY(商標)3300など(すべてThe Dow Chemical Companyから入手可能)の、VERSIFY(商標)の商品名で入手可能なプロピレン−エチレン交互コポリマーが挙げられる。
【0028】
本開示の実施形態は、ポリマー性能改善剤が、水性分散液の固形分の総重量に基づいて、水性分散液の3〜35重量パーセントであることを規定する。水性分散液の固形分の総重量に基づいて、水性分散液の3〜35重量パーセントの、すべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、ポリマー性能改善剤は、水性分散液の固形分の総重量に基づいて、水性分散液の3、4、または5重量パーセントの下限から、水性分散液の固形分の総重量に基づいて、水性分散液の35、30、または16重量パーセントの上限までであり得る。例えば、水性分散液は、水性分散液の固形分の総重量に基づいて、3〜35重量パーセントの水性分散液、水性分散液の固形分の総重量に基づいて、4〜30重量パーセントの水性分散液、または水性分散液の固形分の総重量に基づいて、4〜16重量パーセントの水性分散液を含み得る。
【0029】
本開示の実施形態は、水性分散液が(c)ポリマー安定剤を含み得ることを規定する。ポリマー安定剤は、安定した分散液、例えば、水性分散液の形成の促進を助けることができる。
【0030】
ポリマー安定剤は、100超、110超、またはいくつかの実施形態については、140超の酸価を有し得る。
【0031】
例えば、安定剤は、極性ポリマー、例えば、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を含むものであり得る。いくつかの実施形態では、安定剤は、1つ以上の極性ポリオレフィン、例えば、コモノマーまたはグラフト化モノマーのいずれかとして極性基を有するものを含み得る。
【0032】
ポリマー安定剤の例としては、米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号、および同第5,938,437号(これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている、The Dow Chemical Companyから市販されているPRIMACOR(商標)5980iなどのPRIMACOR(商標)、E.I.DuPont de Nemoursから市販されているNUCREL(商標)、ならびにExxonMobil Chemical Companyから市販されているESCOR(商標)の商標で入手可能であるものなどの、エチレン−アクリル酸およびエチレン−メタクリル酸コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー安定剤の他の例としては、エチレンエチルアクリレートコポリマー、エチレンメチルメタクリレート、エチレンブチルアクリレート、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他のエチレン−カルボン酸コポリマーを使用してもよい。当業者であれば、いくつかの他の有用なポリマーを使用してもよいことを理解するであろう。
【0033】
いくつかの実施形態では、安定剤は、官能化ポリオレフィン、例えば、ヒドロキシル、アミン、アルデヒド、エポキシド、エトキシレート、カルボン酸、エステル、無水物基、またはこれらの組み合わせでポリマーが修飾された、ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーもしくはコポリマーを含み得る。ポリプロピレンまたはポリエチレンホモポリマーおよびコポリマーなどの、官能化ポリオレフィンのいくつかは、例えば、Baker Hughes,Incの子会社であるBaker Petroliteから入手可能である。
【0034】
いくつかの実施形態について、安定剤は界面活性剤を含み得る。界面活性剤の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アニオン性界面活性剤の例としては、スルホネート、カルボキシレート、およびフォスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。カチオン性界面活性剤の例としては、四級アミンが挙げられるが、これに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー、およびシリコーン界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
安定剤は、例えば、外部界面活性剤および/または内部界面活性剤を含み得る。外部界面活性剤は、分散調製の間にポリオレフィンへと化学反応しない界面活性剤である。外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩およびラウリルスルホン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。内部界面活性剤は、分散調製の間にポリオレフィンへと化学反応する界面活性剤である。
【0036】
市販の界面活性剤の例としては、それぞれRTD Hallstarから入手可能であるOP−100(ナトリウムステアレート)、OPK−1000(カリウムステアレート)、およびOPK−181(カリウムオレエート)、Baker Petroliteから入手可能であるUNICID 350、それぞれCognisから入手可能であるDISPONIL FES 77−ISおよびDISPONIL TA−430、それぞれRhodiaから入手可能であるRHODAPEX CO−436、SOPROPHOR 4D384、3D−33、および796/P、RHODACAL BX−78およびLDS−22、RHODAFAC RE−610、およびRM−710、ならびにSUPRAGIL MNS/90、それぞれThe Dow Chemical Company,Midland,Michiganから入手可能であるTRITON QS−15、TRITON W−30、DOWFAX 2A1、DOWFAX 3B2、DOWFAX 8390、DOWFAX C6L、TRITON X−200、TRITON XN−45S、TRITON H−55、TRITON GR−5M、TRITON BG−10、およびTRITON CG−110が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
安定剤は、溶液または懸濁液ポリマー、例えば、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸などのエチレン性不飽和モノマーのポリマー、ならびにそれらの(C−C30)エステルまたはアミド、アクリルアミドアクリルアミド/メタクリルアミド、およびそれらのN−置換誘導体、アクリロニトリル、スチレンおよび置換スチレン誘導体を含み得る。
【0038】
安定剤は、ポリマー安定剤を含み得る。ポリマー安定剤の例としては、両親媒性コポリマー組成物(5重量パーセント〜95重量パーセントの1つ以上の親水性モノマーと、5重量パーセント〜95重量パーセントの1つ以上の共重合可能なエチレン性不飽和疎水性モノマーとの反応生成物を含むコポリマー)が挙げられるが、これに限定されない。これらの材料は、例えば中和すると水溶性および/または乳化性であり得、コロイド安定剤として作用し得る。
【0039】
両親媒性コポリマー組成物の生成に有用な非イオン性モノマーの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアクリルアミド、Nメチロールアクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、およびエチルアクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、エチレン、スチレン、ジビニルベンゼン、ジ−イソブチルエチレン、ビニルアセテート、およびN−ビニルピロリドンなどのビニルモノマー、ならびにアリル(メタ)アクリレートなどのアリルモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
両親媒性コポリマー組成物の生成に有用なモノマーの例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルメチルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、t−ブチルアクリルアミド、およびN−メチロールアクリルアミドなどの不飽和アミド官能化モノマー、トリブチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、メチルアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリクオタニウム−11、およびポリクオタニウム−4などの四級アンモニウム塩を含有するモノマー、ならびにビニルイミダゾールなどのアミン官能化モノマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
両親媒性コポリマー組成物の生成に有用な「アニオン性」または「酸含有モノマー」としては、カルボン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、スルフィン酸、スルホン酸基、および後に加水分解される無水物を含有するエチレン性不飽和モノマーが挙げられるが、これに限定されない。好適な例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチル(メタ)アクリレート、およびビニルスルホン酸が挙げられる。
【0042】
いくつかの実施形態に従って、安定剤のうちの1つ以上は、アクリル樹脂またはアクリルモノマーと反応して、ポリエステルアクリレート、ポリアミドアクリレート、およびエポキシ樹脂アクリレートを形成し得る、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などの樹脂に基づくものでよい。
【0043】
溶媒の存在の有無に関わらず、昇温において、従来のエステル化触媒の存在下で、例えば、多塩基酸分子1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基を含有する多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基性ポリカルボン酸)を、多価アルコール中に少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する多価アルコール(例えば、少なくとも二価アルコール)と反応させることによる、当業者に周知の従来の手順に従って、安定剤の生成に有用なポリエステル樹脂を得ることができる。あるいは、ポリカルボン酸のアルキルエステルまたはポリカルボン酸の無水物を、昇温において従来のエステル化触媒の存在下で反応させてよい。重合可能な二重結合を含有する多塩基酸、および/または重合可能な二重結合を含有する多価アルコールを用いることによって、1つ以上の重合可能な二重結合がポリエステル内に含まれ得る。
【0044】
安定剤は、ポリエステルアクリレートを含み得る。ポリエステルアクリレートは、ポリエステルの存在下での共重合可能なエチレン性不飽和モノマーの原位置重合により形成され得る。例としては、反応流体の存在下またはその存在なしでポリエステルと一緒になった、エチレン性不飽和単官能性もしくは多官能性酸、エチレン性不飽和単官能性もしくは多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびにビニルモノマーおよびビニルエステルが挙げられる。溶媒中のポリエステルアクリレートは、当業者に既知の好適な方法に従って乾燥され得る。
【0045】
安定剤は、エポキシ樹脂を含み得る。エポキシ樹脂は、当業者に周知の従来の手順に従って、例えば、ポリエポキシドを好適な多求核剤(polynucleophile)と反応させることによって得ることができる。好適なエポキシドとしては、グリシジルエーテル、および他のエポキシ基を含有する分子が挙げられるが、これらに限定されない。好適な多求核剤としては、多価フェノール、およびポリフェノール、ポリチオール、脂肪族ポリアルコール、または多塩基酸、またはポリアミンが挙げられるが、これらに限定されない。エポキシの例としては、溶媒の存在の有無に関わらず、昇温において、従来の触媒の存在下の、多価ポリフェノール中に少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する多価フェノール(例えば、少なくとも二価フェノールまたはジフェノール)を有する、ポリグリシジルエーテル分子1個当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含有するグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)が挙げられるが、これに限定されない。溶媒の存在の有無に関わらず、昇温において、従来の触媒の存在下で、例えば、ポリグリシジルエーテル分子1個当たり少なくとも2個のグリシジルエーテル基を含有するポリグリシジルエーテル(例えば、少なくともジグリシジルエーテル)を、多塩基酸分子1個当たり少なくとも2個のカルボキシル基を含有する多塩基酸(例えば、少なくとも二塩基性ポリカルボン酸)と反応させることによる、当業者に周知の従来の手順に従って、他のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0046】
安定剤は、エポキシアクリレートを含み得る。エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂の存在下での共重合可能なエチレン性不飽和モノマーの原位置重合により形成され得る。例としては、反応流体の存在下またはその存在なしでエポキシ樹脂と一緒になった、エチレン性不飽和単官能性もしくは多官能性酸、エチレン性不飽和単官能性もしくは多官能性酸エステル、アミド、ニトリル、ならびにビニルモノマーおよびビニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、好適な触媒の存在下でポリマー酸官能性アクリル樹脂をエポキシ樹脂と反応させて、エポキシアクリレートを形成することができる。溶媒中のエポキシアクリレートは、当業者に既知の好適な方法に従って乾燥され得る。
【0047】
本開示の実施形態は、水性分散液が(d)ポリマーカップリング剤を含み得ることを規定する。ポリマーカップリング剤は、水性分散液の形成を助けること、例えば、より均一な分散液の提供を助けること、および/または硬化コーティング組成物の特性を改善することができる。カップリング剤は、相溶化剤と称される場合もある。
【0048】
ポリマーカップリング剤は、150℃において80000センチポイズ(cP)未満、150℃において40000cP未満、150℃において20000cP未満、またはいくつかの実施形態については、150℃において10000cP未満の溶融粘度を有し得る。溶融粘度は、例えば、Brookfield回転式粘度計を使用するワックス粘度の測定法である、DIN 53019またはASTM D−1986によって決定することができる。いくつかの実施形態について、ポリマーカップリング剤は100未満の酸価を有し得る。
【0049】
ポリマーカップリング剤は、官能化ポリオレフィン、および、任意に、反応性極性基を有する低分子量化合物などの、修飾された、例えば、官能化されたポリマーを含み得る。ポリマーカップリング剤の例としては、修飾オレフィンポリマーが挙げられるが、これに限定されない。修飾オレフィンポリマーは、プロピレン−無水マレイン酸グラフトコポリマーなどの、グラフトコポリマーおよび/またはブロックコポリマーを含み得る。ポリマーを修飾することができる群の例としては、酸無水物、カルボン酸、カルボン酸誘導体、一級および二級アミン、ヒドロキシル化合物、オキサゾリンおよびエポキシド、およびイオン性化合物、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーを修飾することができる群の具体的な例としては、不飽和環式無水物およびそれらの脂肪族ジエステル、ならびに二酸誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、無水マレイン酸、ならびに、C−C10直鎖状および分岐状ジアルキルマレート、C−C10直鎖状および分岐状ジアルキルフマレート、イタコン酸無水物、C−C10直鎖状および分岐状イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ならびにこれらの組み合わせから選択される化合物。ポリマーカップリング剤の市販の例としては、無水マレイン酸変性ポリエチレンワックスであるLICOCENE(登録商標)PE MA、および無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックスであるLICOCENE(登録商標)PP MAなどの、商品名LICOCENE(登録商標)でClariant Corporationから入手可能なポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマーであるAC−575(商標)、ならびに高密度酸化ポリエチレンであるAC−392(商標)およびAC−395(商標)などの、Honeywell CorporationによるA−C(商標)性能添加剤の商品名のポリマー、CERAMER 1608などの、Baker−Hughes CompanyによるCERAMERの商品名の製品、Chevron−Phillips CompanyによるPA−18ポリ無水物コポリマー、ExxonMobil Chemical CompanyによるEXXELOR(商標)、ならびに、Westlake Chemical CompanyによるEpoleneが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
水性分散液は、流体媒体、例えば、水を含む。水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、30重量パーセント〜85重量パーセントの水を含み得、例えば、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、35重量パーセント〜80重量パーセント、40重量パーセント〜75重量パーセント、または45重量パーセント〜70重量パーセントの水を含み得る。
【0051】
したがって、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、15重量パーセント〜70重量パーセントである固形分を含み得、例えば、水性分散液は、水性分散液の総重量に基づいて、20重量パーセント〜68重量パーセント、25重量パーセント〜65重量パーセント、または30重量パーセント〜60重量パーセントである固形分を有し得る。
【0052】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、40〜80重量パーセントの基剤ポリマーを含み得、例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、55〜80重量パーセント、または60〜80重量パーセントの基剤ポリマーを含み得る。
【0053】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、3〜35重量パーセントのポリマー性能改善剤を含み得、例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、3〜35重量パーセントのポリマー性能改善剤、固形分の総重量に基づいて、4〜30重量パーセントのポリマー性能改善剤、固形分の総重量に基づいて、4〜20重量パーセントのポリマー性能改善剤、または固形分の総重量に基づいて、4〜16重量パーセントのポリマー性能改善剤を含み得る。
【0054】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、2〜35重量パーセントの安定剤を含み得、例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、2〜30重量パーセント、または5〜20重量パーセントの安定剤を含み得る。
【0055】
水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、5〜15重量パーセントのポリマーカップリング剤を含み得、例えば、水性分散液の固形分は、固形分の総重量に基づいて、5〜13重量パーセント、または5〜10重量パーセントのポリマーカップリング剤を含み得る。
【0056】
水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の20〜85重量パーセントであり得、例えば、水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の55〜80重量パーセント、または60〜75重量パーセントであり得る。いくつかの実施形態について、水性分散液は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の100重量パーセントであり得る。
【0057】
本開示のいくつかの実施形態に従って、水性分散液は、例えば、水性分散液が8〜11の範囲内のpHを有するように、中和剤を含み得る。8〜11のすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、水性分散液は、8、8.1、8.2、または8.3の下限から、11、10.9、10.8、または10.7の上限までのpHを有し得る。例えば、水性分散液は、8〜11、8.1〜10.9、8.2〜10.8、または8.3〜10.7のpHを有し得る。中和剤の例としては、水酸化物、炭酸塩、アミン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。水酸化物の例としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。炭酸塩の例としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノ−n−プロピルアミン、ジメチル−nプロピルアミン、N−メタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、N,N,N’N’−テトラキス(2−ヒドロキシルプロピル)エチレンジアミン、1.2−ジアミノプロパン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、N,N’−エチレンビス[ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン]トルエン−p−スルホネート、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、水性分散液は、塩基性水組成物を含み得る。塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99重量パーセントの水、および、塩基性水組成物の総重量に基づいて、本明細書に記載の通り、0.01重量パーセント〜10重量パーセントの中和剤を含み得る。本開示の実施形態は、塩基性水組成物が、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0重量パーセント〜80重量パーセントであることを規定する。
【0058】
水性分散液は、当業者によって理解される種々のプロセスによって形成され得る。実施形態は、1つ以上の基剤ポリマー、性能改善剤、ポリマー安定剤、およびポリマーカップリング剤が、押出機内で、例えば、BLUEWAVE(商標)プロセスにより、溶融混練され、溶融ブレンド生成物を形成することを規定する。水および中和剤、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、またはこれらの組み合わせなどの基剤を利用して、水性分散液、例えば、水性ポリオレフィン分散液を形成することができる。いくつかの実施形態では、水性分散液は、約1〜約3重量%の水を含有するようにまず希釈され、次に続いて、約25重量%を超える水を含むようにさらに希釈される。
【0059】
当技術分野において既知の種々の溶融混練プロセスを使用することができる。いくつかの実施形態では、混練機、BANBURY(登録商標)混合器、単軸押出機、または多軸押出機、例えば、二軸押出機を利用してよい。本開示に従って水性分散液を生成するためのプロセスは、特に制限されない。例えば、特定の実施形態において、押出機、例えば、二軸押出機は、背圧調節器、溶融ポンプ、またはギアポンプと連結される。実施形態は、塩基貯蔵器および初期貯水器も提供し、そのそれぞれは、ポンプを含む。所望の量の塩基および初期水が、それぞれ、塩基貯蔵器および初期貯水器から提供され得る。種々の好適なポンプを使用することができるが、いくつかの実施形態では、例えば、240バールの圧力で約150cc/分の流量を提供するポンプを使用して、押出機に塩基および初期水を提供することができる。他の実施形態では、注液ポンプが、200バールで300cc/分または133バールで600cc/分の流量を提供する。いくつかの実施形態では、塩基および初期水は、予熱器内で予熱される。例えば、いくつかの実施形態では、例えば、ペレット、粉末、または薄片の形態で、1つ以上の基剤ポリマーが供給機から押出機の注入口に供給され、ここで、ポリマーが溶融および化合される。いくつかの実施形態では、分散剤は、樹脂を介し、かつそれとともに、1つ以上の基剤ポリマーに添加され得、他の実施形態では、分散剤は、押出機に別々に提供され得る。次に、溶融されたポリマーは、押出機の混合および搬送区画から乳化区画に送達され得、ここで、貯水器および塩基貯蔵器からの初期量の水および/または塩基が注入口を通して添加され得る。いくつかの実施形態では、分散剤は、水流に追加的または排他的に添加され得る。いくつかの実施形態では、さらなる希釈水が、水注入口を介して、貯水器から押出機の希釈および冷却区画へ添加され得る。水性分散液は、冷却区画において、例えば、少なくとも30重量パーセントの水に希釈され得る。所望の希釈水準が達成されるまで、さらなる希釈が多数回発生してよい。いくつかの実施形態では、水は、二軸押出機にではなくむしろ、溶融生成物が押出機から出た後に、溶融生成物を含有する流れに添加される。この方法では、押出機内の蒸気圧の蓄積が排除され、ローター固定子混合器などの二次混合装置内で水性分散液が形成される。
【0060】
1つ以上の実施形態では、水性分散液を生成するためのプロセスは、(1)高密度ポリエチレンまたはポリプロピレンを含有する基剤ポリマーを選択するステップと、(2)ポリマー性能改善剤を選択するステップと、(3)ポリマー安定剤を選択するステップと、(4)ポリマーカップリング剤を選択するステップと、(5)水を含む液体媒体を選択するステップと、(6)1つ以上の中和剤を任意に選択するステップと、(7)水および任意に1つ以上の中和剤の存在下で、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン、ポリマー性能改善剤、ポリマー安定剤、およびポリマーカップリング剤を含む基剤ポリマーを溶融ブレンドするステップと、(6)それによって、乳化混合物を形成するステップと、(7)そこから熱を任意に除去しながら、乳化混合物を追加の希釈水に接触させるステップと、(8)それによって、水中に分散した固体粒子を形成するステップと、(9)それによって、水性分散液を形成するステップと、を含む。
【0061】
水性分散液、例えば、固形分は、400〜2000ナノメートル(nm)の範囲内の平均体積粒径直径を有し得る。400〜2000nmのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、水性分散液は、400、425、または450nmの下限から、2000、1800、または1750nmの上限までの平均体積粒径直径を有し得る。例えば、水性分散液は、400〜2000nm、425〜1800nm、または450〜1750nmの平均体積粒径直径を有し得る。
【0062】
本開示の実施形態は、本明細書において開示されるコーティング組成物が、本明細書に記載の通り、コーティング組成物を形成するように、水性分散液を1つ以上の他の成分と組み合わせることによって形成され得ることを規定する。本明細書中でさらに考察されるコーティング組成物の水性分散液および1つ以上の他の成分は、種々のプロセスによって組み合わされ得る。例えば、コーティング組成物の水性分散液および他の成分は、他のプロセスの中でもとりわけ、本明細書において開示されるコーティング組成物を形成するように、手動で、インライン混合器とも称される静的混合器などの混合器を利用することによって、および/または撹拌タンクなどの撹拌槽を利用することによって、混合され得る。
【0063】
本明細書において開示されるコーティング組成物は、塩基性水組成物を含み得る。塩基性水組成物は、中和剤を含む。中和剤の例としては、本明細書中で考察される中和剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.9重量パーセントの水を含み得る。塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99重量パーセントの水のすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、塩基性水組成物の総重量に基づく、水の重量パーセントは、90、90.5、91、または93の下限から、99.99、99.9、99、または98パーセントの上限までであり得る。例えば、塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、90〜99.99、90.5〜99.9、91〜99、または93〜98重量パーセントの水を含み得る。塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量パーセントの中和剤を含み得る。塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01〜10重量パーセントの中和剤のすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、塩基性水組成物の総重量に基づく、中和剤の重量パーセントは、0.01、0.1、1、または2の下限から、10、9.5、9、または7パーセントの上限までであり得る。例えば、塩基性水組成物は、塩基性水組成物の総重量に基づいて、0.01〜10、0.1〜9.5、1〜9、または2〜7重量パーセントの中和剤を含み得る。
【0065】
本明細書において開示されるコーティング組成物は、架橋剤を含み得る。架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0〜40重量パーセントであり得る。0〜40重量パーセントのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0、0.01、0.02、または0.1の下限から、40、30、または20重量パーセントの上限までであり得る。例えば、架橋剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0〜40重量パーセント、0.01〜40重量パーセント、0.02〜30重量パーセント、または0.1〜20重量パーセントであり得る。
【0066】
本開示の実施形態は、架橋剤が、コーティング組成物中に含有される反応性官能基と反応し、それによってこのような官能基の間の架橋を促進する、化合物であり得ることを規定する。このような官能基は、水性分散液の成分中、例えば(a)基剤ポリマー、(b)ポリマー安定剤、および/または(c)相溶化剤の中に存在し得る。例えば、反応性官能基としては、遊離形態もしくは中和形態の、カルボン酸基などの酸性基、または、アルコール基、アミノ基などの別の成分による別の活性水素を有する、任意の官能基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
架橋剤中の架橋性官能基は、コーティング組成物の反応性官能基と反応することができる基である。例えば、カルボジイミド基、オキサゾリン基、イソシアネート基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、メチロール基、アルデヒド基、酸無水物基、ヒドロキシ基、アジリジニル基、および/またはシラン基が、架橋剤のためのものであり得る。
【0068】
架橋酸官能基の別の可能性は、前述の酸性基と酸化亜鉛などの多価金属イオンを含有する物質との反応による、多価金属イオンの使用によるものである。カルボン酸も、強酸の触媒作用下で多官能性オレフィン不飽和物質との反応において架橋され得る。多官能性炭酸塩も、カルボン酸と反応して、エステル結合に二酸化炭素の遊離を与えることができる。また、ポリオレフィン系材料は、過酸化物の添加によって、または放射線、例えば、電子ビームにより開始されるフリーラジカル架橋により架橋され得る。
【0069】
いくつかの実施形態に従って、架橋剤は、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシアルキルアミド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂を含むがこれらに限定されない、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ基含有ポリエステルまたはアクリル樹脂およびブロックイソシアネート樹脂を含むがこれらに限定されない、エポキシ基含有樹脂、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせ(但し、このような架橋剤の組み合わせが相溶性であることを条件とする)を含む。
【0070】
架橋剤は、水分散された、水分散性の、または水溶性の物質であり得る。いくつかの実施形態に従って、架橋剤の例としては、分子1個当たり2個以上のオキサゾリン基、カルボジイミド基、ヒドロキシアルキルアミド基、エポキシ基、イソシアネート基、メチロール基など、またはこれらのうちのいくつかを含有する、水性モノマーもしくはポリマー物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0071】
オキサゾリン架橋剤の一例は、その分子内に2個以上のオキサゾリン基を有する水性ポリマーであり、これは、オキサゾリン基含有モノマー、および必要に応じて、エチレン不飽和モノマーを重合することによって得ることができる。あるいは、オキサゾリン架橋剤は、ニトリル基とアミノエタノール基との間の反応、ヒドロキシルアルキルアミド基の脱水などからも得ることができる。
【0072】
2個以上のカルボジイミド基を有する架橋剤は、ジイソシアネート化合物の脱炭酸反応が付随する縮合反応によって、ジイソシアネート化合物から生成され得る。ジイソシアネート化合物の例としては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、およびテトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物を、混合物として使用してもよい。単官能性イソシアネートは、例えば、樹脂の分子鎖長を制御するために含まれ得、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ブチルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートが有用である。ジイソシアネート物質は、ヒドロキシル基、イミノ基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、エポキシ基などを有する、脂肪族化合物、脂環式化合物、または芳香族化合物と、部分的に反応し得る。ジイソシアネート化合物の脱炭酸が付随する縮合反応において、カルボジイミド化触媒を使用することができる。このような触媒として使用可能なものは、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、およびこれらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドである。
【0073】
カルボジイミド基含有ポリマーを水性ポリマーへと転換するために、カルボジイミド基含有ポリマーの分子構造内に親水性セグメントを提供することができる。例えば、カルボジイミド基を含有する水性ポリマーは、イソシアネート基との反応性を有する官能基を有する親水性セグメントを提供することによって得ることができる。親水性セグメントとして使用可能なものは、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級アンモニウム塩(例えば、2−ジメチルアミノエタノールの四級アンモニウム塩)、ジアルキルアミノアルキルアミンの四級塩(例えば、3−ジメチルアミノ−n−プロピルアミン)、少なくとも1個の反応性ヒドロキシル基を有するアルキルスルホン酸塩(例えば、ナトリウムヒドロキシプロパンスルホネート)、アルコキシ基でその末端がキャップされているポリエチレンオキシドもしくはポリエチレンオキシドと、ポリプロピレンオキシド(例えば、メトキシ基またはエトキシ基でその末端位置がキャップされているポリエチレンオキシド)との混合物である。
【0074】
架橋剤、例えば、水性架橋剤は、エポキシ基を含有し得、例としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル、およびラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテル、または同類のものが挙げられるが、これらに限定されない。上記に加え、例として言及されるものは、ポリオキシエチレンポリオール化合物と無水物化合物との間の反応を介して得られるカルボキシ化合物と、その分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、を反応させることによって得られる、水溶性エポキシ樹脂、ならびに、水溶性エポキシ樹脂と、その分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂と、を混合することによって得られる、自己乳化性エポキシ樹脂組成物である。このような樹脂は、例えば、XZ 92533.00、XZ 92598.00、およびXZ 92446.00の商品名で、The Dow Chemical Companyから得ることができる。
【0075】
無水物化合物の例としては、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、およびピロメリット酸無水物などの芳香族無水物、ならびに、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルナド酸無水物、アルケニル無水コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、およびメチルヘキサヒドロフタル酸無水物などの環式脂肪族無水物が挙げられるが、これらに限定されない。その分子内に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂に制限はなく、2個以上のエポキシ官能基を有するすべての既知のエポキシ樹脂を使用してよい。例は、フェノールノボラック、およびクレゾールノボラックビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、レゾルシノール、ヒドロキノン、またはカテキンなどの、エピクロロヒドリンおよび多価化合物から得られるポリグリシジルエーテル、アルキレンオキシド付加ビスフェノールA、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、シクロヘキサンジメタノールなどのポリアルコール、ならびに、アジピン酸、フタル酸、ダイマー酸などの、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびポリグリシジルアミンである。
【0076】
イソシアネート基を含有する架橋剤、例えば、水性架橋剤は、例えば、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン(urethodione)基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン(urethodione)基/イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレタン基含有ポリイソシアネート、アロファネート基含有ポリイソシアネート、ビウレット基含有ポリイソシアネート、カルボジイミド基含有ポリイソシアネート、およびウレトジオン(uretodione)基含有ポリイソシアネート(これらのそれぞれは原材料として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートを含有する)から成る群から選択される、少なくとも1つのメンバーを主に含有する、ポリイソシアネート、ならびに、イソシアネート基と反応し得る少なくとも1個の活性水素基を有する親水性界面活性剤、または少なくとも3つのポリ−エチレンオキシド単位を含有するポリエチレンエーテルアルコールを、脂肪酸および原材料としてのヒドロキシルを含有する化合物の炭素の数の合計が8個以上であり、かつイソシアネート基と反応し得る少なくとも1個の活性水素基を有する脂肪酸エステルと反応させることによって得られる、自己乳化性ポリイソシアネートである。上記に加え、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/もしくはイソホロンジイソシアネートと、活性水素基含有化合物との間の反応によって得られるウレタン基含有ポリイソシアネート、または、これらのジイソシアネート化合物のアロファネート化反応、カルボジイミド化反応、ウレトジオン化反応、およびビウレット化反応によって得られるポリイソシアネートに言及することができる。
【0077】
アルデヒド由来の架橋剤の例は、水分散された、もしくは水分散性の、もしくは水溶性のフェノールホルムアルデヒド樹脂、アミノホルムアルデヒド樹脂、またはこれらの組み合わせである。
【0078】
フェノールホルムアルデヒド架橋剤としては、アルデヒドとフェノールとの反応生成物が挙げられるが、これに限定されない。アルデヒドイドの例としては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、フェノール、クレゾール、p−フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、シクロペンチルフェノール、クレゾール酸、ビスフェノール−A、ビスフェノール−Fなど、ならびにこれらの組み合わせなどだが、これらに限定されない、種々のフェノールを使用することができる。市販のフェノールホルムアルデヒド架橋剤の例としては、とりわけ、Bakelite A.Gから入手可能であるBAKELITE(商標)6581LB、およびCYTEC Industriesから入手可能であるPHENODUR(商標)PR 612などの、レゾール−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。フェノールホルムアルデヒド樹脂の作製に当たって酸官能性フェノールを使用することもできる。架橋剤は、アルコールまたはポリオールで、脱エーテル化もしくはエーテル化されてよい。これらのフェノールホルムアルデヒド樹脂は、水中で可溶性もしくは自己乳化性であり得るか、またはポリビニルアルコールなどのコロイド安定剤の使用によって安定化され得る。
【0079】
アミノホルムアルデヒド架橋剤としては、アルデヒドと、アミノまたはアミノ基を含有する分子との反応生成物が挙げられるが、これに限定されない。アルデヒドの例としては、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、グリコールウリルなどだが、これらに限定されない、種々のアミノまたはアミノ基を含有する分子を使用することができる。好適なアミノ架橋樹脂としては、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド、アセトグアナミン−ホルムアルデヒド、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。アミノホルムアルデヒド樹脂のメチロール基も、メタノールおよび/またはn−ブタノールなどの一価脂肪族アルコールの基のうちの少なくとも1つで、部分的もしくは完全にエーテル化され得る。これらのアミノホルムアルデヒド樹脂は、水中で可溶性もしくは自己乳化性であり得るか、アミノホルムアルデヒド分散液を安定化するために使用され得る、ポリビニルアルコールなどのコロイド安定剤の使用によって安定化され得る。
【0080】
水溶性または水分散性であり、かつ本目的のために有用である、市販のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂の例としては、Cytec Surface SpecialtiesによるCymel(商標)301、Cymel(商標)303、Cymel(商標)370、およびCymel(商標)373が挙げられる。アミノ化合物と反応して樹脂材料を形成するために使用される他のアルデヒドは、クロトンアルデヒド、アクロレイン、またはヘキサメチレン−テトラミン、パラアルデヒドなどのアルデヒドを生成する化合物である。
【0081】
いくつかの実施形態が、架橋剤がヒドロキシアルキルアミドを含むことを規定する。架橋剤は水溶性であり得、カルボン酸を架橋するために用いられ得る。ヒドロキシアルキルアミドの例としては、ビス(N,N’−ジヒドロキシエチル)アジパミドおよび同様のものが挙げられるが、これらに限定されない。このような化合物は、SwitzerlandのEMS−PRIMIDから、PRIMID(商標)架橋剤樹脂、例えばPRIMID(商標)XL−522、PRIMID(商標)SF−4510、およびPRIMID(商標)QM−1260の商品名で市販されている。
【0082】
いくつかの実施形態が、水性分散液の配合プロセスの一部として、1つ以上の架橋剤が水性分散液に添加され得ることを規定し、または代替例では、いくつかの実施形態が、1つ以上の架橋剤がコーティング組成物に添加され得ること、例えば、分散液配合プロセスの後に架橋剤が水性分散液に添加され得ることを規定する。
【0083】
コーティング用途、例えば、コーティングされた容器内に収容される食品および/または飲料の種類、ならびに所望のコーティング特性に依存して、いくつかの架橋剤を組み合わせることが有益である場合がある。また、いくつかのコーティング用途に対して、いくつかの架橋剤が他よりも適している場合がある。いくつかの架橋剤は、特定のコーティング用途に適さない場合がある。いくつかの架橋剤は、硬化のために触媒の添加とともに用いられ得る。架橋剤は、例えば、架橋剤を含有しない同一のコーティング組成物と比較して高いMEK二重摩擦値によって示される、熱硬化性ネットワークの構築を助けることができる。
【0084】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が抗酸化剤を含み得ることを規定する。抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001重量パーセント〜0.1重量パーセントであり得る。すべての個別の値、および0.001〜0.1重量パーセントの部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001、0.002、または0.005の下限から、0.1、0.09、または0.07重量パーセントの上限までであり得る。例えば、抗酸化剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、コーティング組成物の0.001〜0.1重量パーセント、0.002〜0.09重量パーセント、または0.005〜0.07重量パーセントであり得る。抗酸化剤は、例えば、高い硬化温度での水性分散液の保護を助けることができる。本開示の実施形態は、抗酸化剤がヒンダードフェノール類を含むことを規定する。ヒンダードフェノール類の一例としては、BASFから入手可能なIRGANOX(商標)1010などの、市販されているペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられるが、これに限定されない。
【0085】
本開示の実施形態は、コーティング組成物が添加剤を含み得ることを規定する。添加剤の例としては、他の添加剤の中でもとりわけ、充填剤、触媒、湿潤剤、消泡剤、フロー剤、離型剤、スリップ剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、硫黄染色をマスクするための添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤、防蝕剤、顔料、例えば、二酸化チタン、雲母、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、酸化亜鉛、粉砕ガラス、三水和アルミナ、タルク、三酸化アンチモン、飛散灰、および粘土など、任意に1つ以上の溶媒、例えば、グリコール、グリコールエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、ミネラルスピリット、アルコール、およびベンゾエートエステルなど、任意に1つ以上の分散剤、例えば、アミノアルコール、およびポリカルボキシレート、任意に1つ以上の消泡剤、任意に1つ以上の保存剤、例えば、殺生物剤、防カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、およびこれらの組み合わせ、任意に1つ以上の増粘剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系増粘剤、疎水性修飾アルカリ溶解性乳剤、疎水性修飾エトキシ化ウレタン増粘剤、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。異なるコーティング用途に対して、異なる量の種々の添加剤を利用することができる。
【0086】
記述した通り、本明細書において開示されるコーティング組成物は、基材に適用され得る。基材の例としては、とりわけ、飲料缶、食品缶、非食品製品、例えば、ヘアスプレー、毛髪染料、またはカラースプレーラッカーのためのものなどのエアロゾル容器、ドラム、たる、手桶、装飾的缶、オープントレー、管、ボトル、一体鋳造物、キャップ、ヨーグルトおよびバター容器用の薄いアルミホイルベースの蓋などの蓋、または王冠コルク、ロールオン式栓、真空栓、ピルファープルーフ栓などのガラス瓶およびボトル用の栓、缶の栓用のイージーピール蓋、ならびに缶用のイージーオープンエンドまたは従来のエンドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において開示されるコーティング組成物が適用され得る缶は、2ピース缶または3ピース缶であり得る。飲料缶としては、ビール缶、炭酸清涼飲料缶、エネルギー飲料缶、アイソトニック飲料缶、水用缶、ジュース缶、茶用缶、コーヒー缶、牛乳用缶などが挙げられるが、これらに限定されない。食品缶としては、野菜缶、果物缶、食肉缶、スープ缶、調理済み食品缶、魚缶、食用油缶、ソース缶などが挙げられるが、これらに限定されない。このような缶は種々の形状を有し得、例えば、このような缶は、円筒形状、立方体、球体、半球体、ボトル形状、細長い立方体形状、低背もしくは高背形状、円形もしくは長方形形状、または他の好適な形状、またはこれらの組み合わせの形状を有し得る。いくつかの実施形態に従って、基材は、金属、例えば、金属基材を含む。金属の例としては、アルミニウムおよびアルミニウム合金、鋼、電解ブリキ板冷延低炭素軟鋼、電解クロム/酸化クロムコーティングされた冷延低炭素軟鋼、ならびに他の事前処理済み鋼が挙げられるが、これらに限定されない。事前処理としては、初期腐食保護および改善した接着力などの理由のための、リン酸、リン酸ジルコニウム、リン酸クロムなど、ならびにシランを用いる処理が挙げられるが、これらに限定されない。金属基材は、シート、切片、またはコイルを含み得る。基材は、1つ以上の事前コーティング組成物で事前にコーティングされ得る。このような事前コーティング組成物としては、1つ以上の樹脂結合剤、1つ以上の樹脂架橋剤、1つ以上の溶媒、1つ以上の添加剤、および1つ以上の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂結合剤の例としては、エポキシ、ポリエステル、ポリビニルクロライドを含有するオルガノゾル/ビニル、フェノール類、アルキド、オレオレジン、アクリル樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤の例としては、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ベンゾグアナミンホルムアルデヒドを含むがこれらに限定されないアミノ−ホルムアルデヒド樹脂、無水物樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、および、エポキシ樹脂、エポキシ基を含有するポリエステル、アクリル樹脂、ビニル樹脂などを含むがこれらに限定されない、エポキシ基を含有する樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒および希釈剤の例としては、グリコールエーテル、アルコール、芳香族化合物、例えば、芳香族芳香族炭化水素、ホワイトスピリット、分岐状ケトン、およびエステルが挙げられるが、これらに限定されない。添加剤の例としては、触媒、潤滑剤、湿潤剤、消泡剤、フロー剤、離型剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、硫黄染色をマスクするための添加剤、顔料湿潤/分散剤、沈降防止剤、UV安定剤、接着促進剤が挙げられるが、これらに限定されない。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、亜鉛、およびアルミニウムが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、1つ以上の事前コーティングされた薄板組成物で事前にコーティングされてもよい。このような組成物は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエステル組成物を含み得、フィルム積層プロセスまたは溶融押出コーティングプロセスのいずれかにより、金属基材上に適用され得る。
【0087】
基材は、スタンピング、引き抜き、再引き抜き、壁しごき、屈曲加工、ビーディング、エンボス加工、デボス加工、フランジング、ネッキング、延伸加工、ブロー延伸加工、および/または他の好適な従来の方法により形成され得る。このような方法は当業者に既知である。いくつかの実施形態に従って、コーティング組成物は、例えば、基材、例えば、金属シートまたは金属ホイルに適用され得、次にコーティングされた基材は、コーティングされた物品、例えば、容器装置またはコーティングされた閉栓装置へと形成され得る。いくつかの実施形態に従って、基材は、容器、例えば、容器装置または閉栓装置へと形成され得、次に容器装置または閉栓装置は、コーティングされた物品を形成するようにコーティング組成物でコーティングされ得る。コーティング組成物は、種々の方法によって、例えば、ローラーコーティング、スプレーコーティング、粉末コーティング、浸漬コーティング、電着塗装コーティング、印刷、洗浄コーティング、フローコーティング、ドローダウンコーティング、および/またはカーテンコーティングにより適用され得る。コーティング、すなわち、基材に適用されるコーティング組成物は、0.01マイクロメートル(μm)〜2ミリメートル(mm)の範囲内の厚さを有し得る。0.01μm〜2mmのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から、2mm、1.5mm、または1mmの上限までの厚さを有し得る。例えば、コーティングは、0.01μm〜2mm、0.05μm〜1.5mm、または代替例では、0.1μm〜1mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態に従って、コーティングは、5μm〜50μmの範囲内の厚さを有し得る。
【0088】
基材に適用されるコーティング組成物は、例えば、硬化コーティングを形成するように、硬化され得る。硬化プロセスは、とりわけ、乾燥、例えば、空気乾燥、対流式オーブン乾燥、熱風乾燥、および/または赤外線オーブン乾燥を含み得る。いくつかの実施形態に従って、硬化は、放射線硬化、例えば、電子ビーム硬化を含み得る。基材に適用されるコーティング組成物は、10℃〜375℃の範囲内の温度で、60分未満、例えば、40分未満、30分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、1分未満、または20秒未満の期間にわたって硬化され得る。10℃〜375℃のすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、基材に適用されるコーティング組成物は、15℃〜260℃の範囲内の温度で、60分未満、例えば、40分未満、20分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分未満の期間にわたって硬化され得、または代替例では、基材に適用されるコーティング組成物は、15℃〜235℃の範囲内の温度で、60分未満、例えば、40分未満、10分未満、5分未満、2分未満、または1分未満の期間にわたって硬化され得る。硬化コーティングは、0.01マイクロメートル(μm)〜2ミリメートル(mm)の範囲内の厚さを有し得る。0.01μm〜2mmのすべての個別の値および部分的範囲が、本明細書中に包含され、本明細書において開示され、例えば、硬化コーティングは、0.01μm、0.05μm、または1μmの下限から、2mm、1.5mm、または1mmの上限までの厚さを有し得る。例えば、硬化コーティングは、0.01μm〜2mm、0.05μm〜1.5mm、または代替例では、0.1μm〜1mmの厚さを有し得る。いくつかの実施形態に従って、硬化コーティングは、1μm〜50μmの範囲内の厚さを有し得る。
【0089】
記述した通り、いくつかのコーティング用途について、コーティングされた物品が、特定の機械的および化学的耐性特性ならびに特定の外観特性などの、特定の性能特質を同時に提供することが望ましい。いくつかのコーティング用途にとって望ましい特定の機械的特性は、Konig硬度値、例えば、70秒を超えるKonig硬度値である。いくつかのコーティング用途にとって望ましい特定の化学的耐性特性としては、メチルエチルケトン(MEK)二重摩擦値が挙げられ、例えば、2%の乳酸溶液、3%の酢酸溶液、3%のクエン酸溶液、および水のレトルト処理後の、外観評定に合格する、例えば200以上のMEK二重摩擦値が、いくつかのコーティング用途にとって望ましい。
【実施例】
【0090】
実施例において、例えば、以下を含む、材料に関する種々の用語および呼称を使用した。
【0091】
基剤ポリマー(The Dow Chemical Companyから入手可能な高密度ポリエチレン、DMDA−8940 NT)、ポリマー性能改善剤(The Dow Chemical Companyから入手可能な無水マレイン酸官能化ポリエチレン、AMPLIFY(商標)GR−204)、ポリマー安定剤(the Dow Chemical Companyから入手可能なエチレン−アクリル酸コポリマー、PRIMACOR(商標)5980i)、ポリマーカップリング剤(Clariantから入手可能な無水マレイン酸変性ポリエチレンワックス、LICOCENE(登録商標)PE MA 4351)、抗酸化剤(BASFから入手可能なペンタエリトリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、IRGANOX(商標)1010)、中和剤(Huntsmanから入手可能なジメチルエタノールアミン)、架橋剤(EMS−GRILTECHから入手可能なヒドロキシアルキルアミド、PRIMID(登録商標)QM−1260)、溶媒(the Dow Chemical Companyから入手可能なグリコールエーテル、ブチルCELLOSOLVE(商標))、溶媒(Aldrichから入手可能なブタノール)、架橋剤(CYTEC Industriesから入手可能なレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、PHENODUR(商標)PR 612)、触媒(King Industriesから入手可能なNACURE(商標)5925)、アルコール(Acros Organicsから入手可能なジエチレングリコールモノエチルエーテル)、アルコール(MEGlobalから入手可能なエチレングリコール)、添加剤(Shamrock Technologiesから入手可能な潤滑剤、50%のポリテトラフルオロエチレン水中分散液、FLURO(商標)AQ 50)、基剤ポリマー(Braskemから入手可能なポリプロピレン、PP 6D43 PP)、ポリマー性能改善剤(The Dow Chemical Companyから入手可能なプロピレン−エチレンコポリマー、VERSIFY(商標)4200)、ポリマーカップリング剤(Clariantから入手可能な無水マレイン酸変性ポリプロピレンワックス、LICOCENE(登録商標)PP MA 6452)。
【0092】
実施例1−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、4重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例1を、以下のように調製した。水性分散液を以下のように調製した。1分当たり218グラムで添加されるDMDA−8940 NT、1分当たり13グラムで添加されるAMPLIFY(商標)GR−204、1分当たり72グラムで添加されるPRIMACOR(商標)5980i、および1分当たり21グラムで添加されるLICOCENE(登録商標)PE MA 4351を、それらが送られて溶融される制御速度供給機によって、直径25mmの二軸押出機に供給した。押出機温度プロファイルをおよそ160℃に上昇させた。初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり95グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり28グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり32グラムで押出機に希釈水を供給した。押出機温度プロファイルを、押出機の端部までに、100℃を下回る温度に再び下げた。押出機のスピードは、およそ1200rpmであった。押出機出口において、蒸気形成を低減するために、背圧調節器を使用して押出機内部を好適な圧力に調節した。200ミクロンフィルターを通して、水性分散液を濾過した。水性分散液は、赤外線固体分析器を使用して測定された46.9重量パーセントの固形分、および、Coulter LS−13−320粒径分析器(Beckman Coulter Corporation)によって測定された0.78ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.25グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.04グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例1をもたらした。
【0093】
実施例2−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、7重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例2を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり23グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり208グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり23グラム)を使用したという変更を加えて、実施例2を実施例1のように調製した。水性分散液は、46.8重量パーセントの固形分および0.67ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.29グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.0グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例2をもたらした。
【0094】
実施例3−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、10重量%のポリマー性能改善剤。コーティング組成物である実施例3を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり199グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり33グラム)を使用し、そしてまた実施例3については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり96グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり29グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例3を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり29グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.0重量パーセントの固形分および0.68ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.19グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.1グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例3をもたらした。
【0095】
実施例4−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、13重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例4を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり189グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり42グラム)を使用し、そしてまた実施例4については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり97グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり30グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例4を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり16グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.9重量パーセントの固形分および0.77ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(24.73グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.56グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例4をもたらした。
【0096】
実施例5−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、16重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例5を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり179グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり52グラム)を使用し、そしてまた実施例5については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり97グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり30グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例5を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり20グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.6重量パーセントの固形分および0.90ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(24.91グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.38グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例5をもたらした。
【0097】
実施例6−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、20重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例6を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり166グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり65グラム)を使用し、そしてまた実施例6については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり98グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり31グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例6を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり15グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.9重量パーセントの固形分および0.97ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(24.74グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.27グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例6をもたらした。
【0098】
実施例7−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、25重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例7を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり150グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり81グラム)を使用し、そしてまた実施例7については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり99グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり32グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例7を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり20グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.5重量パーセントの固形分および1.14ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(24.95グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.34グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例7をもたらした。
【0099】
実施例8−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、30重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例8を、以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり133グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり98グラム)を使用し、そしてまた実施例8については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり100グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり33グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例8を実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり21グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.3重量パーセントの固形分および1.53ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.02グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。塩基性水(11.27グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例8をもたらした。
【0100】
実施例9−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、13重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例9を、以下のように調製した。濾過後に水性分散液が45.95重量パーセントの固形分および0.83ミクロンの平均粒径を有し、かつ200ミクロンフィルターを通して濾過した後、13.02グラムの濾過された分散液、続いてブタノール(0.50グラム)、塩基性水(0.19グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)、アセトン(5.01グラム)、およびNACURE(商標)5925(0.10グラム)中で希釈したPHENODUR(商標)PR 612(0.83グラム)を容器に加えたという変更を加えて、実施例9を実施例4のように調製した。容器の内容物を覆い、300RPMで2分にわたってSpeedMixer(商標)二重非対称遠心分離実験室用混合器内で撹拌し、実施例9をもたらした。
【0101】
実施例10−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、7重量%のポリマー性能改善剤)。コーティング組成物である実施例10を、以下のように調製した。200ミクロンフィルターを通して水性分散液を濾過した後、13.02グラムの濾過された分散液、続いてPRIMID(登録商標)QM−1260(0.105グラム)、塩基性水(3.84グラムの水および0.3パーセントの中和剤)、エチレングリコール(0.64グラム)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(0.64グラム)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.006グラム)、およびFLURO(商標)AQ 50(0.547グラム)を容器に加えたという変更を加えて、実施例10を実施例2のように調製した。容器の内容物を覆い、300RPMで2分にわたってSpeedMixer(商標)二重非対称遠心分離実験室用混合器内で撹拌し、実施例10をもたらした。
【0102】
実施例11−コーティング組成物(固形分の総重量に基づいて、10重量%のポリマー
外観改善剤)。コーティング組成物である実施例11を、以下のように調製した。実施例3のDMDA−8940 NT(1分当たり199グラム)、AMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり33グラム)、LICOCENE(登録商標)PE MA 4351(1分当たり21グラム)、およびPRIMACOR(商標)5980i(1分当たり72グラム)の代わりに、PP 6D43 PP(1分当たり182グラム)およびVERSIFY(商標)4200(1分当たり30グラム)、LICOCENE(登録商標)PP MA 6452(1分当たり23グラム)およびPRIMACOR(商標)5980i(1分当たり68グラム)を使用し、そしてまた実施例11については、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり114グラム(1分当たり73グラムの水、1分当たり41グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、実施例11を実施例3のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり16グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、45.0重量パーセントの固形分および0.95ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(19.74グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.11グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。水(7.48グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.33グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.34グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、実施例11をもたらした。
【0103】
比較例A−(固形分の総重量に基づいて、0重量%のポリマー性能改善剤)。比較例Aを以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり231グラム)を使用した、すなわち、比較例AにAMPLIFY(商標)GR−204を全く使用せず、そしてまた比較例Aについては、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり94グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり27グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、比較例Aを実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり35グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、46.8重量パーセントの固形分および0.78ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.32グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。水(10.98グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、比較例Aをもたらした。
【0104】
比較例B−(固形分の総重量に基づいて、1重量%のポリマー性能改善剤)。比較例Bを以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり228グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり3グラム)を使用し、そしてまた比較例Bについては、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり94グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり27グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、比較例Bを実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり32グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.0重量パーセントの固形分および0.79ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.22グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。水(11.07グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、比較例Bをもたらした。
【0105】
比較例C−(固形分の総重量に基づいて、2重量%のポリマー性能改善剤)。比較例Cを以下のように調製した。実施例1のDMDA−8940 NT(1分当たり218グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり13グラム)の代わりに、DMDA−8940 NT(1分当たり225グラム)およびAMPLIFY(商標)GR−204(1分当たり7グラム)を使用し、そしてまた比較例Bについては、初期水導入部位における中和のために、水および中和剤をともに混合し、1分当たり94グラム(1分当たり67グラムの水、1分当たり27グラムのDMEA中和剤)で押出機に供給したという変更を加えて、比較例Cを実施例1のように調製した。2つの別々のポンプにより、押出機の希釈区画内の2つの位置に希釈水を供給した。第1の位置では、1分当たり240グラムで押出機に希釈水を供給し、第2の位置では、1分当たり28グラムで押出機に希釈水を供給した。水性分散液は、47.2重量パーセントの固形分および0.77ミクロンの平均粒径を有した。その後、濾過された水性分散液(25.08グラム)を容器に加えた。PRIMID(登録商標)QM−1260(0.15グラム)を、撹拌しながら容器の内容物に添加した。水(11.22グラムの水および0.3重量パーセントの中和剤)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。溶媒(2.85グラム、1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標))を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.71グラム、1重量パーセントのIRGANOX(商標)1010)を、撹拌を続けながら容器の内容物に添加し、比較例Cをもたらした。
【0106】
比較例D。比較例Dを以下のように調製した。200ミクロンフィルターを通して水性分散液を濾過した後、13.02グラムの濾過された分散液、続いてPRIMID(登録商標)QM−1260(0.105グラム)、水(3.82グラムの水および0.3パーセントの中和剤)、エチレングリコール(0.64グラム)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(0.64グラム)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.006グラム)、およびFLURO(商標)AQ 50(0.547グラム)を容器に加えたという変更を加えて、比較例Dを比較例Aのように調製した。容器の内容物を覆い、300RPMで2分にわたってSpeedMixer(商標)二重非対称遠心分離実験室用混合器内で撹拌し、比較例Dをもたらした。
【0107】
実施例12−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例12を以下のように調製した。ブリキ板(Lakeside Metalsによる0.009×4インチ×12インチと測定される0.25番の明色T−1)をアセトンで清潔にし、次に乾燥させた。実施例1を調製したおよそ12時間後、16番の巻き線型ドローダウンバーにより実施例1(およそ3グラム)をブリキ板に適用して、ブリキ板の表面をコーティングし(20ミクロン〜30ミクロン湿潤コーティング厚)、実施例12をもたらした。
【0108】
実施例13〜19−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例13〜19を以下のように調製した。実施例1の代わりに実施例2〜8をそれぞれ使用したという変更を加えて、実施例13〜19を実施例12のように調製した。
【0109】
実施例20−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例20を以下のように調製した。アルミニウムパネル(Novelis,Inc.による008×8インチ×12インチと測定されるエンドストックの清潔なアルミニウム)を、アセトンで清潔にし、次に乾燥させた。実施例9を調製したおよそ12時間後、13番の巻き線型ドローダウンバーにより実施例9(およそ3グラム)をアルミニウムパネルに適用して、アルミニウムパネルの表面をコーティングし(20ミクロン〜30ミクロンの湿潤コーティング厚)、実施例20をもたらした。
【0110】
実施例21−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例21を以下のように調製した。実施例9の代わりに実施例10を使用したという変更を加えて、実施例21を実施例20のように調製した。
【0111】
実施例22−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例22を以下のように調製した。実施例1の代わりに実施例11を使用したという変更を加えて、実施例22を実施例12のように調製した。
【0112】
比較例E〜G。比較例E〜Gを以下のように調製した。実施例1の代わりに比較例A〜Cをそれぞれ使用したという変更を加えて、比較例E〜Gを実施例11のように調製した。
【0113】
比較例H。比較例Hを以下のように調製した。実施例10の代わりに比較例Dを使用したという変更を加えて、比較例Hを実施例20のように調製した。
【0114】
実施例23−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。硬化コーティングを有するコーティングされた物品である実施例23を以下のように調製した。およそ4分にわたって204℃の従来のオーブン内に実施例12を置き、コーティング組成物を硬化して実施例23をもたらした。
【0115】
実施例24〜30−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。硬化コーティングを有するコーティングされた物品である実施例24〜30を以下のように調製した。実施例12の代わりに実施例13〜19をそれぞれ使用したという変更を加えて、実施例24〜30を実施例23のように調製した。
【0116】
実施例31−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。硬化コーティングを有するコーティングされた物品である実施例31を以下のように調製した。実施例12の代わりに実施例20を使用し、かつおよそ25秒にわたって295℃の従来のオーブン内に実施例20を置き、コーティング組成物を硬化して実施例31をもたらしたという変更を加えて、実施例31を実施例23のように調製した。
【0117】
実施例32−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例32を以下のように調製した。実施例20の代わりに実施例21を使用したという変更を加えて、実施例32を実施例31のように調製した。
【0118】
実施例33−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例33を以下のように調製した。実施例12の代わりに実施例22を使用したという変更を加えて、実施例33を実施例23のように調製した。
【0119】
比較例I〜K。比較例I〜Kを以下のように調製した。実施例11の代わりに比較例E〜Gをそれぞれ使用したという変更を加えて、比較例I〜Kを実施例21のように調製した。
【0120】
比較例L。実施例20の代わりに比較例Hを使用したという変更を加えて、比較例Lを実施例31のように調製した。
【0121】
ASTM D4366−95によって、実施例23〜30、33、および比較例I〜KのKonig硬度値を決定した。Konig硬度値を表1に報告する。
【0122】
それぞれのコーティングに力を適用するための1.5ポンドのボールピーンハンマーの円形の端部を使用して、実施例23〜33、および比較例I〜LのMEK二重摩擦値を決定した。4インチ×4インチ四方のチーズクロスをハンマー端部の周囲に結びつけ、メチルエチルケトン(MEK)に浸した。ハンマーをそれぞれのコーティングに接触させ、およそ6インチ×1インチと測定される区域の上で前後に動かし、ここで、コーティングの上の1回の前後の動作を、1回の二重摩擦と定義した。1秒当たりおよそ1回の二重摩擦の速度で二重摩擦を行った。ハンマーまたはそれぞれのコーティングには追加の圧力を適用しなかった。25回の二重摩擦後に毎回、チーズクロスをMEKに再度浸した。コーティングが擦り落とされるまで、すなわち、試験した領域の0.5インチの端部区域を除いて、金属基材の少なくとも一部が露出するまで、二重摩擦ステップを繰り返した。MEK二重摩擦値を表1に報告する。
【0123】
【表1】
【0124】
表1のデータは、実施例23〜30、および33のそれぞれが、70秒を超えるKonig硬度値を有したことを示す。70秒を超えるこれらのKonig硬度値は、いくつかのコーティング用途にとって望ましい。さらに、表1のデータは、実施例23〜33のそれぞれが、200以上のMEK二重摩擦値を有したことを示す。200以上のこれらのMEK二重摩擦値は、いくつかのコーティング用途にとって望ましい。
【0125】
二次容器トレー内に収容された個別の加圧可能ガラスビーカー内で、2%の乳酸溶液中に、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kをそれぞれ浸漬し、Tuttnauerの直径10インチ×深さ18インチのチャンバ高圧滅菌器モデル1 Z−TUT−EZ−10内に置き、ここでこれらを90分にわたって129℃でレトルト処理した。その後、実施例23〜30、33および比較例I〜Kの外観評定、紅潮評定、および接着力評定を決定した。
【0126】
硬化コーティング内に目立つ穴、露出した金属、および/または広範囲におよぶ表面の粗さを示す「フィルム溶解」の外観評定、ならびに視認できる欠陥を有しない滑らかな持続的なコーティングを示す「合格」の外観評定による、定性的尺度に従う目視検査によって、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kの外観評定を決定した。外観評定を表2に報告する。
【0127】
紅潮を示さない「5」の紅潮評定、非常に僅かな紅潮を示す「4」の紅潮評定、僅かな紅潮を示す「3」の紅潮評定、紅潮を示す「2」の紅潮評定、ならびに強い紅潮を示す「1」の紅潮評定による、定性的尺度に従う目視検査によって、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kの紅潮評定を決定した。紅潮評定を表2に報告する。
【0128】
BYKの1.5mm、11ブレードのクロスカット試験器を使用する、ASTM−D 3359−02(テープ試験による接着力測定、方法B)に従って測定されるクロスカット接着力によって、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kの接着力評定を決定した。この方法は、コーティングされた物品内に作られた切り込みの上に、Scotchの410番両面テープを適用して取り除くことを含んだ。コーティングされた物品との良好な接触を確保するため、木製舌状ブレードでテープをしっかりと擦った。テープ適用の90±30秒以内に、自由な端部を握り、できる限り180度に近い角度でそれを急速に(痙動させずに)引き抜くことによって、テープを取り除いた。基材からのコーティングの除去のためにグリッド領域を検査した。「5」の接着力評定は、切り込みの縁が完全に滑らかであり、格子の四角が1つも脱離しなかったことを示し、「4」の接着力評定は、交点においてコーティングの小さな薄片が脱離し、面積の5%未満が影響を受けたことを示し、「3」の接着力評定は、切り込みの交点において縁に沿ってコーティングの小さな薄片が脱離し、影響を受けた面積は格子の5〜15%であったことを示し、「2」の接着力評定は、四角の縁に沿って、かつその部分においてコーティングが剥離し、影響を受けた面積は格子の15〜35%であったことを示し、「1」の接着力評定は、切り込みの縁に沿って大きなリボン状にコーティングが剥離し、かつ四角全体が脱離し、影響を受けた面積は格子の35〜65%であったことを示し、「0」の接着力評定は、剥離および脱離が接着力評定「1」のものよりも重度であったことを示した。
【0129】
二次容器トレー内に収容された個別の加圧可能ガラスビーカー内で、3%の酢酸溶液中に、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kをそれぞれ浸漬し、Tuttnauerの直径10インチ×深さ18インチのチャンバ高圧滅菌器モデル1 Z−TUT−EZ−10内に置き、ここでこれらを90分にわたって129℃でレトルト処理した。その後、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kの外観評定、紅潮評定、および接着力評定を、本明細書に記載のように決定した。外観評定、紅潮評定、および接着力評定を表2に報告する。
【0130】
二次容器トレー内に収容された個別の加圧可能ガラスビーカー内で、3%のクエン酸溶液中に、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kをそれぞれ浸漬し、Tuttnauerの直径10インチ×深さ18インチのチャンバ高圧滅菌器モデル1 Z−TUTEZ−10内に置き、ここでこれらを90分にわたって129℃でレトルト処理した。その後、実施例23〜30、33、および比較例I〜Kの外観評定、紅潮評定、および接着力評定を、本明細書に記載のように決定した。外観評定、紅潮評定、および接着力評定を表2に報告する。
【0131】
二次容器トレー内に収容された個別の加圧可能ガラスビーカー内で、2%の乳酸溶液中に、実施例31〜32および比較例Lをそれぞれ浸漬し、Tuttnauerの直径10インチ×深さ18インチのチャンバ高圧滅菌器モデル1 Z−TUT−EZ−10内に置き、ここでこれらを30分にわたって121℃でレトルト処理した。その後、実施例31〜32および比較例Lの外観評定、紅潮評定、および接着力評定を、本明細書に記載のように決定した。外観評定、紅潮評定、および接着力評定を表3に報告する。
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
表2〜3のデータは、実施例23〜33のそれぞれが、比較例I〜Kと比較して改善した外観評定値を有したことを示す。これらの比較例I〜Kと比較して改善した外観評定値は、いくつかのコーティング用途にとって望ましい。比較例Lは、合格の外観評定値を有したが、比較例Lはいくつかのコーティング用途にとって望ましくない143のMEK二重摩擦値を有した。
【0135】
硬化コーティングを有するコーティングされた物品のそれぞれの上に、白金の薄層をそれぞれ堆積し、次にこれらをアルミニウムスタブ上に取付け、3kVおよび4.5のスポット径で作動するFEI Nova NanoSEMで画像化することによって、実施例23、実施例25、実施例27、実施例28、実施例30、および比較例Iに走査電子顕微鏡法(SEM)を行った。
【0136】
図1〜5に示すように、実施例23、25、27、28、および30のそれぞれは、図6に示すように、比較例Iと比較して、小さな領域を有した。理論に拘束されるものではないが、これらの比較的小さな領域は、水性分散液の4〜35重量パーセントであるポリマー外観改善剤の存在が、水性分散液の成分を相溶化することを助け、本明細書に記載の通り、いくつかのコーティング用途にとって望ましい特定の外観特性を同時に提供しながら、本明細書に記載の通り、特定の機械的および化学的耐性特性を提供することを助けることを示すと考えられる。
【0137】
実施例34−コーティング組成物(スプレー配合物)。スプレー配合物である実施例34を以下のように調製した。水性分散液を形成するために、実施例34を実施例4のように調製した。1500グラムの水性分散液を容器に加え、9.93のPrimid QM1260(9.93グラム)中和溶液(水中1403.15グラム、0.3重量%のDMEA)を容器の内容物に添加した。1/1のブタノールとブチルCELLOSOLVE(商標)(253.2グラム)中で溶解させたIRGANOX(商標)1010(0.54グラム)およびブタノール(253.2グラム)を、容器の内容物に添加し、実施例34をもたらした。
【0138】
実施例35−コーティングされた物品。コーティングされた物品である実施例35を以下のように調製した。Nordson実験室用スプレーコーティング器でアルミニウム飲料缶基材上に実施例34をスプレーし、実施例35をもたらした。
【0139】
実施例36−硬化コーティングを有するコーティングされた物品。硬化コーティングを有するコーティングされた物品である実施例36を以下のように調製した。およそ4分にわたって204℃の従来のオーブン内に実施例35を置き、コーティング組成物を硬化して実施例36をもたらした。
図1
図2
図3
図4
図5
図6