【実施例】
【0072】
次に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
【0073】
実施例1
TIPS2−3−F−Ph-Flu−Clの合成
【0074】
【化16】
【0075】
(以下、Br−(CH
2)
11−OTIPS、TIPS2−Flu−C=O、TIPS2−3−F−Ph−Flu−OH、TIPS2−3−F−Ph−Flu−Clは式中の構造を示すこととする。)
【0076】
実施例(1−a):TIPS2−Flu−C=O
Br−(CH
2)
11−OTIPS 14.7g(36.1mmol)、2,7−ジヒドロキシ−9H−フルオレン−9−オン 3.19g(15.0mmol)、炭酸カリウム7.48g(54.1mmol)をDMF43.0mLに懸濁し、95℃に加熱し、3時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾物をヘプタン180mLで洗浄した。濾液を分液し、得られたヘプタン層にヘプタン86mLを加え、DMF43mLで2回、水43mLで1回、10%食塩水43mLで2回分液洗浄した。得られたヘプタン層に、ヘプタン43mLを加え、アセトニトリル43mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=100:0→100:1→40:1→30:1→1:1)で精製し、TIPS2−Flu−C=O 12.3gを得た。
【0077】
1H−NMR(400MHz,Benzene−d
6)δ1.02−1.18(m,42H),1.21−1.40(m,24H),1.41−1.51(m,4H),1.52−1.68(m,8H),3.52(t,4H),3.69(t,4H),6.86(dd,2H),6.95(d,2H),7.36(d,2H)
13C−NMR(100MHz,Benzene−d
6)δ12.4(6C),18.4(12C),26.4(2C),26.4(2C),29.5(2C),29.8(2C),30.0(2C),30.0(4C),30.2(2C),33.5(2C),63.7(2C),68.3(2C),110.0(2C),120.8(2C),121.3(2C),136.7(2C),137.8(2C),160.1(2C),193.4ESIMS MNa+ 887.7
【0078】
実施例(1−b):TIPS2−3−F−Ph−Flu−OH
TIPS2−Flu−C=O 6.95g(8.0mmol)を無水THF40mLに溶解し、3−フルオロフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液16.0mL(16.0mmol)をゆっくり添加し、45℃に加熱し、2時間撹拌した。反応溶液を5℃に冷却し、0.5N塩酸120mLで反応を停止し、ヘプタン240mLを添加し、分液洗浄した。得られたヘプタン層を0.5N塩酸120mLで1回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液120mLで1回、20%食塩水120mLで1回、アセトニトリル120mLで1回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=90:0→40:1→30:1)で精製し、TIPS2−3−F−Ph−OH 7.63gを得た。
【0079】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ1.00−1.16(m,42H),1.20−1.35(m,24H),1.35−1.44(m,4H),1.53(quin.,4H),1.71(quin.,4H),2.59(s,1H),3.66(t,4H),3.87(td,4H),6.79(d,2H),6.85(dd,2H),6.91(td,1H),7.06(d,1H),7.14−7.23(m,2H),7.44(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ12.1(6C),18.2(12C),25.9(2C),26.2(2C),29.4(2C),29.5(2C),29.6(2C),29.7(4C),29.8(2C),33.2(2C),63.6(2C),68.4(2C),83.1,111.0(2C),112.8(d,1C),114.1(d,1C),115.6(2C),120.2(2C),121.3,129.8(d,1C),132.3(2C),146.3(d,1C),151.5(2C),159.2(2C),162.9(d,1C)
ESIMS MH+ 961.8
【0080】
実施例(1−c):TIPS2−3−F−Ph−Flu−Cl
TIPS2−3−F−Ph−Flu−OH 289mg(0.30mmol)を無水ジクロロメタン6.0mLに溶解し、ピリジン0.60mL(7.43mmol)を添加し、塩化チオニル44uL(0.60mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。反応溶液にヘプタン60mLを添加し、アセトニトリル20mLで3回分液洗浄した。得られたヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−3−F−Ph−Flu−Cl 239mgを得た。
【0081】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ1.02−1.15(m,42H),1.23−1.37(m,24H),1.38−1.48(m,4H),1.53(quin.,4H),1.74(quin.,4H),3.66(t,4H),3.85−3.96(m,4H),6.87(d,1H),6.89(s,3H),6.91−6.98(m,1H),7.16−7.25(m,3H),7.46(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ12.2(6C),18.2(12C),26.0(2C),26.2(2C),29.4(2C),29.6(4C),29.7(4C),29.8(2C),33.2(2C),63.6(2C),68.5(2C),73.9,111.7(2C),114.1(d,1C),114.9(d,1C),115.8(2C),120.4(2C),122.3(d,1C),130.0(d,1H),131.6(2C),144.3(d,1C),150.3(2C),159.3(2C),162.8(d,1C)
ESIMS MNa+ 1001.6
【0082】
実施例2
TIPS2−3−F−Ph-Flu−Brの合成
【0083】
【化17】
【0084】
(以下、TIPS2−3−F−Ph−Flu−Brは式中の構造を示すこととする。)
【0085】
実施例(2−a):TIPS2−3−F−Ph−Flu−Br
TIPS2−3−F−Ph−Flu−OH 1.14g(1.20mmol)をクロロホルム6.0mLに溶解し、DIPEA 5.6mL(32.3mmol)を添加し、0℃に冷却し、PBr
3205μL(2.16mmol)を滴下した後、室温で1時間撹拌した。反応溶液にヘプタン400mLを添加し、水40mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン40mLを加え、アセトニトリル40mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに2回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−3−F−Ph−Flu−Br 1.24gを得た。
ESIMS MH+ 1023.7
【0086】
実施例3
Fmoc−Leu−O−(TIPS2−3−F−Ph-Flu)の合成
【0087】
【化18】
【0088】
(以下、Fmoc−Leu−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は式中の構造を示すこととする。)
【0089】
実施例(3−a):Fmoc−Leu−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)
TIPS2−3−F−Ph−Flu−Br 1.25g(1.22mmol)をクロロホルム11.0mLに溶解し、DIPEA 852μL(4.88mmol)、Fmoc−Leu−OH 1.72g(4.88mmol)を添加し、60℃に加熱し、1時間30分撹拌した。さらにDIPEA 852μL(4.88mmol)、Fmoc−Leu−OH 1.72g(4.88mmol)を添加し、60℃で18時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、減圧下で濃縮して、得られた残渣をヘプタン70mLに溶解し、アセトニトリル15mLで分液した。得られたヘプタン層にヘプタン5mLを加え、アセトニトリル15mLで分液した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液をさらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=50:1→40:1→10:1→5:1)で精製し、Fmoc−Leu−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu) 126mgを得た。
【0090】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ0.91−1.15(m,48H),1.16−1.47(m,29H),1.47−1.82(m,10H),3.66(td,4H),3.72−3.95(m,4H),4.18(t,1H),4.34(d,2H),4.51−4.60(m,1H),5.12(d,1H),6.70−7.08(m,7H),7.17−7.24(m,3H),7.25−7.30(m,1H),7.37(t,2H),7.46−7.56(m,3H),7.74(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ12.1(6C),18.2(12C),22.0,23.1,24.9,25.9(4C),26.2(2C),29.4(2C),29.6(2C),29.7(4C),29.8(2C),33.2(2C),42.1,47.2,52.8,63.6(2C),67.1,68.3(2C),88.8,110.7,111.0,112.5(d,1C),114.8(d,1C),115.3(2C),120.0(2C),120.3(2C),120.8,125.2(2C),127.1,127.2,127.8(2C),130.2(d,1C),133.0,133.3,141.3(2C),143.8,143.9,144.0,147.2(d,1C),156.0(2C),159.0(2C),162.9(d,1C),170.5
ESIMS MNa+ 1318.9
【0091】
実施例4
TIPS3−3−F−Ph−Flu−Clの合成
【0092】
【化19】
【0093】
(以下、3−F−5−OTBS−Ph−Flu−OH、3−F−5−OH−Ph−Flu−OH、Br−(CH
2)
10−CONH−C(CH
2OTIPS)
3、TIPS3−3−F−Ph−Flu−OH、TIPS3−3−F−Ph−Flu−Clは式中の構造を示すこととする。)
【0094】
実施例(4−a):3−F−5−OTBS−Ph−Flu−OH
1−bromo−3−[[(1,1−dimethylethyl)dimethylsilyl)oxy]−5−fluorobenzene 7.13g(23.4mmol)を無水THF46.8mLに溶解し、マグネシウム 681mg(28.0mmol)を添加し、反応容器内を窒素置換した後、1,2−ジブロモエタン 10uL(0.12mmol)を添加し、2時間還流した。反応溶液を50℃に冷却し、無水THF23.4mLに溶解したフルオレノン 3.17g(17.6mmol)を添加し、40分間還流した。反応溶液を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液100mLで反応を停止し、CPME150mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層を20%食塩水100mLで1回分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=100:0→20:1)で精製し、3−F−5−OTBS−Ph−Flu−OH 6.75gを得た。
【0095】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ0.04(s,6H),0.83(s,9H),6.36−6.39(m,1H),6.46(s,1H),6.50(dt,1H),6.69−6.74(m,1H),7.24−7.29(m,4H),7.35−7.42(m,2H),7.82(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ−4.4(2C),18.3,25.8(3C)83.4,105.9(d,1C),106.5(d,1C),113.3,120.3(2C)124.8(2C),128.6(2C),129.5(2C),139.7(2C),146.4(d,1C),149.9(2C),156.8(d,1C),163.4(d,1C)
ESIMS MH+ 407.2
【0096】
実施例(4−b):3−F−5−OH−Ph−Flu−OH
3−F−5−OTBS−Ph−Flu−OH 5.11g(12.6mmol)をTHF31.5mLに溶解し、1.0MテトラブチルアンモニウムフロリドTHF溶液 18.9mL(18.9mmol)を添加し、室温で40分間撹拌した。反応溶液を0℃に冷却し、1N塩酸75mLで反応を停止し、酢酸エチル150mLを加え、分液洗浄した。得られた有機層を1N塩酸50mLで1回、20%食塩水50mLで1回分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をジクロロメタン10mLに溶解し、ヘプタン200mLを加え、撹拌し、沈澱物を濾取した。このジクロロメタンとヘプタンによるスラリー洗浄をさらに一回行い、得られた沈澱物を減圧下で乾燥し、3−F−5−OH−Ph−Flu−OH 2.53gを得た。
【0097】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2)δ6.44(dt,1H),6.58−6.62(m,1H),6.66−6.71(m,1H),7.24−7.33(m,4H),7.37−7.43(m,2H),7.68−7.73(m,2H)
13C−NMR(100MHz,CD
2Cl
2)δ83.6,102.2(d,1C),105.3(d,1C),108.8(d,1C),120.7(2C),124.9(2C),128.9(2C),129.8(2C),140.0(2C),147.6(d,1C),150.0(2C),157.2(d,1C),163.9(d,1C)
ESIMS MH+ 293.2
【0098】
実施例(4−c):TIPS3−3−F−Ph−Flu−OH
3−F−5−OH−Ph−Flu−OH 1.14g(3.90mmol)、Br−(CH
2)
10−CONH−C(CH
2OTIPS)
3 2.51g(3.00mmol)、炭酸カリウム 1.24g(9.00mmol)をDMF15.0mLに懸濁し、95℃に加熱し、2時間30分撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、酢酸エチル200mL、5%リン酸二水素カリウム水溶液200mLを添加し、分液洗浄した。得られた有機層を5%リン酸二水素カリウム水溶液50mLで3回、20%食塩水50mLで1回分液洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘプタン250mLに溶解し、アセトニトリル50mLで3回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル=30:1→5:1)で精製し、TIPS3−3−F−Ph−Flu−OH 1.33gを得た。
【0099】
1H−NMR(400MHz,CD
2Cl
2)δ1.00−1.15(m,63H),1.21−1.34(m,10H),1.34−1.44(m,2H),1.48−1.58(m,2H),1.70(quin.,2H),2.06(t,2H),2.66(s,1H),3.86(t,2H),4.04(s,6H),5.72(s,1H),6.47(dt,1H),6.59−6.64(m,1H),6.71(t,1H),7.25−7.33(m,4H),7.39(td,2H),7.70(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ12.1(9C),18.1(18C),25.9,26.1,29.3,29.4,29.5(3C),29.6,37.9,61.3(3C),62.2,68.4,83.5,100.7(d,1C),104.9(d,1C),108.0,120.3(2C),124.8(2C),128.6(2C),129.4(2C),139.7(2C),146.6(d,1C),150.0(2C),160.4(d,1C),163.6(d,1C),172.6
ESIMS MH+ 1048.7
【0100】
実施例(4−d):TIPS3−3−F−Ph−Flu−Cl
TIPS3−3−F−Ph−Flu−OH 105mg(0.10mmol)を無水ジクロロメタン3.0mLに溶解し、ピリジン 200uL(2.48mmol)、塩化チオニル 29uL(0.40mmol)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液にヘプタン60mLを加え、アセトニトリル 30mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層をアセトニトリル15mLで2回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS3−3−F−Ph−Flu−Cl 80mgを得た。
【0101】
1H−NMR(400MHz,CDCl
3)δ0.98−1.15(m,63H),1.21−1.34(m,10H),1.34−1.44(m,2H),1.57(quin.,2H),1.72(quin.,2H),2.09(t,2H),3.85(t,2H),4.05(s,6H),5.75(s,1H),6.49(dt,1H),6.71(dt,1H),6.84(s,1H),7.30(t,1H),7.30(t,1H),7.39(t,1H),7.39(t,1H),7.44(d,2H),7.68(d,2H)
13C−NMR(100MHz,CDCl
3)δ12.0(9C),18.1(18C),25.9,26.1,29.2,29.3,29.5(3C),29.6,37.9,61.3(3C),62.2,68.5,74.1,101.2(d,1C),106.0(d,1C),109.6,120.4(2C),125.5(2C),128.8(2C),129.5(2C),138.9(2C),144.4(d,1C),148.9(2C),160.4(d,1C),163.5(d,1C),172.6
ESIMS MH+ 1066.7
【0102】
実施例5
ペプチド化合物に対する溶解度向上性能の確認
本発明における四環式保護剤で保護した化合物の溶解度を測定した結果を以下に示す。
モデルとして使用したペプチド:H−Phe−Leu−Gly−OH
H−Phe−Leu−Gly−OH、H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)を合成し、25℃でCPME(シクロペンチルメチルエーテル)にそれぞれの化合物を飽和させ、その溶解度を測定した。
その結果、四環式保護剤の結合していないH−Phe−Leu−Gly−OHがCPMEに0.9mMしか溶解しないのに比べ、H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の溶解度は540mM以上と約600倍以上溶解度が向上した。この結果から、四環式保護剤で誘導体化することで、ペプチドの溶解度が著しく向上することが確認できた。なお、H−Phe−Leu−Gly−OHとH−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は下記の構造を示す。
【0103】
【化20】
【0104】
実施例(5−a)
H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の合成
TIPS2−3−F−Ph−Flu−OH 15.25g(15.9mmol)をクロロホルム 76.3mLに溶解し、5℃に冷却し、DIPEA 74.3mL(427mmol)を添加し、PBr
3 2.71mL(28.5mmol)を滴下した後、室温まで昇温し、1時間40分撹拌した。反応溶液を5℃に冷却した後、ヘプタン1017mLを添加し、水102mLで1回、アセトニトリル102mLで3回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、TIPS2−3−F−Ph−Flu−Brを含む混合物を得た。
【0105】
得られた混合物をクロロホルム 142.9mLに溶解し、Fmoc−Gly−OH 28.29g(95.2mmol)、DIPEA 16.57mL(95.2mmol)を添加し、60℃に加熱し、16時間40分撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘプタン854mLに溶解し、アセトニトリル186mLで分液洗浄した。得られたヘプタン層にヘプタン186mLを加え、アセトニトリル186mLで分液洗浄した。前記のヘプタンとアセトニトリルによる分液洗浄をさらに1回行った後、ヘプタン層を減圧下で濃縮して、Fmoc−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)を含む混合物を得た。なお、Fmoc−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は下記の構造を示す。
【0106】
【化21】
【0107】
得られた混合物をCPME 123mLに溶解し、DBU 3.67mL(24.56mmol)を加え、室温で1時間40分撹拌した。さらにDBU 0.92mL(6.13mmol)を添加し、室温で20分撹拌した。Fmoc−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、5℃に冷却した後、4M CPME/HCl 7.90mL(31.6mmol)を滴下し、溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘプタン:酢酸エチル:トリエチルアミン=100:10:1.1→50:50:1)で粗精製し、H−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)を含む混合物 2.17gを得た。なお、H−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は下記の構造を示す。
【0108】
【化22】
【0109】
得られた混合物 2.17gをCPME 14.9mLに溶解し、DMF 6.4mL、Fmoc−Leu−OH 1.13g(3.21mmol)、DIPEA 1.48mL(8.52mmol)、(ヒドロキシイミノ)シアノ酢酸エチル(Oxyma) 0.46g(3.22mmol)、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウムヘキサフルオロリン酸塩(COMU) 1.38g(3.21mmol)を加え、室温で50分撹拌した。H−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、2−(2−アミノエトキシ)エタノール 127μL(1.28mmol)を加え、室温で15分撹拌した。反応溶液にDMSO 21.3mLに溶解した3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム 4.58g(25.7mmol)を添加し、5℃に冷却した後、DMSO 2.1mL、DBU 2.50mL(17.0mmol)を加え、35分撹拌した。Fmoc−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、4M CPME/HCl 4.47mL(17.9mmol)を滴下し、室温まで昇温し、CPME 1.1mL、20%食塩水 60mL、10%炭酸ナトリウム水溶液 51mLを加え、分液洗浄した。得られた有機相にDMSO 0.6mL、DMF 0.6mL、50%リン酸水素二カリウム水溶液 20mLを加え、分液洗浄し、H−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)を含む混合液を得た。
なお、Fmoc−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)とH−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は下記の構造を示す。
【0110】
【化23】
【0111】
得られた混合液に対し、DMF 8.8mL、Fmoc−Phe−OH 1.24g(3.21mmol)、DIPEA 1.48mL(8.52mmol)、Oxyma 0.45g(3.19mmol)、COMU 1.37g(3.20mmol)を加え、室温で50分撹拌した。H−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣をヘプタン 72mLに溶解し、アセトニトリル 36mLで4回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣を減圧下で乾燥し、Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)2.06gを得た。
ESIMS MNa+ 1523.0
なお、Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)は下記の構造を示す。
【0112】
【化24】
【0113】
Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)1.15g(0.77mmol)をTHF 7.7mLに溶解し、DBU 0.23mL(1.53mmol)を加え、5℃に冷却し、25分撹拌した。Fmoc−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、4M CPME/HCl 0.36mL(1.46mmol)を滴下し、溶液を減圧下で濃縮した。得られた残渣をヘプタン 52mLに溶解し、アセトニトリル 52mLで3回分液洗浄した。ヘプタン層を減圧下で濃縮し、得られた残渣にアセトニトリル 20mLを添加した。充分撹拌した後、デカンテーションにより油状物を分離した。このアセトニトリルによる洗浄、デカンテーションをさらに2回行い、油状物を得た。油状物を減圧下で乾燥し、H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu) 0.69gを得た。
ESIMS MH+ 1279.1
【0114】
実施例(5−b)
H−Phe−Leu−Gly−OHの合成
H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu) 70mg(0.055mmol)をジクロロメタン 1.04mLに溶解し、トリフルオロ酢酸 55μL(0.71mmol)を添加し、室温で1時間15分撹拌した。H−Phe−Leu−Gly−O−(TIPS2−3−F−Ph−Flu)の消失を確認後、溶液を減圧下で濃縮し、残渣にジイソプロピルエーテル7mLを滴下し、5℃に冷却し、充分撹拌した後、5℃、3000rpmで5分間遠心分離し、デカンテーションにより沈殿物を分離した。このジイソプロピルエーテルによるスラリー洗浄、遠心分離、デカンテーションをさらに3回行い、沈殿物を得た。沈澱物を減圧下で乾燥し、H−Phe−Leu−Gly−OH 15mgを得た。
ESIMS MH+ 336.1