特許第6393863号(P6393863)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6393863
(24)【登録日】2018年8月31日
(45)【発行日】2018年9月19日
(54)【発明の名称】吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/00 20060101AFI20180910BHJP
【FI】
   A47G29/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-199580(P2017-199580)
(22)【出願日】2017年10月13日
【審査請求日】2017年10月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313000265
【氏名又は名称】平井 夕紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100120178
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 康成
(72)【発明者】
【氏名】平井 夕紀子
【審査官】 田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−064986(JP,U)
【文献】 特開平11−344019(JP,A)
【文献】 特開2005−344730(JP,A)
【文献】 特開2005−029252(JP,A)
【文献】 特開平08−256901(JP,A)
【文献】 実開昭56−076500(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/00−29/30
B65D 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吊下物品の吊下領域を備え平坦であって所定位置に開口部を備える周状枠部と、
引掛対象物に引っ掛けられる二本の引掛部と、
を備え、
前記周状枠部は、人の指圧力が加わることで変形可能であるが外力が印加されない状態においては前記開口部の一方の開口端及び他方の開口端が接触して前記開口部が閉じた状態にある周状であり、
前記二本の引掛部の一方は、
前記周状枠部と略同一平面内に位置するように前記周状枠部の開口部における一方の開口端から延設される一方の引掛基部と、
前記一方の引掛基部に接続されると共に、先端が前記一方の引掛基部の背面側に位置するように形成されて、引掛対象物に引っ掛るよう作用する一方の引掛作用部と、
を備え、
前記二本の引掛部の他方は、
前記一方の引掛基部に隣接すると共に、前記周状枠部と略同一平面内に位置するように前記周状枠部の開口部における他方の開口端から延設される他方の引掛基部と、
前記他方の引掛基部に接続されると共に、先端が前記他方の引掛基部の背面側に位置するように形成されて、前記引掛対象物に引っ掛るよう作用する他方の引掛作用部と、
を備え、
外力が印加されない状態では、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部は、互いに隣接しており、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部に対して外力が印加されると、双方が印加される外力の方向と同じ方向に移動して引き離されるように変形して、変形後、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部の間に形成された隙間が、被吊下物品を前記吊下領域に導入するための導通路となり、その導通路を被吊下物品が直線的に移動するだけで前記吊下領域に導入される、
吊り下げ具。
【請求項2】
周状枠部は、外力の印加によって変形可能であり、
周状枠部に外力が印加されない状態において、周状枠部の双方の開口端は、接触した状態にある一方、
周状枠部に外力が印加された状態において、前記双方の開口端が引き離され、開口部が形成される、
請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
一方の引掛部は、周状枠部の一方の開口端から延設され、
他方の引掛部は、周状枠部の他方の開口端から延設される、
請求項1又は2に記載の吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
扉の取っ手部分や、ハンガーラック等の各種ポール状部材などに引掛けられ、その状態で例えば調理用具や装飾品等の物品(以下、単に「被吊下物品」という。)を吊り下げるための吊り下げ具が、従来から用いられている。吊り下げ具の一例として、安価簡便に使用可能でシンプルな構造を有する、所謂S字フックが挙げられる。また、S字フック以外の吊り下げ具として、下記特許文献に記載の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−142684号公報
【特許文献2】特開2012−75847号公報
【特許文献3】特開2012−16405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般のS字フック具において、例えば、吊り下げ部位の先端(例えば、S字の湾曲先端部分)と本体(例えば、S字の中央部分)との間が、大きく開口している。そのため、例えば、吊り下げ具と人との接触に基づく衝撃等より、被吊下物品が吊り下げ部位から容易に放出されてしまう。
【0005】
また、前述の特許文献に記載の吊り下げ具は、被吊下物品の吊り下げ部位(部材)として、上記のようなS字状フック(特許文献1及び2)や、先端に向かうに従い本体(把持体)から離れるよう本体壁面に斜設されたフック部(特許文献3)を有する構造である。このフック部と本体(壁面)との間も、大きく開口している。そのため、特許文献に記載の吊り下げ具に吊り下げられた被吊下物品も、何らかの衝撃等より、容易に吊り下げ部位から放出されてしまう。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、シンプルな構造でありながら、吊り下げ部位へ物品を容易に導入可能であり、且つ一度吊り下げられた被吊下物品を吊り下げ部位外へ放出しにくい構造の吊り下げ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明に係る吊り下げ具は、
被吊下物品の吊下領域を備え平坦であって所定位置に開口部を備える周状枠部と、
引掛対象物に引っ掛けられる二本の引掛部と、
を備え、
前記周状枠部は、人の指圧力が加わることで変形可能であるが外力が印加されない状態においては前記開口部の一方の開口端及び他方の開口端が接触して前記開口部が閉じた状態にある周状であり、
前記二本の引掛部の一方は、
前記周状枠部と略同一平面内に位置するように前記周状枠部の開口部における一方の開口端から延設される一方の引掛基部と、
前記一方の引掛基部に接続されると共に、先端が前記一方の引掛基部の背面側に位置するように形成されて、引掛対象物に引っ掛るよう作用する一方の引掛作用部と、
を備え、
前記二本の引掛部の他方は、
前記一方の引掛基部に隣接すると共に、前記周状枠部と略同一平面内に位置するように前記周状枠部の開口部における他方の開口端から延設される他方の引掛基部と、
前記他方の引掛基部に接続されると共に、先端が前記他方の引掛基部の背面側に位置するように形成されて、前記引掛対象物に引っ掛るよう作用する他方の引掛作用部と、
を備え、
外力が印加されない状態では、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部は、互いに隣接しており、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部に対して外力が印加されると、双方が印加される外力の方向と同じ方向に移動して引き離されるように変形して、変形後、前記一方の引掛基部及び前記他方の引掛基部の間に形成された隙間が、被吊下物品を前記吊下領域に導入するための導通路となり、その導通路を被吊下物品が直線的に移動するだけで前記吊下領域に導入されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る吊り下げ具において、
周状枠部は、外力の印加によって変形可能であり、
周状枠部に外力が印加されない状態において、周状枠部の双方の開口端は、接触した状態にある一方、
周状枠部に外力が印加された状態において、前記双方の開口端が引き離され、開口部が形成されることが好ましい。
【0009】
更に、本発明に係る吊り下げ具において、
一方の引掛部は、周状枠部の一方の開口端から延設され、
他方の引掛部は、周状枠部の他方の開口端から延設されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、被吊下物品の吊下領域を備える周状枠部(前述の吊り下げ部位に相当)が、所定位置に開口部を備えると共に、開口部の双方から互いに対向するよう延設される二本の引掛部間に、被吊下物品を周状枠部内に導入する導通路が形成されるため、被吊下物品を周状枠部内に容易に導入可能である。それに加えて、本発明に係る吊り下げ具は、前述の構成を備えることから、被吊下物品が一度、周状枠部内に導入された後、容易に周状枠部外に放出させない。また、本発明に係る吊り下げ具は、周状枠部と二本の引掛部とを含む極めてシンプルな構造によって、当該技術的効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る一実施形態の全体構成を示す図。
図2】本実施形態の吊り下げ具における引掛部先端の形状バリエーションを示す図。
図3】本発明に係る一実施形態において、被吊下物品を導入する際の動作例を示す図。
図4】本発明に係る一実施形態の使用例を示す図。
図5】本発明に係る一実施形態の他の使用例を示す図。
図6】本発明に係る一実施形態の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0013】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る吊り下げ具1の構成を説明する。ここで、図1(a)は、吊り下げ具1の正面図、図1(b)は、吊り下げ具1の背面図、図1(c)は、吊り下げ具1の左側面図、図1(d)は、吊り下げ具1の右側面図、図1(e)は、吊り下げ具1の平面図、図1(f)は、吊り下げ具1の底面図、図1(g)は、吊り下げ具1の斜視図である。図1に示されるように、吊り下げ具1は、周状枠部10と引掛部20とを備える。図2は、引掛部20の先端形状における複数のバリエーションを示す図である。
【0014】
図1に示されるように、吊り下げ具1の周状枠部10は、その内部に、被吊下物品Hを吊り下げるための吊下領域Sを備える。また、周状枠部10は、その所定位置に開口部11を備える。被吊下物品Hは、開口部11を通過した後、吊下領域S内に導入される。なお、図1に示される実施形態において、一つの開口部11が、周状枠部10に設けられているが、開口部11の個数はこれに限られない。
【0015】
周状枠部10の形状は、周状であれば特に限定されるものではない。周状枠部10の形状の例として、図1に示されるような矩形状のもののほか、真円状、楕円状、菱形状、又は三角形状、四角形状、五角形状、若しくはその他の多角形形状が挙げられる。また、周状枠部10の他の形状の例として、ハート型形状、星型形状、蛇行状の軌跡を有する形状等が挙げられる(例えば、図6参照)。
【0016】
周状枠部10は、一の線状要素によって構成されてもよいし、複数の要素を任意の位置で繋ぎ合わせるよう構成されてもよい。周状枠部10の素材として、金属、プラスチック、ゴム等が挙げられ、これらの中の一種を用いてもよいし、複数種を組み合せて用いてもよい。また、周状枠部10は、人の指圧力などの外力が加わることで変形可能であることが好ましい。
【0017】
周状枠部10が外力の印加によって変形可能である場合、周状枠部10の開口部11における開口端11a及び11bが接触するよう、周状枠部10が変形されることが好ましい。開口端11a及び11bが接触すると、開口部11は、閉じた状態となる。これによって、周状枠部10の吊下領域Sを完全に閉じることができ、吊下領域S内に導入された被吊下物品Hが吊り下げ具1の外側に放出されることを完全に防ぐことができる。
【0018】
図1に示されるものとは異なり、周状枠部10に外力が作用していない状態において、開口部11の開口端11a、11bが接触していてもよい。ただし、この場合、開口部11の開口端11a、11bに被吊下物品Hを接触させずに吊下領域Sに導入するため、周状枠部10は、外力の印加によって、開口部11が開くよう変形可能であることが好ましい。
【0019】
次に、図1(a)等に示されるように、本実施形態における吊り下げ具1は、二本の引掛部20(20a、20b)を備える。二本の引掛部20は、成形性や材料費の観点から、周状枠部10と構造上一体であることが好ましい。更に、成形の容易性や製作コストの観点から、二本の引掛部20と周状枠部10とが、一本の線材によって形成されることがより好ましい。ただし、二本の引掛部20と周状枠部10との接続態様は、これに限定されるものではない。二本の引掛部20と周状枠部10が、それぞれ別部材で構成されていてもよい。この場合、二本の引掛部20は、任意の接合手段によって、周状枠部10の所定位置に接合される。
【0020】
各々の引掛部20(20a、20b)は、引掛基部21(21a、21b)と、引掛作用部22(22a、22b)とを含む。図1に示されるように、各引掛作用部22a、22bは、引掛基部21a、21bのそれぞれに接続される。ここで、成形性や材料費の観点から、接続される引掛基部21と引掛作用部22との組(引掛基部21aと引掛作用部22のセット、及び/又は引掛基部21bと引掛作用部22bのセット)は、構造上一体であることが好ましく、更に、一本の線材から形成されることが好ましい。なお、図1に示される実施形態において、引掛作用部22は、引掛基部21の先端から延設されているが、引掛作用部22の延設箇所は、これに限られない。
【0021】
本実施形態における引掛部20aの引掛基部21aは、周状枠部10の開口部11における一方の開口端11aから延設される。同じく、本実施形態における引掛部20bの引掛基部21bは、周状枠部10の開口部11における他方の開口端11bから延設される。
【0022】
双方の引掛基部21a、21bは、互いに対向するよう設けられる。図1に示される引掛基部21aと21bとは、初期状態において所定の幅を有するよう離れて配置されている。しかし、引掛基部21aと21bの配置は、これに限られない。例えば、前述のように、周状枠部10の開口端11a、11bが初期状態において接触する形態の場合、そこから延設される引掛基部21aと21bは、所定の幅を有さず、隣接された状態となる。
【0023】
本実施形態における引掛基部21a、21bは、ともに直線形状を有し、互いに略平行となるよう、開口部11の開口端11a、11bのそれぞれから延設される。
【0024】
引掛基部21a、21bにおける周状枠部10との延設位置は、一方の引掛基部21aが、開口端11a側に設けられ、他方の引掛基部21bが、開口端11b側に設けられるような位置(すなわち、引掛基部21a及び21b間の隙間と、周状枠部10の開口部11とが、連通可能となるような、引掛基部21a、21bの延設位置。なお、引掛基部21a及び21b間の隙間は、後述において「導通路C」と称される。)であれば、特に限定されるものではない。ただし、前述のような一本の線材から周状枠部10と引掛部20とが形成される場合を考慮すれば、引掛基部21aは、開口部11の開口端11aから延設されることが好ましい。同様に、引掛基部21bは、開口部11の開口端11bから延設されることが好ましい。
【0025】
後述のように、互いに対向するよう配置される双方の二本の引掛部20a、20bによって、周状枠部10内の吊下領域Sに被吊下物品Hを導入するための導通路Cが形成される。当該導通路Cは、少なくとも引掛基部21分の長さを有する。そのため、一度、吊下領域S内に導入された被吊下物品Hは、その長さ分以上移動しなければ、吊り下げ具1の外側に放出されない。すなわち、吊り下げ具1は、二本の引掛部20a、20bによって形成される導通路Cを備えることで、被吊下物品Hが吊り下げ具1の外側に放出されることを防ぐことができる。
【0026】
更に、被吊下物品Hが吊り下げ具1の放出可能性を低減させるため、前記導通路Cの幅をなるべく狭くすることが好ましい。具体的には、周状枠部10における開口部11の幅を狭くし、開口部11の開口端11a、11bから引掛基部21a、21bをそれぞれ延設するような構造が考えられる。
【0027】
なお、図1に示されるように、二本の引掛部20a、20bは、略平行な位置関係であるが、双方の位置関係は、これに限られない。上記以外の位置関係として、二本の引掛部21a、21bにおいて、先端(引掛作用部21)に向かうに従い導通路Cの幅が広がる(すなわち、正面視においてV字形状となる)位置関係や、先端(引掛作用部21)に向かうに従い導通路Cの幅が狭まる(すなわち、正面視においてハの字形状となる)位置関係等が挙げられる。ただし、被吊下物品Hに対する耐荷重性の観点から、二本の引掛部20a、20bの位置関係は、図1に示されるような略平行であることが好ましい。
【0028】
被吊下物品Hを吊下領域S内に導入する際、導通路Cに被吊下物品Hを単に通過させればよい(詳細は、後述する。)。そのため、本実施形態に係る吊り下げ具1によれば、簡単な作業によって、被吊下物品Hを吊下領域S内に導入することができる。
【0029】
次に、引掛部20に備わる引掛作用部22は、引掛対象物に吊り下げ具1を引っ掛けるために設けられる部分である。本実施形態における引掛作用部22は、図1(c)、図1(d)に示されるように、略U字状に湾曲する形態を有する。ただし、引掛作用部22の形態は、引掛対象物に引っ掛け可能な形態であれば、特に限定されない。
【0030】
ここで、引掛作用部22の先端221は、図2(a)に示されるように、丸みを帯びた形状であることが好ましい。また、図2(b)、図(c)に示されるように、ボール状部材23やキャップ部材24が、引掛作用部22の先端221に取り付けられていてもよい。引掛作用部22の先端221に関する図2(a)から図2(c)のような態様によれば、吊り下げ具1の使用者と先端221との接触によって生ずる怪我を防ぐことができる。
【0031】
次に、図3を参照して、被吊下物品Hを周状枠部10の吊下領域Sに導入する際の吊り下げ具1の動作例を示す。ここで、図3(a)の吊り下げ具1は、初期状態において、引掛基部21aと21bとの間に所定幅を有する。これとは異なり、図3(b)の吊り下げ具1は、初期状態において、引掛基部21aと21bとが隣接する形態を有する。
【0032】
まず、図3(a)に示される形態において、被吊下物品Hは、引掛基部21aと21bとの間の隙間(導通路C)を通過し(矢印T)、周状枠部10の吊下領域Sに導入される。導入された被吊下物品Hを吊下領域Sの外側に取り出す場合、被吊下物品Hを矢印Tと逆方向に移動させればよい。
【0033】
これに対して、図3(b)に示される形態において、被吊下物品Hを吊下領域Sに導入する前に、引掛基部21aと21bとに外力を印加して双方を引き離すよう変形させる(矢印T1)。変形後、引掛基部21aと21bとの間に隙間(導通路C)が形成される。被吊下物品Hは、形成された隙間を通過し(矢印T2)、吊下領域Sに導入される。導入された被吊下物品Hを吊下領域Sの外側に取り出す場合、まず、引掛基部21aと21bとに外力を印加して双方を引き離すよう変形させる(矢印T1)。これらが引き離された後、導通路Cが形成される。被吊下物品Hを取り出す際、導通路Cを通るよう矢印T2と逆方向に被吊下物品Hを移動させればよい。
【0034】
図3(a)及び図3(b)のいずれの形態においても、形成された導通路Cに被吊下物品Hを通過させるという極めてシンプルな動作で、被吊下物品Hの吊下領域Sへの導入や導出(吊下領域Sから外部への取り出し)を行なうことができる。
【0035】
次に、図4を参照して、本実施形態に係る吊り下げ具1の使用例を説明する。図4に示されるように、吊り下げ具1は、キッチン用収納引出の取っ手K1に引っ掛けられている(すなわち、取っ手K1は、前述の引掛対象物に相当する。)。また、吊り下げ具1は、小型のごみ袋Bを吊り下げている(すなわち、ごみ袋Bは、前述の被吊下物品Hに相当する。)。ごみ袋Bは、その持ち手部分を介して、吊り下げ具1に吊り下げられている。
【0036】
ただし、吊り下げ具1の引掛対象物は、キッチン用収納引出の取っ手K1に限られない。また、吊り下げ具1に吊り下げられる被吊下物品Hは、ごみ袋Bに限られない。吊り下げ具1の他の使用例を図5に示す。図5(a)の使用例において、吊り下げ具1は、室外に設置されるフェンスFに引っ掛けられている(すなわち、フェンスFは、引掛対象物に相当する。)。また、吊り下げ具1は、ランプ具Lを吊り下げている(すなわち、ランプ具Lは、前述の被吊下物品Hに相当する。)。ランプ具Lは、取っ手用金属線材を介して、吊り下げ具1に吊り下げられている。更に、図5(b)の使用例において、吊り下げ具1は、ロープ部材Rに引っ掛けられている(すなわち、ロープ部材Rは、引掛対象物に相当する。)。また、吊り下げ具1は、ランプ具Lを吊り下げている。
【0037】
本実施形態に係る吊り下げ具1は、平坦な周状枠部10と、周状枠部10と略同一平面内に位置するよう、周状枠部10の開口端11a、11bから延設される引掛基部21a、21bを備える。そのため、吊り下げ具1は、フラットな形状を奏し、引掛対象物に引っ掛けられた際、引掛対象物より奥行き方向前方側に突出する部位を有さない。
【0038】
従って、吊り下げ具1の手前側近傍を移動する者が、吊り下げ具1のいずれかの部位と接触するような事態は生じ得ない。また、上記のような突出部位を有さないため、吊り下げ具1は、特に奥行き方向に関してコンパクトな構造を有する。よって、吊り下げ具1は、非常に狭い領域であっても、引掛配置されることができる。すなわち、吊り下げ具1は、引っ掛け場所を制限されず、様々な場所で使用可能である。
【0039】
上記において、本発明の一実施形態について説明した。ただし、上記説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0040】
1 吊り下げ具
10 周状枠部
11 周状枠部の開口部
20 引掛部
21 引掛基部
22 引掛作用部
H 被吊下物品
S 周状枠部内の吊下領域
【要約】
【課題】本発明は、シンプルな構造でありながら、吊り下げ部位へ物品を容易に導入することができ、且つ物品が一度吊り下げられた後、容易に吊り下げ部位外へ放出されない吊り下げ具の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係る吊り下げ具1は、周状枠部10と、二本の引掛部20a、20bとを備える。周状枠部10は、開口部11を備え、引掛部20a、20bの各々は、周状枠部10から延設される引掛基部21a、21bと、引掛基部21a、21bに接続されると共に、引掛対象物に引っ掛るよう作用する引掛作用部22a、22bとを備える。被吊下物品を周状枠部10内に導入するための導通路Cが、対向する二本の引掛部20a、20b間に形成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6