(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1フレームおよび前記第2フレームが、前記利用者の高さに適合するよう高さを調節する高さ調節機構を含むものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動補助装置。
前記蝶番付きアームが折り畳み可能であり、合計3つの蝶番箇所を含んでおり、1つはシート支持部に連結され、他の2つはそれぞれ前記第1フレームおよび前記第2フレームとの接続箇所に連結されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動補助装置。
指示入力を可能とする操作レバーと、視聴を可能とするディスプレイ装置と、前記操作レバーおよび前記ディスプレイ装置に連結され、前記利用者をガイドするプロセッサーを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動補助装置。
起立中または歩行中に前記利用者の腕を用いることなく、前記利用者の足から少なくとも体重の一部を腰や骨盤を介して前記第1フレームおよび前記第2フレームへ移動させる手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動補助装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
参照する図面において、各実施例の移動補助装置は符号10で図示されている。
図1には、移動補助装置10の主要な構成部品、すなわち、2つのサイドフレーム3、2つのハンドル4、1つの蝶番付きアーム機構5および2つの蝶番支柱6が示されている。ここで、ベルト2はハンドル4にしっかりと固定されており、さらにそのハンドル4は蝶番支柱6とサイドフレーム3に連結され、シート支持部を取り付けた蝶番付きアーム機構5が設けられている。本実施形態において、装置10は平行な間隔をあけて配置されているサイドフレーム3を備えた支持構造体を含んでいる。前方側の車輪部材7は、各サイドフレーム3の前面に設けられている。いくつかの実施形態では、車輪部材7および8がカムレバーによってそれぞれ対応する側のサイドフレーム3に取り付けられている。
【0032】
本実施形態では、サイドフレーム3の地面からの高さは、詳しく後述するように、
図1に示されているようなバネ式のボタンホール機構やリニアモーターのような電動高さ調整機構などの様々な機構によってコントロールされ得る。
図1の実施形態では、折り畳み可能な蝶番付きアーム機構5が、各サイドフレーム3の間に間隔をあけて配設されている。完全に開いてロックカム11が作動しているとき、蝶番付きアーム機構5がサイドフレーム3をしっかりと連結している。シート支持部は、蝶番付きアーム機構5の中心から伸びている。
【0033】
この実施形態では、サイドフレーム3および蝶番付きアーム機構5によって利用者を囲んでいる。
さらに、ほかの実施形態では、2台のフレームが利用者の正面および背面に位置している。この場合には、利用者は装置の側方に入ることとなる。
【0034】
図1をより詳しく参照すると、移動補助装置10は、利用者が坐骨の位置に合わせる歩行シート1と調整ベルト2を含んでおり、それらを組み合わせて利用者を所定の位置に固定する。歩行シート1は、利用者の体重を支えながら移動することを可能とする自転車のシートとは本質的に異なる部材である。自転車のシートとは異なり、この歩行シートは、歩行シートを利用者の所定位置に固定するベルトやその他の部材を必要とする。
【0035】
歩行シートは、装置10を用いて歩行するうえで耐え難い不快感となるであろう突起を有していない点で自転車のシートとは異なっている。また、歩行シートは、坐骨の位置を相対的に歩行シートの先端近くに位置させているため、利用者が歩行している間は、足の前後運動に干渉しない。一般的な自転車では、坐骨はシートの後部に位置しており、歩行は前後方向への最大範囲の動作となってしまうため楽にはできない。歩行シート1は、蝶番付きアーム機構5のシート支持部5cを備えている。歩行シートは、シートフレームに取り付けた単一パッドのシート板1bあるいは、シートフレームに取り付けられた2つの
シート板のいずれかで構成し得る。2個のシート板を取り付けた歩行シートの場合、各パッドのシート板
は対応する臀部を支えるものであり、
図31で示すように利用者が歩行している間、それぞれが水平軸を中心に独立して回転し得る。歩行シート1から伸びているストラップは、不使用時において移動補助装置10を片付ける際には、シート板の蝶番の回転ピボットとして、歩行シート1の折り畳みを容易にするために下方に引くことができる。いくつかの実施形態では移動補助装置10では、利用者に対する各サイドフレーム3からのクッション性を与えるため、バネが各フレーム支持部材と車輪の間に配設されている。さらに、他の実施形態では、歩行シートは、衝撃吸収のためのバネあるいは他の伸縮素材を適用してクッション性を保持している。
【0036】
利用者は、歩行シート1およびベルト2の反発力により固定されるため、利用者の体重は、(限りなく100%に近く)足から装置10に移動する。装置10の操作時、片足あるいは両足を介し、利用者は必要な最小限の力(あるいは適度な力)を使って歩行することができる。実施形態では、前方側の車輪機構7および後方側の車輪機構8は、利用者の足を介して要求される最小限の力で迂曲および前進することが可能であるため、重度障害のある利用者でも安全で便利に進むことができる。
【0037】
一対の後方側の車輪機構8(
図1で図示されているうちの一つ)は、移動補助装置のサイドフレーム3の後方に取り付けられている。各々の後方側の車輪機構8は、典型的には、車輪取り付けシャフト8eに取り付けられているシャフトを備えている。後輪のホイールハブは、後輪のホイール軸上に設けられている。ゴムあるいはタイヤが取り付けられている後輪ホイールリムは、一般に、後輪ホイールハブと同心円をなしている。後輪ホイールハブとホイールリムは複数のスポークによって連結されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、各スポークには、後輪のリムと後輪のハブの間に衝撃吸収能力を有するバネが配設されている。ある実施形態では、駆動モーターは、移動補助装置のサイドフレーム3に取り付けられ、車軸(
図75及び
図76で示すとおり、前面、背面あるいは中央)を駆動するよう組み付けられている。ある実施形態では、下記に詳細するとおり、車輪モーターを形成するため、駆動モーターはホイールの中に組み込まれている。
【0039】
移動補助装置10は、歩行シート1およびベルト2を含んでいる。歩行シート1は、蝶番付きアーム機構5を介してサイドフレーム3に連結している。ベルト2は、ハンドル4および蝶番支柱6を通って、サイドフレーム3に連結している。蝶番付きアーム機構5は、サイドフレーム3を所定の位置で垂直に固定し、サイドフレーム3同士が水平となるよう支持している。サイドフレーム3は、車輪機構7および8に連結しており、車輪機構7および8を垂直にしっかりと固定している。一実施形態では、車輪機構7および8の特徴は、前方の車輪機構7が垂直軸を中心に360度回転するのに対し、後方の車輪機構8は回転しない点である。車輪機構7および8は、サイドフレーム3に連結している垂直シャフト(それぞれ、7aおよび8a)からオフセット(それぞれ7cおよび8c)を持っている。このオフセットは、装置10の全体サイズをコンパクトにする一方で、傾くのを防ぐことができ、安定性が大きく向上する。また、
図27で示されているように、車輪機構8はブレーキ機構12aおよび12bを備えている。
【0040】
蝶番付きアーム機構5は、サイドフレーム3の連結ポイントのところに蝶番が配置されており、中央の5h2のところに1個、蝶番シリンダ5h1および5h3に各1個、合計3個の蝶番を備えている。これら蝶番5h1、5h2および5h3は、下記に詳細に述べるように滑らかに回動する。これらの蝶番5h1、5h2および5h3の働きによって、装置10を持ち運びや保管のために小さく折り畳むことが可能となる。蝶番付きアーム機構5は、サイドフレーム3の底面から2/3の1Aのあたりに設けられている。その構造は、サイドフレーム部材3の所定の位置において、支柱保持の強固な構造を供給する一方で、利用者の動きには影響を与えない。蝶番付きアーム機構5の蝶番5h1、5h2および5h3は、
図25に示されているカムレバーのロック機構を使用してしっかりとロックされている。
【0041】
ある実施形態では、サイドフレーム3と車輪機構7および8との接合部分において、装置の高さに対する調整機能が付与されている。そのサイドフレーム3の装置の高さを調節のために使用される機構は、蝶番支柱6の界面でハンドル4を上下するために使用される高さ調節機能6bと同一の機構となっている。
【0042】
ある実施形態では、コントロールボックス17は、制御レバーあるいはジョイスティックを含み、移動補助装置のフレーム上に搭載され、駆動モーターの回転方向制御を行うため駆動モーターに連結されている。制御レバー17aは、移動補助装置10の後進、ニュートラル、前進を制御するため、後進、ニュートラル、前進の位置決めがある。コントロールボックス17は、移動補助装置10M、60あるいは70の利用者(図示されていない)が操作しやすい箇所、例えば、歩行シート1に設けられている。電気駆動の実施形態においては、バッテリーは移動補助装置のフレームに固定され、電源供給線を介して、コントロールボックスに連結される。
【0043】
図1に示されている各々のハンドル4は、ある実施形態では
図27に示すように、車輪機構8の車輪取り付けシャフト8eに搭載されているブレーキレバー12bを作動させるためにケーブル線12aを介して、
図32に示す手動ブレーキ用のハンドグリップ12cに連結されている。ケーブル線12aの作動により、ブレーキレバー12bが稼働して車輪取り付けシャフト8eの取り付け箇所で回転してタイヤ8dに接触し、車輪機構8に制動力を与える。
【0044】
他のブレーキシステムとしては、装置10の車輪機構8に搭載されたディスクブレーキシステムがある。ディスクブレーキシステムは、ホイールリムに対向するようにブレーキパッドをそれぞれ備え、ピボットアームが二つある。ケーブル12aの作動により、アームが稼働して、各々のブレーキパッドが取り付け箇所で回動して車輪機構8に制動力を与えるよう、各々のブレーキパッドが一緒にホイールリムに押し付けられる。
【0045】
なお、移動補助装置10の実施形態として、当業者であれば理解できるように、車輪機構7および8の手動ブレーキをアシストするために、ブレーキレバーを車輪機構7および8の少なくとも1つの車軸に連結する構成が可能である。さらに、後述するように、ブレーキは、より急速充電が可能で小さな筐体の小型バッテリーを充電するための回生ブレーキとしても使用可能である。
【0046】
ポケットは、歩行シート1の底面に供給される。例えば、ポケットは、歩行シート1の各シートパネルに具備される。切れ込み1cは、利用者の尾骨への圧迫を和らげるため歩行シートの先端に設けられる。また、ストラップ14aがついたフットレスト14をサイドフレーム3の下部付近に設けておく構成も可能である。この構成の装置10であれば、車椅子に長く座っていることに起因する弊害を低減することができる。
【0047】
長期間、着席したままでいることは、患者の健康に有害であり、消化器系、心臓血管、および呼吸器系を含む多くの基本的な身体機能に悪影響を及ぼす。もし、患者が歩き回ることができれば、定期的に直立姿勢あるいは直立姿勢に近い姿勢に変わっていくことを可能とし、患者の身体機能を回復し、その後の健康の悪化を回避することができる。
【0048】
本発明の移動補助装置10は、従来型の歩行器としても機能し得る。患者は、従来型歩行器同様、ハンドル4につかまって装置の後ろに立ち、歩行することが可能である。利用者は、ハンドル4を「そのまま」で使用することができ、あるいは、ハンドルを逆の向きにすることも可能である。
本発明の移動補助装置10は、車椅子としても利用できる。ハンドル4を反転させて、フットレスト4および吊り張りシート13を取り付ければ車椅子となり、他の人が装置の後方から押すことが可能になる。
【0049】
移動補助装置10では、利用者が可能な限り自分の足を使って動き回ることを推奨する。対象的に、長時間着席をしたままでいる車椅子の利用者は、通常、血液循環が悪くなり、消化不足、精神不安および顕著な不快感などを引き起こし得る。装置10は、可能な限り、体を起こして動き、健康を向上させ、ライフスタイルに活力を与えて、日常的なフィットネスの一部としての歩行を可能にすることを目指している。
【0050】
装置10は、リハビリ治療と関連して使用される。利用者は、理学療法士や医療専門家の指導のもと治療を受けつつ、着座姿勢から直立姿勢に近い姿勢さらに完全な直立姿勢へと移行してゆく。最初は着座に近い低い姿勢から始めるので、利用者の足が椅子に座っているときのように装置の前方にあるはずである。治療が進行するにつれ、利用者の機能が回復し、上達もして、姿勢の高さが徐々に上がっていく。本プロセスは、利用者が、指導する医療従事者によって直立姿勢になったと判断されるまで継続するのが良い。利用者が、治療を完了し、もはや装置を必要としなくなれば(外科的に膝が完治した場合など)、利用者は、装置なしで再び歩行することが可能となる。利用者が、その後も装置を利用して歩行しなければならない場合(例えば、永久的な足の障害のためなど)、その後も装置を使用していくこととなる。
【0051】
図3から
図6で図示されているように、装置10は、リハビリのプログラムを通じて利用者の歩行能力の回復を支援することができる。さらに、体重負荷のコントロールを補助することで、強靭性、柔軟性、移動性を高めること、心肺機能の向上も可能である。
図2は、装置10とベルト2で所定の位置に支持されている障害者とを示す正面図である。装置10を使用することによって効果的に移動でき、両手を用いる必要がないことを表わすために、図面上、あえて患者の両手は頭上に上げた様子が図示されている。本図は、ハンドル4、蝶番支柱6、蝶番付きアーム機構5、サイドフレーム3、キャスター式の車輪機構7などが図示されている。利用者が、両腕で支えることを要さずに、完全な起立姿勢で移動できることを示している。
【0052】
本発明の移動補助装置を使用すれば、患者は、義足の接触面あるいは、足首、膝、臀部、腰、肘、肩関節の不快感と負荷を大幅に軽減することができ、完全な起立姿勢(足が垂直になっている)あるいは、完全な起立姿勢に近い姿勢(足は着席状態から起立状態の中間状態にある)で動き回ることが可能となる。利用者の腰かがみ姿勢の状態/立ち上がり姿勢の状態も「完全な起立姿勢に近い状態」というものに含まれ得る。
装置10を使用すれば、車椅子への依存を軽減あるいは無くし、長時間の歩行が可能となる。患者は、手を他の目的のために使用することも可能となる。装置10は、車椅子用の通路、傾斜路、小道、部屋や室内および室外の設備、様々なほかの場所(整備された場所)などを移動している間、利用者を安定的に支持することができる。装置10は、患者が着座したい場合、快適な着座姿勢をとることができるようにもなっている。本実施形態では、装置をコンパクトな形に折り畳むことが可能であり、自動車のトランクや飛行機の預託荷物として運搬が可能である。
【0053】
図2は、移動補助装置10を使用し、歩行シートとベルトで補助されている利用者を示した正面図である。利用者は、蝶番付きアーム機構5から離れており、二つのサイドフレーム3の中央にいる。ハンドル4は、患者の両側で、だいたいウエストの高さほどに位置している。蝶番5h1、5h2、5h3は、互いにサイドフレーム3をしっかりと所定の位置となるようロックするものであり蝶番付きアーム機構5に対して取り付けられている。蝶番5h1、5h2および5h3は、装置を片付ける際や持ち運ぶ際などに装置を便利なサイズに折り畳むために使用される。
利用者の体重は、装置に預けた体重比率つまり最大100%まで、ベルトのついた歩行シート1、蝶番付きアーム機構5および蝶番支柱6、サイドフレーム3、車輪機構7および8を介して地面や床に支持される。
【0054】
図2aは、装置10の歩行シートに座った利用者の背面の様子の詳細を示すものである。 本図は、装置10を操作している間の歩行シート上の坐骨結節部の位置、および、ベルト2との相対的な位置関係を強調するように、利用者の骨盤と腰と重ねて図示している。歩行シート1には、一般的な自転車のサドルのように「ノーズ」や「突起」に相当する部分がない。加えて、歩行シート1は、その正面方向にて坐骨を固定するので、患者の足は、歩行時、自由に前後に動くことができる。起立姿勢において坐骨が接する接触面は、着座している状態の接触面に比較してはるかに少なくなり垂直の向きとなっている。したがって、体重を支える坐骨を支持するために、装置10では起立あるいは歩行している間、歩行シート1のほかに他の支持物(すなわち、ベルト2)が必要である。
【0055】
図3は、使用開始直後および順応してゆく段階での利用者の姿勢を示すものである。リハビリの過程として、リハビリ開始時には相対的に低い姿勢でいる利用者が足を使うことに慣れてゆき、より足を強化してゆくには時間を要する。各図は、利用者の通常の着座姿勢と完全な起立姿勢の間の中間姿勢を段階を追って示しているが、利用者の足が前方に突き出た状態からリハビリサイクルが進むにつれて徐々に起立して行く。
【0056】
図4は、リハビリ過程の進行に伴い、装置10における利用者の二段階目の位置を示すものである。本図において、利用者は、完全な直立姿勢の約2/3程度の姿勢となっている。これは、利用者が、怪我をした足に強さと能力を得て、より慣れた状態になったことを意味している。
【0057】
図5は、装置10を使用中の、完全直立姿勢の80%程度の利用者の姿勢を示したものである。この段階においては、通常、利用者は装置10を使用してかなり快適に動き回り、リハビリ過程の後期に差しかかっている。
【0058】
図6は、装置10を使用中の、完全直立姿勢の95%以上の利用者の姿勢を示したものである。利用者は、リハビリ過程を完全に終えた後か、ほとんど終えた状態にある。
この状態は、利用者が長期的に装置10の使用を要することとなった場合、健康とライフスタイルの質を最大化するために継続して採るべき望ましい姿勢である。
【0059】
図7は、装置10の側面図であり、ハンドル4、蝶番支柱6、蝶番付きアーム機構5、サイドフレーム3、後方側の車輪機構8、キャスター式の車輪機構7を異なる角度から示したものである。
【0060】
図8は、装置10の平面図であり、上面から見た構造を詳しく示したものである。また、歩行シート1、ベルト2、サイドフレーム3、ハンドル4、蝶番付きアーム機構5、キャスター式前輪機構7および後方側の車輪構造8が図示されている。
【0061】
図9は、装置10を全開した状態における前面から見た斜視図である。この向きでは、蝶番付きアーム機構5は、サイドフレーム3に対して垂直である。後方側の車輪機構8は、サイドフレーム3の後方付近に配設されている。同様に、キャスター式の車輪機構7は、サイドフレーム3の前方付近(後輪機構8とは反対方向)に配設されている。
図9は、ベルト10以外の装置10の主要構成部材を明瞭に示すためにベルト10を省略して装置10の全開状態の様子を図示したものであり、利用者が装置10を使用して進行する向きが正面となっている。
【0062】
図10は、装置10を完全に閉じた状態の前面斜視図である。この閉じた状態では、本装置は、車のトランクに積み込んだりあるいは航空機の預託荷物として持ち込んだりなどして持ち運ぶことができる。後輪機構8およびキャスター式前輪機構7は、
図9でも示されているように、反転してサイドフレーム3の中央に向かって180度内側に回転する。この回転により、装置の全体の奥行きを約35%縮小することができる。蝶番付きアーム機構5は、内側に折り畳まれるのでその配置はサイドフレーム3にほぼ平行となる。蝶番付きアーム5が折り畳まれた状態では、約67%装置の幅を縮小することができる。このように最小スペースに簡単に片付けることができ、楽に移動できる形状にすることで、装置10のサイズと嵩張りを最小限に抑えることができる。
【0063】
図11は、装置10を全開した状態で示したものである。蝶番付きアーム機構5は、左水平アーム5a、右水平アーム5b、蝶番シリンダ5h1と5h3およびセンターの蝶番5h2で構成されている。全開時には、装置10において、蝶番付きアーム機構5の各構成要素は単一面に沿って配設された状態となっている。
【0064】
図12は、装置10を半開した状態の正面図である。本図では、蝶番付きアーム5は、蝶番シリンダ5h1と5h2、センターの蝶番5h3において回動している。左水平アーム5aおよび右蝶番付きアーム5bは、互いに約90度で配向されている。
【0065】
図13は、装置10を完全に閉じた状態の正面図である。左蝶番付きアーム5aおよび右蝶番付きアーム5bは、互いに約15度で互いに水平に近い状態となっている。
【0066】
図14は、装置10を完全に閉じた状態の側面図である。本図では、蝶番付きアーム機構5は、内側に折り畳まれ、後輪機構8及びキャスター式前輪機構7は、完全に開いた位置から180度反転した向きになっている。
【0067】
図15は、装置10を完全に閉じたものの平面図である。蝶番付きアーム機構5、後輪装置8、およびキャスター式前輪機構7は、装置10の設置面積を最小化する形状となるよう反転している。
【0068】
図16は、装置10の主要な部材をもっと分かりやすく示した分解図である。これは、それぞれの基本的な形状を明確に強調している。歩行シート1は正面図にて示されている。ベルト2も正面図であるが、サイドフレーム3は側面図で示されている。ハンドル4は側面図で示されている。左蝶番付きアーム5aおよび右蝶番付きアーム5bは、正面図で示されている。蝶番支柱6は正面図で示されている。キャスター式前輪機構7は側面図で示されている。後輪機構8は側面図で示されている。
【0069】
図17は、装置10の上部付近の詳細な背面図である。本図には、歩行シート1、蝶番シリンダ5h1および5h3、中央の蝶番5h2、および蝶番支柱6のためのロック機能を示している。ベルト2は、ボルト、ナット、ワッシャーでハンドル4にしっかりと固定されている。カムレバー9は蝶番支柱6にボルトで固定されており、蝶番支柱6に対するハンドル4のロッキング機能を提供している。
【0070】
カムロッキングレバー11は、 装置10を開閉する蝶番シリンダ5h1、5h3および中央の蝶番5h2を締めたり緩めたりする部材である。利用者は従来の歩行器と同様、装置の後ろ側に立ってハンドルを掴んで立ち歩くことも可能である。ハンドルはそのままでも良いし、好みに応じて反転させて掴んでも良い。
【0071】
図18は、サイドフレーム3の側面図である。サイドフレーム3は、蝶番支柱6と同様の第2のロッキングカムレバー9を使用している。カムレバー9を引き上げると、高さ調節機能(後述する)が作動する。
【0072】
図19は、蝶番支柱6である。これは、カムレバー9とボルト構造を取り除き、蝶番支柱6の基本的な形状を示したものである。高さ調節機能6aは、ハンドル4を締めたり緩めたりするカムレバー9のボルト接合箇所となるスロットである。一旦カムレバー9を緩めるとスプリングボタン4bが押下され、高さ調節機能6bが働いてハンドル4の上下動が可能となる(
図20を参照)。
【0073】
図20は、オープン状態(アンロックされた状態)およびクローズ状態(ロックされた状態)のスプリングボタン4bを含むハンドル4の下部4aの詳細を示すものである。カムレバー9を回転させて押し上げると、高さ調節機能6bを介してスプリングボタン4bが押し下がるため、ハンドル4は蝶番支柱6の所定の場所に上下する。カムレバー9を回転させて下に移動すると、スプリングボタン4bが高さ調節機能6bのうちの穴の一つの中に入り込むことによりロック状態となる。
【0074】
図21は、カムレバー9の側面図および平面図である。カムレバー9は、カムハンドル9bに力をかけることによって穴9a中にあるボルトを中心に回動することができ、回転とともに上下する。カム9cにより開閉時におけるカムレバーとハンドル4との当接の強さを調節することができる。
【0075】
図22は、蝶番付きアーム機構5およびそのロック機構部品の組立正面図である。使用状態にある装置10においては、左蝶番付きアーム5aは、カムレバーロック11を介して右蝶番付きアーム5bとロックし合っている。同様に、左蝶番付きアーム5aおよび右蝶番付きアーム5bは、レバー11を通じて蝶番支柱6をロックしている。同様に、シート1は、シートホルダー5c上に位置しているカムレバー11を通じてロックされている。
【0076】
図23は、蝶番付きアーム機構5の正面分解図である。左蝶番付きアーム5aがしっかりと右蝶番付きアーム5bに留められており、蝶番付きアーム5aおよび5bとの間では無制限に軸回転が可能となっている。
【0077】
図24は、カムロックレバーを併せて図示した場合と、カムロックレバーの図示を省略した場合における蝶番シリンダ5h1の正面詳細図である。スロット5eは蝶番シリンダ5h1を通してカムロックレバー11を蝶番支柱6に取り付けるための、蝶番シリンダ5h1上に設けたウィンドウである。カムロックレバー11を引き上げると、蝶番シリンダ5h1と蝶番支柱6の間に印加されている力が緩まり、蝶番シリンダ5h1と蝶番支柱6が自在に回転可能となる(約80度まで)。カムロックレバー11を押し下げると、蝶番シリンダ5h1と蝶番支柱6との間を強固に固定する力が生じる。同様に、蝶番シリンダ5h3と蝶番支柱6との間、および、中央の蝶番シリンダ5h2と中央のシリンダ5dとの間も同様に操作することができる(このインターフェイスで180度回転が可能となる)。
【0078】
図25は、カムロックレバー11の側面図および平面図である。カムハンドル11eを上下すると、シリンダ11bを中心に回転するカム機能11aが生じ、その動きによりボルト11dを介して、蝶番の構成要素(蝶番支柱6またはシリンダ5dに対する、蝶番5h1、5h2、5h3)の緊締状態をロックしたり緩めたりするワッシャー11cを押下したり緩めたりすることができる。
【0079】
図26は、キャスター式前輪機構7の側面図である。本図において、上端付近にスプリングボタン7bを有する高さ調節シャフト7aが示されている。キャスターのホイール7dは、360度回転可能であり、ベアリングシャフト7eの中に円滑に回動可能なベアリングを具備している。オフセット7cを設けることによりキャスターが前方側に位置することを可能にして優れた体重の分配および安定性を確保せしめる一方、運搬時には装置をコンパクトな形状に閉じることができる。なお、他の実施形態として、利用者の操作中の装置サイズのコンパクト化を重視してオフセット7cを設けない構成も可能である。小柄な人向けや倉庫など狭い室内向けには、このオフセットを設けない構成の方が望ましい。
【0080】
図27は、後輪機構8の側面図である。スプリングボタン8bを含む高さ調節シャフト8aを具備したものとなっている。オフセット8cを設けることによりキャスター式でない後輪機構8dにもオフセットを設定することができ、最大限の体重の分配および安定性を確保せしめる一方、運搬時には装置をコンパクトな形状に閉じることができる。後輪機構8は、ブレーキケーブル12aを介してブレーキシステムと連結したスプリング式のブレーキレバー12bが取り付けられているマウンティングシャフト8eを含んでいる。他の実施形態として、利用者の操作中の装置サイズのコンパクト化を重視してオフセット8cを設けない構成も可能である。小柄な人向けや倉庫など狭い室内向けには、このオフセットを設けない構成の方が望ましい。
【0081】
図28は、車輪機構7および8の高さ調節機能の構成を、閉じられて連結された状態にて、および、開けられて取り外された状態にて示した詳細図である。いったん、カムレバー9が上がると、スプリングボタン7bまたは8bが押し込まれ、装置10の高さの上下調整が可能となる。
【0082】
図29は、ベルト2を示す図であり、左ベルト部2a2および右ベルト部2a1がラッチ留め金具のメス部材2dおよびオス部材2eとの連結にて留められた状態となっている。ベルト2は、はと目2bを介してハンドル4にボルトで固定されている。ベルトはベルトループ2cにより支持されており、ベルトは様々な体格の利用者に適した長さに調節できるようベルトストラップ2fを含んでいる。
【0083】
図30は、ラッチ留め金を外し、ベルト2の構成が明確に分かるよう示したものである。左ベルト部2a2および右ベルト部2a1の2つの部材が含まれている。ベルト2のラッチ金具は、素早く取り外しを行うことが可能なものであり、自動車や航空機のシートベルトに採用されるものと設計や操作が類似したものである。
【0084】
図31は、シャフト1a、クッション1bおよび切れ込み1cを含んだ歩行シート1の正面斜視図である。歩行シート1は、利用者の体重を足から装置10側に移動する際に、利用者の腰や骨盤に対して反発力を与えるもので、ベルト2と連動して作動する。設計上、歩行シート1は、装置10を使用して歩行する際、足が自由に前後移動できるようになっている。
【0085】
図31に明らかに示されているように、歩行シート1の正面には利用者の腰や骨盤に当接しやすいような角度の支持面が設けられている。
【0086】
図32は、ブレーキケーブル12aとブレーキハンドル12cを含むハンドル4の側面図である。ハンドル本体4bは発砲グリップ4aによって覆われているために握りやすくなっている。ベルト2は、取り付け孔4cを通してハンドル4にボルトで固定されている。高さ調整シャフト4dはスプリングボタンを含んでおり、蝶番支柱6の高さ調整機能6bと連動して高さレベルを合わせる。
【0087】
図33は、オプションである吊り張りシート13が取り付けられている装置10の構成を示すものである。
吊り張りシート13は、装置を使用して歩行していないとき、利用者のために快適な着座位置となる。吊り張りシート13は、安全な着座が確保されるようフレーム3に取り付けられる。
【0088】
図34は、ハンドル4が逆方向に取り付けられている場合の装置10の構成を示している。装置10は、オプションとして利用者がハンドル4の向きを正逆自在にすることができ、「典型的な」後方立ち押しの歩行器として使用が可能である。
【0089】
図35は、オプションとして車椅子タイプにした場合の装置10の構成を示している。備え付けの吊り張りシート13とともに、フットレスト14を付け加えられ、ハンドル4は逆向きになっている。付添人によって利用者を押すオプション構成も可能である。歩行シート1は、短期使用時には背もたれとしての役目も果たすことができるが、長期間にわたってより快適に使用するために、長期使用用の背もたれ(図示せず)の追加構成も可能である。
【0090】
次に、装置10の電動オプションの「重量タイプ」および「軽量タイプ」の重量バリエーションについて説明する。重量タイプの装置は、一般的に電動車椅子で使用される部品を使用している。軽量タイプの装置は、独立したモーター駆動の車輪と(キャスター式でない)車輪機構とを交換したものである。これらは、操縦レバーを介してコントローラーユニットを使用することで利用者自身が制御する。つまり、従来型の電動車椅子でも使用されている操縦レバーの操作によるものである。次に、電動の実施形態について説明する。
【0091】
図36は、軽量タイプの電動式移動補助装置10Mに変換した場合の装置10の構成を示すものである。電動式移動補助装置10Mの構成は、シート1、ベルト2、サイドフレーム3、ハンドル4、蝶番付きアーム機構5および蝶番支柱6を含む既述した装置10と共通の構成要素を含んでいる。装置10Mは、パワーアシスト歩行モードあるいはフル電動椅子モードのいずれかで動作する。
【0092】
フットレスト14を取り付けて使用すると、装置10Mは、完全な電動車椅子となり、車椅子での移動を支援するものとなる。フットレスト14の取り付けない構成では、利用者は、装置を電動で前進させることにより、部分的にまたは全面的にモーターの補助を受けた歩行が可能となる。いずれの装置構成にする場合でも、LCDディスプレイ17と操縦レバー、モーター駆動されるキャスター車輪の高さ調整機構21およびハブホイール機構15を利用して改変する。
【0093】
ハブホイール機構15は、組み込まれた駆動モーターを備えたホイールを含んでいる。高さ調整は、高さ調整用モーター19を介して制御される。装置10Mは、コントローラーユニット16およびセンサー18を有している。コントローラーユニット16は、操縦レバーおよびLCDユニット17を介して、高さを上下調整したりするほか、装置の前進、停止、迂曲などの運転操作に関する利用者の指示を入力する。
【0094】
センサー18は、コントローラーユニット16によって、障害物を視認すること及び障害物との衝突を回避するために使用される。これらのセンサー18は、装置10Mの自動操作を可能にする。センサーの使用目的には位置決めするための軌跡指示帯や他の目印を検出することを含む。
【0095】
図37は、吊り張りシート13の上面図である。このシートは、高強度の織物で構成され、ラッチ金具のオス連結具13aとメス連結具13bを用いて、サイドフレーム3に対して吊り張りシート13を安定して固定することにより、簡単に装置10、10Mおよび他の実施形態の装置構成において装着することが可能である。吊り張りシート13は、不使用時には、保管しやすいように小さく折り畳むことが可能である。
【0096】
図38は、オフセット7cを設けたキャスター式前輪機構7あるいはキャスター式車輪機構21に対して取り付けるフットレスト14の斜視図である。足留めストラップ14a、足載せ部14b、フットレストのスナップ機構14cを含んだものである。左右のフットレスト14は同一であり、一方を180度回転させて対称的に取り付ける。
【0097】
図39は、操縦レバー付きLCDコントロールユニット17の斜視図である。このユニットは、操縦レバー17a、ボタンコントロール17bおよびLCDディスプレイ17cを含んでいる。操縦レバーおよびLCDユニットは、利用者のスマートフォンに対するインターフェイスを有している。ボタンコントロール17b及びLCDディスプレイ17cの代わりに利用者のスマートフォンを使用することができる。操縦レバー付きLCDコントロールユニット17は、スマートフォンを介して音声入力モードにて操縦することができる。
【0098】
図40は、高さ調節モーター19を示すものである。高さ調節モーター19には、操縦レバー付きLCDユニット17を介した利用者の指示に基づいて装置20を上下させるギア19aが含まれている。
【0099】
図41は、キャスター式車輪機構21を示す図である。キャスター式車輪機構21は、装置20を上下させるための高さ調節モーター19およびギア19aにより駆動されるリニア移動機構を含んだものとなっている。
【0100】
図42は、後輪機構15を示す図である。後輪機構15は、ハブホイール15c、ハブホイール電動制御ケーブル15a、高さ調節モーター19で駆動されるリニア移動機構15bおよび装置20を上下するためのギア19aを含んだものとなっている。
【0101】
図43は、ハブホイール電動制御ケーブル15aおよびハブモーターカバー15bを含むハブホイール15の側面図である。左右のハブホイール15を同期させて等速および同一方向に回転させれば、装置10Mは前後のいずれにも動く。左右のハブホイール15を同期させてそれぞれを反対方向に回転させれば、装置10Mは小さな半径にて曲がることができる。左に大きく曲がる場合には、左のハブホイール15の回転速度よりも右のハブホイールの回転速度を大きくすればよい。右に大きく曲がる場合は逆にすれば良い。各ハブホイール15の回転速度および回転方向に対する指示は、操縦レバー付きLCDコントローラーユニット17を介して行う。
【0102】
図44は、モーターウィング15cおよび電動制御ケーブル15aを見えやすくするため、カバー15bを取り除いて示したハブホイール15である。ハブホイール15は、後述する重量タイプの装置構成の場合と同様、装置20を軽量化しつつ自動運転可能な構造としたものである。
【0103】
図43および
図44に示すように、ハブホイールモーター15は、ハブキャップあるいはカバー15bによってタイヤのリム内に収納されている。ゴムタイヤはリムの外周に搭載されている。ハブキャップには、ケーブル15aが挿通されている開口部が設けられている。ケーブル15aはモーターへの制御信号の供給と同様、電力を供給するものでもある。ケーブル15aは、モーター筐体内へ導通するためシャフト内を通過している。ケーブル15aには、プリント回路基板上に搭載されている電子部品に連結されている複数の電線が含まれている。すべての電線が図示されてはいない。電線の数は、必要とされる機能に応じて変え得る。プリント回路基板は、モーター内の制御盤に搭載されている。ある実施形態では、制御盤はアルミニウムのような熱伝導性素材で作られており、回転軸に従動して回転できるようセンターシャフトにネジにより固定して取り付けられている。回転軸は、中心軸に沿って取り付けられているものとする。軸を合せるのはモーターをより滑らかに作動できるようにするためである。モーターの内部には一連のマグネット15cが搭載されている。これらのマグネットは、放射状に配置されたコイルからわずかにスペースを空けながら隣接して配置されている。固定子鉄心と呼ばれるスポークに対して巻回されている電線からなる複数のコイルがあるが、図示されていない。外側には回転するリング状の永久磁石(固定子)があり、内側の金属コア(回転子)の方が固定されている。モーターの電源が入れられると、静止している回転子の方は静止したままであり固定子の方が回転する。車輪ゴムやタイヤが、モーターに取り付けられており、モーターの外側の部分が回転すると車輪の動力により車両が前進する。
【0104】
センサーは、ハブホイールモーターに搭載されている。センサーとしては、ラインセンサーなどのエンコーダー、キャパシタセンサー、ホール効果エンコーダー、あるいはLEDベースのセンサーなどが適用され得る。ホール効果センサーは、負荷に電流を流してデバイスに発生する電位変化をもとにセンシングするもので、モーターにより消費された電力を検知することができる。ホール効果デバイスは、極限環境でも動作の信頼性が高く、動作検知センサーや動作制限スイッチなどに使用されることが多い。機械的駆動部分がないため、従来の電気的素子に比べて信頼性が高いものである。また、検知部や磁石を保護材の中に封入することができる。ホール効果センサーは従来の自動車向けの機械的な接点部品の後継部品としても使用されている。例えばエンジンのイグニッションサイクルを同期させるデバイスとしても使用されている。固定子の永久磁石とホール効果素子がわずかなギャップを開けて対向して配置された形でホール効果センサーが形成されている。小翼と窓枠を有する金属の回転子がシャフトに取り付けられ、シャフトが回転すると永久磁石とホール効果素子の間のギャップの間を通り抜けるよう配置されている。この構成によれば、小翼が通過しているのか窓枠が通過しているのかによって、ホール効果素子に対する永久磁石の磁界の遮蔽と露出が効果的に切り替わる。プロセッサーあるいはコントローラーは、車両運転支援として空回り防止機能を搭載している。また、コントローラーは、電力回生機能付きモーター15を制御できるものとする。ある実施形態では、電力回生ブレーキ制御回路としてチョッパー回路を使用する。チョッパー回路は、少なくとも、モーター、リアクターおよびチョッパーから成る閉ループを形成した回路である。モーターは、ブレーキが操作されている間、発電機として使用される。したがって、モーターで発生された電流は、閉ループを流れ、それにより、リアクターに磁気エネルギーが貯まる。チョッパーの電圧降下および他の接点抵抗は、とても小さいため、リアクターを通過した電圧は、モーターによって発生した電圧に大体等しくなる。次に、チョッパーが開かれ、それにより、直列接続モーターおよびリアクターを電源に連結される。モーターとリアクターの電圧は電源電圧よりも高くなっている。リアクターで貯蔵されたエネルギーが減少し、直列接続モーターおよびリアクターを通過した電圧が落ちてゆき、電源電圧よりも低いレベルに減少したとき、それに応じて電源に流れ込む電流はゼロになる。電源への電流減少の後に、再びチョッパー回路を閉めることにより、モーターの電流は増加し、それによりリアクターを通じる電圧が上昇する。それから、再び電源にモーター回路を連結すると、再び逆電流が電源に流れる。上記のプロセスの繰り返しで、モーター電流、つまり、電力回生ブレーキの電流が制御される。
【0105】
図45は、装置20と装置利用者の正面図である。この装置20においては、歩行シート1とベルト2の代わりにハーネス23を使用する。利用者の体重(限りなく100%に近い)は、ハーネス23を介して利用者の足から移動する。装置20を操作している時、利用者は、片足あるいは両足で、できる限り軽い力(快適な力)で歩行する。キャスター式前輪機構7と後輪機構8は、利用者の足を介し、要求された最小限の力で迂曲および前進することを可能にするため、重度障害のある利用者でも安全かつ便利に進むことが可能である。この点について、装置20は、機能的に装置10と同等であると考える。
【0106】
図45は、装置20の主要な構造部品を示している。装置20には、サイドフレーム3、2機のハンドル22、蝶番付きアーム機構24および蝶番支柱6が含まれている。ハーネス23は、ハンドル22に固定されており、蝶番支柱6および蝶番付きアーム機構24を介してサイドフレーム3に連結されている。これらの構造上の部材は、歩行シート1の取り付けには対応していない蝶番付きアーム機構24と、ハンドル22がハーネス23を取り付けられる長さに延設されている点を除けば装置10と同じである。
図45の装置は、リハビリ治療のプロセスと関連して使用される。利用者は、理学療法士やその他の医療従事者の指導のもと、治療を通じ、着座姿勢のような状態から完全な直立姿勢あるいはそれに近い姿勢へと移行してゆく。利用者は、相対的に腰の低い設定から装置を使用し始めるため、椅子に座っている時と同様、ハーネスから足が前方に突出する姿勢である。治療が進行し、利用者の状態が改善するにつれて、ハーネスの高さが徐々に高くなる。本プロセスは、指導する医療従事者が、利用者を直立姿勢になったと判断するまで継続する。患者が治療を完了し、もはや装置を必要としない場合(例えば、外科的に膝が治癒した場合など。)、利用者は装置なしで歩行をすることができるようになる。利用者が、その後も装置を使用しての歩行をしなければならない場合(例えば、永久的に足の障害が残ってしまった場合など。)、ハーネスはその後も設置されたままとなる。
【0107】
図46は、装置20の前面斜視図である。2台のサイドフレーム3、2台のキャスター式前輪機構7および後輪機構8、2台のハンドル22、蝶番付きアーム機構24および蝶番支柱6が含まれている。ハーネス23はハンドル22にしっかりと固定されており、蝶番支柱6と蝶番付きアーム機構24を介して、サイドフレーム3の側面に連結されている。蝶番付きアーム機構24は、サイドフレーム3に対して垂直に配設されている。後輪機構8は、サイドフレーム3と平行に装置20の後方に設けられている。キャスター式前輪機構7は、(後輪機構8とは反対方向で)サイドフレーム3と平行に前方、つまり利用者が装置20を利用して進行する向きに設けられている。
【0108】
図47は、全開状態にある装置20の前面斜視図であり、ハンドル22に連結されているハーネス23を
図46とは異なるアングルにて示している。
図48はハーネス23の正面図であり、ストラップ25を介してハンドル22にしっかりと固定されている。ハーネス23は、ハンドル22と同じ高さでボルト23aにてしっかりと固定されている。本図には、ハーネスラッチ23b、ウエストベルト23cおよび足ベルト23dが示されている。利用者の体重は、ウエストベルト23cおよび足ベルト23dを組み合わせて支持され、アタッチメントストラップ25によってハンドル22に掛かっている。これらは、機能的には、利用者の体重を支持し移動させる歩行シート1およびベルト2と同様のものである。
【0109】
図49は、ハーネスラッチ23b、ウエストベルト23cおよび足ベルト23dを詳しく示したハーネス23の正面図である。
【0110】
一方、
図50は、どのように、ハーネス23およびハーネスラッチ23bに留め、または、外すことができるかを示したアタッチメントストラップ25を図示するものである。
【0111】
図51は、ハーネス23を省いて示した装置20の前面斜視図であり、装置10の場合の構成と比較して、ハンドル22および蝶番付きアーム24の形状がどのように異なり、また、どのように類似しているのかを示すものである。
【0112】
図52は、ハーネス23を省いて示した装置20の正面図であり、装置10の場合の構成と蝶番付きアーム24の形状がどのように異なり、また、どのように類似しているのかを示すものである。
【0113】
図53は、ハンドル26、蝶番付きアーム機構27およびサイドフレーム28のバリエーションを持つ装置20の他の構成例を示したものである。本図でも装置20Aを分かりやすく図示するためにハーネス23を省いて図示した。装置20Aの構成には、キャスター式前輪機構7や後輪機構8など、装置10および装置20の構成と共通した部品が多く使用されている。
【0114】
図54は、サイドフレーム28および蝶番付きアーム機構27を含んだ装置20Aの側面図、正面図および上面図である。
【0115】
図55は、装置20Aの蝶番およびロック機構の詳細断面図である。サイドフレーム28は、蝶番付きアーム機構27を頑丈に固定するための引き抜きピン28bがフランジ28aに取り付けられている。引き抜きピン28bは、スプリング28cを含んでいる。引き抜きピン28bを引き抜くと、蝶番シリンダ27aに含まれている蝶番ボルト31が軸方向に自在に動くことが可能となる。蝶番シリンダは、ベアリング29で自由に開閉できるようになる。この蝶番およびロック機構は、機能的には、装置10について説明したメカニズムと同じである。
【0116】
図56は、移動補助装置30の別の形状の前面斜視図である。装置30は、サイドフレーム32の代替デザインである。本図では、装置30で使用されているベルト2を図示していない。蝶番付きアーム機構33は、装置10の蝶番付きアーム機構に類似したシートアタッチメント機能を含んでいることを除き、装置20の蝶番付きアーム機構27と基本的に同じ構造である。
歩行シート34は、装置10の歩行シート1に類似しているが、僅かに異なったものが図示されている。装置30を操作している時、利用者は、片足あるいは両足で(快適に)、可能な限り軽い力で歩行している。キャスター式前輪機構7および後輪機構8は、利用者の足により、必要最小限の力で迂曲・前進し、また、重度障害者でも安全にかつ便利に進むことを可能とするものである。
【0117】
図57は、装置30と利用者を示す装置30の正面図である。装置30は、機能的には装置10と同じであるが、利用者の上半身の動きをより自由にできるように設計されている。装置30には、利用者の腰の上に突き出ている構造物は何もなく、とりわけ、装置30にはハンドルがないため、利用者の上半身の動きをより自由にする。上達した利用者にとっては、後述の図に示す制動機能のない装置30のほうがより適している。
【0118】
図58は、利用者が歩行している際の装置30の様子を示す側面図である。本図は、利用者の腰の高さまである歩行器の構造とはなっていないため、上半身の動きがより自由になる。
【0119】
図59は、ベルト2を除去して示した装置30の側面図である。
【0120】
図60は、ベルト2を除去して示した装置30の正面図である。
【0121】
図61は、ベルト2を含めて示した装置30の平面図である。
【0122】
図62は、歩行シート34が設置された蝶番付きアーム機構33を示した前面斜視図である。蝶番付きアーム機構33は、引き抜きピン28bでロックされるが、引き抜きピン28bが引き抜かれた状態と、引き抜きピン28bによりロックされた状態が示されている。
【0123】
図63は、蝶番付きアーム機構33および歩行シート34の分解前面斜視図である。シートアタッチメントは、カムレバーロック11を含んでいる。歩行シート1および歩行シート34の主な違いは、屈曲型シート支柱34bの有無である。
【0124】
図64は、移動補助装置40の別の形状の側面斜視図を示すものである。装置40は、サイドフレーム37の代替デザインとなっている。本図は、利用者を正しい位置にしっかりと固定する歩行シート34とベルト2が示されている。装置40には、装置30と同じ蝶番付きアーム機構33および歩行シート34が使用されている。装置40および装置30の主要な違いは、ハンドル36の有無である。これらのハンドル36はT字型をしており、利用者が心地良く掴むことが可能である。装置40を操作しているとき、利用者は、片足あるいは両足により、軽い力(あるいは快適な)で歩行できる。キャスター式前輪機構7および後輪機構8は、利用者の足を介して最小限の力で迂曲・前進が可能であるので、重度障害者でも安全かつ便利に進むことが可能である。
【0125】
図65は、移動補助装置50の別の形状を示す側面斜視図である。装置50は、利用者を固定するためにハーネス23を用いる。装置50は、装置20と同じ蝶番付きアーム機構27を使用している。装置50の部品は、装置40の部品と基本的には同じである。装置40を操作しているとき、利用者は、片足あるいは両足を介し、できる限り軽い力(あるいは快適な)で歩行する。キャスター式前輪機構7および後輪機構8は、利用者の足を介して最小限の力で迂曲・前進が可能であるので、重度障害者は、安全かつ便利に進むことが可能である。
【0126】
図66は、装置の形状をより鮮明に示すためにハーネス23を省いた装置50の側面斜視図である。
【0127】
図67は、装置40および50の両方に使用されているハンドル36を示している。ハンドルの高さ調節機構は、装置10で使用されているスプリングボタンを用いた機構と同じである。
【0128】
図68は、キャリーケース39の展開図である。左側モジュール39a、右側モジュール39d、フォームパッド39bおよび39cが含まれている。
【0129】
図69は、キャリーケース39を閉じた状態を示した図である。構造39eは、車輪収納ケース41の中に収めることができる。
図70により詳しく示されている。
【0130】
図70は、車輪収納ケース41を示している。利用者がキャリーケースを持ち運ぶのではなく、歩行器代わりにキャリーケースを転がして移動したい場合、車輪収納ケース41をケース39から外すことが可能である。
【0131】
図71は、開いた状態のキャリーケース39と中に収納された歩行器を示す図である。車輪収納ケース41は、この状態では取り外されている。
【0132】
図72は、車輪を装着し、車輪収納ケース41を外した状態のキャリーケース39の断面側面図である。
【0133】
図73は、車輪を装着し、車輪収納ケース41を外した状態のキャリーケース39の側面図である。
【0134】
図74は、車輪収納ケース41を取り付けた状態のキャリーケース39の側面図である。
【0135】
図75は、重量タイプの移動補助装置60の前面斜視図である。装置60は、サイドフレーム32、蝶番付きアーム機構33、装置30の歩行シート34、装置10Mの操縦レバー付きLCD17を使用したものである。装置60はベルト2を使用するが、見やすくするため図示を省略している。これらは、電動台座43に搭載されており、利用者は、装置10Mに類似した操作が可能である。装置60は、電動車椅子としての使用に適している。装置10と比較して、通路に邪魔がある場合などでも移動時の操作がしやすい。装置30同様、ハンドルがないものとなっている。
【0136】
図76は、重量タイプの電動式移動補助装置70の前面斜視図である。装置70は、サイドフレーム28、ハンドル26、蝶番付きアーム機構33および装置10の操縦レバー付きLCD17が付いたシート34を使用する。また、装置70はベルト2を使用するが、分かりやすくするため、図面上は省略されている。これらは、電動台座43に搭載されている。利用者は、装置10Mに類似した操作が可能である。装置70は、電動車椅子や電動スクーターとしての使用に適している。装置10と比較して、通路に邪魔がある場合などでも移動時の操作がしやすい。
【0137】
図77は、電動台座43の斜視図である。電動台座43は、マウンティングシャフト43a、前輪キャスター式車輪43b、後輪キャスター式車輪43c、駆動車輪43dおよび台座カバー44を含んだものとなっている。なお、前輪および後輪のキャスター式車輪はいずれも360度自在に回転する。
【0138】
図78は、取り付け具42を介して装置60上に取り付ける操縦レバー付きLCDユニット17を示すものである。システムのホストコントローラーは、装置10M、60または70の動作のすべての側面をコントロールするもので、操作モードでの操縦レバー付きLCDユニット17からの適切な操作シグナルに基づいて、装置10M、60または70の動作を制御することができるものである。コントローラーは、「前進およびバック」の動作と 「左右」のステアリングの操作信号を受信する。システムは、コントロールパネルから入力される操作コマンドに従い、選択されたスピードにてモーターを駆動する。メンテナンスモードでは、駐車以外のいずれの操作コマンドの入力も無視される。メンテナンスモードでは、コントローラーは、駆動制御部を制御し、モーターあるいはギアボックスがニュートラルモードになり、ブレーキあるいはロックが適用されない。駐車モードでは、コントローラーは、モーターを不動とし、ギアボックスあるいはブレーキが適用されるよう、駆動制御部を制御する。コントローラーは、選択されている操作モードの表示、安全性に関するインターロックの表示など、装置のすべての補助機能も管理している。コントローラーは、衝突検出装置および衝突回避システムからの入力信号を受信し、衝突を回避するよう、所定のパラメーター制御などに従って装置の動作をコントロールする。コントローラーは、操作に関するステータス表示を行うすべてのLEDを制御している。コントローラーは、ビープ音でステータスの変更を知らせることもできる。コントローラーは、必要に応じ、外部分析のために、装置の全動作と使用に関するデータのログ出力機能を備えている。また、使用許容時間を管理し、使用許容時間を超過した場合には、運転再開をしないようにしたり、バッテリーの状態を監視してバッテリーの状態が予め設定した使用率を下回っていることを表示したりすることもできる。コントローラーは、USBポートなどのコンピュータポートを介してデータおよびソフトウェアの更新のための手段を有している。コントローラーは、装置10、60あるいは70に対して、ホストコンピューターから要求される暗証番号のキー入力またはUSBポートからの暗証データの入力により使用許容時間をアップデートすることができる。使用時間数をモニタリングすることにより、例えば、バッテリー切れを起こす前にバッテリー電圧が小さくなってきてユニットの動作停止が発生してしまうおそれを予測することができる。
【0139】
システムは、装置10M、60あるいは70の運転可能時間を記録する能力を有する。装置10M、60あるいは70は、運転可能時間が割り当てられた時間に近づいているかどうかを遠隔モニタリングシステムに通知することができる。装置10M、60および70の使用量が記録されることが好ましい。装置10M、60および70は、ホイール15および43dに電力を供給する電流により車輪が回ることができる許容限界レベルを動的に引き上げるオーバーライドシステムを備えることが好ましい。許容限界レベルに達したとき、あるいは、それを上回ったときに運転が停止してしまうが、オーバーライドシステムは、装置10、60あるいは70が急勾配を上っていく際など、装置10、60および70において重量超過があり、1つ以上のホイールが牽引力を失ってしまった場合に作動する。別の実施形態では、装置10M、60あるいは70は、所定の重量限度を超えているか否かを検知するセンサーを有しており、そのような場合には、装置が停止するようになっている。別の実施形態では、装置10M、60または70は、装置の側面に傾斜移動を検知するセンサーを有している。別の実施形態では、装置10M、60及び70は、勾配の傾斜を検知することができる勾配センサーや、装置が限界を越えてしまった場合に、傾いた方向に移動をし続けることを防ぐ運転をするプロセッサーを備えている。
【0140】
その他の実施形態では、Bluetooth(登録商標)などの無線リンク(あるいは有線リンク)を介し、モーターを制御するための適切なソフトウェアを実装しているスマートフォンもコントローラーとして使用することが可能である。スマートフォンは液晶ディスプレイを含んだもので、操縦レバーからの入力をUSBケーブルあるいはBluetoothの送信によって受け取ることができる。
【0141】
さらに、他の実施形態では、装置10M、60または70は、目的物に接触する前に回避あるいは停止することが可能な衝突回避システムを備えている。衝突回避システムは、複数の遠隔赤外線測距トランシーバーを備えている。衝突回避システムは、センサーから0.01メートルから5メートルの範囲、好ましくは、0.01メートルから1.6メートルの範囲に位置する障害物を検出する能力を有する赤外線CCD測距センサーを含んでいる。当該衝突回避システムは、装置10M、60あるいは70の周囲に設定された防護エリアを有する。障害物がこのエリアの内に入った場合に、プログラミングに従って、アラームが作動する。防護エリアの外周は、装置10M、60あるいは70から1メートルから2メートルの範囲が好ましく、例えば、1.2メートル程度が良い。また、防護エリアの内周は、0.01から1メートルの範囲が好ましく、例えば、装置10M、60および70の正面側には0.3メートル程度、側面には0.8メートル程度が良い。障害物が赤外線CCDセンサーで検出されたとき、装置10M、60および70の回避運転を処理するプログラムが起動するよう取り決められている。装置10M、60および70は、定められたエリアで移動することを制御支援するサテライトナビゲーションシステムを含む。あるいは、例えば、家の中に設置されたマーカーをコントローラーが感知することで、家の中での決められた場所への装置移動を支援する。そのようなマーカーとしては、電波式、磁性式、光学式のマーカーなどがある。例えば、ラインセンサーは、ラインを追跡・検出する。ラインセンサーは、赤外線センサーを使用して製造される。これらのセンサーの数およびポジションは検知すべき経路の複雑さによる。装置10M、60および70がライン上にあることを検知されれば、ラインが歩行補助装置のセンターに戻るように歩行補助装置の位置を移動させるように制御する。他の位置決め技術的を採用することも可能である。
【0142】
図79は、台座カバー44の斜視図であり、足載せ台44a、シャフト取り付け開口44d、駆動車輪用の開口44c、駆動システム43fとサスペンション43hを覆うシュラウド44bが図示されている。
台座カバー44は、硬いケースとしてスレッド下にある構造物を保護して隠すとともに利用者の足を置くプラットホームを供給する。
【0143】
図80は、内部の主要部品を示すために、台座カバー44を省いて電動台座43を示したものである。電動台座43は、取り付け支柱43a、前輪43b、後輪43c、駆動車輪43d、バッテリー43e、駆動システム43f、サスペンション43hおよびコントローラーユニット43gを備えている。43dの左右の駆動車輪を同方向に等しい速度で操作することにより、装置60および70は前方または後方に動く。また、装置60および70は、それぞれの駆動車輪が同時に反対方向で回転すれば、小さな半径で曲がることができる。左に大きく曲がる場合は、左の駆動車輪43dの回転速度よりも右の駆動車輪43dの回転速度を大きくすれば良い。右に大きく曲がる場合は逆にすれば良い。各駆動車輪43dに対する回転速度および回転方向に対する支持は、操縦レバー付きLCDコントローラーユニット17を介して行う。
【0144】
図81は、内部の主要部品をより見やすくするために、台座カバー44を取り除いた電動台座43の分解組立図である。電動台座43は、取り付け支柱43a、前輪43b、後輪43c、駆動車輪43d、バッテリー43e、ドライブシステム43f、サスペンション43h、コントローラーユニット43gで構成されている。
より詳しく説明すると、
図1から
図81の実施形態を参照すれば、移動補助装置10、10M、20、20A、30、40、50、60および70は、足から坐骨に体重を移動させる、あるいは、より広くベルトもしくはハーネスを用いて歩行シートから骨盤かけて分散させる。その時、利用者の足は、利用者自身の体重を完全に支えているというよりも、むしろ(自走式の実施形態のための)装置を動かすために使用されている。
本装置を用いれば、足を真っ直ぐにして完全に直立した姿勢(本装置の場合、利用者の踵は地面から浮いており、足の甲を用いてボールをドリブルする姿勢)から、足を体の前方に位置させた姿勢まで(太ももが垂直ではなく、足全体が傾いている姿勢)まで、多様な姿勢が可能である。
【0145】
図82は、リハビリを目的とした場合のコンベア式トレッドミル装置46を装着した歩行補助装置10の使用例を示しているものである。本実施形態では、歩行補助装置10の歩行シートの下部に、小型でスリムな外形を持つコンベア式トレッドミル46が装着されている。コンベア式トレッドミル46を歩行補助装置10に取り付ければ、利用者に足の障害や歩行バランスの問題があったとしても、相対的に静止姿勢でいることが可能となるので、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動を禁じられている利用者でも、長時間の歩行運動が可能となる。コンベア式トレッドミル46が装着された歩行補助装置10を使用すれば、他の方法では、足を鍛えたり、十分なトレーニングを行ったりすることが困難である患者でも健康的に顕著な結果が得られる。コンベア式トレッドミル46が装着された本実施形態では、通常では広い面積を要する場合であっても、限られたスペースで運動を行うことが可能である。コンベア式トレッドミル46には、身体障害者が歩ける台座、台座に軸受けされている一対のローラー、ローラーで回るベルトが含まれている。適応するモーターがローラーを駆動し、ローラーによりベルトが動く。動いているベルトの上部表面がランニング・ウォーキングを行う歩行面である。前方の支柱は、コントロールパネルを支持するため台座から延設されている。このコントロールパネルは、典型的には、コンベア式トレッドミルのオンオフを制御し、また、ベルトのスピードを変える制御を行うものである。コントロールパネルは、ほとんどの場合、選択した速度、走行距離、時間などの操作情報を表示するインジケーターを備えている。利用者は、コントロールパネル上のボタン操作でディスプレイの表示を切り替えることができる。
【0146】
図83は、上記装置の使用プロセスを示すものである。本プロセスは、利用者を受け入れるため、利用者のシートがあり利用者の左右に位置する第1フレームおよび第2フレームの配置の調整を蝶番付きアーム機構の連結にて行い、利用者の両側に据える(102)。次に、利用者は、歩行シートに坐骨を快適に当て、しっかりとかつ快適にベルトで締めて歩行シートに腰を固定する(104)。歩行シートはそのまま足が前後に動くことを特徴であり、利用者は歩行シートに固定された状態で歩行を行う(106)。患者は、治療を進めるにつれ、着座姿勢のような状態から完全あるいはほぼ完全な直立姿勢へと徐々に移行していく(108)。この治療は、指導を行う医療従事者が、患者が直立姿勢をとっていると判断されるまで継続される。患者は、治療を完了すれば、もはや装置を必要とせず(例えば、膝が外科的に回復した場合など)装置なしで歩行することができる。患者が、その後もずっと装置を必要としたとしても(例えば、足に永久的な障害が残った場合など)、装置はその後も継続して使用可能である。
【0147】
ポータブル移動補助装置は、起立姿勢あるいは部分的な起立姿勢の患者が、義足との接触面あるいは、足首、膝、腰、手首、肘、肩関節の負荷や不快感を大幅に減縮しつつ動き回ることを可能にするものである。本歩行補助装置は、車椅子に対する依存度を潜在的に減少させ、あるいは除去する。本歩行補助装置は、コンパクトなサイズで、簡単な操縦性を持ち、利用者に起立姿勢あるいは部分的な起立姿勢をとらせるものであるため、通常は車椅子利用者に必要とされる費用のかかる家やオフィスの改装を施す必要もなくなる。
【0148】
本歩行補助装置は、利用者が歩行している間、手を他の目的に使うことができる。より好ましい実施形態では、車椅子が通過可能な歩道、坂、小道、部屋、屋内施設、屋外施設、(適切に舗装されておれば)多様な地形を通行する際にも、しっかりと利用者を支持することができる。また、本装置はコンパクトに折り畳むことができ、自動車のトランクや飛行機の預託荷物として持ち込みが可能となる。本歩行補助装置は障害者や高齢者を歩行中に支持することができるので、歩行に起因する落下や怪我などのリスクを最小化した歩行訓練を可能とする。このような歩行装置は車椅子への依存度合を減らすことができる。本システムで支援することにより歩行を促し、肌ずれ等を防止することもでき、利用者の血流を改善することもできる。尾?骨への圧迫が軽減され、腰への圧迫低下による血流改善や肌ずれを防止することができる。肌への長時間の圧迫と湿りを低減すれば皮膚炎を防止することもできる。
【0149】
本歩行補助装置には、他にも多くの利点がある。例えば、本装置が支える重量の割合を変更することができる点である。たとえば、患者が、自己の体重の約50%を装置で支持するよう選択する場合には、それに応じ、装置でとる姿勢の高さを調整することができる。足にかける負担の割合をどれくらいにするかは、利用者や医療従事者らが自ら決められ、当該割合は、本装置の使用時の姿勢同様、高さ調整により患者毎に変更することが可能である。
【0150】
車輪機構7及び8は、患者の腕ではなく、足を介して操作される最小限の力にて、自然な前後移動や迂曲することを可能とする。ベルト2およびハーネス23には、自動車や航空機のシートベルトと同タイプ(非伸縮式)のバックルを使用している。したがって、利用者は、使用時には安全性が確保され、即座に降りることができ、また、簡単に調整を行うことも可能である。ベルト2およびハーネス23を備えている歩行シート1は、荷重がかかる部材であるため、快適さの確保は非常に重要である。歩行シート1には、快適さと足の運動性の自由を実現するため、クッション性を重視し、自転車の座席と同様の他の機能を採用した。本実施形態の形状は、楽に自由な足の動きができるよう、歩行シートの前面形状が、先端を切ったような形状となっており、また、長期的に快適でいられるよう、尾?骨に過剰な圧力がかかることを避けるために先端を切ったような形状となっているが、いかなる設計の歩行シートにも代替が可能である。ハーネス23は、バンジージャンプ用のハーネス、ロッククライミングや登山用のハーネスの機能を兼ね備えたものとして設計されている。
【0151】
利用者は、移動しないときには、休憩用の吊り張りシート13を使用してリラックスすることが可能である。吊り張りシート13は、利用者がじっと着座した姿勢になることを可能にする(太腿が水平に位置しており、足は心地よく地面に着いている)。
【0152】
電動台座43とコントローラーユニット43gの設計デザインは、バッテリー制御の車椅子の構成部材に類似している。これは、標準的な充電式バッテリー、駆動モーター、回路基板、操縦レバー、その他バッテリー制御の車椅子に使用される他の共通した部品を含んでいる。電動駆動車輪43dは,電動駆動が可能であり、独立制御されるギアボックスが操作可能に取り付けられており、(小さい半径で回るような)逆方向に操作することも可能である。電動台座43のフレームおよび台座カバー44は、装置60および装置70に固有のものであるが、その他の部品は、他の装置でも採用されているものである。
【0153】
図1から第81までに示した、本実施形態の構成には、溶接され、融合し、ピンで留められ、あるいは、所定の位置にしっかりと固定された管状部材を含んでいる。これらの材料となるのは、金属素材(例えば、アルミ、スチール、チタンもしくはその他の合金のようなもの)や軽量複合材(例えば、黒鉛、ガラス繊維もしくはカーボンファイバーのようなもの)や補強樹脂(例えば、プラスチック樹脂)あるいは、それらの混合部材である。理想的な構造は、軽量かつ構造的に強く、剛性の素材を使用しているものであるが、その他の装置と同様、通常は、素材の選択において、重要事項である重量およびコストとの兼ね合いにおいてトレードオフの関係にある。
【0154】
ある実施形態では、移動補助装置10の全体的なサイズは、幅約21インチ×奥行き約25インチ×高さ約(調整時含む)32〜42インチである。移動補助装置20は、幅約21インチ×奥行き約25インチ×高さ約(調整時含む)32〜42インチである。これらは、利用者の体格に応じて、調整が可能である。
【0155】
車輪は、金属、ゴムタイヤ(空気圧式、固体または他の構造のタイヤ)、プラスチックで構成され、使用目的に応じてサイズが変えられる(直径4インチ程度のより小型車輪、直径8インチ程度の屋内での使用に適しているより大型車輪、あるいは、それ以上大きいより屋外での使用に適しているもの)。
【0156】
ハーネス23、ベルト2、吊り張りシート13およびラッチ用のストラップ25は、主に、ナイロンあるいは同類の素材およびワイヤー、ケーブル、ゴムあるいはプラスチック部品など、形状、強度、快適さ、調整機能を供給する素材を含み、軽量で強力な布地で作られている。
【0157】
移動補助装置10から70は、平均身長および平均体重の成人に適したサイズとなっている。高さ調節は、共通設計として、利用者の要望に合わせて平均未満から平均以上の高さへの変化に適応可能なものとなっている。高さ調節は、装置の通常時の高さからプラスマイナス4インチ以上確保されている。
【0158】
ハーネス23は、約28インチから42インチ、あるいは、より大きいウエストのサイズに対応することが可能である(サイズを大きくすると、より快適になる)。ハーネス23および歩行シート1は、より快適に男女間の違いにも適応できる調整が可能である。
【0159】
車輪機構7および8は、装置の重心から比較的離れている(約12〜15インチ)ため、装置は、非常に安定性があり、車椅子用通路の傾斜上で動作する場合でも転倒しにくいものとなっている。
【0160】
本実施形態では、装置を運送する人が、必要に応じ、装置を運ぶというよりも車輪を転がして移動することができる。
【0161】
車輪は、主に室内で装置を使用する利用者に対する屋内用と、主に屋外で装置を使用したいと考える利用者に対する屋外用とは、異なる特性のものとなる。
【0162】
本装置のバリエーションとしては、ブレーキやサスペンションシステム(舗装状態の悪い歩道や段差の揺れを減縮するため)、その他患者の利便性や快適性を増す他のオプション(かご入れ、ボトルホルダー、カップ・ホルダー、携帯電話スタンド、傘ホルダーなど)の搭載が可能である。
【0163】
これらのバリエーションは、図示はされていないが、想定されているものである。例えば、移動補助装置10のいくつかの実施形態では、ポケット構造は、フレーム3の一方の内面に設けられる。ポケット構造は、例えば、接着剤など当業者に既知の手段にてフレーム3に対して固定されている細長い第1のポケット取り付け体を備えており、さらに、細長い第2のポケット取り付け体を第1のポケット取り付け体に対して取り付けることも可能である。第2のポケット取り付け体は第1のポケット取り付け体に対して着脱可能で取り付けることも可能である。1個以上のポケットを第2のポケット取り付け体に取り付けることによりポケットを設ける。従って、利用者は、様々なアイテム(図示せず)をポケットに入れ、移動補助装置10を展開することが可能である。
【0164】
ベルト2をサイドフレーム(例えば、サイドフレーム3)と他のベルトやバックルに接続したデザインとすることもできる。図面上に示されているものは、より単純な構成のものの一例に過ぎない。他の手段を介する構造にラッチ取り付け紐25、ケーブル、ロープ、布を介し、あるいは、シンプルな直接的なラッチ金具を介してハーネス23を取り付けるという代替案によっても、このような連結を行うことが可能である。
【0165】
サイドフレームを配置する他の方法もある。サイドフレームを均等に利用者の前後に位置し、利用者が装置の側方から入る。蝶番付きアーム機構は、フレーム間で接続する複数のアームからなる。蝶番付きアームは、利用者の正面ではなく、上記した説明の図面のように、利用者の背後に配置することが可能である。
【0166】
可能な他の構成は、サイドフレームに吊り張りシート13を接続する方法である。なお高さ調節機能を実現するために複数の方法がある。自転車のシートに対して可能なバリエーションと同様、歩行シート1にも様々な構成がある。まず、多様な形状があり得る。剛性および半剛性シート、サイドフレームの代わりに蝶番付きアーム部材に対して取り付ける構造のシート、折り畳み式の剛性シートなど、多様なシート13の形状がある。歩行シートへの固定方法にも他の方法があり得る。上記実施例に説明されたものは、最も単純かつ最も汎用性のある構造である。
【0167】
実施形態のうち装置60および装置70が、電動台座43のオプションの操作を示すものであるが、電源は、一例として、電気コンセントの商用電源、太陽電池、あるいは内燃エンジンによって代替的に利用可能である。電動台座の構成で説明したものとは異なり、利用者の足が地面に接触するものも代替構成として可能である。
【0168】
ハーネス23は、2つ以上の分離可能な部品から構成され得る。ひとつは、所定の位置にしっかりと患者を固定する部材(例えばベルト2のような)であり、もうひとつは、坐骨の下で利用者を支持する構造物である。さらに、ハーネス23のバリエーションは、本実施形態の構成部材に取り付けるハーネスが複数本あっても良いし、他の取り付け手段であっても良い。例えば、体重を支える「パンツ型」あるいは「スカート型」(図示していない。)、あるいは空気圧式のリフトベルト(図示していない。)、あるいは、その他、骨盤や坐骨の支持を可能にしつつ足の自由な動きを可能にして体重を足から移動させる手段であっても良い。
【0169】
高さ調節機能については、多くのオフィス用チェアの高さ調整用として用いられている空気圧式スプリングのような代替手段もある。デバイスは、粗い表面上の感触を滑らかにするために、車輪機構7あるいは車輪機構8に緩衝機構を組み込むことができる。
【0170】
本実施形態の利点は、ハーネスあるいは歩行シートおよびベルト使用して体重を支えながら、患者が、制限なく、長時間、直立姿勢あるいはほぼ直立姿勢で動き回ることができる点である。これは、関連する関節や義足の接触面から痛みや不快感を軽減することができる。多くの利用者が、車椅子やスクーターに乗るよりも、より直立した姿勢で動き回ることを好むと期待される。
【0171】
加えて、本装置は、利用者が動けなくなって足や関節を使用するのが極めて制限された状態にて治療を行う初日から、ダメージを受けた身体機能が最終的かつ完全に回復する日まで、移動することに順応できるようにリハビリの全過程をサポートするように設計されている。
【0172】
本実施形態の顕著な利点は、利用者が、自らの重量の支持あるいは装置の操作を腕や肩に頼らないため、利用者はより自由に動くことができ、腕を他の用途に使用できるという点である。利用者は、他の用途のために、ハンズフリーで装置を操縦し、歩行することが可能である。これは、利用者がより能動的に様々な活動に参加し、より大きな困難の克服を達成することを可能にする。
【0173】
さらに、例えば、直立あるいはほぼ直立姿勢のまま移動することによって、利用者が車椅子で移動しやすいよう、自宅のキッチンやオフィスあるいは他の設備の改造する必要もなくなる。多くのケースで、利用者は、当たり前のように、運動障害なく、家電製品やトイレやその他の設備等を利用できるであろう。現在、入手可能な従来型の移動補助装置と比較すると、本実施形態の歩行補助装置にはたくさんの他の有形、無形の利点がある。
【0174】
本実施形態によれば、利用者がしっかりと歩行補助装置に支えられ、また、移動補助装置を能動的に操作しながら、利用者が直立あるいは直立姿勢に近い姿勢をとることが可能になる。
【0175】
ハーネスとベルト付の歩行シートは、開示されたものは例示にすぎず、それ以外の選択肢も用意されている。加えて、本実施形態は、説明した構造物の複数のデザイン案のほか、装置を介して患者の体重を地面や床に移すことを可能とする他のデザインもあり得る。いずれも本実施形態を限定するものとみなすべきではない。
【0176】
本明細書で開示したことは、現状でのベストモードであると考えたものであるが、本発明の技術的範囲は、様々なバリエーション、組み合わせ、均等物の範囲や代替物の事例などを含めて解釈すべきである。
以上より、本実施形態は、上述の実施形態、方法および実施例のみに限定されるべきではなく、本発明の趣旨を汲み、発明の範囲すべてに及ぶと解釈されるべきである。