(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が進入可能な進入口と、前記進入口よりも下方に設けられ、前記進入口を介して進入してきた遊技球を検知する第1検知手段及び第2検知手段と、前記進入口と前記第1検知手段や前記第2検知手段とをつなぐように左右へ二股に形成された流路と、前記流路の二股部に前後方向を軸として回動可能に設置され、前記進入口を介して遊技球が進入してくる度に、前記第1検知手段へつながる前記流路側へ傾倒し、遊技球を前記第1検知手段へ導く第1傾倒姿勢と、前記第2検知手段へつながる前記流路側へ傾倒し、遊技球を前記第2検知手段へ導く第2傾倒姿勢とで交互に姿勢をかえながら遊技球を振り分ける遊技球振分手段とを備えた振分手段を備えた遊技機であって、
前記遊技球振分手段の前記軸よりも上方となる位置に、前方若しくは後方へ突出する円柱状の作用突起を設ける一方、
前記遊技球振分手段よりは重い錘手段を、上下方向へスライド自在に、且つ、下面が前記作用突起に対して上方から当接するように設けており、
前記遊技球振分手段が前記第1傾倒姿勢若しくは前記第2傾倒姿勢をとる際、前記錘手段は自重により下方位置に位置して、前記遊技球振分手段を前記第1傾倒姿勢若しくは前記第2傾倒姿勢で維持する一方、
前記遊技球振分手段が前記姿勢をかえる際、前記作用突起は、前記錘手段を押し上げながら前記錘手段の前記下面上を移動した後、その移動軌跡において最上点を通過すると、自重により前記下方位置へと復帰しようとする前記錘手段に押されながら前記下面上を移動するようになっており、
さらに、前記錘手段の下面のうち、少なくとも前記姿勢の変更に伴い前記作用突起が移動する範囲の面を、中央部が左右両端部よりも下方へ膨出する湾曲面として形成したことを特徴とする遊技機。
前記錘手段に錘体を収納可能な収納部を設け、前記収納部へ前記錘体を収納するか否かや前記収納部へ収納する前記錘体の重さの違いにより、前記錘手段の重さを調節可能としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態となるパチンコ機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0010】
(パチンコ機の全体的な説明)
図1は、パチンコ機1を前面側から示した説明図である。また、
図2は、遊技盤2を前面側から示した説明図である。さらに、
図3は、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。
パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、左端縁を軸として片開き可能に機枠3に蝶着されており、該前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
【0011】
当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23及び内レール24等によって囲まれており、遊技領域16に左部における両レール23、24間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の略中央には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6が設けられている。さらに、演出用表示部6を囲むように電動役物等を備えたセンター部材26が遊技盤2に設置されており、該センター部材26の下方には、遊技球が進入可能で、内部に第1検知センサ36(
図5に示す)及び第2検知センサ38(
図5に示す)を備えた振分装置30が設置されている。また、センター部材26の左方には、遊技球が流下可能な左打ち用スペースSLが形成されており、左打ち用スペースSLを流下する遊技球に限り、振分装置30へ進入し得るようになっている。
【0012】
一方、センター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。また、該右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20が設けられている。さらに、センター部材26の右部には、開閉動作可能な翼片を備えた翼片付き電動役物17が設けられている。該翼片付き電動役物17は、開状態になると翼片が右打ち用スペースSR内へ突出し、センター部材26の右部に設けられた開口を開放して、センター部材26内部に設けられた入賞口への遊技球の入賞を可能とする一方、閉状態になると翼片が開口を閉塞し、遊技球の入賞を不可能とするようになっている。加えて、右打ち用スペースSRの下部には、開閉可能な扉部材を有する大入賞装置18が設置されている。そして、遊技球を左打ち用スペースSLではなく右打ち用スペースSRを流下させることにより、ゲート部材20を通過させたり、開状態にある翼片付き電動役物17へ入賞させたりすることができるとともに、開成した大入賞装置18へ効率良く入賞させることができる。なお、センター部材26の左右を問わず、遊技領域16の略全面には多数の遊技釘(図示せず)が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、特別図柄を表示するための7セグメント表示器からなる第1特別図柄表示部(図示せず)、第2特別図柄表示部(図示せず)、及び第3特別図柄表示部(図示せず)が設けられている。
【0013】
また、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、及び供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い夫々機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な押しボタン25が設けられている。
さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する夫々一対のスピーカ14、14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15、15・・が設けられている。
【0014】
一方、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、及び各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、21は、合成樹脂製のカバー状に形成されたセンターカバーであって、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂大当たり抽選等)を実行するためのメイン制御装置(図示せず)、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置(図示せず)、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置(図示せず)、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置(図示せず)、及び表示制御装置や音制御装置等の動作を統合的に制御するサブ制御装置(図示せず)等が設置されている。尚、22は、パチンコ機1をトランスに接続するためのプラグであり、27は、アースである。
【0015】
以上のようなパチンコ機1では、遊技者はハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、まずは左打ち用スペースSLを流下させて振分装置30への遊技球の進入を狙う。振分装置30へ進入した遊技球は、後述の如くして第1検知センサ36と第2検知センサ38との何れか一方の検知センサで検知されることになる。そして、第1検知センサ36や第2検知センサ38での遊技球の検知に起因して所謂大当たり抽選を実行し、当該大当たり抽選の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部及び演出用表示部6に夫々所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7、7、7」と確定表示させる)。また、「大当たり図柄」が確定表示されると、大入賞装置18を所定回数にわたって断続的に開成させるといった所謂「大当たり状態」が生起する。そこで、遊技者は、右打ち用スペースSRを流下させる「右打ち」を行い、断続的に開成する大入賞装置18への遊技球の入賞を狙う。
なお、第1検知センサ36における遊技球の検知に伴う特別図柄の変動/確定表示は、第1特別図柄表示部において行われる。一方、第2検知センサ38における遊技球の検知に伴う特別図柄の変動/確定表示は、第2特別図柄表示部において行われる。また、所謂保留数は、各検知センサ36、38毎に4個ずつとなっており、最大で合計8個まで保留可能となっている。
【0016】
また、大当たり状態終了後、第1〜第3特別図柄表示部での合計の図柄の確定表示回数が所定回数に達するまで、翼片付き電動役物17が頻繁に開状態となる所謂時短状態が生起する。そこで、遊技者は、当該時短状態が終了するまで「右打ち」を継続して、ゲート部材20への遊技球の通過、及び翼片付き電動役物17への遊技球の入賞を狙う。そして、第1〜第3特別図柄表示部での合計の図柄の確定表示回数が所定回数に達して時短状態が終了すると、「右打ち」を止めて左打ち用スペースSLを流下させる上記遊技へと戻る。
なお、翼片付き電動役物17は、遊技球のゲート部材20への通過検知をもって実行される抽選結果に応じて開状態となる。また、翼片付き電動役物17における遊技球の検知に伴う特別図柄の変動/確定表示は、第3特別図柄表示部において行われる。
【0018】
ここでまず、本発明の要部となる振分装置30の構造について、
図4〜
図6にもとづき詳細に説明する。
図4は、振分装置30の外観を前側から示した斜視説明図である。
図5は、分解状態にある振分装置30を前側から示した説明図である。
図6は、分岐流路48内で振分部材33が第1傾倒姿勢にある状態を前側から示した説明図である。
【0019】
振分装置30は、進入口31を介して本体ケース32内へ進入した遊技球を、振分部材33によって左側の第1流路34と右側の第2流路35との何れかへ振り分け、第1流路34へ振り分けた場合には第1検知センサ36を通過させた後に第1排出口37から、第2流路35へ振り分けた場合には第2検知センサ38を通過させた後に第2排出口39から、夫々本体ケース32外へと排出させるためのものである。そして、そのような振分装置30は、前ケース40、中ケース41、及び後ケース42からなる本体ケース32と、前後方向を軸として左右方向へ回動可能に組み付けられる振分部材33と、上下方向へスライド可能に組み付けられる錘部材43と、遊技球の通過を検知可能な第1検知センサ36及び第2検知センサ38と、第1検知センサ36及び第2検知センサ38が接続される電子基板80とを有している。なお、第1検知センサ36及び第2検知センサ38は、遊技球が通過可能な通過孔を有するものであって、従来よりゲート部材20等において一般的に使用されているものと同じである。
【0020】
前ケース40は、後面に開口する箱状体であって、上面には遊技球を本体ケース32内へ進入させるための進入口31が開設されている。また、前ケース40の後面で、進入口31の下方となる位置には、振分部材33の回動軸44の前端部を軸支するための軸受け(図示せず)が設けられている。さらに、前ケース40の後面における左右両下部には、第1検知センサ36や第2検知センサ38の前端部を保持するための前保持部45、45が設けられている。さらにまた、各前保持部45の下方は開口しており、第1排出口37や第2排出口39となっている。加えて、前ケース40の後面には、進入口31から左右斜め下方へ延設された流路リブ46、46や、軸受けの下方で左右方向へ延設される分岐リブ47等が設けられており、振分部材33よりも下流側で流路リブ46や分岐リブ47等に挟まれたスペースであって、振分部材33の設置位置から第1排出口37へ至るスペースが第1流路34となり、振分部材33の設置位置から第2排出口39へ至るスペースが第2流路35となっている。すなわち、前ケース40の後面に、進入口31と第1排出口37及び第2排出口39とを連通する略逆Y字状の分岐流路48が設けられている。
【0021】
中ケース41は、前ケース40と後ケース42との間を前後で仕切るように組み付けられるケース体である。該中ケース41の前面は、前ケース40よりも大きな板状に形成されており、前ケース40を組み付けた際に前ケース40よりも外方へ鍔状に突出する部位に、振分装置30を遊技盤2に設置するための設置部50、50・・が設けられている。また、中ケース41の前面上部には、振分部材33の後部を収容可能な収容凹部51が設けられているとともに、収容凹部51内で、前ケース40を組み付けた際に軸受けと対向する位置には、回動軸44の後端部を軸支するための軸受け52が設けられている。さらに、収容凹部51内の軸受け52よりも上側には、上方へ膨出する円弧状の貫通孔53が設けられており、振分部材33を収容凹部51内へ取り付けた際に、振分部材33の作用突起65を中ケース41の後方へ突出可能としている。さらにまた、中ケース41の前面下部で、前ケース40を組み付けた際に前保持部45、45と対向する位置には、前保持部45に保持されている第1検知センサ36や第2検知センサ38を、前保持部45ごと挿通させた状態で保持する保持孔54、54が設けられている。加えて、中ケース41の後面で、貫通孔53よりも上側となる位置には、錘部材43を吊設するための吊設軸75の前端部を固定するための前固定部(図示せず)が設けられている。さらに、中ケース41の後面には、電子基板80の固定スペースを囲むべく後方へ突設されたリブ55、後ケース42をネジ止めするためのネジ止め部56、56・・等も設けられている。
【0022】
後ケース42は、前面に開口する箱状に形成されており、中ケース41の後面に設けられたリブ55により囲まれるスペースを後側から覆うように組み付けられる。該後ケース42の上部前面側には、錘部材43を左右から挟み込むように収容可能で、錘部材43の上下方向へのスライドを案内する一対の案内リブ57、57が上下方向に延設されている。また、案内リブ57、57間となる位置で、中ケース41へ組み付けた際に前固定部と対向する位置には、吊設軸75の後端部を固定するための後固定部(図示せず)が設けられている。さらに、中ケース41のネジ止め部56、56・・と対応する位置には、ネジ孔58、58・・が設けられている。
【0023】
振分部材33は、左右対称形状の前面視略三角形に成形された基板60を有してなり、該基板60の下部で中心線上となる位置には、回動軸44を取り付けるために前後方向へ貫通する回動軸孔を備えた回動軸取付部61が設けられている。また、基板60の前面には、回動軸孔を中心として120°間隔で放射方向へ延びる3つのリブが立設されており、上方へ延びるリブは、先端部が先細り状に形成された塞止リブ62となる。一方、塞止リブ62を中央として左側(第1流路34側)へ延びるリブは、第1誘導リブ63となり、右側(第2流路35側)へ延びるリブは、第2誘導リブ64となる。さらに、基板60の後面上端部で中心線上となる位置(回動軸孔の上方となる位置)には、後方へ突出する円柱状の作用突起65が設けられている。なお、基板60の前後方向での厚みは、収容凹部51の前後方向での深さと略同じとなっている。また、回動軸取付部61と作用突起65との上下方向での距離は、軸受け52と貫通孔53との上下方向での距離と同じとなっており、振分部材33を収容凹部51内に取り付けると、作用突起65が、貫通孔53を介して中ケース41の後面側へ突出するようになっている。
【0024】
錘部材43は、中央部66と、中央部66から左右両側へ一体的に突出する左側部67及び右側部68とを備え、左右方向での長さが案内リブ57、57間と略同一とされたブロック体であって、その重さは振分部材33よりも重く、且つ、遊技球1個よりも軽くなっている。また、錘部材43の前面は鉛直面に平行な平坦面として成形されており、中央部66の上部には、錘部材43を取り付けるための吊設軸75が前後方向に貫通するガイド孔69が穿設されている。このガイド孔69は上下方向へ長い長孔として形成されており、吊設軸75を貫通させることにより、錘部材43は、吊設軸75がガイド孔69を相対的にスライドする格好で、吊設軸75がガイド孔69の上端に当接する下方位置と、吊設軸75がガイド孔69の下端に当接する上方位置との間をスライド可能となっている。さらに、中央部66の下面は、左右両端部よりも中央が下方へ膨出する円弧面70として形成されている。一方、左側部67及び右側部68の後面には、図示しない錘体を収納可能な収納空間71が夫々設けられている。さらに、左側部67及び右側部68の外側の側面における上端部及び下端部には、案内リブ57の内面に当接する突条部72、72が夫々前後方向に延設されている。
【0025】
上述したように構成される前ケース40、中ケース41、後ケース42、振分部材33、及び錘部材43は、以下のように振分装置30として組み立てられる。
まず、振分部材33に回動軸44を取り付け、中ケース41の前側から回動軸44の後端を軸受け52に差し込んで振分部材33を中ケース41の前面側に取り付ける一方、前ケース40において第1検知センサ36及び第2検知センサ38を前保持部45、45に保持させた状態として、第1検知センサ36及び第2検知センサ38を前保持部45、45ごと保持孔54、54へ挿通させるとともに、回動軸44の前端を軸受けに差し込んで、前ケース40を中ケース41の前面側に組み付ける。また、吊設軸75をガイド孔69に挿通させ、中ケース41の後側から吊設軸75の前端を前固定部に差し込んで錘部材43を中ケース41の後面側に取り付ける一方、案内リブ57、57間に錘部材43を位置させながら吊設軸75の後端を後固定部に差し込んで、後ケース42を中ケース41の後面側に組み付ける。最後に、ネジ等を用いて前ケース40、中ケース41、及び後ケース42を一体化して本体ケース32を組み立てれば、振分装置30は組み立て完了となる。なお、錘部材43の収納空間71には、必要に応じて錘体を収納させておく。
【0026】
そして、上述の如く組み立てられた振分装置30では、振分部材33は、本体ケース32内で中ケース41の前面側に形成される分岐流路48内において、進入口31の下方で、第1流路34と第2流路35とを左右に仕切る位置(すなわち、流路の二股部)にある。そして、基板60が収容凹部51内に収容された状態で、右側に傾倒して塞止リブ62と第1誘導リブ63との間の空間が進入口31側へ向く第1傾倒姿勢と、左側に傾倒して塞止リブ62と第2誘導リブ64との間の空間が進入口31側へ向く第2傾倒姿勢との間を、回動軸44を軸として回動可能となっている。また、中ケース41の後面側では錘部材43が下方位置にあり、中ケース41の後面側へ突出している作用突起65が、振分部材33が第1傾倒姿勢にあると錘部材43における中央部66の円弧面70の右端(
図8に示すように後面側から見ると左端)に、振分部材33が第2傾倒姿勢にあると円弧面70の左端(
図13に示すように後面側から見ると右端)に当接している。そして、錘部材43の重さにより、振分部材33を第1傾倒姿勢若しくは第2傾倒姿勢で維持している。そして、振分部材33が第1傾倒姿勢と第2傾倒姿勢との間で回動する際、作用突起65は、錘部材43を下方位置から押し上げたり、錘部材43により押し下げられたりしながら円弧面70上を左端から右端へ、若しくは、右端から左端へ移動するようになっている。
【0027】
次に、振分装置30による遊技球の振分動作について、
図6〜
図13をもとに説明する。
図7は、中ケース41の前面側で振分部材33が第1傾倒姿勢にある状態を示した説明図である。
図8は、振分部材33が第1傾倒姿勢にある場合の中ケース41の後面側を示した説明図である。
図9は、中ケース41の前面側で振分部材33が第1傾倒姿勢と第2傾倒姿勢との間を移動中である状態を前側から示した説明図である。
図10は、振分部材33が第1傾倒姿勢と第2傾倒姿勢との間を移動中である場合の中ケース41の後面側を示した説明図である。
図11は、分岐流路48内で振分部材33が第2傾倒姿勢にある状態を前側から示した説明図である。
図12は、中ケース41の前面側で振分部材33が第2傾倒姿勢にある状態を示した説明図である。
図13は、振分部材33が第2傾倒姿勢にある場合の中ケース41の後面側を示した説明図である。
【0028】
当初、振分部材33は第1傾倒姿勢にあるとする。第1傾倒姿勢にある振分部材33は、上述したように右側に傾倒して塞止リブ62と第1誘導リブ63との間を上方(すなわち進入口31側)へ向けている(
図6、
図7)。また、第1傾倒姿勢にある振分部材33の作用突起65は、貫通孔53の右端に位置しているとともに、下方位置にある錘部材43の円弧面70の右端に当接している(
図8)。ここで、遊技球が進入口31から分岐流路48内へ進入して振分部材33上へ落下すると、振分部材33は、塞止リブ62と第1誘導リブ63との間で遊技球を受け止めた後、遊技球の重さ及び流下してきた勢い等により第1誘導リブ63が押圧され、第2傾倒姿勢側へと回動を開始する。このとき、遊技球が振分部材33に作用することで、作用突起65は、錘部材43を上方へ押し上げながら円弧面70上を左側へ移動する。そして、振分部材33は、塞止リブ63が垂直上方を向く起立姿勢へと達する(
図9)頃に遊技球を第1流路34へ流入させるものの、自身の重心が回動軸44の垂直上方から第2傾倒姿勢側へ移動すること、錘部材43により作用突起65が下方(貫通孔53の形状により第2傾倒姿勢側となる)へ付勢されること等により、振分部材33は、第2傾倒姿勢側への回動を継続し、作用突起65が貫通孔53の左端に達したことをもって、左側に傾倒して塞止リブ62と第2誘導リブ64との間の空間を進入口31側へ向けた第2傾倒姿勢をとる(
図11、
図12)。このとき、錘部材43は、塞止リブ63が垂直上方を向く起立姿勢へと達した際に上方位置に位置した(
図10)後、作用突起65が円弧面70上を更に左方へ移動する(作用突起が移動軌跡における最上点を通過する)ことをもって自重により下方への移動を開始し、振分部材33を第2傾倒姿勢側へ押圧する。そして、振分部材33が第2傾倒姿勢をとることで、錘部材43は下方位置に復帰し、円弧面70の左端に作用突起65が当接した状態となる(
図13)。なお、第1流路34へ流入した遊技球は、第1検知センサ36により検知された後、第1排出口37から振分装置30の下方へ排出される。
【0029】
そして、次に遊技球が進入口31から分岐流路48内へ進入し振分部材33上へ落下すると、振分部材33は、今度は塞止リブ62と第2誘導リブ64との間で受け止めた後、遊技球の重さ及び流下してきた勢い等により第2誘導リブ64が押圧され、第1傾倒姿勢側へと回動を開始する。そして、振分部材33は、上記第1傾倒姿勢から第2傾倒姿勢へと姿勢をかえた一連の動作の逆の動作をたどり、第2傾倒姿勢から第1傾倒姿勢へと姿勢をかえて、遊技球を第2流路35へ流入させる。また、錘部材43についても、下方位置から一旦上方位置に達した後、再び下方位置へ復帰するといった上記同様の動作をたどる。なお、第2流路35へ流入した遊技球は、第2検知センサ38により検知された後、第2排出口39から振分装置30の下方へ排出される。
このようにして振分装置30では、遊技球を1個ずつ交互に第1流路34と第2流路35とへ振り分ける。
【0030】
(本実施形態のパチンコ機による効果)
以上のような構成を有する振分装置30を備えたパチンコ機1によれば、振分部材の回動軸44よりも上方となる位置に、後方へ突出する作用突起65を設ける一方、振分部材33よりは重く、遊技球1個よりは軽い錘部材43を、上下方向へスライド自在に、且つ、円弧面70が作用突起65に対して上方から当接するように設けており、振分部材33が第1傾倒姿勢若しくは第2傾倒姿勢をとる際、錘部材43は自重により下方位置に位置して、振分部材33を第1傾倒姿勢若しくは第2傾倒姿勢で維持する一方、振分部材33が第1傾倒姿勢と第2傾倒姿勢との間で姿勢をかえる際、作用突起65は、錘部材43を押し上げながら円弧面70上を移動した後、その移動軌跡において最上点を通過すると、自重により下方位置へと復帰しようとする錘部材43に押されながら円弧面70上を移動するようにした。したがって、モータ等を要することなく遊技球を振り分けることができ、振分装置30の小型化やそれに伴う設置スペースの省スペース化、低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、作用突起65を円柱状に形成する一方、錘部材43の下面のうち、振分部材33の姿勢の変更に伴い作用突起65が移動する範囲の面を、中央部が左右両端部よりも下方へ膨出する円弧面70として形成しているため、作用突起65と円弧面70との接触領域を減らすことができる。したがって、作用突起65の円弧面70上の移動がスムーズになり、ひいては遊技球の振分動作を確実且つスムーズに行うことができる。
さらに、錘部材43の左側部67及び右側部68に錘体を収納可能な収納空間71を夫々設けており、収納空間71へ錘体を収納するか否かや収納空間71へ収納する錘体を重さの異なる他の錘体に交換する等により、錘部材43の重さを調節可能としている。したがって、遊技場により使用する遊技球の重さが異なっている等したとしても、錘部材43を重さの違うものに交換する等することなく対応することができる。
【0032】
(本発明の変更例について)
なお、本発明の遊技機に係る構成は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、遊技機全体の構成は勿論、振分手段等に係る構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更可能である。
【0033】
たとえば、上記実施形態では、錘手段の下面のうち、作用突起が姿勢の変化に伴う移動する範囲のみを湾曲面として形成しているが、それよりも広範囲を湾曲面としてもよいし、錘手段の下面(特に作用突起が姿勢の変化に伴う移動する範囲)を平坦面として構成することも可能である。なお、湾曲面が必ずしも円弧面である必要のないことは言うまでもない。
また、作用突起についても、上記実施形態では円柱状としているが、上半分のみが円周面となり、下半分は角柱状として形成されているような形状であってもよく、作用突起をどのような形状とするかは適宜設計変更可能である。
さらに、錘手段に錘体を収納可能とするか否かについても、言うまでもなく設計変更可能である。
【0034】
さらにまた、作用突起を前方へ突出させ、遊技球振分手段の前方に錘手段を設けるといった構成を採用することも可能であるし、本体ケースを前ケースと後ケースとの2部材からなるものとしてもよい。
またさらに、錘手段を上下方向へスライド自在に設けるにあたり、どのような構成を採用するかについても吊設軸と長孔との組み合わせによる上記実施形態の構成に何ら限定されることはなく、案内リブや突条部の有無等についても適宜設計変更可能である。
【0035】
加えて、上記実施形態では、遊技機の一例であるパチンコ機について説明しているが、本発明は、たとえば封入式パチンコ機等といった他の遊技機に対しても当然適用可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(例えば、遊技球振分手段や振分手段、錘手段、収納部等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、敢えて特許請求の範囲等において特定していない限り、何れも当業者であれば容易に考えられる事項である。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異を有する遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。