特許第6393919号(P6393919)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特許6393919-シュリンクラベル 図000002
  • 特許6393919-シュリンクラベル 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393919
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】シュリンクラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/04 20060101AFI20180913BHJP
   G09F 3/02 20060101ALI20180913BHJP
   B65D 25/36 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   G09F3/04 C
   G09F3/02 G
   B65D25/36
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-208963(P2012-208963)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-63083(P2014-63083A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】松永 剛輔
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−087438(JP,A)
【文献】 特開平01−192599(JP,A)
【文献】 特開2007−076260(JP,A)
【文献】 特開2002−145226(JP,A)
【文献】 特開平10−301496(JP,A)
【文献】 特開2003−200965(JP,A)
【文献】 特開平07−052311(JP,A)
【文献】 特開2008−230233(JP,A)
【文献】 特開2011−215396(JP,A)
【文献】 特開2002−059694(JP,A)
【文献】 特開2009−279868(JP,A)
【文献】 特開2008−119998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00− 3/20
B65D 23/00−25/56
B65D 65/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B44C 1/16− 1/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面の模様を基材フィルムを介して外側から視認可能なシュリンクラベルにおいて、
基材フィルムの内面にはUV硬化型のインキからなる所定領域のカラーインキ層が印刷により形成されており、該カラーインキ層には、該カラーインキ層が形成されずに残った所定形状の色抜き模様部が設けられており、
該色抜き模様部を内側から覆うように、カラーインキ層の内側にはUV硬化型の接着剤からなる厚さ1〜2μmの透明な接着剤層が印刷により形成されており、
接着剤層は、色抜き模様部におけるエッジまで基材フィルムの内面に印刷により形成されていると共に色抜き模様部の周囲におけるカラーインキ層の内面にも印刷により形成されており、
該接着剤層の形成領域に金属光沢層としての蒸着層が転写により形成されており、
最内層には滑り層が形成されていることを特徴とするシュリンクラベル。
【請求項2】
基材フィルムの外面には、色抜き模様部に対応して前記所定形状のニスコーティング層が形成されている請求項記載のシュリンクラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度の金属光沢を有する模様が施されたシュリンクラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属光沢を有する所定形状の模様をラベルに施す手法としては、いわゆるホットスタンプ法と呼ばれるものとコールドスタンプ法と呼ばれるものがある(下記特許文献1,2)。ホットスタンプ法は、所定形状の模様に対応した凸部が形成されたスタンプ体を加熱し、感熱接着剤と金属箔とが積層された転写箔フィルムをスタンプ体によってラベル基材に押し付けて、スタンプ体の凸部に対応した所定形状の金属箔を感熱接着剤を介してラベル基材に転写させるというものである。かかるホットスタンプ法の場合には、細かい模様や先鋭な模様であっても、その模様のエッジをシャープに表現することができるという利点がある。しかしながら、熱収縮性を有するシュリンクフィルムには用いることができない。
【0003】
これに対してコールドスタンプ法は、ラベル基材に予め所定形状の模様に対応して接着剤を塗布しておき、そこに転写箔フィルムを押し付けることによって、接着剤が塗布された部分に金属箔を転写させるというものである。この場合には加熱したスタンプ体を使用しないため、熱収縮性を有するシュリンクフィルムにも適用することができる。しかしながら、予め塗布した所定形状の接着剤が転写箔フィルムを押し付ける際の押圧力によって僅かに押し広げられるために、細かい模様や先鋭な模様の場合には模様のエッジや先端部が丸味を帯びてシャープさに欠けるという問題がある。
【0004】
尚、シュリンクラベルの内面に所定形状の窓を有する印刷層を形成し、該窓の内側に、内面に蒸着層を有するタックラベルを貼着するという手法もある(下記特許文献3)。この構成の場合には、印刷層の窓を介して蒸着層を視認するものであるため、蒸着層自体を所定形状に正確に形成する必要がなく、印刷層によって所定形状の窓を形成すればよいので正確な形状を容易に形成することができるという利点がある。しかしながら、内面にタックラベルを貼着するものであるため製造が複雑となり高コストであるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3263151号公報
【特許文献2】特許第4707818号公報
【特許文献3】特開2002−87438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、金属光沢を有する模様のエッジをシャープに表現することができるシュリンクラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係るシュリンクラベルは、内面の模様を基材フィルムを介して外側から視認可能なシュリンクラベルにおいて、基材フィルムの内面にはUV硬化型のインキからなる所定領域のカラーインキ層が印刷により形成されており、該カラーインキ層には、該カラーインキ層が形成されずに残った所定形状の色抜き模様部が設けられており、該色抜き模様部を内側から覆うように、カラーインキ層の内側にはUV硬化型の接着剤からなる厚さ1〜2μmの透明な接着剤層が印刷により形成されており、該接着剤層は、色抜き模様部におけるエッジまで基材フィルムの内面に印刷により形成されていると共に色抜き模様部の周囲におけるカラーインキ層の内面にも印刷により形成されており、該接着剤層の形成領域に金属光沢層としての蒸着層が転写により形成されており、最内層には滑り層が形成されていることを特徴とする。尚、カラーインキ層は有色透明であっても不透明であってもよい。また、接着剤層は無色透明であっても有色透明であってもよい。
【0008】
該構成のシュリンクラベルにあっては、基材フィルムの内面にカラーインキ層を形成することによって所定形状の色抜き模様部が形成されているので、細かい形状や先鋭な形状であってもシャープなエッジを有する色抜き模様部を容易に形成することができる。そして、そのカラーインキ層の内側には、厚さ1〜2μmの透明なコーティング層としての接着剤層を介して金属光沢層としての蒸着層が設けられているので、蒸着層があたかも色抜き模様部と面一に形成されているように見える。
【0009】
また、コーティング層が接着剤層であり、該接着剤層を介して金属光沢層としての蒸着層が設けられている。コーティング層をアンカーコート層とし、そのアンカーコート層に蒸着層を各種の蒸着法によって直接形成することもできるが、蒸着層を転写することによってカラーインキ層の形成工程に続いて転写工程を同じ印刷ライン上で行うことが可能となり、連続する一連の工程によって容易にシュリンクラベルを製造することができる。
【0010】
また、最内層に滑り層が形成されている。最内層の滑り層によって基材フィルムがスムーズに熱収縮するので、シワ等の発生が防止されて良好な外観体裁を得ることができる。
【0011】
また、基材フィルムの外面には、色抜き模様部に対応して前記所定形状のニスコーティング層が形成されていることが好ましい。この場合には、色抜き模様部を介して所定形状に見える金属光沢層にニスコーティング層によって立体感を与えることができ、より一層高級感のある装飾形態が得られる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明に係るシュリンクラベルは、金属光沢層があたかも色抜き模様部と面一に形成されているように見えるので、細かな模様や先鋭な模様であっても、金属光沢を有する模様のエッジをシャープに表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態におけるシュリンクラベルを示す要部断面図。
図2図1のA部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るシュリンクラベルについて図1及び図2を参酌しつつ説明する。本実施形態におけるシュリンクラベルは、基材フィルム1の内面にデザインが施された、いわゆる裏印刷のものである。
【0015】
シュリンクラベルは、主延伸方向を周方向として筒状に形成されており、周方向の両端部同士が重ね合わせられて接着されることにより筒状とされたものであり、例えば長尺筒状に形成されたシュリンクラベルを所定長さ毎に切断することによって形成されたり、所定サイズにカットされた枚葉のシュリンクラベルを主延伸方向が周方向となるように筒状にされて形成されたりする。
【0016】
該シュリンクラベルは、熱収縮性を有する基材フィルム1と、該基材フィルム1の内側に形成されたカラーインキ層2と、該カラーインキ層2の内側に形成された透明なコーティング層としての接着剤層3と、該接着剤層3の内側に形成された蒸着層4と、該蒸着層4の内側に形成された蒸着ベース層5と、該蒸着ベース層5の内側に形成された滑り層6とを備えている。
【0017】
基材フィルム1は少なくとも内面のカラーインキ層2や蒸着層4を外側から視認できる程度の透明性を有している。該基材フィルム1としては、例えばポリエステル系のフィルムやポリスチレン系のフィルム、ポリオレフィン系のフィルム等、各種の熱収縮性フィルムが使用でき、単層のものの他、多層のものであってよく、主として主延伸方向に熱収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、主延伸方向と直交する方向にも熱収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。また、基材フィルム1の主延伸方向の熱収縮率は、90℃の温水に10秒間浸漬したときに20〜80%であることが好ましく、30〜80%であることが特に好ましい。該基材フィルム1は例えば数十μm〜100μm程度の厚さである。
【0018】
カラーインキ層2は、基材フィルム1の内面のうち所定領域(所定面積)に形成され、その大きさは任意であるが、本実施形態では基材フィルム1の内面全体に形成されている。該カラーインキ層2には、カラーインキ層2が形成されずに残った所定形状の色抜き模様部7が孔あき形状に形成されている。該色抜き模様部7はシュリンクラベルの主たる模様、デザインを構成するものであって、その周囲には少なくともカラーインキ層2が存在する。即ち、カラーインキ層2は色抜き模様部7の背景となる。該色抜き模様部7の形状は任意であるが、特に、細い部分を有するものや先端が尖った形状等の場合に有意義である。尚、色抜き模様部7の個数についても任意であって一つであってもよいし、複数であってもよい。
【0019】
該カラーインキ層2は筒状にする前の平坦な長尺状の基材フィルム1の片面にフレキソ印刷やグラビア印刷等の公知の印刷手法によって形成することができる。従って、それらの印刷手法に適用可能な種々のインキを使用することができるが、特に、UV硬化型のインキを使用することが好ましい。またカラーインキ層2は単一色で構成してもよいし、複数色で構成してもよく、幾何学的な模様等、種々の模様を有していてもよい。何れにしても、主たる模様である色抜き模様部7に対してその背景となるように構成されていることが好ましい。但し、カラーインキ層2と色抜き模様部7とが組み合わさることで一つの模様あるいはデザインを構成するようにしてもよい。このカラーインキ層2の厚さは例えば1μm程度である。
【0020】
接着剤層3は、蒸着層をカラーインキ層2に接着させるための層であって透明な層である。該接着剤層3は基材フィルム1の全体に塗布されてもよいが、少なくとも色抜き模様部7を覆う所定領域に形成されればよい。従って、接着剤層3の外形形状は任意であって、少なくとも色抜き模様部7の周囲に存在しているカラーインキ層2の内面に塗布されると共に、色抜き模様部7においてはカラーインキ層2が存在しないため、その部分的に露出している基材フィルム1の内面にも塗布される。かかる接着剤層3も上述したような公知の印刷手法によって長尺状の基材フィルム1の片面に形成することができる。従って、それらの印刷手法で用いることができる種々の接着剤を使用することができるが、特に、UV硬化型の接着剤を使用することが好ましい。尚、カラーインキ層2の印刷工程に続いて接着剤層3の印刷工程を行うことで効率良く形成することができる。この接着剤層3の厚さは例えば1〜2μm程度であり、少なくとも5μm以下である。
【0021】
蒸着層4と蒸着ベース層5は共に転写フィルムから転写されたものである。即ち、転写フィルムは例えば転写用ベースフィルムの片面に離型層、蒸着ベース層5、蒸着層4が順に形成された長尺状のものであって、その転写フィルムを長尺状の基材フィルム1と同期させて走行させながら押圧ロールで基材フィルム1に押し当てることにより、上述の接着剤層3の塗布領域のみに蒸着層4と蒸着ベース層5が一体となって転写される。このように蒸着層4を基材フィルム1に転写することによってカラーインキ層2の形成工程(印刷工程)に続いて転写工程を行うことが可能となり、連続する一連の工程によって容易に金属光沢層としての蒸着層を形成することができる。
【0022】
蒸着層4は各種の金属蒸着膜やセラミック蒸着膜からなる金属光沢を有する層であって、蒸着ベース層5はこれらの蒸着膜を蒸着させるためのベースとなる樹脂層である。これらの蒸着膜としては、代表的にはアルミニウム等の金属蒸着膜や酸化チタン等のセラミック蒸着膜が挙げられ、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等によって形成する。蒸着層4の厚さは、1μm以下、特に0.1μm以下であって、数十nmとすることが好ましい。蒸着ベース層5の厚さは例えば1μm程度であり、蒸着層4と蒸着ベース層5とを合わせた厚さについても例えば1μm〜2μm程度である。
【0023】
滑り層6はシュリンクラベルの最内層として設けられるものであってシュリンクラベルの内面全体に亘って形成されることが好ましい。該滑り層6は基材フィルム1が主として周方向に熱収縮して容器等に密着する際にその収縮がスムーズに行われるようにするためのものである。この滑り層6は例えばメジウムインキからなり、上述したような公知の印刷手法によって形成することができ、特にカラーインキ層2や接着剤層3と共に一連の印刷工程によって形成することが好ましい。この滑り層6の厚さは例えば2μm程度である。
【0024】
また、基材フィルム1の外面には、色抜き模様部7に対応した位置に、その色抜き模様部7の形状と同形状のニスコーティング層8を形成することが好ましい。該ニスコーティング層8も上述したような公知の印刷手法によって形成することができ、従って、カラーインキ層2と合わせて一連の印刷工程によって形成することが好ましく、UV硬化型のニスを用いることが好ましい。ニスコーティング層8は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよく、マット調であってもよい。このようなニスコーティング層8を設けることで、色抜き模様部7を介して視認できる蒸着層4(金属光沢層)の表現性に変化を持たせることができて様々なバリエーションの装飾形態が得られる。
【0025】
以上のように構成されたシュリンクラベルにあっては、内面のカラーインキ層2に色抜き模様部7が形成され、該色抜き模様部7を介して蒸着層4が視認できる。従って、色抜き模様部7の形状に形成された蒸着層4の模様が内面に形成されているように見える。特に、カラーインキ層2と蒸着層4との間に位置する接着剤層3が5μm以下の厚さ、特には1〜2μmの厚さであるので、カラーインキ層2に対して蒸着層4が奥側に離れて位置しているようには見えず、あたかもカラーインキ層2と同一面上に蒸着層4が位置している、即ち、基材フィルム1の内面に所定形状の蒸着層4が形成されているように見える。従って、カラーインキ層2と所定形状の蒸着層4が一体となって一つのデザインを表現することになる。また、カラーインキ層2と蒸着層4との間に位置する接着剤層3が5μm以下の厚さ、特には1〜2μmの厚さと非常に薄いものであるため、色抜き模様部7のエッジ7aが即ち蒸着層4の模様のエッジとなって見える。従って、蒸着層4の模様のエッジがシャープに見えることになり、細かい模様や先鋭な模様であってもホットスタンプ法と同様に細部までシャープに見えることになる。
【0026】
また、基材フィルム1の外面に色抜き模様部7に対応してニスコーティング層8が形成されているので、色抜き模様部7に形状に見える蒸着層4に立体感を付与することができ、より一層高級感のある装飾形態が得られる。
【符号の説明】
【0028】
1 基材フィルム
2 カラーインキ層
3 接着剤層(コーティング層)
4 蒸着層(金属光沢層)
5 蒸着ベース層
6 滑り層
7 色抜き模様部
7a エッジ
8 ニスコーティング層
図1
図2