(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1等に記載された従来型の第2種仕様をもつものでは、大入賞口の左の羽根には、遊技領域の左領域に流下して遊技釘等に衝突した後のランダムな挙動の球がタイミングよく近づいた場合に受入れ可能で、大入賞口の右の羽根には、遊技領域の右領域に流下して遊技釘等に衝突した後のランダムな挙動の球がタイミングよく近づいた場合に受入れ可能であり、一開放作動時に左右の羽根から球を高率で取込める保障は敢えてないものとし、開放する羽根と打出す球とのタイミングを合わせる低くない第1のハードルを課すことにより、入口段階でV入賞率を適性に低めるようにしている。このため、左右の羽根の一開放作動時に、内部に一球も取込めない場合も生じるし、2個以上の球を取込めるラッキーな場合も生じる。
【0007】
次に、左右の羽根から内部に球を受入れた場合、通常ルートとスペシャルルートとの振分けが第2のハードルとなるが、この場合、2個以上の球の受入れがあると、第一番目の球も、第二番目以後の球も、何れもV入賞する可能性があると共に、何れも通常ルートとスペシャルルートとの振分けられる可能性があることから、1球のみが受入れられた場合よりもV入賞率が高まることになる。
【0008】
したがって、第1のハードルが球受入れ無しとなるか一球受入れとなるか複数受入れとなるかというクリアの成否及びクリアの程度如何が、第2のハードルのクリアに影響することになるため、設計段階で各部の機械構造等を調整して所定のV入賞率を設定するのが困難であると共に、実際の遊技中、V入賞率がときに想定よりも悪過ぎたり良過ぎたりするといったように安定せず、本来のものからかけ離れた遊技性及び出玉性能を奏する恐れがある。
【0009】
特に、第2種仕様を第1種仕様と組合せて混合機として用いる場合、第1種仕様は抽選すなわち機械内部の電子計算機によるくじにより確率的に大当りを管理できるが、これと組み合わせる第2種仕様が不安定であれば、結局、全体として不安定な機械となってしまうことになる。
【0010】
本発明では、V入賞率を設計者の意図する適正範囲内に安定的に保つことができ、本来の遊技性及び出玉性能を適正に発揮し得る弾球遊技機の遊技盤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図2に例示するように、
球レール(21)により導く球を流下させる遊技領域(20)に、
内部に球通過により大当りを生起させる特定領域(V入賞口6V)を設けた特別電動役物に係る大入賞口(4)を備える弾球遊技機の遊技盤(2)を前提とする。
【0012】
ここに、「特別電動役物」とは、電動役物のうち、大入賞口の入口を開き、又は拡大するものをいう(遊技機規則第6条別表第二(2)ト)。
「大入賞口」とは、入賞口のうち、役物が作動した場合に著しく入賞が容易になるものをいう(遊技機規則第6条別表第二(2)ニ)。
なお、「役物」とは、入賞を容易にするための特別の装置をいう(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則第7条表中、ぱちんこ遊技機の第五)。
【0013】
本発明でいう「大当り」とは、遊技機規則で定義する「役物連続作動装置」が作動することをいい、「役物連続作動装置」とは、特別電動役物を連続して作動させることができる特別の装置をいう(遊技機規則第6条別表第二(2)チ)。
なお、「大当り」との対比において後に用いる「小当り」とは、役物連続作動装置の非作動下で特別電動役物を作動させることをいう。特別電動役物を非連続的に作動させるとは、役物連続作動装置の作動による特別電動役物の連続作動と対立する概念である。
本発明でいう「特定領域」とは、遊技機規則第6条別表第二(2)リでいう「特定の領域」をいう。この「特定領域」は、条件装置を作動させるものとなる。
【0014】
以上の前提下、
図4〜8に例示するように、
前記大入賞口(4)の入口を、特別電動役物の一作動に係る入口の開放時に前記遊技領域(20)の向って左領域に流下させる左打ちの球も前記遊技領域(20)の向って右領域に流下させる右打ちの球も何れも容易に受入れ可能な態様にて前記遊技領域(20)の中央上部に配置している。
【0015】
また、前記大入賞口(4)の内部に、特別電動役物の一作動に係る入口の開放時に第一番目に到達してきた球を前記特定領域(6V)への球通過が狙えるチャンス通路(51)に分岐させ且つ第二番目以降に到達してきた球を前記特定領域(6V)への球通過が狙えない非チャンス通路(52)に分岐させる球分岐機構(5)を設けていると共に、
前記チャンス通路(51)の下流に、前記特定領域(6V)とこれ以外の領域(6F)とに球を振分けるV入賞振分機構(6)を設けている。
【0016】
以上により、従来一般的な第2種仕様のものに比べて、大入賞口(4)の内部に球を受入れる第1のハードルを低めることができる。これと共に、特別電動役物の一作動により大入賞口(4)の内部に複数の球が受入れられても、第一番目に到達してきた球のみがチャンス通路(51)からV入賞振分機構(6)に向かい、第二番目以降に到達してきた球は非チャンス通路(52)に分岐してV入賞振分機構(6)に向かわない。このため、大入賞口(4)の内部での第2のハードルを、受入れ球数によらず均一にできる。こうして、特別電動役物の一作動により、V入賞振分機構(6)に高率でしかも一球のみを導くことができ、V入賞率すなわち大当り生起率を、設計確率に近い適正値に安定化させることができる。
【0017】
以上のものにおいて、前記遊技領域(20)の中央部に設けるセンターユニット(3)の上部に、前記球レール(21)に沿う球の動きを許容しつつ該球レール(21)に近接状に臨ませる凸状の天部材(39)を設け、この天部材(39)の向って左側に、前記天部材(39)の頂部から左裾野部分にかけて接近してくる球を前記大入賞口(4)の内部に取込み得る左可動体(左の羽根4l)を設けていると共に、前記天部材(39)の向って右側に、前記球レール(21)により導く球を止める球止め(23)に衝突して落下してくる球を前記大入賞口(4)の内部に取込み得る右可動体(右の羽根4R)を設けているのが好ましい。
【0018】
これにより、特別電動役物の一作動により、初心者でも容易に大入賞口(4)の内部に球を入れることができ、安定したV入賞率の下で大当たりの生起を期待できることになる。
【0019】
以上のものにおいて、前記球分岐機構(5)は、球受部(541)と球逃し部(542)とをもち一定範囲内で回転を許容させる球受け兼球逃し体(54)と、これに一体化する底を抜いたすり鉢状で底から球が出るまでに所定の遅延を伴わせる球カゴ(55)とを備え、常時は前記球受部(541)に球を受取らせる球受取り姿勢とし、前記球受部(541)に球が受取られると、球の自重により前記球カゴ(55)を回転させて底を下に向け且つ前記球逃し部(542)から前記非チャンス通路(52)に球を向かわせる球抜き姿勢とし、球抜き姿勢にある前記球カゴ(55)の底から出た球を前記チャンス通路(51)に受け渡すシシオドシ構造としているのが好ましい。
【0020】
これにより、第一番目に到達してきた球が球カゴ(55)の底から出るまでに所定の遅延を伴い、この間は球受け兼球逃し体(54)は球抜き姿勢にあるため、第二番目以降に到達してきた球は球逃し部(542)から非チャンス通路(52)に向かい、V入賞振分機構(6)には向かわない。こうして、球の自重を利用したシシオドシ構造により、非電動方式でありながら、球分岐機構(5)を簡易且つ効果的に構成することができる。
【0021】
また、以上のものにおいて、
図26〜28に例示するように、前記球分岐機構(5)は、特別電動役物の一作動に係る入口の開放時に第一番目に到達してきた球を保持する球保持部(5H)と、特別電動役物の一作動に係る入口の開放により前記大入賞口(4)に受入れた球数より一つ少ない数が0以下のときは特別電動役物の作動終了後、特別電動役物の一作動に係る入口の開放により前記大入賞口(4)に受入れた球数より一つ少ない数が1以上のときはその一つ少ない数の球が前記非チャンス通路(52)を通過したことに基づいて、前記球保持部(5H)に保持した球を前記チャンス通路(51)に受け渡す球受渡し駆動体(5D)とを備える構造としているのも好ましい。
【0022】
これにより、球保持部(5H)に第一番目に到達してきた一球のみが保持され、第二番目以降に到達してきた球がないか或はあっても非チャンス通路(52)に分岐された後に、球受渡し駆動体(5D)により球保持部(5H)に保持された第一番目に到達してきた一球のみがチャンス通路(51)からV入賞振分機構(6)に向けられる。こうして、球の通過検出と球受渡し駆動体(5D)の駆動とによる電動方式により、球分岐機構(5)を確実且つ効果的に構成することができる。
【0023】
この場合、
図26,27に例示するように、前記球受渡し駆動体(5D)は、前記球保持部(5H)に保持した球を受入れて前記チャンス通路(51)に放出させる球受入兼放出穴(5Dh)をもつ回転体(5DR)から成るものとしたり、
図28に例示するように、前記球保持部(5H)での球の保持を解除して、前記球保持部(5H)に保持していた球を前記チャンス通路(51)に放出させる球抜きシャッター(5DS)から成るものするのが好ましい。
【0024】
以上のものにおいて、
図8等に例示するように、前記V入賞振分機構(6)は、常時一定方向に定速度で水平回転し且つ中心部を頂として外周に向けて緩傾斜する球振分円盤(62)を備え、この球振分円盤(62)の円周を所定数に均等分割した一つの扇形部分に前記特定領域(6V)への球通過が確実となるV入賞振分部(V入賞球受部64)を設けていると共に、その他の複数の扇形部分に前記特定領域(6V)への球通過が不可能となる非V入賞振分部(球排出穴部65)を設けているのが好ましい。
【0025】
これにより、チャンス通路(51)から球振分円盤(62)の中心部に球を放出することにより、球振分円盤(62)の均等分割数を分母とした所定率によりV入賞率を安定的に設定できる。また、球振分円盤(62)の中心部に放出された球が外周に至るまでの比較的短期間のうちにV入賞の成否を確定させることができる。
【0026】
また、以上のものにおいて、
図29に例示するように、前記V入賞振分機構(6)は、前記チャンス通路(51)に分岐された球を周回させ、所定率で入球を許して前記特定領域(6V)に球を通過させる一つのV入賞穴(6Vh)と、前記特定領域(6V)に球を通過させない複数の非V入賞穴(6Fh1,6Fh2)とを設けたクルーン(6C)から成るものとするのも好ましく、この場合には、クルーン(6C)中を周回する球の挙動に注目しながら、比較的長期間についてV入賞の期待感を煽ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、V入賞率を設計者の意図する適正範囲内に安定的に保つことができ、本来の遊技性及び出玉性能を適正に発揮でき、第1種仕様と組合せて用いる場合にも、全体として安定した遊技性及び出玉性能を発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は本発明遊技盤を具備するパチンコ遊技機1を示し、遊技枠10に本体11を開扉可能に支持している。本体11の前面上部には、丸窓12にガラス13を嵌めたフロント扉14を有し、その内方に本発明に係る遊技盤2を備える。本体11及びフロント扉14は、遊技場係員による鍵穴15へのキー操作により施錠され、遊技者は遊技盤2及び本体11の内部に手を触れることはできない。フロント扉14の下には、直径約11mm、質量5.4g以上5.7g以下の鋼製の遊技球(貸球及び賞球、以下、単に球という)を受ける上皿16U、内方で溢れた球を受ける下皿16D、遊技盤2に1分間について100個に近い数の球を連続的な打ち出しにより発射させ、回転操作角度により球の打ち出し強さを調整できる発射ハンドル17、効果音等を出音する左スピーカ18L及び右スピーカ18Rを備える。
【0030】
19は、所定条件下、遊技者操作を演出に関与させる左ボタン19L、中ボタン19C、右ボタン19Rから成る遊技者操作スイッチである。16DLは下皿16Dから球を抜く球抜きレバー、16DAは灰皿である。17Sは、発射ハンドル17の回転操作中に球の打ち出しを一時休止するための発射停止ボタンである。丸窓12を取り囲むフロント扉14の前面には、装飾や各種状態表示に用いる装飾ランプ14a,14b,14c,14d,14eを備える。
【0031】
図2に示すように、遊技盤2は、外側の球レール21と内側の球レール22で囲む略円形の遊技領域20を有し、発射ハンドル17により打出す球Pを球レール21,22から導いて流下させる。23は衝撃緩衝機能をもつ球止め、24は球戻り防止片、25は風車である。26,27,28は、入賞1個につき所定数例えば10個の賞球を払出す左上入賞口、同左中入賞口、同左下入賞口である。29は、入賞を逃した球を排出するアウト口である。遊技領域20には、図示は適宜省略したが、独特のゲージにしたがって球Pと干渉する多数本の遊技釘Nが打たれている。
【0032】
また、遊技盤2には、下記ア)〜カ)で詳述する、独特の入賞装置を構成する特別電動役物に係る第1大入賞口4や演出表示装置7を設け、遊技領域20の上部領域に広範囲に拡がるセンターユニット3、その下に配置し、一の第1種始動口を構成するヘソ始動口A1と一の普通図柄抽選契機口を構成するヘソゲートGT1とに交互に球を向ける交互振分機構8、遊技領域20の右領域に配置する他の第1種始動口を構成するフロッグ型始動口A2、遊技領域20の右領域に配置する他の普通図柄抽選契機口を構成する右打球通過ゲートGT2、交互振分機構8の下に配置し、普通電動役物の作動により開放する第2種始動口B0、遊技領域20の右領域下部に配置し、別の独特の入賞装置を構成する特別電動役物に係る第2大入賞口9を設けている。
【0033】
DBは後記主制御部MCで制御する表示器ボードであり、拡大して明示するように、特別図柄表示装置SD及びその保留球ランプh1〜4と、普通図柄表示装置ND及びその保留球ランプe1〜4を具備する。特別図柄表示装置SD及び普通図柄表示装置NDは7セグメントLEDで構成している。なお、「特別図柄表示装置」とは、特別電動役物及び条件装置が作動することとなる図柄の組合せを表示するための装置をいう(遊技機規則第6条別表第2(2)ヌ)。「普通図柄表示装置」とは、普通電動役物が作動することとなる図柄の組合せを表示するための装置をいう(遊技機規則第6条別表第2(2)ヘ)。
【0034】
ア)センターユニット3
図3に示すように、センターユニット3は、独特の意匠を凝らした透明樹脂材料主体のワイドな装飾枠31の枠内に、特別電動役物に係る第1大入賞口4、該第1大入賞口4の内部に設ける球分岐機構5及びV入賞振分機構6、各種演出表示をさせる演出表示装置7を備える。32はワープルート、33はセンターステージであり、遊技盤2の向って左領域に流下させる左打ちの球をワープルート入口32aから取入れてワープルート出口32bからセンターステージ33に放つ。34は、センターステージ33の球を後記交互振分機構8に高率で入球させる優位出口である。
【0035】
35L,35Rは英大文字の「V」を左右に分割した分割可動体であり、左右のステッピングモータ36L,36R、ピニオンギア37L,37R及びラック38L,38Rにより、演出表示装置7を構成するメイン演出表示器71の前方において左右に移動可能としており、中央で「V」字が完成する演出を可能にしている。
【0036】
演出表示装置7は、装飾枠31における幅の広いワイド枠30の奥に配置し且つ遊技全般を通じて遊技者に動画を中心とした華やかな表示演出を見せる大型のカラー液晶表示器から成るメイン演出表示器71と、このメイン演出表示器71の左右において分割可動体35L,35Rの前方に配置し且つ常時はカーテン等の画像を表示して左右退避位置にある分割可動体35L,35Rを隠し、分割可動体35L,35Rの中央移動時等にカーテン等の画像表示から後方を視認させる透過状態にしてメイン演出表示器71をフル画面とする左右のサブ演出表示器72,73とを備える。
【0037】
演出表示装置7におけるメイン演出表示器71は、第1種始動口A1,A2への入賞すなわち第1種始動入賞を契機とした特別図柄抽選に基づく特別図柄の変動に応じた演出表示をするものであって、特別図柄表示装置SDでの特別図柄の変動及び確定停止と同期して、動画像で映し出す特別図柄対応の左演出図柄7L、中演出図柄7C、右演出図柄7Rを変動及び確定停止させる。
【0038】
なお、第1種始動口A1,A2への入賞時、例えば0〜65535の所定範囲内で高速更新する主制御部MCで定義する特別図柄抽選用乱数庫から一つの特別図柄抽選用乱数を取得すると共に、例えば0〜99の所定範囲内で高速更新する主制御部MCで定義する特図当り種別抽選用乱数庫から一つの特図当り種別抽選用乱数を取得し、これら取得した抽選データを主制御部MCのRAMに記憶するようにしている。
【0039】
特別図柄対応の左演出図柄7L、中演出図柄7C、右演出図柄7Rは、備考欄に示すように、装飾英数字の「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」「J」の10種類から成り、変動時は、順次図柄をスクロール等させ、大当り時は、左右の演出図柄が揃うリーチ及び発展型のスーパーリーチ等を経由する1分前後の比較的長期間の変動を経て同一図柄を3つ揃える大当り図柄で確定停止させ、外れ時は、何れの大当り図柄にも該当しない外れ図柄で確定停止させる。演出図柄7L,7C,7Rの大きさ及び表示位置は演出に応じて適宜変更可能としている。
【0040】
特別図柄抽選では、先始動入賞を契機とした特別図柄抽選に基づく特別図柄の変動中若しくは大当り中に後始動入賞を契機とした結果未導出の抽選データを所定保留上限例えば4個について保留する保留有り仕様にしており、現時の保留数に応じて、主制御部MC管理下の特図保留球ランプh1,h2,h3,h4を点灯させると共に第1周辺制御部SC1管理下のメイン演出表示器71の左下に特図保留シンボルH1,H2,H3,H4を表示させる。既に保留上限に達していて空きができないうちに新たに第1種始動入賞が生じても、賞球は払出されるが、抽選データは取得されない。
【0041】
演出表示装置7におけるメイン演出表示器71には、普通図柄抽選契機口GT1,GT2への入球を契機とした普通図柄抽選に基づく普通図柄の変動に応じて、すなわち普通図柄表示装置NDでの普通図柄の変動及び確定停止と同期して、動画像で映し出す普通図柄対応の左普図演出図柄7NL及び右普図演出図柄7NRを変動及び確定停止させる演出表示をさせる円形装飾枠画像7naから成る普通図柄演出表示領域7NAを設けている。円形装飾枠画像7na及びその中の普図演出図柄7NL,7NRの大きさ等は演出に応じて適宜変更可能としている。
【0042】
なお、普通図柄抽選契機口GT1,GT2への入球時、例えば0〜255の所定範囲内で高速更新する主制御部MCで定義する普通図柄抽選用乱数庫から一つの普通図柄抽選用乱数を取得すると共に、例えば0〜99の所定範囲内で高速更新する主制御部MCで定義する普図当り種別抽選用乱数庫から一つの普図当り種別抽選用乱数を取得し、これら取得した抽選データを主制御部MCのRAMに記憶するようにしている。
【0043】
普通図柄対応の左普図演出図柄7NL及び右普図演出図柄7NRは、それぞれ、備考欄に示すように、独特のロゴ付き装飾数字「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」の9種類から成り、変動時は、円形装飾枠画像7naを時計方向にゆっくりと回転させながら左普図演出図柄7NL及び右普図演出図柄7NRをカードをめくるように回転更新等させ、普通図柄の当選時は、左右の装飾数字を揃えて確定停止させ、「ぱちんこ・10年」、「表通・裏通」、「桃栗・3年」、「水都・土手」、「黄金・指先」、「柳・風」、「チャンジャン・バリバリ」、「柿・8年」、「娘・口」というように一定の結びつきを観念できるロゴ合せをし、外れ時は、左右の装飾数字を揃えずに確定停止させる。
【0044】
普通図柄抽選では、先入球を契機とした普通図柄抽選に基づく普通図柄の変動中若しくは普通電動役物の作動中に後入球を契機とした結果未導出の抽選データを所定保留上限例えば4個について保留する仕様にしており、現時の保留数に応じて、主制御部MC管理下の普図保留球ランプe1,e2,e3,e4を点灯させると共に第1周辺制御部SC1管理下のメイン演出表示器71の右下に普図保留シンボルE1,E2,E3,E4を表示させる。
【0045】
また、後記通常モードGM、天国モードHM、チャンスモードCMの各遊技状態下、メイン演出表示器71に、普通図柄抽選契機口GT1,GT2への入球を契機とした普通図柄抽選に基づく普通図柄の変動、普通図柄抽選での当選、第2種始動口B0への入賞を契機に開く第1大入賞口4の内部に受入れた球が特定領域たるV入賞口6Vを通過することによる大当りの生起までの一連の演出を表示可能な仕様にしている。
【0046】
さらに、メイン演出表示器71には、天国モードHM又はチャンスモードCM時は、遊技盤2の向って右領域に球を流下させる右打ちをすべきことを示唆させる右打ち推奨シンボルRSを、天国モードHM又はチャンスモードCMから通常モードGMに移行したときは、遊技盤2の向って左領域に球を流下させる左打ちをすべきことを示唆させる左打ち推奨シンボルLSを適宜表示可能にしている。
【0047】
図4に示すように、第1大入賞口4の内部には、第2種始動口B0への入賞を契機とした小当りの開放時に受入れた球が通過することにより大当りを生起させる特定領域たるV入賞口6Vを設けている。装飾枠31における幅の広いワイド枠30の上部であって外側の球レール21に沿う球の動きを許容しつつ球レール21に近接状に臨ませる凸状或いは山型の天部材39の左右に、第1大入賞口4の内部に球を受入れる半月形の左右の羽根4L,4Rから成る左右の可動体を備え、羽根4L,4Rの開放時に遊技盤2の左領域に流下させる左打ちの球も遊技盤2の右領域に流下させる右打ちの球も何れも容易に受入れ可能にしている。
【0048】
特に、左羽根4Lは、天部材39の頂部からワイド枠30に連なる左裾野部分にかけて比較的広い範囲に接近してくる球Pを取り込み可能としており、また、右羽根4Rは、球止め23に衝突して衝撃緩和後に落下してくる球Pを取り込み可能としており、球戻り防止片24の少し上を越えるだけの所謂チョロ打ちを含む弱い打ち出しをしない限り、左打ちの球も右打ちの球も容易に拾えるようにしている。第2種始動口B0への入賞時、すなわち小当り時、羽根4L,4Rは、内蔵する羽根開閉用ソレノイドにより、通じて1.8秒間を越えない予め定めた所定時間例えば1.5秒×1回について開くものとしている。第1大入賞口4への入賞一個につき所定数例えば15個の賞球を払出す。
【0049】
図5に示すように、第1大入賞口4の内部には、羽根4L,4Rの開放後に左右の導入通路41,42から合流通路43に第一番目に到達してきた球PをV入賞口6Vへの球通過が狙える右下り勾配のチャンス通路51に分岐させ、羽根4L,4Rの開放後に第二番目以降に到達してきた球PをV入賞口6Vへの球通過が狙えない左下り勾配の非チャンス通路52に分岐させる球分岐機構5を設けている。4Li,4Riは左右の入球センサ、44は左から入った球を衝突させる球止め突起、45は右から入った球を衝突させる球止め壁である。
【0050】
球分岐機構5は、合流通路43の下部に連なる作動空間50において、軸53を中心に一定範囲回転が許容される球受け兼球逃し体54と、これに一体化する底を抜いたすり鉢状でミニクルーンとして機能させて底から球が出るまでに所定の遅延を伴わせる球カゴ55とを主要構成部品として備え、常時は(i)の球受取り姿勢のように、球受け兼球逃し体54と球カゴ55の一体物は、反時計方向に付勢する内蔵復帰バネにより、球カゴ55の右上端を作動空間50における深奥行き空間500の上部に切欠いて設ける上ストッパー501に係止させた状態で止まっている。
【0051】
球受け兼球逃し体54の球受部541に球Pが受取られると、球受け兼球逃し体54と球カゴ55の一体物は所謂シシオドシのような動きをして、(ii)の球抜き姿勢となる。
【0052】
すなわち、球受部541に受取られた球Pは球カゴ55の中心軸線からずれた外周寄りの位置に滑って球カゴ55内に転がり落ち、球Pの自重により球カゴ55は時計方向に回転して球カゴ55の下端が深奥行き空間500の下部奥に設ける下ストッパー502に受止められ、且つ、球カゴ55の時計方向の回転に伴って一旦奥に逃げた後に前に飛び出してくるロック爪560が球カゴ55の上端一部を係止し、球カゴ55の底を下に向けた状態でミニクルーン中の球挙動のように球カゴ55内で球Pを周回させ、周回が止まった球Pを球カゴ55の底550から抜き、チャンス通路51に受け渡す。この球抜き姿勢にあるとき、第二番目以降に到達してきた球Pは球受け兼球逃し体54の球逃がし部542に案内されて非チャンス通路52に向かう。
【0053】
図6に示すように、チャンス通路51の下流には、球抜き姿勢にある球カゴ55の底550から抜けた球が通過することによりロック爪560を奥に強制退避させて球カゴ55を元の球受取り姿勢に復帰させる復帰レバー片56と、チャンス通路51に分岐されたチャンス球を検出する右球通過センサ4Rpと、チャンス球を内部に通す略L字形の透明な球連絡チューブ57と、その出口570から受取る球を螺旋状に滑らせてミニクルーン580の落下穴581から落下させる螺旋通路58と、この螺旋通路58からの落下球をV入賞口6Vとこれ以外の領域である非V入賞口6Fとに振分けるV入賞振分機構6とを設けている。
【0054】
球カゴ55の底550から抜けた球Pが復帰レバー片56に到達するときには、既に羽根4L,4Rは閉じられて暫く時間経過しており、球抜き姿勢から球受取り姿勢に復帰したときには、最後に受入れた球Pは非チャンス通路52側に分岐されている。従って、第1大入賞口4の一回の開放について、最初に球カゴ55に入った球Pのみがチャンス通路51を経てV入賞振分機構6に向かうことになる。
【0055】
なお、非チャンス通路52の下流には、非チャンス通路52に分岐された非チャンス球を検出する左球通過センサ4Lp、非チャンス球を通す左下り勾配の接続通路591、該通路591の球を裏側に回収して入賞球として処理する回収通路592を設けている。回収通路592に回収された入賞球は内部に設ける非V入賞センサ4Fsで検出され、入賞球としてのみ処理される。
【0056】
図7に示すように、チャンス通路51を経て球連絡チューブ57の出口570から出た球Pは、螺旋通路58に受渡されて螺旋状に転がり、下方のミニクルーン580に到達して多少旋回し、球の勢いが適度に殺されると共に自転が低減された状態で、落下穴581からV入賞振分機構6に向けて落下する。
【0057】
図8に示すように、V入賞振分機構6は、軸61を中心に常時一定方向に定速度で水平回転させ且つ中心部を頂として外周に向けて緩傾斜状に裾野を広げる凸レンズのような膨らみをもつ球振分円盤62と、この円盤62を内部に納める筒体63とを主要構成部品として備え、球振分円盤62の円周を所定数例えば10個に均等分割した一つの扇形部分にV入賞が確実となるV入賞振分部を構成するV入賞球受部64を設けると共に、その他の複数の扇形部分にV入賞が不可能となる非V入賞振分部を構成する球排出穴部65を設けている。
【0058】
螺旋通路58のミニクルーン580の落下穴581から球振分円盤62の中心に落下した球Pは、球振分円盤62の扇形の均等分割数を分母とした所定の設計確率、この例では1/10でV入賞させるものであって、V入賞球受部64から該受部64の緩傾斜状底部66から滑らせる球は筒体63に切欠いた球抜き67から球受継シューター68を経てV入賞口6Vに入賞する。V入賞口6VへのV入賞球は内部に設けるV入賞センサ6Vsで検出される。
【0059】
球振分円盤62の球排出穴部65から落下する球は、左下り勾配の筒底69から回収穴690を経て非V入賞口6Fに入り、内部に設ける非V入賞センサ6Fsで検出され、入賞球としてのみ処理される。
【0060】
イ)交互振分機構8
図9に示すように、交互振分機構8は、センターステージ33の優位出口34からの落下球を含めて遊技盤2の略中央下部の所定領域に流下してきた球Pを、透明ケース80の球受入口81から受入通路82に受入れる。受入れ球Pとの干渉により軸83の回りに揺動して(i)左振分姿勢と(ii)右振分姿勢とに交互に姿勢を切換える切換体84によって、第1種始動口を構成するヘソ始動口A1と、普通図柄抽選契機口を構成するヘソゲートGT1とに交互に向かわせ、第1種始動入賞と普通図柄抽選起動とを交互に実現させる。
【0061】
85L,85Rは、左右何れかの振分姿勢にある切換体84の外周左右の凹所84L,84Rに対して一方は係合し他方は離脱する関係にあるボール、86L,86Rは、ボール85L,85Rを切換体84側に付勢する付勢ばねであり、切換体84の姿勢切換時の反動や遊技盤2の内外での各種振動等の影響を受けて切換体84の姿勢がふらつくのを防止し、振分姿勢を安定に保つ。
【0062】
交互振分機構8には、左打ちの球は受入れ可能だが、右打ちの球は、交互振分機構8の右上に連接する連接釘NRによりほぼ受入れ不可にしている。この例では、ヘソ始動口A1とヘソゲートGT1とに交互に向かわせた球は、必ずヘソ始動口A1又はヘソゲートGT1に入球するものとしたが、ヘソ始動口A1やヘソゲートGT1と切換体84との間の距離を大きくする等して、切換え後の球をヘソ始動口A1とヘソゲートGT1とに交互に向かわせも、入球する場合と入球しない場合とが生じるようにしてもよい。なお、ヘソ始動口A1への入賞一個につき所定数例えば3個の賞球を払出す。ヘソゲートGT1に入球した球は下に抜けて遊技盤2に放たれる。
【0063】
ウ)フロッグ型始動口A2
図2に示すように、フロッグ型始動口A2は、遊技盤2の右領域における第2大入賞口9の右隣に設けており、右打ちの球を所定の低頻度例えば100個の右打ち球について3個程度入賞可能としている。樹脂成形品から成る入賞装置本体A2aに一体化する入口障壁2Abにより、遊技場係員により入賞率が意図的に変更されないようにしながら、低頻度入賞を実現している。なお、フロッグ型始動口とは、あたかも賞球のみを払出す通常の入賞口かのように思わせるが、実は始動口であるという入賞口を意味する。フロッグ型始動口A2への入賞一個につき所定数例えば3個の賞球を払出す。
【0064】
エ)右打球通過ゲートGT2
図2に示すように、右打球通過ゲートGT2は、遊技盤2の右領域におけるセンターユニット3の右下に設けており、右打ちの球を所定の高頻度例えば100個の右打ち球について半数の50個を超える程度に入球可能としている。右打球通過ゲートGT2に入球した球は下に抜けて遊技盤2に放たれる。
【0065】
オ)第2種始動口B0
第2種始動口B0は、普通電動役物の作動により入口を開くものであって、交互振分機構8の下方に配置している。
図10に示すように、第2種始動口B0は、遊技盤2の奥に開口する横穴87と、該横穴87への入球を阻止する退避位置と該横穴87への入球を許容する進出位置との間で進退駆動する球受片88とを有する。横穴87は、球Pを通す丸穴871の下部に、球受片88を通す矩形穴872を連続させている。第2種始動口B0への入賞すなわち横穴87への入賞一個につき所定数例えば3個の賞球を払出す。
【0066】
球受片88は、前後に長い矩形の板状本体881に、退避位置において球Pが横穴88に進入するのを阻止する前端阻止壁882と、進出位置において球Pが載るのを許容する球載凹所883と、この凹所883の底から奥にかけて全体が下り勾配で且つ正面から見て片側例えば右側を右下り勾配とした傾斜状球誘導路884とを設け、普電用ソレノイドSoL0の通電ONにより退避位置から進出位置へ進出し、同通電OFFによりソレノイド内蔵バネの復帰により退避位置に復帰する。89は、傾斜状球誘導路884に導かれる球Pと干渉して誘導すべき右側に球Pを寄せる遊技盤2の裏側に固定して設ける球寄せである。
【0067】
普通電動役物の作動時間である電サポ時間を時短仕様に対応させて長期、例えば普電用ソレノイドSoL0の通電ONから通電OFFまでの時間をTL=5秒×1回とするときは、球受片88の進出位置での滞在時間がほぼ通電時間の5秒に近い所定の長い期間が確保され、球載凹所883に載った球Pは傾斜状球誘導路884に沿って横穴87の奥右に順次回収され、普電用ソレノイドSoL0の通電OFF時に球載凹所883に載っている球Pは球受片88の退避位置への復帰とともに傾斜状球誘導路884に沿って横穴87の奥右に回収される。横穴87の奥右に回収された球Pは第2種始動口B0の入賞センサで検出されることになる。第2種始動口B0は本例では保留無し仕様にしているため、多くの場合、最初の入球が第2種始動入賞として処理され、後続の入球は賞球のみの払出し処理に回される。
【0068】
図11に示すように、電サポ時間を非時短仕様に対応させて短期、例えば普電用ソレノイドSoL0の通電ONから通電OFFまでの時間をTS=100ms×1回とするときは、球受片88の進出位置での滞在時間がほとんど0に近いほんの一瞬だけの極短時間となり、第2種始動口B0近傍にたとえタイミングよく流下してきた球Pがあったとしても、殆どの場合、球載凹所883に載ることなく板状本体881や前端阻止壁882と衝突して弾かれ、横穴87の奥に入球することはほぼ絶望的である。よって、第2種始動入賞はほぼ不可能である。
【0069】
カ)第2大入賞口9
図12に示すように、第2大入賞口9は、遊技盤2の遊技領域20における右領域下部20RDに配置しており、遊技領域20の前方に凸状に設けるベースブロック90の上面傾斜通路94に設ける球回収口91の上部領域に、常時は球を自由に落下すなわち領域に進入してきたときの進入角や遊技領域20の前面側との摩擦や球自体の自転等に従って球をランダムに流下させる遊技領域とし且つ大当り時は第2大入賞口9の内部領域とする左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとをもつ領域区画部材92と、この領域区画部材92で区画する領域に進入してきた球を受止める上棚93Uと中棚93Mと下棚93Dとをもつ3段棚式の球受止部材93とを進退駆動可能に設けている。
【0070】
これら領域区画部材92及び球受止部材93は、全体を樹脂材料で形成している。20Lは左仕切壁92Lを進退自由に通す左スリット、20Rは右仕切壁92Rを進退自由に通す右スリット、20Uは上棚93Uを進退自由に通す上スリット、20Mは中棚93Mを進退自由に通す中スリット、20Dは下棚93Dを進退自由に通す下スリットであり、これら各スリット20L,20R,20U,20M,20Dは、球Pの直径よりも幅(左右又は上下方向の開口幅)が狭く、遊技盤2の遊技領域20に打抜き状に開口している。
【0071】
球回収口91は、第2大入賞口9への入賞球を回収する口であって、ベースブロック90の左下り勾配した上面傾斜通路94の下流側略半分の領域に設けており、遊技盤2の裏側に配置するスライド板開閉用ソレノイドSoL1によりスライド板95を進退駆動させることで開閉される。950はスライド板95を進退自由に通すスリットである。左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとは、遊技盤2の遊技領域20の裏側において第1ベース部材を構成する枠状ベース92Bに一体的に連結しており、領域区画部材用ソレノイドSoL2により前後に同時に進退駆動する。上棚93Uと中棚93Mと下棚93Dとは、遊技盤2の遊技領域20の裏側において第2ベース部材を構成する板状ベース93Bに一体的に連結しており、球受止部材用ソレノイドSoL3により前後に同時に進退駆動する。枠状ベース92Bの枠内の開口920には板状ベース93Bがすっぽりと収まって、進退方向において互いに干渉しない関係にあり、仕切壁92L,92Rと、棚93U,93M,棚93Dとは独立して進退可能である。
【0072】
左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとは、球回収口91を間に挟むベースブロック90の左右において上方に延びており、これら左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとで区画する領域の上部には、球取入口96をもつ装飾を施した屋根部材98を遊技盤2に固定的に設けている。球取入口96は、屋根部材98上の左下り勾配の球通路97の上流側略三分の一の領域に設けており、左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとで区画する領域に、センターユニット3の右側を流下してきた右打ちの球を良好に流入できるようにしている。
【0073】
上棚93Uと下棚93Dはほぼ同一形状としており、受止めた球を左右一側(左側)に向わせて落下させる一側緩傾斜状の棚であって、緩やかに左下り勾配して左側においてその下り勾配に連続させて上方に少しカーブする上り勾配を付けた薄い第1棚板930に、屋根部材98の球取入口96又は中棚93Mの球落し口933から流下又は落下してくる球Pを受止める前方やや上方に向けて折返し状に突出させる矩形の球受部931と、この球受部931の右側から後方に延びる断面を小円の一部とした球乗越え抵抗部932と、第1棚板930の左側に移動してきた球を下り勾配と上り勾配との連続部分において下方に落下させる丸く切欠き状に設ける球落し口から成る球落し部933と、この球落し部933の左右において後方に延びる断面を小円の一部とした一対の球乗越え抵抗部934,935とを一体に備える。球乗越え抵抗部932,934,935は、第1棚板930の上面の球移動面において、移動してくる球の乗り越えに抵抗を与えるものである。
【0074】
上段の上棚93Uの次段に位置する中棚93Mは、上棚93U又は下棚93Dを左右反転させたような形状としており、受止めた球を左右逆側(右側)に向わせて落下させる他側緩傾斜状の棚であって、緩やかに右下り勾配して右側においてその下り勾配に連続させて上方に少しカーブする上り勾配を付けた薄い第2棚板936に、上棚93Uの球落し口933から流下してくる球Pを受止める前方やや上方に向けて折返し状に突出させる矩形の球受部931と、この球受部931の左側から後方に延びる断面を小円の一部とした球乗越え抵抗部932と、第2棚板936の右側に移動してきた球を下り勾配と上り勾配との連続部分において下方に落下させる丸く切欠き状に設ける球落し口から成る球落し部933と、この球落し部933の左右において後方に延びる断面を小円の一部とした一対の球乗越え抵抗部934,935とを一体に備える。球乗越え抵抗部932,934,935は、第2棚板936の上面の球移動面において、移動してくる球の乗り越えに抵抗を与えるものである。
【0075】
図13に示すように、大当り時の各ラウンドの開始時、球受止部材93(93U,93M,93D)を遊技盤2上に進出させて球受止動作をさせる。なお、大当り時、所定の最長時間例えば30秒にわたる1ラウンド毎に、球回収口91に所定の最大入賞数(カウント数)である例えば8個の入賞を許容する。最大入賞数に達する入賞があるか又は最長時間を経過すると1ラウンドが終了して、2秒程度の所定インターバルを経て次ラウンドに移り、所定のラウンド数について繰り返す。第2大入賞口9への入賞すなわち球回収口91への入賞一個につき所定数例えば15個の賞球を払出す。なお、1ラウンドの最大入賞数(カウント数)は9個、入賞一個についての賞球は14個としてもよい。
【0076】
図14に示すように、各ラウンドの開始から所定の序盤期間例えば5秒間は、球受止部材93による球受止動作がされ、屋根部材98の球取入口96から流下してくる球Pは上棚93Uの球受部931近辺で受け止められ、左下り勾配の第1棚板930上をゆらゆら揺れながら緩い勾配に沿って左側に移動し、球落し部933から中棚93Mに落下する。上棚93Uから落下してくる球Pは中棚93Mの球受部931近辺で受け止められ、右下り勾配の第2棚板936上をゆらゆら揺れながら緩い勾配に沿って右側に移動し、球落し部933から下棚93Dに落下する。中棚93Mから落下してくる球Pは下棚93Dの球受部931近辺で受け止められ、左下り勾配の第1棚板930上をゆらゆら揺れながら緩い勾配に沿って左側に移動し、球落し部933からベースブロック90上の左下り勾配の上面傾斜通路94に落下する。
【0077】
各ラウンド開始からの序盤期間、球回収口90はスライド板95により未だ閉じられており、上面傾斜通路94に落下してくる球は未だ球回収口90に入ることなく上面傾斜通路94の左端から左側に放出され、球回収口90の内部に設ける第2大入賞口9の入賞センサにおいて入賞が検出されることはない。
【0078】
図15に示すように、各ラウンド序盤期間の後、各ラウンドの中盤では、スライド板95を後方に退避させることによる球回収口90の開放と、領域区画部材92を構成する左仕切壁92Lと右仕切壁92Rの前方への進出と、球受止部材93を構成する上棚93Uと中棚93Mと下棚93Dとを後方への退避とをほぼ同時に組合せて実行する球回収動作をさせる。
【0079】
この球回収動作の実行直前までに、球受止部材93を構成する上棚93Uと中棚93Mと下棚93Dとに、一つの棚について概ね最大2個、合計で最大6個の球Pが受止められていることが見込まれ、ラウンド中盤でする球回収動作により、6個程度の球Pが一斉に球回収口90に向けて落下又は流下して回収される。よって、球回収口90の内部に設ける第2大入賞口9の入賞センサにおいて入賞が検出され、カウント数が一気に進むことになる。
【0080】
図16に示すように、各ラウンドの終盤では、領域区画部材92を構成する左仕切壁92Lと右仕切壁92Rとが前方に進出した状態で、屋根部材98の球取入口96から流下してくる球Pが球回収口90に流入し、上限カウント数となる最大入賞数の例えば8個目の入賞が球回収口90内の入賞センサで検出されると、スライド板95を前方に進出させて球回収口90を閉鎖すると共に、領域区画部材92を構成する左仕切壁92Lと右仕切壁92Rを後方へ退避させ、一ラウンドを終了して次のラウンドに備える。最終ラウンドなら、大当り遊技を終える。
【0081】
図17に示すように、遊技機の制御装置CNは、メインのマイクロプロセッサとなるCPU、ROM、RAMを備える主制御部MC、サブのマイクロプロセッサとなるCPU1、ROM1、RAM1を備える第1周辺制御部SC1、及び、同じくサブのマイクロプロセッサとなるCPU2、ROM2、RAM2を備える第2周辺制御部SC2を有する。賞球の払出し関連、球貸ユニットやホールコンピュータ等との接続関連、電源関連、セキュリティ関連の各構成は、省略して描いている。
【0082】
「主制御部」とは、制御装置のうち、遊技の結果に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する制御をするものをいう。遊技機規則で定義する「主基板」から基板という物理的要素を取り除いた概念である。なお、「主基板」とは、遊技の結果に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有する基板で、配線を相互に接続するための電子部品のみが装着されたもの以外のものをいう(遊技機規則第6条別表第2(1)イ)。また、「周辺制御部」とは、制御装置のうち、前記主制御部での制御以外の制御をするものであって、遊技の結果に影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがある機能を有しない制御をするものをいう。遊技機規則で定義する「周辺基板」から基板という物理的要素を取り除いた概念である。なお、「周辺基板」とは、主基板以外の基板で、配線を相互に接続するための電子部品のみが装着されたもの以外のものをいう(遊技機規則第6条別表第2(1)ニ)。
【0083】
主制御部MCの入力側には、入力ポートInを介して、第1種始動口A1,A2への第1種始動入賞球を検出する入賞センサA1s,A2s、第2種始動口B0への第2種始動入賞球を検出する入賞センサB0s、第1大入賞口4の内部に設ける入球センサ4Li,4Riと球通過センサ4Lp,4RpとV入賞センサ6Vsと非V入賞センサ4Fs,6Fs、第2大入賞口9への入賞球を検出する入賞センサ9s、普通図柄抽選契機口GT1,GT2への通過球を検出するゲートセンサGT1s,GT2s、左上入賞口26への入賞球を検出する入賞センサ26s、左中入賞口27への入賞球を検出する入賞センサ27s、左下入賞口28への入賞球を検出する入賞センサ28sを入力している。
【0084】
主制御部MCからは、出力ポートOut及びLEDドライバDr0を介して、表示器ボードDB上に設ける各種表示装置SD,ND及びランプh1〜h4,e1〜e4の点灯を制御している。また、出力ポートOut並びに、ソレノイドドライバ及びモータドライバから成る第1大入賞口4関連の駆動系ドライバDr1を介して、羽根4L,4Rの開閉用ソレノイド及び球振分円盤62の回転用ステッピングモータを制御していると共に、出力ポートOut並びにソレノイドドライバから成る第2大入賞口9関連の駆動系ドライバDr2を介して、スライド板開閉用ソレノイドSoL1と領域区画部材用ソレノイドSoL2と球受止部材用ソレノイドSoL3を制御し、かつ、出力ポートOut並びにソレノイドドライバDr3を介して、普電用ソレノイドSoL0を制御している。
【0085】
主制御部MCの出力ポートOutと第1周辺制御部SC1の入力ポートIn1の間は、中継端子板CBを介して、主制御部MCから第1周辺制御部SC1への一方向のみのデータ送信を許す通信仕様で接続している。主制御部MCから第1周辺制御部SC1へは、主制御部MCでの入力及び又は該主制御部MCで実行する抽選結果に従った変動パターンコマンド等の各種指令コマンドを一方通行的に出力しており、第1周辺制御部SC1から主制御MCへの信号の出力もリターンもない。不正な改造その他の変更を防止する観点から、遊技機規則第6条別表第三(1)イ(ホ)において、主基板に関する規格として、「周辺基板が送信する信号を受信することができるものでないこと。」と規定されているからである。
【0086】
第1周辺制御部SC1と第2周辺制御部SC2との間は、双方向的なデータの送受信を許容している。なお、想像線で示すように、主制御部MCの出力ポートOutと第2周辺制御部SC2の入力ポートIn2の間も、中継端子板CBを介して、主制御部MCから第2周辺制御部SC2への一方向のみのデータ送信を許す通信仕様で接続してもよい。主制御部MCでは、サブ側となる周辺制御部SC1,SC2側に送信するコマンドで特定される演出時間の経過をタイマ管理し、主制御部MC側の制御とサブ側の制御とが整合するようにしている。
【0087】
第1周辺制御部SC1からは、出力ポートOut1及びLCDドライバDr4を介して、演出表示装置7を構成するメイン演出表示器71とサブ演出表示器72,73を制御していると共に、出力ポートOut1及びモータドライバDr5を介して、分割可動体35L,35Rのステッピングモータ36L,36Rを制御している。また、第1周辺制御部SC1の入力ポートIn1には、左ボタン19L、中ボタン19C、右ボタン19Rから成る遊技者操作スイッチ19を入力させており、演出表示装置7及び又は分割可動体35L,35Rの特定の演出時において遊技者が演出に関与できるようにしている。
【0088】
第2周辺制御部SC2からは、出力ポートOut2及びLEDドライバDr6を介して、装飾ランプ14a〜14eの点灯を制御していると共に、出力ポートOut2及びパワーアンプApを介して、スピーカ18L,18Rからの出音を制御しており、演出表示装置7上の表示演出等とリンクした電飾及び又は効果音による演出、各種警報等の出力を含む付帯演出を実行している。
【0089】
主制御部MCのROMに格納する遊技全般を通じた制御を担うメインの遊技プログラムには、普通図柄抽選、特別図柄抽選を含む内部抽選手段を構築していると共に、通常モードGMから天国モードHM又はチャンスモードCMに移行させる遊技状態移行手段X、天国モードHM又はチャンスモードCMでの時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限を予め定めた所定振分率にしたがって決定する時短継続回数決定手段Y、天国モードHM又はチャンスモードCMから通常モードGMに復帰させる遊技状態復帰手段Zを構築しており、以下のスペックを実現している。
【0090】
図18に示すように、普通図柄抽選での当選確率(普図確率)と普通電動役物の作動時間(電サポ時間)と普通図柄抽選に基づく普通図柄の変動時間(普図変動時間)とから成る普図関連仕様は、非時短仕様の遊技状態である通常モードGMか、時短仕様の遊技状態である天国モードHM又はチャンスモードCMかを特定する基本仕様となる。天国モードHMは、時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限が比較的多い81〜100回に決定されたときの遊技状態、チャンスモードCMは、時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限が比較的少ない1〜80回に決定されたときの遊技状態である。ただし、どちらも、所謂回数切り時短の遊技状態である。
【0091】
通常モードGMは、遊技盤2への投入球数に対する第2種始動口B0への入賞による獲得球数の割合であるベースが相対的に低い非時短仕様である。普図確率は、普通図柄抽選用乱数の取り得る256個の数値範囲内に定める当選数値範囲を極一部例えば5とすることにより、5/256=約1/51としている。電サポ時間は、普図当り種別抽選用乱数の取り得る100個の数値範囲内に、普電用ソレノイドSoL0の通電ONから通電OFFまでの時間がTL=5秒×1回の電サポロング開放となる普図当り1の選択範囲を少数例えば10、普電用ソレノイドSoL0の通電ONから通電OFFまでの時間がTS=100ms×1回の電サポショート開放となる普図当り2の選択範囲を例えば大多数90と定めており、低い振分率1/10で電サポロング開放となる場合もあるが、殆どの場合、高い振分率9/10で電サポショート開放となる。普図変動時間は、例えば、普図外れ時は3秒、普図当り時は30秒としている。
【0092】
天国モードHM又はチャンスモードCMは、特別図柄抽選の抽選導出回数が上限超過で打ち切りとなるまで、ベースが相対的に高い時短仕様となる。普図確率は、普通図柄抽選用乱数の取り得る256個の数値範囲内に定める当選数値範囲をほぼ全範囲例えば255とすることにより、ほぼ毎回当選する255/256=約1/1としている。電サポ時間は、振分率1/10の普図当り1に振分けられても、振分率9/10の普図当り2に振分けられても、普電用ソレノイドSoL0の通電ONから通電OFFまでの時間がTL=5秒×1回の電サポロング開放となるものとし、必ず、ロング開放となる。普図変動時間は、例えば、普図外れ時は通常モードGMと同じ3秒だが、普図当り時は通常モードGMよりも大きく短縮した4秒としている。
【0093】
天国モードHMは、天国モードHMへの移行から数える特別図柄抽選での抽選導出回数が決定された上限81〜100回を超過したことを条件に、遊技状態復帰手段Zにて、時短仕様が所謂時短スルーにより解除され、非時短仕様の通常モードGMに復帰する。
【0094】
チャンスモードCMは、チャンスモードCMへの移行から数える特別図柄抽選での抽選導出回数が決定された上限1〜80回を超過したことを条件に、遊技状態復帰手段Zにて、時短仕様が同じく時短スルーにより解除され、非時短仕様の通常モードGMに復帰する。
【0095】
特別図柄抽選での大当りの当選確率である「特図大当り確率」は、特別図柄抽選用乱数の取り得る65536個の数値範囲内に定める当選数値範囲を例えば164とすることにより、164/65536=約1/400としている。この特図大当り確率は、通常モードGM、天国モードHM、チャンスモードCMに関わらず一定である。
【0096】
特別図柄抽選での大当りの当選時(特図大当り時)、通常モードGM、天国モードHM、チャンスモードCMの各遊技状態何れの場合でも、時短継続回数決定手段Yにより、大当り当選に係る特別図柄抽選用乱数と共に取得した特図当り種別抽選用乱数に基づいて、時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限を予め定めた所定振分率にしたがって決定する。
【0097】
すなわち、特図当り種別抽選用乱数の取り得る100個の数値と、時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限数とを対応させ、乱数が0なら上限は1、乱数が1なら上限は2・・・乱数が99なら上限は100というように上限の1〜100回を各1%の振分率で決定している。なお、本例では、特図大当りによる大当り遊技では、第2大入賞口9を連続的に開放させるラウンドを、例えば一律5ラウンドとしているが、特図当り種別抽選用乱数に応じて2〜16ラウンドを適宜振分けて決定してもよい。
【0098】
特図大当りでの大当り遊技中に演出表示装置7において展開させる演出例えばバトル演出において、獲得バトルポイントを、味方の攻撃によりプラスし、敵の攻撃によりマイナスし、攻撃の大きさ或いはダメージの大きさによりポイント数値が変り、最終ラウンドの5ラウンドの最後に、特図当り種別抽選用乱数に基づいて決定されていた上限が1〜20回のレベル1では初期獲得ポイントを一律0ポイント、決定されていた上限が21〜40回のレベル2では初期獲得ポイントを0〜10ポイント、決定されていた上限が41〜60回のレベル3では初期獲得ポイントを0〜20ポイント、決定されていた上限が61〜80のレベル4では初期獲得ポイントを0〜30ポイント、決定されていた上限が81〜100のレベル5では初期獲得ポイントを1〜30ポイントとする演出を行う。初期獲得ポイントは、第1周辺制御部SC1で定義する演出決定用乱数に基づいてレベル毎に決定しており、決定した初期獲得ポイントに一致するするように、バトル途中の攻防においてプラス又はマイナスするポイント数を調整するようにしている。
【0099】
また、特図大当りでの大当り遊技後、特図当り種別抽選用乱数に基づいて決定されていた上限が1〜80回のレベル1〜4では、演出表示装置7における背景がバトル鍛錬動画のチャンスモード背景とするチャンスモードCMに、特図当り種別抽選用乱数に基づいて決定されていた上限が81〜100回のレベル5では、演出表示装置7における背景がバトルチャンピオン動画の天国モード背景とする天国モードHMに移行させ、視覚上異なるモードに移行する演出がされる。ただし、チャンスモードCMも天国モードHMも、どちらも、主制御部MCで管理する遊技状態は回数切り時短仕様の遊技状態である。
【0100】
なお、第2種始動口B0への入賞による小当りを契機としたハネモノ遊技でV入賞口6Vに入賞することによるV入賞大当り時、第2大入賞口9を連続的に開放させるラウンドを、本例では、例えば一律5ラウンドとしている。また、このV入賞による大当り遊技中に演出表示装置7において展開させるバトル演出における最終ラウンドで、ラウンド途中で展開した味方と敵の攻撃により、残存する時短継続回数(カウントダウンが進行等した後の現時点の時短継続回数)の範囲内でバトルポイントを上乗せ加算し、あたかも、V入賞大当りにより時短の継続が延長されたかのような印象を抱かせる演出を行うようにしている。
【0101】
図19に示すように、非時短仕様の通常モードGM下、特図大当りにより、大当り遊技後、上限時短回数が80回までならチャンスモードCMに移行し、上限時短回数が81〜100回なら天国モードHMに移行する。通常モードGM下でのV入賞大当りによっては、大当り遊技後、通常モードGMに止まる。
【0102】
非時短仕様の通常モードGMでは、普図確率が低くて普図当りが得難く、たとえ普図当りとなっても殆どが電サポショート開放となるため、第2種始動入賞も得難く、小当りからのV入賞大当りの頻度はあまり多くない。このため、通常モードGMでは、左打ちによりヘソ始動口A1からの第1種始動入賞を狙い、約1/400の確率による特図大当りが主流当りとなる。ただし、頻度はあまり多くないが、小当りからのV入賞大当りの可能性もある。
【0103】
時短仕様のチャンスモードCM又は天国モードHMでは、普図確率が極めて高い約1/1で、ゲートGT1,GT2に球を通過させるとほぼ毎回当り、しかも、必ず電サポロング開放となるため、第2種始動入賞が容易に得られ、V入賞を期待できるハネモノ遊技が頻繁に行える。このため、チャンスモードCM又は天国モードHMでは、右打ちにより右打球通過ゲートGT2及び第2種始動口B0を狙い、小当りからのV入賞大当りが主流当りとなる。
【0104】
V入賞大当りでは新たに時短回数は付与されないが、V入賞大当りの契機となる第2種始動入賞によっては時短継続回数のカウントダウンもされない。このため、特図大当り時に既に決定されていた上限時短回数を超過して時短スルーするまでにハネモノ遊技によりV入賞大当りが何回得られるかにより、出玉が大きく変ることになる。因みに、最大100回の上限時短回数が付与された場合、この100回時短がスルーするまでに8回前後のV入賞大当りを得ることが見込まれ、一回のV入賞大当りによる出玉が15賞球×8カウント×5ラウンド=600個で、8回なら4800個の出玉を獲得できる。
【0105】
天国モードHM又はチャンスモードCM下、第1種始動口A1,A2への第1種始動入賞により特別図柄が変動すると変動1回毎に時短継続回数がカウントダウンされるが、時短スルーしない外れの場合、演出表示装置7上の特図変動の背景バトル演出において味方と敵が引き分ける引分け場面で外れ図柄を確定停止させ、時短スルーして通常モードGMに転落する外れの場合は、味方が敵に敗北した敗北画面で外れ図柄を確定停止させ、特図大当りの場合、味方が敵に勝利した勝利場面で大当り図柄を確定停止させる。天国モードHM又はチャンスモードCM下で特図大当りした場合、改めて上限時短回数が付与され、それが80回までなら大当り遊技後チャンスモードCMに移行し、それが81〜100回なら大当り遊技後天国モードHMに移行する。
【0106】
図20に示すように、通常モードGM下での主流当りとなる特図大当りを期待する遊技では、左打ち推奨シンボルLSの表示に従って左打ちすることにより、主に、第1種始動口を構成する交互振分機構8に具備するヘソ始動口A1への入賞を狙う。ヘソ始動口A1等への第1種始動入賞があると、特別図柄(特図)対応の演出図柄7L,7C,7Rが演出表示装置7のメイン演出表示器71上で変動する。大当りに当選している場合は、左右の演出図柄7L,7Rが同一図柄で揃うリーチを経て、1分前後の長期間にわたって期待感を煽る動画演出等を展開させるスーパーリーチに発展する。
【0107】
図21に示すように、大当りに当選している場合、特図対応の演出図柄7L,7C,7Rが同一図柄で三つ揃う大当り図柄が確定停止されると共に、「大当り!」のメッセージが表示される。続いて、「祝大当り」の祝福表示をする大当り開始デモ演出を経て、
図13〜16で示した第2大入賞口9を複数ラウンドについて開放させる大当り遊技が行えることになる。
【0108】
図22に示すように、大当り遊技では、1〜5ラウンド(1R〜5R)において、演出表示装置7のメイン演出表示器71上で、味方と敵の対戦(バトル)が繰り広げられ、味方の攻撃でバトルポイントがプラス(+1p等)され、敵の攻撃でマイナス(−10p等)され、有効な攻撃によりダメージが大きいと数値が高くなる(+30p等)。なお、大当り遊技時は右打ちが推奨され、右打ち推奨シンボルの「右」矢印が表示される。
【0109】
最終の5ラウンド(5R)の最後において、初期獲得ポイントたるバトルポイントが表示され、レベル1に対応した0ポイント(0p)の場合、味方が敵に敗北するバトル敗北画面で完結させるが、レベル2〜4の場合でも初期獲得ポイントに0ポイント(0p)が選ばれる可能性もある。また、初期獲得ポイントが1ポイント(1p)以上の場合、味方が敵に勝利するバトル勝利画面で完結させるが、初期獲得ポイントが最大の30ポイント(30p)であっても、レベル4(チャンスモードCMへ移行)の場合もあるし、レベル5(天国モードHMへ移行)の場合もある。遊技者は、大当り遊技終了後の演出表示装置7の背景により移行先モードを知ることになる。
【0110】
図23に示すように、天国モードHM又はチャンスモードCM下での主流当りとなる普図当りから小当りを経てV入賞大当りを期待する遊技では、右打ち推奨シンボルRSの表示に従って右打ちすることにより、主に、普通図柄抽選契機口を構成する右打球通過ゲートGT2への球通過及び第2種始動口B0への入賞を狙う。右打球通過ゲートGT2に球が通過すると、演出表示装置7のメイン演出表示器71上で、普図演出図柄7NL,7NRが円形装飾枠画像7naと共に拡大表示されて変動する。普通図柄抽選での当選すなわち普図当りの場合は、左右の普図演出図柄7NL,7NRが同一図柄で揃い、普通電動役物が作動(普電作動)して、第2種始動口B0がロング開放される。
【0111】
図24に示すように、第2種始動口B0がロング開放される電サポロング開放時は、第2種始動入賞が容易に得られ、小当りとなり、演出表示装置7のメイン演出表示器71上に、「小当り!」のメッセージが表示され、
図4〜8で示した第1大入賞口4を短期間(1.5秒)について開放させるハネモノ遊技たる小当り遊技が行えることになる。
【0112】
図25に示すように、ハネモノ遊技たる小当り遊技で、V入賞口6Vへの入賞があると、大当りの生起となり、「V入賞大当り!!」のメッセージを演出表示装置7のメイン演出表示器71上に表示させると共にサブ演出表示器72,73を後方を視認させる透過状態とする大当り開始デモ1、並びに、これに続いて左右の分割可動体35L,35Rを中央に移動させて「V」字を完成させると共にフル画面となったメイン演出表示器71上に「祝V大当り」の祝福表示をさせる大当り開始デモ演出2を経て、
図13〜16で示した第2大入賞口9を複数ラウンドについて開放させる大当り遊技が行えることになる。
【0113】
なお、演出表示装置7の背景動画は、バトルに代え、麻雀やじゃんけん等の各種ゲーム背景としてもよい。特図大当りにより、特図当り種別抽選用乱数に基づいて、時短仕様が継続することとなる特別図柄抽選の抽選導出回数の上限を、例えば、10回10%、20回10%、30回20%、40回20%、60回20%、100回20%で各振分け、特図大当り遊技時に演出表示装置7で展開させる麻雀動画の上り手役で初期ポイントを変更し、上限10回ならピンフやタンヤオ等の一役上りで初期ポイント1、上限20回ならトイトイや一気通貫等の二役上りで初期ポイント1〜10、上限30回ならリャンペーコー等の三役上りで初期ポイント1〜20、上限40回なら小三元等の四役上りで初期ポイント1〜30、上限60回ならチンイツ等の六役上りで初期ポイント1〜40、上限100回なら国士無双や大三元等の役満上りで初期ポイント1〜50等とし、特図大当り後、上限100回の場合は「八連荘ゾーン」と称する天国モードに、それ以外は「麻雀格闘ゾーン」と称するチャンスモードに移行させ、その後のV入賞大当りで、残存する時短継続回数の範囲内で麻雀の上り手役と対応させてポイントを上乗せ加算し、また、特図変動後に時短スルーしない場合は上りとなる背景で、時短スルーする場合はフリテンチョンボ等となる背景で、特図を確定停止させる。
【0114】
以上のものにおいて、第1大入賞口4に設けた球分岐機構5は、球受部541と球逃し部542とをもち一定範囲内で回転を許容させる球受け兼球逃し体54と、これに一体化する底を抜いたすり鉢状で底から球が出るまでに所定の遅延を伴わせる球カゴ55とを備え、常時は球受部541に球を受取らせる球受取り姿勢とし、球受部541に球が受取られると、球の自重により球カゴ55を回転させて底を下に向け且つ球逃し部542から非チャンス通路52に球を向かわせる球抜き姿勢とし、球抜き姿勢にある球カゴ55の底から出た球をチャンス通路51に受け渡す非電動式のシシオドシ構造であった。
【0115】
これに代えて、
図26〜28に示すように、球分岐機構5は、特別電動役物の一作動に係る第1大入賞口4の入口の開放時すなわちこの例では1.5秒開放時に第一番目に到達してきた球を、球の半径前後の深さとした保持穴内に突入させて保持する球保持部5Hと、特別電動役物の一作動に係る入口の開放により大入賞口4に受入れられて入球センサ4Li,4Riで検出された球数より一つ少ない数が0以下のときすなわち一球のみの受入れ時又は球受入れ無し時は特別電動役物の作動終了後すなわち開放から1.5秒後の球受渡し契機到来時、特別電動役物の一作動に係る入口の開放により大入賞口4に受入れて入球センサ4Li,4Riで検出された球数より一つ少ない数が1以上のときすなわち二球以上の受入れ時はその一つ少ない数の球(要するに球保持部5Hに保持された一球以外の球)が非チャンス通路52を通過したことを球通過センサ4Lpで検出したことに基づく球受渡し契機到来時、球保持部5Hに保持した球をチャンス通路51に受け渡す球受渡し駆動体5Dとを備える電動式の構造としてもよい。
【0116】
この電動式の一例は、
図26,27に示すように、球受渡し駆動体5Dは、球保持部5Hに保持した球を受入れてチャンス通路51に放出させる球受入兼放出穴5Dhをもち、球受渡し契機到来時の後に球受入兼放出穴5Dhを球保持部5Hの下方に位置させ、これに続いて球受入兼放出穴5Dhをチャンス通路51側に向け、この後、球受入兼放出穴5Dhを球保持部5Hの下方に位置しない初期位置に戻す回転動作をするステッピングモータ等によるモータ駆動式の回転体5DRから成る。球保持部5Hに第一番目に到達してきた一球のみが保持された状態では、第二番目以降に到達してきた球は、球保持部5Hに保持された球に当って弾かれ、非チャンス通路52に分岐される。球受渡し契機到来時の後に、球保持部5Hに保持された第一番目に到達してきた一球のみがチャンス通路51からV入賞振分機構6に向けられることになる。
【0117】
電動式の別例は、
図28に示すように、球受渡し駆動体5Dは、球保持部5Hの保持穴の底に蓋をすることによる球の保持を、球受渡し契機到来時の後に保持穴の底の蓋を取り除くことで解除し、球保持部5Hに保持していた球を保持穴の底からすり抜け状に落としてチャンス通路51に放出させるソレノイド駆動式の前後に進退する球抜きシャッター5DSから成る。このものでも、球受渡し契機到来時の後に、球保持部5Hに保持された第一番目に到達してきた一球のみがチャンス通路51からV入賞振分機構6に向けられることになる。
【0118】
以上のものにおいて、第1大入賞口4に設けたV入賞振分機構6は、常時一定方向に定速度で水平回転し且つ中心部を頂として外周に向けて緩傾斜する球振分円盤62を備え、この球振分円盤62の円周を所定数に均等分割した一つの扇形部分にV入賞口6Vへの入賞が確実となるV入賞振分部(V入賞球受部64)を設け、その他の複数の扇形部分にV入賞口6Vへの入賞が不可能となる非V入賞振分部(球排出穴部65)を設ける構造であった。
【0119】
これに代えて、
図29に示すように、V入賞振分機構6は、チャンス通路51に分岐された球を円形周回路6rに周回させるクルーン6Cから成るものとしてもよい。円形周回路6rの底6bには、所定率で入球を許して特定領域たるV入賞口6Vに入賞させる一つのV入賞穴6Vhと、非特定領域となる非V入賞穴6F1,6F2に入賞させる複数個例えば二つの非V入賞穴6Fh1,6Fh2を設けている。また、V入賞穴6Vhへの入球路に、該V入賞穴6Vhへの入球率を低めてV入賞率を例えば1/6〜1/10の所定の設計値に調整するV入賞率調整突起6tを設けている。6F1s,6F2sは、非V入賞穴6F1,6F2の入賞センサである。この例の場合、クルーン6C中を周回する球の挙動に注目しながら、比較的長期間についてV入賞の期待感を煽ることができる。
【0120】
また、以上の実施例において、第2種始動口B0は、通常の電動チューリップで構成し、電サポショート開放時にも多少の入賞が期待できるようにしてもよい。また、第2大入賞口9は、球回収口91の上部に領域区画部材92や球受止部材93を設けないシンプルなスライド方式のものでもよいし、通常のアタッカー方式のものでもよい。また、以上の実施例における確率や回数、時間、出玉等についての数値は一例示に過ぎないのは言うまでもない。
さらに、上記実施例においては、天国モードHM又はチャンスモードCM下で特図大当りした場合、改めて上限時短回数が付与され、該回数に応じて大当り遊技後チャンスモードCM又は天国モードHMに移行させるように設定したが、天国モードHM又はチャンスモードCM下で特図大当りは頻度の少ないレアケースのため、天国モードHM又はチャンスモードCM下で特図大当りした場合には、一律100回の上限時短回数を付与し天国モードHMに移行させてもよい。