特許第6393934号(P6393934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393934
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】唇用化粧料塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   A45D34/04 515Z
   A45D34/04 510A
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-87074(P2014-87074)
(22)【出願日】2014年4月21日
(65)【公開番号】特開2015-83115(P2015-83115A)
(43)【公開日】2015年4月30日
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2013-195000(P2013-195000)
(32)【優先日】2013年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100125313
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 直美
(72)【発明者】
【氏名】矢島 勲
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−235641(JP,A)
【文献】 特開平11−222274(JP,A)
【文献】 特開2012−217697(JP,A)
【文献】 特許第4847607(JP,B2)
【文献】 特許第4206215(JP,B2)
【文献】 国際公開第2012/001580(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布部材を支持する棒状の支持部材と、該支持部材の先端から延び出る略扁平形状の塗布部材と、を備え、塗布部材の扁平の表裏面には、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に、延出方向に対し略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径を有する断面弧状の湾曲凹部をそれぞれ形成することを特徴とする唇用化粧料塗布具。
【請求項2】
湾曲凹部の断面の曲率半径を15〜35mmとすることを特徴とする請求項1記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項3】
塗布部材が支持部材の延長軸線と鋭角をなすように支持部材に対して傾斜して延び出し、該延長軸線に面する塗布部材の扁平の一面を外側面とし、該外側面の反対側に位置する扁平の他面を内側面として塗布部材を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項4】
塗布部材が支持部材の延長軸線と3〜25度の角度をなすように支持部材に対して傾斜して延び出すことを特徴とする請求項3記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項5】
内側面に設ける湾曲凹部は、外側面に設ける湾曲凹部より、塗布部材の先端方向に配置することを特徴とする請求項3又は4記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項6】
塗布部材の表面を静電植毛することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項7】
植毛する繊維の長さを0.2〜1.5mmとすることを特徴とする請求項6記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項8】
塗布部材の先端部の表裏面には、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において略同一の位置に、延出方向に対して略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径を有する断面弧状の湾曲底面溝をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の唇用化粧料塗布具。
【請求項9】
湾曲底面溝の断面の曲率半径を0.1〜3mmとすることを特徴とする請求項8記載の唇用化粧料塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、グロス等の唇用化粧料を塗布するための唇用化粧料塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、口紅、グロス等の唇用化粧料においては、唇に光沢を与え、立体感のある唇を演出する化粧効果を奏するものが広く嗜好されている。このような唇用化粧料は、液状、ペースト状あるいはゲル状であることが多く、粘度が比較的低いため、化粧料容器としては、化粧料が漏れ出すことなく確実に収容することができ、しかも携帯性にも優れることから、化粧料を収容する容器本体と、かかる容器本体に挿入して化粧料を掬い取ることができるヘラ状の塗布具を内側に取り付けたキャップとからなる化粧料容器が用いられることが多い。
【0003】
このような化粧料容器では、抜き出した塗布具に必要以上の化粧料が付着していると、唇に塗布する際、意図しない部分に化粧料がはみ出るなど、化粧操作に支障を来すことから、通常は容器本体の取り出し口に、塗布具をしごき、余分な化粧料を掻き落とすための、シゴキパーツを設置している。
【0004】
しかしながら、シゴキパーツで掻き落とす化粧料の量を調整することは難しく、容器本体から抜き出すときの塗布具の角度や抜き出す速度により、掻き落とす量にバラツキが生じるため、抜き出した塗布具に付着している化粧料は必ずしも適量とはならず、化粧の仕上がりが十分といえない場合が生じる。また、掬い取る化粧料の量が少ない場合に、塗布具を容器本体に抜き差ししながら繰り返し化粧料を掬い取ることは化粧行為において煩わしく使用性に劣る。一方、塗布用具の表面が唇に十分に密着しなければ、化粧料を均一に塗布することができず、化粧効果を十分に得ることができない。
【0005】
したがって、化粧料を唇に塗布するための塗布具においては、適量の唇用化粧料を確実に掬い取るとともに、唇に密着して化粧料を均一に塗り広げることができる唇用化粧料塗布具の開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−55548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、適量の唇用化粧料を確実に掬い取るとともに、唇に密着して化粧料を均一に塗り広げることができる唇用化粧料塗布具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、塗布部材を支持する棒状の支持部材と、該支持部材の先端から延び出る略扁平形状の塗布部材と、を備えた唇用化粧料塗布具において、塗布部材の扁平の表裏面には、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に、延出方向に対して略垂直に延びる湾曲凹部をそれぞれ設けることにより、適量の唇用化粧料を確実に掬い取ることができ、しかも唇に密着して化粧料を均一に塗り広げることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、塗布部材を支持する棒状の支持部材と、該支持部材の先端から延び出る略扁平形状の塗布部材と、を備え、塗布部材の扁平の表裏面には、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に、延出方向に対し略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径を有する断面弧状の湾曲凹部をそれぞれ形成することを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0010】
さらに本発明は、湾曲凹部の断面の曲率半径を15〜35mmとすることを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0011】
さらに本発明は、塗布部材が支持部材の延長軸線と鋭角をなすように支持部材に対して傾斜して延び出し、該延長軸線に面する塗布部材の扁平の一面を外側面とし、該外側面の反対側に位置する扁平の他面を内側面として塗布部材を形成することを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0012】
さらに本発明は、塗布部材が支持部材の延長軸線と3〜25度の角度をなすように支持部材に対して傾斜して延び出すことを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0013】
さらに本発明は、内側面に設ける湾曲凹部が、外側面に設ける湾曲凹部より、塗布部材の先端方向に配置されることを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0014】
さらに本発明は、塗布部材の表面を静電植毛することを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0015】
さらに本発明は、植毛する繊維の長さを0.2〜1.5mmとすることを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0016】
さらに本発明は、塗布部材の先端部の表裏面に、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において略同一の位置に、延出方向に対して略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径を有する断面弧状の湾曲底面溝をそれぞれ設けたことを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【0017】
さらに本発明は、湾曲底面溝の断面の曲率半径を0.1〜3mmとすることを特徴とする唇用化粧料塗布具である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、適量の唇用化粧料を確実に掬い取るとともに、唇に密着して化粧料を均一に塗り広げることができ、すぐれた化粧効果を奏する唇用化粧料塗布具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】唇用化粧料塗布具を組み付けた化粧料容器の構造図(一部断面図)
図2】塗布部材の外観図((a)正面図、(b)側面図)
図3】塗布部材の表裏面に設けた湾曲凹部の外観図
図4】塗布部材の先端部に設けた湾曲溝部の拡大図
図5】フロッキー植毛を施した塗布部材の外観図((a)正面図、(b)側面図)
図6】塗布部材の外観図(他の実施形態)((a)正面図、(b)側面図)
図7】唇用化粧料塗布具の使用状態図
図8】従来の塗布部材の外観図
図9】担持する化粧料の量を計測した結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の唇用化粧料塗布具の形態について図面を用いて詳しく説明する。
【0021】
図1は、本発明の唇用化粧料塗布具を組み付けた化粧料容器の構造を示す。化粧料容器(11)は化粧料を充填する容器本体(12)とキャップ(13)からなり、キャップ(13)には、化粧料を取り出すとともに、化粧料を唇に塗布するための唇用化粧料塗布具(1)が設けられている。この唇用化粧料塗布具(1)は、支持部材(2)と塗布部材(3)とが接合してなり、塗布部材が接合していない支持部材(2)の端部はキャップ(13)に接合している。支持部材(2)と塗布部材(3)との接合は、塗布部材(3)の端に一体的に設けた保持部(4)を支持部材(2)の端部に設けた保持孔(5)に挿入し固定して行う。また、この唇用化粧料塗布具(1)は、キャップ(13)を容器本体(12)の口部に螺合すると、容器本体(12)に充填されている化粧料に含浸するように、キャップ(13)に取り付けられる。なお、本発明の唇用化粧料塗布具は、化粧料容器に組み付けて使用するだけでなく、単独で化粧料を塗布するための塗布具として使用することもできる。
【0022】
塗布部材(3)は唇への感触をよくし、化粧操作を円滑にするため、適度な弾力性を有する素材を選定する必要がある。また、化粧料と常時接触する部位であるため化粧料に対して相互作用のない化学的に安定な素材である必要がある。したがって、塗布部材(3)を形成する素材としては、エラストマー樹脂であることが好ましく、このようなエラストマー樹脂として、例えば、熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0023】
塗布部材(3)は、化粧料を掬い取り、唇に塗布する操作のし易さから、幅は約3.5〜9.0mm、長さは約12〜18mm、厚さは約0.5〜5mmであることが好ましいが、化粧料によってはこれに限定されるものではない。
【0024】
容器本体(12)の取り出し口にはシゴキパーツ(14)が設置されており、唇用化粧料塗布具(1)を容器本体(12)から引き抜く際、支持部材(2)および塗布部材(3)に付着した余分な化粧料は、シゴキパーツの内孔縁(15)によって掻き落とされる。そしてシゴキパーツ(14)の内孔縁(15)は、キャップを回転して唇用化粧料塗布具を引き抜くため、方向性を持たない円形としている。シゴキパーツ(15)の材質は、弾力性を備える必要から一般的には、ニトリルブタジエンゴム(NBR)等のエラストマーが用いられる。
【0025】
唇用化粧料塗布具(1)は、塗布部材を支持する棒状の支持部材(2)と、かかる支持部材の先端から延び出る略扁平形状の塗布部材(3)と、を備え(図1図2)、塗布部材(3)の扁平の表裏面には、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に、延出方向に対し略垂直に交差する中心線(O1,O2)を中心として所定の曲率半径(R1,R2)を有する断面弧状の湾曲凹部(6a,6b)をそれぞれ形成している(図3)。
【0026】
唇用化粧料塗布具(1)を用いて化粧料を塗布するときは、唇用化粧料塗布具(1)を容器本体(12)から引き抜くとともに、塗布部材(3)表面に付着した余分な化粧料をシゴキパーツ(14)で掻き落とし、塗布部材の表面に担持する一定量の化粧料を唇用化粧料塗布具(1)を操作しながら塗布部材を唇に密着させて化粧料を塗布する。
【0027】
唇用化粧料塗布具(1)は、塗布部材(3)の扁平の表裏面に、延出方向に対し略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径(R1,R2)を有する断面弧状の湾曲凹部(6a,6b)をそれぞれ形成していることから(図3)、容器本体(12)から引き抜いた後も、それぞれの湾曲凹部(6a,6b)に下唇と上唇に塗布するために必要な量の化粧料を確実に担持することができ、化粧操作の途中で化粧料が不足し、容器本体(12)から化粧料を何度も掬い取る操作をなくすことができる。また湾曲凹部(6a,6b)は、下唇および上唇に密着し易い形状であるため、塗布部材(3)の表面を唇に密着させながら、化粧料を均一に塗り広げることができる。
【0028】
塗布部材(3)の扁平の表裏面に設けた湾曲凹部(6a,6b)は、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に配置することにより、塗布部材の厚さをある程度均一に保つことができる(図3)。通常、塗布部材は合成樹脂を射出成形するなどして製造されるが、塗布部材の厚さをある程度均一にして成形すると、塗布部材全体に弾力性を備えることができ、化粧料を唇に塗布する際、塗布部材が唇に密着し易くなり、均一な塗布状態を得ることができるとともに、唇への塗布部材の感触がソフトとなり、塗布する際の使用感を向上させることができる。
【0029】
図2は、肉厚を略均一に成形した塗布部材(3)の一例を示すが、湾曲凹部(6a,6b)以外の部分は適宜肉盛りするなどして、塗布部材全体の弾力性を調整することもできる。例えば、図6は、塗布部材(3)の湾曲凹部(6a)の裏側を肉盛りし、この部分を先端部(8)と同一かやや肉厚に成形した塗布部材(3)の例を示している。このように、塗布する化粧料の粘度あるいは硬度に応じて、塗布部材の肉厚を適宜調整し、化粧行為に最適な塗布部材を得ることが好ましい。
【0030】
また、断面弧状の湾曲凹部(6a,6b)は支持部材(2)から延び出る塗布部材(3)の延出方向に対して略垂直に延びることから、湾曲凹部(6a,6b)を唇に密着させ易く、また化粧する際にも、唇用化粧料塗布具(1)を手に持ち、塗布部材(3)の先端が上方向となるように塗布部材を立てた状態で唇にあてがうと、湾曲凹部(6a,6b)を唇に密着させた状態のまま、唇に沿って左右に移動させることができ、化粧料を均一に塗布することができる(図7)。
【0031】
湾曲凹部(6a,6b)の断面の曲率半径(R1,R2)は、塗布する化粧料の粘度や塗布部材の形状等に応じて適宜設定することができるが、通常の口紅、グロス等の化粧料であれば、曲率半径(R1,R2)を15〜35mmとすることが好ましい(図3)。曲率半径が15mmより小さいと、掬い取ることができる化粧料の量が少なくなり、上唇と下唇に化粧料を十分塗布することが困難となる。一方、曲率半径が35mmより大きいと、掬い取る化粧料の量が多すぎるとともに、湾曲凹部が唇に密着しづらくなり、化粧料を唇に均一に塗布することが困難となる。したがって、化粧料を十分に担持することができ、しかも唇に密着して化粧料を均一に塗布するためには、湾曲凹部の曲率半径(R1,R2)は15〜35mmとすることが最適である。
【0032】
また塗布部材(3)は、支持部材(2)の延長軸線と鋭角をなすように支持部材に対して傾斜して延び出し、該延長軸線に面する塗布部材の扁平の一面を外側面(3a)とし、該外側面の反対側に位置する扁平の他面を内側面(3b)として塗布部材を形成することができる(図2図3)。下唇と上唇とは、その形状や大きさが異なることから、塗布部材の扁平の表裏面に傾斜角度を設け、下唇への塗布面と上唇への塗布面に使い分けて使用することが好ましい。このため塗布部材の扁平の表裏面を支持部材に対して傾斜させ、支持部材(2)の延長軸線に面しながら、かかる延長軸線と鋭角をなして延び出る塗布部材の扁平の一面を外側面(3a)とし、当該外側面の反対側に位置する扁平の他面を内側面(3b)として形成する。そして外側面(3a)を下唇への塗布面とし、内側面(3b)を上唇への塗布面とすれば、図7に示すように、外側面と内側面を無理なく下唇と上唇に密着させることができ、外側面と内側面とを使い分けながら化粧操作が行うことで、化粧料を均一に塗布することが可能となる。
【0033】
ここで、支持部材(2)の延長軸線(B)に対する塗布部材(3)の傾斜角度θは、3〜25度とすることが好ましい(図3)。塗布部材の傾斜が3度より小さいと、塗布部材の表裏面が唇に密着しにくくなるとともに、外側面と内側面とを識別することができず、下唇用の塗布面と上唇用の塗布面とを使い分けることが困難となる。一方、塗布部材の傾斜が25度より大きいと、塗布部材の表裏面の傾斜が大きすぎるため下唇と上唇に密着させることが困難となり、化粧料を均一に塗布することができず、すぐれた化粧効果を得ることができない。このように塗布部材の扁平の表裏面を使い分け、下唇と上唇に密着させてすぐれた化粧効果を得るためには、塗布部材の傾斜角度は3〜25度が最適である。
【0034】
図3に示すように、塗布部材の内側面に設ける湾曲凹部(6b)は、外側面に設ける湾曲凹部(6a)より、塗布部材(3)の先端方向に配置することができる。外側面に設ける湾曲凹部(6a)は、塗布部材の根元方向(支持軸側)に位置する方が下唇に密着させ易くなり(図7(a))、内側面に設ける湾曲凹部(6b)は、塗布部材の先端方向に位置する方が上唇に密着させ易くなることから(図7(b))、内側面に設ける湾曲凹部(6b)を、外側面に設ける湾曲凹部(6a)より塗布部材(3)の先端方向に配置することで、より円滑に化粧操作を行うことが可能となる。また、このように2つの湾曲凹部(6a,6b)を、支持部材から延び出る塗布部材の延出方向において異なる位置に配置することで、塗布部材の厚さをある程度均一に保つことができ、塗布部材全体に弾力性を備ることができ、塗布部材を唇に密着させ易くなるとともに、ソフトな感触で使用感を向上させることもできる。外側面に設けた湾曲凹部(6a)の曲率半径R1と、内側面に設けた湾曲凹部(6b)の曲率半径R2とは、同一とするか、あるいは下唇は上唇より曲率半径が大きいことから、R1をR2より大きくすることが好ましい。
【0035】
塗布部材の表面は、化粧料を十分担持することができるよう静電植毛することができる(図5)。塗布部材の平滑な表面に静電植毛を施すことで、化粧料を植毛間に保持することができ、化粧料をより均一に塗り広げることが可能となる。静電植毛(フロッキー加工)に使用する繊維は、材質、太さについて、特に限定されるものではなく、化粧用具の静電植毛として一般的に用いられる、太さ約0.9〜3.3T(デシテックス)のナイロン又はポリエステル等の樹脂製を使用することができる。また、植毛する繊維の長さを0.2〜1.5mmとすると、湾曲凹部では植毛の先端が曲率半径の中心に向かって起立するため、湾曲凹部で化粧料を担持し易くなり好適である。繊維の長さが0.2mmより短いと植毛による化粧料を担持する効果は低く、繊維の長さが1.5mmより長いと植毛が嵩高くなり塗布部材に設けた湾曲凹部の形状によるメリットが損なわれるとともに、繰り返し使用すると植毛が起立しづらくなり、含浸する化粧料の量が減少することにもなる。このように湾曲凹部で化粧料を十分担持するためには、繊維の長さは0.2〜1.5mmとすることが最適といえる。なお、太さ、長さ、材質等が異なる複数種の繊維を混合して植毛することで、液含みが向上し化粧料を担持する効果を向上させることができるとともに、植毛の起立する度合いを調整できるため、使用感触を調整をすることができる。
【0036】
塗布部材の先端部(8)の表裏面には、支持部材(2)から延び出る塗布部材の延出方向において略同一の位置に、延出方向に対して略垂直に交差する中心線を中心として所定の曲率半径(R3,R4)を有する断面弧状の湾曲底面溝(9a,9b)をそれぞれ設けることができる(図2図4)。このように塗布部材の先端部(8)の表裏面に、それぞれ湾曲底面溝(9a,9b)を設けることにより、突出部(10)の断面を曲率半径が小さい半円形状(曲率半径R5は約0.2〜0.8mm)に形成することができ、かかる突出部(10)を使用して、唇の輪郭に沿って化粧料を塗布するなど細かい化粧操作を行うことが可能となる。さらに、塗布部材の先端部(8)に湾曲底面溝(9a,9b)を設けることで、かかる湾曲底面溝に化粧料を担持することができ、先端部で化粧料を塗布する際にも途切れることなく、化粧料を円滑に塗布することができる。
【0037】
また、湾曲溝部(9a,9b)の曲率半径(R3,R4)を0.1〜3mmとし、塗布部材(3)の表面を静電植毛すれば、突出部(10)では植毛を放射状に起毛することができるため、突出部(10)を使用して、塗布した化粧料をぼかすなどしてグラデーション効果を得ることもできる(図4)。
【実施例】
【0038】
本発明の唇用化粧料塗布具の効果を確認するため、従来の塗布具と比較して行った確認試験の結果を実施例として記載する。
【0039】
本発明の唇用化粧料塗布具と、塗布部材の表裏面に湾曲凹部を設けていない従来の塗布具(図8)について、化粧料を収容する容器から引き抜いた際に担持することができる化粧料の量を計測して比較した。
【0040】
図9に示すように、本発明の唇用化粧料塗布具は従来の塗布具に対して105%の量の化粧料を担持することができ、下唇と上唇を化粧するために必要な量を掬い取ることができることを確認した。
【符号の説明】
【0041】
1 唇用化粧料塗布具
2 支持部材
3 塗布部材
3a 外側面
3b 内側面
4 保持部
5 保持孔
6 湾曲凹部
6a 湾曲凹部(扁平の外側面に形成)
6b 湾曲凹部(扁平の内側面に形成)
7 静電植毛
8 塗布部材先端部
9 湾曲溝部
9a 湾曲底面溝(扁平の外側面に形成)
9b 湾曲底面溝(扁平の内面側に形成)
10 突出部
11 化粧料容器
12 容器本体
13 キャップ
14 シゴキパーツ
15 内孔縁
A 支持部材から延び出る塗布部材の延出方向を示す線
B 支持部材の延長軸線(軸心線)
θ 支持部材の延長軸線に対する塗布部材の傾斜角度
R1 曲率半径
R2 曲率半径
R3 曲率半径
R4 曲率半径
R5 曲率半径
O1 曲率半径の中心(中心線)
O2 曲率半径の中心(中心線)
O3 曲率半径の中心(中心線)
O4 曲率半径の中心(中心線)
O5 曲率半径の中心(中心線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9