特許第6393963号(P6393963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393963
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20180913BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20180913BHJP
   G06T 3/60 20060101ALI20180913BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H04N1/04 106A
   H04N1/12 Z
   G06T1/00 430J
   G06T3/60
   H04N1/387
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-149389(P2013-149389)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-23389(P2015-23389A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(74)【代理人】
【識別番号】100082739
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 勝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 健二
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−74597(JP,A)
【文献】 特開2003−319160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G06T 1/00
G06T 3/00 − 5/50
H04N 1/38 − 1/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取位置に光を照射し前記読取位置の反射光から当該読取位置を通過する原稿の読取画像を読み取るとともに、前記原稿が存在しない場合は前記読取位置に照射され正反射板により反射された光が入射する画像読取手段と、
前記画像読取手段が前記原稿の読取画像の読み取りを開始する位置である前記読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域と、当該外部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域と、前記読取開始端より内側に位置し、前記読取開始端に隣接する一部の内部領域と、当該一部の内部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域とからなる特定領域において前記特定領域の読取画像から原稿画像と背景画像の境界を検出しない第1の処理、及び前記外部領域を含まず且つ前記読取開始端より内側に位置する、当該一部の内部領域を除く内部領域と、当該一部の内部領域を除く内部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域とからなる通常領域において当該通常領域の読取画像から前記原稿画像と前記背景画像との境界を前記読取位置の反射光の相違によって検出する第2の処理を行う境界検出手段と、
前記境界検出手段によって検出された境界に基づいて前記原稿の傾きを検出する傾き検出手段と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像に対して原稿画像と背景画像との境界でないことを示す出力値を出力することを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記境界検出手段は、前記読取画像に施すメディアンフィルタ処理を行って得られた画像データに対して、前記原稿画像と前記背景画像との境界を検出する際に、
前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像に対して前記メディアンフィルタ処理を施す代わりに、前記メディアンフィルタ処理の出力値として注目画素の画素値をそのまま用いることを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像の画素値として、予め記憶された前記通常領域の先端部に位置する読取画像の画素値をコピーして用いることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記傾き検出手段の検出結果に基づいて前記原稿画像の傾きを補正する傾き補正手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段によって読み取られた原稿の画像基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備え、
前記画像読取手段として請求項1乃至のいずれかに記載された画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取装置としては、原稿搬送装置により搬送される原稿の画像を読み取るとともに、原稿の端部を検出することで搬送方向に対する傾き(スキュー角度)を算出するように構成したものがある。かかる画像読取装置に関連する技術としては、例えば、特許文献1等に開示されたものが既に提案されている。
【0003】
特許文献1は、原稿に形成された画像を読み取る画像読取手段と、画像読取手段で読み取った読取画像を副走査方向に走査して、読取画像の全画素のうち少なくとも選択された画素の位置における読取画像の副走査方向に関する微分情報を取得し、微分情報に基づいて読取画像中の原稿画像と背景画像との境界座標情報を取得する座標情報取得手段とを備えるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−124828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この発明が解決しようとする課題は、原稿の読取位置に異物が付着した場合であっても原稿先端部の誤検知を抑制することが可能な画像読取装置及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、読取位置に光を照射し前記読取位置の反射光から当該読取位置を通過する原稿の読取画像を読み取るとともに、前記原稿が存在しない場合は前記読取位置に照射され正反射板により反射された光が入射する画像読取手段と、
前記画像読取手段が前記原稿の読取画像の読み取りを開始する位置である前記読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域と、当該外部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域と、前記読取開始端より内側に位置し、前記読取開始端に隣接する一部の内部領域と、当該一部の内部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域とからなる特定領域において前記特定領域の読取画像から原稿画像と背景画像の境界を検出しない第1の処理、及び前記外部領域を含まず且つ前記読取開始端より内側に位置する、当該一部の内部領域を除く内部領域と、当該一部の内部領域を除く内部領域を前記読取開始端に沿った方向に延長した領域とからなる通常領域において当該通常領域の読取画像から前記原稿画像と前記背景画像との境界を前記読取位置の反射光の相違によって検出する第2の処理を行う境界検出手段と、
前記境界検出手段によって検出された境界に基づいて前記原稿の傾きを検出する傾き検出手段と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置である。
【0007】
請求項2に記載された発明は、前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像に対して原稿画像と背景画像との境界でないことを示す出力値を出力することを特徴とする請求項に記載の画像読取装置である。
【0008】
請求項3に記載された発明は、前記境界検出手段は、前記読取画像に施すメディアンフィルタ処理を行って得られた画像データに対して、前記原稿画像と前記背景画像との境界を検出する際に、
前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像に対して前記メディアンフィルタ処理を施す代わりに、前記メディアンフィルタ処理の出力値として注目画素の画素値をそのまま用いることを特徴とする請求項に記載の画像読取装置である。
【0009】
請求項4に記載された発明は、前記第1の処理は、前記特定領域の読取画像の画素値として、予め記憶された前記通常領域の先端部に位置する読取画像の画素値をコピーして用いることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置である。
【0010】
請求項5に記載された発明は、前記傾き検出手段の検出結果に基づいて前記原稿画像の傾きを補正する傾き補正手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の画像読取装置である。
【0011】
請求項6に記載された発明は、原稿の画像を読み取る画像読取手段と、
前記画像読取手段によって読み取られた原稿の画像基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段とを備え、
前記画像読取手段として請求項1乃至のいずれかに記載された画像読取装置を用いたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、読取位置に異物が付着した場合であっても原稿先端部の誤検知を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、原稿画像と背景画像との境界を迅速に検出することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、読取画像のノイズを除去するメディアンフィルタ処理を施した場合であっても、原稿先端部の誤検知を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、原稿の読取位置に異物が付着した場合であっても原稿先端部の誤検知を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、適正な状態の原稿の読取画像を得ることができる。
【0017】
請求項6に記載された発明によれば、その構成を有しない場合に比べて、原稿の読取位置に異物が付着した場合であっても原稿先端部の誤検知を抑制することができ、原稿の画像に応じた適正な画像を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を適用した画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置を示す構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の要部を示す断面構成図である。
図4】制御部を示すブロック図である。
図5】エッジ検出処理部を示すブロック図である。
図6】エッジ検出用フィルタを示す図である。
図7】エッジ検出処理部の作用を示す説明図である。
図8】読取画像を示す模式図である。
図9】角度算出処理部を示すブロック図である。
図10】原稿画像の角度算出処理を示す説明図である。
図11】原稿画像の角度算出処理を示す説明図である。
図12】原稿画像の角度算出処理を示す説明図である。
図13】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の作用を示す説明図である。
図14】この発明の実施の形態1に係る画像読取装置の作用を示す説明図である。
図15】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置を示すブロック図である。
図16】ノイズ除去フィルタを示す説明図である。
図17】この発明の実施の形態2に係る画像読取装置の作用を示す説明図である。
図18】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の動作を示す説明図である。
図19】この発明の実施の形態3に係る画像処理装置の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像読取装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示すものである。
【0021】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、原稿6の画像を読み取る画像読取装置3と、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2とを備えている。画像読取装置3は、画像形成部2を収容した装置本体1aの上方に支持部4により支持された状態で配置されており、画像読取装置3と装置本体1aとの間には画像が形成された記録媒体を排出するための空間を形成している。
【0022】
また、画像読取装置3には、その筐体31の前面に位置する前壁311の上部に、画像形成装置I及び画像読取装置2を操作する操作部としてのコントロールパネル101が設
けられている。コントロールパネル101は、ユーザに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに表示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル102、及び複数の操作ボタン103を有している。
【0023】
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。なお、装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。
【0024】
作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。この4つの作像装置10(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において1列に並べた状態となるよう配置されている。
【0025】
各作像装置10(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、回転する像保持体の一例としての感光体ドラム11を備えており、この感光体ドラム11の周囲に、次のような各装置が主に配置されている。主な装置とは、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段としての露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段としての現像装置14(Y,M,C,K)と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する図示しないドラム清掃装置等である。
【0026】
中間転写装置20は、図1に示されるように、各作像装置10(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するように配置される。この中間転写装置20は、感光体ドラム11と一次転写装置15(一次転写ロール)の間となる一次転写位置を通過しながら矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21をその内面から所望の状態に保持して回転自在に支持する複数のベルト支持ロール22〜24と、ベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる二次転写装置25と、二次転写装置25を通過した後に中間転写ベルト21の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置26とで主に構成されている。
【0027】
二次転写装置25は、図1に示されるように、中間転写装置20におけるベルト支持ロール23に支持されている中間転写ベルト21の外周面部分である二次転写位置において、中間転写ベルト21の周面に接触して回転するとともに二次転写用電圧が供給される二次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。また、二次転写ロール25又は中間転写装置20の支持ロール23には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
【0028】
定着装置40は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段によって加熱されるロール形態又はベルト形態の加熱用回転体41と、この加熱用回転体41に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体42などを配置して構成されたものである。この定着装置40では、加熱用回転体41と加圧用回転体42が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
【0029】
給紙装置50は、露光装置13の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体511,512,513と、用紙収容体511、512、513から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体511、512、513は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0030】
給紙装置50と二次転写装置20との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ロール54,55や搬送ガイド材で構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ロール55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5を排出収容部57へと排出する排出ロール58が配置されている。
【0031】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0032】
前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。
【0033】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置25、定着装置40等が始動する。
【0034】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、まず各感光体ドラム11が矢印で示す方向に回転し、各帯電装置12が各感光ドラム11の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位にそれぞれ帯電させる。続いて、露光装置13が、帯電後の感光ドラム11の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光LBを照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0035】
続いて、各現像装置14(Y,M,C,K)が、感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光ドラム11に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0036】
続いて、各作像装置10(Y,M,C,K)の感光ドラム11上に形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0037】
また、一次転写が終了した各作像装置10では、ドラム清掃装置が感光体ドラム11の表面に残留するトナー等の付着物を掻き取るように除去して感光ドラム11の表面を清掃する。これにより、各作像装置10は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0038】
続いて、中間転写装置20では、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路57では、レジストロールとしての用紙搬送ロール55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0039】
二次転写位置においては、二次転写装置25が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した中間転写装置20では、ベルト清掃装置26が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0040】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ロール25から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、排出ロール58により、例えば装置筐体1aの内部に配置された排出収容部57に排出される。
【0041】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が出力される。
【0042】
<画像読取装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係る画像読取装置の構成を示す概略構成図である。
【0043】
画像読取装置3は、大別して、上端面に原稿読取面が形成された筐体31と、筐体31に対して開閉自在に取り付けられた原稿押えカバー32と、原稿押えカバー32の一端部に設けられた自動原稿搬送部33とを備えている。
【0044】
この画像読取装置3は、ユーザの操作に応じて、自動原稿搬送部33によって原稿6を自動的に搬送しながら原稿6を読み取る第1の読取モードと、後述する原稿台76の上に置かれた原稿6を読み取る第2の読取モードとを切り替え可能に構成されている。図2は、第1の読取モードにおける原稿読み取り時の各部材の状態を示している。
【0045】
自動原稿搬送部33は、原稿6を積載した状態で配置する原稿収容部61と、原稿収容部61から原稿6を送り出す送出ロール62と、送出ロール62によって送り出された原稿6を1枚ずつ捌く捌きロール63と、原稿6を原稿読取位置へ搬送する搬送ロール64〜66と、原稿6を排出収容部67へ排出する排出ロール68から構成される原稿搬送機構を有している。これらの送出ロール62、捌きロール63、搬送ロール64〜66及び排出ロール68は、原稿6の読み取り時に図示しない駆動手段によって駆動される。
【0046】
駆動ロールとしての搬送ロール64bは、図2に示されるように、図示しない駆動モーター等を駆動手段として、図の正回転方向Raと逆回転方向Rbに回転可能に構成されている。従動ロールである搬送ロール64aは、搬送ロール64bに圧接した状態で、搬送ロール64bの回転にしたがって回転するものである。その際、搬送ロール64aの回転方向に対して搬送ロール64bの回転方向は反対方向になる。
【0047】
搬送ロール64a,64bは、原稿6を突き当てることで撓ませ、搬送される原稿6を搬送方向に対して傾き補正(以下、「スキュー補正」という。)を行う機械による傾き補正手段を構成している。ただし、搬送ロール64a,64bは、後述する制御部200によって制御され、必要時に機械による傾き補正を実行する。そのため、搬送ロール64aは、通常、正回転方向Raに回転駆動される。
【0048】
また、自動原稿搬送部33は、原稿6を読取位置に案内するとともに読取位置から排出方向に案内する円弧状の読取ガイド69、読取窓70の上方であって読取ガイド69に設けられ原稿6の裏当てとなる板状の正反射板72、原稿6の副走査方向のサイズを検知する検知部の一例としてのセンサ73、原稿の主走査方向のサイズを検知するセンサ74、原稿6の照明ランプ78が発する光に対する光の透過率を検知するセンサ75を有する。
【0049】
正反射板72は、後述する照明ランプ78から照射される光を、画像読取素子83の検知可能な光強度の上限値(白色上限値)となるような反射率で反射するものである。正反射板72としては、例えば、鏡面仕上げをした金属板や、銀又はアルミニウム蒸着をしたフィルム板、あるいはアルミニウム等の金属からなるシート等を用いることができる。
【0050】
画像読取装置3の筐体31は、上端面の一部が開口した直方体状の箱体として形成されている。筐体31は、原稿押えカバー32に対向する上壁312と、上壁312に対向する底壁313と、底壁313を挟んで副走査方向(図2の左右方向)に対向する側壁314及び側壁315と、上述した前壁311(図1参照)、及び前壁311と主走査方向(図2の紙面に直交する方向)に対向する後壁316とを有している。
【0051】
筐体31の上壁312には、第2の読取モード時に読み取られる原稿6の原稿読取位置に対応する部位に開口部317が形成され、開口部317には、原稿6を支持する原稿台76(プラテンガラス)が配置されている。また、原稿台76の自動原稿搬送部側には、第1の読取モード時に原稿6を読み取るための読取窓70が設けられている。読取窓70と原稿台76との間には、第1の読取モード時において原稿6を案内するための案内部材77が設けられている。
【0052】
画像読取装置3は、筐体31の内部に、原稿6を照明するための光を照射する円柱形状の照明ランプ78と、照明ランプ78から出射された光の一部を原稿6の方向へ向けて反射する反射部材としてのリフレクタ79と、原稿6の反射光を受ける第1のミラー80と、第1のミラー80からの反射光を受ける第2のミラー81と、第2のミラー81からの反射光を受ける第3のミラー82と、第3のミラー82からの反射光をCCD等からなる画像読取素子83に結像するレンズ84などを有する画像読取部とを備えている。照明ランプ78、リフレクタ79及び第1乃至第3のミラー80〜82は、副走査方向(図2の紙面に直交する方向)に沿って配置されている。また、照明ランプ78は、正反射板72方向及びリフレクタ79方向に向けて光を発する。
【0053】
照明ランプ78、リフレクタ79及び第1のミラー80は、主走査方向に沿って配置され、副走査方向に沿って移動可能に設けられたキャリッジからなる第1の移動体85に固定されている。第1の移動体85は、筐体31の後壁316に副走査方向に沿って配置された第1のレール86に案内されて、副走査方向に移動しながら原稿6の読取対象領域を照明し、第1のミラー80によって原稿6の反射光を第2の移動体87の第2のミラー81に向けて反射する。
【0054】
また、第2のミラー81及び第3のミラー82は、主走査方向に沿って配置され、副走査方向に沿って移動自在に設けられたキャリッジからなる第2の移動体87に固定されている。第2の移動体87は、筐体31の底壁313に副走査方向に沿って配置された第2のレール88に案内されて、副走査方向に移動しながら、原稿6の反射光を画像読取部のレンズ84に向けて反射する。第1のレール86及び第2のレール88は、主走査方向に沿った両端部に対向するようそれぞれ1つずつ配置されている。
【0055】
画像読取部は、底壁313に支持されたベース板89に固定された、レンズ84及び画像読取素子83を実装した基板90を有している。画像読取部は、第3のミラー82からの反射光がレンズ84を透過して画像読取素子83に結像し、画像読取素子83によって原稿6の画像を読み取って画像データを出力するように構成されている。
【0056】
第2の読取モードでは、第1の移動体85及び第2の移動体87が図示しない駆動機構によって駆動され、第1の移動体85が副走査方向へ移動する間、原稿6の画像読取部位から後述する画像読取素子83までの光路長が変動しないように、第2の移動体87の移動量が第1の移動体85の移動量の半分になるように構成されている。図2中、二点鎖線は、第1の移動体85が原稿6の副走査方向の端部付近に移動したときの第1の移動体85及び第2の移動体87の位置を示している。
【0057】
図3は、原稿読取位置の周辺を拡大して示す構成図である。この図では、照明ランプ78から発せられた光が原稿6を照射するまでの光路を二点鎖線で示している。なお、読取ガイド69の外周側には、読取ガイド69a,69b,69cが配置されており、搬送ロール65,66によって搬送される原稿6を読取ガイド69とともに案内する。
【0058】
照明ランプ78は、照明ランプ78から照射された光の一部が、原稿読取位置に向けて直接的に照射され、他の一部がリフレクタ79に向けて照射されるように図示しない導光体及び拡散板の角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0059】
また、リフレクタ79は、照明ランプ78から照射された光の一部が原稿読取位置の方向に反射されるよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0060】
第1のミラー80、第2のミラー81及び第3のミラー82は、原稿読取位置に原稿6が存在する場合に、原稿6によって反射された光が画像読取部に到達するよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0061】
また、正反射板72は、原稿読取位置に原稿6が存在しない場合に、照明ランプ78から直接に原稿読取位置に向けて照射された光が第1のミラー80の方向に反射されるよう角度及び位置等が調整されて設けられる。
【0062】
この実施の形態では、正反射板72としてアルミニウム製のシートを用い、アルミニウム製シート72を正反射板の取付位置に貼り付けることで正反射面を構成している。また、正反射板72及び読取ガイド69の表面には、紙粉や埃、塵等の異物が付着し難くするため、必要に応じてワックスを塗布している。紙粉等の異物は、原稿6が読取ガイド69により案内されて走行する際に、原稿6が読取ガイド69の角部に接触する接触部で紙粉等が発生する傾向がある。そのため、正反射板72にのみワックスを塗布する場合に比較して、読取ガイド69にもワックスを塗布した場合の方が紙粉の発生を抑制する上で効果がある。
【0063】
<制御部の構成>
図4は、画像読取装置3の制御部を示すブロック図である。
【0064】
制御部200は、CPUやCPUで実行されるプログラムやパラメータ等を記憶した記憶素子などから構成され、筐体31の内部に設けられる。制御部200は、ラインバッファ201、スキュー補正処理部202、画像処理部203、画像形成部2、縮小処理部204、エッジ検出部205、角度算出処理部206などの各部を制御する。なお、画像形成部2に代えて画像データを出力するネットワークや、画像データを記憶するHDDなどを採用しても良い。
【0065】
また、制御部200は、スキュー補正処理部202、画像処理部203、縮小処理部204、エッジ検出部205、角度算出処理部206などの各部を制御する以外に、これら各部としての機能を実現するものであっても良い。すなわち、制御部200は、スキュー補正処理部202、画像処理部203、縮小処理部204、エッジ検出部205、角度算出処理部206として機能するよう構成しても良い。
【0066】
ラインバッファ201は、画像読取装置3の画像読取部で読み取られ、図示しないA/D変換回路によってデジタルデータに変換された原稿6を含む画像データを複数の読み取りライン毎に一時的に記憶する。制御部200は、ラインバッファ201等への画像データの書き込みや読み出しを制御する。
【0067】
縮小処理部204は、画像読取装置3の画像読取部で読み取られた原稿6の画像データに対して縮小処理を施す。縮小処理部204は、例えば、600dpiの解像度で読み取られた原稿6の画像データを、主走査方向に沿ってその1/4の150dpi、副走査方向に沿ってその1/8の75dpiに縮小する。画像データを縮小するアルゴリズムとしては、投影法や単純間引き法などを用いる。
【0068】
なお、入力画像がRGB等の複数色の画像データからなる場合は、縮小処理に先立って単色化処理を行う。単色化処理は、画像データの各画素レベルに係数値を乗算し、それらを加算した行列演算値を用いる方法や、いずれか1色を選択する方法などにより行われる。
【0069】
エッジ検出処理部205は、図5に示されるように、画像データに対して先端エッジ検出、左端エッジ検出及び右端エッジ検出の3つの検出処理を行い、読み取られた原稿6の画像情報の各辺毎のエッジ量を抽出し、さらに抽出されたエッジ量を予め定められた閾値で二値化することにより、原稿6の各辺毎の位置(x,y座標)に応じてエッジ部を示すデータを出力する。なお、原稿6の各辺毎の位置(x,y座標)を示すデータは、別途出力される。
【0070】
エッジ検出処理部205のフィルタ処理は、図6に示されるような係数を有する先端エッジ検出用フィルタ、左端エッジ検出用フィルタ及び右端エッジ検出用フィルタからなる3種類のフィルタを用いることで、各辺のエッジを抽出する。なお、画像データは、背景画像部(原稿の外側領域)を0、原稿画像部(原稿の内側領域)を1とする。また、図6では、3×3のフィルタについて図示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、5×5のフィルタ等であっても良いことは勿論である。
【0071】
この実施の形態に係るエッジ検出処理部205は、図7(a)に示されるように、先端エッジ検出処理を行う際に、原稿6の画像を読み取った画像データ301のうち、読取画像の読取開始端の外側(前方)に設定されて位置する外部領域を含む特定領域の読取画像データから原稿画像と背景画像との境界を検出しない第1の処理と、図7(b)に示されるように、外部領域を含まない通常領域の読取画像データから原稿画像と背景画像との境界を検出する第2の処理とを実行するよう構成されている。なお、読取開始端の外側に位置する外部領域の画像データとしては、予め定められた値(例えば、「0」)などが用いられる。
【0072】
図7に示す実施の形態では、5×5の先端エッジ検出用フィルタを採用した場合を示しており、中央部に位置する注目画素が読取開始端から2ラインまでに位置する領域がエッジ検出の対象領域に外部領域を含む特定領域である。また、図7(b)に示されるように、注目画素が読取開始端から3ライン目以降に存在する領域がエッジ検出の対象領域に外部領域を含まない通常領域となっている。なお、図7中、符号300で示す領域は、読取画像データ301中に存在し、正反射板72の表面に紙粉等の異物が付着して反射率が画像読取素子83の検知可能な光強度の上限値(白色上限値)よりも低下した領域を模式的に示している。
【0073】
更に説明すると、図8は、正反射板72の略全面に紙粉等の異物が付着した場合における読取画像を模式的に示したものである。なお、図8では、紙粉等の異物が付着した領域を明確に示すため、濃いグレー(灰色)や薄いグレーに着色している。異物が付着した領域は、正反射板72と反射率が明らかに異なり、反射光の強度が画像読取素子83の検知可能な光強度の上限値(白色上限値)よりも低下するため、異物が付着していない領域と明確に判別することが可能である。また、画像読取装置3では、図8に示されるように、通常、原稿画像302が傾斜していない場合においても、読取画像の読取開始端から原稿6の搬送方向に沿って数ライン程度内側に位置するように読み取られる。
【0074】
エッジ検出処理部205は、例えば、特定領域に属する注目画素に対してはエッジ検出の出力値を強制的にエッジ部でないことを示す値である「0」とし(第1の処理)、通常領域に属する注目画素に対しては、通常のエッジ検出の出力値をそのまま出力する(第2の処理)。
【0075】
角度算出処理部206は、図9及び図10に示されるように、エッジ検出処理部205によって検出された原稿画像302の各辺のエッジ部(x,y座標)に基づいて、原稿画像302の先端部、左端部及び右端部に位置する各辺の傾きα,β,γ(スキュー角度)を算出する先端角度検出、左端角度検出及び右端角度検出の各処理を行う。先端角度、左端角度及び右端角度の各角度の検出処理に際しては、最小二乗法やハフ変換を用いる方法などを適用する。
【0076】
最小二乗法を用いる場合は、図11に示されるように、原稿6の各辺を構成するエッジ画素のそれぞれの座標(x,y)に対し、最小二乗法により一次関数からなる近似式(y=ax+b)を求め、その傾きaを原稿の端縁の角度とする。
【0077】
また、ハフ変換を用いる場合は、以下のような処理を行う。
まず、原稿画像302の各辺を構成するエッジ画素の座標に対してハフ変換を行う。このとき、ハフ変換の演算によって求められたRとハフ変換式におけるパラメータθを入力とした二次元メモリに投票(カウントアップ)する。原稿画像の各辺を構成するエッジ画素の全座標データに対して上記ハフ変換処理を実施した後、図12に示されるように、二次元メモリに記憶されたハフ空間データ中の最大得票数(各エッジ画素によって描かれる線が最も多く重なったところ)となったθ軸の値θ1,θ2を抽出し、その値を求める辺の傾斜角度とする。これらの処理は、例えば、制御部200による演算処理により行われる。
【0078】
原稿画像302の各辺の角度を抽出した後、制御部200は各辺の角度の代表値を当該原稿6のスキュー角度とし、スキュー補正処理部202に設定する。ここで、代表値とは、各辺の角度の平均値とする方法や、3辺のうち最も信頼性の高い角度を採用する方法などがある。最も信頼性の高い角度とは、ハフ変換を用いる場合、次の式で求める値(得票率)が最も大きい角度とすれば良い。
得票率=決定角度の得票数÷ハフ変換した画素数
【0079】
また、最小二乗法を用いた場合には、近似式と各エッジ座標との誤差が最も少ない辺の角度を選択する方法などがある。
【0080】
スキュー補正処理部202は、角度算出処理部206において求められたスキュー角度に基づいて、ラインバッファ201に記憶された原稿6の画像データをスキュー角度に対応した角度だけ回転処理を施すことによって、原稿画像302のスキューを電子的に補正する。
【0081】
画像処理部203では、スキューが補正された原稿6の画像データに対して所要の画像処理を施した後、画像形成のタイミングに同期して画像形成部2の露光装置13へ画像データを出力する。
【0082】
<画像読取装置の特徴部分の動作>
画像読取装置3では、ユーザが操作部を操作することによって、第1の読取モードが選択された場合、図2に示されるように、原稿収容部61に収容された原稿6を送出ロール62によって送り出すとともに、捌きロール63によって1枚ずつ捌いて、搬送ロール64〜66によって読取窓70を通過するように搬送した後、排出ロール68により排出収容部67へと排出する。
【0083】
その際、原稿6は、読取窓70に対応した読取位置を通過する際に、照明ランプ78から照射される光及びリフレクタ79によって反射される光によって照明され、原稿6及びその背景部(正反射板72)からの反射光は、第1乃至第3のミラー80〜82によって反射され、レンズ84を介して画像読取素子83に結像され読み取られる。画像読取素子83からは、原稿6及びその背景部からの反射光に応じた画像データが出力される。
【0084】
画像読取装置3によって読み取られた原稿の画像データは、図4に示されるように、ラインバッファ201に送られて一時的に記憶されるとともに、縮小処理部204に送られて縮小処理が施される。
【0085】
縮小処理部204によって縮小された画像データは、エッジ検出処理部205に入力される。エッジ検出処理部205では、図5及び図6に示されるように、3種類のフィルタを用いて原稿画像302の先端部と背景画像303との境界(エッジ部)と、原稿画像302の左端部と背景画像303との境界(エッジ部)と、原稿画像302の右端部と背景画像302との境界(エッジ部)とが検出される。
【0086】
エッジ検出処理部205は、図13(a)に示されるように、読取開始端の前方に設定された外部領域を含む特定領域のエッジ部を先端エッジ検出用フィルタにより検出するとき、エッジ検出処理部206の出力値をエッジ部でないことを示す特定値である「0」とする第1の処理を実行する。したがって、エッジ検出処理部205は、図13(a)に示されるように、特定領域のエッジ部を検出するときはその出力値が強制的にすべて「0」とする。更に説明すると、図13(a)に示されるように、読取開始端から異物の付着領域300が存在する場合であっても、エッジ検出処理部205は、異物の付着領域300の端部を原稿6の端部と検出することはない。これは、図8に示されるように、異物の付着領域300が読取開始端の略全域にわたる場合であっても同様である。
【0087】
次に、エッジ検出処理部205は、図13(b)に示されるように、読取開始端の前方に設定された外部領域を含まない通常領域のエッジ部を先端エッジ検出用フィルタにより検出するときには、3種類のフィルタの検出結果をそのまま出力する第2の処理を実行する。ここでは、異物の付着領域300が存在するが、当該異物の付着領域300には、先端のエッジ部が存在しないため、エッジ検出処理部205の出力は、エッジ部でないことを示す「0」となる。なお、図13(b)では、便宜上、注目画素以外の判定値をも含めてエッジ部でないことを示す「0」が記載されている。
【0088】
その結果、原稿画像301及び背景画像302からの反射光に基づいて、エッジ検出処理部205によりエッジ検出処理を実行すると、読取開始端の先頭に位置する画像データが、図13に示されるように、正反射板72に付着した紙粉等の異物の影響により本来の正反射板72よりも反射光の強度が低下した領域300で存在する場合であっても、副走査方向に差分が生じることがなく、先端エッジ検出用フィルタの検出結果は「0」となる。そのため、領域300の先端を誤って原稿画像302の先端部であると誤検知することを防止乃至抑制することができる。
【0089】
これに対して、図14に示す画像データに対して従来の先端エッジ検出用フィルタによる処理を適用した場合には、先端エッジ検出用フィルタによる処理の結果、領域300の先端が原稿画像301の先端である(出力値「1」)と誤検知される虞れがある。なお、図8に示されるように、異物の付着領域300が読取開始端の略全域にわたって存在する場合、従来では、当該異物の付着領域300の端部(読取開始端)が原稿6の先端部であると誤って検知されることになる。
【0090】
このように、本実施の形態の場合には、図13に示されるように、読取開始端の前方に設定された外部領域を含む特定領域のエッジ部検出時に、先端エッジ検出フィルタの出力値が特定の値である「0」に設定される。そのため、正反射板72に紙粉等の異物が付着した場合であっても、特定領域のエッジ検出結果は、すべて「0」となり、原稿6の先端を誤検知することを防止乃至抑制することができる。
【0091】
また、原稿画像302の先端が読取開始位置に存在する場合には、外部領域を含まない通常領域の画像データに基づいて原稿画像302のエッジ部を検出する際に、原稿画像302のエッジ部を先端エッジ検出フィルタの処理により検出することができ、原稿画像302のエッジ部の検出ミスが発生することが防止乃至抑制される。
【0092】
このように、上記実施の形態1によれば、正反射板72に紙粉等の異物が付着している場合であっても、原稿の先端部を誤検知することを防止乃至抑制することができる。
【0093】
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2に係る画像読取装置の制御部を示すものである。
【0094】
実施の形態2に係る画像読取装置3は、図15に示されるように、エッジ検出処理部205の前段にノイズ除去処理部207を備えており、ノイズ除去処理部207においてノイズ除去処理を実行した後に、エッジ検出処理部205によりエッジ検出処理を実行するように構成している。
【0095】
ノイズ除去処理部207は、例えば、画像中に存在する孤立点など、本来の画像とは関係のないノイズ成分を除去するため、メディアンフィルタ処理を行うものである。メディアンフィルタのアルゴリズムは、図16に示されるように、ウインドウ内の画素値を昇順または降順に並べたときの中央値を出力するものである。
【0096】
この実施の形態2では、読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域を含む特定領域の画像データに対してメディアンフィルタ処理を行う際に、メディアンフィルタ処理の出力値を中央値ではなく、注目画素の画素値そのものを出力する第1の処理を行う。また、ノイズ除去処理部207は、外部領域を含まない通常領域に対しては通常のメディアンフィルタ処理をそのまま実行する第2の処理を行うように構成したものである。
【0097】
そして、この実施の形態2では、読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域を含む特定領域に対して、メディアンフィルタ処理の出力値は、注目画素の値、すなわち、画像読取装置3の読取位置に配置された正反射板27に紙粉等の異物が付着している場合には、図17に示されるように、本来の正反射板27よりも反射光の強度が低下した値がそのまま出力される。
【0098】
また、この実施の形態2では、外部領域を含まない通常領域に対して、メディアンフィルタ処理の出力値は、中央値の値がそのまま出力される。
【0099】
その結果、この実施の形態2では、画像読取装置3の読取位置に配置された正反射板72に紙粉等の異物が付着している場合、画像データの出力値が本来の正反射板72よりも反射光の強度が低下した値となる。
【0100】
そのため、エッジ検出処理部205の前段にノイズ除去処理部207を配置してノイズ除去処理を施した場合であっても、特定領域におけるノイズ除去処理部207からの出力値は、図12に示した実施の形態1と同様になり、原稿領域の先端を誤検知することが防止乃至抑制される。
【0101】
これに対して、ノイズ除去処理部207において、特定領域の画像データにノイズ除去処理を施した場合、特定領域は、図17に示されるように、外部領域の画素を含んでおり、外部領域の画素が「0」として扱われたとき、読取開始端に位置する先端部分は、外部領域を含むため「0」の値が多く存在し、ノイズ除去処理部207から中央値として「0」の値が出力されることとなる。
【0102】
その後、エッジ検出処理部205において通常領域の先端エッジ検出を行った場合には、図17に示されるように、読取開始端に位置する先端部分はノイズ除去処理による「0」の値が存在するため、それ以降の異物付着領域300との間で誤ってエッジ部と検出される虞れがある。なお、図17では、注目画素以外にもメディアンフィルタの出力結果である「0」の値が記載されている。即ち、図17において注目画素を左又は右に1画素分移動させた場合でも、外部領域を含むため「0」の値が多く存在し、ノイズ除去処理部207から中央値として「0」の値が出力された状態を示している。図13に示される実施の形態との相違は、メディアンフィルタ処理を施さない場合、図13(b)に示されるように、読取開始端に異物付着領域300を示す画素値(グレーの領域)が存在するにもかかわらず、メディアンフィルタ処理を施した場合には、図17に示されるように、読取開始端に位置する異物付着領域300を示す画素値(グレーの領域)が「0」の値に置き換えられ、異物付着領域300の上端部が原稿の先端部であると誤検知されることを回避することにある。図17の下側の図は、実施の形態2を適用する前の状態を示している。
【0103】
このように、本実施の形態2においては、エッジ検出処理部205の前段にノイズ除去処理部207を設けた場合であっても、読取開始端に位置する先端部分をエッジ部であると誤検出することを回避することができる。
【0104】
また、エッジ検出処理部205は、ノイズ除去処理部207の影響を考慮することなく、独立して設計することが可能となる。
【0105】
[実施の形態3]
図18は、実施の形態3に係る画像読取装置の制御部を示すものである。
【0106】
実施の形態3に係る画像読取装置3では、図18に示されるように、読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域に対応した複数ライン(図示例では、4ライン)のメモリとしてラインバッファ201中に記憶領域210を備えており、この複数ラインの記憶領域210には、読取画像の先端に位置する複数ライン(図示例では、4ライン)の画像データがそのまま記憶される。
【0107】
また、記憶領域210に記憶された外部領域の画像データを含めてノイズ除去処理部207によるノイズ除去処理及びエッジ検出処理部205によるエッジ検出処理が実行される。ノイズ除去処理部207では、図18(b)に示されるように、メディアンフィルタ処理が施される。
【0108】
さらに、エッジ検出処理部205では、図19に示されるように、エッジ検出フィルタを用いたエッジ検出処理が実行される。
【0109】
このように、実施の形態3では、読取画像の読取開始端の外側に位置する外部領域を含む特定領域に対して、複数ラインの画像データを読み込んで記憶させる第1の処理を行うことにより、ノイズ除去処理部207によるノイズ除去処理及びエッジ検出処理部205によるエッジ検出処理は、通常通り行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0110】
1…画像形成装置
2…画像形成部
3…画像読取装置
201…ラインバッファ
202…スキュー補正処理部
203…画像処理部
204…縮小処理部
205…エッジ検出処理部
206…角度算出処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19