【実施例】
【0030】
評価は下記の方法によりおこなった。
(BET比表面積)
BET比表面積は、液体窒素の沸点(−195.8℃)雰囲気下、相対圧力0.0〜0.15の範囲で上昇させたときの試料への窒素吸着量を数点測定し、BETプロットにより試料単位質量あたりの表面積(m
2/g)を求めた。
(細孔容積)
細孔容積は、相対圧0.95における窒素ガスの気体吸着法により測定した。
(平均細孔径)
平均細孔径は、以下の式で求めた。
dp=40000Vp/S(ただし、dp:平均細孔径(Å))
Vp:細孔容積(cc/g)
S:BET比表面積(m
2/g)
(有機物質除去効果)
排水(原水)は1,4−ジオキサン400mg/L、イソプロピルアルコール(IPA)250mg/L含む水とした。500時間運転後の濃縮装置、曝気装置、燃焼装置の入出の1,4−ジオキサン、IPA濃度を測定し、各有機物質排出量を算出して除去効果を確認した。
(有機物質濃度評価)
各水およびガスをガスクロマトグラフ法により分析し測定した。
【0031】
[実施例1]
システムとしては、
図4に示す実施の形態を使用した。
濃縮装置の吸着材として平均細孔径17.1Å、BET比表面積1650m
2/g、全細孔容積0.47m
3/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量0.2kgの吸着素子を2個作成し、
図4の濃縮装置に設置して、排水を処理水量20L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0032】
次に、自重抜きで吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は原水へ返送した。次に0.2MPa、120℃の水蒸気を1.6kg/hで吸着材に供給し脱着を実施した。脱着に使用した水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサン、IPAは濃縮水として回収した。吸着時間は20min、脱水時間は5min、脱着時間は15minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は0.5mg/L以下、IPA濃度は0.5mg/L以下であり、1,4−ジオキサンおよびIPAの除去率は99.8%以上が可能であった。また、濃縮水は水量4.8L/hで約4.2倍に排水が濃縮された。
【0033】
有効曝気容量19Lの曝気装置に曝気温度60℃、風量48L/minの条件で、濃縮装置から排出された濃縮水を導入し、曝気処理水を得た。その際の出口濃度は、1,4−ジオキサン350mg/L以下、IPA100mg/L以下であった。曝気処理水は濃縮装置の原水へ返送した。使用蒸気量は表2に示す通り0.6kg/hであった。
【0034】
本実施例の濃縮装置により浄化された水は、500時間後でも99.8%以上の効率で1,4−ジオキサンおよびIPAの処理が可能であった。濃縮装置の濃縮水を曝気処理し、再度濃縮装置にて各有機物質を除去することで、低コスト、高効率で安定して処理ができた。
【0035】
次に、触媒として白金触媒0.1Lを設置した電気ヒーター式の触媒燃焼装置を用いて、上述の曝気ガスを風量48L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、曝気ガス中の有機物質を酸化分解させて、処理ガスを得た。運転開始500h後の処理ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒドはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。その際の電力は、表2に示す通り0.02kW以下であった。
【0036】
[実施例2]
システムとしては、
図4に示す実施の形態を使用した。
濃縮装置の吸着材として平均細孔径17.1Å、BET比表面積1650m
2/g、全細孔容積0.47m
3/gの活性炭素繊維を使用した130mmφで、厚み150mmの重量0.2kgの吸着素子を2個作成し、
図4の濃縮装置に設置して、排水を処理水量20L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0037】
次に、水蒸気を供給して吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は原水へ返送した。次に0.2MPa、120℃の水蒸気を0.8kg/hで吸着材に供給し脱着を実施した。脱着に使用した水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサン、IPAは濃縮水として回収した。吸着時間は20min、脱水時間は5min、脱着時間は15minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は0.5mg/L以下、IPA濃度は0.5mg/L以下であり、1,4−ジオキサンおよびIPAの除去率は99.8%以上が可能であった。また、濃縮水は水量0.8L/h約25倍に排水が濃縮された。
【0038】
有効曝気容量5Lの曝気装置に曝気温度60℃、風量12L/minで、濃縮装置から排出された濃縮水を導入し、曝気処理水を得た。その際の出口濃度は、1,4−ジオキサン350mg/L以下、IPA100mg/L以下であった。曝気処理水は濃縮装置の原水へ返送した。使用蒸気量は表2に示す通り0.3kg/hであった。
【0039】
本実施例の濃縮装置により浄化された水は、500時間後でも99.8%以上の効率で1,4−ジオキサンおよびIPAの処理が可能であった。濃縮装置の濃縮水を曝気処理し、再度濃縮装置にて各有機物質を除去することで、低コスト、高効率で安定して処理ができた。
【0040】
次に、触媒として白金触媒0.1Lを設置した電気ヒーター式の触媒燃焼装置を用いて、曝気装置から排出された曝気ガスを風量24L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、曝気ガス中の有機物質を酸化分解させて、処理ガスを得た。運転開始500h後の処理ガス中の1,4−ジオキサン、アセトアルデヒドはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。その際の電力は、表2に示す通り0.01kW以下であった。
【0041】
[比較例1]
有効曝気容量100Lの曝気装置に曝気温度95℃、風量250L/minの条件で、原水を導入し、曝気処理水を得た。その際の出口濃度は、表1に示す通り1,4−ジオキサン0.5mg/L以下、IPA0.5mg/L以下であった。使用蒸気量は表2に示す通り74kg/hであり、実施例1の120倍以上、実施例2の240倍以上必要であった。
【0042】
次に、触媒として白金触媒0.5Lを設置した電気ヒーター式の触媒燃焼装置を用いて、曝気装置から排出された曝気ガスを風量250L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、曝気ガス中の有機物質を酸化分解させて、処理ガスを得た。運転開始500h後の処理ガス中の1,4−ジオキサン、IPAそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。しかし、その際の電力は表2に示す通り0.26kWであり、実施例1の13倍以上、実施例2の26倍以上必要であった。
【0043】
[比較例2]
濃縮装置の吸着材として平均細孔径18.0Å、BET比表面積1500m
2/g、全細孔容積0.52m
3/gの粒状活性炭を使用した130mmφで、厚み150mmの重量0.6kgの吸着素子を2個作成し、
図4に記載の濃縮装置と同様の構成の濃縮装置に設置して、排水を処理水量20L/hになるように導入し、処理水を得た。
【0044】
次に、自重抜きで吸着材の付着水を除去(脱水)した後、除去水は原水へ返送した。次に0.2MPa、120℃の水蒸気を7.2kg/hで吸着材に供給し脱着を実施した。水蒸気および吸着材から脱着された1,4−ジオキサン、IPAは30℃の冷却水を用いて凝縮器にて冷却凝縮され濃縮水を得た。吸着時間は20min、脱水時間は5min、脱着時間は15minとして切替サイクルとした。その際の処理水中の1,4−ジオキサン濃度は100mg/L、IPA濃度は120mg/Lであり、表1に示すように実施例1および2と比較して除去効率の低い結果となった。
【0045】
[比較例3]
濃縮装置の脱着媒体に風量600L/min、130℃の加熱空気を使用し、脱着された1,4-ジオキサンおよびIPAを含む空気を脱着ガスとして回収した。それ以外の濃縮装置の操作条件は実施例1と同一条件で排水処理を実施した。加熱空気は水蒸気による熱交換式のヒーターを使用したが、その際必要とした水蒸気量は2kg/hであった。
【0046】
本実施例の濃縮装置により浄化された水は、500時間後でも99.8%以上の効率で1,4−ジオキサンおよびIPAの処理が可能であった。
【0047】
次に、触媒として白金触媒0.9Lを設置した電気ヒーター式の触媒燃焼装置を用いて、濃縮装置から排出された脱着ガスを風量600L/minで供給し、300℃に昇温した後、触媒に接触させ、脱着ガス中の有機物質を酸化分解させて、処理ガスを得た。運転開始500h後の処理ガス中の1,4−ジオキサン、IPAはそれぞれ0.1ppm以下であり、良好に処理できた。しかし、その際の電気ヒーターに使用した電力は、表2に示す通り0.7kWと実施例1の35倍以上、実施例2の70倍以上の電力を必要とした。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】