【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例の形態に限定されるものではない。
【0070】
実施例および比較例において、下記の材料を用いて、反射防止フィルムを作製した。
【0071】
<透明フィルム基材>
厚み60μmのトリアセチルセルロースフィルムを用いた。
【0072】
(実施例1)
<ハードコート組成物>
・ビスフェノール系多官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO4mol)、大阪有機化学工業社製、商品名;ビスコート#700)50重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)50重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
上記ハードコート組成物を透明基材上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、25℃20秒の条件で室温乾燥をおこなった。その後、オーブンで60℃40秒の条件で乾燥をおこない、乾燥後、窒素雰囲気下、コンベア式紫外線硬化装置で露光量200mJ/cm
2で紫外線照射をおこなうことにより、透明基材上に厚さ5μmの電防止機能付きハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
・多孔質シリカ微粒子分散液(平均粒子径75nm、固形分20%、溶剤:メチルイソブチルケトン)14.94重量部
・EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、商品名;DPEA−12)1.99重量部
・重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア184)0.07重量部
・添加剤(GE東芝シリコーン社製、商品名;TSF4460)0.51重量部
・溶剤(メチルイソブチルケトン)82重量部
を混合攪拌して低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
上記低屈折率コーティング塗液を上記で作製したハードコート層上にワイヤーバーコーターにより塗布し、塗膜を形成し、25℃20秒の条件で室温乾燥をおこなった。その後、オーブンで60℃40秒の条件で乾燥をおこない、乾燥後、窒素雰囲気下、コンベア式紫外線硬化装置で露光量240mJ/cm
2で紫外線照射をおこなうことにより、反射防止層を作製した。
【0073】
(実施例2)
<ハードコート組成物>
・ビスフェノール系多官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO4mol)、大阪有機化学工業社製、商品名;ビスコート#700)75重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)25重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0074】
(実施例3)
<ハードコート組成物>
・ビスフェノール系多官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO4mol)、大阪有機化学工業社製、商品名;ビスコート#700)25重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)75重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0075】
(実施例4)
<ハードコート組成物>
・ビスフェノール系多官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO3mol)、新中村化学工業社製、商品名;ABE−300)50重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)50重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0076】
(実施例5)
<ハードコート組成物>
・ビスフェノール系多官能モノマー(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(EO10mol)、新中村化学工業社製、商品名;A−BPE−10)50重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)50重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0077】
(比較例1)
<ハードコート組成物>
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)100重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0078】
(比較例2)
<ハードコート組成物>
・フルオレン系多官能モノマー(大阪ガスケミカル社製、商品名;オグソールH912)50重量部
・多官能モノマー(共栄社化学社製、商品名;UA−306I)50重量部
・四級アンモニウム塩材料(共栄社化学製、商品名;ライトエステルDQ100)6重量部
・光重合開始剤(BASFジャパン社製、商品名;LUCIRIN TPO)1重量部
・溶剤(アセトン)70重量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル)30重量部
を混合攪拌してハードコート組成物を得た。
<ハードコート層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、ハードコート層を作製した。
<低屈折率コーティング組成物>
実施例1と同様の操作を行い、低屈折率コーティング組成物を得た。
<反射防止層の作製>
実施例1と同様の操作を行い、反射防止層を作製した。
【0079】
上記で作製した各反射防止フィルムの性能について、下記の方法に従って評価した。
【0080】
「分光反射率・平均視感反射率」
得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面について、自動分光光度計(日立製作所社製、U−4100)を用い、入射角5°における分光反射率を測定した。また、得られた分光反射率曲線から平均視感反射率を求めた。なお、測定の際には透明基材であるトリアセチルセルロースフィルムのうち低屈折率層の形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布し、反射防止の処置をおこなった。
【0081】
「干渉縞観察」
上記で得られた反射防止フィルムについて、透明フィルム基材のハードコート層の形成されていない面につや消し黒色塗料を塗布したのち、蛍光灯(三波長蛍光灯)直下で低屈折率層表面の干渉縞を目視にて確認した。目視にて確認した干渉縞は、以下の基準で評価した。
◎:干渉縞が認められない。
○:干渉縞がほとんど認められない。
△:干渉縞がわずかに認められる。
×:干渉縞が顕著に認められる。
【0082】
「耐屈曲性」
上記で得られた反射防止フィルムについて、JIS K5600−5−1に準拠し、試験を行った。
【0083】
「密着性」
上記で得られた反射防止フィルムについて、JIS K5600−5−6に準拠して、ハードコート層の残存数にて評価した。目視にて確認した評価を以下のように分類した。
○:剥離は確認されない。
△:20マス以下の剥離が確認できる。
×:20マス以上の剥離が確認できる。
【0084】
「鉛筆硬度」
上記で得られた反射防止フィルムについて、JIS K5600−5−4に準拠して、試験機法により500g荷重で評価した。
【0085】
「表面抵抗」
上記で得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面について、JIS−K6911に準拠して高抵抗抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスターMCP−HT260)を用いて、表面抵抗を測定した。
【0086】
「耐光性」
上記で得られた反射防止フィルムへ紫外線フェードメーター(スガ試験機社製、U48AU)を用いて、紫外線カーボンアークを光源とした紫外線照射を低屈折率層側から100時間行った。紫外線照射前後にて、自動分光光度計(日立製作所社製、U−4100)を用いて透過分光スペクトルを測定した。黄変の有無を以下のように分類した。
○:紫外線照射による波長450nmの透過率低減が1%未満。
×:紫外線照射による波長450nmの透過率低減が1%以上。
【0087】
<評価結果>
表1に実施例1〜5および比較例1〜2の評価結果を示す。
【0088】
【表1】
【0089】
実施例1〜5のように、ハードコート組成物にビスフェノール系多官能モノマーを含むことでビスフェノール系多官能モノマーを含まない比較例1よりも平均視感反射率が低く、フルオレン系多官能モノマーを含む比較例2よりも耐光性に優れ、干渉縞の程度が軽く、高い屈曲性を有し、密着性、鉛筆硬度、表面抵抗の性能を悪化させない反射防止フィルムを得ることができた。