(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の光導波路、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0016】
<光導波路>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光導波路の第1実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の光導波路の第1実施形態を一部透過して示す斜視図、
図2は、
図1に示す光導波路の縦断面図、
図3は、
図1に示す光導波路が有する切り欠きを
図2中の矢印B方向から見た断面図、
図4は、
図1に示す光導波路が有する切り欠きの上面図、
図5は、
図1に示す光導波路が有する切り欠きを示す斜視図、
図6は、本発明と従来例とを比較する図、
図7は、第1実施形態に係るミラーの他の構成例を示す縦断面図である。
【0018】
図1に示す光導波路1は、帯状をなしており、光入射部と光出射部との間で光信号を伝送し、光通信を行う。
【0019】
図1に示す光導波路1は、下側からクラッド層(第1クラッド層)11、コア層13およびクラッド層(第2クラッド層)12を積層してなる積層体10を備えている。コア層13中には、長尺状のコア部14とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。これにより、コア部14は、クラッド部(側面クラッド部15および各クラッド層11、12)で囲まれることとなり、コア部14に光を閉じ込めて伝搬することができる。また、光導波路1には積層体10に形成された切り欠き170が設けられている。なお、以下では、積層体10のクラッド層11側の表面を表面10aと言い、クラッド層12側の表面を表面10bと言う。
【0020】
コア部14の屈折率は、クラッド部の屈折率より大きければよいが、その差は0.3%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましい。一方、上限値は特に設定されないが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率差が前記下限値未満の場合、光を伝搬する効果が低下するおそれがあり、一方、屈折率差が前記上限値を上回る場合、光の伝送効率のそれ以上の向上は期待できない。
【0021】
なお、前記屈折率差とは、コア部14の最大屈折率をn4、側面クラッド部15、クラッド層11およびクラッド層12の各最小屈折率をn5、n1、n2としたとき、次式で表される。
【0022】
屈折率差(%)=|n4/n5−1|×100
屈折率差(%)=|n4/n1−1|×100
屈折率差(%)=|n4/n2−1|×100
【0023】
また、コア層13の幅方向(
図2の紙面厚さ方向)における屈折率分布は、いかなる形状の分布であってもよい。すなわち、この屈折率分布は、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。SI型の分布であれば屈折率分布の形成が容易であり、GI型の分布であれば屈折率の高い領域に信号光が集まる確率が高くなるため伝送効率が向上する。
【0024】
一方、光導波路1の厚さ方向(
図2の上下方向)における屈折率分布も、上述したステップインデックス型の分布であってもよく、上述したグレーデッドインデックス型の分布であってもよい。
【0025】
また、コア部14は、平面視で直線状であっても曲線状であってもよい。さらに、コア部14は途中で分岐または交差していてもよい。
【0026】
なお、コア部14の横断面形状は特に限定されず、例えば、真円、楕円形、長円形等の円形、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよいが、四角形(矩形状)であることにより、コア部14を形成し易い利点がある。
【0027】
コア部14の幅および高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア部14の伝送効率を高めつつコア部14の高密度化を図ることができる。すなわち、単位面積当たりに敷設可能なコア部14の数を多くすることができるので、小面積であっても大容量の光通信を行うことができる。
【0028】
なお、コア層13に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、例えば1〜100本とされる。
【0029】
上述したようなコア層13およびクラッド層11、12の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。これらは、比較的加工が容易であるため、切り欠き170が形成されるコア層13やクラッド層11、12の構成材料として好適である。
【0030】
光導波路1には、積層体10の一部が表面10b側から除去されてなる切り欠き170が設けられている。すなわち、光導波路1は、積層体10とそれに形成された切り欠き170とを備えたものである。
図1に示す切り欠き170は、コア部14の長手方向の途中に位置している。切り欠き170の形成方法としては、特に限定されず、例えば、フォトリソグラフィー技法とエッチング技法とを用いたパターニング法によって形成することができるし、マスクを用いたレーザー加工法や、切り欠き170の形状に対応した成形型(ブレード)を押し付けるインプリント法などによっても形成することができる。
【0031】
図2に示すように、このような切り欠き170の内側面の一部は、コア部14の軸線Aに対して傾斜して横切っている傾斜面(横断面)171、172になっている。傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラー面(光路変換部)として機能する。傾斜面171は、例えばコア部14内において
図2の右側から左側に向かって伝搬する光を下方に向けて反射することにより伝搬方向を変換する。なお、傾斜面171と同様にして、傾斜面172をミラー面として利用してもよい。
【0032】
傾斜面171、172は、それぞれ、平坦面で構成されている。これにより、傾斜面171で反射された光の拡散を低減でき、傾斜面171における光反射特性を高くすることができる。
【0033】
また、
図3に示すように、傾斜面171の表面10a側の輪郭線179が凹状に湾曲し、その両端部179a、179bが中央部179cよりも表面10a側に位置している。
【0034】
また、輪郭線179は、その全域がクラッド層11内(クラッド層11の厚さ方向の途中)に位置している。これにより、傾斜面171の面積を大きく確保することができ、傾斜面171における光反射特性を高くすることができる。
【0035】
以上のように、傾斜面171、172が共に平坦面であり、輪郭線179が凹状に湾曲しているため、切り欠き170は、
図4および
図5に示すような形状となる。図示するように、切り欠き170は、輪郭線179に対応して湾曲した底面178を有し、底面178の幅W
1が両端部から中央部に向けて漸増している。すなわち、幅W
1が最少の両端部が最も表面10a側に位置し、幅W
1が最大の中央部が最も表面10aから遠くに位置している。また、両端部の幅W
1は、ほぼ0であり、当該部分にて傾斜面171、172が接触(接続)している。そのため、
図4中のC−C線断面では、切り欠き170の断面形状が略台形をなし、
図4中のD−D線断面、E−E線断面では、切り欠き170の断面形状が略三角形をなしている。ただし、両端部の幅W
1は、0でなくてもよく、
図4中のC−C線断面、D−D線断面、E−E線断面のそれぞれで切り欠き170の断面形状が略台形をなしていてもよい。
【0036】
切り欠き170(輪郭線179)をこのような形状とすることによって、従来のように輪郭線179が表面10aに平行な直線状である場合に比べて、次のような効果を発揮することができる。仮に、光導波路1の製造過程において、切り欠き170が設定値よりも深く形成され、
図6に示すように、切り欠き170が表面10aまで貫通してしまったとしても、当該貫通によってできる表面10aの開口9を従来よりも小さく抑えることができる。そのため、表面10aに形成された開口9からの塵や埃、水分等の侵入が抑制され、傾斜面171、172の汚染が抑制される。
【0037】
ここで、輪郭線179の両端部179a、179bと中央部179cとのギャップGの最小値としては、特に限定されず、切り欠き170の形成精度や切り欠き170の幅によっても異なるが、0.5〜300μm程度であるのが好ましく、2〜200μm程度であるのがより好ましい。これにより、製造誤差によって表面10aに形成される開口9をより小さく抑えることができる。
【0038】
また、輪郭線179の曲率半径(平均曲率半径)としては、特に限定されず、切り欠き170の形成精度等によっても異なるが、2000μm以下程度であるのが好ましく、1000μm以下程度であるのがより好ましい。これにより、製造誤差によって表面10aに形成される開口9をより小さく抑えることができる。なお、輪郭線179の曲率半径は、その全域に亘って一定であってもよいし、各部で異なっていてもよい。例えば、両端部179a、179bの曲率半径が中央部179cの曲率半径よりも大きくてもよいし、反対に、両端部179a、179bの曲率半径が中央部179cの曲率半径よりも小さくてもよい。
【0039】
以上、切り欠き170について説明した。切り欠き170の最大深さDは、積層体10の厚さから適宜設定されるものであり、特に限定されないが、光導波路1の機械的強度や可撓性といった観点から、1〜500μm程度とするのが好ましく、5〜400μm程度とするのがより好ましい。
【0040】
また、切り欠き170の最大長さLは、特に限定されないが、クラッド層11、12やコア層13の厚さ、および、傾斜面171、172の傾斜角度との関係から、2〜1200μm程度とするのが好ましく、10〜1000μm程度とするのがより好ましい。
【0041】
さらに、切り欠き170の最大幅Wは、特に限定されず、コア部14の幅、コア部14のピッチ、コア部14のライン数等に応じて適宜設定されるが、1〜10000μm程度とするのが好ましく、5〜6000μm程度とするのがより好ましい。
【0042】
なお、切り欠き170は、1本のコア部14に対して1つ設けられていてもよいが、複数本のコア部14に対してこれらに跨るように1つ設けられていてもよい。
【0043】
図7は、第1実施形態に係るミラーの他の構成例を示す縦断面図である。
図1では、傾斜面171がミラーを構成しているのに対し、
図7では、傾斜面171とその上に成膜された反射膜176とがミラーを構成している点で相違している。それ以外については、
図4に示す光導波路1は、
図1に示す光導波路1と同様である。
【0044】
このような反射膜176を設けることにより、ミラーにおける光反射特性を特に高めることができる。反射膜176としては、例えば、金属膜、炭素膜、樹脂膜、セラミック膜、シリコン膜等が挙げられる。このうち、金属膜が好ましく用いられる。金属膜によれば、金属特有の光沢による反射率の高い反射膜176が得られる。金属膜の構成材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、銅、亜鉛、銀、白金、金、鉛等が挙げられる。
【0045】
反射膜176の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜500μm程度であるのが好ましく、0.5〜300μm程度であるのがより好ましい。これにより、十分な反射率を有するとともに、剥がれ難い反射膜が得られる。
【0046】
反射膜176の成膜方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法のような物理蒸着法、CVD法のような化学蒸着法、めっき法、熱転写法、金属箔転写法、印刷法、塗布法等が挙げられる。
【0047】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について説明する。
【0048】
図8は、本発明の光導波路の第2実施形態の切り欠きを示す断面図である。なお、
図8は、前述した
図3に対応する図である。
【0049】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0050】
図8に示す第2実施形態に係る光導波路1は、切り欠き170の構成が異なる以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
【0051】
前述した第1実施形態に係る光導波路1では、傾斜面171の輪郭線179の全域がクラッド層11内に位置しているのに対して、本実施形態に係る光導波路1では、
図8に示すように、傾斜面171の輪郭線179の全域がコア層13内に位置している。すなわち、切り欠き170がクラッド層11に到達していない。これにより、切り欠き170内に、コア層13とクラッド層11との境界が露出しないため、前記境界を起点とした剥離の発生等を効果的に防止することができる。そのため、例えば、前述した第1実施形態と比較して機械的強度に優れた光導波路1となる。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0052】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第3実施形態について説明する。
【0053】
図9は、本発明の光導波路の第3実施形態の切り欠きを示す断面図である。なお、
図9は、前述した
図3に対応する図である。
【0054】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0055】
前述した第1実施形態に係る光導波路1では、傾斜面171の輪郭線179の全域がクラッド層11内に位置しているのに対して、本実施形態に係る光導波路1では、
図9に示すように、傾斜面171の輪郭線179の両端部179a、179bがクラッド層11内に位置し、中央部179cコア層13内に位置している。すなわち、両端部179a、179bと中央部179cとが積層体10の異なる層に位置している。これにより、前述した第1実施形態の光導波路1よりも、切り欠き170に露出するコア層13とクラッド層11との境界の全長を短くすることができ、前記境界を起点とした剥離の発生等を効果的に抑制することができる。また、前述した第2実施形態よりもコア部14を横断する領域の面積が大きくなるため、傾斜面171における光反射特性が向上する。すなわち、本実施形態の光導波路1によれば、第1実施形態の効果と、第2実施形態の効果とを折衷することができる。
このような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0056】
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第4実施形態について説明する。
【0057】
図10は、本発明の光導波路の第4実施形態の切り欠きを示す縦断面図、
図11は、
図10に示す切り欠きの上面図である。なお、
図9は、前述した
図3に対応する図であり、
図11は、前述した
図4に対応する図である。
【0058】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0059】
前述した第1実施形態に係る光導波路1では、傾斜面171、172が平坦面で構成されているのに対して、本実施形態に係る光導波路1では、
図10に示すように、傾斜面171、172が共に湾曲凸面(切り欠き170の内側へ向けて凸の湾曲面)で構成されている。このように、傾斜面が湾曲凸面で構成されているため、本実施形態の切り欠き170には、底面178が存在せず、輪郭線179の全域で、すなわち他の面を介さずに傾斜面171、172が接続されている。このように、本実施形態によれば、切り欠き170に底面が形成されないため、製造誤差により形成されてしまう開口9の面積を第1実施形態と比較して小さくすることができる。さらには、前述のように傾斜面171が湾曲凸面をなしているため、反射した光を集光させることができ、より効率的な光の伝搬を行うことができる。
このような第4実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0060】
≪第5実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第5実施形態について説明する。
図12は、本発明の光導波路の第5実施形態を示す縦断面図である。
【0061】
以下、第5実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0062】
前述した第1実施形態に係る光導波路1では、傾斜面172が傾斜面171と同様に傾斜した面になっているのに対し、本実施形態に係る光導波路1では、傾斜面172が、軸線Aに対してほぼ直交している平坦な直立面172’になっている。
このような第5実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0063】
≪第6実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第6実施形態について説明する。
図13は、本発明の光導波路の第6実施形態の縦断面図である。
【0064】
以下、第6実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0065】
図13に示す第7実施形態に係る光導波路1は、さらに、クラッド層11の下面(表面10a)に積層された支持フィルム2と、クラッド層12の上面(表面10b)に積層されたカバーフィルム3と、を備えている。
【0066】
また、切り欠き170は、カバーフィルム3を貫通するよう構成されている。したがって、傾斜面171は、カバーフィルム3からクラッド層12およびコア層13をそれぞれ経てクラッド層11の途中に至るまでの間に連続して形成された面となる。
このような第6実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0067】
また、支持フィルム2およびカバーフィルム3を用いることで、積層体10を外力や異物付着、汚染等から保護することができる。
【0068】
また、傾斜面171がカバーフィルム3の断面も含むため、より広い面積を有するものとなる。このため、傾斜面171をより高い精度で形成し易くなる。すなわち、加工しようとする面が広いほど、コア部14の断面の加工精度を容易に高められるため、第6実施形態によれば特に反射効率の高いミラーを形成することができる。
【0069】
≪第7実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第7実施形態について説明する。
【0070】
図14は、本発明の光導波路の第7実施形態の切り欠きを示す断面図である。なお、
図14は、前述した
図3に対応する図である。
【0071】
以下、第8実施形態について説明するが、以下の説明では、前述の実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0072】
図14に示す第7実施形態に係る光導波路1は、切り欠き170の構成が異なる以外、第6実施形態に係る光導波路1と同様である。
【0073】
前述した第6実施形態に係る光導波路1では、切り欠き170がクラッド層11まで到達しているのに対して、本実施形態に係る光導波路1では、切り欠き170が支持フィルム2まで到達している。
【0074】
この際、
図14(a)に示すように、輪郭線179の全域が支持フィルム2内に位置していてもよいし、
図14(b)に示すように、輪郭線179の両端部179a、179bが支持フィルム2内に位置し、中央部179cがクラッド層11内に位置していてもよいし、
図14(c)に示すように、輪郭線179の両端部179a、179bが支持フィルム2内に位置し、中央部179cがコア層13内に位置していてもよい。特に、
図14(b)、(c)の構成によれば、
図14(a)の構成と比較して、切り欠き170に露出するコア層13とクラッド層11との境界や、クラッド層11と支持フィルム2との境界を短くすることができ、前記境界を起点とした剥離の発生等を効果的に抑制することができる。
このような第7実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0075】
<光電気混載基板>
次に、本発明の光電気混載基板の実施形態について説明する。
【0076】
図15は、本発明の光電気混載基板の実施形態を示す縦断面図である。
図15に示す光電気混載基板100は、光導波路(本発明の光導波路)1と、その上面に積層された電気配線基板5と、これらの間に介挿され両者を接着する接着シート90と、を有している。
【0077】
図15に示す電気配線基板5は、コア基板51とその両面に積層されたビルドアップ層52とを備えた多層基板50と、この多層基板50の下面に設けられたバンプ53と、を有している。
【0078】
コア基板51は、電気配線基板5を支持する基板であり、その構成材料としては、例えば、各種樹脂材料が挙げられる。この他、紙、ガラス布、樹脂フィルム等を基材とし、この基材に樹脂材料を含浸させたもの、具体的には、ガラス布・エポキシ銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板に使用される絶縁性基板の他、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性の有機系リジッド基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等のセラミックス系リジッド基板等であってもよい。
【0079】
これらの導体層522および貫通配線は、それぞれ、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、金、銀のような金属単体、またはこれらの金属元素を含む合金等の導電性材料で構成される。
【0080】
また、絶縁層521は、酸化ケイ素、窒化ケイ素のようなケイ素化合物、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂のような樹脂材料等により構成される。
【0081】
このようにして、ビルドアップ層52内には、面方向のみでなく厚さ方向にも広がる電気回路を構築することができ、電気回路の高密度化を図ることができる。
【0082】
なお、このような多層基板50は、いかなる工法で形成されたものであってもよいが、一例としてアディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の各種ビルドアップ工法により形成される。
【0083】
また、本発明の光電気混載基板が備える電気配線基板は、上述した電気配線基板5のような多層基板を含むものに限定されず、例えば多層基板を単層の電気配線基板(リジッド基板)で代替したものであってもよく、ポリイミド基板、ポリエステル基板、アラミドフィルム基板のような各種フレキシブル基板で代替したものであってもよい。また、多層基板50は、コア基板51を含まないコアレスの多層基板で代替することもできる。
【0084】
また、
図15に示す電気配線基板5は、多層基板50の上面に設けられたソルダーレジスト層54を有している。ソルダーレジスト層54を設けることにより、電気配線基板5の導体層522を酸化や腐食等から保護する。
【0085】
なお、この電気配線基板5には、図示しない電気素子が搭載されていてもよい。電気素子としては、例えば、IC、LSI、RAM、ROM、コンデンサー、コイル、抵抗、ダイオード等が挙げられる。
【0086】
また、
図15に示す光電気混載基板100は、電気配線基板5上に搭載された光素子6を有している。
【0087】
図15に示す光素子6は、素子本体60と、素子本体60の下面に設けられた受発光部61および端子62と、端子62から下方に突出するよう設けられたバンプ63と、を有している。なお、受発光部とは、受光部または発光部、あるいはその双方の機能を有するものを指す。
【0088】
光素子6は、受発光部61の光軸が光導波路1の切り欠き170の傾斜面171(ミラー)を介してコア部14の軸線と一致するよう配置されている。これにより、光導波路1と光素子6とが光学的に接続され、光導波路1を伝搬する光信号を光素子6に受光させたり、光素子6から出射された光信号を光導波路1に入射したりすることができる。
【0089】
光素子6としては、例えば、面発光レーザー(VCSEL)、発光ダイオード(LED)、有機EL素子等の発光素子、フォトダイオード(PD、APD)等の受光素子が挙げられる。
【0090】
<電子機器>
上述したような本発明に係る光導波路は、伝送効率が高く、かつ他の光学部品との光結合効率に優れたものである。このため、本発明の光導波路を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
【0091】
本発明の光導波路を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光導波路を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できることから、電子機器の低コスト化に貢献することができる。
【0092】
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
【0093】
以上、本発明の光導波路、光電気混載基板および電子機器について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば光導波路には、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0094】
また、傾斜面171を光入射側ミラーとして用いた場合、光出射側はコア部14の端面からコア部14の軸線に沿って光を出射させるようにしてもよく、その際、出射端にはコネクターが装着されていてもよい。一方、傾斜面を光出射側ミラーとして用いた場合、光入射側はコア部14の端面からコア部14の軸線に沿って光を入射するようにしてもよく。その際、入射端にはコネクターが装着されていてもよい。
【0095】
また、光導波路には複数の傾斜面が形成されていてもよい。例えば2つの傾斜面が形成されている場合、一方の傾斜面を光入射側ミラーとして用い、他方の傾斜面を光出射側ミラーとして用いることができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 第1クラッド層、コア部が形成されているコア層および第2クラッド層が積層された積層体と、
前記第2クラッド層側から前記コア部に向けて形成され、前記コア部の軸線に対して傾斜する傾斜面を備える切り欠きと、を有し、
前記傾斜面の前記第1クラッド層側の輪郭線は、その両端部が中央部よりも前記第1クラッド層側に位置することを特徴とする光導波路。
2. 前記輪郭線は、凹状に湾曲している1.に記載の光導波路。
3. 前記輪郭線の両端部は、前記第1クラッド層に位置している1.または2.に記載の光導波路。
4. 前記輪郭線の両端部は、前記コア層に位置している1.または2.に記載の光導波路。
5. 前記輪郭線の中央部と端部は、互いに、前記積層体の異なる層に位置している1.ないし3.のいずれか1つに記載の光導波路。
6. 前記傾斜面は、湾曲凸面をなしている1.ないし5.のいずれか1つに記載の光導波路。
7. 前記傾斜面は、平坦面である1.ないし5.のいずれか1つに記載の光導波路。
8. 1.ないし7.のいずれか1つに記載の光導波路と、
前記光導波路に積層され、表面に電気配線を備える電気配線基板と、を有することを特徴とする光電気混載基板。
9. 8.に記載の光電気混載基板を備えることを特徴とする電子機器。