(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6393985
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】樹脂製容器検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
G01N21/90 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-264812(P2013-264812)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2015-121446(P2015-121446A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112003
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145344
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和徳
(72)【発明者】
【氏名】溝口 義則
【審査官】
小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−002882(JP,A)
【文献】
特開2013−198858(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/031328(WO,A1)
【文献】
米国特許第04492475(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の胴部、この胴部に肩部を介して連なる頭部、この頭部を密閉する蓋部、およびこの蓋部に設けられて該蓋部の開封に供される板状のツイストオフ部を備えて前記胴部に液体を密封した樹脂製の容器からなり、複数個の前記容器における各胴部を相互に連結した容器ブロック体における連結部のちぎれを検査する樹脂製容器検査装置であって、
前記容器ブロック体を前記容器の連結方向に搬送し、該容器を斜め上方に向けて順に送り出す第1の搬送機構と、
この第1の搬送機構から送り出された前記容器ブロック体における複数の前記容器の胴部側面をそれぞれ支持する複数の凹部を備え、回転に伴ってその回転軸よりも上側に位置付けられる略半分の領域に亘って前記凹部により支持された前記容器ブロック体を前記容器の連結方向に円弧状に曲げて搬送するスターホイール機構を有する第2の搬送機構と、
前記第1の搬送機構から送り出される前記容器ブロック体の受け入れ部に、前記スターホイール機構の外周に対峙して設けられ、前記容器ブロック体の各容器を前記スターホイール機構の前記凹部に抑え込むガイドローラと、
前記スターホイール機構の上方に設けられ、前記第2の搬送機構により搬送される前記容器ブロック体の前記連結部を検査画像として撮像する撮像装置と、
この撮像装置にて得られた検査画像を解析して前記容器ブロック体の連結部のちぎれを検出する画像処理装置と、
前記第2の搬送機構における前記容器ブロック体の受け入れ部と反対側に設けられ、前記スターホイール機構の前記凹部から浮き上がり順次離れる前記容器ブロック体の各容器を受け止めて第3の搬送機構に導くガイドと、
を具備し、
前記ガイドの前記スターホイール機構に対峙する側の先端部は、前記第3の搬送機構の搬送方向よりも上方に向けて傾斜していることを特徴とする樹脂製容器検査装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記ガイドローラより後方かつ前記スターホイール機構の上り傾斜部から頂点の範囲で撮像することを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器検査装置。
【請求項3】
前記画像処理装置は、複数の前記撮像装置で撮像された前記検査画像中における輝度差に基づいて前記容器ブロック体の連結部のちぎれを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂製容器検査装置。
【請求項4】
前記スターホイール機構は、該スターホイール機構に支持されて搬送される前記容器ブロック体を該容器ブロック体の裏面側から照明する照明光源を備え、
前記検査画像は、前記照明光源による前記容器ブロック体の連結部の透過光像であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製容器検査装置。
【請求項5】
前記スターホイール機構は、前記容器ブロック体における容器の両端部下面側をそれぞれ支持する複数の前記凹部を周方向に備えて回転駆動される一対のホイール体を主体として構成され、前記ホイール体の回転軸部は無反射処理されており、
前記撮像装置の近傍に前記容器ブロック体を照明する照明光源を備え、
前記検査画像は、前記照明光源による前記容器ブロック体の連結部の反射光像であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂製容器検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の容器を並べてその胴部を一体に連結した樹脂製の容器ブロック体における連結部のちぎれを検査するに好適かつ簡易な構成の樹脂製容器検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、注射用の薬液を封入して医療機関等に提供する容器として樹脂製(プラスチック製)のアンプルが多く用いられるようになってきた。この種の樹脂製の容器1は、例えば
図3(a)に示すように有底筒状の胴部2、この胴部2に肩部3を介して連なる頭部4、この頭部4を密閉した蓋部5、およびこの蓋部5に設けられて該蓋部5の開封に供される板状のツイストオフ部6を備える。所定量の液体(薬液)は前記胴部2に注入され、前記蓋部5により密封される。
【0003】
また液体(薬液)を封入した前記容器1は、通常、複数個(例えば5個)の容器1における各胴部2を、前記ツイストオフ部6の主面を一列に揃えて相互に連結した容器ブロック体7として提供される。そして前記容器1は、前記容器ブロック体7から切り離した後、前記頭部4を開封することで前記液体(薬液)の取り出しに供される。ちなみに前記頭部4の開封は、前記胴部2に対して前記ツイストオフ部6を捩じることで前記蓋部5を前記頭部4から切り離すことにより行われる。
【0004】
尚、前記容器ブロック体7は、例えば
図3(b)に示すように容量20cm
3の容器1を連結したものや、
図3(c)に示すように容量5cm
3の容器1を連結したものからなる。これらの容器1は、基本的には前記胴部2の径と長さを変えることで容量を異ならせたものである。また前記容器ブロック体7は、基本的には複数(5個)の容器を所定のピッチP(例えば25.5mm)で連結して構成される。この為、容量5cm
3の容器1における小径の胴部2の側部には翼部8が設けられ、この翼部8を介して前記容器1が相互に連結される。
【0005】
ところで複数の前記容器1に薬液を封入した前記容器ブロック体7からなる医薬製品を出荷する場合、前記薬液に異物が混入していないか、更には前記容器1自体に変形等の不具合がないか等の検査が実行される。具体的には前記容器1が透明または半透明の樹脂製成型物であることを利用して、上記異物の混入検査や前記容器1の成型検査等が光学的に実行される。
【0006】
例えば特許文献1には前記容器ブロック体7を倒立させた後、元の姿勢(正立)に戻して前記容器1内の薬液を撹拌した直後に該容器1の側部から薬液を撮像し、その検査画像を解析することで異物の有無を検査することが開示される。また特許文献2には前記容器1に赤外線光を照射し、その透過光の強度を計測することで前記容器1の肉厚を検出し、これによってその成型不良を検査することが開示される。更に特許文献3には前記容器1を撮像して該容器1の外観検査を行うことが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2005−031328号パンフレット
【特許文献2】特開2004−25838号公報
【特許文献3】特開平4−309851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで樹脂製の前記容器ブロック体7の成型不良検査の項目の1つに、前記容器1の胴部2を相互に連結した連結部のちぎれの有無の検査がある。この連結部は、前述した小径の胴部2の側部に設けられた前記翼部8間の連結部分も含む。しかしながら特許文献2に開示されるように前記容器ブロック体7に赤外線光等を照射してその透過光強度を測定したり、或いは前記容器ブロック体7を透過照明して該容器ブロック体7の透過光像を撮像して画像処理しても前記連結部のちぎれの有無を見分けることは困難である。
【0009】
即ち、前記容器ブロック体7における前記胴部2間の連結部にちぎれが生じていても、一般的にはそのちぎれ部の端面が隙間なく相互にくっつき合っていることが多い。しかも前記胴部2の周面を相互に連結した構造の前記容器ブロック体7においては、その連結部自体が前記容器1間の僅かな隙間に存在し、前記胴部2の周面の一部として検出されることも多い。これ故、上記連結部にちぎれが存在しても、該連結部における前記透過光強度や前記透過光像に顕著な違いが生じ難い。
【0010】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、複数の容器を並べてその胴部を一体に連結した樹脂製の容器ブロック体における連結部のちぎれの有無を簡易に、しかも確実に検査することのできる簡易な構成の樹脂製容器検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る樹脂製容器検査装置は、有底筒状の胴部、この胴部に肩部を介して連なる頭部、この頭部を密閉する蓋部、およびこの蓋部に設けられて該蓋部の開封に供される板状のツイストオフ部を備えて前記胴部に液体を密封した樹脂製の容器からなり、複数個の前記容器における各胴部を相互に連結した容器ブロック体における連結部のちぎれを検査するに好適なものである。ちなみに前記樹脂製の容器は、例えば注射用薬液を収納した透明または半透明のプラスチック製のアンプルからなる。
【0012】
特に本発明に係る樹脂製容器検査装置は、前記容器ブロック体を前記容器の連結方向に搬送する第1の搬送機構と、
この第1の搬送機構から送り出された前記容器ブロック体を前記容器の連結方向に円弧状に曲げて搬送する第2の搬送機構と、
この第2の搬送機構により搬送される前記容器ブロック体の前記連結部を検査画像として撮像する撮像装置と、
この撮像装置にて得られた検査画像を解析して前記容器ブロック体の連結部のちぎれを検出する画像処理装置と
を具備したことを特徴としている。
【0013】
好ましくは前記第1の搬送機構は、前記容器ブロック体を横向きに寝かせて載置して前記容器の連結方向に搬送するコンベア機構からなる。また前記第2の搬送機構は、前記容器ブロック体における前記複数の容器を個々に支持して該容器ブロック体を前記容器の連結面を円弧状に曲げて搬送するスターホイール機構を主体として構成される。
【0014】
ちなみに前記スターホイール機構は、例えば前記容器ブロック体における容器の胴部側面をそれぞれ支持する複数の凹部を所定のピッチで周方向に設けた一対のホイール体を備えたものである。そして前記第2の搬送機構は、前記スターホイール機構による前記容器ブロック体の円弧状の搬送方向に沿って設けられて前記一対のホイール体の凹部により支持された前記容器の支持姿勢を保持するガイド体を備えて構成される。
【0015】
好ましくは前記スターホイール機構は、例えば前記スターホイール機構に支持されて搬送される前記容器ブロック体を照明する照明光源を備える。そして前記撮像装置は、前記スターホイール機構による前記容器ブロック体の搬送タイミングに同期して、例えば前記照明光源による前記容器ブロック体の連結部の透過光象を撮像するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
上記構成の樹脂製容器検査装置によれば、複数の容器の連結方向に容器ブロック体を搬送する第1の搬送機構を備える。そして第1の搬送機構から送り出された前記容器ブロック体を第2の搬送機構において前記容器の連結方向に円弧状に曲げて搬送することで、前記容器ブロック体における複数の容器の連結部に曲げ力を加えるものとなっている。するとこの曲げ力によって前記容器間に引張り力が作用し、前記容器の連結部にちぎれが存在する場合には、そのちぎれによる隙間が拡大される。しかし前記連結部にちぎれが存在しない場合には、前記複数の容器は前記連結部を介して連結された状態に保たれる。
【0017】
本発明に係る樹脂製容器検査装置においては、このような第2の搬送機構による前記容器ブロック体の搬送状態において前記複数の容器の連結部を撮像して検査画像を得る。従って上記検査画像に連結部のちぎれに起因する隙間が写り込むか否かを判定するだけで前記連結部のちぎれの有無を容易に、且つ確実に検査することができる。しかも前記容器ブロック体を前記第2の搬送機構により前記容器の連結方向に円弧状に曲げて搬送するだけなのでその構成が簡易である。故に簡単な構成の下でちぎれ検査を効率良く行い得る等の実用上多大なる効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂製容器検査装置の要部概略構成図。
【
図2】
図1に示す樹脂製容器検査装置におけるスターホイール機構の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る樹脂製容器検査装置について説明する。
【0020】
この樹脂製容器検査装置は、例えば
図3に示したように複数(5個)の樹脂製(プラスチック製)の容器1を連結した容器ブロック体7における前記容器1を相互に連結した連結部のちぎれの有無を検査するものである。ちなみにこの容器ブロック体7における前記連結部のちぎれの検査は、例えば成型不良検査(外観検査)が行われた前記容器ブロック体7に対して、前記容器ブロック体7の各容器1にそれぞれ封入された液体(薬液)に対する異物混入検査を行う前に実行される。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る樹脂製容器検査装置10の要部概略構成を模式的に示す図である。この樹脂製容器検査装置10は、前記容器ブロック体7を横向きに寝かせて載置して前記容器1の連結方向に搬送する第1の搬送機構11と、この第1の搬送機構11から送り出された前記容器ブロック体7の前記複数の容器1を個別に支持して該容器ブロック体7を前記容器1の連結方向に円弧状に曲げて搬送する第2の搬送機構12とを備える。
【0022】
ちなみに前記第1の搬送機構11は、例えば図示しないモータにより駆動され、上下に対をなして設けられたガイド11a,11bに沿って前記容器ブロック体7を水平方向に搬送するベルトコンベアからなる。また前記第1の搬送機構11の下流端側における前記ガイド11a,11bの端部は上方に向けて緩やかに曲げられている。このような形状のガイド11a,11bにより、前記第1の搬送機構11により搬送された前記容器ブロック体7の各容器1は、前記ガイド11a,11bの端部に沿って斜め上方に向けて順に送り出されるようになっている。
【0023】
一方、前記第1の搬送機構11の下流に設けられる前記第2の搬送機構12は、例えば前記容器ブロック体7における各容器1の胴部側面をそれぞれ支持して搬送するスターホイール機構20を主体として構成される。このスターホイール機構20は、
図2にその概略構成を示すように、前記第1の搬送機構11から送り出された前記容器1の胴部側面、特に前述した胴部2の底面側と肩部3側とを支持して搬送する複数の凹部21を、その外周に沿って形成した一対のホイール体22を備える。これらの一対のホイール体22は、図示しないモータにより前記第1の搬送機構11よりも若干速い搬送速度で回転駆動される。
【0024】
具体的には前記複数の凹部21は、前記ホイール体22の外周に沿って前記容器ブロック体7の各容器1をそれぞれ支持するように、複数の容器1の配列ピッチPに相当する間隔で設けられている。そして前記ホイール体22は、前記容器ブロック体7における各容器1の胴部2を前記凹部21に順次嵌め込みながら、該ホイール体22の外周に沿って前記容器ブロック体7を円弧状に搬送する。特に前記ホイール体22は、回転に伴ってその回転軸よりも上側に位置付けられる略半分の領域に亘って前記容器ブロック体7を支持し、該容器ブロック体7を前記複数の容器1の連結方向に円弧状に曲げながら搬送する。
【0025】
尚、前記スターホイール機構20における前記第1の搬送機構11からの前記容器ブロック体7の受け入れ部には、前記一対のホイール体22の外周に対峙させてガイドローラ13が設けられている。このガイドローラ13は、前記ガイド11a,11bの端部から斜め上方に送り出される前記容器1の外周に当接して該容器1を抑え込み、その浮き上がりを防止しながら前記容器1を前記凹部21に順次嵌め込む役割を担う。このガイドローラ13による前記容器1の浮き上がり防止作用により、前記容器ブロック体7は前記ホイール体22の外周に沿って前記容器1の連結方向に円弧状に曲げられた状態で搬送される。
【0026】
また前記第2の搬送機構12における前記容器ブロック体7の受け入れ部とは反対側には、前記スターホイール機構20から送り出された前記容器ブロック体7の容器1を図示しない第3の搬送機構に導く一対のガイド14a,14bが設けられている。これらの一対のガイド14a,14bの前記ホイール体22に対峙する側の先端部は、上方に向けて傾斜させて設けられている。
【0027】
ちなみに前記ホイール体22に支持されて搬送される前記容器ブロック体7は、各容器1の自重と前記ガイドローラ13による抑え込み作用とにより前記容器1の連結方向に、換言すれば前記複数の容器1の連結面と直交する向きに円弧状に曲げられて搬送される。しかしながら前記容器ブロック体7の各容器1は、前記ホイール体22の前述した受け入れ部とは反対側まで搬送されたとき、その素材である合成樹脂材の弾性復元力にて該容器1の自重に抗して前記複数の容器1が直線状に並ぶように前記ホイール体22から浮き上がる。前記ガイド14a,14bは、このようにして前記該ホイール体22の外周から順次離れる前記容器1を受け止めて前記第3の搬送機構に導く役割を担う。従って前記容器ブロック体7は、前記ホイール体22の略上半分の領域においてだけ、搬送方向の前端側および後端側の容器1を下方側に曲げた状態で円弧状に搬送される。
【0028】
ここで第2の搬送機構12の主体部を構成する前記スターホイール機構20の役割について説明する。前述した如く前記スターホイール機構20は前記ホイール体22の回転軸よりも上方の領域において、前記容器ブロック体7を前記容器1の連結方向に円弧状に曲げて搬送する。また前記第2の搬送機構12は、前記容器ブロック体7の受け入れ部側において前記ガイドローラ13により前記容器1を前記ホイール体22側に押さえ付けながら前記容器ブロック体7を前記ホイール体22の外周に沿って導く。この結果、前記ガイドローラ13による前記容器1の押え込みと前記各容器1の自重とにより前記複数の容器1の連結部において曲げ力が発生する。そして前記容器ブロック体7は、複数の容器1の連結面と交差する向きに円弧状に撓みながら前記各容器1のそれぞれを前記凹部21に嵌め込んだ状態で搬送される。このような容器1間の連結部における撓みは前記容器ブロック体7の素材である合成樹脂材の弾性復元力に抗して発生する。
【0029】
すると前記容器1間の連結部に生じた撓みにより該連結部に隣接して設けられた前記容器1間には、これらの容器1を引き離す力F1,F2が作用する。そして前記連結部にちぎれが存在する場合、上記力F1,F2によりちぎれ部の隙間が拡大される。換言すれば前記容器1間の連結部のちぎれに起因して該連結部に大きな隙間が形成される。ちなみに前記容器ブロック体7における複数の容器1が直線状に並び、前記容器1間を引き離す力F1,F2が作用しない場合には、一般的には前述したようにちぎれ部の端面が殆ど隙間なく相互にくっつき合っていることが多い。
【0030】
ここで前記容器ブロック体7を容器1の連結方向に円弧状に曲げて搬送する前記ホイール体22は、該容器ブロック体7の曲げによって前記連結部に新たなちぎれを形成することのない大きさのものからなる。従って前記連結部にちぎれが存在しない場合には、ちぎれ部端面間に隙間自体が存在しないので、前記力F1,F2が作用しても前記連結部に大きな隙間が形成されることはない。
【0031】
このようにして拡大される前記連結部のちぎれに起因する隙間の有無を検査するべく、前記第2の搬送機構12には、例えば
図2に示すように前記ホイール体22の内側に位置して前記容器ブロック体7を下方側から照明する照明光源15が設けられる。また前記ホイール体22の上方位置には、前記照明光源15により照明された前記容器ブロック体7における連結部の透過光象を撮像する撮像装置16a,16bが設けられる。
【0032】
これらの撮像装置16a,16bは、例えば1画素当たり100μmの分解能を持つ解像度の高いモノクロカメラからなる。特に前記撮像装置16a,16bは、前記ホイール体22による前記容器ブロック体7の搬送タイミング、特に前記容器1の受け取りタイミングに同期して前記ホイール体22の回転角度に応じて撮像駆動される。そして前記撮像装置16a,16bは、前記照明光源15により照明された前記容器ブロック体7における連結部の透過光像をそれぞれ撮像し、これによって得た検査画像を画像処理装置17に与える。この場合、前記連結部の透過光像は、ちぎれに起因する隙間部分において高輝度(白色)となり、合成樹脂製の前記容器1の胴部2を含む連結部の領域は低輝度(黒色)となる。
【0033】
尚、前記容器ブロック体7を上方側から照明する照明光源18を前記撮像装置16a,16bの側部近傍に設け、前記容器ブロック体7における連結部の反射光像を前記撮像装置16a,16bにてそれぞれ撮像するようにしても良い。この場合には、例えば前記ホイール体22の内側の回転軸部を黒色化する等して、いわゆる無反射処理しておくことが望ましい。このようにして前記撮像装置16a,16bにて前記連結部の反射光像を撮像する場合、その検査画像は前記ちぎれに起因する隙間部分において高輝度となり、合成樹脂製の前記容器1の胴部2を含む連結部の領域においては低輝度となる。
【0034】
前記画像処理装置17は、上述したようにして2台の撮像装置16a,16bにおいて2段階に亘って撮像された検査画像をそれぞれ解析する。そして検査画像中における輝度差の顕著な領域を前記連結部のちぎれに起因する隙間部分として判定し、これによって前記容器ブロック体7における容器1の連結部に生じたちぎれの有無を検査する。そして前記画像処理装置17は、ちぎれの存在が検出された容器ブロック体7を不良品として排除制御する。
【0035】
従って上述した如く構成された樹脂製容器検査装置10によれば、前記容器ブロック体7を複数の容器1の連結方向に円弧状に曲げて搬送すると言う簡易な手法にて、前記容器1の連結部に生じたちぎれ部の端面間を拡げて隙間を拡大する。そして曲げが加えられた前記連結部を前記撮像装置16a,16bにて撮像し、その検査画像を判定する。従って検査画像から前記連結部のちぎれに起因する隙間領域が検出されるか否かを判定するだけで、前記容器ブロック体7における連結部のちぎれの有無を簡易に、しかも確実に検出することができる。また前記容器ブロック体7を円弧状に曲げて搬送しながら、前記撮像装置16a,16bを用いて前記容器1の連結部のちぎれに起因する隙間が発生するか否かを光学的に検出するだけで良いので、ちぎれ検査自体を効率的に行うことができる。従ってその実用的利点が多大である。
【0036】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば前記スターホイール機構20における前記ホイール体22の径については、前記容器ブロック体7を容器1の連結方向に無理なく円弧状に曲げて搬送し得る大きさであれば十分である。また前記ホイール体22の回転軸に光反射体を設けておき、該光反射体と前記容器ブロック体7を形成する合成樹脂の反射率の違いを利用して隙間の有無を判定し、前記連結部におけるちぎれの有無を検査するようにしても良い。更に実施形態では2台の撮像装置16a,16bを用いて連結部を2回に亘って検査したが1回だけでも良く、或いは更にその検査回数を増やして検査精度を高めるようにしても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 容器
2 胴部
3 肩部
4 頭部
5 蓋部
6 ツイストオフ部
7 容器ブロック体
8 翼部
10 樹脂製容器検査装置
11 第1の搬送機構
11a,11b ガイド
12 第2の搬送機構
13 ガイドローラ
14a,14b ガイド(第3の搬送機構)
15,18 照明光源
16a,16b 撮像装置
17 画像処理装置
20 スターホイール機構
21 凹部
22 ホイール体