(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記経過時間が前記第1基準時間以上の第2基準時間を超えた場合に、ユーザに対して日時の修正要求を伝えるための所定の動作を行う報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
前記測位衛星がGPS衛星の場合に、前記受信期間制御手段は、前記受信期間としてサブフレームの先頭から2ワード又は3ワードが受信される期間を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子時計。
GPS衛星からの信号において各サブフレームデータの先頭位置を規定する先頭符号列と同一の符号列が日時情報に係る符号列部分に出現する重複期間を記憶する重複期間記憶手段を備え、
前記受信期間制御手段は、前記重複期間内には、前記先頭符号列と同一の符号配列を複数回検出し、当該複数回の検出位置の位置関係に基づいてサブフレームの先頭位置を同定し、時刻情報を取得する
ことを特徴とする請求項6又は7記載の電子時計。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
先ず、第1実施形態の電子時計1について説明する。
図1は、第1実施形態の電子時計1の内部構成を示すブロック図である。
【0014】
この電子時計1は、CPU(Central Processing Unit)41(衛星日時取得手段、修正手段、手動日時取得手段、整合判別手段、外部日時取得手段、ずれ算出手段)と、ROM(Read Only Memory)42(重複期間記憶手段)と、RAM(Random Access Memory)43と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46(計時手段)と、操作部47(操作手段)と、表示部48及び表示ドライバ49と、GPS受信処理部50及びそのアンテナ51と、長波受信部52及びそのアンテナ53と、電源部54などを備えている。
【0015】
CPU41は、各種演算処理を行い、電子時計1の全体動作を統括制御する。CPU41は、計時回路46の現在の日時データを読み出して表示部48に表示させると共に、プログラム42aに基づいてGPS受信処理部50及び長波受信部52を動作させて正確な日時データを取得して、計時回路46が計数する日時を修正する。
【0016】
ROM42は、制御用の各種プログラムや初期設定データなどを記憶して格納する。ROM42に格納されるプログラムには、計時回路46の計数する現在の日時を修正するための処理に係るプログラム42aが含まれる。また、ROM42には、GPS衛星からの受信信号において、後述するPreambleと同一の符号配列が日時データ内に出現する期間が予め格納されている。この期間データは、テーブルデータとしてプログラム42aから読み出されて利用される。或いは、この期間データがプログラム42aの中に一体的に格納されていても良い。
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、作業データや各種設定データを記憶する。RAM43には、修正履歴記憶部43a(読取期間設定記憶手段)が含まれ、直近の日時修正履歴に係る情報を記憶する。本実施形態の修正履歴記憶部43aには、直近の日時修正状況を示すステータスbが記憶される。
【0017】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振器を備えている。
分周回路45は、発振回路44から入力された所定の周波数信号をCPU41や計時回路46が利用する各周波数の信号に分周して各々出力する。
【0018】
計時回路46は、現在の日付及び時刻(日時)を計数する。計時回路46は、分周回路45から入力されたクロック信号を計数し、日時の初期値に加算していくことで現在の日時データを保持するカウンタである。計時回路46の初期値は、電源投入時には、図示略のRTC(Real Time Clock)が参照されて設定されるとともに、日時修正に係るプログラム42aの実行に応じてCPU41により上書き修正される。
この計時回路46により計数される日時は、発振回路44の水晶発振器が生成する周波数信号の周波数誤差に応じた計時誤差(歩度)が含まれる。通常の電子時計1で用いられる発振回路44の水晶発振器の計時誤差としては、例えば、月当たり約15秒であり、予め測定、取得してROM42などに設定しておくことが出来る。前回日時修正が行われてからの経過時間にこの計時誤差を乗ずることで、計時回路46の計数する日時が正確な日時に対してずれる時間差を見積もることが出来る。
【0019】
操作部47は、ユーザの入力操作を受け付けて、入力信号として電気信号をCPU41に出力する。操作部47は、押しボタンスイッチ、りゅうずやタッチセンサなどのうち一又は複数を備え、これらの押下、回転、接触などの予め定められた各種操作が検出されて操作内容に対応する電気信号が生成される。
【0020】
表示部48は、特には限られないが、デジタル式の表示画面を備え、現在時刻に加えて電子時計1で実行可能な種々の機能に係る表示を行う。表示画面としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)が用いられ、また、表示ドライバ49には、当該LCDを駆動する液晶ドライバが用いられる。表示ドライバ49は、CPU41から入力された制御信号に基づいてLCDの駆動信号をLCDに出力する。或いは、表示部48は、デジタル表示画面に加えて又は代えて、一又は複数の指針を備え、駆動回路により駆動されるステッピングモータの回転により当該指針が回転動作されて日時やステータスの一部又は全部をアナログ表示することが可能な構成であっても良い。
これらの表示部48及び表示ドライバ49により報知手段が構成される。
【0021】
GPS受信処理部50は、アンテナ51を用いて一又は複数の測位衛星、ここでは、GPS衛星から電波を受信し、日時情報を取得する。ここで、日時情報とは、GPS衛星の内部時計が計数する日時に対応した値であり、当該値を電子時計1のタイムゾーンや後述する遅延時間などの情報に基づいて変換することで、計時回路46が計数する時刻の値に変換される。このGPS受信処理部50は、複数のGPS衛星の中から受信可能なものを探索して当該GPS衛星の受信周波数に同調し、また、復号するためのC/Aコードを同定する。また、GPS受信処理部50は、受信されたGPS衛星からの送信電波を復調、復号して日時データを取得し、設定されたフォーマットでCPU41に出力する。
このとき、GPS受信処理部50は、1フレーム分のデータ(一連のデータ)を全て受信しないことで、完全な日時データが受信電波から取得されなくても、予め設定入力された現在の日時データに対して定められた範囲(読取期間)内の日時であると見做して日時データを出力することが出来る。また、この設定入力が無い場合にWNデータが取得されなかった場合には、日付が空白のまま時刻データのみを出力することが可能となっている。
【0022】
また、GPS受信処理部50は、複数のGPS衛星から必要なデータが全て取得された場合には、日時だけではなく、電子時計1の位置を算出、出力可能となっている。
これらのGPS受信処理部50及びアンテナ51により衛星電波受信手段が構成される。
【0023】
長波受信部52は、アンテナ53を用いて長波長帯で送信されている時刻情報の電波(標準電波)に同調して受信し、復調した信号をCPU41に出力する。この復調された信号がCPU41で復号されて、日時情報が取得される。なお、長波受信部52が復号処理もまとめて行い、取得された時刻情報がCPU41に出力される構成であっても良い。また、長波受信部52は、更に、種々のノイズ軽減処理に係る構成を備えていても良い。
これらの長波受信部52及びアンテナ53により外部通信手段が構成される。
これらのGPS受信処理部50及び長波受信部52は、他の制御部とはそれぞれ個別に電力供給のオンオフに係るスイッチ制御を行うことが出来る。
【0024】
電源部54は、電子時計1の各部に電力を供給する。電源部54は、例えば、ボタン型或いは円盤状の一次電池といったバッテリを有し、この一次電池は、必要に応じて着脱交換可能となっている。
【0025】
次に、本実施形態の電子時計1における日時修正の動作について説明する。
図2は、GPS衛星からの送信電波のフォーマットを説明する図である。
【0026】
GPS衛星は、符号データの配列(航法メッセージデータ)を衛星ごとに固有のC/Aコードで位相変調して50bpsで送信している。この航法メッセージデータは、300ビット長(6秒)のサブフレームを5つ含むフレームデータ(1500ビット)を単位として送信される。全データは、25フレーム(ページ)で構成され、これらを全て取得するのには、12.5分を要する。
【0027】
各フレームにおいて、サブフレーム1〜3には、当該サブフレームごとの日時情報、ステータス情報や当該GPS衛星の軌道情報(エフェメリスデータ)が含まれる。また、サブフレーム4、5では、全てのGPS衛星に関する予測軌道情報(アルマナックデータ)が25フレームに分割されて送信される。
【0028】
各サブフレームは、30ビット長(0.6秒)、即ち、30個の2値符号配列からなるワード(WORD)10個で構成される。このうち、先頭のWORD1には、22ビットのTLM(テレメトリワード)が含まれ、このTLMは、固定された8ビットの符号配列「10001011」であるPreamble(プリアンブル)で開始される。また、WORD2には、22ビットのHOW(Hand Over Word)が含まれる。このHOWには、日曜0時を始点とする週内の時間を示すTOW−Countが17ビット含まれている。このTOW−Count(Zカウントともいう)は、当該週内でサブフレーム(6秒)ごとに1ずつ増加する値であり、最大値は、土曜日の23時59分54秒の値である「11000100110111111」(10進数で100799)である。
サブフレーム1におけるWORD3の先頭では、1980年1月6日を基準とする週番号WNが10ビット(10進数で最大1023)で送信される。また、各ワードの末尾には、6ビットのパリティ情報が含まれ、当該パリティ情報によりワードの復調が正確に行われたか否かの判定を行うことが出来る。
【0029】
ここで、計時回路46が保持している日時データに日単位以上のずれがないと想定される場合には、WNを取得する必要が無い。従って、何れかのサブフレームのデータが取得されることで、TLM及びHOWのデータが受信される。このとき、隣接するサブフレームの先頭同士6秒間隔で2回Preambleを検出することで、サブフレームにおける各ワードの位置がより正確に同定される。従って、2回Preambleを受信して時刻情報を取得するのに必要な時間は、7〜12秒程度となる。
【0030】
また、2回目のPreambleの検出を省略すると、GPS受信処理部50は、WORD1を受信して1回のPreambleのみでワードの位置を同定し、WORD2のデータで日時を解読した時点で受信を終了することも出来る。計時回路46が保持している日時データに数秒以上のずれがない場合には、当該タイミングに合わせてGPS衛星からの電波受信を開始することで、2〜3ワード分の長さ、即ち、1〜2秒程度の受信時間で必要な時刻情報が取得可能になる。但し、この場合には、GPS衛星からの信号の中にPreambleと同一の符号配列が存在した場合に、各ワード位置が誤同定される虞がある。そしてこの場合、パリティチェックも3回程度しか行われないので、同定の誤りが検出されない場合もある。
【0031】
また、更に、例えば、計時回路46が保持している日時データに3秒未満のずれ(同期点の日時を同定可能な所定のずれ量)しかないと想定される場合には、Preambleを検出して6秒ごとの同期のタイミング(例えば、このPreambleの先頭を同期点とする)のみを取得することで、計時回路の46の計数する日時に対して、例えば、±2秒の合計4秒を読取期間として、当該読取期間内の日時に計時回路46の日時データの修正を行うことも出来る。この場合には、タイミングを合わせてGPS衛星からの電波受信を行うことで、約1ワード分の長さ、即ち1秒未満の受信時間で現在の日時が同定され、計時回路46の日時データの修正が行われる。但し、3ワード分の受信と比較して、更に、ワード位置の誤同定の可能性が高まる。
【0032】
なお、1つのGPS衛星からの送信電波のみを用いて日時データを取得する場合には、当該GPS衛星と受信地点との間の正確な距離を求めることが出来ないので、60ms〜85ms程度の伝播時間のよる遅延を正確に見積もることが出来ない。そこで、取得された日時から一律に、例えば、70ms程度進めることで、約15ms以内のずれで現在の日時データを取得することとしても良い。これにより、受信時間を延長せず、即ち、電力消費を増大させずに時計の実用上問題のない程度の小さな誤差範囲内で略正確な日時情報を取得することが出来る。
【0033】
また、閏秒に係る情報、夏時間の実施情報、タイムゾーンに係る情報などの特殊な情報は、別途保持されている必要がある。
【0034】
このように、1フレームデータ全体を受信せず、短時間の電波受信により日時情報を取得する場合、計時回路46の日時データをどの程度利用出来るかについては、当該日時のずれの大きさに依存するので、この電子時計1では、当該ずれの大きさの見込値に応じて日時情報の受信及び取得の方法を変更する。
【0035】
図3は、直近の日時の修正を示すステータス情報について説明する図表である。
本実施形態の電子時計1では、修正履歴記憶部43aに4つのフラグb[0]〜b[3]による4ビットのステータスbを記憶させることで、直近の日時修正のタイミング(前回修正が行われてからの経過時間)と種別(日時情報の取得方法)を容易に取得することが出来る。
【0036】
ステータスbの最下位ビットのフラグb[0]は、直近の日時修正がGPS衛星からの電波受信によるものであるか否かを示す。フラグb[0]が「1」の場合には、1ヵ月(第1基準時間)以内にGPS衛星からの電波受信により日時修正が行われていることを示し、フラグb[0]が「0」の場合には、直近の日時修正がGPS衛星からの電波受信によるものではない、又は、1ヵ月以内に日時修正が行われていないことを示す。
【0037】
同様に、2桁目のフラグb[1]は、直近の日時修正が標準電波の受信によるものであるか否かを示す。フラグb[1]が「1」の場合には、1ヵ月以内に標準電波の受信により日時修正が行われていることを示し、フラグb[1]が「0」の場合には、直近の日時修正が標準電波の受信よるものではないか、又は、1ヵ月以内に日時修正が行われていないことを示す。
【0038】
また、3桁目のフラグb[2]は、直近の日時修正がユーザの手動入力操作によるものであるか否かを示す。フラグb[2]が「1」の場合には、1ヵ月以内に手動入力操作により日時修正が行われていることを示し、フラグb[2]が「0」の場合には、直近の日時修正が手動入力操作によるものではないか、又は、1ヵ月以内に日時修正が行われていないことを示す。
なお、フラグb[0]〜b[2]における修正の有効期限である1ヵ月は、修正方法ごとに適宜変更可能である。例えば、手動入力操作による日時修正のみ7日以内というように異なる設定であっても良い。また、計時回路46の誤差(歩度)が小さい電子時計1の場合には、有効期限をより長く設定しても問題を生じない。
【0039】
最上位ビットのフラグb[3]は、各フラグb[0]〜b[2]の何れかが「1」である場合において、当該「1」であるフラグに係る日時修正が1日以内に行われたか否かを示す。フラグb[3]が「0」である場合には、当該日時修正が1日以内に行われたことを示し、フラグb[3]が「1」である場合には、日時修正が1日以内ではなく、且つ、1ヵ月以内に行われたことを示す。なお、フラグb[3]の切り替えの基準期間は、1日とは異なっても良い。例えば、1日に一回日時修正の動作を繰り返し行わせることを考慮して、1日以内ではなく、例えば、23時間50分以内などとしても良い。
【0040】
本実施形態の電子時計1では、各フラグb[0]〜b[2]に「1」がセットされたタイミングからカウンタを動作させて、一日後にb[3]を「1」に変更し、更に、一ヵ月後に当該フラグb[0]〜b[2]及びb[3]をまとめて「0」に戻すことで設定される。この場合のカウンタは、CPU41による分周回路45からの所定の周波数信号の計数によるソフトウェア的なものであって良い。
【0041】
図4は、本実施形態の電子時計1において実行される日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この日時修正処理は、一日に一回所定の時刻に自動で、また、ユーザによる実行命令の入力操作があった場合に当該操作に応じて、起動されて実行される。
【0042】
日時修正処理が呼び出されると、CPU41は、先ず標準電波日時修正処理を実行する(ステップS102)。その後に、CPU41は、GPS日時修正処理を実行する(ステップS104)。そして、CPU41は、日時修正処理を終了する。
【0043】
図5は、日時修正処理で呼び出された標準電波日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0044】
標準電波日時修正処理が呼び出されると、CPU41は、長波受信部52をオンして(ステップS201)、長波受信部52の起動動作に係る処理を行う(ステップS202)。CPU41は、長波受信部52に所望の標準電波送信局からの標準電波を受信させて信号を復調させる。CPU41は、復調された信号を受信された標準電波局の送信フォーマットに従って復号して日時情報を取得する(ステップS203)。
【0045】
CPU41は、標準電波の受信及び日時情報の取得に成功したか否かを判別する(ステップS204)。成功しなかったと判別された場合には(ステップS204で“NO”)、CPU41は、標準電波日時修正処理を終了して、日時修正処理に戻る。
【0046】
標準電波の受信及び日時情報の取得に成功したと判別された場合には(ステップS204で“YES”)、CPU41は、修正履歴記憶部43aからステータスbを読み込む(ステップS205)。CPU41は、取得されたステータスbの下位3ビット(b[2:0])が「001」又は「010」の何れかであるか否かを判別する(ステップS206)。何れでもないと判別された場合には(ステップS206で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS208に移行する。
【0047】
ステータスbの下位3ビットが「001」又は「010」であると判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU41は、標準電波から取得された日時と、計時回路46が計数する日時との差が15秒以内であるか否かを判別する(ステップS207)。15秒以内ではないと判別された場合には(ステップS207で“NO”)、CPU41は、そのまま標準電波日時修正処理を終了して、日時修正処理に戻る。15秒以内であると判別された場合には、CPU41の処理は、ステップS208に移行する。
【0048】
ステップS208の処理に移行すると、CPU41は、取得日時に基づいて計時回路46の計数する日時データを上書き修正する(ステップS208)。CPU41は、ステータスb[3:0]を「0010」に上書き更新して、当該ステータスに係るカウンタの計数を開始させる(ステップS209)。そして、CPU41は、標準電波日時修正処理を終了して、日時修正処理に戻る。
【0049】
図6は、日時修正処理で呼び出されるGPS日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0050】
GPS日時修正処理が起動されると、CPU41は、修正履歴記憶部43aからステータスbを読み込む(ステップS401)。CPU41は、ステータスbが「0001」又は「0010」であるか否かを判別する(ステップS402)。ステータスbが何れかであると判別された場合には(ステップS402で“YES”)、改めて日時の修正を行う必要が無く、CPU41は、GPS日時修正処理を終了して日時修正処理に戻る。
【0051】
ステータスbが「0001」及び「0010」の何れでもないと判別された場合には(ステップS402で“NO”)、CPU41は、GPS受信処理部50の電源をオンして(ステップS403)、GPS受信処理部50の起動処理を行う(ステップS404)。
なお、ステップS402で“NO”に分岐した場合、即座にステップS403の処理に移行せず、予め設定されたGPS受信処理の起動条件、例えば、電子時計1が屋外や窓際などにあることを判別するために光センサにより所定の光量が検出されるといった条件が満たされるまで待機しても良い。また、CPU41は、ステップS403の起動処理において実行される受信周波数及びC/Aコードを探索して何れかのGPS衛星の送信電波に同調するといった処理に並行して、ステップS405、S406の処理を行うことが可能である。
【0052】
CPU41は、ステータスbが「1001」又は「1010」であるか否かを判別する(ステップS405)。何れかであると判別された場合には(ステップS405で“YES”)、CPU41は、計時回路46が計数する現在の日時をGPS受信処理部50に送信する(ステップS406)。それから、CPU41の処理は、ステップS407に移行する。ステータスbが「1001」又は「1010」の何れでもないと判別された場合には(ステップS405で“NO”)、CPU41の処理は、そのままステップS407に移行する。
【0053】
CPU41は、GPS受信処理部50にGPS衛星からの電波の受信処理を行わせる(ステップS407)。ここでの受信時間は、上述したように、1又は連続する2つのPreambleが同定されてHOWデータが併せて取得、解読される時間である。CPU41は、日時情報の取得に成功したか否かを判別する(ステップS408)。日時情報の取得に成功しなかったと判別された場合には(ステップS408で“NO”)、CPU41は、そのままGPS日時修正処理を終了し、日時修正処理に戻る。
【0054】
日時情報の取得に成功したと判別された場合には(ステップS408で“YES”)、CPU41は、ステータスbが「1001」又は「1010」の何れかであるか否かを判別する(ステップS409)。何れかであると判別された場合、即ち、一ヶ月(第3基準時間)以内に衛星日時取得処理または標準電波日時取得処理で日時が取得されている場合には(ステップS410で“YES”)、CPU41は、取得された日時と計時回路46が保持する現在の日時との差が15秒以内(整合確認期間)であるか否かを判別する(ステップS411)。15秒以内であると判別された場合には(ステップS411で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS412の処理に移行する。15秒以内ではないと判別された場合には(ステップS411で“NO”)、取得日時が不正確であるとして、CPU41は、そのまま日時修正処理を終了し、日時修正処理に戻る。ステータスbが「1001」及び「1010」の何れでもないと判別された場合には(ステップS410で“NO”)、CPU41の処理は、そのままステップS412に移行する。
【0055】
CPU41は、取得された日時に基づいて計時回路46の現在の日時を修正する(ステップS412)。CPU41は、ステータスbを「0001」に上書き更新し、ステータスbに係るカウンタの計数を開始する(ステップS413)。そして、CPU41は、日時修正処理を終了する。
【0056】
以上のように、本実施形態の電子時計1は、日時を計数する計時回路46と、GPS衛星からの電波信号を受信するGPS受信処理部50及びアンテナ51と、を備え、CPU41は、GPS受信処理部50による受信期間を制御し、受信された電波信号に基づいて日時情報を取得する。また、CPU41は、GPS衛星からの電波受信の他、長波受信部52や操作部47などの各所から取得された日時情報を用いて計時回路46が計数する日時を修正する。
そして、CPU41は、計時回路46が計数する日時の修正が前回行われてから今回日時情報が取得されるまでの経過時間が日時情報の取得方法に応じてそれぞれ定められた第1基準時間、例えば、1ヵ月以下の場合には、この経過時間及び日時の取得方法に応じた読取期間、例えば、日付を定めて、GPS受信処理部50による受信内容に基づいて読取期間内の日時を取得する。このとき、CPU41は、GPS衛星から送信される航法メッセージデータ全体のうち、GPS受信処理部50が現在の日時を同定することが可能な一部のデータを取得する間を受信期間としてGPS受信処理部50を動作させる。
従って、現在計時回路46が計数している日時の正確さに応じて、正確な日時情報を取得するために必要とされる長さだけのデータをGPS衛星から受信することで、電力消費の増大を抑えながら、正確な日時をより確実に取得して計時を行うことが出来る。
【0057】
即ち、日付レベルの大きなずれがないと見込まれる場合には、サブフレーム1にのみ含まれるWNのデータを取得せずとも、全てのサブフレームに含まれるHOWが取得出来れば、日時が特定可能であるので、適宜なタイミングで受信を始めても、最大でサブフレーム2つ分程度の受信時間でフレーム位置を同定し、必要な日時情報を取得することが出来るので、データの信頼性を落とさずに低消費電力で正確な日時を取得することが出来る。
【0058】
また、前回の日時修正からの経過時間が第1基準時間以下の第3基準時間、例えば、ここでは1ヵ月を超えていない場合に、取得された日時が読取期間(ここでは1日)より狭い整合確認期間、ここでは、15秒内にあるか否かを判別して、当該整合確認期間内にない日時が取得されていた場合には、計時回路46の計数する日時を修正しないこととする。従って、受信時間を短縮することでパリティチェックや複数回受信による整合確認が省略されることによる正確性の低下を補い、特に、Preambleの誤同定による日時ずれを防ぐことが出来る。
【0059】
また、外部から標準電波を受信する長波受信部52及びアンテナ53を備え、CPU41は、当該長波受信部52により復調された信号を復号して日時情報を取得することが出来る。修正履歴記憶部43aには、この標準電波受信による修正履歴に係る情報b[1]、b[3]を記憶させ、この修正履歴情報に基づいてGPS衛星からの電波受信による日時修正の際の受信期間及び読取期間の設定が行われ得る。
従って、GPS衛星からの電波受信に限らず、他の方法でも自動的に外部から日時情報を取得することが出来るので、このようにして取得された日時に基づいてGPS衛星からの電波受信の期間を適切に短縮しながら正確な日時情報を取得することが出来る。従って、電力消費量を有効に低減することが出来る。
【0060】
GPS衛星から電波を受信する場合に、CPU41は、受信期間として、計時回路46の計数する日時により何れかのサブフレームの先頭から2ワード又は3ワードが受信されると見積もられる期間を設定する。従って、特に計時回路46の日時のずれが大きくないと想定される場合に、必要な信号、即ち、PreambleとHOWとを無駄なく短時間で受信して電力消費を低減させることが出来る。
【0061】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電子時計1について説明する。
第2実施形態の電子時計1の内部構成は、第1実施形態の電子時計1と同一であり、同一の符号を用いて説明することとする。
【0062】
次に、第2実施形態の電子時計1における日時の修正動作について説明する。
この実施形態の日時修正動作では、ステータスbに関し、カウンタを動作させてリアルタイムで更新するのではなく、必要な場合にのみステータス設定処理を実行してステータスbを更新する。このために、修正履歴記憶部43aには、ステータスbに加えて直近の修正タイミング及び修正方法に係る修正履歴情報が記憶される。
【0063】
図7は、第2実施形態の電子時計1において実行されるステータス設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
このステータス設定処理は、必要に応じて、例えば、標準電波日時修正処理やGPS日時修正処理が実行される前に、先に呼び出されて実行される。
【0064】
ステータス設定処理が開始されると、CPU41は、修正履歴記憶部43aから最新の修正履歴情報を取得する(ステップS301)。CPU41は、1日(24時間)以内に日時の修正が行われたか否かを判別する(ステップS312)。なお、一日に一回GPS衛星からの電波受信による日時修正が行えるように、この期間は、24時間ではなく、例えば、23時間50分などに設定されても良い。
【0065】
1日以内に日時の修正が行われていると判別された場合には(ステップS312で“YES”)、CPU41は、当該直近の日時修正がGPS衛星からの電波受信によるものであるか否かを判別する(ステップS313)。GPS衛星からの電波受信によるものであると判別された場合には(ステップS313で“YES”)、CPU41は、修正履歴記憶部43aに記憶されたステータスbのうち、フラグb[0]を「1」に設定し、また、他のフラグb[1]〜b[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS314)。即ち、設定されるステータスbは、「0001」となる。そして、CPU41は、ステータス設定処理を終了する。
【0066】
GPS衛星からの電波受信による日時修正ではないと判別された場合には(ステップS313で“NO”))、CPU41は、長波の標準電波を用いた日時の修正がなされているか否かを判別する(ステップS315)。長波の標準電波を用いた日時の修正がなされていると判別された場合には(ステップS315で“YES”)、CPU41は、2桁目のフラグb[1]を「1」に設定し、他のフラグb[0]、b[1]〜b[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS316)。即ち、設定されるステータスbは、「0010」となる。それから、CPU41は、ステータス設定処理を終了する。
【0067】
長波の標準電波を用いた日時の修正ではないと判別された場合には(ステップS315で“NO”)、その他の方法による日時修正、即ち、ここでは、手動での日時修正となるので、CPU41は、3桁目のフラグb[2]を「1」に設定し、他のフラグb[0]、b[1]、及びb[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS317)。即ち、設定されるステータスbは、「0100」となる。それから、CPU41は、ステータス設定処理を終了する。
【0068】
ステップS312の判別処理で、1日以内に日時の修正が行われていないと判別された場合には(ステップS312で“NO”)、CPU41は、所定日数、例えば、1ヶ月以内にGPS衛星からの電波受信による日時の修正が行われているか否かを判別する(ステップS321)。1ヶ月以内にGPS衛星からの電波受信による日時の修正が行われたと判別された場合には(ステップS321で“YES”)、CPU41は、最上位ビットのフラグb[3]を「1」に設定して、ステータスbを「1001」とする(ステップS322)。なお、ステータス設定処理の動作間隔が1日より長い場合には、GPS衛星からの電波受信による日時修正が行われた後最初のステータス設定でステータスbが「0001」になっていない場合があるので、CPU41は、フラグb[0]〜b[3]の値をまとめて変更してステータスbを「1001」とする。そして、CPU41は、ステータス設定処理を終了する。
【0069】
1ヶ月以内にGPS衛星からの電波受信による日時の修正が行われていないと判別された場合には(ステップS321で“NO”)、CPU41は、フラグb[0]及びフラグb[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS323)。
【0070】
次いで、CPU41は、1ヶ月以内に長波の標準電波による日時の修正が行われたか否かを判別する(ステップS324)。標準電波による日時の修正が行われたと判別された場合には(ステップS324で“YES”)、CPU41は、フラグb[1]及びb[3]をそれぞれ「1」に設定することで(ステップS322)、ステータスbを「1010」とする。一方、日時の修正が行われていないと判別された場合には(ステップS324で“NO”)、CPU41は、フラグb[1]及びフラグb[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS325)。
【0071】
CPU41は、1ヶ月以内に手動で日時の修正が行われたか否かを判別する(ステップS326)。手動で日時の修正が行われたと判別された場合には(ステップS326で“YES”)、CPU41は、フラグb[3]をそれぞれ「1」に設定することで(ステップS322)、ステータスbを「1100」とする。手動で日時の修正が行われていないと判別された場合には(ステップS326で“NO”)、CPU41は、フラグb[2]及びフラグb[3]をそれぞれ「0」に設定する(ステップS327)。そして、CPU41は、ステータス設定処理を終了する。
【0072】
図8及び
図9は、それぞれ、本実施形態の電子時計1において実行される標準電波日時修正処理及びGPS日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0073】
第2実施形態の標準電波日時修正処理は、ステップS209の処理が省略された点を除き、第1実施形態の電子時計1において実行される標準電波日時修正処理と同一である。また、第2実施形態のGPS日時修正処理は、ステップS413の処理が省略された点を除き、第1実施形態の電子時計1において実行されるGPS日時修正処理と同一である。
即ち、これらの標準電波日時修正処理及びGPS日時修正処理では、日時の修正がなされた際にステータスbの書き換え及びカウンタの動作をリアルタイムで行わない。
【0074】
このように、第2実施形態の電子時計1は、読取期間や整合確認期間などを定めるために用いられる前回の日時修正からの経過時間を必要な場合にのみ算出するので、より容易な制御内容で、第1実施形態の電子時計1と同様の作用効果を得ることが出来る。
【0075】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電子時計1について説明する。
第3実施形態の電子時計1は、第1実施形態及び第2実施形態の電子時計1の内部構成と同一の構成を有し、同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0076】
次に、第3実施形態の電子時計1における日時修正動作について説明する。
図10は、第3実施形態の電子時計1において実行されるステータス設定処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
【0077】
この第3実施形態のステータス設定処理は、ステップS302〜S305の処理が追加された点を除いて第2実施形態のステータス設定処理と同一であり、同一の処理については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0078】
CPU41は、最新の日時修正履歴情報を修正履歴記憶部43aから取得した後(ステップS301)、半年(第2の基準時間)以内に日時修正が行われているか否かを判別する(ステップS302)。半年以内に日時の修正が行われたと判別された場合には(ステップS302で“YES”)、CPU41の処理は、そのままステップS312に移行する。半年以内に日時の修正が行われていないと判別された場合には(ステップS302で“NO”)、CPU41は、ユーザに対して日時の修正動作を促す表示を表示部48に行わせるように表示ドライバ49に制御信号を出力する(ステップS303)。また、電子時計1がブザーなどの音を発生する音声発生部や振動を発生する振動モータを備えている場合には、CPU41は、これらのドライバに制御信号を出力して、表示部48と共に動作させても良い。
それから、CPU41は、予め設定された最大時間以内で日時修正動作、即ち、日時データの手動入力操作や標準電波の受信に係る命令の入力を待ち受けて、当該時刻修正動作の命令入力があったか否かを判別する(ステップS304)。
なお、CPU41は、通常、日時修正処理やこれに伴うステータス設定処理が深夜など、ユーザが電子時計1を使用しないような時刻に行われる場合、ステップS303、S304に係る報知動作及び入力の待ち受け動作をこれらとは異なる時間帯、例えば、日中や夕方などに行わせても良い。
【0079】
日時修正動作に係る命令入力が無かったと判別された場合には(ステップS304で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS312に移行する。日時修正動作の命令入力があったと判別された場合には(ステップS304で“YES”)、CPU41は、当該入力操作に応じた日時修正に係る処理を行う(ステップS305)。例えば、手動での日時の入力操作があった場合には、当該日時に計時回路46の日時を上書き変更する。また、標準電波の受信命令が入力された場合には、CPU41は、標準電波時刻修正処理を実行する。この実施形態における標準電波日時修正処理は、
図8に示した処理と同一であり、説明を省略する。それから、CPU41は、処理をステップS312に移行させる。
【0080】
図11は、第3実施形態の電子時計1において実行されるGPS時刻修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
このGPS時刻修正処理は、ステップS420及びステップS421の処理が追加された点を除いて第2実施形態のGPS時刻修正処理と同一であり、同一の処理については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0081】
ステップS410の判別処理で、ステータスbが「1001」又は「1010」ではないと判別された場合に(ステップS410で“NO”)、CPU41は、更に、ステータスbが「0100」又は「1100」の何れかであるか否かを判別する(ステップS420)。「0100」及び「1100」の何れでもないと判別された場合には(ステップS420で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS412に移行する。
【0082】
ステータスbが「0100」又は「1100」であると判別された場合には(ステップS420で“YES”)、CPU41は、GPS受信処理部50から取得された日時と計時回路46の日時との差が1時間以内であるか否かを判別する(ステップS421)。1時間以内であると判別された場合には(ステップS421で“YES”)、CPU41の処理は、ステップS412に移行する。1時間以内ではないと判別された場合には(ステップS421で“NO”)、CPU41は、そのままGPS時刻修正処理を終了して、処理を時刻修正処理に戻す。
【0083】
以上のように、第3実施形態の電子時計1は、前回の日時修正からの経過時間が第1基準時間以上の第2基準時間、ここでは、半年を超えた場合に、CPU41は、ユーザに対して日時の修正要求を伝えるための表示を表示部48に行わせるように表示ドライバ49に制御信号を出力する。
従って、長期間に亘りGPS衛星や標準電波などにより日時情報が自動取得出来ない状況が続いている場合には、積極的に概算日時を手動で、例えば、分単位で入力させたり、ユーザの動作命令によりユーザが受信条件のいい場所に移動した状態でGPS衛星からの電波受信や標準電波の受信を行わせたりすることで、日時情報の精度を向上させることが出来る。また、このような処理、特にユーザの操作部47からの入力操作により、GPS衛星から電波を受信する際の読取期間設定に係る日時情報を取得し、このような場合でも効率的にGPS衛星からの電波受信時間を短縮して消費電力の増大を抑えることが出来る。
【0084】
また、GPS衛星からの電波の受信により日時を修正する際に、CPU41は、前回の日時修正が手動操作によるものであった場合の整合確認期間を、前回の日時修正がGPS衛星からの電波の受信により行われた場合に設定される整合確認期間よりも広く設定する。即ち、手動操作による日時修正に係る入力が大雑把であっても、GPS衛星からの電波受信による日時修正がその信頼性を大きく低下させずに可能となる。従って、ユーザによる日時の入力設定に係る負担を大きくしない一方で、当該入力設定された日時データを有効に読取期間や整合確認期間の設定に用いて、GPS衛星からの受信時間の短縮や、取得時刻の正確性の維持に利用することが出来る。
【0085】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の電子時計1について説明する。
この第4実施形態の電子時計1は、第1実施形態〜第3実施形態の電子時計1と同一の内部構成であり、同一の構成については同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0086】
この第4実施形態の電子時計1の日時修正動作は、GPS日時修正処理において日時情報の取得方法が一部変更されている点を除き、第2実施形態の電子時計1における日時修正動作と同一である。
【0087】
図12は、第4実施形態の電子時計1で実行されるGPS日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
このGPS日時修正処理は、ステップS405の判別処理に続いてステップS405bの判別処理が実行され、また、ステップS405、S405bの判別処理の結果に応じてステップS407a、S407bの何れかの処理が実行される点を除き、第2実施形態の電子時計1で実行されるGPS日時修正処理と同一であり、同一の処理については同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0088】
上述したように、GPS衛星から受信された信号の中には、Preambleと同一の8ビット符号列が別の場所に出現しうる。これらのうち、WORD2のTOW−CountやWORD3のWNでは、特定の日時においてPreambleと同一の符号列になる。例えば、TOW−Countの17ビット符号列中上位8ビットの配列が「10001011」となるサブフレームは、UTC時刻において毎週木曜日の22時36分48秒に始まるサブフレームから同日の23時27分54秒に始まるサブフレームまでのものである。従って、これらのサブフレームでは、WORD1とWORD2で連続してPreambleと同一の符号列が検出されることになる。
【0089】
従って、計時回路46の計数する時刻が当該範囲にある場合には、この時刻が多少ずれた場合でも、Preambleを誤同定する場合が生じうる。そこで、本実施形態の電子時計1では、計時回路46が当該範囲(厳密にこの範囲である必要は無く、誤差や余裕を含めて広めに設定することが出来る)にある場合には、隣接するサブフレームのデータを受信し、WORD1のPreambleとWORD2のTOW−CountにおけるPreambleと同一の符号列とを同定する。このとき、WORD2が2回受信されて、それぞれから復号、取得されたTOW−Countが1増加していることを確認することで、より誤同定を防ぐこととしても良い。
【0090】
図12に示すように、ステップS405の判別処理において、ステータスbが「1001」及び「1010」の何れでもないと判別された場合には(ステップS405で“NO”)、CPU41は、GPS衛星から電波を受信して、日時情報を取得する(ステップS407b)。このとき、CPU41は、GPS受信処理部50に連続する2回のPreambleが同定されるまでGPS衛星からの送信電波を受信させ、当該同定された2回のPreambleの間のHOWから日時情報を解読、取得させる。ステータスbが「1001」又は「1010」の何れかであると判別された場合には(ステップS405で“YES”)、CPU41は、更に、計時回路46により計数される現在時刻がUTCで木曜日の22時36分48秒から23時27分59秒の間であるか否かを判別する(ステップS405a)。この期間であると判別された場合には(ステップS405aで“YES”)、CPU41の処理は、ステップS407bに移行する。この期間ではないと判別された場合には(ステップS405aで“NO”)、CPU41は、日時情報をGPS受信処理部50に送って設定した後に(ステップS406)、1つのPreambleのみ、又は、1つのPreamble(WORD1)とHOW(WORD2)とが得られるまでGPS衛星の送信電波を受信させる(ステップS407a)。
【0091】
このように、本実施形態の電子時計1では、計時回路46が計数する日時の正確な時刻からのずれを示す時間差の見積もり量の大小に応じて、GPS衛星からの電波受信時間の長短を調整する。即ち、時間差が1フレーム分の時間(30秒)より十分短い場合、ここでは、15秒以下程度の場合には、WORD1のPreambleとWORD2のHOWデータを一度受信する程度の短時間での受信であっても、Preambleの誤同定といった要因による日時の取得失敗の可能性が低く、積極的に消費電力の低減を図る一方で、時間差が大きい場合には、連続する2つのサブフレームの先頭におけるPreambleを同定することでこのPreambleの誤同定の可能性を減らし、信頼性の低下を防いでいる。
【0092】
また、計時回路46が計数する時刻の正確な時刻からのずれが小さい場合であっても、特定の時刻では、隣接するWORD2でPreambleと同一の符号配列が出現するので、この場合には、1サブフレーム以上の受信を行うこととして、確実にPreambleとTOW−Countとをそれぞれ区別し、誤同定を防いでいる。
【0093】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態の電子時計1について説明する。
この第5実施形態の電子時計1は、第1実施形態〜第4実施形態の電子時計1と同一の内部構成であり、同一の構成については同一の符号を用いることとして説明を省略する。
【0094】
この第5実施形態の電子時計1の日時修正動作は、GPS日時修正処理において日時情報の取得方法が一部変更されている点を除き、第3実施形態の電子時計1における日時修正動作と同一である。
【0095】
図13は、第5実施形態の電子時計1で実行されるGPS日時修正処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。
このGPS日時修正処理は、ステップS407の代わりにステップS407aの処理が実行され、また、ステップS407bの処理が追加された点を除き、第3実施形態の電子時計1で実行されるGPS日時修正処理と同一であり、また、ステップS407a、S407bの処理は、第4実施形態のGPS日時修正処理の説明で示したものと同一である。従って、同一の処理については同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
以上のように、第4実施形態及び第5実施形態の電子時計1は、計時回路46の計数する日時が正確な日時に対してずれる時間差を、予め取得された計時回路46の計時誤差(歩度)と前回の日時修正からの経過時間とに基づいて算出し、この算出された時間差が、大きくない、例えば、水晶発振器による通常の一か月分の誤差に対応する15秒以内の場合には、各サブフレームの先頭の2、3ワード程度の受信時間を設定し、時間差が大きい場合には、1サブフレームのデータを完全に受信するように受信時間を設定する。
従って、時間差が小さく、Preambleの誤同定といった要因による日時の取得失敗の可能性が低い場合には、積極的に消費電力の低減を図る一方で、時間差が大きい場合には、連続する2つのサブフレームの先頭におけるPreambleを同定することでこのPreambleの誤同定の可能性を減らし、信頼性の低下を防いでいる。従って、消費電力の低減と信頼性の維持とをバランス良く保ちながら、全体として確実に正確な日時を取得することが可能となっている。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、水晶発振器を有する発振回路44により計時回路46が月当たり15秒程度の計時誤差を有する場合について説明したが、これに限られない。そしてこれよりも計時誤差が小さい場合には、より長い期間に亘って計時回路46の時刻に基づいて狭い読取期間を設定可能であり、反対に、計時誤差が大きい場合には、より短い期間でのみ、狭い読取期間の設定が可能となる。
【0098】
また、電波受信対象の測位衛星は、GPS衛星に限られない。例えば、GLONASS衛星の受信電波を用いる場合には、スーパーフレーム全体や1フレーム全てのデータではなく、各フレームの第1ストリングのデータ、特に、当日の秒数(sec in the current day)のデータを用いて日時データを取得したり、更には、各ストリングの末尾のタイムマークMK及び先頭の固定符号「0」のみを用いて2秒同期点を確定したりする場合に、本願発明を適用して効率良く正確な日時を取得することが出来る。
【0099】
また、上記実施の形態では、修正手段としてのCPU41が日時をGPS衛星以外の外部から取得する方法として、標準電波送信局の放送設備から送信される標準電波の受信を挙げたが、これに限られない。例えば、Bluetooth(登録商標)通信やNFC(Near field communication、近接場型無線通信)を用いて通信接続された外部機器(日時情報出力先)から日時情報を取得することも出来る。この場合、更に、外部機器として、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末やPCなどのネットワーク接続可能な機器を用いることで、外部機器から日時情報を取得する前に、当該外部機器に携帯基地局やNTP(Network Time Protocol)サーバなどから正確な時刻情報を取得させておくことが出来る。
【0100】
また、上記第4の実施形態において、TOW−Countの上位8ビットがPreambleと同一の場合について、1サブフレーム以上の受信に切り替えてPreambleの誤同定を防ぐこととしたが、日時を示す符号列とPreambleとの重複に応じて1サブフレーム以上の受信を行う期間として予め定めておく期間は、これだけに限られない。TOW−Countの2ビット目以下の配列、例えば、2〜9ビット目がPreambleと同一の符号配列になる期間(火曜日の11時18分24秒から25分30秒間)や、WNの中の8ビット配列、例えば、下位8ビットがPreambleと同一になる週(256週に一度)などについても、同様に対応することが出来る。
【0101】
また、上記実施の形態では、Preambleと同一の符号配列が予定される期間において、1サブフレーム分の受信で誤同定を防ぐこととしたが、一度のPreambleと同一の符号配列の検出で即座にPreambleの同定を行わず、1サブフレーム内の予測された間隔でPreambleと同一の符号配列が2回以上現れることを同定しさえ出来れば、必ずしも1サブフレーム分の受信を行わなくても良い。
【0102】
一方で、GPS衛星以外の外部から日時情報を取得する方法が無く、日時情報の取得方法が手動操作による日時修正と、GPS衛星からの送信電波の受信による日時修正のみであっても良い。
【0103】
また、上記実施の形態では、ステータスbを用いてGPS衛星からの電波受信可否、受信時間や日時設定の有無などを決定したが、修正履歴記憶部43aに記憶された直近の修正履歴を直接利用してステータスbを用いずに毎回条件判定を行っても良い。
【0104】
その他、上記実施の形態の説明で示した具体的な構成や処理などの細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0106】
[付記]
<請求項1>
日時を計数する計時手段と、
測位衛星からの電波信号を受信する衛星電波受信手段と、
前記衛星電波受信手段による受信期間を制御する受信期間制御手段と、
前記衛星電波受信手段により受信された電波信号に基づいて日時情報を取得する衛星日時取得手段と、
取得された日時情報を用いて前記計時手段が計数する日時を修正する修正手段と、
を備え、
前記衛星日時取得手段は、前記修正手段により前回修正が行われてからの経過時間が前記日時情報の取得方法に応じて定められた第1基準時間以下の場合には、前記経過時間及び前記取得方法に応じた読取期間を定めて、前記衛星電波受信手段による受信内容に基づいて当該読取期間内の日時を取得し、
前記受信期間制御手段は、前記測位衛星から送信される一連のデータのうち、前記衛星日時取得手段が現在の日時を同定することが可能な一部のデータを取得する間を前記受信期間として前記衛星電波受信手段を動作させる
ことを特徴とする電子時計。
<請求項2>
前記経過時間が前記第1基準時間以上の第2基準時間を超えた場合に、ユーザに対して日時の修正要求を伝えるための所定の動作を行う報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の電子時計。
<請求項3>
前記経過時間が前記第1基準時間以下の第3基準時間を超えていない場合に、前記取得された日時が前記読取期間より狭い整合確認期間内にあるか否かを判別する整合判別手段を備え、
前記修正手段は、前記取得された日時が前記整合確認期間内にないと判別された場合には、前記計時手段の計数する日時を前記取得された日時を用いて修正しない
ことを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項4>
ユーザ操作を受け付ける操作手段と、
前記操作手段により入力された日時情報を取得する手動日時取得手段と、
を備え、
前記修正手段は、
前記手動日時取得手段により取得された日時に対する前記整合確認期間を、前記衛星日時取得手段により取得された日時に対する前記整合確認期間よりも広く設定する
ことを特徴とする請求項3記載の電子時計。
<請求項5>
外部との通信を行う外部通信手段と、
当該外部通信手段により外部から日時情報を取得する外部日時取得手段と、
前記外部日時取得手段により取得される日時情報に対して前記外部の日時情報出力先ごとに予め定められる前記読取期間に係る前記経過時間及び前記取得方法を記憶する読取期間設定記憶手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項6>
前記測位衛星がGPS衛星の場合に、前記受信期間制御手段は、前記受信期間としてサブフレームの先頭から2ワード又は3ワードが受信される期間を設定することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の電子時計。
<請求項7>
前記計時手段の計数する日時が正確な日時に対してずれる時間差を、予め取得された前記計時手段の計時誤差と前記経過時間とに基づいて算出するずれ算出手段を備え、
前記受信期間制御手段は、前記時間差が所定のずれ量以下である場合には、前記2ワード又は3ワードが受信される間を前記受信期間とし、前記時間差が前記ずれ量より大きい場合には、サブフレーム1つ分以上の時間を前記受信期間とする
ことを特徴とする請求項6記載の電子時計。
<請求項8>
GPS衛星からの信号において各サブフレームデータの先頭位置を規定する先頭符号列と同一の符号列が日時情報に係る符号列部分に出現する重複期間を記憶する重複期間記憶手段を備え、
前記受信期間制御手段は、前記重複期間内には、前記先頭符号列と同一の符号配列を複数回検出し、当該複数回の検出位置の位置関係に基づいてサブフレームの先頭位置を同定し、時刻情報を取得する
ことを特徴とする請求項6又は7記載の電子時計。
<請求項9>
日時を計数する計時手段と、測位衛星からの電波を受信する衛星電波受信手段とを備えた電子時計の日時データの修正方法であって、
前記衛星電波受信手段による受信期間を制御する受信期間制御ステップ、
前記衛星電波受信手段により受信された電波信号に基づいて日時情報を取得する衛星日時取得ステップ、
取得された日時情報を用いて前記計時手段が計数する日時を修正する修正ステップ、
を含み、
前記衛星日時取得ステップは、前記修正ステップでの前回の修正が行われてからの経過時間が前記日時情報の取得方法に応じて定められた第1基準時間以下の場合には、前記経過時間及び前記取得方法に応じた読取期間を定めて、前記衛星電波受信手段による受信内容に基づいて当該読取期間内の日時を取得し、
前記受信期間制御ステップは、前記測位衛星から送信される一連のデータのうち、前記衛星日時取得ステップで現在の日時を同定することが可能な一部のデータを取得する間を前記受信期間として前記衛星電波受信手段を動作させる
ことを特徴とする日時データの修正方法。