(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コア部が形成されているコア層と、前記コア層の一方の面に積層されている第1クラッド層と、前記コア層の他方の面に積層されている第2クラッド層と、前記第2クラッド層および前記コア層をそれぞれ貫通し前記第1クラッド層に至る空洞部と、を有する光導波路であって、
前記空洞部の内壁面の一部は、前記コア層と前記第1クラッド層との界面を含む平面に対して傾斜しつつ交差する傾斜面で構成されており、
前記傾斜面は、前記平面に対して30〜60°の角度で交差しており、
前記平面において、前記傾斜面とそれに連続する前記内壁面の他部との接続部の最小曲率半径が1〜500μmであることを特徴とする光導波路。
前記第2クラッド層のうちの前記コア層とは反対側の面における前記空洞部において、前記傾斜面とそれに連続する前記内壁面の他部との接続部の最小曲率半径が1〜500μmである請求項1または2に記載の光導波路。
前記第2クラッド層と前記コア層との界面における前記空洞部において、前記傾斜面とそれに連続する前記内壁面の他部との接続部の最小曲率半径が1〜500μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光導波路。
前記空洞部の内壁面は、前記平面との間の角度であって前記空洞部側とは反対側における角度が鋭角になるよう構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の光導波路。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の光導波路および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0026】
<光導波路>
≪第1実施形態≫
まず、本発明の光導波路の第1実施形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明の光導波路の第1実施形態を一部透過して示す斜視図、
図2は、
図1に示す光導波路の平面図、
図3は、
図2に示す光導波路の凹部(空洞部、溝ともいう)が、コア層と第1クラッド層との界面を含む平面において切断されたときの開口を模式的に示す平面図、
図4は、
図2に示す光導波路の凹部(空洞部)の開口を模式的に示す平面図である。
【0028】
図1に示す光導波路1は、帯状をなしており、光入射部と光出射部との間で光信号を伝送し、光通信を行う。
【0029】
図1に示す光導波路1は、下側からクラッド層11、コア層13およびクラッド層12を積層してなる積層体10を備えている。コア層13中には、長尺状のコア部14とその側面に隣接して設けられた側面クラッド部15とが形成されている。なお、
図1、2では、クラッド層12から透けて見えるコア層13中のコア部14や側面クラッド部15についても点線等で図示している。
【0030】
コア部14の幅およびコア部14の高さ(コア層13の厚さ)は、特に限定されないが、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましい。これにより、コア層13におけるコア部14の高密度化を図ることができ、光導波路の光の伝送効率を高めることができる。すなわち、単位面積当たりに敷設可能なコア部14の数を多くすることができるので、光導波路が小面積であっても大容量の光通信を行うことができる。
【0031】
なお、コア層13に形成されるコア部14の数は、特に限定されないが、例えば1〜100本とされる。
【0032】
また、光導波路1の幅方向における屈折率分布および厚さ方向における屈折率分布は、それぞれ、屈折率が不連続的に変化したいわゆるステップインデックス(SI)型の分布であってもよく、屈折率が連続的に変化したいわゆるグレーデッドインデックス(GI)型の分布であってもよい。
【0033】
光導波路1には、その一部を除去することによって形成された凹部(空洞部)170が設けられている。すなわち、光導波路1は、積層体10とそれに形成された凹部170とを備えたものである。
図1に示す凹部170は、コア部14の長手方向の途中に位置している。凹部170の内側面の一部は、コア部14の光軸、すなわちコア部14の長手方向に対して傾斜する傾斜面171になっている。換言すれば、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面に対し、傾斜面171は、傾斜しつつ交差している。このような傾斜面171は、コア部14の光路を変換するミラー(光路変換部)として機能する。すなわち、傾斜面171からなるミラーは、コア部14内において
図2の上側から下側に向かって伝搬する光を、
図2の紙面裏側に向けて反射することにより、伝搬方向を変換する。
【0034】
凹部170は、クラッド層12の上面に直交するとともにコア部14の長手方向に平行な平面で切断されたとき、その断面形状が、底の幅が狭く、開口の幅が広い台形をなすよう構成されている。また、凹部170は、クラッド層12の上面に直交するとともにコア部14の長手方向に平行な平面で切断されたとき、その断面形状が底を頂点とする三角形をなすよう構成されていてもよい。
【0035】
また、傾斜面171は、
図1、2に示すように、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11の途中に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。また、凹部170の内側面のうち、傾斜面171に対向する位置には、別の傾斜面172が設けられている。この傾斜面172も、傾斜面171と同様、クラッド層12からコア層13を経てクラッド層11の途中に至るまでの間に連続して形成された平坦面である。
【0036】
一方、凹部170の内側面のうち、コア部14の光軸、すなわち長手方向とほぼ平行な2つの面は、それぞれクラッド層11の下面に対して垂直であるという関係を有する直立面173、174である。この直立面173、174は、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面を平面視したとき、
図2に示すようにわずかに湾曲して見えるよう構成されている。
【0037】
このような2つの傾斜面171、172と2つの直立面173、174とにより、凹部170の内側面が構成されている。
【0038】
光導波路に凹部を形成すると、伝送特性や反射特性に関する意図しない不具合が発生することがある。このような不具合は、光導波路に対して温度サイクル試験のような加速試験を行った場合に高い頻度で発生していることから、加速試験による負荷に伴って、光導波路には何らかの化学的または構造的な問題が生じていると考えられる。
【0039】
本発明者は、このような凹部を備えた光導波路において不具合が発生する原因について鋭意調査、検討を行った。そして、不具合の原因が、凹部近傍において発生する層間剥離、具体的には、前述した傾斜面近傍のうち、コア層とクラッド層との界面において発生する層間剥離にあることを見出した。その上で、凹部の開口部の形状が所定の条件を満足するとき、このような層間剥離の発生が抑制され、その結果、光導波路に発生していた不具合が解消されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0040】
すなわち、光導波路1のうち、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面によって凹部170の内壁面を切断したときの凹部170の開口部を「開口部177」としたとき、開口部177の平面視形状は、前述した2つの傾斜面171、172に対応する直線線分171b、172bと、直線線分171b、172bに隣り合い(連続し)、前述した2つの直立面173、174に対応する弧173b、174bと、で構成された長円形をなしている。そして、各直線線分171b、172bと各弧173b、174bとの接続部178の最小曲率半径が1〜500μmになっている(
図3の曲率半径r
2参照)。
【0041】
このような断面形状を有する凹部170によれば、その近傍において応力の局所的な集中が緩和される。その結果、応力が集中した部位を起点にして亀裂が発生したり、凹部170近傍の層間に剥離が生じたりするのを抑制することができる。その結果、光導波路1の伝送効率の低下や傾斜面171における反射効率の低下を抑制し、高品質な光通信を行い得る光導波路1が得られる。
【0042】
なお、最小曲率半径r
2は、好ましくは3〜400μm程度とされ、より好ましくは5〜350μm程度とされ、さらにより好ましくは10〜100μm程度、最も好ましくは20〜40μm程度とされる。
【0043】
接続部178の最小曲率半径が前記下限値を下回ると、接続部178に応力が集中し易くなり、そこを起点にした亀裂が発生したり、層間の剥離が生じたりする確率が高くなる。一方、接続部178の最小曲率半径が前記上限値を上回ると、それ以上の効果を期待することができず、また、必然的に開口部177が大きくなり過ぎるため、小さな凹部170を形成することができなくなるという問題を招くこととなる。
【0044】
なお、接続部178とは、
図3に示す開口部177において、例えば傾斜面171に対応する直線線分171bと直立面173に対応する弧173b(他部)との間に位置する部分である。また、接続部178は、より具体的には、
図3において、開口部177のX方向の最大長さをL1とし、直線線分171bの長さをL2としたとき、開口部177のうち、直線線分171bの左側の終端171b’から左側に(L1−L2)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分のことをいう。
【0045】
これと同様に、
図3に示す開口部177のうち、直線線分172bの左側の終端172b’から左側に(L1−L2)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分のことを、接続部178という。
【0046】
一方、
図3に示す開口部177のうち、直線線分171bの右側の終端171b”から右側に(L1−L2)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分も、接続部178である。
【0047】
さらには、
図3に示す開口部177のうち、直線線分172bの右側の終端172b”から右側に(L1−L2)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分も、接続部178である。
【0048】
このような範囲は、傾斜面171や傾斜面172に隣接しており、そのため、傾斜面に特有の応力集中を招き易い領域である。本発明では、かかる範囲、すなわち接続部178を特定するとともに、少なくとも接続部178において最小曲率半径を規定することにより、層間の剥離をより確実に抑制し得ることを見出したのである。
【0049】
また、凹部170は、横断面積が徐々に変化している四角錐のような形状をなしているため、凹部170の開放端である開口部175は、開口部177より面積が大きく、開口部177とほぼ相似の関係または開口部177の一部を圧縮もしくは伸張した類似関係にある。したがって、
図2に示す凹部170の開口部175の平面視形状は、前述した2つの傾斜面171、172に対応する直線線分からなる傾斜面上端171a、172aと、前述した2つの直立面173、174に対応する弧からなる直立面上端173a、174aとで構成された、長円形をなしている。したがって、この開口部175においても、各傾斜面上端171a、172aと各直立面上端173a、174aとの接続部176は、曲線になっているのが好ましい。これにより、上述した効果がより顕著なものとなる。すなわち、凹部170近傍において、構造の変化や熱変化等に伴う応力が発生したとき、その応力が接続部176にも集中し難くなる。その結果、応力集中に伴って接続部176を起点にした亀裂が発生したり、接続部176近傍の層間に剥離が生じたりするのを抑制することができる。その結果、光導波路1の伝送効率の低下や傾斜面171における反射効率の低下をより抑制し、高品質な光通信を行い得る光導波路1が得られる。
【0050】
この場合、接続部176の最小曲率半径r
1(
図4参照)は、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、3〜400μm程度であるのがより好ましく、5〜350μm程度であるのがさらに好ましく、10〜100μm程度であるのがさらにより好ましく、20〜40μm程度であるのが最も好ましい。接続部176の最小曲率半径r
1を前記範囲内に設定することにより、接続部176における応力集中を特に緩和し、応力集中に伴う不具合の発生を抑制することができる。
【0051】
なお、接続部176とは、
図4に示す開口部175において、例えば傾斜面171に対応する傾斜面上端171aと直立面173に対応する直立面上端173aとの間に位置する部分である。また、接続部176は、より具体的には、
図4において、開口部175のX方向の最大長さをL3とし、傾斜面上端171aの長さをL4としたとき、開口部175のうち、傾斜面上端171aの左側の終端171a’から左側に(L3−L4)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分のことをいう。
【0052】
これと同様に、
図4に示す開口部175のうち、傾斜面上端172aの左側の終端172a’から左側に(L3−L4)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分のことを、接続部176という。
【0053】
一方、
図4に示す開口部175のうち、傾斜面上端171aの右側の終端171a”から右側に(L3−L4)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分も、接続部176である。
【0054】
さらには、
図4に示す開口部175のうち、傾斜面上端172aの右側の終端172a”から右側に(L3−L4)/4の幅を有し、かつY方向に平行な帯状の範囲に含まれる部分も、接続部176である。
【0055】
また、上述した開口部175や開口部177のみならず、例えばクラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部や、凹部170の底部においても、それぞれ、傾斜面171に対応する直線線分と直立面173に対応する弧との接続部の最小曲率半径は、1〜500μm程度であるのが好ましく、3〜400μm程度であるのがより好ましく、5〜350μm程度であるのがさらに好ましく、10〜100μm程度であるのがさらにより好ましく、20〜40μm程度であるのが最も好ましい。これにより、光導波路1において、応力集中に伴う不具合の発生をより確実に抑制することができる。
【0056】
なお、開口部177のうち、接続部178以外の部分の最小曲率半径は、必ずしも前記範囲内でなくてもよいが、できれば、各接続部のみならず、傾斜面に対応する線分や直立面に対応する弧も含めた開口部全体(底部全体)においても、最小曲率半径が前記範囲内であることが好ましい。これにより、光導波路1において、応力集中に伴う不具合の発生をより確実に抑制することができる。
【0057】
なお、凹部170の形状は、好ましくは略四角錐状とされるが、必ずしもこのような形状に限定されず、その場合、開口部177と開口部175の形状が互いに異なっていてもよい。
【0058】
また、開口部177や開口部175の全体形状を前述したような長円形にすることで、上記効果がより顕著なものとなる。すなわち、開口部177や開口部175の形状を長円形にすることで、仮に光導波路1に対して長手方向に伸縮する外力が付与された場合であっても、開口部177や開口部175の形状作用により、接続部176への応力集中がとりわけ緩和される。したがって、接続部178や接続部176を前述したような曲線にするとともに、開口部177や開口部175の形状を長円形にすることで、応力集中による不具合の発生を特に抑制することができる。なお、本明細書における「長円形」とは、周の一部に直線部分を含む円のことをいう。
【0059】
また、開口部175の全体形状は、長円形に限定されず、傾斜面上端171a以外の部分は、いかなる形状であってもよいが、例えば、四角形、五角形、六角形のような多角形が挙げられる。このことは、開口部177においても同様である。
【0060】
また、傾斜面171は、ミラーとして機能するものであるため、コア部14の光路を変換する方向に応じてその傾斜角度が適宜設定されるが、コア層13の下面を基準面としたとき、基準面と傾斜面171とがなす角度(鋭角側)は、30〜60°程度であるのが好ましく、40〜50°程度であるのがより好ましい。傾斜角度を前記範囲内に設定することにより、傾斜面171においてコア部14の光路を効率よく変換し、光路変換に伴う損失を抑制することができる。
【0061】
また、基準面と傾斜面172とがなす角度(鋭角側)は、特に限定されないが、20〜90°程度であるのが好ましく、30〜60°程度であるのがより好ましく、40〜50°程度であるのがさらに好ましく、傾斜面171の傾斜角度と同じにするのが最も好ましい。これにより、凹部170近傍に応力が発生したとき、応力が偏在し難くなり、やはり応力集中による不具合の発生を特に抑制することができる。なお、基準面と傾斜面171、172とがなす角度(鋭角側)とは、基準面と傾斜面171、172とがなす角度のうち、凹部170側とは反対側における角度のことをいう。
【0062】
第1実施形態では直立面173、174が、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面に対して直交している。しかしながら、基準面と直立面173、174とがなす角度(鋭角側)は、これに限定されず、それぞれ好ましくは60〜90°程度とされ、より好ましくは70〜90°程度とされ、さらに好ましくは80〜90°程度とされる。基準面と直立面173、174とがなす角度を前記範囲内に設定することにより、特にクラッド層11とコア層13との界面にかかる応力を抑制することができる。なお、各図では、基準面と直立面173、174とがなす角度はほぼ90°として図示している。また、基準面と直立面173、174とがなす角度(鋭角側)とは、基準面と直立面173、174とがなす角度のうち、凹部170側とは反対側における角度のことをいう。
【0063】
このような凹部170は、その占める幅が最小限に抑えられるので、複数の凹部170を隣り合わせて形成したとき、その間隔を最小化することができる。したがって、基準面と直立面173、174とがなす角度を前記範囲内に収めることは、狭いピッチで併設されたコア部14に対しても凹部170を高密度に配置し得るという点で有用である。また、基準面と直立面173、174とがなす角度を前記範囲内に収めることにより、直立面173、174近傍において各層を構成する材料の物性差による応力集中が特に抑えられ、層間剥離が特に生じ難くなるため、光導波路1の信頼性を特に高めることができる。
【0064】
また、開口部177や開口部175における直立面173、174の形状は、すなわち前述した弧173b、174bや直立面上端173a、174aの形状が全体的に湾曲形状になっている。このような形状をなす直立面173、174は、応力の集中を特に緩和することができる。その結果、開口部177における接続部178や開口部175における接続部176が前述したような曲線になっていることと相まって、凹部170近傍における不具合の発生をより確実に抑制することができる。
【0065】
なお、凹部170の最大深さは、積層体10の厚さから適宜設定されるものであり、特に限定されないが、光導波路1の機械的強度や可撓性といった観点から、好ましくは1〜500μm程度とされ、より好ましくは5〜400μm程度とされる。
【0066】
また、凹部170の最大長さ、すなわち
図2における凹部170のY方向の最大長さは、特に限定されないが、クラッド層11、12やコア層13の厚さや傾斜面171の傾斜角度との関係から、好ましくは2〜1200μm程度とされ、より好ましくは10〜1000μm程度とされる。
【0067】
さらに、凹部170の最大幅、すなわち
図2における凹部170のX方向の最大長さは、特に限定されず、コア部14の幅等に応じて適宜設定されるが、好ましくは1〜600μm程度とされ、より好ましくは5〜500μm程度とされる。
【0068】
なお、凹部170は、1本のコア部14に対して1つ設けられていてもよいが、複数本のコア部14に対してこれらに跨るように1つの凹部170が設けられていてもよい。
【0069】
また、複数個の凹部170を形成する場合、それらの形成位置は、Y方向において互いに同じ位置であっても、互いにずれていてもよい。
【0070】
上述したようなコア層13およびクラッド層11、12の構成材料(主材料)は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料等を用いることができる。なお、樹脂材料は、異なる組成のものを組み合わせた複合材料であってもよい。これらは、比較的加工が容易であるため、凹部170が形成されるコア層13やクラッド層11、12の構成材料として好適である。
【0071】
≪第2実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態に係る光導波路の平面図である。
【0072】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0073】
図5に示す第2実施形態に係る光導波路1は、凹部170の形成位置が異なる以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
【0074】
すなわち、
図5に示す凹部170は、コア部14の延長線上の側面クラッド部15に形成されている。このような凹部170は、その形成にあたって、クラッド層12、側面クラッド部15およびクラッド層11を加工することになるが、これらはいずれもクラッド材料で構成された部位である。このため、各部位を加工する際、加工レート等の加工条件がほぼ等しくなる。その結果、高い加工精度で加工を施すことができ、形成される凹部170の寸法精度を特に高めることができる。したがって、本実施形態によれば、寸法精度の高い凹部170を備え、傾斜面171における反射効率が高く、高品質な光通信を行い得る光導波路1が得られる。
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0075】
≪第3実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第3実施形態について説明する。
図6は、第3実施形態に係る光導波路の平面図である。
【0076】
以下、第3実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0077】
前述した第1実施形態に係る光導波路1では、直立面173、174が、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面に対して直交しているのに対し、本実施形態に係る光導波路1では、これらの直立面173、174が、前記平面に対して傾斜するよう交差している傾斜面173’、174’になっている。本実施形態に係る光導波路1は、この点で相違している以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
【0078】
このような凹部170の内側面は、4つの傾斜面で構成されている。すなわち、凹部170の内側面は、その全体において、基準面との角度(凹部170側とは反対側における角度)が鋭角になるよう構成されている。このような凹部170は、いわゆるすり鉢状をなしているため、比較的形成し易いものとなる。このため、高い寸法精度(傾斜角の精度および面精度)の傾斜面171を容易に形成することができる。
このような第3実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0079】
≪第4実施形態≫
次に、本発明の光導波路の第4実施形態について説明する。
図7は、第4実施形態に係る光導波路の断面図である。
【0080】
以下、第4実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点について説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
【0081】
図7に示す第4実施形態に係る光導波路1は、さらに、クラッド層11の下面に積層された支持フィルム2
(第1カバー層)と、クラッド層12の上面に積層されたカバーフィルム3
(第2カバー層)と、を備えている以外、第1実施形態に係る光導波路1と同様である。
【0082】
また、凹部170は、カバーフィルム3を貫通するよう構成されている。したがって、傾斜面171は、カバーフィルム3からクラッド層12
、コア層13
およびクラッド層11をそれぞれ経て
支持フィルム2の途中に至るまでの間に連続して形成された平坦面となる。
このような第4実施形態においても、第1実施形態と同様の作用、効果が得られる。
【0083】
また、第4実施形態によれば、傾斜面171がカバーフィルム3の断面も含むため、より広い面積を有するものとなる。このため、傾斜面171をより高い精度で形成し易くなる。すなわち、加工しようとする面が広いほど、コア部14の断面の加工精度を容易に高められるため、第4実施形態によればミラーの反射効率を特に高めることができる。
【0084】
なお、上述した開口部175、開口部177、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部、および凹部170の底部のみならず、カバーフィルム3とクラッド層12との界面における凹部170の開口部や、クラッド層11と支持フィルム2との界面における凹部170の開口部においても、それぞれ、傾斜面171に対応する直線線分と直立面173に対応する弧との接続部の最小曲率半径は、1〜500μm程度であるのが好ましく、3〜400μm程度であるのがより好ましく、5〜350μm程度であるのがさらに好ましく、10〜100μm程度であるのがさらにより好ましく、20〜40μm程度であるのが最も好ましい。これにより、光導波路1において、応力集中に伴う不具合の発生をより確実に抑制することができる。
【0085】
<光導波路の製造方法>
次に、本発明の光導波路の製造方法について説明する。
【0086】
図1に示す光導波路1は、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12を順次積層して積層体10を得る工程と、積層体10の一部を除去する加工を施すことにより、凹部170を形成する工程と、を有する方法により製造することができる。
【0087】
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、(a)クラッド層11を形成するための組成物、コア層13を形成するための組成物、およびクラッド層12を形成するための組成物を、順次成膜して製造する方法、(b)各組成物を用いてクラッド層11、コア層13およびクラッド層12をそれぞれ形成した後、積層する方法、(c)3種の組成物を同時に押出成形して積層体を製造する方法等により、コア層形成層またはコア層形成層を含む多層構造を得る。
【0088】
この際、コア層13を形成するための組成物として、露光により屈折率が変化する屈折率変調能を有するものを用い、このコア層形成層に露光処理を施すことのみで、所望のパターンで敷設されたコア部14を含むコア層13を得ることができる。
【0089】
なお、コア層13の製造方法は、このような方法に限定されず、例えば成膜工程と、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術とを組み合わせたパターニング工程と、を繰り返し行うことにより、所望のパターンで敷設されたコア部14を含むコア層13を得ることができる。
【0090】
[2]次に、積層体10の一部を除去する加工を施す。これにより、凹部170が形成され、光導波路1が得られる。凹部170の形成方法には様々な方法が挙げられる。例えば、切削加工や研削加工といった機械加工法の他、レーザー加工法、電子線加工法、インプリント法等が挙げられる。このうち、レーザー加工法によれば、寸法精度の高い凹部170を比較的容易に形成することができる。以下、代表的にレーザー加工法によって凹部170を形成する方法について説明する。
【0091】
図8は、本発明の光導波路の製造に用いられるレーザー加工装置の一例を模式的に示す斜視図、
図9は、レーザー加工用マスクを相対的に移動させ凹部を形成する様子を図示した平面図である。
【0092】
図8に示すレーザー加工機(レーザー加工装置)900は、図示しないレーザー光源と、レーザーの光軸上に配置されたレーザー加工用マスク910と、レーザー加工用マスク910を介してレーザー光源とは反対側に配置され、積層体10をレーザー加工用マスク910に対して相対的に移動させる図示しない駆動ステージと、を備えている。以下、レーザー加工機900の各部の構成について詳述する。
【0093】
レーザー光源は、発振するレーザーの波長に応じて適宜選択されるが、例えば、YAGレーザー、YVO
4レーザー、Ybレーザー、半導体レーザーのような各種固体レーザー、CO
2レーザー、He−Neレーザー、エキシマーレーザーのような各種気体レーザー等が挙げられる。
【0094】
また、レーザーの波長は、積層体10の構成材料に応じて適宜設定されるが、例えば150〜950nm程度とされる。
【0095】
駆動ステージとしては、例えばX−Yステージやリニアアクチュエーター等が用いられる。レーザー加工用マスク910に対して駆動ステージ上に載置した積層体10を相対的に移動させることにより、積層体10に対してレーザーの照射領域を任意のパターンで走査させることができる。これにより、積層体10の任意の位置に対して任意の時間のレーザー照射を施すことができる。
【0096】
レーザーが照射されると、照射領域では気化反応が生じ、凹部が生じる。したがって、照射領域を走査させることにより、走査軌跡に沿って凹部が連続的に形成され、最終的には走査軌跡に応じた開口を有する凹部が形成されることとなる。
【0097】
なお、固定したレーザー加工用マスク910に対して積層体10を移動させるのではなく、積層体10を固定した状態でレーザー加工用マスク910を移動させるようにしてもよく、双方を移動させるようにしてもよい。
【0098】
本製造方法に係るレーザー加工用マスク910は、板状体であって、レーザーを遮蔽する遮蔽部911と、レーザーを透過する透過部912と、を備えている。このレーザー加工用マスク910を介してレーザーを照射すると、透過部912においてレーザーの照射領域が成形され、透過部912の平面視形状に対応した積層体10上の領域にレーザーが選択的に照射されることとなる。
【0099】
次いで、このようなレーザー加工用マスク910を用いて、積層体10に凹部170を形成する方法について説明する。
【0100】
図8に示すレーザー加工用マスク910は、コア部14の長手方向、すなわちY方向に沿って透過部912が相対的に移動しつつレーザーが照射されるように使用される。
図9には、その移動の際の透過部912の位置を間欠的に示している。
【0101】
図9に示すような軌跡で透過部912(レーザーの照射領域)が移動すると、その照射領域の軌跡に応じて、
図4に示すような開口部175の凹部170が形成される。すなわち、平面視で長円形をなす開口部175を有する凹部170を容易に形成することができる。
【0102】
また、
図9に示すような軌跡で透過部912(レーザーの照射領域)が移動すると、それに伴ってY方向の端部、すなわち移動開始端と移動終了端では、積算光量が縁部に向かうにつれて徐々に減少する積算光量分布が形成される。このため、
図9に示す軌跡の上端部と下端部には、
図1に示すような傾斜面171と傾斜面172とが形成されることとなる。なお、このときの透過部912の移動速度を適宜変更することにより、傾斜面171、172の傾斜角度を調整することができる。
【0103】
また、透過部912のうち、開口部177の接続部178に対応する部位について、前述したように、最小曲率半径1〜500μmの曲線にすることで、接続部178についても前述した条件を満足させることができる。すなわち、レーザー加工用マスク910を用いることで、前述した凹部170を効率よく形成することができる。
【0104】
<電子機器>
上述したような本発明に係る光導波路は、伝送効率が高く、かつ他の光学部品との光結合効率に優れたものである。このため、本発明の光導波路を備えることにより、高品質の光通信を行い得る信頼性の高い電子機器(本発明の電子機器)が得られる。
【0105】
本発明の光導波路を備える電子機器としては、例えば、携帯電話、ゲーム機、ルーター装置、WDM装置、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等の電子機器類が挙げられる。これらの電子機器では、いずれも、例えばLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間で、大容量のデータを高速に伝送する必要がある。したがって、このような電子機器が本発明の光導波路を備えることにより、電気配線に特有なノイズ、信号劣化等の不具合が解消され、その性能の飛躍的な向上が期待できることから、電子機器の低コスト化に貢献することができる。
【0106】
さらに、光導波路部分では、電気配線に比べて発熱量が大幅に削減される。このため、冷却に要する電力を削減することができ、電子機器全体の消費電力を削減することができる。
【0107】
以上、本発明の光導波路および電子機器について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば光導波路には、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0108】
また、傾斜面を光入射側ミラーとして用いた場合、光出射側はコア部14の端面からコア部14の光軸に沿って光を出射させるようにしてもよく、その際、出射端にはコネクターが装着されていてもよい。一方、傾斜面を光出射側ミラーとして用いた場合、光入射側はコア部14の端面からコア部14の光軸に沿って光を入射するようにしてもよく、その際、入射端にはコネクターが装着されていてもよい。
【0109】
また、光導波路には複数の凹部が形成されていてもよい。例えば2つの凹部が形成されている場合、一方の傾斜面を光入射側ミラーとして用い、他方の傾斜面を光出射側ミラーとして用いることができる。
【0110】
さらに、凹部の開口部の平面視形状は、
図10に示すような形状であってもよい。
図10は、
図4に示す凹部の開口の他の構成例を模式的に示す平面図である。
【0111】
図10(a)に示す凹部170の開口部175は、略矩形をなしている。また、
図10(b)に示す凹部170の開口部175は、略台形をなしている。さらに、
図10(c)に示す凹部170の開口部175は、略六角形をなしている。このような凹部170の傾斜面171の上端(傾斜面上端171a)と直立面173の上限(直立面上端173a)とを接続する接続部176は、前述したような曲線になっている。このような形状の凹部を備える光導波路においても、前述した各実施形態に係る光導波路と同様の作用、効果が得られる。
【実施例】
【0112】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.凹部付き光導波路の製造
(実施例1−1)
(1)クラッド層形成用樹脂組成物の製造
ダイセル化学工業(株)製の脂環式エポキシ樹脂、セロキサイド2081 20g、(株)ADEKA製のカチオン重合開始剤、アデカオプトマーSP−170 0.6g、およびメチルイソブチルケトン80gを撹拌混合して溶液を調製した。
【0113】
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明なクラッド層形成用樹脂組成物を得た。
【0114】
(2)感光性樹脂組成物の製造
エポキシ系ポリマーとして新日鐵化学(株)製のフェノキシ樹脂、YP−50S 20g、光重合性モノマーとしてダイセル化学工業(株)製のセロキサイド2021P 5g、および重合開始剤として(株)ADEKA製のアデカオプトマーSP−170 0.2gを、メチルイソブチルケトン80g中に投入し、撹拌溶解して溶液を調製した。
【0115】
次いで、得られた溶液を0.2μm孔径のPTFEフィルターでろ過して清浄で無色透明な感光性樹脂組成物を得た。
【0116】
(3)下側クラッド層の作製
クラッド層形成用樹脂組成物をドクターブレードにより厚さ25μmのポリイミドフィルム上に均一に塗布した後、50℃の乾燥機に10分間投入した。溶媒を完全に除去した後、UV露光機で全面に紫外線を照射し、塗布した樹脂組成物を硬化させた。これにより、厚さ10μmの無色透明な下側クラッド層を得た。なお、紫外線の積算光量は500mJ/cm
2とした。
【0117】
(4)コア層の作製
作製した下側クラッド層上に感光性樹脂組成物をドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした後、得られた被膜上に、ライン、スペースを繰り返す直線パターンを描くように、マスクレス露光装置により紫外線を照射した。コア部の幅Wは50μm、コア部間の距離Pは250μmとした。なお、コア部間の距離Pとは、コア部の中心線間の距離のことをいう。コア部の中心線とは、コア部の中心を通りコア部の長手方向に平行である直線のことをいう。なお、紫外線の積算光量は1000mJ/cm
2とした。
【0118】
次いで、露光後の被膜を150℃のオーブンに30分間投入した。オーブンから取り出すと、被膜には鮮明な導波路パターンが現れているのが確認された。なお、得られたコア層の厚さは50μmであった。
【0119】
(5)上側クラッド層の作製
作製したコア層上に、(3)と同様にしてクラッド層形成用樹脂組成物を塗布し、厚さ10μmの無色透明な上側クラッド層を得た。
【0120】
(6)凹部の形成
次に、レーザー加工によりコア部に2つの凹部を10cmの間隔をあけて形成し、これらをそれぞれ光入射側ミラー、光出射側ミラーとした。凹部は全てのコア部に対して同様に作成した。形成した凹部の形状は、下記に示す通りである。また、凹部は、その開放端である開口部175の形状と、コア層13とクラッド層11との界面を含む平面で切断されたときの開口部177の形状と、が類似関係になるよう構成した。
【0121】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :5μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径125μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :105μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0122】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は5μmであった。
なお、接続部とは、傾斜面171に対応する直線線分と直立面173に対応する弧との間に位置する部分である。
【0123】
(実施例1−2)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0124】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :20μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径66.25μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :115μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0125】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は20μmであった。
【0126】
(実施例1−3)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0127】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :40μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径48.33μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :125μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0128】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は40μmであった。
【0129】
(実施例1−4)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0130】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :1μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径6.33μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :105μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0131】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は1μmであった。
【0132】
(実施例1−5)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0133】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :100μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径120μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :200μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0134】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は100μmであった。
【0135】
(実施例1−6)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更したこと、及びコア部間の距離Pを500μmとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0136】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :300μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径340μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :640μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0137】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は300μmであった。
【0138】
(実施例1−7)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更したこと、及びコア部間の距離Pを500μmとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0139】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :450μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径580μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :900μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0140】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は450μmであった。
【0141】
(実施例1−8)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0142】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :100μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径120μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :900μm
・凹部170のX方向の最大長さ :200μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0143】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は100μmであった。
【0144】
(実施例2−1)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0145】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(a)
・接続部178の最小曲率半径r
2 :5μm
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :125μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0146】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は5μmであった。
【0147】
(実施例2−2)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0148】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(a)
・接続部178の最小曲率半径r
2 :20μm
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :125μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0149】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は20μmであった。
【0150】
(実施例2−3)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0151】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(a)
・接続部178の最小曲率半径r
2 :40μm
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :125μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0152】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は40μmであった。
【0153】
(実施例2―4)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0154】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(a)
・接続部178の最小曲率半径r
2 :100μm
・凹部170のY方向の最大長さ :900μm
・凹部170のX方向の最大長さ :200μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0155】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は100μmであった。
【0156】
(実施例3−1)
凹部を形成する工程において、切削加工及び研削加工により以下の形状の凹部を形成した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0157】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :40μm
・接続部176の最小曲率半径r
1 :80μm
・クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部の最小曲率半径: 80μm
・凹部170の底部の接続部最小曲率半径: 40μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径45μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0158】
(実施例3−2)
凹部を形成する工程において、切削加工及び研削加工により以下の形状の凹部を形成したこと、及びコア部間の距離Pを500μmとしたこと以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0159】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :300μm
・接続部176の最小曲率半径r
1 :475μm
・クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部の最小曲率半径: 475μm
・凹部170の底部の接続部最小曲率半径: 300μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径300μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :950μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0160】
(実施例4)
本実施例では、コア部の延長線上の側面クラッド部に凹部を形成したこと、及びレーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0161】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :20μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径20μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :115μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0162】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は20μmであった。
【0163】
(実施例5−1)
本実施例では、クラッド層12の上面に直交するとともにコア部14の長手方向に平行な平面で切断されたとき、凹部の断面形状が底を頂点とする三角形となる形状としたこと、及びレーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0164】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :20μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径40μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :115μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0165】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は20μmであった。
【0166】
(実施例5−2)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更したこと以外は、実施例5−1と同様にして光導波路を得た。
【0167】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :100μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径150μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :200μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0168】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は100μmであった。
【0169】
(実施例6−1)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0170】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :0.5μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :15.4μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径14.2μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :80μm
・凹部170のX方向の最大長さ :105μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0171】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0172】
(実施例6−2)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0173】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :1.5μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :45.3μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径50.46μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :80μm
・凹部170のX方向の最大長さ :135μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0174】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0175】
(実施例6−3)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0176】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :3.3μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :8.5μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0177】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0178】
(実施例6−4)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0179】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :4.2μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :10.3μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0180】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0181】
(実施例6−5)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0182】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :6.2μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :19.1μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0183】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0184】
(実施例6−6)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0185】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :16.0μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :35.0μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0186】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0187】
(実施例6−7)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0188】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :18.9μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :40.6μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0189】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0190】
(実施例6−8)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0191】
<凹部の形状>
・開口部175の概略図 :
図10(b)
・鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2’ :43.0μm
・鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径r
2” :147.0μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径4.3μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :140μm
・凹部170のX方向の最大長さ :160μm
・凹部170の最大深さ :60μm
【0192】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、それらの最小曲率半径は対応する接続部178と一致していた。
【0193】
(比較例1)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0194】
<凹部の形状>
・開口部175の概略形状 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :0.5μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径3.13μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :510μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0195】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は0.5μmであった。
【0196】
(比較例2)
コア部間の距離Pを500μmとしたこと以外は、比較例1と同様にして光導波路を得た。
【0197】
(比較例3)
レーザー加工用マスクの形状を変更し、形成する凹部の形状を以下の形状に変更した以外は、実施例1−1と同様にして光導波路を得た。
【0198】
<凹部の形状>
・開口部175の概略形状 :
図4
・接続部178の最小曲率半径r
2 :510μm
・開口部175の縁部の輪郭形状 :弧状(弧の曲率半径510μm)
・凹部170のY方向の最大長さ :210μm
・凹部170のX方向の最大長さ :520μm
・凹部170の最大深さ :65μm
【0199】
なお、開口部175における接続部176、クラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部、および凹部170の底部の接続部についても、その最小曲率半径は510μmであった。
【0200】
(比較例4)
コア部間の距離Pを500μmとしたこと以外は、比較例3と同様にして光導波路を得た。
【0201】
2.光導波路の評価
各実施例および各比較例で得られた光導波路について、温度サイクル試験に供し、試験前と試験後の伝送特性を比較することにより耐久性を評価した。なお、温度サイクル試験の試験条件は以下に示す通りである。
【0202】
<温度サイクル試験の試験条件>
・温度 :−40〜125℃
・サイクル数 :500サイクル(高温、低温各30分間)
・評価特性 :挿入損失
【0203】
評価の結果を表1、表2、表3に示す。なお、表1、表2、表3において、概略図とは開口部175の概略図を表し、r
2とは接続部178の最小曲率半径を表し、r
1とは接続部176の最小曲率半径を表し、r
3とはクラッド層12とコア層13との界面における凹部170の開口部の接続部の最小曲率半径を表し、r
4とは凹部170の底部の接続部最小曲率半径を表し、縁輪郭とは開口部175の縁部の輪郭形状を表し、弧の曲率半径とは開口部175の縁部の弧の曲率半径を表し、Yとは凹部170のY方向の最大長さを表し、Xとは凹部170のX方向の最大長さを表し、深さとは凹部170の最大深さを表し、Pとはコア部間の距離Pを表す。また、r
2’とは略台形において鋭角を形成する接続部178の最小曲率半径を表し、r
2”とは略台形において鈍角を形成する接続部178の最小曲率半径を表す。
【0204】
【表1】
【0205】
【表2】
【0206】
【表3】
【0207】
なお、実施例1−1、1−2、1−3及び2−4と同様の条件にて、
図7に示すように支持フィルム2およびカバーフィルム3を備えた光導波路1−1’1−2’、1−3’及び2−4’についても、同様の評価を行った。このとき、カバーフィルム3を貫通する凹部の開口部における接続部の最小曲率半径については、各接続部178の最小曲率半径r
2と同様にした。その結果を、表4に示す。
【0208】
【表4】
【0209】
評価の結果、各実施例で得られた光導波路では、温度サイクル試験の試験前後において挿入損失の値には変化がなかった。
【0210】
これに対し、比較例1〜4で得られた光導波路では、温度サイクル試験の後、挿入損失が大きく増加していた。変化量を算出したところ、試験前の測定値の20〜100%に及んでいた。試験後の光導波路について凹部を厚さ方向にカットし、断面を観察したところ、クラッド層とコア層との界面に剥離の発生が認められた。
【0211】
以上のことから、本発明の光導波路によれば、温度サイクル試験に供されたとしても伝送特性や反射特性の低下が抑制され、高品質な光通信を行い得ることが認められた。