特許第6394023号(P6394023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394023
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20060101AFI20180913BHJP
   F24H 9/20 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   F24H1/10 301Z
   F24H9/20 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-59923(P2014-59923)
(22)【出願日】2014年3月24日
(65)【公開番号】特開2015-183916(P2015-183916A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】持木 康治
(72)【発明者】
【氏名】三宅 正浩
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−091690(JP,A)
【文献】 実開平01−116331(JP,U)
【文献】 実開平04−082625(JP,U)
【文献】 実開平03−073847(JP,U)
【文献】 実開平04−120541(JP,U)
【文献】 特開2008−108449(JP,A)
【文献】 特開2007−322004(JP,A)
【文献】 特開平07−012394(JP,A)
【文献】 特開平07−055237(JP,A)
【文献】 特開昭61−240065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
F24H 9/20
F28F 9/00
F24F 1/22
F24F 11/00 − 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筺体と、
前記筺体の内部空間に配置された発熱体と、
前記内部空間に配置された温度検知部と、
前記筺体の内面に取り付けられ、かつ前記内部空間を第1および第2の領域に仕切る仕切り部材とを備え、
前記発熱体は前記第1の領域に配置され、
前記温度検知部は前記第2の領域に配置され、
前記開口は前記筺体の外部と前記第2の領域とを連通し、
前記第2の領域と前記第1の領域とは前記筺体の内部で分離されており、
前記第2の領域には前記温度検知部のみが配置されており、
前記筺体は前記筺体の外部に面した外面から外方に突出する凸形状部を含み、
前記温度検知部は、前記第2の領域のうち前記凸形状部に取り囲まれた部分に配置されている、熱源機。
【請求項2】
前記筺体は底面を含み、
前記開口は前記底面に形成されており、
前記温度検知部は前記底面に取り付けられている、請求項1に記載の熱源機。
【請求項3】
前記筺体は側面を含み、
前記開口は前記側面に形成されており、
前記温度検知部は前記側面に取り付けられている、請求項1に記載の熱源機。
【請求項4】
前記温度検知部は、本体部と、前記本体部に接続された配線部とを含み、
前記本体部は、前記仕切り部材と離れて配置されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱源機。
【請求項5】
開口を有する筺体と、
前記筺体の内部空間に配置された発熱体と、
前記内部空間に配置された温度検知部と、
前記筺体の内面に取り付けられ、かつ前記内部空間を第1および第2の領域に仕切る仕切り部材とを備え、
前記発熱体は前記第1の領域に配置され、
前記温度検知部は前記第2の領域に配置され、
前記開口は前記筺体の外部と前記第2の領域とを連通し、
前記仕切り部材は、スポンジおよびゴムの少なくともいずれかにより構成されている、熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源機においては、熱媒回路内の熱媒の凍結を防止するための凍結防止ヒータを備えたものがある。この熱源機では、熱源機の筺体の外部の気温が所定値以下のときに凍結防止ヒータが作動されることによって熱媒回路内の熱媒の凍結が防止される。
【0003】
熱源機の筺体の外部の気温の測定方法としては、筺体の内部に設置された温度検知部によって測定された気温を筺体の外部の気温と擬制する方法がある。また、筺体の外部に設置された温度検知部によって筺体の外部の気温を直接測定する方法がある。熱源機ではなく温風暖房器に関する技術ではあるが、特開平9−96447号公報(特許文献1)には、筺体の外部に室温検知サーミスタが設置された温風暖房器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−96447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の筺体の内部に設置された温度検知部によって測定された気温を筺体の外部の気温と擬制する方法では、熱源機の燃焼装置および凍結防止用のヒータなどの熱によって温度検知部の測定温度が筺体の外部の気温よりも高くなるため、筺体の外部の気温を正確に測定することができないという問題がある。また、上記の筺体の外部に設置された温度検知部によって筺体の外部の気温を直接測定する方法では、熱源機の運搬時および施工時などに温度検知部が人などに接触することによって温度検知部が破損するという問題があり、さらに温度検知部が紫外線などにさらされることによって温度検知部が故障するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、熱源機の筺体の外部の気温を正確に測定することができ、かつ温度検知部の破損および故障を抑制できる熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱源機は、筺体と、発熱体と、温度検知部と、仕切り部材とを備えている。筺体は開口を有する。発熱体は筺体の内部空間に配置されている。温度検知部は内部空間に配置されている。仕切り部材は筺体の内面に取り付けられ、かつ内部空間を第1および第2の領域に仕切る。発熱体は第1の領域に配置されている。温度検知部は第2の領域に配置されている。開口は筺体の外部と第2の領域とを連通する。
【0008】
本発明の熱源機によれば、仕切り部材が筺体の内部空間を発熱体が配置された第1の領域および温度検知部が配置された第2の領域に仕切っている。このため、熱源機の燃焼装置および凍結防止のヒータなどの熱によって温度検知部の測定温度が筺体の外部の気温よりも高くなることが抑制される。また、開口が筺体の外部と温度検知部が配置された第2の領域とを連通するため、温度検知部は開口から第2の領域に流入した筺体の外部の空気の温度を測定することができる。これらにより、温度検知部は熱源機の筺体の外部の気温を正確に測定することができる。また、温度検知部が筺体の内部空間の第2の領域に配置されているため、熱源機の運搬時および施工時などに温度検知部が人などに接触することによって温度検知部が破損することを抑制することができる。さらに温度検知部が紫外線などにさらされることによって温度検知部が故障することを抑制することができる。
【0009】
上記の熱源機において、第2の領域には温度検知部のみが配置されている。このため、第2の領域内に配置された温度検知部以外の部品の熱によって温度検知部の測定温度が筺体の外部の気温よりも高くなることが抑制される。
【0010】
上記の熱源機において、筺体は筺体の外部に面した外面から外方に突出する凸形状部を含んでいる。温度検知部は、第2の領域のうち凸形状部に取り囲まれた部分に配置されている。凸形状部が筺体の外面から外方に突出しているため、筺体の外部の空気を第2の領域のうち凸形状部に取り囲まれた部分に容易に取り込むことができる。そのため、第2の領域のうち凸形状部に取り囲まれた部分の空気の温度を筺体の外部の空気の温度にあわせることが容易である。したがって、温度検知部が第2の領域のうち凸形状部に取り囲まれた部分に配置されているため、温度検知部は熱源機の筺体の外部の気温を正確に測定することができる。
【0011】
上記の熱源機において、筺体は底面を含んでいる。開口は底面に形成されている。温度検知部は底面に取り付けられている。温度検知部が筺体の底面に取り付けられているため、熱源機が地面などに設置された状態において温度検知部は紫外線や風雨などにさらされ難い。このため、温度検知部が紫外線などにさらされることによって温度検知部が故障することが抑制される。
【0012】
上記の熱源機において、筺体は側面を含んでいる。開口は側面に形成されている。温度検知部は側面に取り付けられている。温度検知部が筺体の側面に取り付けられているため、家屋の壁に沿って熱源機が設置されたときに、温度検知部が取り付けられた側面が家屋の壁側に配置された状態において温度検知部は紫外線などにさらされ難い。このため、温度検知部が紫外線などにさらされることによって温度検知部が故障することが抑制される。
【0013】
上記の熱源機において、温度検知部は、本体部と、本体部に接続された配線部とを含んでいる。本体部は、仕切り部材と離れて配置されている。このため、仕切り部材と本体部とが接触することによって仕切り部材から本体部に熱が伝わることを防ぐことができる。
【0014】
上記の熱源機において、仕切り部材は、スポンジおよびゴムの少なくともいずれかにより構成されている。スポンジおよびゴムは熱を伝え難いので第1の領域から第2の領域に熱が伝わることを効果的に抑制できる。また、スポンジおよびゴムは変形しやすいため、仕切り部材を筺体の内面に取り付けることが容易である。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、熱源機の筺体の外部の気温を正確に測定することができ、かつ温度検知部の破損および故障を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態における熱源機の構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施の形態における熱源機の構成を示す概略図である。
図3】本発明の一実施の形態における熱源機の温度検知部の周辺の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図4】本発明の一実施の形態における熱源機の凸形状部の周辺の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図5図1に示す制御部の構成を説明するための機能ブロック図である。
図6】本発明の一実施の形態の変形例1の熱源機の温度検知部の周辺の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図7】本発明の一実施の形態の変形例2の熱源機の温度検知部の周辺の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
図8】本発明の一実施の形態の変形例3の熱源機の温度検知部の周辺の構成を概略的に示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における熱源機の構成について説明する。
【0018】
図1および図2を参照して、本実施の形態の熱源機は、燃焼ガスの熱を回収可能な熱源機である。以下、燃焼ガスの潜熱を回収可能な潜熱回収式熱源機を一例として本実施の形態の熱源機について説明する。また、本実施の形態では、屋外設置型の熱源機を一例として本実施の形態の熱源機について説明する。
【0019】
本実施の形態における熱源機は、筺体1と、燃焼装置2と、送風装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器5と、中和器6と、ヒータ7と、制御部8と、給水配管9と、給湯配管10と、温度検知部11と、仕切り部材12とを主に有している。
【0020】
筺体1は、前面1a、底面(下面)1b、上面1c、側面1dおよび後面1eを有している。前面1aは熱源機を設置した状態において正面に配置される面であり、後面1eは背面に配置される面である。底面1bは熱源機を設置した状態において下方に配置される面であり、上面1cは上方に配置される面である。側面1dは前面1aと後面1eとが対向する方向および底面1bと上面1cとが対向する方向のそれぞれに対向する方向に配置された一対の面である。
【0021】
筺体1は、前面1a、底面1b、上面1c、側面1dおよび後面1eによって取り囲まれた内部空間ISを有している。この内部空間ISに、燃焼装置2、送風装置3、一次熱交換器4、二次熱交換器5、中和器6、ヒータ7、制御部8、給水配管9、給湯配管10、温度検知部11および仕切り部材12が配置されている。なお、本実施の形態では、燃焼装置2、ヒータ7および給湯配管10などの熱を発する物体を発熱体と定義する。
【0022】
筺体1は開口OPを有している。開口OPは底面1bを貫通するように形成されている。開口OPは単数であっても複数であってもよい。本実施の形態では、開口OPは底面1bに形成されている。
【0023】
筺体1は、前面1aの上部に燃焼ガスを排気するための排気口EPを有している。底面1bには吸気口HLが形成されている。この吸気口HLは、送風装置3が供給するための空気を筺体1外から筺体1内に取り込むためのものである。吸気口HLは、底面1bを貫通するように形成されている。本実施の形態では、吸気口HLは、たとえば2個設けられている。
【0024】
燃焼装置2は、燃焼ガスを供給するためのものである。この燃焼ガスは、一次熱交換器4および二次熱交換器5との間で熱交換を行なうためのものである。燃焼装置2はたとえばバーナである。
【0025】
送風装置3は、燃焼装置2に燃焼用の空気を供給するためのものである。送風装置3は、燃焼装置2よりも底面1b側(下方)に配置されている。また、送風装置3は、一次熱交換器4および二次熱交換器5よりも底面1b側に配置されている。送風装置3は具体的にはたとえばファンである。
【0026】
一次熱交換器4は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。二次熱交換器5は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。燃焼ガスは二次熱交換器5を通った後に排気口EPから筺体1の外部に排気される。一次熱交換器4と二次熱交換器5とは互いに接続されている。一次熱交換器4は二次熱交換器5の下方に配置されている。また、一次熱交換器4および二次熱交換器5は、燃焼装置2よりも上面1c側(上方)に配置されている。一次熱交換器4および二次熱交換器5はそれぞれ熱媒(被加熱流体)を流通可能な伝熱管と、この伝熱管を収容可能なケースとを有している。
【0027】
一次熱交換器4で熱交換した後の燃焼ガスが二次熱交換器5へ通されることで二次熱交換器5内の熱媒(被加熱流体)が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱が回収される。そして、燃焼ガスの潜熱が回収されることによってドレンが発生する。
【0028】
中和器6は、二次熱交換器5で燃焼ガスの潜熱を回収することによって発生したドレンを中和するためのものである。ドレン受け6aは二次熱交換器5の下方に配置されており、二次熱交換器5で生じたドレンを受けるように構成されている。このドレン受け6aで受けられたドレンは排気ガス中の窒素酸化物などが溶け込んでいるため酸性となる。ドレン配管6bはドレン受け6aと中和器6とを接続している。したがって、酸性のドレンは、ドレン受け6aからドレン配管6bを通って中和器6に送られる。中和器6の内部には中和剤が充填されており、この中和剤によって酸性のドレンを中和することができる。中和器6で中和されたドレンは図示しない排水路を通って筺体1外に排出される。
【0029】
入水口1fは給水配管9に接続されており給水配管9を経由して二次熱交換器5に熱媒である水を給水可能に構成されている。出湯口1gは給湯配管10に接続されており二次熱交換器5および一次熱交換器4で温められた温水を給湯可能に構成されている。これにより、入水口1fから給水された水は、二次熱交換器5および一次熱交換器4を通過する際に燃焼ガスによって加熱されて出湯口1gから給湯される。
【0030】
ヒータ7は熱媒回路内の熱媒の凍結を防止するためのものである。ヒータ7はたとえば電熱線で構成されている。本実施の形態では、ヒータ7は給湯配管10に取り付けられており、給湯配管10内の熱媒を直接加熱するように構成されている。具体的には、ヒータ7は出湯口1gの近傍において給湯配管10に取り付けられている。
【0031】
また、ヒータ7は、給湯配管10から離れて配置されて、熱が空気を伝わることで給湯配管10内の熱媒を加熱するように構成されていてもよい。また、ヒータ7は、給水配管9に取り付けられ、給水配管9内の熱媒を加熱可能に構成されていてもよい。
【0032】
制御部8は、燃焼装置2、送風装置3、ヒータ7および温度検知部11の各々に電気的に接続されている。制御部8は温度検知部11からの検知温度の信号に基づいてヒータ7を作動させるように制御可能に構成されている。
【0033】
温度検知部11は、筺体1の外部の気温を測定するためのものである。温度検知部11は底面1bに取り付けられている。温度検知部11は底面1bの隅部に配置されている。
温度検知部11は具体的にはたとえばサーミスタである。
【0034】
仕切り部材12は、筺体1の内面に取り付けられている。仕切り部材12は内部空間ISを第1の領域IS1および第2の領域IS2に仕切るように構成されている。第2の領域IS2は第1の領域IS1に対して閉じられている。つまり、第2の領域IS2と第1の領域IS1とは筺体1の内部で分離されている。本実施の形態では、仕切り部材12は平板状に形成されている。
【0035】
燃焼装置2、ヒータ7および給湯配管10などの発熱体は第1の領域IS1に配置されており、温度検知部11は第2の領域IS2に配置されている。開口OPは、筺体1の外部と第2の領域IS2とを連通するように構成されている。
【0036】
仕切り部材12は、第1の領域IS1から第2の領域IS2への伝熱を抑制するために、熱伝導率の低い材料で構成されていることが好ましい。具体的には、仕切り部材12は、スポンジおよびゴムの少なくともいずれかにより構成されていてもよい。
【0037】
仕切り部材12は第1の領域IS1と第2の領域IS2との伝熱を抑制可能な厚みを有していることが好ましい。また、仕切り部材12の厚みが大きすぎると筺体1の内面に取り付けにくくなる。したがって、仕切り部材12は、3mm以上5mm以下の厚みを有していることが好ましい。
【0038】
図3および図4を参照して、本実施の形態の熱源機の温度検知部の周辺の構成について詳しく説明する。なお、図3では、見やすくするため、前面1aを取り外した状態が図示されており、また仕切り部材12で覆われた部分が実線で図示されている。
【0039】
本実施の形態では、第2の領域IS2には温度検知部11のみが配置されている。なお、温度検知部11は結束バンドおよび接着剤などの固定部材を含んでおり、この固定部材によって底面1bに固定されている。
【0040】
また、本実施の形態では、筺体1は筺体1の外部に面した外面OUから外方に突出する凸形状部PFを含んでいる。温度検知部11は、第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分に配置されている。凸形状部PFに取り囲まれた部分は温度検知部11が載置された状態で温度検知部11が仕切り部材12に接触しない深さ寸法を有している。
【0041】
本実施の形態では、開口は3個形成されている。開口OPはたとえばスリット状に形成されていてもよい。開口OPは、接触による温度検知部11の破損を抑制するために、人の指または熱源機の梱包材が筺体1の外部から内部に挿入されない寸法に形成されていることが好ましい。
【0042】
温度検知部11は、本体部11aと、本体部11aに接続された配線部11bとを含んでいる。本体部11aは温度を検知可能に構成されている。本体部11aは、3個の開口OPに跨って配置されている。それぞれの開口OPの延在する方向と交差する方向に延びるように本体部11aは形成されている。本体部11aは、仕切り部材12と離れて配置されている。つまり、本体部11aは仕切り部材12に接触していない。配線部11bは本体部11aで検知された温度の信号を送信可能に構成されている。配線部11bは本体部11aと制御部8とを電気的に接続している。配線部11bは第2の領域IS2から第1の領域IS1に延在している。配線部11bは筺体1の底面1bと仕切り部材12との間で挟まれており、配線部11bの外形に沿って仕切り部材12が密着することによって第2の領域IS2は第1の領域IS1から分離されている。
【0043】
図5を参照して、本実施の形態の熱源機の制御部8の構成について詳しく説明する。制御部8は、制御手段8aと、燃焼判定手段8bと、ヒータON/OFF判定手段8cと、温度判定手段8dと、タイマ8eとを主に有している。
【0044】
制御手段8aは、燃焼判定手段8bと、ヒータON/OFF判定手段8cと、温度判定手段8dとからの判定結果およびタイマ8eからの信号に基づいて、燃焼装置2、送風装置3、ヒータ7、温度検知部11の動作を制御可能に構成されている。
【0045】
燃焼判定手段8bは、燃焼装置2の燃焼状態または非燃焼状態を判定するためのものである。ヒータON/OFF判定手段8cは、ヒータ7のON/OFFを判定するためのものである。温度判定手段8dは、温度検知部11の温度を受けて、筺体1の外部の気温を判定するためのものである。タイマ8eは時間を測定し時間に基づく信号を制御手段8aに送るためのものである。
【0046】
次に、再び図1を参照して、本実施の形態における熱源機の基本動作について説明する。本実施の形態の熱源機の基本動作は、公知のそれと同様である。つまり、本実施の形態の熱源機の給湯運転においては、カラン等が操作されて、出湯要求があれば、燃焼装置2で生成された燃焼ガスで一次熱交換器4および二次熱交換器5が加熱される。これにより、一次熱交換器4および二次熱交換器5の各々の伝熱管を流通する水が加熱され、所望の温度の湯がカラン等から出湯される。
【0047】
続いて、本実施の形態における熱源機での熱媒回路内の熱媒の凍結防止動作について説明する。温度検知部11によって検知された筺体1の外部の気温が所定温度以下か否かが温度判定手段8dにより判定される。この所定温度は、熱媒回路内の熱媒が凍結するおそれのある温度を考慮して、たとえば2℃に設定することができる。温度判定手段8dによって筺体1の外部の気温が所定温度よりも高いと判定された場合にはヒータ7は作動されない。
【0048】
一方、温度判定手段8dによって所定温度以下と判定された場合には、ヒータON/OFF判定手段8cによってヒータ7が作動される。これにより、給湯配管10内の湯水がヒータ7によって加熱される。その後、温度判定手段8dによって筺体1の外部の気温が所定温度よりも高いと判定されるまでヒータ7が作動されてもよい。
【0049】
また、燃焼装置2の燃焼時間に基づいて、ヒータ7の加熱時間を可変にすることもできる。つまり、燃焼装置2の燃焼時間が長い場合には筺体1の内部の気温が高くなっているため、燃焼時間が短い場合よりもヒータ7の加熱時間を短くしてもよい。さらに、温度検知部11の検知温度に基づいてヒータ7の加熱時間を可変にすることもできる。つまり、ヒータ7の検知温度が所定温度よりも大幅に低い場合には、筺体1の内部の気温も大幅に低くなっているため、検知温度が所定温度よりもわずかに低い場合よりもヒータ7の加熱時間を長くしてもよい。
【0050】
次に図6図8を参照して、本実施の形態の変形例1〜3の熱源機について説明する。これらの変形例1〜3は、特に説明しないかぎり上記の本実施の形態の熱源機と同様の構成を備えている。なお、図6および図7では、見やすくするため、前面1aを取り外した状態が図示されており、また仕切り部材12で覆われた部分が実線で図示されている。
【0051】
図6を参照して、本実施の形態の変形例1の熱源機では、開口OP、温度検知部11、仕切り部材12の配置が上記の本実施の形態の熱源機と主に異なっている。この変形例1では、開口OPは側面1dに形成されており、温度検知部11は側面1dに取り付けられている。また、凸形状部PFも側面1dに形成されている。仕切り部材12は、側面1dの内面に取り付けられており、温度検知部11が配置された第1の領域IS1と、図示しない燃焼装置2およびヒータ7などの発熱体が配置された第2の領域IS2とを仕切っている。
【0052】
続いて、図7を参照して、本実施の形態の変形例2の熱源機では、底面1bおよび仕切り部材12の構成が上記の本実施の形態の熱源機と主に異なっている。この変形例2では、底面1bは平面状に形成されている。つまり、筺体1は図3に示す凸形状部PFを有していない。そして、3個の開口OPは平面状の底面1bに形成されており、3個の開口OPを跨ぐように温度検知部11が底面1bに取り付けられている。また、仕切り部材12は3個の開口OPおよび温度検知部11を取り囲むように箱状に形成されている。仕切り部材12は、3個の開口OPおよび温度検知部11を取り囲んだ状態で底面1bの内面に取り付けられている。これにより、仕切り部材12によって第2の領域IS2が第1の領域に対して分離される。
【0053】
続いて、図8を参照して、本実施の形態の変形例3の熱源機では、仕切り部材12の構成が主に異なっている。この変形例3では、ポンプ21の保持台22の一部である底板部22aが仕切り部材12を構成している。このポンプ21は暖房用の回路または風呂循環用の回路に接続されるものである。保持台22は、底面1bに取り付けられる底板部22aと、ポンプ21が載置される載置部22bと、底板部22aと載置部22bとをつなぐ柱部22cとを有している。保持台22は、たとえば鉄で構成されている。
【0054】
また、底面1bに設けられた凸形状部PFに取り囲まれた部分に3個の開口OPおよび温度検知部11が配置されている。そして、仕切り部材12である底板部22aは、温度検知部11が配置された第2の領域IS2と、図示しない燃焼装置2およびヒータ7などの発熱体が配置された第1の領域IS1とを仕切っている。この変形例3では、保持台22の一部である底板部22aが仕切り部材12を構成するため、仕切り部材12を別個に生産する必要がない。このため、部品数を減らすことができる。よって、生産性を向上することができる。なお、凸形状部PFには配線部11bを通せるだけの凹みが設けられていてもよい。
【0055】
次に、本実施の形態における熱源機の作用効果について説明する。
本発明の熱源機によれば、仕切り部材12が筺体1の内部空間ISを燃焼装置2およびヒータ7などの発熱体が配置された第1の領域IS1および温度検知部11が配置された第2の領域IS2に仕切っている。このため、熱源機の燃焼装置2およびヒータ7などの熱によって温度検知部11の測定温度が筺体1の外部の気温よりも高くなることが抑制される。また、開口OPが筺体1の外部と温度検知部11が配置された第2の領域IS2とを連通するため、温度検知部11は開口OPから第2の領域IS2に流入した筺体1の外部の空気の温度を測定することができる。これらにより、温度検知部11は熱源機の筺体1の外部の気温を正確に測定することができる。
【0056】
また、温度検知部11が筺体1の内部空間ISの第2の領域IS2に配置されているため、熱源機の運搬時および施工時などに温度検知部11が人などに接触することによって温度検知部11が破損することを抑制することができる。さらに温度検知部11が紫外線および風雨などにさらされることによって温度検知部11が故障することを抑制することができる。
【0057】
なお、本実施の形態の熱源機では、底面1bに形成された吸気口HLから前面1aの上部に形成された排気口EPに筺体1の外部から流入した風が通ることがある。この場合でも、第2の領域IS2は仕切り部材12で仕切られているため、この風の影響を受けずに温度検知部11は筺体1の外部の気温を正確に測定することができる。
【0058】
本実施の形態の熱源機において、第2の領域IS2には温度検知部11のみが配置されている。このため、第2の領域IS2内に配置された温度検知部11以外の部品の熱によって温度検知部11の測定温度が筺体1の外部の気温よりも高くなることが抑制される。
【0059】
本実施の形態の熱源機において、温度検知部11は、第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分に配置されている。凸形状部PFが筺体1の外面OUから外方に突出しているため、筺体1の外部の空気を第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分に容易に取り込むことができる。そのため、第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分の空気の温度を筺体1の外部の空気の温度にあわせることが容易である。したがって、温度検知部11が第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分に配置されているため、温度検知部11は熱源機の筺体1の外部の気温を正確に測定することができる。
【0060】
また、温度検知部11が第2の領域IS2のうち凸形状部PFに取り囲まれた部分に配置されているため、平板状の仕切り部材12で第1の領域IS1と第2の領域IS2とを仕切ることができる。このため、仕切り部材12を筺体1の内面に取り付けることが容易である。
【0061】
本実施の形態の熱源機において、開口OPは底面1bに形成されており、温度検知部11は底面1bに取り付けられている。温度検知部11が筺体1の底面1bに取り付けられているため、熱源機が地面などに設置された状態において温度検知部11は紫外線および風雨などにさらされ難い。このため、温度検知部11が紫外線などにさらされることによって温度検知部11が故障することが抑制される。
【0062】
本実施の形態の変形例1の熱源機では、開口OPは側面1dに形成されており、温度検知部11は側面1dに取り付けられている。温度検知部11が筺体1の側面1dに取り付けられているため、家屋の壁に沿って熱源機が設置されたときに、温度検知部11が取り付けられた側面1dが家屋の壁側に配置された状態において温度検知部11は紫外線などにさらされ難い。このため、温度検知部11が紫外線および風雨などにさらされることによって温度検知部11が故障することが抑制される。
【0063】
本実施の形態の熱源機において、温度検知部11の本体部11aは、仕切り部材12と離れて配置されている。このため、仕切り部材12と本体部11aとが接触することによって仕切り部材12から本体部11aに熱が伝わることを防ぐことができる。
【0064】
本実施の形態の熱源機において、仕切り部材12は、スポンジおよびゴムの少なくともいずれかにより構成されている。スポンジおよびゴムは熱伝導率がたとえば金属よりも低いので第1の領域IS1から第2の領域IS2に熱が伝わることを効果的に抑制できる。スポンジおよびゴムは変形しやすいため、仕切り部材12を筺体1の内面に取り付けることが容易である。また、配線部11bを底面1bと仕切り部材12との間に挟んで第2の領域IS2を閉じることができる。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 筺体、1a 前面、1b 底面、1c 上面、1d 側面、1e 後面、1f 入水口、1g 出湯口、2 燃焼装置、3 送風装置、4 一次熱交換器、5 二次熱交換器、6 中和器、6b ドレン配管、7 ヒータ、8 制御部、8a 制御手段、8b 燃焼判定手段、8c ヒータON/OFF判定手段、8d 温度判定手段、8e タイマ、9 給水配管、10 給湯配管、11 温度検知部、11a 本体部、11b 配線部、12 仕切り部材、21 ポンプ、22 保持台、22a 底板部、22b 載置部、22c 柱部、EP 排気口、HL 吸気口、IS 内部空間、IS1 第1の領域、IS2 第2の領域、OP 開口、OU 外面、PF 凸形状部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8