(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水を貯留する処理槽(11)と、該処理槽(11)の水中において殺菌因子を生ずるように放電を生起する放電部(31,32,34)とを備えた水処理ユニット(10)であって、
上記処理槽(11)への水の流入と上記処理槽(11)からの水の流出が停止した状態で、上記放電部(31,32,34)が放電を生起して上記処理槽(11)の水中の殺菌因子濃度を高める濃度上昇動作を行い、
上記濃度上昇動作の終了後に、上記処理槽(11)に水が流入しかつ上記処理槽(11)から処理後の水が流出する流通動作を行うように構成され、
上記処理槽(11)には、複数の流路(21〜23)が形成され、
各上記流路(21〜23)には、上記放電部(31,32,34)が設けられ、
各上記流路(21〜23)において上記濃度上昇動作および上記流通動作が行われるように構成されており、
全ての上記放電部(31,32,34)に切替え可能に接続され、何れか一つの上記放電部(31,32,34)に所定の電圧を印加して該放電部(31,32,34)に放電を生起させる電源部(33)を備え、
一の上記流路(21〜23)での上記濃度上昇動作が終了すると次の上記流路(21〜23)での上記濃度上昇動作が開始するように、上記電源部(33)によって電圧を印加される上記放電部(31,32,34)が順次切り替わることによって、上記濃度上昇動作を行う上記流路(21〜23)が順次切り替わり、
各上記放電部(31,32,34)は、該放電部(31,32,34)が設けられた上記流路(21〜23)における上記濃度上昇動作の停止中は放電を休止し、
一の上記流路(21〜23)での上記流通動作が終了すると次の上記流路(21〜23)での上記流通動作が開始するように、上記流通動作を行う上記流路(21〜23)が順次切り替わる
ことを特徴とする水処理ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0016】
図1〜
図4は、本発明に係る水処理ユニットの実施形態を示している。本発明に係る水処理ユニット(10)は、例えば、野菜洗浄に用いられるものである。
【0017】
図1に示すように、水処理ユニット(10)は、処理槽(11)と、複数の放電ユニット(30a〜30c)と、電源部(33)と、噴霧装置(40a〜40c)と、補助水槽(50)と、制御部(60)とを備えている。噴霧装置(40a〜40c)には流入管(43a〜43c)が接続され、補助水槽(50)には流出管(45)が接続されている。水処理ユニット(10)は、噴霧装置(40a〜40c)を介して流入管(43a〜43c)から処理槽(11)へ水を流入させ、この処理槽(11)において放電ユニット(30a〜30c)により水中に殺菌因子を生じさせて殺菌水を生成し、生成された殺菌水を補助水槽(50)を介して流出管(45)から流出させるものである。
【0018】
処理槽(11)は、平面視で略長方形状に形成された箱状の水槽である。具体的に、処理槽(11)は、平面視で略長方形状の平板に形成された底部(12)と、横長の略長方形状の平板に形成され、かつ底部(12)の幅方向において対向する両辺(すなわち、
図1において左右方向に延びる両辺)からそれぞれ上方に延びる側壁部(13)と、横長の略長方形状の平板に形成され、かつ底部(12)の上記側壁部(13)と直交する両辺(すなわち、
図1において奥行き方向に延びる両辺)からそれぞれ上方に延びる端壁部(14a,14b)とで形成されている。処理槽(11)の水の流れ方向の一端側(すなわち、水の流出側)の端壁部(14b)は、その高さが処理槽(11)の水の流れ方向の他端側(すなわち、水の流入側)の端壁部(14a)および側壁部(13)よりも低く形成されている。これにより、一端側の端壁部(14b)の上方には流出口部(17)が形成されている。一端側の端壁部(14b)の上端には、流出口部(17)から流出した水を落下させるスロープ(18)が斜め下方に延びるように設けられている。
【0019】
処理槽(11)の内部には、その幅方向に所定の間隔をおいて複数の仕切板(15,15a)が配置されている。各仕切板(15,15a)は、横長の略長方形状の平板に形成され、水の流れ方向に沿って配置されて処理槽(11)の内部を複数のレーン(21a,21b,22a,22b,23a,23b)に仕切っている。各仕切板(15,15a)は、電気絶縁性を有する材料で形成されている。また、後述する第1流路(21)、第2流路(22)および第3流路(23)に配置される仕切板(15a)には、それぞれに開口部(16)が形成されている。処理槽(11)には、各仕切板(15,15a)によって、
図1における手前側から順に第1〜第6レーン(21a,21b,22a,22b,23a,23b)が形成されている。なお、処理槽(11)に形成されるレーン(21a,21b,22a,22b,23a,23b)の数は、例示であり、処理槽(11)内を流れる水量に応じて任意に変更することができる。
【0020】
また、第1レーン(21a)および第2レーン(21b)が一対となって第1流路(21)を形成し、第3レーン(22a)および第4レーン(22b)が一対となって第2流路(22)を形成し、第5レーン(23a)および第6レーン(23b)が一対となって第3流路(23)を形成している。つまり、第2レーン(21b)と第3レーン(22a)との間の仕切板(15)、および、第4レーン(22b)と第5レーン(23a)との間の仕切板(15)は、処理槽(11)の内部空間を複数の流路(21〜23)に仕切っている。
【0021】
図2に示すように、複数の放電ユニット(30a〜30c)は、第1放電ユニット(30a)と第2放電ユニット(30b)と第3放電ユニット(30c)とで構成されている。各放電ユニット(30a〜30c)は、上述した各流路(21〜23)ごとに一つずつ設けられている。
【0022】
第1放電ユニット(30a)は、第1流路(21)の水中において殺菌因子を生じさせるものである。第1放電ユニット(30a)は、電極対(31,32)と、上述した開口部(16)が形成された仕切板(15a)とを備えている。仕切板(15a)には、放電部材(34)が設けられている。電極対(31,32)および放電部材(34)は、本発明の放電部を構成している。なお、第2放電ユニット(30b)は、第2流路(22)の水中において殺菌因子を生じさせるものである。また、第3放電ユニット(30c)は、第3流路(23)の水中において殺菌因子を生じさせるものである。第2放電ユニット(30b)および第3放電ユニット(30c)の具体的な構成は、第1放電ユニット(30a)と同様であるため、説明は省略する。第1〜第3放電ユニット(30a〜30c)の電極対(31,32)には、後述する一つの電源部(33)が切替スイッチ(62)を介して接続されている。
【0023】
電極対(31,32)は、水中で放電を生起するためのものであり、ホット側の電極(31)とニュートラル側の電極(32)とで構成されている。ホット側の電極(31)は、扁平な形状に形成され、第1レーン(21a)に配置されている。ホット側の電極(31)は、切替スイッチ(62)を介して電源部(33)に接続されている。ニュートラル側の電極(32)は、扁平な形状に形成され、第2レーン(21b)に配置されている。ニュートラル側の電極(32)は、切替スイッチ(62)を介して電源部(33)に接続されている。また、ホット側の電極(31)とニュートラル側の電極(32)とは互いに略平行となるように配設されている。これらの電極(31,32)は、例えば耐腐食性の高い金属材料で構成されている。
【0024】
電源部(33)は、各流路(21〜23)の電極対(31,32)に所定の電圧を印加するものである。電源部(33)は、一方の端子が切替スイッチ(62)を介してホット側の電極(31)に接続され、他方の端子が切替スイッチ(62)を介してニュートラル側の電極(32)に接続されている。電源部(33)は、制御部(60)が制御する切換スイッチ(62)によって、何れか一つの流路(21〜23)の電極対(31,32)に接続され、当該電極対(31,32)に所定の電圧を印加する。本実施形態では、電源部(33)は、例示として、
図3に示すように、電極対(31,32)に対して、正負が入れ替わる交番波形の電圧を印加するように構成されている。この交番波形(方形波)のDutyは、正極側と負極側の割合が等しくなるように調節されている。なお、電極対(31,32)に印加される電圧は、例示であって、交番型の電圧であれば、方形波に限らず、正弦波などでもよい。
【0025】
放電部材(34)は、板状の絶縁部材である。放電部材(34)は、例えばセラミックス等の電気絶縁材料で構成されている。なお、セラミックスは窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ジルコニアまたはアルミナである。放電部材(34)は、第1レーン(21a)と第2レーン(21b)とを仕切る仕切板(15a)に形成された開口部(16)、第3レーン(22a)と第4レーンとを仕切る仕切板(15a)に形成された開口部(16)、および、第5レーン(23a)と第6レーン(23b)とを仕切る仕切板(15a)に形成された開口部(16)を塞ぐように配置されている。放電部材(34)には、その略中央に微小な放電孔(35)が形成されている。放電孔(35)は、例えば、電気抵抗が数MΩとなるように設計されている。この放電孔(35)は、ホット側の電極(31)とニュートラル側の電極(32)との間の電流経路を構成している。以上のような放電孔(35)は、電極対(31,32)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部となる。
【0026】
図4に示すように、両電極(31,32)間に電圧が印加されると、放電部材(34)の放電孔(35)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(C)が形成される。これにより、電極(31,32)と水とが同電位になり、気泡(C)と水との界面が電極となって放電(スパーク放電)が発生する。すなわち、この放電では、両電極(31,32)が放電電極とならないため、放電によって電極(31,32)が劣化するのを抑制できる。
【0027】
噴霧装置(40a〜40c)は、第1噴霧装置(40a)、第2噴霧装置(40b)および第3噴霧装置(40c)で構成されている。第1噴霧装置(40a)には第1流入管(43a)が接続され、第2噴霧装置(40b)には第2流入管(43b)が接続され、第3噴霧装置(40c)には第3流入管(43c)が接続されている。各噴霧装置(40a〜40c)は、各流入管(43a〜43c)から供給される水を噴霧して処理槽(11)に流入させるものである。
【0028】
各流入管(43a〜43c)には、開状態と閉状態とに切替可能な電磁弁(44a〜44c)が設けられている。具体的に、第1流入管(43a)に第1電磁弁(44a)が設けられ、第2流入管(43b)に第2電磁弁(44b)が設けられ、第3流入管(43c)に第3電磁弁(44c)が設けられている。第1電磁弁(44a)が開状態であるときにのみ第1流入管(43a)から第1噴霧装置(40a)に水が供給される。第2電磁弁(44b)が開状態であるときにのみ第2流入管(43b)から第2噴霧装置(40b)に水が供給される。第3電磁弁(44c)が開状態であるときにのみ第3流入管(43c)から第3噴霧装置(40c)に水が供給される。
【0029】
各噴霧装置(40a〜40c)は、ノズルヘッダ(41a〜41c)と、各レーン(21a,21b,22a,22b,23a,23b)に対応した複数の噴霧ノズル(42a〜42c)とを備えている。
【0030】
ノズルヘッダ(41a〜41c)は、第1ノズルヘッダ(41a)、第2ノズルヘッダ(41b)および第3ノズルヘッダ(41c)で構成されている。各ノズルヘッダ(41a〜41c)は、細長い管状に形成されると共に側面に流入管(43a〜43c)が接続されている。具体的に、第1ノズルヘッダ(41a)に第1流入管(43a)が接続され、第2ノズルヘッダ(41b)に第2流入管(43b)が接続され、第3ノズルヘッダ(41c)に第3流入管(43c)が接続されている。各ノズルヘッダ(41a〜41c)は、対応する流入管(43a〜43c)からの水を各噴霧ノズル(42a〜42c)に分流させるものである。
【0031】
噴霧ノズル(42a〜42c)は、第1噴霧ノズル(42a)、第2噴霧ノズル(42b)および第3噴霧ノズル(42c)で構成されている。各噴霧ノズル(42a〜42c)は、それぞれ対応するノズルヘッダ(41a〜41c)の長手方向に所定の間隔をおいて二つずつ設けられている。具体的に、第1噴霧ノズル(42a)は、第1レーン(21a)および第2レーン(21b)に対応して第1ノズルヘッダ(41a)に二つ設けられている。第2噴霧ノズル(42b)は、第3レーン(22a)および第4レーン(22b)に対応して第2ノズルヘッダ(41b)に二つ設けられている。第3噴霧ノズル(42c)は、第5レーン(23a)および第6レーン(23b)に対応して第3ノズルヘッダ(41c)に二つ設けられている。流入管(43a〜43c)を流れてきた水は、ノズルヘッダ(41a〜41c)に流入し、噴霧ノズル(42a〜42c)から粒状(液滴)となって対応するレーン(21a,21b,22a,22b,23a,23b)に向かって噴霧される。このとき、噴霧ノズル(42a〜42c)から噴霧された水が粒状(液滴)となることで各粒間(各液滴間)に空気が介在して電気抵抗が高くなる。こうすることで、流入管(43a〜43c)を流れる水と処理槽(11)の水とが電気的に絶縁される。なお、流入管(43a〜43c)と処理槽(11)との間の電気抵抗は、数百MΩ以上になる。
【0032】
補助水槽(50)は、処理槽(11)の流出口部(17)の下方に設けられた水槽である。補助水槽(50)は、平面視で略長方形状の箱体に形成されていて、上方に向かって開口している。補助水槽(50)には、処理槽(11)の流出口部(17)から流出した処理後の水が流入する。ここで、補助水槽(50)に貯留された水の液面は、流出口部(17)ないしスロープ(18)の先端よりも所定の距離だけ低い。このため、処理槽(11)の水は、流出口部(17)から補助水槽(50)に流れ落ちる際に雫となる。補助水槽(50)に流れ落ちる水が雫(粒状または液滴)となることで各粒間(液滴間)に空気が介在して電気抵抗が高くなる。こうすることで、処理槽(11)に貯留された水と補助水槽(50)に貯留された水とが電気的に絶縁される。なお、処理槽(11)と補助水槽(50)との間の電気抵抗は、数百MΩ以上になる。
【0033】
補助水槽(50)の内部には、補助水槽(50)内の水の殺菌因子濃度を検出する濃度センサ(61)が設けられている。この濃度センサ(61)は、補助水槽(50)内の水の過酸化水素濃度を検出することで、当該水の殺菌因子濃度を間接的に検出する。濃度センサ(61)の検出値は、制御部(60)に入力される。
【0034】
補助水槽(50)の側面には流出管(45)が接続されており、この流出管(45)にはポンプ(46)が設けられている。このポンプ(46)が駆動されると、補助水槽(50)の水が流出管(45)から流出して外部へ供給される。
【0035】
制御部(60)は、水処理ユニット(10)の動作を制御するものである。制御部(60)は、少なくとも流入管(43a〜43c)の電磁弁(44a〜44c)、電源部(33)、濃度センサ(61)、および流出管(45)のポンプ(46)に有線または無線により接続されている。制御部(60)は、濃度センサ(61)からの入力に応じて、電磁弁(44a〜44c)の開状態と閉状態とを切り替える。また、制御部(60)は、濃度センサ(61)からの入力に応じて、電源部(33)を駆動するかまたは停止する。さらに、制御部(60)は、ポンプ(46)を駆動するかまたは停止する。
【0036】
−運転動作−
本実施形態の水処理ユニット(10)の運転動作について、
図5を参照しながら説明する。本実施形態の水処理ユニット(10)では、処理槽(11)の水中の殺菌因子濃度を高めて殺菌水を生成する濃度上昇動作と、生成された殺菌水を処理槽(11)から流出させる流通動作とが行われる。
【0037】
濃度上昇動作および流通動作は、制御部(60)によって行われる。また、濃度上昇動作および流通動作は、それぞれ、第1流路(21)、第2流路(22)および第3流路(23)において順繰りに行われる。
【0038】
なお、水処理ユニット(10)の運転中は、制御部(60)によってポンプ(46)が常に駆動され、これにより水処理ユニット(10)から外部へ殺菌水が供給され続ける。
【0039】
〈濃度上昇動作〉
濃度上昇動作について、第1流路(21)を例にとって説明する。
【0040】
濃度上昇動作では、
図5に示すように、制御部(60)によって第1流入管(43a)の第1電磁弁(44a)が閉じられた状態、すなわち処理槽(11)の第1流路(21)への水の流入および該第1流路(21)からの水の流出が停止した状態となる。そして、所定の時間にわたって、制御部(60)によって電源部(33)が駆動され、この電源部(33)から第1流路(21)の電極対(31,32)に対して方形波電圧が印加される。
【0041】
電極対(31,32)に方形波電圧が印加されると、放電部材(34)の放電孔(35)内の電流密度が上昇し、放電孔(35)内でジュール熱が発生する。その結果、放電部材(34)では、放電孔(35)の内部および出入口の近傍において、水の気化が促進されて気体相としての気泡(C)が形成される。この気泡(C)は、
図4に示すように、放電孔(35)の全域を覆う状態となる。この状態では、気泡(C)が両電極(31,32)間における水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、電極(31,32)と水との間に電位差がほぼなくなり、気泡(C)と水との界面が電極となる。すると、気泡(C)内では、絶縁破壊が起こり、放電(スパーク放電)が発生する。
【0042】
以上のようにして、気泡(C)内で放電が生起されると、処理槽(11)の第1流路(21)の水中では、殺菌因子(水酸ラジカル等の活性種)が発生する。これにより、第1流路(21)の水の殺菌因子濃度が高められる。
【0043】
なお、第2流路(22)および第3流路(23)における濃度上昇動作は、第1流路(21)における濃度上昇動作と同様であるので、説明を省略する。
【0044】
〈流通動作〉
本実施形態の水処理ユニット(10)では、濃度上昇動作に続いて流通動作が行われる。この流通動作について、第1流路(21)を例にとって説明する。
【0045】
流通動作では、
図5に示すように、制御部(60)によって第1流入管(43a)の第1電磁弁(44a)が開かれた状態となり、処理槽(11)の第1流路(21)に水が流入すると共に該第1流路(21)から処理後の水(すなわち、殺菌水)が流出する。第1流路(21)において流通動作が行われている間は、電源部(33)から第1流路(21)の電極対(31,32)に対して電圧が印加されない。
【0046】
なお、流通動作が行われている間のみならず、第1流路(21)において濃度上昇動作が行われていない間は、第1流路(21)の電極対(31,32)に電圧が印加されない。つまり、第1放電ユニット(30a)は、第1流路(21)における濃度上昇動作の停止中は放電を休止する。このことは、第2放電ユニット(30b)および第3放電ユニット(30c)においても同様である。
【0047】
処理槽(11)の第1流路(21)から流出した殺菌水は、補助水槽(50)に流入する。補助水槽(50)に流入した殺菌水は、制御部(60)が駆動するポンプ(46)により流出管(45)から流出して外部に供給される。
【0048】
なお、第2流路(22)および第3流路(23)における流通動作は、第1流路(21)における流通動作と同様であるので、説明を省略する。
【0049】
〈各動作の切替え〉
図5に示すように、本実施形態の水処理ユニット(10)では、濃度上昇動作を行う流路(21〜23)が順次切り替わると共に、流通動作を行う流路(21〜23)が順次切り替わる。
【0050】
時刻t1では、第1流路(21)で濃度上昇動作が開始される。第1流路(21)で濃度上昇動作が行われている間は、電源部(33)から第1流路(21)の電極対(31,32)に交番電圧が印加されると共に、第1電磁弁(44a)が閉状態にされる。
【0051】
時刻t2では、第1流路(21)で濃度上昇動作が停止され、第2流路(22)で濃度上昇動作が開始される。また、時刻t2では、第1流路(21)で流通動作が開始される。つまり、時刻t2では、電源部(33)の接続先が第1流路(21)の電極対(31,32)から第2流路(22)の電極対(31,32)へ切り替わると共に、第1電磁弁(44a)が開状態にされる。また、第2電磁弁(44b)は閉状態にされる。
【0052】
時刻t3では、第2流路(22)で濃度上昇動作が停止され、第3流路(23)で濃度上昇動作が開始される。また、時刻t3では、第1流路(21)で流通動作が停止され、第2流路(22)で流通動作が開始される。つまり、時刻t3では、電源部(33)の接続先が第2流路(22)の電極対(31,32)から第3流路(23)の電極対(31,32)へ切り替わると共に、第2電磁弁(44b)が開状態にされる。また、第3電磁弁(44c)は閉状態にされる。
【0053】
時刻t4では、第3流路(23)で濃度上昇動作が停止され、第1流路(21)で再び濃度上昇動作が開始される。また、時刻t4では、第2流路(22)で流通動作が停止され、第3流路(23)で流通動作が開始される。つまり、時刻t4では、電源部(33)の接続先が第3流路(23)の電極対(31,32)から第1流路(21)の電極対(31,32)へ切り替わると共に、第3電磁弁(44c)が開状態にされる。また、第1電磁弁(44a)は閉状態にされる。
【0054】
本実施形態では、各流路(21〜23)における濃度上昇動作の継続時間と、各流路(21〜23)における流通動作の継続時間とは、いずれもΔtである。なお、各流路(21〜23)における濃度上昇動作の継続時間は、互いに等しいことが望ましい。一方、各流路(21〜23)における濃度上昇動作の継続時間と流通動作の継続時間とは、必ずしも一致しなくてもよい。
【0055】
−実施形態の効果−
本実施形態の水処理ユニット(10)では、複数の流路(21〜23)のそれぞれに放電ユニット(30a〜30c)が設けられているので、放電ユニット(30a〜30c)が一つのみ設けられている場合に比べ、より多くの殺菌水を生成することができる。
【0056】
また、濃度上昇動作が行われる流路(21〜23)が順次切り替わると共に、流通動作が行われる流路(21〜23)も順次切り替わる。つまり、水処理ユニット(10)の動作中は、常に、何れかの流路(21〜23)で殺菌水が生成されると共に、他の何れかの流路(21〜23)から殺菌水が流出する。これにより、水処理ユニット(10)全体として、殺菌水を連続して供給することができる。
【0057】
また、本実施形態の水処理ユニット(10)では、一つの電源部(33)が複数の流路(21〜23)の電極対(31,32)に対して順繰りに電圧を印加する。このため、一つの電源部(33)だけを用いて、複数の流路(21〜23)において殺菌因子を発生させて任意の殺菌因子濃度の殺菌水を連続的に生成することができる。したがって、本実施形態によれば、複数の流路(21〜23)を用いて任意の殺菌因子濃度の殺菌水を生成しつつ、電源部(33)の数を最小限に抑えて水処理ユニット(10)の製造コストの上昇を抑えることができる。
【0058】
また、電源部(33)が発生する電圧波形において正極側と負極側の割合を等しくしたので、電極対(31,32)の溶出を抑制することができる。また、電源部(33)で発生させる交番型の電圧波形により、各電極(31,32)から金属などが析出することを抑制できるので、安定して放電を行うことができる。
【0059】
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について説明する。本変形例の水処理ユニット(10)では、制御部(60)により、処理槽(11)で生成される殺菌水の殺菌因子濃度が調節される。
【0060】
具体的に、まず、濃度センサ(61)が生成された殺菌水、すなわち補助水槽(50)内の殺菌水の過酸化水素濃度(殺菌因子濃度を間接的に示す)を検出し、当該検出値を制御部(60)に出力する。制御部(60)は、濃度センサ(61)の検出値が予め設定された目標値に近づくように、各流路(21〜23)における濃度上昇動作を行う時間および流通動作を行う時間を調節する。制御部(60)は、濃度センサ(61)の検出値が目標値よりも低い場合には、濃度上昇動作を行う時間を長くするか、流通動作を行う時間を短くするか、またはその両方を行う。一方、制御部(60)は、濃度センサ(61)の検出値が目標値よりも高い場合には、濃度上昇動作を行う時間を短くするか、流通動作を行う時間を長くするか、またはその両方を行う。
【0061】
−変形例の効果−
本変形例の水処理ユニット(10)では、制御部(60)により、濃度センサ(61)の検出値に基づいて殺菌水の殺菌因子濃度の調節が行われる。これにより、濃度センサ(61)の検出値の目標値を設定することにより、任意の殺菌因子濃度の殺菌水を生成することができる。
【0062】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、各放電ユニット(30a〜30c)は、該放電ユニット(30a〜30c)が設けられた流路(21〜23)において濃度上昇動作が行われている間のみ放電を行うが、これに限らず、例えば、常に放電を行うようにしてもよい。この場合、各流路(21〜23)ごとに電源部(33)を一つずつ設ける必要がある。
【0063】
また、上記実施形態では、濃度センサ(61)を補助水槽(50)に設けているが、これに限らず、例えば、濃度センサ(61)を処理槽(11)の各流路(21〜23)に設けてもよい。また、濃度センサ(61)を設けることなく、予め定められた所定の時間にわたって、濃度上昇動作および流通動作が行われるようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、濃度上昇動作および流通動作を行う流路(21〜23)が順次切り替わるが、これに限らず、各流路(21〜23)において任意のタイミングで濃度上昇動作および流通動作が行われてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、処理槽(11)内に三つの流路(21〜23)が形成されているが、これに限らず、例えば、処理槽(11)に一つの流路を設け、当該流路において濃度上昇動作と流通動作とを交互に行うようにしてもよい。この場合、処理水(殺菌水)は間欠的に外部へ供給される。